先の記事では、長野-湯田中間を走る長野電鉄での乗り鉄旅を紹介したところですが、僕にとって最寄り駅から長野駅までは相当の距離があります。名古屋方面から長野方面に行く場合、名古屋駅から東京駅まで東海道新幹線を利用して東京駅から北陸新幹線を利用するルートと、名古屋駅から長野駅まで直通する特急「しなの」を利用するルートが考えられますが、所要時間や費用を考えれば、後者が一般的だと思います。今回の旅では、特急「しなの」と同じルートを利用しますが、始発から終着まで特急一本で行くのではなく、途中でいくつかの普通列車に乗り継いで長野に向かうことにしました。早くて快適な特急列車で乗り通すのもいいですが、せっかくの機会なので、いくつかの列車に乗り換えながら往復するのも楽しいだろうと思い、次のような行程を組み立てました。
◆往路
◆復路
名古屋から塩尻まで中央西線、塩尻から先は篠ノ井線と信越本線を利用して長野まで行くルートです。先ほどお話ししたとおり、特急「しなの」で単純に往復するのではなく、往路の名古屋→南木曽間は「しなの1号」、塩尻→長野間は「しなの5号」に乗車します。復路では長野→塩尻間だけ「しなの20号」に乗車し、往復のうちそれ以外の区間(往路の南木曽→塩尻間と復路の塩尻→金山間)は普通列車に乗車するプランです。
なお、今回は乗車券として2つの企画乗車券を使用します。また、塩尻-長野間で乗車する「しなの」号では、信州特急料金回数券が利用できることから、金券ショップで販売されている回数券のバラ売りを購入して使用することにします。
JR東海383系「しなの」には、これまでにも何度か乗車したことがあり、1年前の“飯田線・中央西線を完乗する乗り鉄旅”の際には、塩尻から中津川まで指定席に乗車しました。
「しなの」号は、すべて383系が使用されており、基本的には6両基本編成がそのまま充当されていますが、383系には4両編成や2両編成の付属編成もあり、多客期には基本編成に増結して8両又は10両で運転されることもあります。ちなみに自由席は、6両基本編成単独で運転される場合は5・6号車、8両編成の場合は7・8号車、10両編成の場合は9・10号車で、どうやら名古屋方の2両が自由席に設定されるようです。
往路の「しなの1号」には、南木曽駅までちょうど1時間乗車することになりますが、季節的にはそれなりに混雑してもおかしくないため、指定席を確保しておきました。と言っても旅行の2日前に指定券を購入しようとしたところ、すでに窓側の座席は完売しており、通路側の座席が数席だけ空いているという状態でした。当日の名古屋駅で発車直前の「しなの1号」の乗車率を見ると、確かにほぼ満席です。名古屋始発と言っても、時間的に自由席を確保するために早くから並ぶことができない僕にとっては、なんとか指定席を確保できてよかったです。
先ほど、今回は2つの企画乗車券を使用すると言いましたが、途中の木曽平沢までは「青空フリーパス」を利用します。JR東海の名古屋圏を中心としたエリアが土休日に限って1日乗り放題となるもので、フルに利用すればかなりコスパのいい企画乗車券です。今回は、金山・名古屋-木曽平沢の中央西線区間しか利用しませんが、それでも正規料金に比べると十分に元が取れる計算です。勝手なわがままを言わせてもらうと、フリー区間に塩尻を加えてもらえると非常にありがたいのですが、こればっかりは仕方ないですね。
木曽平沢-塩尻間は、あらかじめ購入しておいた普通乗車券を使用します。ちなみに木曽平沢-塩尻間の乗車券を購入する際、窓口で往復乗車券をお願いしたところ、なぜかそれぞれの片道乗車券で発券されました。細かなことを言えば、片道乗車券と往復乗車券では有効期間に違いがありますが、今回の旅行には特に影響ないため、そのまま購入しました。
塩尻から先は、JR東日本の管轄になります。JR東日本では長野方面⇔松本方面の往復に利用できるおトクなきっぷとして「信州往復きっぷ」を発売しており、塩尻⇔篠ノ井~長野の設定もあります。JR東海の駅では購入できでないため、塩尻駅で購入する必要があり、さらに駅前にある金券ショップの自販機で「信州特急料金回数券」のバラも購入しました。
実は普通列車の塩尻着は9時50分で、その7分後に「しなの3号」が同駅を発車します。この7分間のうちに駅の券売機で「信州往復きっぷ」を購入し、さらに駅前の自販機で「信州特急料金回数券」のバラを購入することができれば、「しなの3号」に乗車することができますが、実際にはそれなりの時間がかかり、さすがに「しなの3号」には間に合いませんでした。当初の予定どおり、「しなの5号」で長野に向かいます。
しかし、この料金回数券の利用可能区間は、「富士見~南小谷または松本~長野の1駅」→「富士見~南小谷または松本~長野の1駅」となっており、正規の販売価格は4枚綴りで2,040円です。利用区間の表記がちょっとわかりにくい気もしますが、要は「あずさ」「しなの」の長野県内区間での利用が1回当たり510円になるということで、自由席とは言え破格の値段と言えます。(もちろん金券ショップのバラ売りでは510円では購入できませんが、それでもおトクなのは間違いありません。)
復路では、長野駅から「しなの20号」に乗車します。利用区間は塩尻までなので、この区間でも「信州特急料金回数券」が利用できます。長野駅前の金券ショップの自販機で購入しましたが、塩尻駅前の自販機の方が安かったです。やはり利用者の多い長野駅付近では、ちょっと割高になってしまうのかも知れません。
往路で乗車した「しなの1号」が結構混んでいたため、復路の「しなの20号」もそれなりに混雑するかもしれないと思い、早めに自由席を確保することにしましたが、僕が乗車した時点ではそれほど混雑していませんでした。しかし、発車直前になると窓側の座席はすべて埋まり、通路側もそこそこ埋まっている状態になりましたが、次の篠ノ井駅で多くの乗車があり、ほぼすべての座席が埋まりました。ひょっとすると、デッキに立ち客がいたかもしれません。僕は塩尻で下車しましたが、塩尻からの乗客も結構いました。やはり春の行楽シーズンに差し掛かるこの時期には、なるべく指定席を確保しておいた方が安全ですね。