レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

観光列車「雪月花」に乗車

 10月になり、涼しく感じる日が少しずつ増えてくる時期になりましたが、今年はまだまだ暑い日が続いています。日中は、半袖のポロシャツ一枚でも違和感はなく、職場では、一度は役目を終えた扇風機が再び活躍している状態です。僕の乗り鉄旅は、前回の九州旅行で夏シーズンを終了し、10月からはいよいよ“秋旅”となりますが、ここ数日間の体感気温からは、秋らしさを感じるものがありません。

 そんな今日この頃ですが、最近の出来事を振り返ると、前回の九州乗り鉄旅を終えた直後に、新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を受けました。職域接種ということで、モデルナ社製のワクチンだった訳ですが、1回目にもかかわらず思った以上の副反応があり、微熱と腕の痛みが数日間続きました。来週には、2回目の接種を受けるますが、すでに接種を終えた周囲の方の話を聞くと、どうやら1回目よりも強い副反応があるようなので、すでに不安でいっぱいな状態です。

 話がそれてしまいましたが、そんなワクチン接種2回目の不安を打ち消すため、今回は“秋旅”として計画していた、えちごトキめき鉄道(通称:トキ鉄)の「雪月花」に乗車する乗り鉄旅に行ってきましたので、その様子を紹介したいと思います。

 まずは、「雪月花」に乗車するに至った経緯ですが、昨年11月にJR四国の「四国まんなか千年ものがたり」に初めて乗車し、沿線の風景を眺めながら車内で提供される料理を楽しむ旅の魅力に引き寄せられて以来、僕の中では、いわゆる“レストラン列車”に乗車することが、ちょっとしたマイブームとなっています。1か月ほど前の九州乗り鉄旅でも、憧れだった「或る列車」に乗車したところです。

 現在、国内にはいくつかの“レストラン列車”があり、先に紹介した「四国まんなか千年ものがたり」や「或る列車」などJR各社が運行するものだけでなく、例えば、大手私鉄では、西武の「旅するレストラン 52席の至福」や、西鉄の「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」などが有名で、さらには第三セクター会社でも、肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂」や、長良川鉄道の「ながら」などが運行されています。そうした列車の中でも、僕が以前から特に注目していた列車のひとつが、トキ鉄の「雪月花」です。以前に購入した観光列車のガイドブックにも大きく取り上げられており、車体の美しさや提供される料理の評判も高いようで、ちょっと大げさかもしれませんが、日本を代表する“レストラン列車”と言っても過言ではない車両です。そこで今回は、「四国まんなか千年ものがたり」「或る列車」に続き、車内で料理を楽しむ列車への乗り鉄旅第3弾として、「雪月花」に乗車することにしたものです。

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 今回の乗り鉄旅の行程表です。大まかに言えば、名古屋からの往路は、米原経由で特急「しらさぎ」と北陸新幹線、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道を利用して糸魚川まで行き、雪月花に乗車した後、上越妙高からの復路では、北陸新幹線と特急「しなの」を利用するものです。結果的には、ちょうど一筆書きのルートとなります。行程を作成する初期の段階では、往路も「しなの」と北陸新幹線を利用することを考えていましたが、せっかくならば往路と復路で違う経路にしてみようと考え直し、北陸本線を利用して「しらさぎ」に乗車することにしました。また、名古屋から金沢までは、始発から終点まで「しらさぎ」に乗車して乗り換えなしで行くこともできますが、名古屋から米原までは東海道新幹線に乗車し、米原から「しらさぎ」に乗車する方法もあります。今回は、少しでも出発時間に余裕を持たせるため、後者の行程とすることしました。

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雪月花で使用されているET122形1000番台:糸魚川駅二本木駅 2021/10/9

 往路の糸魚川までの区間と、復路の上越妙高からの区間は省略させてもらい、早速「雪月花」を紹介したいと思います。
 レストラン列車を始めとする観光列車では、既存の車両を改造して製造されたものが多い中、トキ鉄のET122形1000番台「雪月花」は全くの新造車両です。また、トキ鉄は全線が電化されており、自社線内に限れば電車でも全線走行可能ですが、他の非電化路線に乗り入れることを想定してか、気動車となっています(実際に非電化区間のあるJR大糸線に入線した実績もあります)。

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 車内の開放感を高め、また、車内からの展望を最大限に確保するため、車両限界ぎりぎりの天井高となっており、近鉄20000系「楽」にも似た面長な顔立ちが特徴的です。外観のカラーリングには、銀朱色と名付けられた色が用いられており、鮮やかな朱赤色が目を引き、所々に取付けられた金色に輝くエンブレム類が、車両の美しさを引き立てています。

 また、この車両最大の外観上の特徴は、何と言っても屋根肩部にまで回り込むように設置された側窓です。僕もこれまでいろいろな観光列車に乗車してきましたが、ここまで大きな側窓を備えた車両を見たのは「雪月花」が初めてです。天井付近からの暖かい日差しが車内に注ぎ込むと同時に、車内からも、ダイナミックな車窓を存分に楽しむことができるようになっています。

 実は以前、2019年8月に「青春18きっぷ」と「北陸おでかけパス」を使った北陸横断乗り鉄旅に出かけた際、直江津駅のホームに停車中の「雪月花」を見かけたことがあります。その時は、たまたま有名な観光列車を目撃することができたという程度の認識でしたが、今回は自分が乗車する立場になり、そうした視点でゆっくりと車両の外観を見ていると、これから始まる旅への期待感が次第に高まってきます。丸みを帯びた優しい印象の2両編成の外観には、どこか可愛らしさも感じられました。

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 「雪月花」は、土休日を中心に運行日が設定されており、通常、午前便(上越妙高糸魚川)と午後便(糸魚川上越妙高)の1日2往復の運転となっています。乗車には専用の旅行商品を購入する必要があり、運行開始当初は、食事付きプランと食事のない乗車のみのプランがあったようですが、現在は基本的にすべて食事付きのプランとなっています。午前便でも午後便でも料金に違いはありませんが、車内で提供される食事に違いがあり、午前便はフレンチ、午後便は和食となっています。

 当初は、普段あまり食べる機会のないフレンチ料理にするため、午前便に乗車してみたいと思っていましたが、運行ダイヤを確認したところ、午前便は始発の上越妙高を10:19に発車するということで、これに乗車するためには前泊が必要となることから諦めました。午後便は、始発である糸魚川を13:59に発車し、終点の上越妙高には16:44に到着するため、昼食には少し遅い時間になってしまいますが、当日の朝に最寄り駅を出発しても十分に間に合い、また、終点の上越妙高に到着した後、そのまま帰路に着けば日帰りでの旅行も可能となります。

 ちなみに、今回乗車する午後便は、糸魚川発車後、日本海ひすいラインを走行して直江津に向かい、直江津からは妙高はねうまラインに入って南端の妙高高原を目指します。妙高高原到着後は、折り返して上越妙高まで運転されるルートで、途中には、直江津の他、日本海ひすいラインの筒石と、妙高はねうまラインの二本木に停車します。筒石駅はトンネル内にホームがある珍しい駅で、また、二本木駅スイッチバックのある駅として知られています。この両駅では、乗客が実際にホームに降り立って、写真撮影などを楽しむことができるよう、停車時間が設けているのだと思います。
 糸魚川から上越妙高までの乗車時間は2時間45分で、レストラン列車として車内で食事を楽しむには、ちょうどいい時間だと思います。

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 続いて車内の紹介です。まずは僕が乗車した1号車です。車いす対応スペースを除く乗車定員は22名ですが、新型コロナウイルス感染症対策として乗客数を減らして運行されているようで、実際の乗客数は、僕を含めて8名でした。本来の乗車定員からみれば半数以下のため、乗客同士の距離が保たれおり、他の乗客の視線が気になることもありませんでした。

 1号車の座席は、車窓を楽しむことに重点を置いたラウンジ形式となっており、ほとんどの座席が日本海側と妙高山側を向いて設置されています。1人掛けのカウンター席と、2~3人掛けのベンチシートタイプの座席があり、また、運転席後ろのハイデッキ部分はフリースペースになっていて、乗客が自由に利用することができるようになっています。

 座席のモケット色は黄金色と若草色で、とても明るい車内です。実際に車内に入ってカウンター席から車窓を眺めてみると、大型の側窓から飛び込んで来る風景はとてもダイナミックで、特に日本海側の風光明媚は区間で行われる徐行運転区間では、雄大な景色の中に自分自身が溶け込んでいるかのような感じを覚えます。また、展望ハイデッキからは、ガラス張りの運転席を通して、車両後方(直江津妙高高原間では車両前方)の景色を堪能することもできます。

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 次は2号車の車内ですが、こちらは4人掛けと2人掛けのテーブル席がそれぞれ左右に3つずつ設置されており、さらに連結部寄りの車端には、バーカウンターである「さくらラウンジ」が、運転席寄りには「雪月花」の中でも特別な座席である展望ハイデッキ席(要追加料金)が用意されています。1号車がラウンジ形式の車内設備となっているのに対し、2号車は本格的なレストランカー形式の座席配置となっており、全体的に落ち着きのある雰囲気となっていました。ちなみにこの日の2号車には、高齢者のツアー客が団体で乗車していましたが、その中に偏屈で気難しい男性が1人いて、その方にカメラを向けている訳でもないのに、肖像権が侵害される可能性があるというようなことを強く主張しており、正直言って、不快なものでした。その方は、何かを誤解しているのかもしれませんが、僕だけでなく、周囲の人も同じ気持ちだったと思います。社会生活の中で、何がどこまで許容されるのかは、人それぞれの感じ方によって基準に違いがあるのは当然ですが、あまりに極端な態度や振る舞いは、周囲の方々に不快な思いをさせてしまいます。しかし、当の本人は、そんなことには全く気が付いていない様子です。「人の振り見て我が振り直せ」と言いますが、どういう状況になろうと、僕自身はあういう人間にはなりたくないなと強く思いました。ということで、2号車の車内は、ラウンジのみの紹介です。

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 今回は午後便に乗車したため、食事は和食となります。糸魚川発車後すぐに、各座席に三段の折箱が運ばれてきて、あわせてウェルカムドリンクも用意されます。ウェルカムドリンクは、ソフトドリンクとスパークリングワインから選ぶことができ、僕は前回の「或る列車」に続いて、スパークリングワインを注文しました。

 そしてお楽しみの食事ですが、事前にWebページで調べた情報によると、この料理を担当しているのは、糸魚川にある鶴来家という老舗割烹ということで、かなり本格的な和食料理となっていました。

 食事の内容を簡単に紹介すると、

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一の重
 紅ズワイ蟹を使ったちらし寿しです。紅ズワイ蟹は地元・糸魚川の名産だそうです。折箱いっぱいに敷き詰められた錦糸卵と紅ズワイ蟹が、見た目にも彩りよく盛り付けられていました。

二の重
 二の重は、いろいろな新潟の味をぎゅっと詰めた折箱で、糸魚川の郷土料理や地元にしかない希少な山菜を使った料理などが用意されています。また、さつまいものレモン煮や牛肉巻きなど、多種多様な食材をじっくりと味わうことができました。

三の重
 旬を詰め込んだ折箱で、鯛や鱸、甘えび(南蛮えび)といった魚介類を中心に、茶碗蒸しも添えられていました。どの折箱も冷製の料理でしたが、調理方法も素晴らしく、特に甘鯛の塩焼きが美味しく仕上げられていました。

味噌汁
 メギスのつみれ汁も提供されました。

デザート
 デザートも和菓子です。一番左はさるなしジャムの寒天だそうで、さるなしという食材を初めて知りました。中央は甘酒で、すりおろした生姜が添えられています。一番右は味噌まんじゅうでした。

 さらに今回は、列車を予約する際にオプションとしてケーキも予約していたため、最後にイチゴのショートケーキが運ばれてきました。折箱の食事だけでも昼食として十分な量でしたが、甘いものは別腹ということで、しっかりと美味しくいただきました。

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 乗車前の受付時に、名刺サイズの記念乗車証をいただきました。この記念乗車証を提示することで、「雪月花」乗車当日に限り、トキ鉄全線(普通、快速、急行、特急列車の自由席)が乗り放題となります。受付前にトキ鉄に乗車する場合でも、乗車日の数日前にメールで送られてくる最終案内書を提示すれば、同様にトキ鉄全線が乗り放題となるため、僕も「雪月花」乗車前の市振→糸魚川間では、この特典を利用しています。

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 また、乗車記念証ではありませんが、「雪月花」の運行区画や時刻をまとめた台紙が各座席に用意されており、裏面には乗車記念スタンプを押印できるようになっていました。2号車のカウンターにスタンプが置かれていたので、僕も記念に押印しました。

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 今回の乗り鉄旅で利用したすべての乗車券類を紹介します。往路の名古屋-富山間は「北陸指定席特急回数券」を利用しました。このきっぷを利用すると、名古屋-金沢間は「しらさぎ」の普通車指定席に、金沢-富山間は北陸新幹線の「つるぎ」「はくたか」の普通車自由席に乗車できます。また、名古屋ー米原間については、「しらさぎ」の指定券の交付を受けていなければ、東海道新幹線の普通車自由席に乗車することもできます。僕は1回しか利用する予定がないため、金券ショップでバラ売りのものを購入しましたが、1枚7,550円ということで、正規の運賃・料金と比べると、多少なりともおトクに乗車できたと思います。続く富山-市振間は、あいの風とやま鉄道の普通乗車券を購入しています。

 復路の上越妙高から名古屋市内までは、普通乗車券を利用しました。北陸新幹線と「しなの」を長野駅で乗り継ぐため、在来線の特急料金が半額になっています。名古屋から北陸地方(福井、金沢、富山、高岡、黒部宇奈月温泉など)に行く場合、今回利用した「北陸指定席特急回数券」が利用できますが、名古屋から信越方面(飯山、上越妙高糸魚川)に行くためのおトクな回数券類は存在しません。高速バスなど格安の移動手段もあり、こうした区間での利用客は少ないのかも知れません。

 こんな感じで、今年最初の“秋旅”を無事に終えることができました。振り返って見ると、九州での「或る列車」といい、今回の「雪月花」といい、最近の乗り鉄旅では、ちょっと贅沢し過ぎのような気もしてきました。現時点で次の乗り鉄旅の具体的な予定はありませんが、これからもお財布と十分相談しながら、楽しい乗り鉄旅にしたいと思っています。

2つの観光列車とSLに乗車する九州乗り鉄旅(3)~36ぷらす3編~

 前回の記事からの続きです。

 今回の乗り鉄旅では、JR東海ツアーズが発売している1泊2日の旅行商品「ダイナミックぷらっと 九州シングル」を利用しており、宿泊は博多駅の近くにあるホテルユニゾ博多駅博多口です。この旅行商品は、名古屋⇔博多間の「のぞみ」号の普通車指定席の往復と、ホテルへの宿泊がセットになったもので、予約日時によって旅行代金が変動する価格変動型商品です。今回申し込んだ際には31,700円で、これでも正規の運賃・特急料金から考えれば十分に安いものですが、実は6月下旬に出発を予定していた際に同じツアーで手配したときには、さらに安い27,300円(早割による500円引の後の額)でした。時期の違いということもありますが、今回は「ダイナミックぷらっと秋旅セール」が発売される直前に申し込んでしまったことが影響しているようです。

 利用したホテルユニゾ博多駅博多口は、博多駅から少し離れた位置にありますが、1泊2日の利用には何の不自由もなく、また、設備も綺麗な新しいホテルでした。なお、今回は早朝に出発する予定のため、朝食のない素泊まりプランとしました。

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にちりんシーガイア号で使用されている787系博多駅 2021/9/12

 ホテルを早めにチェックアウトし、博多駅に到着しました。あらためて2日目の乗り鉄旅の行程を確認すると、博多から大分まで「にちりんシーガイア」号で移動し、大分からは「36ぷらす3」に乗車して博多に戻ります。まさに「36ぷらす3」に乗車することだけを目的とした大分までの往復旅で、乗り鉄ならではの旅となります。

 上の写真は、出発直前の「にちりんシーガイア」号を撮影したものです。実は列車が入線してくるまで、僕は783系で運用されていると勝手に勘違いしていましたが、よく調べてみると、787系が所定の運用となっているようです。

 この「にちりんシーガイア」号ですが、博多ー宮崎空港間を1日1往復運転しています。博多ー大分間が「ソニック」、大分ー宮崎空港南宮崎)間が「にちりん」というのが基本となっていますが、「にちりんシーガイア」はこれらの区間を直通しており、その運行距離はなんと413.1㎞です。これは、定期運行を行うJRグループの在来線昼行特急列車としては最長距離となっています。僕は途中の大分までの乗車のため、「にちりんシーガイア」でなく「ソニック」でもよかったのですが、たまたま時間的にちょうどよかったということと、一度くらいは最長距離を走行する特急列車を利用してみたかったということで、乗車することとしたものです。

 車両は787系で、この車両には以前の九州乗り鉄旅で「かもめ」として乗車したことがあります。「にちりんシーガイア」号の場合、全6両編成のうち3号車にボックスシートがありますが、普通車の指定席は2号車のみとなっていることから、このボックスシートは自由席ということになります。実際に乗車してみると、車内の座席には相当余裕があり、他の乗客に迷惑をかけることもなさそうだったため、車掌さんの許可を得て、本来の指定座席から3号車のボックスシートに変更することにしました。

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3号車のボックスシート

 ボックスシートといっても、昨日乗車した「SL人吉」の客車にあるようなボックス席ではなく、それぞれが半個室となっているコンパートメントタイプの座席です。大型のテーブルも据え付けられており、車内で朝食を食べるのにも非常に便利です。大分までの乗車時間は約2時間30分で、決して短いものではありませんが、ゆったりとした4人用のボックスシートを1人で利用させてもらえたことで、とても快適に乗車することができました。

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36ぷらす3号で使用されている787系中津駅門司港駅大分駅 2021/9/12

 大分に到着し、トイレ休憩を済ませるなどして再び改札を通ると、ホームにはすでに「36ぷらす3」が入線していました。車両自体は、先ほど乗車したのと同じ787系ですが、カラーリングがとても美しく、特別な列車であることが伝わってきます。「36ぷらす3」は、2020年10月に運行を開始した列車で、JR九州のD&S列車の第12弾として登場しました。これまでのD&S列車はすべて気動車でしたが、今回の「36ぷらす3」は初の電車となります。また、他のD&S列車と同様、水戸岡鋭治氏が車両のデザインを担当しています。

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 車両の外観は、まさに黒です。ちょうど昨日の「SL人吉」を牽引していた58654(8620形)蒸気機関車と同じ真っ黒のカラーリングとなっています。さらに、ところどころに金色の装飾が施され、これまた昨日乗車した「或る列車」を連想させるものがあります。ちなみに「36ぷらす3」というちょっとかわった列車名ですが、九州が世界で36番目に大きい島ということを示すとともに、沿線の35のエピソードと利用者自身による“36番目のエピソード”を表しており、これに3を加えて、36+3=39で「サンキュー(39)の輪」を広げたいという願いが込められているということです。

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 ここで、「36ぷらす3」の運行ルートを紹介したいと思います。「36ぷらす3」は、5日間かけて九州内を反時計回りに一周するというもので、木曜日に博多を出発し、肥薩おれんじ鉄道線を経由して鹿児島中央まで向かいます。金曜日は鹿児島中央から宮崎へ、土曜日は宮崎空港から別府へと進み、今回僕が乗車する日曜日には、大分から博多に戻るというものです。なお、月曜日には、周遊ルートを外れて、博多ー長崎間を往復で運行しています(火曜日と水曜日は運行していません)。

 それぞれのルートには、沿線のエピソードにあわせた色が設定されており、木曜日は"赤の路"、金曜日は"黒の路"、土曜日は"緑の路"、日曜日は"青の路"、月曜日は"金の路"と呼ばれています。このうち運行距離が最長となるのは博多ー鹿児島中央間の"赤の路"で317.1km(JR鹿児島本線200.2km+肥薩おれんじ鉄道116.9km)で、逆に最短となるのは鹿児島中央ー宮崎間の"黒の路"で125.9kmです。乗車時間もそれぞれ異なりますが、僕が今回乗車する"青の路"は、運行距離198.5kmで、乗車時間約5時間45分という、久しぶりの長時間の乗車旅となります。

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 "青の路"の時刻表です。JR時刻表などでは、乗下車可能駅となる大分、別府、小倉、博多の発着時間が公表されていますが、実際には杵築駅中津駅でおもてなし停車があり、さらに門司港駅にも立ち寄って自由散策の時間も用意されています。同じく大分ー博多間を走る特急「ソニック」には、最速で2時間強で結ぶものもありますが、「36ぷらす3」は約2倍の時間をかけて走ります。特急でありながら、ゆったりした、そして、のんびりした乗り鉄旅を楽しむことができます。

 「36ぷらす3」は全6両編成の全車グリーン車指定席ですが、それぞれの号車ごとに車内設備が異なっています。また、旅行商品のみで利用できる号車と、駅の窓口で購入する特急券・グリーン券でも利用できる号車に別れています。これらを簡単にまとめると、次のとおりです。

 1号車 旅行商品専用 グリーン個室(3〜4名用)畳敷き
 2号車 旅行商品専用 グリーン個室(4〜6名用)
 3号車 旅行商品専用 グリーン個室(1〜2名用)ビュッフェあり
 4号車 マルチカー 
 5号車 旅行商品又はきっぷ 1+2配置のグリーン席
 6号車 旅行商品又はきっぷ 1+2配置のグリーン席 畳敷き

 1号車と6号車は畳敷きになっており、靴を脱いで寛ぐことができる車両です。3号車は、セミコンパートメントのグリーン個室とビュッフェの合造車で、もともと787系の落成当初に運用されていたビュッフェが復活しています。5号車と6号車は車内中央部で客室が区切られており、旅行商品購入者用の座席と、通常の特急券・グリーン券購入者向けの座席が分けられています。

 車内では時間に余裕があったので、各号車の様子を撮影してみました。なお、1号車と6号車は畳敷き車両で、わざわざ撮影のために靴を脱いで車内に立ち入ることも憚られたため、撮影していません。

2号車

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 グリーン個室3室と、車いす対応座席が2席あります。なお、個室と言っても、完全に間仕切りされた独立した空間となっている訳ではなく、天井付近は吹き抜けとなっており、パーティションで区分けされた空間といった感じです。明るい色の木材とゴールドの装飾が、華やかで豪華な雰囲気を醸し出しています。

3号車

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 もともとあったセミコンパートメントの区画を利用したグリーン個室6室が並んでいます。1号車と2号車では、通路を片側に寄せることで個室の空間を広く確保していますが、3号車では、中央の通路の両側に個室が配置されており、さきほど乗車した「にちりんシーガイア」の座席と同じ構造となっています。また、ビュッフェスペースも広々としていました。

4号車

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 マルチカーとして、乗客であれば誰でも自由に利用できる空間となっており、ラウンジ的な役割を担っています。大型のモニターを完備しており、各種イベント開催時にも利用されています。「36ぷらす3」の車両の中でも特に開放感があり、広々とした空間が特徴的な車両となっています。なお、車端部には小規模なカウンターが設置されていましたが、今回は特に利用されていないようでした。

5号車

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 旅行商品購入者用の座席と、通常の特急券・グリーン券購入者向けの座席とで違いはありません。ただし、座席のモケット柄は分けられており、旅行商品用の区画の座席はすべて白地に青い植物柄のもので、通常のきっぷ類で購入できる区画には、緑や黒などの柄の座席がランダムに配置されていました。モバイルコンセントや座席回りの設備はすべて共通のようです。

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 ちなみに僕が利用したのは、5号車の1人掛け座席です。予約する時点では、6号車の1人掛け座席にも空席があり、お座敷列車のような畳敷きの車両も面白いかなと思いましたが、号車外への移動の都度、靴を履いたり脱いだりするのも面倒だなと考え、あえて5号車の方を選びました。観光列車にありがちな窓枠と座席位置が一致しない"ハズレ席"はなく、窓側の席であれば、どの席からも同じ眺望を楽しむことができます。ただ、ちょっと残念だったのは、窓には左右に動かすことができる障子が取り付けられており、せっかくの外の景色を窓半分しか眺めることができなかったことです。

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 車内では、アテンダントさんから直接、「36ぷらす3」青の路のリーフレットをいただきました。沿線の見所や、35のエピソードのうち青の路にある5つのエピソードが紹介されています。また、「36ぷらす3」の車内には乗車記念スタンプがあり、また、途中の杵築駅門司港駅にも、36ぷらす3専用のスタンプが用意されているとのことで、リーフレットの中には、これらのスタンプを押印するための箇所もありました。

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 「36ぷらす3」青の路では、途中の門司港駅で約40分の停車時間が設けられており、乗客は改札を出て駅周辺の散策を楽しむことができます。門司港駅は近年、大規模な改修工事が行われ、ネオルネサンス様式の建設当時の姿によみがえりました。駅前には噴水があり、「36ぷらす3」の到着にあわせて作動するという催しもあり、多くの人がカメラを向けていました。また、門司港駅のホームの端には、昔の腕木信号機とともに季節の花が植えられており、「36ぷらす3」の美しい車体に花を添えていました。

 門司港を出発すると、次は小倉に停車します。僕が乗車した5号車のうち通常のきっぷ類で購入できる区画には、始発の大分とその次に停車した別府からの乗客が5人程度乗車していましたが、僕を除く他の乗客は、小倉で下車しました。小倉から先、終点の博多までは僕1人だけかなと思っていたところ、小倉から数人が乗車してきました。短区間だけ「36ぷらす3」に乗車される方がいることにちょっと驚きましたが、それだけ「36ぷらす3」の人気があるということなのだと思います。

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 今回使用した「にちりんシーガイア」と「36ぷらす3」の乗車券と特急券です。ついでに参考として、九州までの往復に利用した「のぞみ」の乗車票も紹介しておきます。博多→大分間の「ソニック」「にちりんシーガイア」には、九州ネット早特3の設定があり、JR九州のインターネット列車予約サービスを利用することでおトクに乗車することができます。一方で大分→博多間の「36ぷらす3」にはネットきっぷの設定はなく、さらに「36ぷらす3」用のグリーン料金が適用されるため、博多→大分間の「にちりんシーガイア」が2,550円だったのに対し、大分→博多間の「36ぷらす3」は9,450円となりました。しかし、実際に乗車してみると「36ぷらす3」の満足度は非常に高く、この値段に見合うだけの価値は十分にあると思います。今回は、前日に「或る列車」に乗車してちょっと贅沢をしてしまったため、「36ぷらす3」には通常の特急券とグリーン券で乗車しましたが、次回乗車する際には、昼食付きのランチプランを利用し、車内でのちょっと贅沢な食事も楽しんでみたいと思います。

2つの観光列車とSLに乗車する九州乗り鉄旅(2)~或る列車編~

 前回の記事からの続きです。

 鳥栖で「SL人吉」を下車した後、快速列車で博多に戻りました。ここからはいよいよ、今回の乗り鉄旅での最大のイベントである“JR KYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」”に乗車します。「或る列車」に乗車するためには、専用の旅行商品を購入する必要があり、僕もあらかじめ専用のWebページから申し込みを行っていましたが、出発日の数日前、ツアーデスクから行程表などの必要書類が送られてきました。それを見ると、博多駅の発車時刻は14:58で、入線後の14:36頃より乗車できるとの案内がありました。できれば発車前に、「或る列車」の外観を撮影したいと思い、少し前に乗車場所として指定された7番線に向かうと、ほどなくして金色に輝く2両編成の気動車が入線してきました。

 ここで話しがそれますが、僕が「或る列車」に乗車したいと思うようになったきっかけについて、少しだけお話ししたいと思います。「或る列車」は、2015年8月に運行を開始した列車で、僕も以前からその存在は知っていましたが、JR九州の中では「ななつ星in九州」に次ぐ豪華列車で値段が高く、また、人気列車で予約も取りづらいと聞いていたため、つい最近まで、実際に乗車することはあまり考えていませんでした。しかし、昨年11月の四国乗り鉄旅で「四国まんなか千年ものがたり」に乗車して以降、単に乗車するだけでなく、車内で食事を楽しむことができる列車に魅了され、それからは、実際に「或る列車」にも乗車してみたいという思いが強くなりました。そこで思い切って奮発し、今回の乗り鉄旅で乗車してみることにしたという次第です。

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 送られてきた行程表に記載されていた「或る列車」の時刻表は、上のとおりです。ちなみに「或る列車」には、時期によって様々な運行ルートがあり、固定された定期運行路線はありません。代表的なルートとして、大分⇔日田間の「大分コース」、佐世保⇔長崎間の「長崎コース」があり、その一つとして、今回乗車する「ハウステンボスコース」(ハウステンボス⇔博多間)があります。定期運行されている特急列車であれば、約1時間50分で移動できる距離ですが、「或る列車」は約3時間かけてハウステンボスを目指します。

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或る列車で使用されているキハ47形:博多駅鍋島駅ハウステンボス駅 2021/9/11

 行程表では、始発の博多から終点のハウステンボスまでの間に停車駅は設定されていないように見えますが、実際には数回の運転停車があり、さらに鍋島では扉扱いがあり、乗客がホームに降りて、写真撮影を楽しむことができる時間が設けられていました。ということで、博多とハウステンボス、それに鍋島で車両の外観をいくつか撮影することができました。

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 「或る列車」の車両を直に見るのはもちろん初めてですが、とにかく豪華で煌びやかです。車両自体は、国鉄時代のキハ47形気動車を改造して製作されたもので、種車の面影が強く残されていますが、外装色は金色で、これに細かな唐草模様があしらわれています。ちなみにこの唐草模様ですが、車両前面下部の箇所をよく見ると、塗装ではなく、金属板を唐草柄に加工したものが取り付けていることが分かります。車両全体を眺めて見ると、まるで一つの芸術作品にように感じられ、何だか近寄りがたいような、別世界から来た特別な車両といった感じがしました。側窓上部に飾り窓を模したアーチ状の装飾が施されている点や、客用扉の窓にステンドグラスが取り付けられている点も特徴的で、細部に至るまで実に精巧に飾り付けられていました。

 ちなみに、2両編成のうち、1号車がキロシ47-9176、2号車がキロシ47-3505となっています。どちらも、気動車を表す「キ」、グリーン車を表す「ロ」、そして食堂車を表す「シ」が付けられており、JRの車両としては大変珍しい形式記号となっています。

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1号車の車内

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1号車の2人用テーブル座席

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1号車の4人用テーブル座席

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2号車の車内

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2号車の1人用個室

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2号車の2人用個室

 続いて車内の紹介です。外観の美しさにも驚かせられましたが、車内に入ると、まるで高級ホテルのラウンジに案内されたかのような、華麗で優雅な空間が広がっていました。この「或る列車」をデザイン・設計したのは、あの水戸岡鋭治氏で、「或る列車」以外にも、JR九州の様々なD&S列車のほか、富士急行8500系「富士山ビュー特急」や、京都丹後鉄道のKTR8000形「丹後の海」などを手掛けたことでも有名で、「或る列車」の車内からも、こうした車両に似た“水戸岡テイスト”の雰囲気が感じられましたが、やはりそれらの中でも「或る列車」は別格といっていいと思います。

 なお、1号車と2号車では座席設備に違いがあり、1号車は2人用と4人用のテーブル座席が配置された開放的な空間となっているのに対し、2号車は中央の通路を挟んで左右に1人用と2人用個室(コンパートメント)が並んだプライベート感の高い空間となっています。また、内装に用いられている木材にも違いがあるようで、1号車には明るい色調のものが、2号車には濃い色調のものが使われており、それぞれの世界観を表現しています。

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 今回、僕は1人利用で申し込んだ訳ですが、1人利用の場合、①1号車の2人用テーブルを1人で利用、②2号車のうち1人用個室を利用、③2号車のうち2人用個室を1名で利用、の3つの利用方法があります。申し込み時点では、どれも空きがありましたが、旅行代金を見ると、①と③は38,000円、②は32,000円となっており、1人用個室の利用が最も安価だったため、これを利用することにしました。Webページから申し込みを行った際には、具体的な座席の写真を見ながら申し込みを行うことができるように工夫されていました。1人用個室は2室しかなく、ほとんど差異はないようでしたが、例えば2人利用の場合には、個室位置による窓配置の違いなども見比べながら、座席を選択することができるというメリットがあります。

 今回乗車する「或る列車」の料金は、すでに紹介しましたが、正直言って結構な値段です。例えば東京-新青森間で「はやぶさ」のグランクラス(飲料・軽食あり)を利用した場合の正規運賃・料金は27,620円(通常期・片道)なので、単純な比較はできませんが、「或る列車」の方が4,000円以上も高いということになります。それでも「或る列車」は非常に人気があり、特にコロナ禍以前は、なかなか予約が取れない列車と言われていました。かなり高額な価格設定にも関わらず、多くの方の人気を集め続けた理由、それはやはり、車内で提供される数々のスイーツの魅力にあるのではないかと思います。

 「或る列車」は、正式名を“JR KYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」”と言い、その名のとおり、スイーツを中心とするコース料理が車内で提供されます。「或る列車」で提供される料理は、東京の南青山にある“NARISAWA”のオーナーシェフが監修したものということで、グルメ全般に疎い僕ですが、何となく、南青山の有名なシェフが手がけた料理と聞いただけで、自然と気分が高まってきました。

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 まず始めにいただくのは、NARISAWA“Bento”~「野山の錦」~というもので、3種類の料理が、お弁当箱に見立てた小箱に入れられて、あらかじめテーブルに用意されていました。食事が始まりしばらくすると、今度は温かいスープが提供されます。普段はなかなか味わうことができない美味しいものばかりで、また、量的にもちょうどいい感じでした。

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 食事が終わると、ここからは各種スイーツが4回に分けて提供されます。普段は乗り鉄旅の中で、列車の写真ばかりを撮影していますが、今回は、めったにお目にかかることができないスイーツをいただけるということで、記念に一つ一つのスイーツを写真に収めました。上の写真は、それぞれ提供されたデザートを順に撮影したもので、一番上の写真がカクテルスイーツ、その次がスープスイーツ、そしてメインスイーツと続き、最後にミニャルディーズという小さな洋菓子が提供されました。メニューには、それぞれのスイーツについて、さらに詳しい説明が記載されていましたが、どれも初めて見るものばかりで、これまで食べてきたスイーツとは、一味も二味も違うような気がします。どれも見た目に美しく、もちろん、実際に口に運んでみると味も上品で、期待を裏切らないものばかりです。「或る列車」の雰囲気にもマッチした、素敵なスイーツコースとなっていました。

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 ちなみに「或る列車」の車内では、飲み物類は一部のアルコール類を除いて、フリードリンクとなっており、好きなものを好きなだけ注文することができます。普段はアルコール類をほとんど飲むことがない僕ですが、今回はせっかくの機会ということで、ソフトドリンクだけでなく、久しぶりにスパークリングワインもいただきました。

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 乗車時には、最初の食事であるNARISAWA“Bento”とともに、コース料理のメニューと記念乗車証が、テーブル上に置かれていました。A4サイズを2つ折りにした見開きタイプのもので、中には「或る列車」の車内装飾や、コース料理で使用されている器を製作された職人さん達が紹介されています。「或る列車」がこうした魅力的な列車として確立するまでには、列車の改造作業に携わった方、車内の調度品の製作に携わった方、車両で提供される料理を監修された方、そして客室サービスを担当するアテンダントの方まで、様々な方面の方々による協力があったことを実感することができました。

 なお、普段であれば、乗車時に使用したきっぷ類を紹介するところですが、「或る列車」が旅行商品専用の団体専用列車であるため、一般的なマルス券のようなきっぷ類はありません。

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 今回乗車した「或る列車」では、単なる乗り鉄の枠を越えた、ワンランク上の列車の楽しみ方というものを、感じることができました。そもそも「旅」とは、その人にとっての非日常であり、心の満足感を充足してくれるものです。鉄道好きの僕にとっては、もちろん「或る列車」に乗車することができたことだけでも十分に価値がありましたが、豪華な車内で味わうスイーツや、アテンダントさんによる決め細やかなサービスにより、至福のひとときを過ごすことができました。普段の乗り鉄旅の何倍以上もの幸福感に包まれたような感じがして、この記事を書いている今でも、乗車時のことを思い出すたびに幸せな気持ちになれる、そんな素敵な列車でした。

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みどり号で使用されている783系:博多駅 2021/9/11

 ハウステンボスから早岐に戻って、ここからは今回の宿泊地である博多に向かいます。ハウステンボスから博多に向かう特急「ハウステンボス」は午後4時台に終了しているため、早岐から特急「みどり」を利用します。車両は783系で、特急「ハウステンボス」と併結したり、特急「みどり」単独で8両編成で運転されることが多いですが、僕が今回乗車した「みどり28号」は4両編成のみでの運転でした。(ハウステンボス号を併結していないため、5号車から8号車までの扱いとなっています。)

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 以前の九州乗り鉄旅で、同じ783系のハウステンボス仕様の車両に乗車したことがありますが、オリジナル仕様(?)の783系に乗車するのは初めてです。JR九州誕生直後に登場した車両ということで、車内設備にもやや古さが目立ちますが、座席はソファーのようにフカフカで、最近の車両にはない座り心地でした。

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 特急「みどり」の乗車には、九州ネットきっぷを利用しました。JR九州のインターネット列車予約サービス限定で発売されているきっぷで、早岐ー博多間の場合、指定席利用の正規運賃・料金が3,950円であるのに対し、ネットきっぷは2,350円(指定席・自由席同額)で購入することができます。九州ネットきっぷは、当日予約も可能で、受け取り前であれば、利用日や列車を変更することも可能です。また、設定区間も多く、うまく利用すれば、かなりおトクに九州内での乗り鉄旅を楽しむことができそうです。

 特急「みどり」で博多に到着した後は、予約していたホテルに向かいます。今日は最寄り駅から始発の電車に乗車して、ここまでほぼ休みなしに乗り鉄旅を続けてきました。ホテルでゆっくりと休み、2日目の乗り鉄旅に向けて英気を養いたいと思います。

 >>(3)~36ぷらす3編~に続く 

2つの観光列車とSLに乗車する九州乗り鉄旅(1)~SL人吉編~

 今回は、ついに念願だった九州乗り鉄旅に行くことができました。思い返せば、6月下旬に出発を予定していたものが、父親の体調不良による通院への付き添いなどのため、出発日直前に延期することとなり、さらに8月下旬に再出発を予定していたものが、記録的大雨の影響による佐世保線の一部区間での運転見合わせによって、乗車予定だった「或る列車」の運休が決定したことから、これまた延期を余儀なくされたという経緯があります。諦めきれない僕は、9月11日・12日の2日間でリベンジを果たすべく、1泊2日の九州乗り鉄旅に向けた準備を進めてきましたが、三度目の正直という諺にあるとおり、今回は無事、旅行を終えることができました。旅行自体の満足度もさることながら、ここに至るまでの経緯から、まずは何事もなく、予定どおりの行程で旅行を終えることができたということ自体に、ほっとしたというのが正直な感想です。

 今回の九州乗り鉄旅のメインは、これまでにも何度かお話ししたとおり、“JR KYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」”に乗車するというものですが、せっかく九州まで行くからには、これまでに乗車したことがない他のD&S列車にも乗車してみようということで、6月下旬に出発するはずだった際の旅行行程では、1日目に「指宿のたまて箱」に、2日目に「或る列車」に乗車することにしていました。その後、あらためて8月下旬の出発に向けた旅行行程を作成する際、内容を大幅に見直して、「或る列車」と「36ぷらす3」に乗車してみることにしました。実は、6月下旬に出発を予定していた際には、「36ぷらす3」が車両整備等による運休期間中だったため、旅行行程に組み込むことができませんでしたが、7月中旬から運行を再開し、8月以降であれば、お盆休みの時期を除いて通常どおり運行されていることから、これに乗車すべく、旅行行程を変更したものです。

 「或る列車」は、時期によって運行ルートが異なっており、6月には、佐賀-長崎-佐世保コースで運転されていましたが、7月以降は、ハウステンボス-博多コースで運転されています。また、団体専用列車ということで、平日を含めて毎日運行されているわけではありません。そして「36ぷらす3」は、曜日によって運行ルートが異なっており、1泊2日の限られた時間の中では、乗車しづらいルートで運行される曜日もあります。そこで、旅行行程の見直しを行うに当たっては、「或る列車」と「36ぷらす3」のどちらにも乗車できるベストな組み合わせを検討することとし、その結果、1日目(土曜日)に「或る列車」の午後便(博多→ハウステンボス)に乗車し、2日目(日曜日)に「36ぷらす3」の大分から博多までを走るルートに乗車することにしました。

 また、JR九州では現在、週末を中心として、熊本-鳥栖間で「SL人吉」を走らせています。本来の運転区間肥薩線ですが、八代-吉松間が長期にわたって不通となっていることから、代替措置として鹿児島本線で運転されているものです。調べてみると、熊本→鳥栖の上り列車はSLが牽引し、反対の鳥栖→熊本の下り列車はDLが牽引するというものでした。さらに上り列車のダイヤを調べると、熊本駅の発車時刻が10:50発ということで、僕が最寄り駅から始発に乗って熊本を目指しても、この発車時刻には間に合いませんが、途中停車駅の大牟田からであれば、何とか乗車できることが分かったため、1日目の午前には、新幹線で博多に到着したらそのまま在来線で大牟田に移動し、そこから「SL人吉」にも乗車することにしました。これらをまとめた今回の旅行行程は、次のとおりです。

9月11日の旅行行程

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9月12日の旅行行程

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 名古屋から博多までは、もちろん「のぞみ」を利用します。次に「SL人吉」に乗車するため、鹿児島本線大牟田に移動しますが、普通(快速)列車だけでは間に合わないため、博多から鳥栖までは、短区間ながら特急「かもめ」に乗車し、大牟田から鳥栖までは「SL人吉」に乗車します。鳥栖からは博多に戻り、博多からは1日目のメインとなる「或る列車」にハウステンボスまで乗車します。テーマパークの最寄り駅まで行きますが、ハウステンボスに入園することなく、そのまま宿泊地の博多まで引き返します。しかし、夕方の時間帯には、すでに特急「ハウステンボス」の運行が終了しているため、一旦、早岐まで普通列車に乗車し、早岐から特急「みどり」に乗車することにしました。

 そして2日目は、朝早くに博多から特急「にちりんシーガイア」に乗車して大分まで行き、折り返して、大分から博多まで特急「36ぷらす3」に乗車します。博多到着後は、往路と同じく「のぞみ」を利用して名古屋に戻るという行程となっています。

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かもめ号で使用されている885系博多駅 2021/9/11

 東海道・山陽新幹線で乗車した「のぞみ」については、これまでに何度も乗車したN700Aということで省略します。新幹線に続いて乗車したのが特急「かもめ」です。「かもめ」の車両には、現在3つのタイプがあり、いわゆる「白いかもめ」と呼ばれている885系、「きりしま」「かいおう」「きらめき」などでも使用されている787系、さらに平日に1本だけ使用されている783系です。今回乗車した「かもめ17号」は、885系の「白いかもめ」ですが、この車両には以前、「ソニック」として乗車したことがあります。呼び名のとおり、外観のカラーリングは白一色で、車体裾部と運転台窓周りに、ワンポイントとして青色が配色されています。「青いソニック」こと883系のメタリックブルーや、「九州横断特急」のキハ185気動車の鮮やかな赤色のような派手さはありませんが、どこか欧州の特急列車を思わせる“日本離れ”したデザインが印象的です。

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 JR九州の特急形車両らしく、車内の内装もデザイン性が重視されています。前に885系に乗車した際にも紹介しましたが、普通車の座席は、一般的な2+2列配置でありながら、大きめのヘッドレストを備えた黒いモケット柄の座席が特徴的で、趣向を凝らしたものとなっています。床は木目調のフローリングとなっており、定期運行される特急形車両でありながら、ちょっとした観光列車に乗車しているような気分になりました。

 ちなみに今回は自由席を利用しましたが、885系の場合、指定席車両には座席にモバイルコンセントがありますが、自由席車両にはありません。車内設備のちょっとした違いですが、こうしたところで差別化が図られていることが分かりました。

 鳥栖から大牟田までは普通列車で移動し、大牟田からは58654(8620形)が牽引する50系客車の「SL人吉」に乗車します。乗り鉄旅でSLが牽引する客車に乗車するのは久しぶりで、3年前に大井川鐵道の「かわね路」と「トーマス号」に乗車して以来のことです。

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往路でSL人吉号を牽引する58654(8620形)蒸気機関車大牟田駅鳥栖駅 2021/9/11

 「SL人吉」を牽引するSLは、大正生まれの通称“ハチロク”で、現役では日本最長老の蒸気機関車と言われています。大正時代に製造されたSLが、100年以上の時を経て令和の時代に活躍しているということは非常に貴重なことで、これまでにも広く注目を集めていましたが、昨年秋に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開され、この作品とのコラボ企画として、JR九州が熊本-博多間で8620形を使用した「SL鬼滅の刃」号を運転したことから、映画の大ヒットと相まって、「無限」のプレートを掲げた8620形は爆発的な人気を集めることになりました。この列車に乗車するための指定券は、発売開始からわずか数秒で完売するほどで、僕も運試しだと思って、某旅行代理店で“10時打ち”をお願いしましたが、見事に完敗したことを覚えています。

 そんな8620形ですが、あらためて間近で眺めてみると、やはり最近の電車にはない圧倒的な存在感があります。汽笛の音や燃料の匂い、煙を噴き上げる勇ましい姿は迫力満点で、まるで乗客を過去の時代に誘うような、そんな特別感のある存在と言えます。牽引される50系客車もレトロ調の外観となっており、8620形の雰囲気にマッチしたノスタルジックものとなっています。

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復路でSL人吉号を牽引するDE10形ディーゼル機関車鳥栖駅 2021/9/11

 なお、鳥栖駅にはSLの方向転換を行うための転車台がないため、鳥栖駅に到着した「SL人吉」は、DE10形ディーゼル機関車がSLと客車を牽引して熊本に戻ります。そのため、編成全体を見ると、SL(8620形)+50系客車3両+DL(DE10形)の合計5両編成となっています。この編成で使用されているDE10は、「ななつ星in九州」の牽引にも使用されるディーゼル機関車で、黒をベースとした専用塗装のものでした。SLや客車の雰囲気に馴染むカラーリングとなるよう、配慮されているのだと思います。

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 「SL人吉」は、先にお話ししたとおり、現在は本来の運行区間である肥薩線を離れて、鹿児島本線の熊本-鳥栖間を土休日限定で1日1往復運行しています。僕が乗車した上り列車のダイヤは上のとおりで、熊本を10:50に発車し、終点の鳥栖には12:34に到着します。僕は大牟田から乗車するため、乗車時間は約1時間20分ですが、全区間で乗車すると、約2時間45分のSLの旅を楽しむことができます。

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1号車の座席

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2号車の座席①

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2号車の座席②

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3号車の座席

 続いて、車内の様子を紹介します。座席の配置は、号車によって大きな違いはなく、4人掛けのボックスシートと、それを半分に分割したような2人掛けのシートが並んでいます。ただし、種車の関係からか、1・3号車と2号車ではシートピッチが異なっており、2号車の方が広くなっています。ボックス席は、もともと向かいの席との間にあまり余裕がありませんが、足元のスペースを少しでも確保したい方は、2号車をオススメします。モケット柄は号車ごとに異なっており、よく見ると、同じ号車の中でも車両中央を境にして異なる柄が使用されていました。(すべてのモケット柄を撮影したわけではないため、上の写真はあくまで一例です。)

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1号車側の展望ラウンジ

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3号車側の展望ラウンジ

 1号車と3号車の車端部には、展望ラウンジがあります。「SL人吉」の場合、2つの機関車が客車を挟み込んでいることから、前面展望はもちろんのこと、後方展望を眺めることもできませんが、その分だけ、車内から走行中の機関車の後ろ姿を間近で楽しむことができます。ちなみに"特等席"に当たる正面中央の座席は、子供用になっていました。

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2号車にあるビュッフェ

 また、2号車には、Cafe&Barとしてビュッフェがあります。ビュッフェといっても、車内で調理した軽食を提供するようなものではなく、お弁当や飲み物、グッズなどの販売がメインとなっています。僕は今回、もともと「SL人吉」の車内で食事をする予定はありませんでしたが、昼食にちょうどいい時間とあって、車内でお弁当を食べている人も多かったです。ビュッフェで販売されている「86(ハチロク)弁当」は、大牟田を発車した時点で売り切れとのことで、なかなかの人気商品のようでした。

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 車内には記念乗車証があり、裏面に記念スタンプを押印することができます。JR 九州のD&S列車には、こうしたポストカードタイプの記念乗車証が用意されていますが、こうしたものをいただくと、ついつい全列車分を集めたくなります。ちなみにDL機関車が牽引する下り列車では、DE10が描かれた記念乗車証も配布されるとのことですが、僕が乗車したのは上り列車のため、SLが描かれたもののみ配布されていました。

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 続いて実際に使用したきっぷを紹介します。博多ー大牟田間の往復乗車券と、「かもめ」の乗車に必要な自由席特急券は、出発前日にあらかじめ購入しておきました。「SL人吉」の指定席券は、8月下旬の出発に向けて準備していたものを乗車変更しています。今回の乗り鉄旅で使用する九州内の指定席券は、基本的にJR九州のインターネット予約サービスを利用して購入しますが、「SL人吉」についてはシートマップに対応していないということで、インターネット予約では希望の座席を確保することができません。そのため今回は、進行方向側の2人掛け座席の窓側を押さえるため、駅の窓口で希望座席の空き状況を確認しながら購入しました。ちなみに車内の詳しい座席配置は、JR九州がWebページで公表しているので、あらかじめ確認しておくとスムーズに指定券を購入することができると思います。

 なお、指定券の値段は1,680円で、JRの指定席料金としては異例の高額な設定となっています。JR北海道の「SL冬の湿原」や、JR東日本の「SL銀河」「海里」「HIGH RAIL 1375」でも、通常の指定席料金より高い840円となっており、実は「SL人吉」もつい最近まで840円の指定席料金で乗車することができたのですが、5月に値上がりし、一気に倍の値段になりました。蒸気機関車の運行や維持管理には、多額の費用が必要となるであろうことを考えると、やむを得ない措置とは思いますが、指定席料金として1,680円とするのは、ちょっと高すぎるような気がします。いっそのこと急行扱いにして、指定席料金を据え置いたまま急行料金を徴収する方法でもいいのではないかと感じました。(もちろん、これまでどおり快速扱いのままとすることで、引き続き青春18きっぷでも乗車できるというメリットがあります。)

 「SL人吉」でののんびりとした乗り鉄旅を楽しんだ後は、博多に引き返して「或る列車」に乗車しますが、お話しが長くなってきましたので、ここで一旦、区切ることにします。

 >>(2)~或る列車編~に続く

「あめつち」に乗車する山陰乗り鉄旅

 お盆休みが終わり、8月も後半になりました。世間には、8月7日(土)から15日(日)まで9連休という会社もあるようですが、僕の職場は基本的にカレンダーどおりの勤務となっているため、お盆休みというものはありません。コロナ禍以前、お盆休みといえば、新幹線の指定席が軒並み満席となり、指定席を確保できなかった人達によってデッキや自由席車両の通路が埋め尽くされる光景が、毎年のように繰り広げられていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって状況は一変し、昨年は、帰省や旅行で新幹線を利用する人が大幅に減少しました。JR東海が公表した2020年のお盆期間の利用状況は、東海道新幹線全体で前年比24%(つまり76%減)という、過去に例のない衝撃的なものでした。報道によると、今年のお盆期間の新幹線利用客は、過去最低だった昨年を上回るものの、コロナ禍以前の水準には遠く及ばず、例年のような大きな混雑はなかったとのことです。混雑がないということは、一見すると、利用者側にとってメリットだと思えるかもしれませんが、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の影響による利用低迷がさらに長期化すれば、JR側としても、定期列車の臨時化や減便などに踏み切らざるを得ない状況になるでしょう。これは、利用者側にもJR側にとっても決して望ましいものではありません。ワクチン接種が順調に進み、当たり前の日常を少しでも早く取り戻すことができるよう、そして、鉄道業界がこの窮地から脱却できるよう、一鉄道ファンとして、ひたすら願うばかりです。

 さらに今年のお盆期間は、こうした状況に追い討ちをかけるように、九州や中国地方を中心に日本各地で猛烈な大雨が数日間にわたって降り続けるという、異常気象の連続でもありました。この大雨は、鉄道にも大きな影響を及ぼし、特に北九州地区や広島地区では、数日間にわたって列車の運休を余儀なくされ、また、久大本線佐世保線呉線中央西線飯田線など、西日本の路線を中心として、線路の冠水や土砂の流入、橋桁の損傷など、大きな被害が発生し、今でも不通となっている区間があります。

 実は今回、僕は8月21日・22日の2日間の予定で、九州D&S列車乗り鉄旅を予定していました。以前の記事でも紹介したとおり、当初は6月下旬に予定していた乗り鉄旅で、前々から憧れていた「或る列車」に乗車するというものでした。先週末くらいから、佐賀や長崎で大雨が降り続いているというニュースを見た時、ひょっとして運休になったりしないかと心配していましたが、その悪い予感が的中し、16日になって「或る列車」のツアーデスクから運休の連絡がありました。自然災害によるものであり、誰が悪い訳でもないため、こればかりは仕方ありません。とはいうものの、せっかく確保した乗り鉄旅のための2日間を無駄にするのは、あまりにもったいないため、旅行の目的地を急遽、山陰地方に変更し、まだ乗車したことがない観光列車「あめつち」に乗車する乗り鉄旅に出かけることにしました。その旅行行程は、次のとおりです。

8月21日の旅行日程

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8月22日の旅行行程

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 「あめつち」に乗車するに当たって、まずは、下り列車(鳥取出雲市)と上り列車(出雲市鳥取)のどちらにするのか選択する必要がありますが、今回は、下り列車に乗車することにしました。下りの「あめつち」の鳥取駅発車時刻は午前9時ちょうどということで、必然的に前泊が必要となりますが、調べてみたところ、金山から鳥取まで、普通(快速)列車を乗り継いで10時間程度で移動できることが分かりました。現在は青春18きっぷ利用可能期間ということで、2日間の乗り鉄旅のうち1日目は、青春18きっぷを利用してこの区間の移動に充てることにしました。1日に乗車する全区間青春18きっぷだけで旅行するのは、相当久しぶりのことです。

 今回の旅行行程を作成する際にあらためて気がついたのですが、京都から鳥取まで山陰本線で移動する場合、途中の園部、福知山、豊岡、浜坂の各駅で乗り換えが必要になることが多い中、その間での乗り継ぎがあまり考慮されていないのか、時間帯によっては、かなりの待ち時間が生じてしまうダイヤとなっていました。今回の旅行行程は、その中でも数少ない好条件で乗り継ぎが可能なパターンで、こうした行程を見つけ出すためには、やはり紙の時刻表が便利だなと実感したところです。

 続く2日目には、旅のメインである「あめつち」に乗車します。今回は、始発の鳥取から終着の出雲市まで、「あめつち」の全区間に乗車することになります。出雲市で「あめつち」を下車した後は、岡山まで特急「やくも」に乗車し、岡山から名古屋までは新幹線を利用します。なお、乗車券類の都合上、途中の新大阪で乗り換えることとし、山陽新幹線区間では「さくら」に、東海道新幹線区間では「こだま」に乗車します。中でも「やくも」と「さくら」に乗車するのは久しぶりで、こうした列車に乗車できるという点も、今回の乗り鉄旅での楽しみのひとつとなります。

 1日目の普通(快速)列車の乗り継ぎ旅は、東海道本線山陰本線をひたすら西に向かうものになりました。最近は天候不順が続いており、突然の豪雨により列車の運休や大幅な遅延が発生してもおかしくない状況でしたが、曇天の中で、何とか1日目の移動を無事に終えることができました。青春18きっぷシーズンということで、特に運転本数が少ない山陰本線区間での混雑を心配していましたが、一部の区間を除けば、十分に着席できるだけの余裕があり、のんびりとした乗り鉄旅を楽しむことができました。今回は、途中下車することなく鳥取まで移動しましたが、また機会があれば、途中の餘部橋梁や城崎温泉に立ち寄る旅もいいかなと思いました。

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あめつち号で使用されているキハ47形:米子駅松江駅 2021/8/22

 1日目の話題はこれくらいにして、さっそく2日目に鳥取駅から乗車した「あめつち」を紹介します。車両は、キハ47形気動車による専用車両(2両編成)で、JR西日本によくある国鉄気動車を改造して製作された観光列車です。2018年7月から9月までの期間に開催された「山陰デスティネーションキャンペーン(山陰DC)」に合わせて運行を開始したもので、運行開始からちょうど約3年が経過したところです。ちなみに列車名の「あめつち」という愛称ですが、これは『古事記』にある「天地(あめつち)の初発のとき~」に由来するものだそうです。『古事記』には山陰地方の神話が多く収録されているということを、初めて知りました。

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 車両の外観を見てみると、一般形車両であった頃のキハ47形気動車としての面影がそのまま残っていますが、カラーリングは鮮やな紺碧色に変更されており、また、側面下部には、山陰の山並みと日本刀の刃文を表現したグレーとシルバーの模様が描かれています。確かに神話の世界を連想させるもので、列車のコンセプトが見事に表現されていると思います。

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 ここで、今回乗車する下り列車のダイヤを紹介します。途中の停車駅は、倉吉、米子、安来、松江で、鳥取から島根にかけての沿線にある主要駅に停車していきます。鳥取から出雲市まで、特急「スーパーおき」や「スーパーまつかぜ」では約2時間ですが、「あめつち」はこれらの特急よりも停車駅が少ないにも関わらず、約3時間半かけて走ります。車両性能の違いによるところもありますが、途中には徐行運転区間も設定されており、観光列車らしいゆったりダイヤが組まれています。

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1号車の車内

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2号車の車内

 1号車、2号車とも、座席配置に大きな違いはありません。座席は3つのタイプに分かれており、窓側向きの1人掛けカウンター席、2人掛けのテーブル付き座席、4人掛けのテーブル付き座席で、観光列車ではよく見かけるものです。8月上旬に乗車した「etoSETOra」では、1号車と2号車で座席のモケット柄が異なっていましたが、「あめつち」では1号車、2号車とも共通で、グレーのモケット柄の座席にあめつち専用のヘッドカバーが取り付けられていました。

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 車内には、地元山陰の工芸品が多用されており、特に目につきやすい箇所では、天井の照明部分には鳥取県の因州和紙が、テーブルの装飾には島根県の石州瓦が使用されています。特に照明のシェードの役割を担っている因州和紙は、1号車と2号車で異なる色が使用されており、トンネル内で車内が暗くなると、その美しさと鮮やかさが一層引き立つ感じがしました。

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 2号車の連結部寄りには、物販カウンターが設置されています。車内限定販売のオリジナルグッズやお菓子などを販売していました。ちなみに今回乗車した「あめつち」は乗客が少なく、僕が利用した2号車は、途中駅での乗降を含めても5人程度でした。1号車の方にはもう少し乗客がいたようですが、全体的には空席が目立ち、物販カウンターを利用する方も少ないようで、ちょっと寂しい状況でした。

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 観光列車によくある乗車記念証の類はありませんでしたが、車内には車窓手帖なるものがあり、車窓からの見どころがしっかりとイラスト入りでまとめられています。観光列車では、車内放送による沿線の紹介が行われることがありますが、どうしても聞き取りづらかったり、聞き逃してしまったりすることがあります。こうしたリーフレットがあれば状況が理解しやすく、また、持ち帰ることで乗車の記念にもなります。

 さらにもう一つ、あめつち手帖というものもあり、「あめつち」の魅力やその背景となる様々な神話や伝説が紹介されており、これを見れば「あめつち」の全てがわかると言っていいほど、充実したパンフレットになっていました。JR西日本米子支社の「あめつち」に対する強い思い入れが伝わってきます。

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 今回の旅行行程を作成したのは、出発日の直前だったため、「あめつち」の指定券を購入したのも乗車日の5日前でした。その時点では、いつものように1人掛けカウンター席を利用しようと考えて、一旦は座席を確保しました。しかし、乗車日の前日になって急に気が変わり、もし空きがあれば、2人掛けのテーブル付き座席に変更しようと思い直し、当日の出発直前に鳥取駅のみどりの窓口で確認したところ、希望していた2人掛けのテーブル付き座席にちょうど空きがあったため、これに変更しました。以前の記事でお話ししましたが、観光列車には座席位置と窓割が一致していないハズレ席が存在することが多く、それは「あめつち」も例外ではありません。それどころか「あめつち」では、座席位置と窓割が一致しない席の方が多く、また、かろうじて窓枠に近い位置にあるような座席でも、窓枠の桟が邪魔をして、車窓を眺めるには不向きな座席が多数を占めています。その中でも数少ない好条件の座席は、1人掛けカウンター席であれば1号車4Dまたは2号車12Aで、2人掛けのテーブル付き座席であれば1号車3A、2号車9Dといったところでしょうか。ただし、鳥取出雲市の下り列車の場合の1号車3Aと、出雲市鳥取の上り列車の場合の2号車9Dは、進行方向に背を向けることになりますので、注意が必要です。

 今回の乗り鉄旅では、旅行行程のところでお話ししたとおり、381系「やくも」と、山陽・九州新幹線仕様のN700系にも乗車しましたので、こちらも紹介します。

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やくも号で使用されている381系:出雲市駅 2021/8/22

 「やくも」は、山陽本線伯備線山陰本線を経由して岡山-出雲市間を結んでおり、今回は始発の出雲市から岡山までの全区間で乗車します。令和となったこの時代にも、昭和生まれの国鉄型特急である381系が使用されています。

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 JR東日本の特急「踊り子」が185系からE257系2000番台に置き換えられた今、国鉄時代の車両が現役の特急列車として使用されている唯一の運用となっています。さすがに製造当初のままということはなく、内外観ともリニューアルされており、座席も最近の特急形車両と同じものに交換されていますが、車齢はかなりのもので、引退も近いと聞いています。僕が「やくも」に乗車するのはちょうど3年ぶりですが、普段はなかなか乗車する機会がないため、ひょっとすると、今回の乗車が最後になるかもしれません。

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500系と並んだN700系岡山駅 2021/8/22

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山陽・九州新幹線用のN700系新大阪駅 2021/8/22

 続いて乗車したのは、N700系8両編成による「さくら」です。博多方の1号車から3号車までが自由席で、4号車から8号車までが指定席(6号車の半室はグリーン車)となっています。東海道新幹線用のN700系16両編成では、普通車の座席は自由席と指定席で同じものが使用されていますが、山陽・九州新幹線用のN700系では、普通車の指定席は「2列シート&2列シート」となっており、自由席との差別化が図られています。

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 普段、東海道新幹線に乗り慣れている僕からすると、「2列シート&2列シート」はとても羨ましく、指定席料金を追加するだけでこの座席を利用できるのであれば、なにもグリーン車に乗車する必要はないのではないかと思ってしまうほどです。今回は45分程度の短い乗車でしたが、機会があれば、新大阪から終点の鹿児島中央まで、N700系の「さくら」に乗車してみたいものです。

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 帰路では、出雲市から岡山まで「やくも」と、岡山から新大阪まで「さくら」に乗車しましたが、この乗車にぴったりな特別企画乗車券がJR西日本から発売されており、今回はその「新幹線&やくも 早得3」というきっぷを使用しました。このきっぷは、「やくも」でも山陽新幹線でも普通車指定席が利用でき、山陽新幹線区間では「のぞみ」を利用することもできます。JR西日本のトクトクきっぷによくあるような2名以上の縛りはなく、また、片道のみの利用も可能です。これだけ見ても、かなり利用価値の高いきっぷだということが分かりますが、さらに魅力的なのはその値段で、出雲市ー新大阪間の場合、ちょうど5,000円です。正規運賃・料金で同じ区間を利用する場合、「のぞみ」利用の通常期で11,340円なので、半額以下で乗車することが可能です。ちなみにこのきっぷは、乗車日の3日前までに購入する必要があり、また、数量限定となっているため、利用する際には注意が必要です。

 新大阪から名古屋までは、久しぶりに「ぷらっとこだま」を利用しました。値段は4,500円でした。新大阪発の上りの「こだま」は、基本的に1時間当たり1本しかないため、場合によっては新大阪で待ち時間が生じてしまうことがありますが、今回は「さくら」との接続がよく、ちょうどいいタイミングで「こだま」に乗車することができました。以前に「ぷらっとこだま」を通販で購入した際、郵送で乗車票が送られてきましたが、現在は新幹線乗車駅の指定席券売機で受け取ることが可能となっています。それからこの乗車票とあわせて、ドリンク引換券も発券されましたが、そちらは新大阪駅売店で使用してしまったため、手元には残っていません。

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 さて、今回の乗り鉄旅1日目で、青春18きっぷの3回目を使いました。あと2回分が残っており、当初は4回目以降も乗り鉄旅を予定していましたが、諸般の事情により、今季の青春18きっぷを利用した乗り鉄旅は、今回で最後となります(残り2回分の青春18きっぷは、金券ショップで買い取ってもらいました)。青春18きっぷを利用した乗り鉄旅は、これで一区切りとなりますが、機会を捉えて、引き続き夏旅を楽しみたいと思っています。

観光列車「etoSETOra」に乗車

 いよいよ8月となり、最高気温が猛暑日に迫る日が続く今日この頃です。最近はある程度、身体が暑さに慣れてきたとはいえ、熱中症には十分に気を付けなければなりません。また8月と言えば台風シーズンの真っ只中で、さらに近年は、線状降水帯が停滞することによって、局地的に非常に強い雨が長時間にわたって降り続き、土砂崩れなどの予期せぬ災害が発生することも少なくなく、こうした異常気象にも注意する必要があります。さらに新型コロナウイルス感染症においては、従来株よりも感染力が強いとされるデルタ株が猛威を振るっており、より一層の感染対策が重要となっています。現在は、青春18きっぷ利用可能期間の真っ只中ということで、これを利用した乗り鉄旅に出かける訳ですが、外出に際しては、気温や大雨と言った気象状況もこまめにチェックし、新型コロナウイルスの感染防止対策にもしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 さて、今回の乗り鉄旅ですが、タイトルにあるとおり、「etoSETOra(エトセトラ)」に乗車するというものです。「etoSETOra」は、JR西日本が広島地区で運行している観光列車で、列車名としてはちょっと変わったネーミングですが、調べてみると、ラテン語で「その他いろいろ」という意味を持ち、また、広島地方の方言で「えっと」という言葉が「たくさんの」「多くの」という意味も持っていることから、“瀬戸内の数々の魅力を感じることができる旅”を演出する列車ということで、この名前が採用されたようです。

 そんな「etoSETOra」ですが、7月25日付けの記事にも書いたとおり、僕は当初、7月上旬に「etoSETOra」に乗車するための広島旅行を計画していました。その際は、往復とも東海道・山陽新幹線を利用するという前提で旅行商品をいろいろと比較検討し、その結果、名古屋-新大阪間はJR東海ツアーズの「日帰り1day大阪」を、新大阪-岡山間は日本旅行の「プレDC晴れの日おかやま 日帰り岡山」という商品を利用して新幹線に乗車し、岡山-広島間は別に乗車券を購入して在来線を利用するという、何ともマニアックでテクニカルな行程を組み立てて、手配を済ませていました。しかし、広島県を中心とする中国地方での大雨の影響により、呉線の一部区間が不通となるなどしたため、乗車する予定だった「etoSETOra」が直前になって運休となってしまいました。東海道・山陽新幹線は通常どおり運転されており、広島まで行けない訳ではなかったのですが、旅のメインとなるはずだった「etoSETOra」が運休となっては、もはや広島に行く意味がなくなったのも同然で、また、「etoSETOra」への乗車に代わるような代替プランも思いつかなかったことから、旅行自体をすべてキャンセルしたという経緯があります。

 こうしたことから、できるだけ早い時期に、何とか広島への乗り鉄旅に出かけたいと思っていたところ、ちょうど8月8日に時間が確保できたことから、当初の予定から約1か月遅れて「etoSETOra」に乗車する日帰り旅に出かけることになりました。

 なお、先にもお話ししたとおり、現在は青春18きっぷ利用可能期間であるため、今回の乗車に際しては、7月上旬に予定していた当初の旅行行程を大幅に変更し、往路は東海道・山陽新幹線「のぞみ」で直接、広島に行き、広島→尾道間で「etoSETOra」に乗車した後、尾道からの復路は青春18きっぷを利用し、すべて在来線で移動するという行程に変更しました。尾道から金山までの営業キロは実に448.6kmで、乗り換えを繰り返しながら在来線で一気に駆け抜けるという、一般常識から逸脱した(?)旅行行程です。真っ当な旅行を検討している人には、オススメできません。しかし、久しぶりに青春18きっぷ1回分を思う存分に活用した乗り鉄旅になるということで、「etoSETOra」への乗車とあわせて、こちらも楽しみたいと思い、こうした旅行行程を作成しました。

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etoSETOra号で使用されているキハ47形:広島駅・尾道駅 2021/8/8

 上の写真は、広島駅と尾道駅で撮影した「etoSETOra」です。「etoSETOra」としての運行区間はすべて電化された区間ですが、車両は非電化区間でも走行可能なキハ47形気動車です。JR西日本には、「○○のはなし」「花嫁のれん」「ベル・モンターニュ・エ・メール(通称べるもんた)」「あめつち」など、国鉄気動車を改造して製作された観光列車が数多く活躍しており、「etoSETOra」もその仲間のひとつと言えます。

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 外観は、青と白のツートンカラーに金色のラインが描かれており、瀬戸内海の青色と海岸線から見える波の白色を表現したものとなっています。実はこの車両、2020年10月に始まった「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」にあわせて登場したものですが、それまで運行されていた「瀬戸内マリンビュー」を再改造して製作されたものです。こうした経緯もあり、車両の外観には、一般形車両であった頃のキハ47形気動車としての面影だけでなく、「瀬戸内マリンビュー」時代の面影も残されており、特に客用扉付近にある大きな丸窓は、「瀬戸内マリンビュー」から引き継がれた、この車両の大きな特徴となっています。

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 次に「etoSETOra」の運行区間ですが、往路と復路で経路が異なっており、往路の広島→尾道間では呉線経由で、復路の尾道→宮島口間では山陽本線経由で運行されています。僕は呉線区間に乗車した経験はありませんが、呉線は、海岸線沿いを走る路線で、車窓からは瀬戸内海や海に浮かぶ島々の眺望が楽しめるということなので、観光列車として乗車するからには、やはり呉線経由となる往路での乗車を楽しみたいところです。

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 ちなみにJR西日本が7月28日付けで公表したプレスリリースによると、10月2日以降は復路の運行ルートを変更し、往路と同じ呉線経由となるそうです。今回のダイヤ見直しを機に、わざわざ経路を変更するということは、やはり呉線で乗車したいという要望が相当多かったのではないかと思います。

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 今回乗車した「etoSETOra」の上り列車(往路)の時刻表です。広島駅の発車は9時32分ということで、これに間に合うよう、僕は広島に9時17分に到着する「のぞみ77号」を利用しました。名古屋発の場合はこれで十分に間に合いますが、首都圏からの場合、東京を6時ちょうどに発車する「のぞみ1号」に乗車しても、広島着は9時49分なので「etoSETOra」の発車時刻に間に合いません。品川を6時ちょうどに発車する「のぞみ79号」でも間に合わず、結局のところ、首都圏からでは日帰りで往路の「etoSETOra」に乗車することはできません。首都圏からの集客は見込んでいないのか、はたまたダイヤの都合なのかは分かりませんが、可能であるならば、広島発車時刻を30~40分程度遅らせてもいいのかなと思いました。

 それから実際に乗車してみて感じたことは、途中駅での停車時間が非常に短く、ホーム上で記念撮影をする余裕がありません。せっかくの観光列車なので、せめて5分程度の停車時間があれば、もっと楽しむことができたのではないかと思います。そんなダイヤとなっている往路の「etoSETOra」ですが、始発の広島から終点の尾道までをちょうど3時間で駆け抜けます。

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2号車の2人掛けの対面座席

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1号車の2人掛けの対面座席

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1号車の1人掛けカウンター席

 続いて車内です。2両編成の全車グリーン車指定席で、広島寄りが1号車で、尾道寄りが2号車です。グリーン車といっても、一般的な車両にあるような回転式リクライニングシートではなく、それぞれが独立したソファータイプの座席となっています。座席配置は様々で、1号車は、窓側向きの1人掛けカウンター席×6、4人掛けのボックス席×2、2人掛けの対面座席×3の計20席で、このうち1人掛けカウンター席は、呉線内で海側に位置する側に設置されています。2号車は、窓側向きの1人掛けカウンター席×2、2人掛けの対面座席×5、4人がコの字型に着席できるグループ席×2の計20席という座席数で、編成全体の座席数は計40席となっており、グリーン車らしいゆったりとしたものになっています。ちなみに1号車と2号車では、異なるモケット柄が使用されています。

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 車内で全体を見渡すと、最近の車両としては珍しく、側窓にレースのカーテンが取り付けられています。最近は、特急形車両でもブラインドタイプの日よけが主流で、横引きカーテンはあまり見かけない中、レース付きのカーテンはとてもお洒落で、ノスタルジックな雰囲気が感じられました。

 懐かしさが感じられる一方で、車内には最近の観光列車らしく、しっかりとFree Wi-Fiが完備されており、スマホタブレット端末の充電に利用できるUSB端子も設置されていました。車内にモバイルコンセントが用意された列車は最近よく見かけますが、USB端子が設置されている列車は初めて見ました。

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 「etoSETOra」には、1号車の連結部寄りにバーカウンターが設置されており、アルコール類やソフトドリンクなどの飲み物、地元のお菓子・おつまみ類の販売が行われています。合わせてワゴンサービスによる車内販売も実施されており、僕はレモンケーキとサブレを注文しました。なお、アルコール類は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための時短要請に基づき、販売時間が午前11時からに制限されていました。

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 観光列車によくある乗車記念証ですが、どうやら「etoSETOra」には、専用の記念乗車証といったものはなく、左側のコースターが乗車記念証を兼ねているようです。コースターには「etoSETOra」のロゴマークがデザインされ、確かに乗車記念にはなりますが、僕としては、スタンプを押印できるようなポストカードタイプのものを想像していたため、その点はちょっと残念でした。とは言っても、こうした乗車記念証はJR側のご厚意でいただけるものなので、これはこれで、今回の旅の思い出として大切にしたいと思います。ちなみに右側はチケットホルダーで、中にマルス券が差し込めるようになっていました。

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 今回使用した普通列車用グリーン券です。「etoSETOra」は「e5489」でのシートマップに対応しておらず、希望する座席を個別に指定することができません。先ほどお話ししたとおり、車内には1人掛けカウンター席以外にも、2人用や4人用の座席もあるため、「e5489」ではどのような席になるのか、運次第ということになります。ということで、今回は希望の座席を確保すべく、「e5489」ではなく駅の窓口で購入しました。購入したのが乗車4日前ということで、希望する1人掛けカウンター席に空きがあるかどうか心配しましたが、結果的には希望の座席を確保することができました。どうやら僕が窓口で申し込んだ際、残り2席だったようなので、その中で希望の座席を確保できたのは、かなりラッキーでした。そして、1人掛けカウンター席を利用する場合のオススメ座席ですが、僕の個人的な見解から言うと、窓枠に邪魔されずに車窓を楽しむことができるのは、1号車の4A、4D、10Aの3席がベストで、これらに次ぐベターな席が、1号車の2A、10D、2号車の2A、2Dの4席といった感じです。

 3連休期間ということもあってか、1人掛けカウンター席だけでなく、2人用や4人用の座席もほぼ満席の状態でした。運行開始からすでに9か月以上が経過していますが、夏休み期間ということもあってか、なかなかの盛況ぶりです。

 さて、前々回(7月25日)の「越乃Shu*Kuraに乗車する乗り鉄旅」で青春18きっぷの1回目を使用して以来、今回が2回目の使用となりました。残り3回の乗り鉄旅はまだ検討中のものもありますが、引き続き夏の乗り鉄旅を楽しんでいこうと思います。 

3つの新幹線に乗車する青森往復乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 新青森に到着してからは、次の特急「つがる」号の発車時間まで約1時間あったため、駅の1階で昼食を済ませたり、買い物をしたりしました。その後、在来線ホームに移動して「つがる」号に乗車し、次は秋田を目指します。

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つがる号で使用されているE751系秋田駅浪岡駅 2021/7/30

 上の写真は、秋田駅到着後の「つがる」号を撮影したもので、下の写真は、列車の行き違いのために数分間停車した浪岡で撮影したものです。車両はE751系で、車体上部は白、車体下部は朱色を基調として、窓上部には黄色の帯が、窓下には青の細帯が配されています。先頭車両の形状を見ると、「いなほ」号や「しらゆき」号で使用しているE653系(元「フレッシュひたち」号)にそっくりで、前照灯や愛称表示器の位置などに違いはあるものの、まるで兄弟のような存在です。それもそのはず、少し調べてみると、E751系E653系をベースとしつつ、直流区間への乗り入れを想定せずに交流専用車両として設計・開発されたものだそうです。

 ここでE751系の歴史を遡ると、元々は東北新幹線の八戸延伸前に、盛岡-青森で運行されていた特急「スーパーはつかり」として営業運転を開始した車両です。デビュー当時は、東北本線を走る名門特急である「はつかり」の名を冠した特急列車の運用を担い、6両編成で運行されていましたが、東北新幹線の八戸開業、そして新青森開業によって活躍の場を奪われ、現在は4両に短編成化された上で、定期列車としては、青森-秋田間を奥羽本線経由で結ぶ「つがる」号として、また「弘前さくらまつり」号など、青森地区で季節運行される臨時列車として使用されています。東北本線の“花形特急”としての役割を退き、中間のモハユニットを抜かれたE751系は、表現は悪いですが“流浪の転落人生”を送っているような気さえしてしまい、何だか気の毒というか、切ない気持ちになりました。

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 続いて車内です。E751系は秋田寄りの1号車が半室グリーン構造で、2号車から4号車はすべて普通車です。今回は普通席を利用しましたので、グリーン席の車内は撮影していません。E751系の車両の外観は、E653系にそっくりだと紹介しましたが、車内の雰囲気もE653系にそっくりで、モケット柄は「いなほ」や「しらゆき」と異なっていますが、座席そのものはE653系と同じもののようです。

 僕が利用した2号車の指定席は見てのとおりほぼ空席で、自由席の3号車の様子も見てみましたが、窓側でも空席がある状態でした。

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こまち号で使用されているE6系秋田駅 2021/7/30

 「つがる」号で秋田に到着後、今度は秋田新幹線E6系「こまち」号に乗車します。秋田新幹線は、山形新幹線と同様、新幹線と在来線を乗り換えなしで結ぶ新在直通運転を行う“ミニ新幹線”で、秋田-大曲間では奥羽本線を、大曲-盛岡間では田沢湖線を走行し、盛岡からは東北新幹線に合流して東京までを結んでいます。東北新幹線区間では、基本的にE5系/H5系「はやぶさ」号と併結されており、日本の旅客営業列車としては最大となる17両編成での運転が行われています。

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 続いてE6系についてですが、僕は以前、磐越西線を走る臨時快速列車「あいづ」に乗車する乗り鉄旅の際に、那須塩原→郡山の短区間E5系E6系で運転される「やまびこ」号を利用し、一度だけE6系に乗車したことがありますが、今回の乗車はそれ以来の約2年半ぶりとなります。車体上部の赤色(茜色)は実に鮮やかで、側面全体の白色(飛雲ホワイト)は併結相手となるE5系との協調が感じられるカラーリングとなっています。また、“ミニ新幹線”用の車両ということで、車両限界などの制約が多い中、フル規格の新幹線車両であるE5系に勝るとも劣らない走行性能やデザイン性を兼ね備えた車両を設計・製造するのは、並大抵のことではなかったのではないかと推察します。

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 E6系普通車の車内です。E6系は、東京寄りの先頭車が11号車、秋田寄り(ただし大曲-秋田間は逆向き)が17号車の全7両編成で、このうち11号車がグリーン車、12号車から17号車までが普通車です。また「はやぶさ」号と同様、全車指定席となっています。普通車の座席は、他ではあまり見かけない黄系色のモケット柄で、茜色のビビッド感ある外観とは、また違った印象が伝わってきます。

 E5系E7系もそうですが、最近のJR東日本の新幹線では、グリーン車だけでなく、普通車の座座席にもヘッド部分にピロー(枕)が設置されています。僕はこのピローが好きで、リクライニングしながら頭をピローに預けて足を延ばす体勢は、リラックスできる至福のひと時です(もちろんあまり見苦しくならない程度に気を付けています)。東海道新幹線の普通車の座席にはピローがありませんが、是非とも導入してほしい装備のひとつです。

 「こまち」号には、約1時間30分の乗車で盛岡に到着しました。ここで次の新幹線に乗り換えることになりますが、時刻表上では乗り換え時間が6分しかありません。万が一、秋田新幹線に遅延が発生すると、次に乗車予定の「やまびこ」号に間に合わないおそれがあり、行程作成時からちょっと気になっていましたが、実際には同じホームでの対面での乗り換えだったため、問題なく乗り換えることができました。ここから東京までは、いよいよ待望のグランクラスに乗車します。

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やまびこ号で使用されているE5系盛岡駅一ノ関駅 2021/7/30

 帰路で乗車する「やまびこ」号も、往路で乗車した「はやぶさ」号と同じE5系です。盛岡発の「やまびこ」号は、仙台までの新幹線各駅に停車し、仙台から先は福島、郡山、宇都宮、大宮、上野に停車するパターンが基本となっており、途中駅では「はやぶさ」号の通過待ちのため、数分間停車することがあります。今回も一ノ関駅での通過待ちの時間を利用して、ホーム上から写真撮影してみました。

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 そして、今回乗車したグランクラスの車内です。グリーン車よりも上位に位置し、それまでの新幹線にはなかった、いわばファーストクラスに相当する新たな特別車両です。「グランクラス」という名称は、フランス語で「大きな」という意味を持つ「Grand」と英語の「Class」を組み合わせた造語ということですが、その言葉の響きからも、最高のサービスが提供される車両であることがよく分かります。

 今回は、僕にとって初めてのグランクラスへの乗車となりましたが、車内に足を踏み入れた瞬間、その圧倒的な存在感と美しさに一瞬、息を飲んでしまいました。これまでにもE261系サフィール踊り子号のプレミアムグリーン席や、近鉄80000系ひのとり号のプレミアムシートを利用したことがありますが、グランクラスは、これまで乗車した他のどの列車とも違う、まるで自分が生活する世界とは別次元のような空間です。それでは、僕の感想を含めて、グランクラスの特徴を紹介したいと思います。

 まずは、グランクラスの概要ですが、E5系新幹線の場合、編成端部にあたる10号車に設定されています。そのため、グランクラス以外の乗客が通路を行き来することはありません。定員は、たったの18名(3席×6列)で、車内には、1+2配置の座席が1,300mmピッチで並んでいます。床敷物はウールカーペットで、荷物棚は航空機のような蓋付きのハットラック式となっており、乗客の手荷物などが視界の妨げにならないよう配慮されています。

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 次に、グランクラス最大の特徴であるシートについてです。本革張りの上質な座席を包み込むかのようなシェル構造となっており、どれだけリクライニングしたとしても後ろの乗客に圧迫感を与えることがなく、また、半個室に近い状態になることから、十分なプライベート感が確保されています。シートのリクライニングはすべて電動で、手元のコントロールパネルで簡単に操作することができます。もちろん、LED式の読書灯やモバイル用コンセントも完備されており、不自由に感じることは何一つありません。

 世界に目を向けると、それぞれの国々でどのような特別車両が運行されているのか、僕は全く承知していませんが、正直、グランクラスの座席の完成度は相当高く、日本が世界に誇れる最高水準のシートと言ってもいいのではないかと感じました。

 なお、グランクラスには、専任アテンダントが乗務し、乗客に対して軽食や飲料を無料で提供するサービスが行われるものと、そうしたサービスが省略されたシート営業のみのものとがありますが、僕が今回利用したのは後者の方だったため、軽食や飲料などのサービスはありません。しかし、シート営業のみであっても、グランクラスの魅力を十分に感じ取ることができたと思います(ちなみに乗車日時点では、グランクラスアテンダント新型コロナウイルス感染が確認されたため、飲料・軽食の車内サービスは中止されていました)。

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 今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類をすべて紹介します。使用した順に、豊橋→東京、東京→新青森新青森→秋田、秋田→盛岡、盛岡→東京、東京→豊橋です。豊橋-東京間の東海道新幹線区間は、いつものようにJR東海ツアーズの旅行商品である「日帰り1day 東京」を利用しました。その他の区間は、すべて「えきねっと」で購入したもので、先に紹介したとおり、東京→新青森の「はやぶさ」号のグリーン車、盛岡→東京の「やまびこ」号のグランクラスは、「お先にトクだ値スペシャル(50%割引)」で手配しました。新青森→秋田の「つがる」号にも、普通車指定席限定で「お先にトクだ値スペシャル(50%割引)」が設定されていたことから、これを利用しました(グリーン車には設定がありませんでした)。そして秋田→盛岡の「こまち」号でも、普通車限定で設定されていた「えきねっとトクだ値(15%割引)」を利用しました。

 ちなみに、今回の乗り鉄旅で購入した乗車券類の総額は、

 豊橋-東京間の乗車票(グリーン券を含む)(往復分)13,600円
 東京→新青森の乗車券・特急券・グリーン券 11,090円
 新青森→秋田の乗車券・特急券 2,940円
 秋田→盛岡の乗車券・特急券 3,820円
 盛岡→東京の乗車券・特急券・グリーン券 10,550円  合計42,000円

でした。参考までに、豊橋から新青森まで、東海道新幹線東北新幹線グリーン車を乗り継ぐ場合の正規運賃・料金は、片道で32,500円となるため、今回は随分とおトクに乗り鉄旅を楽しむことができました。僕がこれまで経験した日帰りの乗り鉄旅の中でも、移動距離はトップクラスだったと思いますが、乗り応え十分で、しっかりと“鉄分”を補給できたと思います。いよいよ8月を迎えることとなり、猛暑日が続くことも予想されますが、体調にも気をつけながら、次の乗り鉄旅も楽しんでいきたいと思っています。