レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

越乃Shu*Kuraに乗車する乗り鉄旅

 前回このブログを更新したのは、ゴールデンウイーク期間中の5月3日でしたので、それからすでに2か月半以上が経過してしまいました。この間、ブログの更新をサボっていたのではなく、県内を含めて全く乗り鉄旅に出かけておらず、記事として紹介するものがなかったというのがその理由です。

 本来であれば、5月から6月にかけての初夏シーズンは、猛暑を迎える前の比較的過ごしやすい季節ということで、梅雨による影響はあるものの、旅行に適した時期と言えます。では、どうしてこの時期に乗り鉄旅に出かけなかったのかと言えば、ゴールデンウイークが明けた5月12日に、愛知県内に3度目となる新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発出され、さらに5月31日までとされていた宣言期間が6月20日まで延長されたためです。今回の宣言期間中、僕は旅行などの外出を控え、いわゆる“自粛生活”を送ってきましたが、幾度となく繰り返される緊急事態宣言にどれほどの効果があるのか、他の代替手段でまん延防止を図ることはできないのかなど、コロナ禍における政府や自治体の一連の対応については、正直、懐疑的な思いが出てきました。個人的には、緊急事態宣言が回数を重ねるごとに危機感が希薄化し、その効果が限定的となってしまって、もはや形骸化した自粛要請はほとんど意味を成さなくなっているのではないかと感じています。緊急事態宣言が発出されると、決まったように「県をまたぐ不要不急の移動を控える」ことが呼びかけられ、あたかも人が移動すること自体に感染拡大の原因があるかのような風潮がありますが、本当に大切なのは、国民一人一人が日々の生活の中で感染リスクの高い行動を避けることであり、それは県内に居ようが県外に居ようが、どちらも変わりないことです。東京では、すでに4度目となる緊急事態宣言が発出されていることから、愛知県で再び発出される日も遠くはないと思いますが、そうなった場合でも、これまでの緊急事態宣言期間中のように“自粛生活”をしようという気持ちにはなれそうにありません。

 緊急事態宣言にまつわる話を長々としてしまいましたが、これ以外にも、この初夏シーズンに乗り鉄旅に出かけていなかった理由があります。実は5月末頃、6月下旬には緊急事態宣言が解除されると見込んで、1泊2日の九州D&S列車乗り鉄旅を計画していました。まだ乗車したことがない「指宿のたまて箱」と「或る列車」に乗車するもので、必要な旅行商品を購入したり乗車券類を手配するなどして、後は出発を待つだけという状態だったのですが、出発の数日前に高齢の父親が体調を崩してしまい、通院への付き添いなどが必要となったため、やむなく予定をキャンセルし、旅行自体を延期しました。また、その九州旅行の代替として、7月上旬に観光列車「etSETOra(エトセトラ)」に乗車する日帰りでの広島旅行を計画・手配したのですが、運の悪いことに広島県を中心とする中国地方での大雨の影響により、出発日の前日になってetSETOraの運休が決定したことから、これまた諦めざるを得ませんでした。

 そんな出来事が重なり、自分の運のなさを嘆きつつも、来たるべき4連休には何とかリベンジを果たそうと意気込んで、7月中旬になってから、取り急ぎ作成した乗り鉄プランが、今回の「越乃Shu*Kuraに乗車する乗り鉄旅」です。こんなギリギリになってからでも指定券の手配は間に合うだろうかと心配しましたが、何とか計画通りに用意することができました。実は当初、7月22日出発を前提に行程を作成していましたが、なんと当日になって乗車予定だった「しなの」が大雨の影響で運休となったことから、急遽、日程を2日ずらして24日出発に変更することになった次第です。ドタバタ続きで慌ただしい中でしたが、最終的な行程は次のとおりとなりました。

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 普段の乗り鉄旅は日帰りが多く、年に数回だけ、宿泊を伴うような旅行に出かけますが、今回は仕事や他の予定による制約が多い中で行程を組んだため、前日夕方から移動を開始し、当日の朝から乗り鉄旅を楽しむという、ややイレギュラーなプランとなってしまいました。前日から当日にかけての宿泊は、上越妙高駅のすぐそばにあるホテルを利用することとし、さらに「越乃Shu*Kura」の出発時間も10時台であるため、朝は慌てることなく、むしろいつもの日帰り旅よりゆっくりすることができる内容になっています。ちなみに今回の旅では、新幹線や特急列車を利用し、第三セクター区間にも乗車しますが、その他の区間では青春18きっぷを利用します。「越乃Shu*Kura」には終点の十日町まで乗車し、そこから帰路に着きます。十日町からは北越急行ほくほく線で六日町まで行き、六日町からは上越線で越後湯沢に移動し、上越新幹線に乗車します。東京駅で上越新幹線を下車した後は、再び青春18きっぷを利用し、東海道本線の普通・快速列車を乗り継いで豊橋に戻るというものです。

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しなの号で使用されている383系名古屋駅 2021/7/24

 名古屋から乗車した383系「しなの21号」です。383系の先頭車両には非貫通型と貫通型の2つのタイプがありますが、外観上は貫通型の方がスマートでカッコいい感じがします。今回乗車する21号は、「しなの」としては最長となる10両編成でした。東京オリンピック開催にあわせた祝日の変更により、24日は4連休期間の後半になるため、多客を見込んで長編成での運行となったのだと思います。

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 始発の名古屋から終点の長野まで約3時間乗車するため、念のため指定席を確保しておきましたが、実際に乗車してみると車内には空席が目立ちました。途中駅で多少の乗降はありましたが、僕が乗車した5号車には名古屋駅始発時点で10人程しかいなかったと思います。夕方の時間帯ではありますが、ビジネス利用が少ない祝日であったことが影響しているのかもしれません。

 乗車した後に気が付いたのですが、夕方に名古屋を出発する「しなの」号は金山にも停車(日中はすべて通過)するため、わざわざ名古屋から乗車する必要はありませんでした。まあ、始発駅から乗車した方が何となく安心できるので、これはこれで良しとします。

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はくたか号で使用されているE7系長野駅 2021/7/24

 長野から上越妙高まではE7系はくたか」に乗車しました。乗車区間が短いため、自由席の利用です。E7系W7系には、今年4月の「北陸本線高山本線を利用した富山往復乗り鉄旅」の中で、金沢から富山までの区間で「つるぎ」号に乗車して以来です。その際に乗車した「つるぎ」号はJR東日本E7系でしたが、今回乗車した「はくたか」号もJR東日本E7系でした。僕は一番東京寄りの1号車に乗車しましたが、長野発車時点で号車内の乗客は僕1人だけでした。

 上越妙高で下車し、駅前にある東横INN上越妙高駅西口に宿泊しました。思い返してみると、乗り鉄旅で東横INNを利用するのは初めてです。実際に現地に到着すると、駅前というより駅直結といった立地で、さらに僕が利用した10階の客室からは、上越妙高駅の新幹線ホームを眺めることができました(正確には、新幹線ホームくらいしか見えませんでした)。建物も比較的新しく、料金も朝食付で1泊5,800円とリーズナブルでしたので、また機会があれば、利用を検討してみたいと思います。

 そして日が変わって、ここからはいよいよ「越乃Shu*Kura」に乗車します。使用される車両はキハ40形・48形気動車を改造した「越乃Shu*Kura」専用車両で、運行される列車名も「越乃Shu*Kura」と呼ばれていることから、その区別がちょっとややこしいですが、まずは車両としての「越乃Shu*Kura」を紹介します。

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上越妙高で発車を待つ越乃Shu*Kura号:上越妙高駅 2021/7/25

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青海川に停車中の越乃Shu*Kura号:青海川駅 2021/7/25

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十日町でおいこっと号と並んだ越乃Shu*Kura号:十日町駅 2021/7/25

 この車両は、2014年春季に新潟県で開催されたデスティネーションキャンペーンの中で登場したもので、全3両編成の気動車です。その名前の由来を調べて見ると、「越乃」は新潟県旧国名である「越後国」、「Shu」は酒、「*」は米、雪、花、そして「Kura」は蔵を表しているとのことで、新潟の魅力を余すことなく盛り込んだ名称となっています。外観に目を向けると、車両形状は種車の面影を残しつつも、藍色と白色を組み合わせた独自のカラーリングが施されており、また、観光列車らしく、車窓の眺望性を高めるために側窓が大型化されているのが特徴的です。

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 次に、この編成で運行されている列車についてですが、今回乗車する「越乃Shu*Kura」以外にも、「ゆざわShu*Kura」「柳都Shu*Kura」があり、いずれも週末を中心に運行されています。

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 これら3つの列車の運行経路を模式図にまとめてみました。下り列車について説明すると、いずれの列車も、上越妙高から長岡までは、えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン信越本線を走る同じルートですが、「柳都Shu*Kura」はそのまま信越本線を東に向かい終点の新潟を目指すのに対し、「越乃Shu*Kura」と「ゆざわShu*Kura」は長岡で進行方向を変えて宮内から上越線に入り、さらに「越乃Shu*Kura」は越後川口から飯山線十日町に、「ゆざわShu*Kura」はそのまま上越線を下って終点の越後湯沢に向かいます。

 ちなみに、これら3つの列車以外にも団体専用列車として他路線で運行されることがあり、つい最近も、水郡線で「奥久慈Shu*Kura」として運行されたことが話題になっていました。

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 今回乗車する「越乃Shu*Kura」の下り列車の時刻表です。上の表は、途中駅の時刻を発車時刻で整理しましたが、青海川では約6分、長岡では約5分の停車が予定されているようです。長岡での約5分の停車は、方向転換を行うための運行上の都合によるものだと思いますが、青海川での約6分の停車は、日本海に近い駅として有名な同駅での記念撮影のために用意された時間のようです。上越妙高から十日町まで、ちょうど2時間30分の旅となります。

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 続いて「越乃Shu*Kura」の車内です。今回乗車する下り列車では、途中の長岡までは3号車が先頭になり、長岡から終点の十日町までは1号車が先頭になります。ちなみに3両編成のうち、座席車は1号車と3号車ですが、このうち1号車は食事付きのびゅう旅行商品専用車両となっており、「みどりの窓口」で指定券を購入して利用することができるのは3号車のみです。JR東日本では、「海里」の4号車や、すでに引退した「伊豆クレイル」の1・3号車のように、一部の号車を旅行商品専用として販売する例がありますが、「越乃Shu*Kura」の1号車もこれと同じ扱いです。という訳で1号車には立ち入っていませんので、2号車から紹介します。

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 中間の2号車はイベントスペースとサービスカウンター、飲食用のスタンディングテーブルが配置されており、座席の設定はありません。普段であれば、このスペースを利用したジャズの生演奏が行われ、また、サービスカウンターで購入した商品を、酒樽をイメージしたスタンディングテーブルを利用してその場で飲食することができますが、現在は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、生演奏は中止され、スタンディングテーブルでの飲食も不可となっていました。

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3号車のリクライニングシート

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3号車のフリースペース

 続いて僕が乗車した3号車ですが、こちらは通常の特急形車両と同様、通路を挟んで左右に2人掛けのリクライニングシートが並んでいます。観光列車では、種車の構造上の制約から座席位置と窓枠が一致しないことがあり、眺望が大きく遮られる“ハズレ席”が少なからず存在しますが、「越乃Shu*Kura」のキハ40形・48形気動車では、座席位置と窓枠が見事に一致するように配置されており、さらにシートピッチも非常に広く、快速列車の普通車の座席としては、十分過ぎるほどの設備になっています。また、車端部には、乗客が自由に利用できる8人掛けのフリースペースもありました。

 そして車内サービスですが、「越乃Shu*Kura」という列車は、先に紹介したその名の由来のとおり、地酒を用いた観光アピールに力を入れているようで、車内では、旅行商品で乗車した乗客(1号車の乗客)だけでなく、乗車券と指定席券で乗車した乗客(3号車の乗客)に対しても、一人一人に地酒の振る舞いが行われています。以前、「おいこっと」に乗車した際に野沢菜漬が配られたことがありますが、一般の乗客にまで地酒が配られるサービスは、おそらく「越乃Shu*Kura」以外にはないのではないかと思います。

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 車内検札の際に、車掌さんからポストカードをいただきました。自然豊かな風景の中を走行する「越乃Shu*Kura」の写真が使われており、よい乗車記念になります。また、2号車には記念スタンプ台が設置されており、専用の台紙も用意されていました。

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ほくほく線で使用されているHK100形:六日町駅 2021/7/25

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とき号で使用されているE2系:東京駅 2021/7/25

 車内で車窓を見たり、駅弁を食べたりしながら過ごしていると、あっという間に十日町に到着してしまいました。久々に観光列車の旅を思う存分、楽しむことができました。

 十日町からは、北越急行ほくほく線で六日町へ、そこからさらに上越線に乗り換えて越後湯沢に向かいました。運転本数が多い区間ではないため、行程を作成する段階では、うまく乗り継げるかどうか心配しましたが、比較的スムーズに乗り継げるダイヤとなっており、無事に越後湯沢に到着しました。

 越後湯沢から東京までは上越新幹線に乗車します。上越新幹線と言えば、今年の10月1日にE4系車両が定期運行を終えるということで、これにより2階建て車両を組み込んだ新幹線車両が完全に姿を消すことになります。今回の乗り鉄旅で、ちょうど都合よくE4系のMaxとき号に乗車できればよかったのですが、行程の都合上、E2系車両のとき号に乗車しました。E2系には、東北新幹線上越新幹線で何度か乗車していますが、これまではすべて普通席のみで、まだグリーン車に乗車したことがなかったため、今回はグリーン車を利用してみました。当然のことですが、新幹線のグリーン車だけあって上質な雰囲気な感じられ、相応の優越感に浸ることができます。普通車でリーズナブルに移動するのもいいですが、時にはグリーン車を利用して、心の満足感を高めることも乗り鉄旅には必要だなと痛切に感じました。

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 今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類をまとめて紹介します。乗車券は、青春18きっぷが利用できない特急乗車区間第三セクター区間で必要となるため、名古屋→上越妙高(特急「しなの」乗車区間北陸新幹線区間分)、上越妙高直江津えちごトキめき鉄道区間分)、十日町→六日町(北越急行区間分)を購入しました。特急券については、名古屋→長野間の指定席特急券と、長野→上越妙高間の新幹線自由席特急券を同時購入することで、いわゆる乗継割引を適用させています。「越乃Shu*Kura」の指定席券と、上越新幹線の越後湯沢→東京間は「えきねっと」を利用して購入しましたが、「越乃Shu*Kura」の指定席券は、購入時点ですでに満席直前で、残り数席という状態でしたが、運よく窓側座席を確保することができました。東京から先は、東海道本線の普通・快速列車を乗り継いで豊橋に戻りますが、途中の沼津までは、普通列車グリーン車を利用し、沼津から先は、「ホームライナー浜松3号」を利用しましたので、そのグリーン券と乗車整理券もアップしておきます。

 今回は、久しぶりの乗り鉄旅でしたが、緊急事態宣言の“自粛期間中”に考えた乗り鉄プランが他にもいくつかあります。昨年の夏はほとんど乗り鉄旅ができなかったということもあり、今年の夏こそは、こうしたプランを参考にして、少しでも多くの乗り鉄旅を楽しみたいと思っています。