レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

SL「D51復活35周年水上」に乗車する水上往復乗り鉄旅

 国内には、動態保存されている蒸気機関車(SL)がいくつかあります。日本の最初期のSLは、今から約150年前の1872年に新橋―横浜間の開業に使用されたもので、これはイギリスから輸入されたんだそうです。その後、国内において次々と鉄道網が整備されていき、各地で旅客用や貨物用としてSLが運用されるようになった訳ですが、時代は動力近代化へと進み、電気機関車ディーゼル機関車に置き換えられる形で、次第に淘汰されることとなり、現在では復活を成し遂げた一部のSLがその姿を残すのみとなりました。

 全国的に有名なSLとしては、山口線新山口-津和野間)を走る「SLやまぐち号」や磐越西線(新津-会津若松間)を走る「SLばんえつ物語号」などがあり、JR北海道が冬季に釧網本線(釧路-標茶間)で運行する「SL冬の湿原号」や、JR九州肥薩線(熊本-人吉間。ただし、肥薩線の一部区間不通の影響により現在は鹿児島本線鳥栖-熊本間)で運行する「SL人吉」なども人気を集めています。

 僕が住んでいる愛知県内には、残念ながらSLが運行されている路線はありませんが、お隣の静岡県にある大井川鐡道は40年以上も昔からSLの動態保存に取り組んでおり、週末を中心に多くの列車を運行しています。特に2014年7月から運行を開始した「きかんしゃトーマス号」は爆発的なヒットとなり、一時期は指定席券を確保するのが困難となるほどの人気列車となりました。僕も一度は乗ってみようと思い、2018年に初めて「きかんしゃトーマス号」に乗車しています。

len-railway.hatenablog.jp

 大井川鐡道では、「きかんしゃトーマス号」のC11形の他に、貴重なC10形やC56形も活躍しており、全国各地から多くの鉄道ファンを集めています。SL人気で不動の地位を確立したと思われた大井川鐡道ですが、2020年春には新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いSL急行の運休を余儀なくされ、さらに2022年9月には台風15号による土砂災害の影響で大井川本線は大きなダメージを受けて、現在でも川根温泉笹間渡-千頭間では運休(SLは新金谷-家山または川根温泉笹間渡間でのみ運行)が続いている状況です。

 また、関西方面に目を向けると、北陸本線米原木ノ本間)では以前から「SL北びわこ号」が運行されてきましたが、こちらも新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年春季から運転を休止し、客車の老朽化などの事情もあって、2021年5月に運行終了が発表されています。

 さらに今年度になってからは、釜石線で活躍していた「SL銀河」が6月に定期運行を終了しており、また、先に紹介した「SL人吉」も2024年3月に引退することが発表されています。僕は「SL銀河」「SL人吉」のどちらにも乗車したことがありますが、どちらもSLの醍醐味が感じられる素晴らしい列車で、大人も子供もすべての年代が楽しめる魅力的なものでした。もし時間を戻すことができるのであれば、もう一度と言わず何度でも乗車してみたいと思うほどです。

len-railway.hatenablog.jp

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 そんな感じで、観光資源としてのポテンシャルは高いものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響や車両(客車)の老朽化、また、鉄道会社によっては自然災害の影響などもあり、SLを取り巻く環境は、今まで以上に厳しさを増しているような気がします。また、SLを維持・管理するためには、通常の電車や気動車よりも多くの人手と費用が必要になるでしょうから、動態保存されているSLがこの先どこまで維持されるものか、その動向を不安視する声が聞こえてくるのも無理のないことです。

 しかしその一方で、ちょっと明るい話題があるのも事実です。一つ目は東武鉄道が2017年に約50年ぶりにSLの運行を復活させたことです。大手私鉄としてはおそらく初の試みで、この取り組みが他の大手私鉄にも波及するとは思いませんが、「SL大樹」は人気を博しており、鬼怒川線下今市鬼怒川温泉間)の利用促進や鬼怒川地区への集客に大きく貢献しているようです。そして二つ目はJR東日本保有するD51形498号機が、今年で復活から35周年を迎えるということです。もともとD51形498号機は戦前の1940年に落成された機関車で、その後は一度引退したものの、1988年に復籍しています。D51形は「デゴイチ」の愛称で親しまれており、SLの代名詞的存在でもあります。JR東日本では、これまでも復活からの節目の年に記念列車を運行してきましたが、今年も「D51復活35周年水上号」が運転されることとなりました。

 そして今回は、この「D51復活35周年水上号」に乗車する乗り鉄旅に行ってみることにしました。この列車の運転日は11月3・5・18・19日の計4日間で、運転区間はいずれも上越線(高崎―水上間)です。また、客車は高崎車両センター所属の旧型客車6両編成となります。本来であれば、乗車日の1つ月前の指定券発売日までに旅行行程などを準備しておけばよかったのですが、あいにく手配が遅れてしまったため、出発日は最後の運転日である11月19日としました。ちなみに「D51復活35周年水上号」には往復とも乗車するつもりです。そうと決めたら早速、指定券を確保しなければなりません。できれば往復とも進行方向の窓側座席を確保したいと思い、空席状況を確認しましたが、やはり窓側座席はほぼ埋まっていました😰 こまめに「えきねっと」で探っていると、たまに空席が見つかり、何とか往復とも希望の窓側座席を確保することができました。これで一安心です😊

 

今回の旅行概要

 では早速、今回の旅行行程を紹介したいと思います。

 「D51復活35周年水上号」は高崎9時56分発なので、これに間に合うよう、豊橋を朝一番に発車する「ひかり」に乗車して東京に向かいます。東京からは8時44分発の「はくたか」に乗車して高崎に行き、高崎から終点の水上まで「D51復活35周年水上号」に乗車します。水上では昼食や入浴を楽しんだ後、再び水上15時15分発の「D51復活35周年水上号」に乗車して高崎に戻り、さらに高崎からは「とき」に乗車して東京に向かい、東京から「こだま」に乗車するものです。メインはもちろん「D51復活35周年水上号」ですが、「ひかり」「はくたか」「とき」「こだま」と4つの新幹線にも乗車することになります。

 「D51復活35周年水上号」の乗車区間は上記のとおりですが、詳細なダイヤは次のとおりです。

 高崎―水上間は約2時間ですが、途中の渋川や沼田で8分から20分から停車するため、この時間を利用して写真撮影などを楽しむことができそうです。乗車日に向けて、日に日に期待が高まっていたのですが、前日の18日、たまたま鉄道関係のニュースを見ていると、次のような記事が目に飛び込んできました。

不具合で快速「D51復活35周年水上」の上下2本が運休 JR東日本高崎支社によると、18日午前8時半ごろ、上越線高崎駅構内でSL「D51復活35周年水上」の入れ替え作業中にD51蒸気機関車の保安装置に不具合が確認され、高崎発水上行き下り快速「D51復活35周年水上」と水上発高崎行き上り快速「D51復活35周年水上」が運休した。

 えー😭、まさかという感じです。こんなことがあるんですね。どうやら発車直前に不具合が判明したようで代替の機関車が手配できず、やむを得ず運休になってしまったようです。「D51復活35周年水上号」に乗車するため、すでに高崎で待ち構えていた方もいらっしゃると思いますので、実にお気の毒なことです。しかし、保安装置に不具合が発生したとのことですので、残念ですが仕方ありません。僕が乗車する19日の運行は大丈夫なのかと気になり、JR東日本のWebサイトを見てみましたが、これに関して特にお知らせはありません。果たしてどうなるのか、やや不安な思いを抱いたまま出発の日を迎えました。

 

豊橋駅から東海道新幹線に乗車

 予定どおり、豊橋から東海道新幹線に乗車します。朝一番の上り「ひかり630号」に乗車するのは久しぶりです。名鉄線から一旦、改札を出て新幹線改札口に向かうと、何やら人だかりがあります。どうやらこれから新幹線に乗車する団体旅行の方のようです。秋の行楽シーズン真っ只中ということで、ツアー客も多いのでしょうか? 記念に改札口付近をパシャリ📸

 豊橋駅では車両を撮影する時間がありませんので、終点の東京駅で撮影しました。この場所から新幹線を撮影するのは、最近の定番になりつつあります。手前が今回乗車したN700系のG編成で、隣にはN700SのJ編成が停車していました。

東海道新幹線の主役であるN700系とN700S:東京駅 2023/11/19

 そう言えば、東海道新幹線では10月末をもってワゴンによる車内販売が終了しました。これまで「のぞみ」や「ひかり」に長時間乗車した際には、何度かワゴンサービスを利用してアイスクリームを購入したことがありますが、もう利用できないと思うとちょっと残念な気持ちになります。グリーン車の乗客向けには、新たなモバイルオーダーサービスが開始され、今後も引き続き、食事や飲み物を注文することができるようですので、また機会があれば利用してみたいと思います。ちなみに今回は、いつも以上に早起きしたため、乗車早々に寝落ちしてしまい、モバイルオーダーサービスは利用しませんでした。

 

東京駅から北陸新幹線に乗車

 東京駅からは「はくたか555号」で高崎に向かいます。見出しを上越新幹線とすべきか北陸新幹線とすべきか迷いましたが、乗車したのが「はくたか」だったので、北陸新幹線としました。

 東京駅23番線の発車標です。折り返し運転のため車内清掃が行われているのですが、なかなか乗車開始の案内がなく、やっと乗車できたのは発車直前です。ホームで乗車開始を待つ間の時間を利用して、発車前の車両を撮影しました。

上越新幹線北陸新幹線の主役であるE7/W7系:東京駅 2023/11/19

 車両はもちろんE7/W7系です。営業運転されているJR東日本の新幹線車両の系列としては、最も新しいのがこのE7系です。東海道新幹線N700系は、白地に青いラインという伝統を継承したカラーリングで、安定感とスピード感に溢れるデザインとなっていますが、E7系の鮮やかで大胆な青色の配色と、これを縁取るかのような銅色のラインが引かれた先頭車両もまた、どことなく“和”の雰囲気が漂うカッコいいデザインです。

 ちなみに北陸新幹線は、皆様もご存知のとおり、来年3月16日に金沢―敦賀間が開業し、小松駅加賀温泉駅芦原温泉駅福井駅、越前たけふ駅、そして終点の敦賀駅が新たに新幹線停車駅となります。福井県にとっては待望の新幹線延伸開業であり、東京から福井県内まで乗り換えなしでアクセスできるようになるということで、大きな期待が寄せられているようです。僕も敦賀まで延伸した際には、一度はこの区間を乗車してみたいと思っています。

 今回は、高崎まで約45分の短い乗車でした。車内放送によると、指定席はすべて発売済とのことでした。僕は普通車指定席に乗車しましたが、おそらく自由席も相当混雑していたと思います。やはりこうした時期に旅行する際には、指定席を確保しておいた方が安心ですね。

 

高崎駅からD51復活35周年水上号(下り)に乗車

 高崎駅には予定どおりに到着しました。早速「D51復活35周年水上号」が発車する2番線に向かいます。発車標には乗車番線の案内が表示されているため、とりあえず運休はなさそうでホッとしました🤗

 ホームには、ちゃんと旧型客車が停車しています。今日は天候も良く、「D51復活35周年水上号」の最終日ということもあってか非常に賑わっています。

 そして気になるSLですが、やはりD51の不具合は解消されていないようで、C61形20号蒸気機関車がピンチヒッターとして牽引機を務めることになりました。C61形がD51形498号蒸気機関車の復活を記念する列車を牽引するというのは、確かに本来の姿ではありませんが、困ったときはお互い様ということで、こうしたイレギュラーな運用もありだと思います。

 早速、ホーム上を進んで先頭のSL付近に行ってみると、写真撮影する方でごった返していました。皆様が順序よく撮影できるよう、撮影を終えた方から場所を空けていただけるといいのですが、長時間に渡って場所を陣取っている方も多く、後から来た方はなかなか撮影できません。SLを撮影されたい思いはみんな一緒のはずですので、もう少しお互いを思いやる気持ちが欲しいですね。

D51復活35周年水上号を牽引するC61形蒸気機関車高崎駅 2023/11/19

 僕も、隙を狙って何とか撮影しましたが、ひどい逆光のため、先頭部は思うような写真とはなりませんでした😭 SLの撮影は他の車両よりも特に難しい感じがします。そしてヘッドマークには「D51復活35周年水上号」専用のものが掲げられています。C61形もまさか自分がこのヘッドマークを掲げることになるとは、思ってもいなかったでしょうね。

 客車は6両編成となっており、うち4号車にはフリースペースとして乗客が利用できるラウンジカーが組み込まれています。僕が往路で乗車するのは1号車で、進行方向最後尾の号車となります。ちなみに高崎車両センターの旧型客車は、昭和27年から29年頃に製造された客車ということで、70年近く昔の昭和レトロ感が漂う車両となっています。外観は茶色(ぶどう色2号)となっていますが、6号車のみ青色となっていました。上の写真は1号車ですが、半分が客室、もう半分が荷物室という変わった構造の車両です。

 続いて1号車の車内の紹介です。ご覧のとおり、座席はすべてボックスシートとなっており、ニス塗りされた木目が艶々しく輝いています。当然、冷房装置などなく天井に扇風機が設置されており、ひとたび車内に入って座席に座ると、昭和時代にタイムスリップしたかのような感じが味わえます。ちなみに僕は、ボックス内の進行方向の窓側座席でしたが、運よく同じボックス内に他の乗客はおらず、広々とボックス座席を利用することができました。

 高崎駅発車後は、新前橋、渋川、沼田と停車していきますが、停車時間に余裕があったので、各駅でC61形を撮影してみました。どの駅でも写真撮影する方が多くいらっしゃいました。

新前橋駅

渋川駅


沼田駅

 そして終点の水上駅には、若干の遅れで到着しました。途中には紅葉の美しい山々が見られる区間もあり、秋らしい風景を楽しむことができました。また、旧型客車は自分で窓を開けることができるため、トンネル以外の区間では、心地よい風を感じつつノスタルジックな乗り鉄旅を満喫できました。水上駅到着後、編成全体をカメラに収めたいと思い、向かい側のホームから撮影してみましたが、う〜ん、今ひとつの写真ですね😰

 ちなみにSLは復路での運行に備えるため、水上駅の先にある転車台で方向転換します。駅から3分くらい歩いたところにSL転車台広場があり、間近で転車風景を見ることができるため、下車後、僕も転車の様子を見学することにしました。

 

SL転車台広場で転車風景を見学

 SL転車台広場に着きました。さすがに水上はちょっと寒いですね。そんな中でも、転車台周りには転車風景を見ようという方が多くいらっしゃいました。また、人工芝が敷かれた空間には、D51形745号蒸気機関車が静態保存されていますが、このSLにも「D51復活35周年水上号」のヘッドマークが取り付けられていました。

 そしていよいよ転車風景を観察することにします。転車台付近に移動してちょっと待っていると、C61形がゆっくりと転車台に向かって後退してきました。転車台上で停車したSLは時計回りで回転し、進行方向を変えます。

 巨大なSLが転車台の上でグルグルと回転する様子は、なかなか面白いものです。車両の方向転換には欠かせない装置ですが、実際に使用されているところを見られる場所は限られています。日本国内の例を見ると、やはりSL用として使用されている例が多いようですね。

 

手打ちそば処「やぶそば」で山菜天せいろ

 ここでそろそろ昼食をいただくことにしました。今回は事前に水上駅周辺の飲食店の情報を調べておき、手打ちそば処「やぶそば」さんを訪れようと決めていました。駅から少し離れた路地裏のような場所にあるお店ですが、美空ひばりさんをはじめ、多くの芸能人が足を運んだそば処だそうで、服部料理専門学校の校長で料理研究家である服部幸應氏からも「日本でも三本の指に入る」と評価された知る人ぞ知る名店なんだそうです。

 僕は、うどんもパスタもラーメンも、麺類はどれも好きですが、その中でも一番好きなのがお蕎麦です。お店に入ると店員さんから、山菜天せいろをオススメしてもらいましたので、これをいただくことにしました。

 実際にいただいた天せいろです。食レポは苦手なので丁寧な感想は省略させてもらいますが、麺は細目で歯ごたえがあり、風味豊かな香り高いお蕎麦です。さらに山菜の天ぷらは揚げたてで、最高に美味しいです。この天ぷらであれば、いくらでも食べられそうなくらいです。素朴ながら味わい深くまた、食べごたえもあり、大満足の昼食になりました。

 

水上館 坐山みなかみで日帰り入浴

 水上と言えば、やはり温泉♨です。利根川を見下ろし、谷川岳を見上げることができる温泉地で、水上駅周辺に位置しています。確かに利根川沿いを中心にいくつか温泉旅館が軒を連ねていますが、東京近郊から日帰り圏内に位置しているにも関わらず、何だか寂しく感じるところもあります。どこの温泉街もそうですが、団体旅行客の減少や旅行客のニーズの変化に伴い、やはり活気が失われつつあるのでしょうか。

 そんな中でも、いくつかの温泉旅館では日帰り入浴のサービスを行っており、気軽に水上温泉を楽しむことができるのはありがたいことです。僕は今回、復路での「D51復活35周年水上号」の発車時刻までの時間を利用して、水上館 坐山みなかみで日帰り入浴を楽しむことにしました。

 フロントで手続きを済ませて、浴場に向かいます。男湯は「水晶風呂」という施設で、奥利根ひばの風呂や樽型露天風呂もあるとのことでした。大浴場好きの僕にとっては期待が高まります。

 脱衣場から先はさすがに写真撮影できませんが、結構多くの方が利用しており、なかなかの人気ぶりが伺えます。僕は身体を洗ってまずは内湯である水晶風呂に入りましたが、思ったよりも熱かったです🥵 せっかくなので、ひばの風呂と露天風呂も利用しました。今日はここまで歩き疲れた感もあったのですが、お湯に浸かって身体も温まり、気分的にもサッパリしました。やはり温泉はいいですね。

 

水上駅からD51復活35周年水上号(上り)に乗車

 さて、水上駅に戻ってきました。ちなみに水上駅の外観はこんな感じです。駅前には飲食店やお土産物屋さんが数軒あります。僕もここで、家族へのお土産としてかりんとう饅頭を購入しました。

 改札を通ってホームに向かう跨線橋を渡っていると、ちょうどSLの付け替え作業を行っていました。湯檜曽方から来たC61形が1番線を通過して一旦、上牧方に移動し、転線してバックしながら2番線に入線してきます。ここで客車と連結し、出発準備が完了します。ホーム上には、SLと客車との連結作業を一目見ようという方が大勢いらっしゃいました(僕もその一人です)。ここでも記念にパシャリ📸

D51復活35周年水上号を牽引するC61形蒸気機関車水上駅 2023/11/19

 そして乗車開始時間になると、ホーム上の方が次々と乗車していきます。上り列車は、1号車を先頭にして高崎を目指します。ちなみに僕は3号車に乗車しました。

 もちろん3号車も旧型客車で、すべての座席がボックスシートですが、車内の様子を見ると、往路で利用した1号車とは若干、内装が異なっています。1号車は座席が青色でしたが、3号車の車両は緑色です。そして、窓側には小さなテーブルもあります。荷棚や窓枠も1号車とは微妙に違っており、復路はまた違った気分で乗り鉄旅を楽しむことができそうです。そして15時15分、定刻どおりに水上駅を発車しました。

 僕の隣の通路側は空席でしたが、向かい側には小学校低学年のお兄ちゃんとその妹さん、それにおふたりのお母さんが3人で乗車されていました。聞こえてくる話し声から、どうやら往路は親戚の方と一緒に高速道路で水上まで来て、その親戚の方を水上に残して3人で「D51復活35周年水上号」に乗車したようです。お兄ちゃんはSLに乗車したことが相当嬉しかったようで、終始はしゃいでいました。お兄ちゃん、きっと将来は乗り鉄ですね。

 上り列車も往路の下り列車と同様、後閑、沼田、渋川、新前橋に途中停車しますが、このうち沼田と渋川では数分の停車時間があります。往路でも撮影したところですが、復路でもC61形を撮影してみました。

沼田駅

渋川駅

 そう言えば、まだ4号車にあるラウンジカーを紹介していませんでしたので、ここで車内の様子をお伝えしたいと思います。ラウンジカーは主に物販用スペースとフリースペースに分かれており、物販カウンターではお菓子やドリンク、SLグッズが販売されています。フリースペースにはカウンター席と広めのボックス席があり、どちらもテーブルが設置されているため、お弁当を食べたりする際には利用したいですね。

 復路の車内では、ちょうどアイスクリームの車内販売があったので購入しました。スジャータ製のバニラアイス、つまりはあの“シンカンセンスゴイカタイアイス”です。フタを開けて食べようとすると、予想を裏切らず、非常に固いです。スプーンを折らないよう気をつけながらチビチビ食べました。向かいの席のお兄ちゃんの視線がやや気になりました。

 高崎駅に到着しました。もう辺りは真っ暗です。D51形に代わり急遽、ピンチヒッターとして記念列車を牽引したC61形には大感謝です。最後の最後にもう一度、C61形を撮影しました。前照灯を点灯させた姿もカッコイイですね。

 

高崎駅から上越新幹線に乗車

 高崎からは、上越新幹線「とき334号」に乗車して東京に行きます。

 上越新幹線には現在「とき」「たにがわ」の2種類の列車があり、このうち「たにがわ」は主に東京−越後湯沢間の各駅停車としての役割を担っており、「とき」は東京−新潟間を中心に運用されています。上越新幹線が開通した頃、「とき」は速達タイプで、「あさひ」が各駅停車タイプとして運行されていましたが、いつしか「あさひ」はなくなり、上越新幹線区間を通して運転されるのは「とき」のみとなりました。ややこしいのは「とき」であってもすべての駅に停車する列車から大宮以外は無停車の列車まであることです。あまり列車名ばかり増やしてもかえって混乱するということも考えられますが、愛称に区別があってもいいのかなと個人的には思っています。ちなみに今回乗車した「とき334号」は各駅停車タイプでした。

上越新幹線の主役であるE7系:東京駅 2023/11/19

 高崎駅での停車時間はわずかで写真撮影できませんでしたので、東京駅到着後に撮影しました。ちなみに僕は、まだE7/W7系グランクラスに乗車したことがありませんので、いつかは乗車してみたいと思っています。

 

東京駅から東海道新幹線に乗車

 東京駅からは「こだま751号」に乗車しました。ちなみに東京駅18時33分発の「ひかり」は豊橋に停車するため、この「ひかり」号に乗車できると都合がいいのですが、時間的に無理でした。

 乗車する車両は久しぶりのN700Sです。最近は車両全体に占めるN700Sの割合も増えていると思うのですが、僕はめぐり合わせが良くないのか、あまり乗車する機会がありません。

こだま号としての運用に就くN700S:東京駅 2023/11/19

 車内に入ると、早速お弁当タイムです。東京駅での乗り換え時間が17分しかない行程としたため、お弁当は高崎駅で購入しておきました。高崎駅ではSLをイメージした駅弁(SLロクイチ物語・上州D51弁当)が販売されており、僕がお弁当を買いに立ち寄った時点でもまだ在庫がありましたが、今回は普通に「しらす弁当」にしました。“何も高崎で湘南鎌倉を代表するような駅弁を買わなくても…”と後から思いましたが、まあ気にしません。

 今回の乗り鉄旅では、豊橋―東京間の東海道新幹線区間グリーン車を利用しました。「こだま」号のグリーン車は比較的空いているイメージがありますが、今回乗車した「こだま」号もそのとおりで余裕がありました。ということで、車内の座席をパシャリ📸 やはりグリーン車の座席は重厚感がありますね。

 快適なグリーン車での乗り鉄旅を楽しむこと約2時間、豊橋に到着です。振り返ると「D51復活35周年水上号」の牽引機が急遽変更されるという想定外の事態はあったものの、計画した旅行行程どおりに今回の旅を終えることができ、ホッと一安心といった感じです。

 

乗車券類の紹介

 いつものとおり、今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類をまとめて紹介します。

 豊橋↔東京間はJR東海ツアーズの乗車票です。片道あたり900円を追加すればグリーン車を利用できるため、ついつい贅沢をしてグリーン車に乗車してしまいます。東京→高崎と高崎→東京は、新幹線eチケットを利用し、高崎↔水上間は往復乗車券を購入しました。どちらでもいいようなことですが、東京―水上間の場合、高崎など途中駅で分割した方が運賃が安くなるようです。

 SL車内では、車掌さんが検札を実施されており、券面に専用のチケッターを押印してくださいました。今回はC61形が牽引機を務めたため、チケッターもC61用のものになっています。「D51復活35周年水上号」にC61専用のチケッターの押印は、貴重な組み合わせになったと思います。

 今回も長々と乗り鉄旅を紹介しました。季節はいよいよ冬になります。気温も下がって風も冷たい時期となりますが、寒さに負けず、仕事も乗り鉄旅も頑張っていこうと思っています。

VISONに行ってきました

 僕はこれまでの乗り鉄旅で、鉄道に乗車するだけでなく、お目当てのお店でのランチやスイーツなどを旅行行程に組み入れたグルメ旅も楽しんでいますが、そのほかに温泉などの入浴施設を利用することも好きです。過去には、289系「こうのとり」に乗車して城崎温泉に、HC85系「ひだ」に乗車して下呂温泉、681系「しらさぎ」に乗車して芦原温泉に、そして651系草津」に乗車して草津温泉に立ち寄るなど、日本でも有数の温泉地をいくつか訪問しています。中には、昼間から入浴するのは苦手だという方もいらっしゃるようですが、夏場であれば汗を流してさっぱりできますし、冬場であれば身体の芯まで温まってホカホカしながら過ごすことができるため、僕は日中に入浴することも旅先での楽しみのひとつとしています。

 最近は温泉地に限らず、街中にも大型スパ施設があったり、郊外の商業リゾート施設に併設されていたりと、様々な形で入浴を楽しむことができる施設が増えてきました。そんな中、僕が以前から行ってみたいと思っていたのが、三重県にあるVISONです。VISONは2021年4月にオープンした日本最大級とも言われている商業施設で、産直市場やホテルなどの宿泊施設、ランチからディナーまで幅広く堪能できるレストランなどがあり、さらには、木や森をテーマにした体験・体感型施設や薬草湯を体験できる入浴施設などもあります。遊びや癒し、そしてグルメがすべて集結した一大商業施設で、その敷地面積は何と東京ドーム24個分にも相当するという巨大なものです。

 実は愛知県からVISONに行く場合、名古屋(名鉄バスセンター)から新宮行きの高速バスを利用すれば、約1時間40分で到着できます。また、VISONはETC専用のスマートICと直結しているため、自家用車での移動も便利です。しかし僕はやはり乗り鉄なので、あえて鉄道を利用することにしました。鉄道を利用する場合、JR紀勢本線の栃原駅が最寄り駅となりますが、この駅は普通列車しか停車しない上に運転本数も非常に少なく、現実的ではありません。また、栃原駅からVISONまでは徒歩で30分以上かかりますし、VISONに行くための路線バスもありません。一方、松阪駅であれば、VISON行きの路線バスが発着しており、快速「みえ」や特急「南紀」、また賢島や伊勢方面に向かう近鉄特急も停車します。そこで今回は、名古屋―松阪間で鉄道を利用し、松阪―VISON間で路線バスを利用することにしました。後は鉄道区間でJR線を利用するか近鉄線を利用するかですが、ちょうど近鉄に「VISON往復きっぷ」という企画乗車券があり、路線バスも含めておトクに利用できそうだったので、近鉄を利用することにしました。

 それでは、VISON初訪問となる今回の旅を紹介していきたいと思います。

 

 

近鉄名古屋駅から伊勢志摩ライナーに乗車

 早速ですが、今回の旅の始まりとなる近鉄名古屋駅です。近鉄名古屋駅頭端式ホームの4面5線構造で、1番線は普通、2番線は準急、3番線は急行、4番線と5番線は特急となっています。僕が乗車する特急列車は5番線から発車するため、改札を通って5番線ホームに向かいました。ホーム上には、観光列車を含む現役の近鉄特急を描いたパネルが掲出されていました。

 こうして見ると、僕は一応、パネルに描かれている9種類の車両にはすべて乗車しています。ただし、16200系「青の交響曲(シンフォニー)」と26000系「さくらライナー」には1回だけしか乗車したことがないので、もう一度乗車してみたいところです。

 ところで今回は、松阪駅まで近鉄特急に乗車するわけですが、近鉄名古屋―伊勢志摩を結ぶ特急は『名伊特急』と呼ばれており、その車両は、いわゆる汎用特急のほか、アーバンライナービスタカー伊勢志摩ライナーなどが充当されています。僕は今回、時間的にちょうど都合がよい、近鉄名古屋駅を9時10分に発車する特急を利用することにしました。車両は23000系「伊勢志摩ライナー」で賢島行きです。

伊勢志摩ライナーの愛称で呼ばれている23000系:近鉄名古屋駅 2023/10/27

 僕が乗車する「伊勢志摩ライナー」が5番線に入線する直前には、隣の4番線に名古屋止まりの「伊勢志摩ライナー」が到着しました。ほどなくして5番線に賢島行きの「伊勢志摩ライナー」が到着すると、両番線に同じ赤色の「伊勢志摩ライナー」が並ぶこととなり、僕以外にもその様子を写真に収めている方がいました。

 近鉄名古屋発の「伊勢志摩ライナー」は、6号車を先頭にして3号車までがレギュラーシート、2号車がグループ利用のサロンシート、そして最後尾の1号車がデラックスシートになります。レギュラーシートかデラックスシートどちらにしようか少し悩みましたが、1人掛け座席にちょうど空席があったので、デラックスシートにしました。今日は平日で、しかも名古屋を9時台に発車する特急ということで、それほど混雑しないかと思いきや、レギュラーシートやサロンシートも含めて、車内はほぼ満席でした。これにはちょっとビックリです。指定された座席に座って車内を見渡すと、乗客の多くは観光客のようです。気候もいい時期となったので、旅行で伊勢や鳥羽に行かれる方が多いんでしょうか? そんなことを考えていると、列車は定刻に名古屋駅を発車しました。『名伊特急』は近鉄名古屋大阪難波間を結ぶ『名阪特急』と比べると停車駅が多く、桑名、四日市、白子と三重県内の主要駅に次々と停車しながら一路南下して行きます。三重県の県庁所在地である津に停車したあとは伊勢中川で、その次に停車するのは僕が下車する松阪です。名古屋から約1時間ということで、遠すぎず近すぎず、乗り鉄気分を味わうことができる乗車時間です。

 久しぶりに「伊勢志摩ライナー」に乗車したので、ちょっと車内探検をしがてら写真を撮影してみました。

 「伊勢志摩ライナー」の先頭車両は「アーバンライナー」と同様、パノラマデッキを備えており、運転席越しに前面展望を楽しむことができるようになっています。ただし、パノラマデッキという名称のとおり、前面展望を楽しむことができるのはデッキからで、「ひのとり」や「しまかぜ」のように座席に着席しながら展望を楽しむことはできません。僕は最後尾の1号車に乗車したので、少しの間、後方展望を楽しもうとデッキに移動しましたが、車掌さんが仕事をされているのをジロジロ見ていると思われるのも嫌だったので、長居はしませんでした。

 「伊勢志摩ライナー」の車内には、Sea Side Cafe(シーサイドカフェ)というスペースがあります。カウンターがあり、ひょっとしたら以前はここでドリンクやお弁当などを販売していたのかもしれませんが、現在は特に使用されていないようです。パノラマデッキ同様、ちょっとした気分転換の際に車窓を眺めながら過ごすのもいいかもしれません。

 ちなみに僕が利用した座席と、その座席から見た車内の様子はこんな感じです。モケット柄はベージュ色で、デラックスシートらしい落ち着きのある車内空間となっています。座席はもちろんリクライニングシートで、フットレストやモバイルコンセントも用意されています。1人掛け座席だと相席になることがなく、隣の方が気になることもないため、松阪まで快適な乗り鉄旅を楽しむことができました。

 上の写真は、松阪駅到着時に撮影した「伊勢志摩ライナー」です。僕の中で「伊勢志摩ライナー」のイメージカラーは黄色ですが、赤色は数ある近鉄特急の中でも新鮮な感じがしますし、なかなかカッコいいですね。

 

VISONを訪問

 松阪駅で賢島行きの「伊勢志摩ライナー」を見送り、改札を出て駅前にあるバス乗り場に向かいます。松阪駅には、近鉄側改札のある北口と、JR側改札のある南口があり、一瞬、どちらの改札に向かえばいいのか迷ってしまいました😰 初めて利用する駅でバスに乗車する際には、事前にバス停の位置と最寄りの改札口を調べておくべきですね。ちょっと焦っちゃいました。無事に改札口を出たところで、バスの発車時刻まで少し余裕があったため、松阪駅の駅舎をパシャリ📸

 ここから三重交通のバスに乗車してVISONに行きます。松阪駅前↔VISON間の移動は路線バス乗車を利用しておよそ40分で、なかなか乗りごたえがあります。電車に乗車する40分はあっという間ですが、路線バスだと長く感じるのは、なぜでしょうか? 乗車したバスは平日ということで乗客が少なく、VISONで下車したのは僕一人だけでした。

 VISONのバス停で下車してから少し歩くと、真正面にHOTEL VISONの特徴的な建物が見えてきました。バス停のあるエリア(アトリエヴィソン/スウィーツヴィレッジ)からHOTEL VISON側に移動するためには、まほろ橋と呼ばれる歩道橋を渡ることになりますが、橋の上からスウィーツ前広場を眺めると、まるで絨毯のような美しい緑が広がっています。

 VISONの園内を歩いていると、ペットを連れた方や車イスを利用されている方をよく見かけます。どうやらVISONの敷地内はペットがOKのようで、犬を散歩させながら園内の散策を楽しまれている方もいるようです。また、敷地内には一部に段差や高低差があるものの、緩やかなスロープ状の通路が整備された箇所もあるため、車イスでも比較的利用しやすいようになっています。また、健常者にとってもありがたいことに、高台にある本草エリアに向かう際には、屋外に設置されているエスカレータを利用することができるため、僕のような体力のない人間でも、ラクに移動することができるようになっていました。

笠庵 賛否両論で昼食

 さて、バス停から本草エリアまで移動してきた訳ですが、何故ここに来たのかと言えば、「笠庵 賛否両論」という日本料理のお店で昼食をいただくためです。「笠庵 賛否両論」は和食の笠原将弘シェフがプロデュースする日本料理レストランで、僕も以前からその名前くらいは聞いたことがありました。VISONを訪問しようと計画した際、どこか昼食にいいお店はないかとインターネットで調べたところ、「笠庵 賛否両論」が出店していることを知り、一度食べてみたいと思っていたので、今回利用することにしたものです。

 ちなみに「笠庵 賛否両論」は本草エリアにある本草湯が入った建物の中にあり、初見ではどこに店舗があるのか、とてもわかりにくいです。僕もここでいいのか?と迷ってしまいました。

 上の写真にある建物の右端部分が「笠庵 賛否両論」です。ちなみにこの建物は土足禁止となっているため、建物入口でまずは靴を脱がなくてはいけません。そして建物内を進むと、「笠庵」と書かれた暖簾が見えてきます。

 平日の少し早い時間ということで、待ち時間なく入店することができました。しかし、12時くらいになると観光バスで来た40人近い団体客の利用があったため、店内は一気に賑やかになりました。と言ってもまだ空席があったので、やはり平日であれば利用しやすいようです。

 入店後、メニューを見ながら何を注文しようかとちょっと悩みましたが、店員さんがおすすめする1日限定10食の『東紀州御膳』を注文しました。限定という言葉にはめっぽう弱い方です…

 見た目にも美しい御膳で、どれも美味しそうなものばかりです。色々な種類の料理が少しずつ何種類もいただけるのがいいですね。メインの焼八寸、揚物、蒸物、小鉢3種、鯛めしや赤だしの食事と、みかんを使ったゼリーもあります。使われている食材は東紀州産にこだわっているのでしょうかね。焼八寸の切り身魚も美味しい味付けでしたが、揚物の海老真丈が絶品でした。時間的にも余裕があり、ゆっくり時間をかけていただくことができ、今回も大満足の昼食となりました。

本草湯で入浴

 お腹を満たしたところで、次は同じ建物内にある本草湯で入浴を楽しむことにしました。ちなみに、本草湯ではレンタルでタオルの貸出しを行っているため、手ぶらでも入浴可能です。僕も今回は、事前にタオル類を用意していなかったので、貸出しのタオルを利用することにしました。

 受付で料金を支払ってタオルを受け取り入場すると、上の写真のような、とてつもなく広い湯上がりスペースが現れます。しかも竹をモチーフにしたようなオブジェが天井近くまで高くそびえており、まるで竹林の中に身体を置いているような感覚になります。小上がりの床は畳敷きで、ここで寝っ転がれば気持ちいいこと間違いありません。まさに癒やしの空間です。とは言ってもまだ入浴前なので、ここは素通りしてそのまま脱衣場に向かいました。

 男湯の暖簾をくぐると、脱衣場だけでなく、内湯も外湯も誰もおらず、僕だけの貸切状態でした。これだけ大きな浴場を独り占めできるのはもちろんうれしいですが、人がいなさすぎてかえって落ち着かないような気もします。本草湯には2種類の湯(水鏡の湯と光陰の湯)があり、それぞれに外湯と内湯があります。この「水鏡の湯」と「光陰の湯」は毎日男女が入れ替わりになっているようで、この日は「水鏡の湯」が男湯でした。薬草湯ということですが、それほどクセのある感じはなく、マイルドでやわらかなお湯といった感じです。外湯と内湯、ともに新しくて清潔感もあり、特に外湯は緑の山々を眺めながら入浴することができて気持ちいいものでした。普段は、どちらかといえば入浴時間が短めの僕ですが、内湯→外湯→内湯→外湯とはしごしてしまい、ついつい長湯してしまいました。

 入浴後は、先ほどの湯上がりスペースでぼーっとしながらひと休みです。広くて静かな空間に一人で佇んでいると、時間の流れが止まってしまったかのような不思議な感じがしてきます。何も考えずにただそこにいるだけで、心が落ち着いて来るのが分かります。本草湯では、本当に素敵な時間を過ごすことができました。

Confiture H (コンフィチュール アッシュ)でスイーツ

 本草湯を後にして、せっかくなのでVISONの敷地内を色々と散策しました。地図を見ると、さらに進んだところにオーガニック農園などの施設があるようですが、かなり距離がありそうだったので、サンセバスチャン通りや和ヴィソンエリアなどを見て回りました。

 先ほど下車したバス停側にもいつくかお店があるようだったので、まほろ橋を渡ってマルシェヴィソンエリアも見学しました。

 そしていつものように、VISONでもスイーツをいただくことにしました。ちょうどスウィーツヴィレッジと呼ばれるエリアにチョコレートやケーキを取扱うお店があり、今回はこれらの中からスイーツカフェの「Confiture H(コンフィチュール アッシュ)」を利用することにしました。ちなみにお店の外観は、こんな感じです。

 見た目では、スイーツカフェらしい感じがしませんが、正真正銘のカフェです。そしてこのお店は、パティシエとして有名な辻口博啓氏のパティスリーということで、味だけでなく、地産地消にこだわりを持った素材を使用しているのだそうです。また、見た目の美しさやその香りに至るまで、厳選された魅力あふれるスイーツ類が提供されるということで、自ずと期待も膨らみます。

 入店してショーケースの中に置かれたケーキを見ていると、その一つ一つが芸術作品のようで、どれにしようか本当に迷いました。迷い抜いた結果、プランセスというカシスのケーキに決めました。

 ご覧のとおり、見るからに美味しそうなケーキです。せっかくなので、一緒にりんごジュースも注文しましたが、ケーキとドリンクがよく合います。食レポは苦手な僕なので、詳細な表現はできませんが、上品でありながら味は濃厚でバランスがよく、このまま何個でも食べられるような感じです。贅沢してるな〜と自分でも感じながら、至福のひとときを過ごすことができました。

 この後は往路と同じく、路線バスに乗車して松阪駅に戻りました。帰りのバスも乗客が少なく、始発のVISONから乗車したのは僕一人でした。前のところで、VISONはペット連れの方も多いと書きましたが、そもそもVISONに来られる方の大半は自家用車なんでしょうね。

 

伊勢中川駅から汎用特急に乗車

 乗車した路線バスはほぼ定刻に松阪駅に到着しました。ここからは再び近鉄線を利用して名古屋に戻る訳ですが、ちょっと訳あって、松阪から伊勢中川までは急行列車を利用し、伊勢中川から近鉄名古屋まで特急を利用します。もちろん、松阪駅から特急に乗車することもできるのですが、たまたま近鉄のインターネット予約・発売サービス内のポイントが約1,200ポイントあり、これを特急券に交換して乗車しようと考えたからです。僕が保有していた約1,200ポイントでは、松阪―近鉄名古屋間の特急券に交換することはできませんが、これよりも距離が短い伊勢中川―近鉄名古屋間であれば、特急乗車区間が80km以内となり、ポイントの範囲内で特急券に交換することができるという訳です。一部のポイントが失効してしまう前に利用できてよかったです。

 ということで、まずは松阪から伊勢中川に移動します。改札を入ってホームに向かうと、ちょうど大阪難波行きの急行列車が入線してきたところでした。これに乗車して、特急乗車駅である伊勢中川に移動しました。伊勢中川駅で特急列車の到着を待っていると、名古屋行きの汎用特急が入線してきました。

近鉄の汎用特急である12400系:伊勢中川駅 2023/10/27

 僕としては、ACE(22000系)かAce(22600系)に乗車したいなと思っていましたが、結果としては12400系となりました。以前の汎用特急やビスタカーは、オレンジと紺の2色で塗装されており、これが近鉄特急を代表するカラーリングとして親しまれてきましたが、現在の新しい塗装は、クリスタルホワイトを基調としてブライトイエローが配され、ゴールドのラインが引かれたものとなっています。

 乗車中の車内の様子です。伊勢中川発車時点では、多くの窓側座席が埋まるくらいの乗車率でした。この後、津、白子、近鉄四日市、桑名、近鉄名古屋の順に停車していきますが、このうち津駅でたくさんの乗車があり、通路側座席もほとんどが埋まるくらいとなりました。乗客の方を見ると、往路とは異なりスーツ姿の方が多く、ビジネスでの利用と思われる方が目立ちました。そしてちょっと驚いたのが、近鉄四日市駅でも多くの乗車があったことです。自分が近鉄特急を利用するのは主に旅行時で、普段使いしていないため知らなかったのですが、時間帯によっては、短区間での利用がそれなりにあるんですね。

 12400系は車齢を重ねた車両ということで、正直に言って車内設備もACEやAceと比べると見劣りしてしまいますが、清掃などのメンテナンスが行き届いているようで、清潔感に欠けるようなことは全くありません。さすがは近鉄特急です。さらに座席のモケットは鮮やかなブルーで、車内も明るい感じにまとめられています。ちなみにこの座席、小田急ロマンスカーと同じで座席間に肘掛けがありません。座席幅が広く感じられるメリットもありますが、他の乗客と相席になる場合には、肘掛けで座席を区切りたい場合もあると思います。僕としても、どちらかといえば肘掛けがあった方がありがたいですね。

 往路と同じく約1時間の乗車で、無事に近鉄名古屋駅に到着しました。先頭車両の行先表示幕は、すでに回送になっています。今回は往復で異なるタイプの特急列車に乗車でき、充実した楽しい乗り鉄旅となりました。

 

乗車券類の紹介

 それでは、今日の乗り鉄旅で使用した乗車券類を紹介します。まずは発車直前に近鉄名古屋駅の窓口で購入した「VISON往復きっぷ」です。

 実際には往復乗車券のほか、松阪駅前↔VISONのバス乗車券、VISONの対象施設で利用できる10%割引券(3枚)、本草湯の入浴割引券がセットになっています。なお、この企画乗車券には特急料金は含まれていないので、特急列車を利用するには別に特急券を購入する必要があります。

 往路で「伊勢志摩ライナー」に乗車した際の特急券です。いつものようにインターネット予約・購入サービスを利用して手配したものを駅の窓口で換券してもらいました。そして復路では汎用特急に乗車しましたが、こちらはポイントを交換して利用したため、紙の特急券はありません。

 今回は、VISONを訪れる乗り鉄旅の様子を紹介させてもらいました。食事も入浴もスイーツもすべて楽しめる施設で、さらに近鉄特急にも乗車するという、僕にとっては理想的なお出かけとなりました。気づけば早いもので、今年も残すところ約2か月です。引き続き、楽しい乗り鉄旅を計画していきたいと思います。

大阪“グルメ”旅に行ってきました(今年3回目)

 最近はようやく残暑も収まり、朝夕は涼しく過ごしやすくなりました。一般的には、秋に向けて徐々に暑さが和らいでいくものだと思うのですが、今年はわずか数日のうちに気温が急激に低下したような印象があります。10日前まで暑さに閉口していたにも関わらず、最近はこたつがあってもいいかなと思う日もある程です。日本では、日常生活の中で春夏秋冬を感じることは当たり前のことだと考えがちですが、近年はこうした四季の移ろいが感じにくくなったような気がします。

 前置きはこれくらいにして、今回は秋の乗り鉄旅第1弾ということで、今年3回目となる大阪“グルメ”旅に行ってきました。最近は、自分でも大阪に行く機会が多いなと思っていますが、3連休を利用してどこかに出かけようと思ったときに、僕の中で大阪が思いついたということで、あまり深い意味はありません。そして前々回と前回の大阪旅行に続き、今回もグルメ中心の旅を計画しました。健康診断の結果、コレストロール値が気になるところですが、まあ何とかなるでしょう。食欲の秋ということで、観光だけでなくグルメも楽しんできましたので、いつものようにその内容を紹介したいと思います。

 

 

名古屋駅から東海道新幹線に乗車

 いつものように名古屋までは名鉄線を利用し、名古屋駅から東海道新幹線に乗車します。9月下旬に九州乗り鉄旅に出かけたところですので、約2週間ぶりになります。今日は天気もよく気候も穏やかで、絶好の乗り鉄日和です。天気予報によると、3連休のうち日曜日と月曜日は雨の可能性があるようなので、出発日として土曜日を選んで正解でした。名古屋駅にはちょっと早めに到着しましたので、旅のスタートに桜通口側から見た駅舎をパシャリ📸

 そのまま中央コンコースを抜けて新幹線改札口に向かいますが、3連休初日ということもあってか、名古屋駅は非常に混雑しています。高島屋側にある金時計は、名古屋駅での定番の待ち合わせ場所となっていますが、多くの方々で賑わっていました。そして名古屋駅にはもう一つ、有名な待ち合わせ場所として知られている銀時計がありますが、この付近も人が多く、学生さんと思われる団体やツアー旅行に出かけられるであろうグループの方が出発を待っておられました。

 少し早いですが、新大阪方面の下り線ホームに移動しました。改札口の前と比べるとホームはそれほど混雑していませんが、大きなキャリーケースを持った方が多くいらっしゃいます。3連休ということで、九州など遠方に出かけられる方が多いのかもしれません。

 僕は今回、新大阪行きの「ひかり」に乗車します。「ひかり」ではありますが、名古屋から新大阪までの各駅に停車するため、実質的には「こだま」と変わりありません。新大阪までの乗車時間は約1時間10分で、50分を切る「のぞみ」と比較すると時間がかかりますが、特に時間を気にする旅ではないので、まったく気になりません。

東海道新幹線で活躍しているN700系名古屋駅 2023/10/7

 16番線に停車中の車両と入線中の車両をそれぞれ撮影しました。上の写真は僕が実際に乗車した「ひかり」ですが、下の写真はひとつ前に発車した「のぞみ」です。名古屋駅での撮影は、どうしてもホームの安全柵が被ってしまいますが、雰囲気ということでご理解ください。

 「ひかり」631号は後続の「のぞみ」5号に先を譲り、名古屋駅を発車しました。次の停車駅である岐阜羽島で6分停車して後続の「のぞみ」に追い越され、さらに米原でも9分停車して「のぞみ」に先を譲ります。こうして各駅停車の新幹線に乗車していると、「のぞみ」の運転本数の多さをあらためて感じるとともに、東京―新大阪間の膨大の輸送量にも驚かされるばかりです。

 今回はグリーン車を利用しました。これまで東海道新幹線に乗車した際、東京や新横浜まで乗車するときにはグリーン車を利用したことがありますが、名古屋―新大阪という比較的短区間グリーン車を利用するのは初めてです。新大阪行きの「ひかり」のグリーン車ということで乗客は多くなく、静かな落ち着いた空間で乗り鉄旅を楽しむことができました。やっぱりグリーン車には、追加料金を支払うだけの十分な価値があります。

水陸両用バスに乗車する「大阪ダックツアー」に参加

 東海道新幹線を新大阪で下車し、大阪メトロ御堂筋線谷町線を乗り継いで、天満橋に向かいます。大阪には「○○橋」という名前の地名がたくさんあり、僕のような慌てん坊は気を付けないと間違えてしまいそうです。天満橋駅から歩いてすぐのところに「川の駅はちけんや」という施設があり、今回はここから水陸両用バスに乗車する「大阪ダックツアー」に参加します。

 水陸両用バスを使用したダックツアーは日本各地にあり、僕も以前、お台場や横浜で同様のツアーに参加したことがあります。ときにはバスとして公道を走行し、そしてときには船舶として川や海上を航行するという、何とも珍しい乗り物です。どうしてバスのような重量のある乗り物が水に浮くのか、なぜエンジンや車内に水が入り込まないのか、僕の小さな頭では到底理解できませんが、とにかくスゴイ乗り物だということは分かります。そして乗客は、陸上を走行していたバスがそのまま海や川に入っていくという、まるでテーマパークのアトラクションのような感覚も楽しむことができるわけですが、そんな水陸両用バスに乗車できるダックツアーが大阪にもあることを最近知り、今回の旅行で乗車してみることにしました。

 上の写真は、大阪ダックツアーが発着する「川の駅はちけんや」です。「道の駅」という施設は最近よく聞きますが、「川の駅」というのは初めて知りました。この「はちけんや」は、水都大阪の交流拠点として誕生した、関西初の常設となる川の駅なんだそうです。

 僕は今回、10:45発の第2便に乗車します。僕は事前にWebページから予約しておいたのですが、「はちけんや」の階下にある窓口で受付を済ますと、すでに2便は満席となっていました。最近は訪日外国人も徐々に増加し、インバウンド需要も順調に回復してきているようですので、そういった影響があるのかもしれませんね。

 こちらが今回乗車する水陸両用バスです。見た目はかなりゴツイ印象で、バスにも船にも見える外観です。迷彩色に塗装すれば、自衛隊の車両にもなりそうな感じです。車体には、大阪観光シンボルキャラクターである「関ジャニ∞」が大きく描かれています。例の問題でジャニーズのタレント起用には色々と意見があるようですが、大阪府の吉村知事は、大阪・関西万博のPRに引き続き「関ジャニ∞」を起用する方針のようですね。

 そして車内は、青色のベンチタイプの座席がずらりと並んでいます。座席幅は通常の路線バスと同じくらいで、シートピッチも決して余裕があるとは言えません。まあ、乗り心地や快適さを追求したバスではありませんからね。

 ちなみに車内の座席はすべて指定されており、乗客側から座席位置を希望することもできません。前の方になるのか後ろの方になるのか、そして窓側になるのか通路側になるのかもすべて運次第です。せっかくなので景色を見やすい窓側に当たることを期待しつつ乗車すると、希望どおりに窓側の座席でした😊 しかも車両中央にある非常出口付近の座席ということで、前席との間隔がめちゃくちゃ広いです。おそらく40席ある座席の中で一番のアタリ席と言っていいでしょう。Webページから事前に予約しておいたことが功を奏したのか、それとも当日早めに受付を済ませたことがよかったのか分かりませんが、強運に恵まれました。

 バスは予定どおりに「川の駅はちけんや」を出発しました。旧大阪市公館前を通って桜宮公園に向かいます。車両にガラス窓がないので写真撮影には向いていますが、手や顔を車外に出さないよう注意しなくてはいけません。

 入水ポイントがある桜宮公園に到着しました。ここでバスの運転士さんから船の船長さんに交代します。そしていよいよバスは大川へとダイブ🌊します。やっぱりこの瞬間が一番盛り上がりますね。車内でも歓声が上がっていました。

 川の水位によっては、普段とは異なるサブルートで運行される日もあるそうですが、今日は通常ルートでの運行です。ほどなくして進行方向右手に造幣局が見えてきました。川岸よりも低い視点から眺めることになるため、建物が木の陰に隠れてしまい、ちょっと見づらいです😓

 そして天満橋の下も通過します。普段は橋を渡る時に特に意識はしませんが、水上から見上げると巨大な構造物だということがよく分かります。

 水上から「川の駅はちけんや」が見えてきたら、そろそろ折り返しです。こうして眺めてみると、川幅がかなり広いですね。高層ビル群に囲まれて水都大阪を感じる風景です。

 桜宮公園に戻って、先ほどダイブしたポイントから上陸します。ここからは再び陸上を走行するバスとして大阪中心街を周遊し、「川の駅はちけんや」に戻ります。走行中の車内からは、関西テレビの社屋や天神橋筋商店街大阪市役所、日本銀行大阪支店の各庁舎などを見ることができました。

 

とんかつepaisでヘレカツ

 バスを下車したところでちょうど正午になり、次は昼食をいただくことにしました。午後に梅田である人と会う約束になっていたので、天満橋から梅田に移動し、梅田にあるお店でランチを楽しむことにします。実は、ちょっと前から次に大阪に行く機会があれば是非とも立ち寄りたいと思っていたお店があり、それが今回初めて訪問する「とんかつepais(エペ)」さんです。その名のとおり、とんかつをメインに提供されているお店で、本店は北新地にありますが、梅田の阪神百貨店地下2階にある阪神バル横丁にも出店されています。僕は、梅田に近い阪神百貨店の方を利用することにしました。

 本店もそうですが、かなりの人気店ということで、平日でも入店待ちの行列ができるんだそうです。相当の混雑も覚悟してお店に向かったところ、やはり入店を待つ方が数名、店先に並んでいました。どのくらいの待ち時間になるか分かりませんでしたが、今回はどうしてもこのお店でとんかつをいただきたかったので、最後尾に並びました。思ったように列は進みませんが、40分くらい待ったところで席に案内されました。店員さんが気を利かせて事前にメニューを配りながら注文も受けてくれていたため、席についてからしばらくすると、それほど待たずに提供されました。今回いただくのは、一度は食べてみたいと思っていた特選ヘレカツです。

 豚のヒレ肉を使ったカツは一般的に「ヒレカツ」と言われていますが、大阪では「ヘレカツ」と呼ばれているようです。「ヒレカツ」自体はもちろん僕も食べたことがあり、特に珍しいものではありませんが、epaisさんでは低温調理によるレアな状態の「ヘレカツ」が提供されます(もちろん中まで火が通っています)。僕はこれまで低温調理された「ヘレカツ」を食べたことがなかったので、一度食べてみたいと思っていました。

 上の写真のとおり、お肉の断面の色艶が最高です。ソースをつけていただくこともできますが、オススメは右下にあるボルチーニ塩で、この塩がお肉の旨味を一層引き立ててくれます。肉質はしっとりとしていますが非常にジューシーで、こんな食感の豚肉をいただくのは初めてです。いつも行列ができる人気店というのも納得です。

 

夜パフェ専門店Parfaiteria PaL心斎橋でパフェ

 梅田での用事を終えた後、もう一度、大阪メトロ御堂筋線で心斎橋に向かいました。ところで皆さんは、「夜パフェ」というものをご存じでしょうか? 僕はつい最近まで知りませんでした。何でも、お酒や食事を楽しんだ後に1日の締めとしていただくパフェのことなんだそうです。インターネットで調べると、夜パフェの発祥は札幌のようですが、最近は各地に夜パフェを提供するお店があるようで、大阪・心斎橋にもParfaiteria PaLという夜パフェ専門店があります。僕の大阪グルメ旅では、これまで「クレープリー・アルション」や「幸せのパンケーキ」などを訪れてデザートを楽しんでいますが、今回もやはりスイーツは欠かせないということで、Parfaiteria PaLさんにお邪魔し、夜パフェをいただくことにしました。

 Parfaiteria PaLさんは心斎橋にある商業ビルの3階で営業しています。ビル入口付近に置き看板がありますが、一見するとスイーツを提供する飲食店があることに気が付きません。僕も最初はこれを見落とし、店舗前を素通りしてしまいました。

 今日は土曜日ということで夕方16時からの営業です。夜パフェにはちょっと早い時間ですが、15時50分くらいにエレベーターで3階に上がると、店舗前にはすでに開店を待つ方々の行列ができていました。僕は事前に電話予約しておいたので、行列に並ばなくても確実に入店できます。ほどなくして開店し、予約してある旨を告げると1番に店内に案内されました。

 窓際の席に着席してメニューを見ると、パフェ単体とパフェにドリンクの付いたセットがありました。ちなみにパフェは6種類で、時期によって内容が変わるようです。どのパフェも魅力的でちょっと悩みましたが、今回はシャシンマスカットが盛り付けられた『ぶどう農林21号』というパフェと、ブラッドオレンジジュースのセットを注文しました。

 ちょっと変わったネーミングのパフェですが、全体でシャインマスカットの房をイメージして飾り付けられています。シャインマスカットの葉はジェラート抹茶のラングドシャ、ヘタは飴細工で作られています。ちなみにジェラートには日本酒の大吟醸ジュレには白ワインが使用されており、アルコール分を含む大人のパフェとなっています。他にもゼリーやムース、フロマージュなど、新鮮なシャインマスカットと相性の良い食材がふんだんに使われており、非常に贅沢なパフェです。もちろん見た目にも美しく、ほとんどの方は自身が注文したパフェを写真に収めていました。心も豊かになる一皿をいただくことができ、いつも以上に大満足のデザートとなりました。

 

ぼてぢゅうで2色とん玉

 新大阪駅に戻ってきました。今回の旅行は、全体的に時間に余裕のある行程にしたため、乗車予定の新幹線の発車時刻まで、まだ2時間近くあります。ちなみに夕食は駅でお弁当を購入し、車内でいただこうと思っていたのですが、新大阪駅構内をぶらぶらしていると、「元祖お好み焼き ぼてぢゅう」さんを見つけました。夕食にはちょっと早いですし、先ほど夜パフェをいただいたばかりだったので一度は素通りしたのですが、店頭にあったお好み焼きやモダン焼きのサンプルに惹きつけられ、思わず入店を待つ列の最後尾に並んでしまいました。誘惑にはめっぽう弱い男です。

 少し待って席に案内されました。メニューは豊富で、どれにしようか迷いに迷ってしまいましたが、ここは一番最初に目に留まった「2色とん玉」を注文しました。ぼてぢゅうさんでは、豚肉入りのお好み焼きを「とん玉」と呼んでおり、2色とん玉は、ソースにかつお節がかけられたものと、旨味醤油タレに九条ねぎがのせられたものが、それぞれ半分ずつ提供されるため、一度に2種類の味を楽しむことができます。オリジナルマヨネーズも添えられており、食べごたえも十分です。最初予定していたよりも早い時間に夕食をいただくことになりましたが、美味しいものはいくらでもお腹に入っていきますね。本当に今日は、よく食べました😋

 

新大阪駅から東海道新幹線に乗車

 楽しい時間が過ぎるのは早いもので、そろそろ帰路に着きます。今まで何度も新大阪駅を利用していますが、乗り換えでの利用がほとんどで、駅舎外から新大阪駅の姿を眺めたことはほとんどありません。今回は時間に余裕があったので、無事に旅を終えられるように願ってパシャリ📸

 少し早い目に新幹線ホームに移動しました。復路で乗車するのは往路と同じく「ひかり」です。往路の「ひかり」は名古屋ー新大阪間が各駅停車となる実質「こだま」でしたが、復路で乗車する「ひかり」は名古屋までの間に京都にのみ停車するタイプで、所要時間も往路より15分以上短くなります。発車は26番線ですが、僕が乗車する「ひかり」520号の入線直前まで新大阪止まりの「のぞみ」が停車していました。

 土曜日の夕方ということで車内は混雑するかと思っていましたが、少なくとも僕が乗車していた号車については、予想していたよりも空席が多かったです。新大阪から上りの新幹線に乗車される方ですと、東京や新横浜、それに名古屋に向かう方が多いでしょうから、やはり「のぞみ」を利用されるパターンが圧倒的に多く、停車駅が少ないタイプと言えども「ひかり」を利用される方は少ないのかもしれません。

東海道新幹線で活躍しているN700系新大阪駅 2023/10/7

 上の写真は、僕が乗車した「ひかり」ではなく、それ以前に26番線に入線してした列車を撮影したものです。いつ見ても、どの角度から見てもN700系はかっこいいですね。「ひかり」520号は定刻に新大阪を発車し、無事に名古屋に到着しました。ちなみに復路で利用したのは普通車指定席です。往路はグリーン車を利用したので、往復でそれぞれの座席種別を楽しむことができました。

 

乗車券類の紹介

 今回もいつものように、名古屋ー新大阪間の東海道新幹線での移動にJR東海ツアーズの日帰り旅行商品を利用しました。実際に使用した乗車票は次のとおりです。

 上2枚は往路で、下2枚は復路で使用したものです。すでに紹介したとおり、往路ではグリーン車を利用していますが、これは旅行商品を購入する時点で普通車がすでに終売となっていたため、グリーン車としました。後から落ち着いて考えれば、JR東海ツアーズ以外の旅行商品(例えば日本旅行JTBなど)の利用も検討すべきでした😓 まあ、正規運賃や特急料金と比べて割安で乗車できた訳ですから、これはこれでよしとします。ちなみにこの乗車票は大阪駅まで利用できますが、新大阪で途中下車することができます。大阪市内発着の通常の乗車券では、ゾーン内の駅で途中下車できませんので、そういった意味では、通常の乗車券よりも使い勝手がいいものとなっています。

 以上、今回の大阪グルメ旅の紹介でした。次回以降も僕の乗り鉄旅をお伝えしていきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いします🙇

2つの観光列車に乗車する南九州乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 今回は鹿児島中央駅近くにある「ホテルタイセイアネックス」に宿泊します。特にこのホテルにこだわりがあった訳ではなく、JR東海ツアーズの旅行商品の中から、鹿児島中央駅に近いホテルを適当に選びました。客室はバス・トイレ付きですが、男性に限りホテルの大浴場とサウナを利用することができます。大浴場好きの僕にとってはありがたいことで、もちろん大浴場を利用しました。足を伸ばして大きな浴槽に浸かることができ、とても気持ちよかったです。

 ちなみにこのホテルでは、朝食付きプランも用意されており、追加料金を支払えばバイキング形式の朝食をいただくこともできますが、今回は出発時刻が早いため、朝食なしのプランを利用しました。朝食は、コンビニでサンドウィッチを飲み物を購入し、車内でいただくことにします。

 

 

23日の旅行概要

 それではここで、2日目(23日)の旅行行程を紹介します。

 まずは鹿児島中央から宮崎に向かいます。利用するのは特急「きりしま」です。今日の乗り鉄のメインとなる「海幸山幸」の宮崎駅発車が10:13なので、10:01に宮崎に到着する「きりしま」4号からちょうどいい具合に乗り継ぐことができます。宮崎からは日南線を走る「海幸山幸」に乗車しますが、残念ながら途中の飫肥駅で下車します。日南線は運行本数が少なく、「海幸山幸」の終点である南郷まで行ってしまうと、予定の時間までに宮崎に戻れなくなってしまうからです。せっかくの乗車なため、ちょっと残念ではありますが、約1時間の乗車を楽しむことにします。飫肥駅からは普通列車南宮崎、そして宮崎へと移動し、宮崎からは「B&Sみやざき」号という高速バスを利用して新八代に向かいます。新八代からは九州新幹線「さくら」に乗車して博多に行き、博多からは「のぞみ」に乗車して名古屋に戻るという行程となっています。朝はちょっと雨がぱらつきそうな天候でしたが、何とか傘なしで移動できること願いながら、まずは今日の1本目の列車「きりしま」に乗車します。

 

鹿児島中央駅から特急きりしまに乗車

 「きりしま」4号は、朝の早い時間に運行される列車ですが、ひとつ前の2号は何と鹿児島中央駅5:51発です。こんな早朝に鹿児島から宮崎方面に向かう特急は、どういった目的で利用される方が多いのか、ちょっと気になります。

 「きりしま」は787系特急型車両で運転されています。1号車はグリーン車と普通車指定席の合造車で、2号車から4号車までは普通車自由席です。僕は「九州ネットきっぷ」を利用するため、指定席を利用します。

きりしま号で使用されている787系鹿児島中央駅 2023/9/23

 程なくして「きりしま」が入線してきました。「きりしま」は、主に日豊本線を走る特急で、早朝や深夜の一部列車を除いて鹿児島中央―宮崎間を結んでいます。以前の乗り鉄旅で、肥薩線の吉松から「はやとの風」に乗車した際に、隼人―鹿児島中央間を利用したことがありますが、宮崎までの全区間を通して乗車するのは初めてです。運転本数は1日当たり10往復で、概ね1〜2時間に1本程度運行されています。

 JR九州の列車は、D&S列車ではない通常の特急型車両もデザイン性に富んでいますが、外観だけでなく車内もなかなか凝ったものとなっています。上の写真は787系のデッキ部ですが、黒い壁に真っ赤なドアのコントラストが実に独創的です。ちなみに床面は、普通車としては珍しい絨毯敷きとなっています。

 普通車の車内です。一般的な2+2配置の回転リクライングシートとなっています。こちらはいたって普通の座席で、どちらと言えば地味な感じのモケット柄です。また、九州の特急型車両は、普通車であってもシート1列に対して1つの個窓となっているものが多く、個人的には気に入っています。

 そしてこの「きりしま」では、特急であるにも関わらず、ワンマン運転が行われています。ドアの開閉などを車掌さんの代わりに運転士さんが行うことは分かるのですが、自由席の設定がある特急では欠かせない車内検札はどうしているのでしょうか?  おそらく基本的には実施していないということだと思います。性善説に立ちながら、抜き打ちで特別検札を実施するのでしょうが、一定数の不正乗車は防ぎようがないと思います。少し前にテレビのニュースで、JR九州では不正乗車を防止する目的で、自動券売機による170円きっぷの発売を見合わせることが放送されていましたが、中にはさらに特急券を購入せずに特急列車に乗車するような不正をはたらく人もいるだろうということです。ほとんどの方は目的地までの正しい乗車券や特急券を購入しているはずですので、こうした不正は厳しく取り締まると同時に、正直者が不利益を被ることがないよう、不正乗車防止対策にも力を入れてもらいたいですね。

 途中の行き違い列車の遅れにより、僕が乗車した「きりしま」は、終点の宮崎に約4分遅れて到着しました。すでに乗車予定の「海幸山幸」は入線していたので、すぐにホームを移動して「海幸山幸」に乗車しました。

 

宮崎駅から特急海幸山幸に乗車

 「海幸山幸」は宮崎を発着する列車で、日南線の南郷までを往復しています。ここで「海幸山幸」1号のダイヤを紹介します。

 昨日乗車した「指宿のたまて箱」と比べると、途中の停車駅が多いことが分かります。僕は途中の飫肥までの乗車ですが、終点の南郷まで乗車すると、約1時間30分の旅となります。

 宮崎駅では発車までの時間を利用して、1号車側と2号車側の写真を撮影しました。ちなみに1号車が山幸号で、2号車が海幸号です。ぱっと見た感じで違いが分かりにくいですが、運転台下のライト横に「山」「海」の文字がデザインされており、これが見分けるポイントです。

海幸山幸で使用されているキハ125形400番台:宮崎駅 2023/9/23

 可愛らしい路面電車のようにも見えますが、れっきとした特急型車両です。形式はキハ125形400番台で、もともとは高千穂鉄道という第三セクターの鉄道会社で使用されていたものです。その高千穂鉄道は、2005年の台風14号の影響よって壊滅的な被害を受け、結果的には復興が果たせずそのまま廃線となってしまった訳ですが、その高千穂鉄道の車両の一部がJR九州に譲渡され、内外装が大幅に改装されて現在の「海幸山幸」用の列車が誕生したという経緯があります。そういう事情から、JRとしては珍しい18m級の車体となっています。

 改造に当たっては、塗色が白に変更されたほか、車体の外装に本物の杉板が装飾された何とも斬新なデザインです。鉄道車両の外装に木材が使用されている例は、キハ125形400番台以外の車両で聞いたことがありません。こんな挑戦的な観光列車を誕生させた水戸岡鋭治氏は、前例にとらわれない思い切った意匠を採用される方なんですね。

 車体側面には、「海幸山幸」それぞれのロゴをあしらったプレートが取り付けられています。車両の外装ということで、杉板は直射日光や風雨に晒され続けているわけですが、防水や腐食などは大丈夫なんでしょうか?

 次に車内を紹介します。まずは僕が乗車した1号車です。車内はJR九州のD&S列車の一員に相応しいデザインとなっていますが、車幅にあわせて1+2配置の回転リクライングシートが並んでいます。

 「海幸山幸」には専用の販売カウンターはありませんが、1号車前よりスペースで飲み物やグッズ類を販売しており、アテンダントさんが常駐しています。ちょうどその向かいにフリースペースとなっているソファー席があるため、このスペースを利用しながらアテンダントさんとの会話を楽しんでいる方も見えました。

 車端部には、車イスの方でも利用可能なトイレがあります。車内は随所に杉材が使用されていますが、トイレ部分もデザイン性に富んでおり、とてもお洒落ですね。

 また、キハ125形400番台は片運転台構造となっているため、乗客は車両の最先頭部から前面展望を楽しむことができます。僕もちょっとの間、前面展望を楽しみました。自然の木々の中に敷設された線路がどこまでも続いているような、そんな風景を見ることができました。

 先ほど紹介した物販スペースで、宮崎県産の完熟マンゴーを使ったサイダーを購入しました。各座席には肘掛けの中にテーブルが収納されており、これを利用することも可能ですが、ちょっとした小物は窓横に置いておくことができるので便利です。早速サイダーをいただきいましたが、すっきりした後味の良い味わいで、マンゴーのいい香りが口の中に広がります。

 続いて、2号車にもちょっとお邪魔させてもらいましたので、あわせて紹介します。2号車も1号車と同様に、1+2配置の回転リクライングシートが並んでいます。ちなみにこの日の「海幸山幸」1号はすべての指定席が発売済みとなっており、特に2号車は混雑していました。正面から撮影すると迷惑になると思い、座席後方から撮影しました。

 基本的な内装や車内設備は1号車と同じようですが、1号車と2号車とでは座席数が異なっており、1号車の方がシートピッチが広めてゆったりとしています。また、1号車は座席と窓枠が一致しているので、車窓を眺める上でのハズレ席もありません。僕としては断然、1号車をオススメします。人気のある観光列車ですので、乗車の予定が決まったら早めに指定席券を購入した方がいいと思います。

 また、先ほどは1号車からの前面展望を紹介しましたが、反対に2号車からは後方展望を楽しむことができます。それにしても、線路内の雑草が多いですね。運転本数が少ない区間だと、どうしてもこうなってしまうのでしょうかね。

 「海幸山幸」は停車駅が多いとお話ししましたが、途中駅での乗降もそれなりにあり、とくに青島では下車する方も乗車する方も結構いました。日南線自体の運転本数が少ないということもあってか、短区間でも「海幸山幸」を利用される方がいらっしゃるようです。そのためか、昨日乗車した「指宿のたまて箱」は全車指定席でしたが、「海幸山幸」は2号車の一部に自由席が設定されていました。

 そして途中には、「海幸彦・山幸彦」伝説を紹介する紙芝居の上演があります。後部座席からではちょっと見づらいですが、アテンダントさんの語りだけでも十分に楽しむことができます。

 時間が過ぎるのは早いもので、列車はあっという間に飫肥に到着しました。ここまで楽しい乗り鉄旅を提供してくれた「海幸山幸」を再度、飫肥駅で撮影しました。

終点の南郷駅へと向かう海幸山幸:飫肥駅 2023/9/23

 

記念乗車証の紹介

 「海幸山幸」の車内では、乗車後すぐにアテンダントさんから記念乗車証をいただきました。乗客一人一人に手渡しで配布されていました。昨日の「指宿のたまて箱」に続き、こちらもキレイにスタンプを押印できたと思います。

  ちなみに、これまでの乗り鉄旅で色々なD&S列車に乗車してきましたが、それぞれの列車で記念乗車証をいただいています。せっかくの機会なので、ここでこれまでいただいたD&S列車の記念乗車証をまとめて紹介したいと思います。

 左上から実際に僕が乗車した順になっています。それぞれの列車に思い出がありますが、どれもまた乗車してみたい列車ばかりです。

飫肥駅から宮崎駅

 飫肥からは、いま乗車してきた経路を引き返して宮崎まで戻ります。僕はあらかじめ宮崎↔飫肥間の往復乗車券を購入していたため、飫肥駅では出場せずにそのままホームで南宮崎行きの列車の到着を待っていました。ホーム側からになりますが、記念に飫肥駅の駅舎と駅名標をパシャリ📸

 ここまでトラブルなく、ほぼ予定どおりに乗り鉄旅を続けてきましたが、発車時刻が近づいても南宮崎行きの列車は姿を現しません。また、僕が乗車する南宮崎行きの列車と行き違いで発車する「海幸山幸」も、飫肥駅で抑止状態です。どうやら今朝方に日南線の一部区間で、車両の車輪空転が発生し、その影響で遅延が発生しているようです。まあ5分程度かなと勝手に思っていましたが、待てど暮らせどなかなか列車は来ず、やっと来た列車が飫肥を発車したのは予定よりも約30分遅れとなってしまいました。

 正直、「まいったな~」と思いながら乗車していましたが、回復運転によって途中での遅延時間が約20分にまで縮まりました。さらに遅延が縮小するかと期待していたところ、途中駅での行き違いのため待ち合わせがあるなどしたため、終点の南宮崎に到着したのは予定よりも約30分遅れとなってしまいました。これではもちろん、予定していた宮崎方面に向かう列車にも間に合いません。とは言っても仕方ないので後続の特急「ひゅうが」に乗車して宮崎に向かいましたが、宮崎駅に到着したのは、予定よりも40分以上遅れてしまいました。

 当初は宮崎で昼食をいただいてから、次の移動をスタートする予定でしたが、時間があまりなくなってしまったため、やむを得ず近くのコンビニでサンドウィッチを購入し、昼食代わりとしました。僕にとっての初宮崎は、ただ慌ただしいものとなってしまいました。

 

宮崎駅からB&Sみやざきに乗車

 今回の旅行は、鉄道による乗り鉄旅ですが、宮崎から新八代区間のみ高速バスを利用します。JR九州バスと宮交バスでは、宮崎から新八代までの移動に便利なB&Sみやざきという高速バスを運行しています。新八代から博多までは九州新幹線が利用できるため、このバスを利用すれば、宮崎−博多間を最速3時間15分で移動できるというものです。さらに、こうした移動に便利な「B&Sみやざきネットきっぷ」というものも発売されており、早特商品であれば最安値は5,020円と破格のねだんです。時間的に早く、ねだんもお得ということで、僕も今回の乗り鉄旅で利用してみることにしました。ちなみにバス単独の正規運賃は4,350円で、新幹線の運賃と特急料金(指定席・通常期)は5,920円なので、早特商品のねだんは半額以下のとてつもないねだんです。

 宮崎駅前の高速バス乗り場で待っていると、真っ赤なJR九州バスがやってきました。

 車内は一般的な4列シートになっています。バスは鉄道よりも座席が窮屈に感じられるため、長時間の乗車で相席になると、正直ちょっと辛いものがあります。隣が空いているといいなと思っていたところ、今回利用した便の乗客は10人程度で、全然余裕でした。

 確かバス車内でスマホの充電ができることを思い出し、早速、カバンから充電器を取り出したら、USBタイプ専用の充電口で、僕が持参したコンセントタイプの充電器は使用できませんでした😓 まあ、新八代から乗車する新幹線で充電できれば問題ないんですがね。

 バスはしばらく下道を走ります。そして僕は先ほど購入したサンドウィッチを車内でいただきました。そしてしばらくすると、高速道路に入ります。僕はバスに揺られると眠たくなる性質で、今回もいつの間にか寝てしまい、気がついたらどこかのバス停に停車中でした。それから外の景色をぼーっと眺めたりしていると八代インターチェンジで、すぐに新八代駅に到着しました。

 列車と違ってバスはどうしても遅延が気になってしまうのですが、今回乗客したバスはほぼ定刻でした。新幹線への乗り換え客をターゲットとしていることから、運行ダイヤに余裕を持たせるなどして、遅延防止に努めているのだと思います。

 

新八代駅から九州新幹線に乗車

 新八代駅を利用するのは今回が初めてです。恒例となりつつありますが、駅舎をパシャリ📸 都会的で、なかなかおしゃれな駅舎だと思います。

 新八代からは、今回の乗り鉄旅で2回目となる九州新幹線「さくら」に乗車します。これで無事にスマホの充電ができます。車両はもちろん8両編成のN700系7000番台で、今回も指定席を利用します。

 車内の様子を見てみると、新八代で乗車した際には僕が乗車した8号車には空席が目立っていましたが、途中の熊本から外国人のグループ客が乗車してきました。それでも乗車率は40%くらいといった感じでしょうか。最初は僕の隣の通路側にも外国人の方が着席されていましたが、席を間違えていたことに気がついたのか、すぐに他の席に移動していきました。

九州新幹線「さくら」などで運用されているN700系7000番台:博多駅 2023/9/23

 新八代駅では車両を撮影する時間がなかったので、博多駅で撮影しました。「さくら」は新大阪行きのため、博多は途中停車駅の一つに過ぎませんが、乗務員の交代などもあるためか、停車時間が比較的長く設定されているようです。さて、博多到着後は駅でお土産やお弁当を購入し、いよいよ九州ともお別れになります。

 

博多駅から山陽新幹線に乗車

 博多駅の新幹線ホームには、東海道新幹線でも活躍しているN700系だけでなく、500系や700系といった僕が普段見かける機会の少ない車両を見ることができるため、発着する列車を眺めるだけでも楽しいものがあります。ホーム上にいても、どこから豚骨ラーメンのスープのものと思われる独特の匂いが感じられるのも実に博多らしいですね。

 乗車するのは「のぞみ」58号東京行きです。いつもはきれいに撮影できないJR西日本の発車標ですが、今回は文字が分かる程度に撮影することができました。

東海道・山陽新幹線の主役であるN700系博多駅 2023/9/23

 乗車してしばらくしたところで、ちょっと早いお弁当タイムです。当初から博多駅で夕食用のお弁当を購入しようと考えていましたが、どのお弁当にするかは見てから決めることにしていました。そして僕の目に留まったのは、駅構内の通路に店舗がある「元祖博多めんたい重」というお店のお弁当です。内容は実にシンプルで、白米の上に海苔がまぶされていて、その上にドンと明太子が丸ごと一本のせられています。僕は海苔弁が好きで、しかもちょうど明太子が食べたいと思っていたところだったので、このお弁当に決めました。作り置きではなく、注文を受けてからその場で温かいご飯を入れてお弁当を盛り付けてくれます。ねだんはちょっとお高めで、一食1,814円でした。

 めちゃウマです🤩 まだご飯が温かいままで、付属のたれをかけるとさらに味の深みが増してきます。明太子のピリ辛と白いご飯の相性はバツグンです。次回に博多に行く機会があれば、リピートは間違いないと言えます。旅の最後に美味しいお弁当をいただくことができると、旅行全体の満足感も高まるというものです。

 しかし、当然のことですが食後には口の中に辛さが残ります。何か甘いものをと思った矢先、ちょうどいいタイミングで車内販売のワゴンが通りがかったので、アイスを買うことにしました。新幹線の車内でいただくアイスといえばやはり“シンカンセンスゴイカタイアイス”で、僕も最初は久しぶりにこのアイスを買おうかと思ったのですが、メニューに新甘泉梨シャーベットというものがあり、こちらに惹かれて考えて直し、結局シャーベットの方を購入しました。シャキシャキした食感で、梨のいい香りがするシャーベットで、こちらも美味しくいただきました。

 デザートもいただき、お腹いっぱいです。「のぞみ」は小倉、広島、岡山、姫路、新神戸に停車し、山陽新幹線の終点である新大阪に到着しました。僕の経験則上、新大阪から先の東海道新幹線区間になると、乗客の数が一気に増えます。予想どおり新大阪から多くの乗車があり、僕の隣の通路側座席も埋まりました。新大阪発車後は京都に停車し、そして名古屋に到着しました。

 

乗車券類の紹介

 最後にまとめて、今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類を紹介します。

 往路の名古屋→博多→鹿児島中央と復路の博多→名古屋は、いつものようにJR東海ツアーズの旅行商品を利用しています。往路は博多駅九州新幹線に乗り換えるため、乗車船用と新幹線指定席用が別々に発券されていますが、復路は一葉券となっていました。

 続いては、鹿児島中央↔指宿間の「指宿のたまて箱」での乗車に使用した乗車券と特急券です。実は当初、この区間ではという企画乗車券を利用しようと考えていました。この企画乗車券は、鹿児島中央―指宿・西大山間を「往復JR」または「片道JR+片道路線バス」で利用できるもので、JR線では「指宿のたまて箱」にも乗車できます。ねだんは3,150円なので、間違いなくオトクに乗車できるのですが、残念なことに「指宿のたまて箱」の座席指定ができるのは、JR九州みどりの窓口指定席券売機できっぷを受け取る際に限られています。つまりインターネットであらかじめ座席を確保することができないため、きっぷの受取前に指定券が完売してしまった場合には、乗車することができません。

 はじめのうちは、まあ平日だし指定券が完売することもないだろうと楽観的に考えていたのですが、乗車日が近づくにつれて残り座席数が少なっていき、数日前には窓側座席がすべて埋まってしまいそうだったので、慌てて5号の指定券をインターネットで予約しました(ちなみに6号の方は、念のためということで早めにカウンター席をインターネットで予約してありました)。

 というわけで急遽、「指宿レール&バスきっぷ」の購入を断念した訳ですが、その代わり当日、鹿児島中央駅指定席券売機で「かごしま満喫きっぷ」という別の企画乗車券を購入しました。鹿児島中央―指宿間の往復が2,040円と正規運賃と同額のきっぷですが、きっぷとは別に500円分の商品券がついてきます。せっかくなので、ちょっとでもオトクに乗車しようという訳です。ちなみに僕はこの商品券を利用して、指宿駅売店でお土産用の茶葉を購入しました。

 鹿児島中央から宮崎まで乗車した「きりしま」では、九州ネットきっぷを利用しました。このきっぷを利用すれば、正規運賃と特急料金あわせて4,860円のところ、何と2,620円で乗車することができます。「きりしま」は指定席の座席数が少ないため、場合によっては満席になることもあるかもしれませんが、確か乗車当日でも購入できたはずですので、利用価値は高いと思います。

 宮崎↔飫肥駅では、通常の往復乗車券を使用しました。前日に鹿児島中央駅みどりの窓口で購入しておいたものです。最近、博多駅などJR九州の大きな駅で、みどりの窓口が激混みするというニュース記事を読んだことがあり、どんなものかと心配しましたが、鹿児島中央駅の窓口は10分程度の待ち時間で発券してもらえました。また、「海幸山幸」の指定券は、あらかじめインターネットで予約しておいたものを鹿児島中央駅指定席券売機で発券しました。

 最後に紹介するのは、「B&Sみやざきネットきっぷ」です。実際には、上の2枚に加えてバス指定券も発券されたのですが、残念ながらバス乗車時に回収されてしまったため、手元に残っていません。

 さて、1泊2日の旅でしたが、予定どおり2つの観光列車に乗車し、久しぶりに九州新幹線にも乗車することができ、思う存分、乗り鉄を楽しむことができました。「指宿のたまて箱」では、指定券の手配をギリギリまで遅らせてしまうという判断ミスもありましたが、次回以降はタイミングを失しないよう気をつけていきたいと思います。

2つの観光列車に乗車する南九州乗り鉄旅(1)

 僕は乗り鉄旅に出かけることが好きですが、「次はどこに行ってみようかな〜」と時刻表のページをめくりながら旅行先を思案するのも大好きです。鉄道旅行好きの方であれば理解いただけると思いますが、路線図を見ながら頭の中で旅行ルートを思い描き、そのルートに沿って行程を作成するという一連の作業は、非常に楽しいものです。いざ時刻表で調べ始めると、運転本数が少なく希望どおりに移動できないことが後から判明することもありますが、逆に自分が作成したオリジナルのルートで予定時間内にうまく乗り継げることが分かった場合には、喜びもひとしおというものです。

 そんな訳で、僕は年に数回、時刻表を購入しています。書店で販売している時刻表にもいくつかの種類がありますが、僕は交通新聞社が発行している「JR時刻表」を愛用しています。毎年3月のダイヤ改正が収録された号は必ず購入しており、その他の時期は季節ごとの臨時列車が掲載される月にあわせて購入することが多いです。9月号では秋の臨時列車が初掲載されるということで、8月下旬に早速購入し、暇なときにニヤニヤしながらページをめくって妄想鉄道旅を楽しんだりしていました。その中でふと、九州の列車に目が留まりました。九州といえば、昨年10月に西九州新幹線と「ふたつ星4047」に乗車し、さらに一昨年の9月には「36ぷらす3」や「或る列車」などに乗車する乗り鉄旅に出かけていますが、まだ乗車したことがない観光列車があります。それは「指宿のたまて箱」と「海幸山幸」という列車です。「指宿のたまて箱」は指宿枕崎線鹿児島中央-指宿間を、「海幸山幸」は日南線の宮崎-南郷間をそれぞれ走る特急で、いずれもJR九州のD&S列車(デザイン&ストーリー列車)のひとつです。以前から乗車してみたいと思いつつ、鹿児島や宮崎を発着する列車ということで、これまでの九州乗り鉄旅でもなかなかゆっくりと現地を訪れる機会がありませんでした。今回、あらためて時刻表で調べて見ると、うまく行程を工夫すれば、1泊2日で「指宿のたまて箱」と「海幸山幸」の両方に乗車できることが分かりました。このうち運転本数が少ないのは「海幸山幸」です。9月の運転日は土休日のみで、16日から18日までの3連休は1日2往復ですが、その他の土日は1日1往復のみです。本来であれば、「海幸山幸」が1日2往復される日のダイヤをもとに行程が組めるとベストなのですが、今回は諸事情により、これより1週間遅い22日と23日の2日間で乗り鉄旅を楽しむことになりました。鹿児島を訪れるのは約6年ぶりで、宮崎は初めての訪問となります。

 

 

22日の旅行概要

 それでは早速、初日(22日)の旅行行程を紹介します。

 この日の乗り鉄のメインはもちろん「指宿のたまて箱」です。「指宿のたまて箱」は臨時列車扱いとなっていますが、現在のところ毎日運転されており、鹿児島中央-指宿間を1日3往復しています。僕が乗車できそうなのは、鹿児島中央を午後に出発する5号と、その折り返しとなる6号なので、これを行程中に組み込みました。「指宿のたまて箱」5号の鹿児島中央駅の発車時刻は13:56ですが、多少の時間的な余裕と昼食時間も考慮して、名古屋-博多間の「のぞみ」と博多-鹿児島中央間の「さくら」の時間を決めました。ちなみに、僕は東海道新幹線山陽新幹線を利用する際、複数の乗車票を組み合わせて新大阪で乗り換える行程とすることがありますが、今回は九州までの移動時間を最小限にするため、名古屋から博多まで直通する「のぞみ」を利用する行程としています。

 なお、この日の乗り鉄旅は「指宿のたまて箱」6号の鹿児島中央到着(16:00着)で終了です。せっかく鹿児島まで来たからには、ここから川内まで戻って、肥薩おれんじ鉄道に乗車してみようかなと思いましたが、あまり欲張りすぎないことにしました。

 

名古屋駅から東海道新幹線に乗車

 今回の乗り鉄旅で使用する乗車票は、[名]名古屋市内発のものなので、金山から名古屋までは在来線を利用し、名古屋駅の乗り換え改札口から新幹線ホームに入りました。

 今回乗車するのは「のぞみ」3号です。名古屋駅の新幹線ホームに到着すると、ちょうどひとつ前の「のぞみ」1号が発車するところでした。「のぞみ」1号はN700Sで、続いて発車する「ひかり」535号の広島行きもN700S、さらに「のぞみ」3号より早く名古屋駅に入線する「こだま」765号の新大阪行きもN700Sでした。N700Sを見かける機会も多くなり、車両全体に占めるN700Sの割合が着実に増えているなと感じました。ひょっとしたらこの流れで「のぞみ」3号もN700Sかと思いましたが、結果はN700のスモールAでした。ちなみに下の写真は上りホームから発車するラージAを撮影したものです。

東海道新幹線で活躍中のN700A名古屋駅 2023/9/22

 今回利用する座席は、6号車1E席です。シートマップを利用して僕が選んだ座席ではありませんが、新幹線の最前列は初めてかもしれません。乗車前には「最前列ってどうなの?」って思っていましたが、他の乗客の方が視界に入りにくく、落ち着きがあっていいです。足元も狭苦しい感じはなくて結構快適です。

 車内は平日にも関わらずほぼ満席です。さすがは「のぞみ」ですね。名古屋発車後の様子を見ていると、途中の新大阪で下車する方が多いですが、同じくらい乗車する方もたくさんいらっしゃいました。その後、山陽新幹線区間に入ると徐々に下車する方が多くなり、特に広島で多くの方が下車しました。終点の博多までは約3時間20分、たっぷりと新幹線の旅を楽しむことができました。

 

博多駅から九州新幹線に乗車

 博多ではホームを移動し、九州新幹線に乗車します。

 JR西日本仕様の発車標は、どうもうまく撮影できませんね。乗車するのは「さくら」で車両はもちろんN700系7000番台(8両編成)です。

発車を待つ九州新幹線N700系7000番台:博多駅 2023/9/22

 こちらの「さくら」号も想定外に混雑していました。僕が乗車した8号車は博多出発時点でほぼ満席です。あまり利用が多い時間帯ではないはずですが、これくらいの乗車率が一般的なんでしょうか? 僕が勝手に、コロナ禍で利用者数があまり多くなかった頃の感覚を引きずっているだけなのかもしれません。博多を発車したさくら号は新鳥栖、久留米、熊本の順にこまめに停車していきます。新鳥栖―久留米間は7.1kmと非常に駅間が短いため、発車後すぐに停車駅のアナウンスが始まります。九州新幹線に乗車するのは初めてではありませんが、今まで気付きませんでした。

 途中の熊本に到着しました。熊本は「みずほ」号を含めてすべての新幹線が停車する駅です。おそらく熊本で下車する方が多いんじゃないかと予想していましたが、やはり熊本で多くの方が下車されました。熊本を発車すると次の停車駅は川内のため、ここからは新幹線らしい本格的な高速走行を楽しむことができます。

 「さくら」号はその外観から分かるとおり、N700系シリーズのひとつで、両数の違いを除けば、車両の構造自体は東海道・山陽新幹線用のN700系と変わりありません。しかし、外観のカラーリングは同じ白系統でも違いがあり、東海道新幹線N700系を見慣れている僕にとっては、とても新鮮な感じがします。

 続いて車内のうち、僕が利用した普通車指定席の様子です。ご覧のとおり、自由席とは異なる指定席の専用座席となっており、グリーン車のような2+2配置の贅沢な設備となっています。東海道新幹線との違いという点では、最も特徴的なものだと思います。

 そう言えば、ここまで乗車してきた区間では、名古屋出発からずっと曇り空でしたが、川内に近づくにつれて日が差してきて、鹿児島に到着する頃には気持ちのいい晴天となりました。やはりせっかくの旅行なので、晴れの中で列車に乗車できるのは嬉しいですよね。

白藍色が特徴的なN700系7000番台:鹿児島中央駅 2023/9/22

 予定どおりに鹿児島中央に到着しました。名古屋から新幹線を乗り継いで実に約5時間の乗車です。乗りごたえがありました。

 ここからいよいよ「指宿のたまて箱」に乗車しますが、発車時刻まで1時間くらいあるので、この時間を利用して昼食をいただくことにしました。

 今回は鹿児島中央駅直結の商業施設「アミュプラザ鹿児島」にある、その名もざぼんラーメンさんというお店を利用することにしました。日本各地には、ご当地ラーメンがいくつもありますが、ざぼんラーメンとは鹿児島ラーメンを代表する店舗のひとつのようです。僕は“ざぼん”と聞くと、柑橘類の果物しか思い浮かびませんが、この果物とラーメンが関係しているのかどうかは分かりません。入店したのが午後1時くらいだったため、待ち時間なく店内に案内されました。いただくのは、店の看板メニューである「ざぼんラーメン」です。音痴の僕は食レポが苦手ですが、あっさりとした豚骨ベースのスープにストレート麺、キャベツやもやし、メンマ、チャーシューなどいろいろな具材が盛り付けられた、見るからに美味しそうなラーメンです。

 写真の左下にある小皿は大根の漬物です。ラーメンに大根の漬物が添えられているのは初めてで、ちょっとビックリしました。鹿児島と言えば桜島桜島言えば桜島大根ということなのでしょうかね。京都の千枚漬けのような、あっさりした口当たりのいい漬物でした。

 

鹿児島中央駅から特急指宿のたまて箱5号に乗車

 昼食を終えてホームに向かうと、「指宿のたまて箱」はまだ入線していませんでした。僕が往路で乗車する5号は、4号の折り返しになるため、入線は直前になるようです。ちなみに5号と復路で利用する6号のダイヤは、次のとおりです(上段が5号、下段が6号です)。

 入線までの間でホームをウロウロしていると、「指宿のたまて箱」の乗車位置を示す表示板が掲出されていることに気付きました。ホームの黄色い点字ブロック付近に乗車位置を示す目印があるのは見かけますが、こうした表示板が珍しいですね。

 そんなことをしているうちに、指宿方面から列車が入線してきました。到着後しばらくは車内清掃のため、すぐに乗車することはできません。しばらくすると、乗車開始の案内があり、ホーム上にいた方々が一斉に乗車していきました。

指宿のたまて箱で使用されているキハ47形・キハ140形:鹿児島中央駅 2023/9/22

 上の写真は、車内清掃中の待ち時間を利用してホームから撮影しました。中央を境にして白と黒に塗り分けられた特徴的な列車です。これまでにもネット上で目にしたことはあったのですが、実車を見てみると、あらためて大胆なデザインだということがよく分かります。

 今回の乗り鉄旅では、往復とも「指宿のたまて箱」の全区間に乗車するため、往路と復路で違う号車に乗車することにしました。なお、「指宿のたまて箱」は通常、専用車両の2両編成(キハ47-8060・キハ47-9079)で運行されていますが、当該車両が検査などのために使用できない時には、1号車または2号車のどちらかに予備車両(キハ140-2066)が使用されることがあります(多客期には、専用車両+予備車両の計3両編成で運行される日もあります)。今回は平日ということで通常の2両編成ですが、2号車には予備車両が充てられていました。そして往路では、予備車両である2号車に乗車しました。

 予備車両の外観の特徴は、専用車両にはない展望スペースです。なお、この予備車両は、以前は「はやとの風」仕様で共通予備車となっていましたが、現在は再改造されて「指宿のたまて箱」専用車両と同じ塗色になっており、編成としての統一感が図られています。

 車体側部のロゴもJR九州のD&S列車らしいですね。定刻になると、列車は気動車特有のエンジンを奏でながら、鹿児島中央を発車しました。ちなみに、僕が指宿枕崎線を利用するのは今回が初めてです。地方のローカル線ということで、失礼ながら始発の鹿児島中央発車後は、ずっと自然豊かな風景が続くかと思いっていましたが、途中には立派な高架区間もあり、鹿児島の市街地を走る路線でもあることが分かりました。
 それではここで、往路で乗車した2号車の車内を紹介したいと思います。

 先ほどお話ししたとおり、今回の2号車には予備車両が充当されています。専用車両と予備車両で外観は統一されているものの、車内設備や座席は共通化されていません。専用車両には海側に1人掛けのカウンター席があるのですが、予備車両は車両中央にある展望スペースを除き、2+2配置の回転リクライニングシートが並んでいます。車内の雰囲気は、以前に乗車した「はやとの風」のことが思い出される車両設備でした。

 そして車両中央にある展望スペース部分も撮影しました。「指宿のたまて箱」は全車指定席ですが、展望スペースの座席は誰でも利用することができます。本来であれば、乗客同士が譲り合って利用すべきものですが、実際には、残念なことに早い者勝ち状態となっていました。

 今回は平日にも関わらず指定券は完売ということで、相席となりました。これはこれでもちろん仕方ないことですが、僕の隣席の男性は数人のグループで乗車した中国人旅行客のようで、グループでまとまった座席を確保できなかったらしく、通路を挟んで近くの席に座っている仲間の方と大きな声で会話をしていました。正直、僕はこういう場面が苦手です。さらにその男性は、大柄な上に脚を投げ出しふんぞり返ったような姿勢でずーっとスマホを操作しており、「すいません🙇」と声をかけて前を通らせてもらうこともはばかられる感じでした。本来であれば少し席を離れて写真撮影をしたかったのですが、せっかくの旅行中に嫌な思いをしたくなかったので、ただひたすらじっと窓側座席で車窓を眺めていました。

 外国から来日される方も様々で、もちろんルールやマナーを守って行動されている方がほとんどだと思いますが、そうでない方も一定数いらっしゃるようで、乗客同士のトラブルに発展するケースもあるようです。ルールやマナーを守るよう注意すべきなのか、諦めて我慢する方が結果的にはいいのか、その答えは分かりませんが、できることなら、こうした場面には遭遇したくないものです。そんなモヤモヤした状態であれこれ考えているうちに列車は終点の指宿に到着しました。

 

指宿駅から特急指宿のたまて箱6号に乗車

 指宿駅での滞在時間はわずか18分ですが、せっかくの機会なので改札を出て駅前で写真を撮影しました。南国感あふれる風景がいいですね。

 駅前には足湯の設備もありましたが、残念ながら時間の都合で利用できませんでした。次の機会には、是非とも指宿周辺の観光を楽しみたいものです。

 ここで再び改札を入り、停車中の「指宿のたまて箱」を撮影しました。指宿駅のホームには、地元の高校生によるお出迎えとお見送りがあります。それから、下の写真をよく見ていただくと、車体上部から白い煙のようなものが流れ出ているのがお分かりいただけるかと思いますが、これは「たまて箱」の白い煙をイメージして噴射されたミストです。なかなか面白い演出ですね。

鹿児島中央駅へと折り返す指宿のたまて箱指宿駅 2023/9/22

 復路では、専用車両である1号車に乗車します。こちらは早めに指定券を確保しておいたため、海側にある1人掛けのカウンター席を利用することができました。座席周りが広々としており、気分はグリーン席です。同じ列車の座席とは思えず、往路での窮屈さが嘘のようです。やはり乗車環境って大切ですね。今回つくづく感じさせられました。

 僕が利用した1号車14A席です。1人掛けカウンター席の中でも窓枠に邪魔されずに車窓を眺められる当たり席ですので、これから乗車を考えられている方にはオススメです。この他にも、1号車には様々なタイプの座席が用意されています。

 まずは、運転席後ろにあるボックス席です。リクライング機能はないようですが、大きなテーブルが付いており、グループでの利用に向いています。

 こちらは、1号車で最も座席数の多い回転リクライングシートです。よく見ていただくと、予備車両のものとは背もたれ部分が異なっています。見た感じでは、予備車両のものより座り心地は良さそうです。

 また、車両中央部にはフリースペースとしてソファー席があります。座席周りには木製の書棚があり、本に囲まれながら乗車することができます。乗客の中には、このスペースを利用して記念撮影をする方がいらっしゃいました。

 ついでに車内全体を見回してみました。内装や照明の違いもあってか、予備車両よりも明るくて上質感のある空間となっていました。

 そして1号車の車端部にはサービスカウンターがあり、オリジナルグッズや飲み物などを販売しています(下の写真には商品が写っていませんが…)。

 時間的にちょうどいいおやつタイムということで、僕は「いぶたまプリン」とペットボトル入りの知覧茶を購入しました。「いぶたまプリン」はクリームと黒ゴマの2層になったプリンで、「指宿のたまて箱」の車両をイメージした商品のようです。プリンはどちらかといえば固めの生地で、特に黒ゴマの生地からはしっかりとしたゴマの香りが感じられました。

 復路で利用したカウンター席は、すべて海側に位置しているため、車窓からは錦江湾桜島雄大な自然の風景を堪能することができました。素晴らしい景色を眺めながら美味しいデザートをいただくのは、何とも贅沢な時間です。往路と復路で乗車時間はほとんど同じはずですが、僕としては復路の乗車はあっという間という感じでした。楽しい時間はすぐに過ぎてしまいます。

 そしてこれから「指宿のたまて箱」に乗車される方には、絶対にA席をオススメします。D席も窓側ですが、海と反対側になってしまい、眺望という点では今ひとつです。また、観光列車にありがちなことですが、窓枠と座席位置が一致しない席もあることから、乗客を決めたら早めにJR九州のWebページなどで座席表を確認し、すぐにでも指定券を確保した方がいいです。同じねだんであれば、やはり眺望のいい座席の方がいいですもんね。

 余談ですが、夏ということもあってか線路沿いの草木が生い茂っており、長く伸びた枝などが走行中の車両に接触することが何回かありました。車体部分ならまだしも、ガラス窓に当たるとバチバチっという音が聞こえてきてちょっと心配になるほどです。経費削減や人手不足といった事情もあるのかもしれませんが、安心・安全な運行のためにも、最小限の草刈りや枝落としは必要だなと思いました。

 そんなことを思ったりしているうちに、列車は定刻どおりに鹿児島中央に到着しました。念願だった「指宿のたまて箱」に往復とも乗車でき、とても満足です。

 これで今日の乗り鉄旅は終了です。後はホテルでゆっくり過ごします。チェックインした後、客室内でダラダラ過ごしてしまい、夕食をいただこうと7時くらいに外出しましたが、1軒目はあいにくの満席、そして2軒目はすでにオーダーストップということで、結局、食べたいと思っていた鹿児島の黒豚をいただくことはできませんでした😰 さらに新しいお店を探す気になれなかったので、最終的にはコンビニ弁当になってしまいました。もっと早めに行動しておけばよかったと後悔しても、あとのまつりです。お弁当を食べて、大浴場で入浴し、明日に向けて英気を養うべく、早々に就寝しました。

 

記念乗車証の紹介

 サービスカウンターには記念乗車証があり、車内には裏面に押印できるスタンプも用意されています。「指宿のたまて箱」が走る指宿枕崎線は、路線の状態があまりよろしくないようで、走行中の揺れが大きいことで知られています。そんな車内できれいにスタンプを押印するのは至難の技ですが、僕は指宿駅停車中に押印したため、ずれなく押印できました。

>>(2)に続く

4社連絡片道乗車券を使った会津若松乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 今回の乗り鉄旅では、先ほどまで乗車していた「お座トロ展望列車」を含め、浅草までの間に3つの列車に乗車する訳ですが、鉄道会社としては、JR東日本会津鉄道野岩鉄道、それに東武鉄道を利用することになります。乗車する列車はそれぞれの会社の路線に対応しているというわけではなく、次のようになっています。

 「お座トロ展望列車」がJR東日本只見線会津鉄道線を走行することは前回の記事で紹介しましたが、今から乗車する特急「リバティ会津」は会津田島から引き続き会津鉄道線を走行した後、野岩鉄道線に入り、さらに新藤原から東武鉄道線に直通します。「リバティ会津」は実に運用範囲が広いですね。「リバティ会津」に乗車すれば、そのまま乗り換えなしに浅草まで行くことができますが、それでは今回の乗り鉄旅のメインとなる「スペーシア X」に乗車することができないため、今回はわざわざ鬼怒川温泉駅で乗り換える行程となっています。

 それでは、後半戦もよろしくお付き合いください。

 

 

会津田島駅から特急リバティ会津に乗車

 会津田島からは東武鉄道500系の「リバティ会津」に乗車します。「お座トロ展望列車」からの乗り換え時間が3分しかありませんでしたが、「リバティ会津」は構内踏切を渡ってすぐの位置に停車しており、特に焦ることなく乗り換えることができました。

 上の写真のように、構内踏切からは2つの列車が並んだ姿を見ることができます。最近は安全性の面から、列車と乗客の動線を分けるよう橋上駅舎が一般化しつつあり、こうした構内踏切が残る駅も少なくなっています。

 さて、ここから乗車する「リバティ会津」ですが、特急リバティは、けごん・きぬ・会津のほか、赤城方面のりょうもうでも使用されており、東武鉄道を代表する特急型車両となっています。「スペーシア」は、コンパートメントルーム(JR線内ではグリーン個室)設備を有し、3号車には物販用の販売カウンター(現在は営業終了)を備えるなど、観光利用を意識した特急型車両となっていますが、「リバティ」は通勤需要にも対応できるような特急型車両で、小田急ロマンスカーで例えると、「スペーシア」がVSEGSEで、「リバティ」がEXEやMSEといったところでしょうか。ちなみに僕は、これまでの乗り鉄旅で、浅草から下今市まで「リバティけごん」に乗車したことがありますが、「リバティ会津」は初めてです。車両自体は同じ東武500系ですが、何せ「リバティけごん」に乗車したのは約5年前のことなので、乗車した当時のことをあまりはっきりと覚えていません。言い訳をすれば5年前、豊橋から「ムーンライトながら」で東京駅に到着した後、そのまま浅草駅に移動して乗車したため、半分くらい寝ぼけたまま乗車していたものです。そういった意味でも、久しぶりに乗車する「リバティ」は新鮮に感じます。

リバティ会津で使用されている500系中三依温泉駅 2023/9/2

 始発の会津田島ではゆっくり写真撮影する時間がありませんでしたが、途中駅で行き違いのため数分間停車したため、その際に下車してホーム上から先頭車両を撮影することができました。あらためて見ると、「リバティ」はなかなかゴツい顔をしてますね。

 それにしても、「リバティ会津」の停車駅には「温泉」という名前の入った駅が非常に多いですね。駅の近くに温泉地や温泉施設があるのでしょうか? 今回は寄り道することなくひたすら乗り鉄を楽しむ旅で、途中下車は予定していませんが、再度この付近を訪れる機会があれば、どこかの温泉を訪問してみたいものです。

 続いて車内の紹介です。といっても、先ほどお話ししたとおり、「リバティ」は通勤特急という性格も持つ車両であり、車内には一般的な2+2配置の回転式リクライニングシートが並んでいる感じです。個室や展望席などの設備はありません。客室内には随所に木目が採用されており、天井には鬼怒川などの流れをイメージした間接照明が取り入れられています。また、座席のモケット柄は紫系のものが使用されており、これは江戸の伝統色「江戸紫」をモチーフとした配色なんだそうです。浅草を発着する特急らしい配色だなと感じました。

 車内には、最近の車両らしく車イスでの利用を想定したスペースも用意されています。ちなみに東武鉄道の特急に乗車する場合、もちろん特急券を購入する必要がありますが、会津田島鬼怒川温泉区間内のみを利用する場合に限り、特急料金が不要となります(ただし、特急券を購入しない場合は座席の指定を受けることができないため、空席がある場合のみ着席できます。確実に着席したい場合は、同区間内のみを利用する場合でも特急券を購入することになります)。会津田島発の「リバティ会津」がどの程度混雑するのか予想が付きませんでしたが、まあ満席ということもないだろうと思い、今回は特急券を購入せず利用することにしました。実際の乗車率はおそらく50%弱といった感じで、無事に着席することができました。

 

鬼怒川温泉駅から特急スペーシアXに乗車

 鬼怒川温泉駅に到着しました。この駅では「リバティ会津」から下車する方が結構大勢います。僕は一旦、この駅で途中下車するため、跨線橋をわたって改札口に向かいますが、通路のあちこちにこれでもかと言わんばかりにスペーシアXのポスターがが掲出されていました。

 改札を出たところで買い物を済ませて、再び改札口から入場します。「リバティ会津」を下車したときにすでに気が付いていたのですが、今回乗車する「スペーシアX」はすでに1番線に入線しており、折り返し運転のための車内清掃中でした。登場して間もない特急型車両ということもあり、多くの方が「スペーシアX」にカメラを向けており、僕もこの時間を利用して1号車側の先頭車両を撮影しました。

スペーシアXとして運行を開始したN100系:鬼怒川温泉駅 2023/9/2

 上の写真では、撮影の加減で車体色が少し青っぽく見えますが、これは日光東照宮の陽明門の胡粉をイメージした白色なんだそうです。実に東武鉄道らしいですね。他にもホームに設置されている昭和テイストの駅名標が入るアングルからも撮影してみました。

 駅名標の向こうに見えるのは1号車ですが、六角形の窓枠とその窓枠をXの文字に見立てるデザインは斬新で、「スペーシアX」の車名に相応しい外観です。また、車両側面には、「スペーシアX」のロゴマークも描かれています。

 もう一方の先頭車両である6号車付近にも多くの観客(?)がおり、珍しそうに車内の様子を見入っている方もいました。僕も清掃が終了して乗車が始まるまでの間、子供ようにドキドキワクワクしながら待つこと数分、発車時刻が近付き、いよいよ乗車が始まりました。

 また後で詳しく紹介しますが、僕は今回、1号車「コックピットラウンジ」にあるソファ座席を利用します。1号車にはカフェカウンターが併設されているため、乗車定員はわずか20人と6両編成の中で最も少ない座席数となっており、始発の鬼怒川温泉駅から1号車に乗車したのは、僕を含めてたった2人だけでした。1号車の乗客は、カフェを優先的に利用することができるということで、乗車すると早々に、スタッフの方からお声がけいただきました。何でもこの後、下今市駅で多くの方が乗車されるため、下今市到着前であればスムーズに購入できるとのことです。メニューを見ると、全体的にアルコール類が豊富ですが、ソフトドリンク類もあったので、その中から「ニッコーラ」というコーラと一口羊羹を注文しました。

 「ニッコーラ」とは、日光珈琲というメーカーが発売しているクラフトコーラで、スパイシーさが特徴的なオリジナル商品のようです。ちょうど喉も渇いていたため、鬼怒川温泉駅を発車する前から「ニッコーラ」をいただいてしまいました。確かに一般的なコーラとは全く違い、ジンジャーエールにも似た独特の風味があります。弱炭酸で味はスッキリとしていますが、思った以上にスパイス感がありました。

 そうこうしているうちに、「スペーシアX」は鬼怒川温泉駅を発車しました。ここで、下今市到着前の乗客がまだ少ないうちに車内の様子を撮影しようと思い、他の号車の様子も見てきましたので、まとめて紹介します。

1号車「コックピットラウンジ」

 まずは僕が乗車している1号車「コックピットラウンジ」です。座席は1人掛け、2人掛け、そして4人掛けのソファ型座席となります。利用には特別座席料金が必要で、1人用は200円、2人用は400円となっており、この料金を支払えば1人で2人掛け座席を利用することもできます(ただし、4人用は2人以上で利用可能)。僕も今回は、2人掛けを利用しました。

 1人掛けは2名分あり、運転席の真後ろに座席がありますが、残念ながら着席したまま前面展望や後方展望を楽しむことはできないようです。ちなみに鬼怒川温泉発の場合、1号車は最後尾となりますので、1人掛け座席は進行方向とは逆向きで着席することになります。そして2人掛けと4人掛けは通路を挟んでそれぞれ両側にあり、すべての区画にテーブルが用意されています。

 車内はラウンジの名にふさわしいデザインで統一されており、内装の色合いなどからクラシカルな雰囲気が漂っています。何でも日光金谷ホテルや大使館別荘などをモチーフに仕上げられたそうで、気品のある落ち着いた空間となっています。定期運行されている特急列車というよりも、観光列車のようですね。

 僕が「ニッコーラ」を購入したカフェカウンターです。僕は発車前に利用することができたため、上の写真のようにカウンターは混雑していませんでしたが、スタッフの方がおっしゃられていたとおり、下今市からは多くの乗車があってコックピットラウンジもほぼすべての区間が埋まり、カウンターも利用客で賑わっていました。

2号車「プレミアムシート」

 隣の2号車は2+1配列の「プレミアムシート」です。最近は、各地の特急型車両で「プレミアム」の名称を用いる座席区分が次々と登場しています。JR東日本のE261系サフィール踊り子のプレミアムグリーンや、近鉄80000系ひのとりのプレミアムシートなどがその例です。そして「スペーシアX」の登場により、東武鉄道にも新たなプレミアムシートが登場しました。後の方に気兼ねすることなくリクライング機能を利用できるバックシェル構造の座席が導入され、電動リクライニングや可動式の枕も装備された豪華な座席となっています。モケット柄のオレンジ色も鮮やかで、旅の高揚感が一段と高まるような車内と言えるのではないでしょうか。

 僕は今回、第一希望だった「コックピットラウンジ」を利用したため、プレミアムシートは利用していませんが、次回乗車する際には、是非とも利用し、その座り心地を確かめてみたいと思います。ちなみにプレミアムシートの利用には、プレミアムシート特急料金が必要となり、鬼怒川温泉-浅草間の場合、スタンダードシート特急料金よりも580円高くなります。

3号車から5号車「スタンダードシート」

 続く3号車から5号車までは、一般的な特急型車両らしい2+2配置の「スタンダードシート」となっています(5号車の一部には「ボックスシート」もあります)。各座席は背面テーブル付きで、また最近の車両らしくとモバイルコンセントも完備されており、2時間程度の乗車を想定した特急型車両としては、十分な設備となっています。

 また、スタンダードシート車両もプレミアムシート車両と同様、連続窓ではなくシート1列に対して1つの個窓となっているため、どの座席からでも同じ条件で車窓を楽しむことができるようになっています。なお、5号車の「ボックスシート」は写真撮影していませんので、説明は省略します。

 さらにこの先の6号車には、「コンパートメント」4室と「コックピットスイート」1室の個室がありますが、個室を利用されている方の迷惑になってはいけないと思い、今回は、6号車の車内に立ち入りませんでした。特に「コックピットスイート」は「スペーシアX」を代表する最上級の車内設備で、プライベートジェットをイメージした「走るスイートルーム」と言われる空間です。運行開始以来、「コックピットスイート」の人気は続いており、特急券も発売直後に完売してしまうようですが、グループで乗車する機会があれば、一度は利用してみたいものです。

 さて今回、「スペーシアX」に初めて乗車した訳ですが、車内の雰囲気やスタッフさんのサービスも含めて、非常にクオリティの高い特急型車両であることがよく分かりました。また、座席の種類が豊富で、利用人数や目的にあわせて車両設備を選択できる点もいいと思います。現在は、2編成での運行されているようですが、2024年にはさらに2編成が導入され、計4編成となるようですので、乗車できる機会も増えるのではないかと思っています。

スペーシアXの6号車側先頭車両:浅草駅 2023/9/2

 列車は時刻どおりに終点の浅草駅に到着しました。次回は、浅草発の「スペーシアX」にも乗車してみたいですね。久しぶりに降り立った浅草駅で記念にパシャリ📸

 

東京駅から東海道新幹線に乗車

 浅草駅で下車した後は、東京メトロ銀座線と京浜東北線を利用して東京駅に移動しました。東京駅からは再び東海道新幹線豊橋に帰ります。もう30分早く東京駅を発車する新幹線でも間に合いますが、今回は時間に余裕を持って、東京駅19:57発の「こだま755号」に乗車することにしました。

 往路はちょうどいい時間に豊橋に停車する「ひかり」号が運行されていたため、これを利用しましたが、残念ながら復路では都合のいい「ひかり」号がなかったので、「こだま」を選びました。まあ、後は帰宅するだけですので、「こだま」でも全然問題ありません。

東京駅18番線で出発を待つN700系:東京駅 2023/9/2

 いつものように、東京駅の乗車ホームで先頭車両の写真を撮影していると、遠くに何か短い編成の新幹線が見えました。もしかしてドクターイエローか?と思って近づいてみると、反対側のホームに停車している黄色いボディの車両が見えてきました。

 やはりドクターイエローです。これまで新横浜駅に停車しているところや、小田原駅を通過するところを目撃したことはありますが、東京駅でドクターイエローを目にするのは、おそらく初めてです。ちょうど発車する直前で、僕が写真撮影するとすぐに発車していきました。旅の終盤で久しぶりにドクターイエローの姿を見ることができ、僕としては大満足です。

 時間になり、「こだま755号」に乗車しました。往路に続き、復路もグリーン車を利用します。グリーン車は座席幅やシートピッチも広く、ゆったりと寛げる点が大きなメリットですが、車内でお弁当をいただく際にも周囲の目が気になりにくく、落ち着いて食事をすることができる点も非常にありがたいですね。夕食がまだでしたので、今回は鬼怒川温泉駅の改札外にある売店で購入したお弁当を車内でいただきます。それがこちら👇

 その名も「スペーシアX 日光埋蔵金弁当」です。「スペーシアX」の車両をあしらった容器に入れられたお弁当は、いかにも子供向け商品のようですが、値段は何と3,000円で、ふたを開ければ大人でも十分満足できるような“鱒寿し”と“ちらし寿司”が可愛らしい箱に入って並べられています。

 両方ともしっかりとした押し寿司で、十分満足できる味です。特に鱒寿しはネタも厚く、酢飯との相性も抜群です。ちなみに「スペーシアX」の容器の中には、スペーシアX刻印入り金色ランチスコップと金色日本刀型ナイフとが入っていました。ナイフで細かく切れ目を入れた上で、スコップを差し込んで食べるということでしょうか? 僕は普通に割り箸でいただき、ランチスコップと日本刀型ナイフはそのまま持ち帰りました。

 食後は約2時間10分のグリーン車でのひとときを満喫し、豊橋駅に到着しました。全体を通してみると、今日は東海道新幹線東北新幹線、さらにトロッコ列車や最新型の特急列車などに乗車することができ、充実した乗り鉄旅になりました。また、会津若松駅での食事や「スペーシアX」のお弁当も、美味しく楽しくいただくことができ、いつものとおり大満足です。

 

乗車券類の紹介

 最後に、今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類を紹介します。

 東海道新幹線の往復分の乗車票です。いつものようにJR東海ツアーズのずらし旅のプランを利用しています。このうち往路分については、東京駅の新幹線改札口で係員の方に乗車券類の持ち帰りをお願いしたのですが、JR東海の場合、事務用のパンチで穴を開けて無効印を押印するのがいつものパターンです。しかし、今回利用した改札口では、きっぷを機械に通して磁気を無効化(?)する処理を行ってくれたようで、パンチによる穴あけはありませんでした。さらに無効印も駅名だけのゴム印ではなく、新幹線のイラストが描かれたスタンプ印を押印してくれました。このあたりは利用する改札口や対応いただく係員によって違いがあるのかもしれませんね。

 続いて、東京から会津若松までの区間で使用した乗車券です。左は郡山まで乗車した東北新幹線分の一葉券なのですが、前回の記事で触れたとおり、普通車指定席の「お先にトクだ値」を購入することができなかったことから、かわりに購入したグリーン車用の「お先にトクだ値」です。右は郡山から会津若松までの乗車券で、東京駅で「お先にトクだ値」のきっぷを受け取る際に、一緒に購入しておいたものです。

 会津若松から浅草までは、JR、会津鉄道野岩鉄道東武の4つの鉄道会社をまたいで乗車することになります。もちろんそれぞれの鉄道会社ごとに乗車券を分けて購入することも可能でしょうが、それでは手間がかかります。そこで会津若松から東武の主な駅までの4社分の連絡乗車券が発売されており、それが今回の記事のタイトルにある「4社連絡片道乗車券」です。4社連絡といえど単なる片道乗車券ですが、一見すると企画乗車券のようなマルス券となっています。会津若松駅みどりの窓口で購入しましたが、「浅草までお願いします。」と伝えると、乗車日の確認があった後、されてすぐに発券してくれました。僕と同じように、4社の鉄道会社をまたいで浅草まで乗車する方は一定数いらっしゃるんでしょうね。

 それと「お座トロ展望列車」の指定席券と「スペーシアX」の特急券ですが、両方ともインターネットを利用して予約・購入したため、紙の乗車券類はありません。

 さて、今回もいつものように、思うがままに旅の思い出を紹介させてもらいました。自分でももうちょっと簡潔にしたほうがいいかなと思ったりしますが、まあ趣味でやっていることなので、その時の気分次第っていう感じです。ということで、また次回も長文になったらスイマセン😥

4社連絡片道乗車券を使った会津若松乗り鉄旅(1)

 8月が終わり、「残暑お見舞い申し上げます。」とあいさつすべき時期になりましたが、一向に暑さが収まりません。8月後半になっても最高気温が35℃近くになる日も珍しくなく、当たり前のように猛暑日が続いています。ここまで暑いと身体がバター🧈のように溶け出すのではないかと本気で思ったりしてしまうあたり、暑さの影響によって脳細胞の一部が壊滅的なダメージを受けているのかもしれません。僕はどちらかと言えば、暑い夏よりも寒い冬のほうが苦手ですが、さすがにここまで暑さが絶え間なく続くと、冬が待ち遠しく思えてきます。ちなみに最近はほぼ毎日、クーラーをフル稼働させて何とか生命活動を維持していますが、冷房の効いた部屋の中にばかりいると、それはそれで身体にダルさを感じてきます。つまりは屋外・屋内どちらにいても体調は万全とはいかないわけで、一体どうしたらいいものなのか、全く分かりません。冷房がなくても快適に過ごせるような涼しい場所はないのでしょうか? 聞くところによると、最近は北海道でも真夏日になる日が増えているようで、どうやら今の日本国内には、人間らしく生きられる場所などないような気がしてきます😭。

 そんな状態が続いているのですから、乗り鉄旅に出かけるような気分にはなれません。不用意に外出すれば、熱中症になってしまう危険性がありますからね。さらに今年は昨年12月に亡くなった父親の初盆ということで、もともと旅行などを事前に計画していなかったということもあり、8月は全く乗り鉄旅に行きませんでした。

 そして今年の8月は、帰省や旅行などで公共交通機関が最も混雑するお盆休みの後半になって、台風と大雨の影響により大規模な運休や遅延が発生しました。特に東海道新幹線では、8月15日に名古屋ー新大阪で終日運転見合わせとなり、翌16日には静岡県内での大雨により一時的に全線での運休を余儀なくされ、さらにその影響が17日にも及んでしまったことから、合計3日間にわたって大幅にダイヤが乱れることとなりました。僕はこの期間、自宅と職場を往復するだけだったので、特に列車の運休や遅延に巻き込まれることはありませんでしたが、中には長時間にわたって足止めを余儀なくされた方も多くおられたようです。こうして見ると、今年は不遇の8月だったと言えそうです。

 さて、僕はと言えば、9月に向けて着々と旅行プランを計画していました。それは、7月15日にデビューしたばかりの浅草ー日光・鬼怒川方面を結ぶ東武鉄道の新型特急「スペーシア X」に乗車するものです。東武には大別して、日光・鬼怒川・会津方面に向かう特急と、館林・足利市・太田・赤城方面に行く特急がありますが、特に日光方面に向かう特急には、100系スペーシア」や500系「リバティ」のほか、JR線との直通運転ではJR東日本253系も充当されるなど、様々な車両が活躍しています。こうした特急型車両には、これまでの乗り鉄旅で乗車してきましたが、そこに新たに投入されたのがN100系「スペーシア X」です。その名前のとおり、東武特急を代表する100系スペーシア」の後継となる車両で、新たな東武特急の“顔”となる、いわばフラッグシップモデルといってもいいと車両だと思います。乗り鉄的にはこの車両に乗車しないという選択肢はなく、1日でも早く乗車してみたいと思っていたのですが、ようやく8月上旬になって希望する座席を確保することができたというわけです。

 ということで、今回の乗り鉄旅のメインはもちろん「スペーシア X」に乗車することになりますが、「スペーシア X」の運行本数は、月~水は2往復、木・金・土休日は4往復となっており、日光方面に向かう特急の一部に充当されています。そして基本的な運行区間は浅草-東武日光間ですが、1日あたり1往復は浅草-鬼怒川温泉間での運行となっています。僕は当初、浅草-東武日光(または鬼怒川温泉)間を往復とも「スペーシア X」に乗車することを考えていましたが、いろいろ調べて見ると、会津若松から会津鉄道の「お座トロ展望列車」で会津田島まで行き、会津田島から「リバティ会津」号に乗車することで、鬼怒川温泉発の「スペーシア X」に乗車できることが分かりました。確か以前は、会津田島駅で「お座トロ展望列車」と「リバティ会津」の接続が図られておらず、「リバティ会津」の発車時刻よりも「お座トロ展望列車」の到着時刻の方が遅いダイヤとなっており、何とも不便なものでしたが、今年3月のダイヤ改正で改善され、「お座トロ展望列車」の会津田島駅への到着時刻が早くなりました。その結果、会津田島駅で「リバティ会津」に乗り換えることが可能となったわけです。

 そこで今回の乗り鉄旅では、当初計画していた「スペーシア X」には鬼怒川温泉ー浅草間の片道で乗車し、その前に「お座トロ展望列車」と「リバティ会津」にも乗車することとしました。そして具体的な旅行行程は、次のとおりとしました。

 豊橋から東京までは、いつものとおり東海道新幹線で移動します。東京からは郡山まで東北新幹線に乗車し、郡山から磐越西線に乗り換えて会津若松を目指します。会津若松で昼食をいただいた後、ここから「お座トロ展望列車」に乗車して会津田島へ、そして会津田島からは「リバティ会津」に乗車して鬼怒川温泉へ、さらに鬼怒川温泉から終点の浅草まで「スペーシアX」に乗車します。浅草からは東京メトロとJR線を乗り継いで東京に向かい、東京からは再び東海道新幹線に乗車するというものです。全体的に列車の接続がいいため、かなりの移動距離となるにも関わらず、日帰りが可能です。

 では、今回の乗り鉄旅を順に紹介したいと思いますので、よろしくお付き合いください。

 

 

豊橋駅から東海道新幹線に乗車

 旅の出発は、例によって豊橋駅です。名鉄線に引き続いて新幹線に乗車するため、乗り換え改札を利用します。

 僕はどうもこの乗り換え改札にある自動改札機との相性が悪いようで、豊橋までの名鉄線のきっぷと豊橋から乗車する新幹線の乗車票を同時に投入すると、なぜか⛔ピンポーンという音と共にピシャっと弾かれてしまいました。確か以前にも同じようなことがありました。駅員さんが僕に代わってきっぷを投入すると、今度はきちんと処理してくれます。どうやら2枚のきっぷをきれいに重ねて投入するのではなく、名鉄線のきっぷを投入した直後に新幹線の乗車票を投入するくらいのタイミングがベストのようです。

 そして今回乗車するのは「ひかり632号」です。豊橋発の上り列車は、始発から2本続けて「ひかり」の東京行きとなりますが、632号はその2本目になります。以前は7時前に豊橋駅を発車するダイヤだったはずですが、現在では7:09発となっており、僕にとってはこれまでよりも利用しやすいものとなりました。

東海道新幹線で活躍を続けているN700系:東京駅 2023/9/2

 豊橋駅では先頭車両まで移動して列車を撮影するチャンスがなかったため、東京駅下車後に撮影したのが上の写真です。いつものとおりN700系に乗車しました。そういえば、東海道新幹線では「のぞみ」と「ひかり」でのワゴン販売が10月末で終了するそうですね。「こだま」でのワゴン販売は以前から休止されていたものの、最近は東海道新幹線の利用者も徐々に回復してきているようでしたので、このタイミングでの営業終了にはちょっと驚きました。新幹線のワゴン販売と言えば、真っ先に“シンカンセンスゴイカタイアイス”を思い浮かべる方も多いのではないかと思います。現にインターネット上では、アイスクリームを行く末を心配する声もあるようですが、果たして新幹線の車内であのアイスクリームを食べることはできなくなってしまうのでしょうか? 確かにワゴンによる車内販売は終了してしまいますが、グリーン車の乗客に対しては、スマートフォンなどを利用してオーダーした商品をパーサーの方が座席まで届けてくれる新たなモバイルオーダーサービスがスタートするということですので、このサービスを利用すれば、引き続き車内で“シンカンセンスゴイカタイアイス”を購入することができるのではないかと思います。

 ちなみに今回はグリーン車を利用しました。また、せっかく「ひかり」に乗車したので、ワゴン販売であのアイスを購入しようかなと思いましたが、さすがに朝からアイスを食べる気分にはなれませんでした。

 

東京駅から東北新幹線に乗車

 東京駅からは東北新幹線の「なすの255号」に乗車します。東京駅では、20番線から23番線までの4つの発着番線の中で、東北(北海道)・山形・秋田・上越・北陸の各新幹線に接続する列車が行き来しており、E4系「つばさ」やE6系「こまち」、E7系「かがやき」「はくたか」など色々な新幹線車両を見ることができます。しかしこれだけ多くの種別の列車を限られた路線容量の中で運行できるというのは、本当にスゴいことだと関心してしまいます。よほど緻密な運行管理がなされているんでしょうね。僕みたいな大雑把な人間にはとても真似できるものではありません。

 ホーム上でそんなことを考えていると、今回乗車するE5系が入線してきました。折り返し運転のため到着後すぐに車内清掃が始まり、しばらくは車内に立ち入ることができません。そのため、この時間を使ってゆっくりと写真撮影を楽しみました。

東北新幹線で活躍を続けているE5系:東京駅 2023/9/2

今回は終点の郡山駅まで乗車します。前回の団体旅行でE5系に乗車した際には普通車でしたが、今回は久しぶりにグリーン車を利用することにしました。

 実は今回の旅行計画当初には、普通車指定席が30%オフとなる「お先にトクだ値」を利用しようと思い、わざわざ事前予約までしておいたのですが、結果は申込不成立でした😭。事前予約しておけば間違いないと思い込んでいましたので、この結果はショックでした。土曜日とはいうものの、夏休み期間真っ只中という時期でもありませんし、そもそも「なすの」が10時打ちでも確保できないほど申込みが集中するとは思えないのですが、ひょっとしたら「お先にトクだ値」での発売枚数が相当限られているのではないかと推測します。ちなみに申込不成立のメールを確認したタイミングでは、すでに10%オフとなる「えきねっとトクだ値」も購入できず、どうしたものかと悩んだ末に、だったら久しぶりにグリーン車にしようと開き直り、グリーン車用の「お先にトクだ値」を購入したものです。

 E5系グリーン車の車内です。上の写真は郡山到着後に撮影したため、乗客は写り込んでいませんが、東京駅発車時点でも乗客は思った以上に多く、先ほどの「ひかり」よりもグリーン車の利用率が高いなと感じました。しかし、よくよく考えてみると「ひかり」のグリーン車が編成中に3両あるのに対して、「なすの」ではグランクラスを除くとグリーン車は1両なので、1両あたりの乗客数が多く見えただけなのかもしれません。

 ちなみにN700系グリーン車にはフットレストが装備されていますが、E5系グリーン車にはフットレストの代わりに電動のレッグレストが備わっています。どちらがより快適に感じるかは好みの問題となりますが、僕はE5系のレッグレストがお気に入りです。一方で、車内全体の雰囲気というか居心地の良さは、N700系の方が僕好みです。もちろんどちらのグリーン車も上品さがあり、不満に感じる点はありません。

 

郡山駅から磐越西線会津若松

 E5系「なすの」グリーン車で快適な移動を楽しむこと1時間35分、終点の郡山に到着しました。ここからは在来線の普通列車会津若松を目指します。乗り換え時間は約25分と余裕がありましたが、なるべく早く乗車できるようにと、新幹線下車後はすぐに在来線ホームに向かいました。ちなみに郡山ー会津若松間には快速の設定もあり、さらに一部の快速は「あいづ」という列車名で指定席の設備があります。せっかくなので、まだ乗車したことがない「あいづ」の指定席を利用したかったのですが、「あいづ」は1日3往復しか運転されておらず、あいにく僕が乗車したい時間帯には設定がありませんでした。

磐越西線で使用されているE721系会津若松駅 2023/9/2

 この区間普通列車がどれくらい混雑するのか分からず、着席できるかどうか心配しましたが、そのイヤな予感が的中し、僕が乗車する頃には、2両編成の車内はすでに多くの座席が埋まっていました。辛うじて窓側座席を確保できましたが、発車時刻が近付くとドア付近だけでなく通路にも立ち客が発生する程の混雑ぶりです。せめて4両編成にならないものかと思いましたが、そう簡単に増結はできないのでしょう。しかし、終点の会津若松まで乗車する観光客も多い路線なので、土休日には指定席の設備がある「あいづ」の運転本数を増やすなどしてもらえると、より安心して利用できるようになるのではないかと感じました。

 なお、今回乗車した普通列車は、普段であれば郡山駅の1番線から発車するのですが、この日は2番線に変更となっていました。1番線には団体専用列車が停車しており、車内からその様子を見ていると、何とE655系「なごみ」ではありませんか! 実は以前の乗り鉄旅で1度だけ乗車したことがありますが、なかなか見かける機会の少ない列車です。普通列車の車内からになりますが、記念にパシャリ📸ました。(ガラス窓越しに撮影したため、こちら側の車内が反射してしまっていますが、ご容赦ください。)

 会津若松駅に到着しました。会津若松と言えば“赤べこ”が有名で、駅構内にも大きな顔の愛くるしい“赤べこ”とご当地キャラの展示がありました。

 さて、会津若松駅ですが、僕は2018年12月に訪れて以来の約4年9月ぶりの訪問となります。確か前回は、早々に郡山に引き返すという慌ただしい日程だったため、外から駅舎を眺めることすらしていなかったような気がします。瓦屋根の城郭のような建物が特徴的で、駅前には白虎隊士の銅像もあります。

 ここで当初の予定どおり、昼食をいただくことにします。会津若松に行ったら是非とも食べておきたいものって何だろうと思い、インターネットで調べると、どうやらソースカツ丼会津ラーメンが有名なようです。とは言っても、現地に滞在できる時間は1時間なので、あまり遠くまで移動することはできませんが、ちょうどいい具合にラーメンやソースカツ丼を提供している飲食店が駅中にあったため、今回はここを利用することにしました。お店の名前は会津山塩食堂さんです。

 店頭にあったメニューを見ながら何を注文しようかと悩みましたが、一番気になった「会津山塩レモンラーメンとミニソースカツ丼セット」に決めました。僕は麺類の中でそれほどラーメンが好きということはありませんが、レモンラーメンというのは食べたことがなく、どういう風味なのか、興味があったからです。注文から提供までの時間は意外と早く、やはりエキナカということで、限られた時間で食事をする方に配慮していただいているようです。

 上の写真が今回いただく「会津山塩レモンラーメンとミニソースカツ丼セット」です。写真で見ると、それほど量が多くは見えませんが、実際には僕が思っていた以上のボリューム感です。当たり前ですが、本当にラーメンに薄切りレモンが添えられています。いつものとおり食レポはしませんが、それほどレモン風味が強いというわけではなく、スッキリした食べやすい味でした。ソースカツ丼の方は甘いソースが絶妙で、僕好みのちょっと濃いめの味付けです。基本的に外出時には少食の僕ですが、最後まで飽きずに完食することができました。ごちそうさまでした😊。

 

会津若松駅から「お座トロ展望列車」に乗車

 食事を終えたところで、「お座トロ展望列車」の発車時間が近付いてきましたので、改札口から入場し、5番線へと向かいました。今回乗車する「お座トロ展望列車」は会津鉄道が運行する列車ですが、会津若松西若松間ではJR只見線を走行します。「お座トロ展望列車」以外の列車も含めて、会津鉄道の列車は基本的に会津若松駅に乗り入れており、会津若松駅が実質的に会津鉄道線の始発駅のような役割を果たしています。会津若松駅の発車標にも、ちゃんと「会津鉄道」という案内があります。

 僕がホームに到着した時点では、まだ列車は入線していませんでしたが、僕と同じようにこれから「お座トロ展望列車」に乗車するであろう方々がすでに何人かホームに見えました。しばらくすると、西若松方面から「お座トロ展望列車」がゆっくりと入線してきました。

お座トロ展望列車で使用されているAT-400形とAT-350形:会津若松駅 2023/9/2

 それでは、まず始めに「お座トロ展望列車」について紹介したいと思います。

運転日と運転本数

 「お座トロ展望列車」の運転日は基本的に4月から11月までの土休日となっていますが、ゴールデンウイークやお盆休み期間、紅葉シーズンなどには、平日にも運転されることがあるようです。運転本数は1日当たり3本(1.5往復)で、発車が早い順に会津浪漫花号、会津浪漫風号、そして会津浪漫星号と呼ばれています。ちなみに僕が今回乗車するのは、“会津浪漫星号”の便です。3便ともJR区間を除いて全車指定席となっており、指定料金は大人400円です。

運転区間

 すべての便が、会津若松会津田島間の約45kmの区間で運転されています。先に紹介したとおり、このうち会津若松西若松間はJR只見線で、西若松会津田島間が会津鉄道線の区間となっています。会津鉄道線内は快速運転となっており、主要駅にのみ停車します。

使用車両

 「お座トロ展望列車」で使用される車両は、会津鉄道が所有・運行するものですが、新たに製造された車両ではなく、JR東日本のキハ40形気動車とキハ30形気動車種車として、AT-400形(1号車)とAT-350形(2号車)に改造されたものです。また、両車両とも2021年7月に外装リニューアルを受けており、現在のカラーリングとなっています。

 全2両の短い編成ですが、車内には、お座敷席、トロッコ席、そして展望席と色々な種類の座席があり、これが列車名の由来にもなっています。それでは、それぞれの座席を見てみましょう。

お座敷席

 まずは「お座トロ展望列車」の“お座”に当たるお座敷席で、1号車の約3分の2を占めています。以前は1号車全体が回転リクライニングシートとなっていたようですが、現在は改装されて掘りごたつ式のお座敷席になっており、通路の左右に32席分並んでいます。4人掛けのボックスタイプで、大きなテーブルを囲んで着席することになります。夏場はやはりトロッコ席の方が人気のようで、僕が乗車した便では空席が目立ちました。しかし、天候の悪い日や車内で静かに寛ぎたい場合には、こちらのお座敷席がピッタリだと思います。

ロッコ

 次に僕が乗車した、「お座トロ展望列車」の“トロ”に当たるトロッコ席の紹介です。2号車は52席すべての座席がトロッコ席で、いかにもトロッコらしい簡易なベンチタイプの座席となっています。もちろん、リクライニング機能などありませんが、座り心地が気になることはありませんでした。こちらの座席も 4人掛けのボックスタイプが基本ですが、車端部にある一部の座席は2人掛けとなっています。僕は今回、相席にならなかったため、4人掛けのボックスシートを贅沢に独り占めすることができました。

 また、6月から9月までの夏季期間中は、トロッコ車両のガラス窓が取り外されており、外気を感じながら列車の旅を楽しむことができます。(雨天☔の場合はどうなるんでしょうかね?)

 トロッコ車両の連結部付近には、オリジナルグッズや飲み物類を販売するスペースがありました。上の写真にも写っていますが、車内に郵便ポストも設置されています。この郵便ポストは単なる展示物ではなく、実際にハガキを投函することができるのだそうです。

展望席


 最後に「お座トロ展望列車」の“展望”に当たる展望席です。展望席は1号車の会津若松寄りのハイデッカー部分に12席設置されており、会津田島発の場合は前面展望を楽しむことができますが、会津若松発の場合は残念ながら後方展望になってしまいます。進行方向と逆向きというのはあまり好まれないようで、展望席の座席は運転席に背を向けて進行方向側に転換されていました(もちろん乗客自身で反対方向に転換し直すこともできます)。会津若松駅発車時点で確認したところ、展望席の利用客も少ないようです。

車内から眺めるトンネルシアターとビュースポット

 さて、ここからは実際の旅の様子を紹介したいと思います。僕が乗車した“会津浪漫星号”は、定刻どおり会津若松駅を発車しました。しばらくはJR線区間を走行しますが、すぐに会津鉄道の起点となる西若松駅に到着します。会津若松西若松のJR線の区間は乗車券のみで乗車できるため、18きっぱーの中には、会津若松西若松間のみこの列車に乗客する方もいるようです。

 西若松からは会津鉄道線をします。「お座トロ展望列車」はやはり観光利用を目的とした列車ということで、走行中にも沿線の観光案内などがありました。しかし気動車ゆえにエンジン音でかき消されてしまい、ほとんど聞き取れないのが残念なところです。加えて僕が乗車しているトロッコ車両は窓がない状態のため、思っていた以上に強い風が車内に吹き込んできます。テーブルに置いたスマホやペットボトルが飛ばされるのではないかと心配になるほどです。

 暑さは感じるものの、風に当たりながらの乗車を楽しんでいると、他の乗客の方が車内でアイスを購入されていました。それを見たら僕も食べたくなってしまい、バニラ味のアイスをいただくことにしました。

 このアイス、例のアイスとは比べものにならないくらいの柔らかさです。風が強いため、この後フタが飛んで行きました。

 会津鉄道線内にはいくつかトンネルがあります。トロッコ車両に乗車してトンネル内を通過するというのもなかなか経験できないことですが、この列車ではトンネルシアターなるものがあり、走行中の車内からトンネル壁面に映し出される映像を鑑賞することができます。僕は今回、9番D席を利用しましたが、この席だとちょうど真横に映像が映し出されます。

 もちろんトンネルシアター以外にも見どころはあります。途中には3つのビュースポットがあり、橋梁の上で一時停車して、乗客が景色を眺めたり写真撮影などを行える時間が設けられています。この日は若干曇り気味でしたが、雄大な自然とその中にある人工物の美しいハーモニーが織り成す風景を楽しむことができました。緑の多い自然の中に身を置くと、何とも言えない清々しい気分になりますね。列車に乗車したままこうした景色を楽しめられるのは、何とも贅沢なことです。

 「お座トロ展望列車」での約1時間20分の乗り鉄旅はあっという間で、列車は終点の会津田島駅に到着です。会津鉄道線自体は、この先の会津高原尾瀬口駅まで続きますが、僕はここから先、「リバティ会津」に乗車していきます。長くなってきましたので、以降は次回に続きます。

>>(2)に続く