レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

京阪8000系に初乗車

 近年、鉄道会社においては有料着席サービスを積極的に展開しています。首都圏では、古くからJR東日本が朝夕の通勤時間帯を中心に「湘南ライナー」などのライナー運用を行っていますが、最近は大手私鉄も力を入れており、東急の「Qシート」、東武の「TJライナー」、西武の「Sトレイン」、京王の「京王ライナー」、京急の「ウィング・シート」など、各社が多種多様な独自のサービスを展開しています。また、JR東日本グリーン車を組み込んだ普通列車を多数運行しており、混雑区間をリクライニングシートで快適に移動したい乗客のニーズに応えています。指定席ではないものの、広い意味では有料着席サービスの一つと言えるのではないかと思います。

 一方、関西圏においては、南海が特急サザンで座席指定による着席サービスを展開しているものの、少し前まで阪急、阪神、京阪といった大手私鉄では、有料着席サービスを実施していませんでした。こうした中、2017年8月20日に京阪が有料シートとなる「プレミアムカー」を連結した特急の運行を開始し、また、これを追うようにJR西日本でも2019年3月16日から琵琶湖線京都線神戸線の一部の快速列車に「Aシート」という有料座席サービスを開始しました。

 今回は、青春18きっぷで大阪方面への乗り鉄旅に出かけることにしましたが、「Aシート」は運行本数が少なく、都合の合う時間帯で乗車できそうになかったので、京阪の「プレミアムカー」が連結された8000系に乗車すべく、まずは淀屋橋駅に向かいました。乗車区間については、せっかくならということで、終点の出町柳駅までを往復することにしました。

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出町柳駅行きの京阪8000系:淀屋橋駅 2019/12/21

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ダブルデッカーの4号車

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プレミアムカーの6号車

 京阪8000系には大きな特徴が2つあり、まず1つめは4号車に連結されたダブルデッカー車です。座席は転換クロスシートですが、追加料金なしの乗車券のみで利用できる車両としては破格の設備と言えます。そして2つめは、6号車に連結されたプレミアムカーで、500円(区間によっては400円)の追加料金で利用することができます。

 今回は、せっかくなので、往路の淀屋橋から出町柳までをプレミアムカー、復路の出町柳から淀屋橋までをダブルデッカーに乗車することにしました。プレミアムカーを利用するためには、事前にプレミアムカー券を購入する必要があります。僕は、駅の券売機で購入するものと思い込み、しばらく淀屋橋駅の改札付近をうろうろしていましたが、それらしい券売機がありません。駅の案内をよく見ると、どうやら駅員さんのいるカウンターで購入するようで、プレミアムカー券の購入を申し出ると、レシートのような紙を渡されました。

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 これが、プレミアムカーに乗車するためのプレミアムカー券です。というかレシートのようなものです。僕としては、マルス券サイズか、そうでなくてもエドモンソン券サイズの磁気券で発券されると思っていたので、きっぷ鉄的にはちょっとガッカリでした。

 しかし、インターネットを利用したチケットレスによる販売もされていることから、ひょっとすると僕のように駅に来てからチケットを購入する人は少数なのかも知れません。だとすれば、既存の券売機にプレミアムカー発券機能を追加するようなコストはかけないという対応も仕方ないのかも知れません。

 プレミアムカーダブルデッカーの車両にそれぞれ乗車しましたが、前者はアテンダントによる車内サービス付きでゆったりとした快適さがあり、2階席を利用した後者は眺望がよく観光気分を味わうことができました。

飛騨高山までの日帰り旅

 高山本線は、岐阜駅と富山駅との間を結ぶ全長約225kmの地方交通線で、途中の猪谷駅以南はJR東海の管轄、以北はJR西日本の管轄となっています。高山本線には特急「ひだ」が設定されており、一部は大阪駅発着や富山駅発着となっていますが、名古屋駅高山駅間での運用が中心となっており、車両はすべてJR東海キハ85系が充当されています。

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ひだ号で使用されているキハ85系名古屋駅高山駅 2019/12/1

 僕は、これまでにもキハ85系には何回か乗車したことがありましたが、すべて普通車だけで、グリーン車を利用したことがありませんでした。キハ85系には普通車合造の半室グリーン車(キロハ)と全室グリーン車(キロ)の2種類があり、配置やシートピッチが異なっています。

 どちらのグリーン車が連結されているのかを事前に見分けるのは簡単で、全室グリーン車富山駅方に10号車が連結されている編成に組み込まれています。狙うのは当然3列配置のキロで、さらに1列目は前面展望が楽しめるとあって、10号車1番C席を確保すべく、1ヶ月前から準備を進めました。

 ちなみに今回の旅行では、「冬こそ飛騨路 日帰り1day 高山」という旅行商品を利用することにしました。期間限定ではありますが、名古屋駅高山駅間の普通車指定席が往復4,800円で、さらに片道当たり500円の追加でグリーン車指定席が利用できるというものです。

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 実際に利用した乗車票です。もちろん復路用のものが別にありますが、内容的には同じものになるので、往路用だけを掲載しました。こちらの要望どおりに座席を確保してくれたJR東海ツアーズの方には感謝しています。

 当日は好天の日曜日で、首都圏や関西圏からの乗り継ぎも可能な時間帯の列車でしたが、実際のグリーン車乗車率は40%以下といったところでした。秋の紅葉が楽しめる行楽シーズンを終え、利用が一時的に冷え込む冬季の需要喚起の意味合いもあるとは思いますが、名古屋駅高山駅間の運賃+指定席特急料金が片道6,140円(通常期)のところ、往復でこの価格は破格としか言いようがありません。

在来線よりも新幹線の方が安い!?

 JR東海にとって東海道新幹線は会社を支える屋台骨であることは間違いありません。したがって、東海道新幹線のステータスを崩してしまうことがないよう、JR東海のフリーきっぷタイプの企画乗車券には、新幹線の利用回数に制限があるもの(例:JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ)や、そもそも新幹線が利用できないもの(例:青空フリーパス、休日乗り放題きっぷ)もあります。

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発車直前のN700系豊橋駅 2017/6/20
 一方、往復割引きっぷタイプの企画乗車券の中には、競合する他社路線に対抗すべく、次のようなものが設定されています。

新幹線お出かけきっぷ
【内容】熱海・小田原⇔東京・品川を2名以上のグループで旅行する際に利用可能で、在来線は利用できない。新幹線の利用は自由席のみで、多客期の利用はできない。さらに東京メトロ全線が乗り降り自由な「新幹線&メトロ 日帰りきっぷ」もある。
【価格】熱海発着:5,550円 小田原発着:4,720円(メトロ日帰りきっぷはそれぞれ500円増)

新幹線名古屋往復きっぷ/新幹線豊橋往復きっぷ
【内容】名古屋(市内)⇔豊橋~豊川を利用可能。名古屋ー豊橋で新幹線の自由席を利用することができる。なお、乗り越した場合には乗り越し区間のみの精算はできない。多客期も含めて利用除外日はない。
【価格】平日:2,940円 土休日:2,360円


 「新幹線お出かけきっぷ」はJR東日本の利用客を、「新幹線名古屋/豊橋往復きっぷ」は名鉄の利用客を囲い混むために設定されたもので、さらに名鉄への対抗策として、名古屋⇔豊橋間の在来線での往復に利用できる「名古屋/豊橋往復きっぷ」というものも用意されており、JR東海の本気度を感じさせます。今回は、僕が利用した「新幹線名古屋/豊橋往復きっぷ」を紹介したいと思います。

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 驚くべきはその価格です。名古屋ー豊橋間で在来線または新幹線自由席を利用した場合の正規の運賃・料金と比較すると、次のとおりです。

区分 片道 往復
在来線(正規運賃) 1,340円 2,680円
在来線(割引きっぷ・平日) 1,900円
在来線(割引きっぷ・土休日) 1,560円
新幹線(正規運賃+料金) 2,330円 4,660円
新幹線(割引きっぷ・平日) 2,940円
新幹線(割引きっぷ・土休日) 2,360円

 往復利用で比較すると、在来線の正規運賃が2,680円であるのに対し、新幹線名古屋/豊橋往復きっぷの土休日料金は2,360円で、この企画乗車券を利用して新幹線を利用した方が在来線よりも300円安いということになります。
 ここまで割引率の高い企画乗車券は珍しく、破格の価格設定と言えるでしょう。名古屋方面に旅行する乗り鉄18きっぱーの方には、是非とも課金の上、ご利用いただくことをオススメします。

九州で在来線特急に乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 今回は、885系の「白いソニック」と883系の「青いソニック」の両方に乗車しました。しかし、中津駅で写真撮影を行っている時、787系を使用したソニックを目撃しました。言ってみれば「黒いソニック」という感じでしょうか。その写真がこちらです。

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787系で運転される臨時ソニック号:中津駅 2019/10/20

 車両の写真を見ただけでは「ソニック」かどうかは分かりませんので、正直それほどのインパクトはありませんが、先にお話ししたとおり、この日は、大分スポーツ公園の競技場でラグビーワールドカップ2019の試合が開催されるということで、複数の臨時列車が増発されていました。

 小倉から大分までに「にちりん」81号、85号、87号、「ソニック」83号の4列車が設定されており、運行区間は全く同じですが、なぜか列車名が「にちりん」と「ソニック」に分けられています。783系と787系を使用するのが「にちりん」で、883系を使用するのが「ソニック」かと思いきや、僕が目撃したソニック83号には、787系が充当されていました。これが、あらかじめ設定されていたものか、それとも車両都合で急遽差し替えになったものがどうかは分かりませんが、いずれにしても珍しいものを目撃することができました。

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かもめ号で使用されている787系博多駅 2019/10/20

 さて、博多からは787系の「かもめ83号」に乗車しました。「かもめ」は、885系又は787系で運転されていますが、市販の時刻表を見ると、885系で運転される列車には(「白いかもめ」で運転)と表記されているため、充当列車がどちらの編成であるかは事前に確認することができます。少しでも多くの種類の列車に乗車したい僕にとっては、先ほど乗車した885系の方ではなく、まだ乗車したことがない787系の方に乗車したかったため、時刻表で事前に確認し、土休日限定で運転されている「かもめ83号」に乗車することにしました。

 この電車は、JR九州管内の多くの特急列車に充当されていますが、元々は九州新幹線部分開業時に「リレーつばめ」として運用されていたことで知られています。また、JRグループで初のDXグリーン席を備えた車両でもあります。グリーン席よりも上位に位置する車内設備と言えば、E5系新幹線やE7系新幹線のグランクラスが有名ですが、JR九州のDXグリーン料金は、グランクラスほど高額な料金に設定されている訳ではなく、通常のグリーン料金よりも、距離に応じて630円~1,200円の加算となっています。DXグリーンの設定のある車両に乗車する機会はなかなかないので、利用してみたいなと思いましたが、乗車時間が1時間では何となくもったいないと思い、結局は普通車指定席にしてしまいました。まあ、貧乏性の僕です。

 外観は、濃灰色の鎧を身に纏ったようなちょっと厳つい印象ですが、フロント中央部のブタ鼻ライトがチャーミングです。車内設備ですが、座席の座り心地はなかなかよかったです。ちなみに座席のモケット柄がリゾートやまどり号のものに似ていました。

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 博多ー肥前鹿島間には「九州ネット早特3」の設定がありませんので、「九州ネットきっぷ」を使用します。正規運賃・料金[消費税増税前(8%)]は3,100円なのに対し、「ネットきっぷ」は2,300円なので約25%割引ですね。乗車券(A券)の券面には「1割」と表示されています。乗車券部分だけを見れば、1,650円が1,480円になっているので、確かに1割引となっています。

 なお、乗車区間肥前鹿島までとしたことに大きな意味はありません。帰路の新幹線の乗車時間に間に合うように博多まで戻る必要がありますが、その時間から逆算すると、乗車できる限界が肥前鹿島までだったということです。

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 肥前鹿島からは普通列車肥前山口まで移動します。ここで初めてJR九州の近郊形車両に乗車しましたが、近郊形といっても内装にはこだわりがあるようで、木製の座席には座面と枕部分に革製(本革?合革?)となっています。ドア部分に円形に配置された吊り革も、なかなか凝っています。

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ハウステンボス号で使用されている783系:博多駅 2019/10/20

 肥前山口から博多までは、783系の「ハウステンボス22号」に乗車しました。この特急はその名のとおり、博多駅佐世保市にあるハウステンボスを結ぶ特急で、途中の早岐駅から(まで)は特急「みどり」との併結運転を行っています。783系はハイパーサルーンの愛称で親しまれており、国鉄分割民営化後にJRグループ初の新型特急車両として運用を開始した車両としても有名です。今回の乗車区間では、「みどり」でも「ハウステンボス」でもどちらでもよかったのですが、何となく「ハウステンボス」を選びました。

 ハウステンボス号の車両は、数年前に水戸岡鋭治氏によりリニューアルされ、オレンジ色をベースにゴールドのエンブレムが装飾されるなど、観光列車のようなデザインとなっています。ただ、走行中の揺れがかなり激しく、乗り心地という点では少し残念でした。

 ちなみに、JRグループの主な交流型特急電車の形式を見ると、

JR北海道 781系国鉄)、785系、789系
JR九州 783系、787系883系885系

となっています。JR北海道の車両とJR九州の車両が交互に登場しており、ちょっとややこしい状態です。881系が欠番になっていますが、これは何か意味があるんでしょうかね。

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 肥前山口ー博多間にも「九州ネット早特3」の設定がありませんので、「九州ネットきっぷ」を使用します。正規運賃・料金[消費税増税前(8%)]は2,630円なのに対し、「ネットきっぷ」は1,720円なので約35%割引です。博多から肥前鹿島までの「ネットきっぷ」のA券には「1割」と記載されていましたが、肥前山口から博多までの「ネットきっぷ」のA券には「3割」とあります。同じ企画乗車券でも乗車券部分の割引率が異なるようです。ちなみに「ネット早特3」は乗車日の3日前までの予約が必要ですが、「ネットきっぷ」は当日予約で購入することもできます。

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 博多から名古屋までの復路では「のぞみ188号」に乗車します。「のぞみ188号」は博多発18:10発の「のぞみ60号」の9分後に博多を出発しますが、定期列車の直後に発車する臨時列車ということで、博多発車時点で指定席車両はガラガラです。小倉、新山口、広島、岡山と順次停車していきますが、途中駅からの乗客はごくわずかです。このままガラガラの状態で名古屋まで行くのかと思いましたが、新大阪で非常に多くの乗客があり、ほぼ満席の状態になりました。山陽新幹線区間東海道新幹線区間での乗車率の違いをあらためて実感しました。

 ちなみに車内販売でアイスクリームを購入しました。新幹線の車内で購入するアイスクリームといえば、シンカンセンスゴクカタイアイスがあまりに有名ですが、僕が選んだ「南国白くま」はその期待を裏切り、むしろ軟らかでした。

九州で在来線特急に乗り鉄旅(1)

 今年も残すところ2か月と少しとなりました。この1年を振り返ると、4月には週末パスを利用した南東北信越乗り鉄旅、6月には北海道内の周遊乗り鉄旅、8月にはカシオペア紀行への乗車など、いろいろな鉄道旅行を楽しみました。自分としても、十分に充実した乗り鉄旅だったと思っていますが、結果的には東日本中心の旅行となり、今のところ、西日本にはほとんど足を踏み入れていません。

 西日本方面への旅行と言えば、ちょうど2年前に、1泊2日で九州のD&S列車乗り継ぎ旅に出かけましたが、あれからすでに2年が経過しようとしています。前回の旅行では、これまで写真や動画でしか見たことがなかった数々のD&S列車を初めて生で見て乗車し、とても思い出深いものとなりましたが、その反面、定期運用されているJR九州の在来線特急に全く乗車していないという消化不良状態にもなっています。

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  秋の旅行シーズンには、ちょっと足を伸ばして乗り鉄旅に出かけてみようと考え、まだ乗車していない九州内の在来線特急に乗車する旅を計画してみました。久しぶりに東海道・山陽新幹線にもゆっくり乗ってみたいと思っていたところだったため、今回も名古屋から新幹線を利用して九州を目指すことにします。1泊することも考えましたが、JR東海ツアーズで「日帰り1day 博多」という旅行商品を見つけ、往復ともちょうどよい時間帯の新幹線が利用できるプランだったため、今回はこれを利用することにしました。具体的な旅行行程は、次のとおりです。

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 いつも言えることですが、僕の旅行行程には全く観光の要素はありません。観光地を巡るとか景勝地を訪れるとかいった旅行的なものを全く組み込んでおらず、ひとつでも多くの列車に乗車することを最優先に組み立てています。乗り鉄の一人旅なので特に誰かに文句を言われることはもちろんありませんが、普通の方から理解を得ることもありません。

 そんなことは百も承知していますので、もちろん乗り鉄ではない友人と旅行に行く時には、こんな旅行行程を組むことはありません。どうぞ、乗り鉄の方のみ参考としてください。

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 今回利用する「日帰り1day 博多」ですが、名古屋ー博多間での「のぞみ号」指定席往復と、名古屋駅構内のベルマートなどで利用できる500円分のクーポンがセットになっています。乗車する新幹線は、博多到着後の乗り換えにちょうどいい「のぞみ97号」を選びました。前回の九州旅行と同じ新幹線です。博多までは約3時間20分の旅で、それなりに時間がかかるような気もしますが、実際に乗車して普段見慣れない景色を眺めていると、意外とあっという間でした。

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ソニック号で使用されている885系博多駅中津駅 2019/10/20

 博多からは885系の「ソニック17号」に乗車します。「ソニック」は博多から鹿児島本線で小倉まで行き、そこから進行方向を変えて日豊本線を下って行きます。ということは、新幹線を小倉で下車しても「ソニック」に乗車することができたのですが、今回は旅行商品の乗車票が博多駅までであったことと、少しでも長く在来線特急に乗車したいということで、博多から別府まで乗車することにしました。今回乗車するのは885系の通称「白いソニック」で、0系新幹線のような丸みを帯びた愛嬌あるフロントフェイスが実に印象的です。車内は贅沢な空間となっており、普通席でも総革張りで、床も市松や縞模様の凝った組み木細工が施されています。重厚な雰囲気でありながら、席上の荷物入れはハットラック式で航空機のような雰囲気もあります。ちなみに昔は、運転台の下のラインが黄色なのは「かもめ」、青色なのは「ソニック」だったそうです。

 行き先を別府までとしたのは、別府駅で上り博多行の「ソニック30号」に乗車するためです。乗り換え時間はわずか5分ですが、別府駅での乗り換えは可能と考えて行程を組んでいました。しかし、運悪く「ソニック17号」は小倉出発時点で7分の遅延が発生していました。この日は、大分スポーツ公園の競技場でラグビーワールドカップ2019の試合が開催されるということで乗客が集中し、指定席はすでに満席で、自由席は立錐の余地もない状況です。そのため乗降に時間を要するため発車が遅れ、結果として遅延が発生したものです。途中の行橋への到着時刻から考えても、どうやらこの先での回復は期待できそうにありません。このままの遅れで別府まで行った場合、上り列車に遅れがなければ別府駅で「ソニック30号」に乗り継ぐことができなくなります。そうなっては、後々の予定が大きく狂ってしまうことから、別府の一つ前の停車駅である中津で下車することにしました。多少の遅延にも対応できるよう、もう少し余裕を持った行程を組むべきだったとかなり後悔してます。

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 今回乗車する特急列車は、すべて「九州ネットきっぷ」「九州ネット早特3」という企画乗車券を利用します。前回の九州旅行でも、日豊本線を暫定ダイヤで運転する「ゆふいんの森」号に乗車する際に利用しました。正規運賃・料金[消費税増税前(8%)]が5,570円であるのに対し、「ネット早特3」の価格は2,500円なので、約55%割引となっています。A券の券面には「5割」と表示されていますが、これはどの割引を示しているのでしょうか。

 「えきねっと」でもここまで高い割引率は少数ですので、いかにおトクかが分かります。今回は中津までしか乗車できませんでしたが、それでも正規運賃・料金と比較すれば損はしていない計算です。

 ちなみに乗車日は10月以降ですが、ネット予約したのは9月だったため、消費税増税前の金額で購入しています。

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ソニック号で使用されている883系中津駅 2019/10/20

 次に乗車するのは、先ほどお話ししたとおり883系の「ソニック30号」です。下りの「ソニック17号」を予定よりもかなり手前の中津で下車したため、「ソニック30号」の乗車までには相当な時間があります。せっかくなのでこの時間を利用して、中津駅構内で特急列車の写真を撮影してみました。すると、同じ883系でも、フロントのエンブレムがS型のものやI型のもの、また、エンブレム部分が横スリットとなっているものもあります。僕は普段、乗り鉄中心のため写真撮影は乗車前や乗車後の限られた時間の中で行っており、他の車両との違いをじっくり観察するようなことをしていませんでしたが、今回たまたま複数の883系を見比べて見ると、フロントフェイスだけでも編成によってちょっとした違いがあることがよく分かりました。

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 ちなみにこの車両は、1995年に運用が開始され、すでに20年以上経過していますが、直線的でメカニカルなデザインは近未来的で、全く古さを感じさせません。精悍なフロントフェイスで、全身メタリックブルーの外観が目を引きます。一方、車内は観光列車のような内装で、ミッキーマウスの耳のようなヘッドレストを備えた座席はどこか可愛らしい感じでした。

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 こちらも同じく「九州ネット早特3」です。博多で下車する際に、JR九州でお馴染みのサクラ形の乗車記念印が押印されました。以前の旅行でも使用済みのきっぷの持ち帰りをお願いしたのですが、使用済印は押印されますが、パンチによる穴あけはありません。JR各社によって取扱いに差があるんですね。

 >>(2)に続く

和歌山に行くならJR?それとも南海?

 今季の青春18きっぷも最後の1回目を残すのみとなりました。思い返すと今季の乗り鉄旅はこれまで関東方面ばかりとなっていたので、1回くらいは関西方面にも行っておこうと思い、今回は和歌山を目指すことにしました。和歌山に行くには、名古屋から関西本線紀勢本線を利用するルートもありますが、今回は素直に東海道本線で大阪まで移動し、そこから南下することにしました。

 大阪から和歌山までを鉄道で移動する場合、一般的には次のルートが考えられます。

JRを利用する場合
 新大阪駅から阪和線直通の特急「くろしお」を利用して和歌山駅まで行く。
 運賃1,240円+指定席特急料金1,490円=2,730円(通常期)
 ※ただし「e5489」を利用したチケットレス特急券は1,290円で合計2,530円

南海を利用する場合
 南海難波から南海本線の特急「サザン」を利用して和歌山市駅まで行く。
 運賃920円+座席指定料金510円=1,430円

 単純に比較すれば、JRは南海のほぼ倍であり、チケットレス特急券を利用した場合でも、圧倒的に南海の方が安くなります。今回は、運賃や料金だけの比較だけでは分からない違いもあるのではないかと思い、往路はJR、復路は南海を利用して往復乗り鉄旅を行うこととしました。

◆往路(JR)

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くろしお号で使用されている287系:新大阪駅 2019/9/1

 青春18きっぷを使って新大阪駅までやってきました。ちなみに名古屋方面から大阪まで在来線を利用する場合、必ず米原で乗り換えることになりますが、青春18きっぷシーズンになると、米原駅には多くの乗り換え客が集中し、座席確保の争奪戦が繰り広げられます。こうした光景は、乗り鉄の僕から見ても決して気分のいいものではありません。鉄道ファンはマナーが悪い連中だと思われてしまうことがないよう、節度を持って行動してもらいたいものです。

 話しがそれましたが、新大阪駅から乗車するのは287系の特急「くろしお」です。以前、オーシャンアロー編成の「くろしお」には乗車したことがありますが、今回は「パンダくろしお」と呼ばれる期間限定のラッピング車両に乗車することにしました。タレ目の表情が可愛らしい編成で、小さな子供を連れた親子連れも記念に写真を撮っていました。

 アドベンチャーワールドとのコラボ企画のようですが、今年11月頃には終了するようなので、よい機会に乗車することができました。

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 特急券は「e5489」を利用したチケットレス特急券で、別に和歌山までの乗車券を購入しています。インターネット限定とはいえ、手軽に購入できる割引特急券があると、ちょっと得した気分になってしまいます。

 287系に乗車したのは今回が初めてではありません。最近の特急形車両らしい、快適かつ安定した乗り心地です。和歌山駅で下車してからは、紀勢本線盲腸線ともいうべき路線に乗車し、和歌山市駅まで移動しました。なお、和歌山駅の7・8番線ホームには中間改札があり、跨線橋から階段を降りたホーム上に自動改札機が設置されていました。係員が常駐する有人改札はないので、僕のように自動改札機を通過できないきっぷを持っている場合には、インターホンで係員を呼び出し、読み取り機で券面を確認してもらう必要があります。そこまで手間をかけていることからして、おそらく不正乗車が多いのでしょう。

◆復路(南海)

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発車を待つ南海12000系和歌山市駅 2019/9/1

 和歌山市駅からは、いよいよ南海「サザン」に乗車します。「サザン」には、一般席車と指定席車が連結されており、指定席車両には10000系と12000系があります。今回乗車する12000系はサザン・プレミアムと呼ばれており、ステンレス地にブルーとオレンジのラインが一目で南海の車両であると分かるデザインになっています。(それゆえ、一般形車両のようにも見えてしまいますが……)

 車内はプレミアムの名に恥じない設備となっており、各席に電源コンセントが完備され、座席のホールド感もしっかりしています。シートピッチも1,010mmで広々とした印象でした。

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 特急券和歌山市駅の窓口で購入しましたが、乗車券は駅前にあったチケットショップの自販機で回数券のバラを買って使用したため、手元に残してありません。

 今回、大阪ー和歌山間でJRと南海の両方を乗り比べてみると、510円の座席指定料金で利用できるサザン・プレミアムの満足度は高く、運賃や料金の差も踏まえれば南海側に軍配が上がるかなと思いますが、一方のJR側には、新大阪駅での新幹線や在来線との乗り換えが便利だというメリットがあります。よかったら皆さんも一度、乗り比べてみてはいかがでしょうか?

五能線「リゾートしらかみ」に初乗車

 近年は、テレビ番組などで「秘境駅」や「ローカル路線」などが取り上げられることがあり、ちょっとした観光ネタになることもあるようです。例えば、多くの秘境駅を有する飯田線では、秘境駅を訪れることを目的とした「飯田線秘境駅号」が行楽シーズンに運転されており、なかなか指定席券が入手できないほど人気を博しています。

 そんな中、知名度では飯田線と一二を争うローカル線として、秋田県東能代駅青森県川部駅を結ぶ五能線という路線があります。五能線は、世界自然遺産白神山地と海岸線沿いからの美しい日本海の景色が評判となり、観光列車「リゾートしらかみ」の人気とも相まって、今や外国人観光客も多く訪れる一大観光地となっています。

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五能線の車内から眺める夏の日本海

 僕も五能線の人気ぶりは以前から知っており、是非とも「リゾートしらかみ」に乗車してみたいと思っていましたが、秋田発、青森発ともなかなか乗車する機会に恵まれませんでした。そんな中、前回の記事のとおり「カシオペア紀行 湯沢行き」で湯沢まで行くことになったことから、その後、秋田市内に戻ってもう1泊し、翌日の朝8時20分に秋田駅を発車する「リゾートしらかみ」1号の青森行きに乗車することにしました。

 「リゾートしらかみ」に使用されている車両には、ハイブリッドシステムを採用したHB-E300系気動車の「橅」編成と「青池」編成、それにキハ40系気動車の「くまげら」編成の計3編成があります。僕が一番乗車してみたかったのは「橅」編成で、この日のリゾートしらかみ1号は「橅」編成が充当されています。「橅」編成は最も新しい車両で、3号車には物販カウンターが設置されており、沿線の特産品の販売が行われています。また、橅の木立ちをグラデーションで表現した、ナチュラルなグリーンの濃淡の外観が特徴的なデザインの車両です。

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リゾートしらかみ1号に充当されたEB-E300系:能代駅 2019/8/19

 僕が乗車したのは、夏休み期間中とは言っても平日で、しかも秋田8:20発と早い時間にもかかわらず、それなりの数の乗客がおり、途中駅から乗車する旅行客も大勢いて、東能代を出発した時点で8割くらいの乗車率でした。

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 これが今回使用した指定席券です。JR東日本管内の列車であるため、「えきねっと」を利用して指定席券を手配することも検討しましたが、リゾートしらかみではシートマップからの座席位置の指定ができず、場合によっては2号車の4人用ボックス席が割り当てられる可能性があったことから、乗車日の1ヶ月前に、旅行会社の窓口で通常座席の窓側席の券を購入しておきました。

 車内には、観光列車らしく、スタンプを押すことができる乗車記念証があったので、僕も記念にいただきました。

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 肝心の車窓ですが、僕が乗車した当日は天気が良く、大きな窓から穏やかな夏の海の景色を楽しむことができました。シートピッチも広く、快速でありながら特急形車両にも引けを取らない快適な車内で、終点の青森まで約5時間の乗車は、いい意味であっという間だったというのが正直な感想です。