レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

「青春18きっぷ」で江の島へ

 JRグループでは3月12日に恒例のダイヤ改正が実施され、すでに約1か月が経過しました。前年の2021年3月のダイヤ改正では、首都圏を中心に終電の繰り上げなどが行われ話題となりましたが、コロナ禍で迎える2回目のダイヤ改正ではどのような変化が見られるのか、改正後の運用に注目していました。僕にとって最も利用機会が多いJR東海の在来線の状況を見ると、いくつかの動きがありました。

 一つ目は何と言っても新形式となる315系車両のデビューです。正確にはダイヤ改正前の3月5日にすでに営業運転を開始していますが、今回のダイヤ改正にあわせた導入と言ってもいいと思います。僕はまだ315系に乗車したことがありませんが、今後は車両の新造にあわせて順次投入され、2023年度中には中央西線の名古屋-中津川間の普通・快速運用の全列車が315系に統一されるそうです。さらに東海道本線の名古屋地区や静岡地区にも活躍の幅を広げるようで、211系や311系を置き換え、313系と並んでJR東海を代表する通勤形車両となるようです。

 二つ目は以前の記事でも少し触れたとおり、静岡地区での土休日ダイヤにおけるホームライナーの運転が取りやめとなってしまったことです。これまで「休日乗り放題きっぷ」や「青春18きっぷ」を利用して東海道本線の静岡地区に乗車する際には、何度となくお世話になった列車です。全国の青春18きっぱーの中にも、よく利用したという方も多いのではないかと思います。330円の乗車整理券を購入するだけで、特急形車両である373系に乗車して快適に静岡区間を移動できるというホームライナーの利便性は、鉄道系youtuberなどによる紹介動画の影響もあって非常に有名になり、コロナ禍以前の青春18きっぷ利用可能シーズンには、特に人気の高い列車を中心に、早々と乗車整理券の発売が終了してしまう場面を何度も見かけたものです。今回のダイヤ改正によって、すでに土休日ダイヤでの運行は終了しており、僕としては残念な気持ちでいっぱいですが、昨今の利用状況を踏まえた措置ということですので仕方ありません。

 そんなちょっぴり寂しい出来事もあった静岡地区ですが、青春18きっぱーにとって明るいニュースもありました。それは、一つ目として紹介した中央西線への315系の投入で余剰となった元セントラルライナー用の313系8000番台が、なんと神領車両区から静岡車両区に転属することになったことです。東海道本線の静岡地区と言えば、“ロングシート地獄”と呼ばれることも多く、かなりの長距離運行となる列車であっても、ごく一部を除いてオールロングシートが当たり前となっていました。しかし、ここに来てまさかの転換クロスシート車が導入されることになったわけです。しかも元セントラルライナー313系8000番台ということで、これまでと比べて快適な移動が保障されることは間違いありません。そうとなれば、早速乗車してみようと思いたち、今回、静岡地区を横断する乗り鉄旅を計画しました。

 ちなみに前回の記事の中で、今季も青春18きっぷの利用予定はないとしていましたが、今回の乗り鉄旅のために金券ショップをいくつか巡り、1回分の青春18きっぷを確保しました(余談ですが、コロナ禍以前と比べると、金券ショップでの青春18きっぷの取扱いが減少しているように感じます。今回は数日間かけていろいろと探しましたが、なかなか在庫がなく、出発直前にやっと手に入れることができました)。さらに青春18きっぷを利用するのであれば、静岡地区に限らずもう少し先まで乗り鉄旅を楽しみたいと考え、利用区間豊橋-藤沢とし、藤沢から小田急線に乗車して片瀬江ノ島まで往復する行程を、次のとおり組んでみました。

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 今回の旅の目的は静岡地区で運用されている313系8000番台に乗車することですが、残念ながらその運用は正式には公表されていません。インターネットを利用していろいろと検索してみると、静岡地区での在来線運用をまとめて紹介しているWebページを見つけました。その情報によると、ある程度は運用を予想できるものの、何らかの差し替えが発生することもあるようなので、念のため、往路と復路でそれぞれ1本ずつ313系8000番台での運用が見込まれる列車を選んで行程を作成しました。このうち往路は豊橋→熱海間を直通する数少ない列車で、実際に313系8000番台に乗車することができれば、東海道本線における静岡区間を完乗できることになります。

 そして旅の目的地は湘南・江の島ですが、僕は小学生の頃に家族旅行で湘南モノレールに乗ったり、江の島水族館に連れて行ってもらった記憶があり、また、友人Dとの日帰り旅行の際に、鎌倉からの帰りに片瀬江ノ島付近で一緒に食事をした思い出がありますが、江の島に渡ったことはありません。そこで今回は、江の島を訪れてしらす丼やスイーツを楽しみたいと考え、そのための時間を確保した行程としました。

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東海道本線の静岡地区に転属した313系8000番台:熱海駅 2022/4/9

 熱海行の電車が発車する豊橋駅の7番線に到着すると、事前に調べた情報のとおり、313系8000番台が停車していました。元セントラルライナー用の車両ということで、僕の中ではまだ中央西線のイメージが抜けきれておらず、313系8000番台が豊橋に停車している姿には、どことなく違和感があります。

 車両の外観はご覧のとおりで、他の313系車両と異なったカラーリングになっており、先頭部は銀色(他番台は白色)塗装され、さらに側面の窓回りにもオレンジ色が配されています。元々、有料快速用に製造された車両ということで、他の通勤形・近郊形車両とは見た目も区別されています。また、車内は他番台でも見られる転換クロスシートですが、モケット柄は赤紫となっており、他番台よりも落ち着きのある車内となっています。また、車端部には、大型のテーブルが設置されたボックス席があり、373系のコンパートメント席のように利用することができます。

 今回、せっかくなので車内も色々と撮影しておきたかったのですが、予想以上に混雑しており、豊橋発車直前には通路側を含めてほぼすべての座席が埋まる程でした。そうした事情もあり、車内では写真を撮影していません。ちなみに周囲の乗客に目をやると、僕と同じように豊橋から熱海まで通しで乗車している人も相当おり、青春18きっぷが利用可能な今シーズン最終の週末ということもあってか、313系8000番台を目当てに乗車する人も少なくなかったように感じました。豊橋-熱海間は3時間以上の道のりですが、座り心地はロングシートの場合とは比べものにならない快適さで、長時間の乗車も全く気になりませんでした。

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ダブルデッカーグリーン車を組み込んだE233系根府川駅 2022/4/9

 熱海から先のJR東日本区間では、おなじみのE231系E233系に乗車します。往路では、後続の特別快速の方が藤沢に早く到着できるため、途中の小田原で乗り換えました。当初は往路のこの区間でもグリーン車を利用しようかと思いましたが、途中乗り換えとなる上に乗車時間も1時間に満たないため、結局、往路ではグリーン車を利用せず、復路でのみグリーン車を利用しました。

 上の写真は、復路で利用した列車が根府川で停車中に撮影したものです。首都圏の普通列車グリーン車は、ホリデー料金が適用される週末であっても、ほぼ満席となることもあり、今回も途中駅からの乗車で着席できるかどうか不安でしたが、こちらは予想に反してガラ空き状態で、僕の好きな階上席にもずいぶんと余裕がありました。

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 短い区間でしたが、藤沢-片瀬江ノ島間では小田急線に乗車しました。わずか6分ほどの乗車時間です。片瀬江ノ島駅はユニークな駅舎で、まるで浦島太郎の昔話にある竜宮城のような外観でした。
 さて、ここからは、島内で立ち寄った飲食店や施設について、少し紹介したいと思います。

◆魚見亭

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 江の島内には多くの飲食店があり、至る所に海鮮料理を提供する店があります。対岸から延びる弁天橋を渡ってすぐの通り沿いにも、お土産物屋さんや飲食店が多くありますが、僕は今回、稚児ヶ淵近くにある魚見亭というお店で昼食をいただくことにしました。事前に調べたところによると、お店のテラス席からは相模湾を見渡すことができるということで、暖かい春の陽射しの中で潮風に当たりながら食事を楽しみたいと思ったからです。アップダウンの多い島内を歩いてやっとお店にたどり着きましたが、当日はなんと強風のため、テラス席が利用不可となっていました(涙)。それでも海の見える窓際の座席に案内していただけたので、青い海と空を眺めながら、しらす丼をいただくことができました。

◆カフェ・マディ(Cafe Madu)

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 最近は、2月の京都旅行や3月の横浜旅行でもそうですが、旅先でスイーツをいただくのが楽しみのひとつになっています。江の島の島内にもいくつかのカフェがあり、パフェやケーキなど、どれも魅力的なスイーツばかりですが、今回はカフェ・マディというお店でクレープをいただくことにしました。このお店は、客席の一部に海を見下すことができるテラス席があり、屋外で食事やデザートを楽しむことができるようになっています。このお店は、空いた席の中から自分で好きな座席を確保し、それから券売機でチケットを購入するという方法となっており、テラス席を利用できるかどうかは、その時の運次第となりますが、今回は運よく2人掛けのテーブル席に空きがあったため、テラス席を利用することができました。

 注文したのは、アップルシナモンナッツのクレープです。料理やデザート類の提供までに時間がかかるという店舗入り口にあった案内を見落としていた僕が悪かったのですが、テラス席で海を眺めながら待つこと約30分、結果的にはちょうど小腹が空いてきたタイミングでクレープをいただくことができました。江の島にあるカフェのテラス席でクレープを食べるなんて、今まで生きてきた人生の中で1、2を争う洒落乙でした。

◆江の島シーキャンドル

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 江の島のシンボル的な存在とも言えるのが、この江の島シーキャンドルです。サムエル・コッキング苑という植物庭園の中にある展望灯台で、エレベーターを上がった先にガラス張りの展望フロアがあり、さらにその上には屋外展望台があります。江の島に来たからには外すことができない定番スポットということで、僕も展望台に行ってみることにしました。展望フロアは約42m(海抜だと約100m)に位置しているということで、周囲には視界を遮るような構造物がなく、天気にも恵まれたことから、江の島全体や相模湾の風景を見渡すことができました。ちなみに屋外展望台にも出てみましたが、こちらはすごい強風で写真を撮影するどころではありませんでした。

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 今回は先に紹介したとおり、青春18きっぷを利用した乗り鉄旅のため、紹介できるきっぷ類は多くありませんが、せっかくなので使用した青春18きっぷを載せておきます。金券ショップで残り1回券を購入したため、1回目から4回目までの欄にある押印分は、僕とは全く関係ありません。そして復路では、JR東日本区間普通列車グリーン車を利用しましたので、そのきっぷも載せておきます。復路での乗車区間は藤沢→熱海でしたが、グリーン車を利用したのはこのうち辻堂→熱海間です。藤沢→熱海だと営業キロが50kmを少し超えてしまうため、1区間だけケチって辻堂からにしました。いつもであれば発車後しばらくして、グリーンアテンダントさんが検札にくるのですが、今回は辻堂から終点の熱海までの間で一度も車内検札がありませんでした。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、検札を省略しているのでしょうか?

 今回は期せずして青春18きっぷを利用した乗り鉄旅ができました。青春18きっぷを利用した乗り鉄旅は昨年8月の山陰乗り鉄旅以来で、約8か月ぶりです。最近は、特急列車や新幹線を利用した乗り鉄旅が続きましたが、やはり青春18きっぷなどを利用した気軽な普通列車の旅にも一味違った楽しみがあります。この先のゴールデンウイークや初夏に向けて、また新たな鉄道旅を企画していきたいと思う今日この頃です。

「ヨコハマ・みなとみらいパス」でぶらり旅

 早くも3月後半になり、年度末が近づいてきました。この時期になると、新年度に向けた人事異動が気になるわけですが、わが社ではつい先日、管理職以外の一般社員に対して内示があり、僕は希望どおりに現在の職場に引き続き残留することになりました。異動になると、年度末から年度初めにかけて何かと落ち着かないことが多く、小心者の僕は色々と不安になってしまうのですが、今回は異動がないことが分かり、ひと安心することができました。

 また、最近は少しずつ気候も穏やかになり、長く続いた寒々しい日にも終わりが見えてきました。待ち続けた春は、すぐそこまで来ているような気がします。さらに、新型コロナウイルス感染症に係るまん延防止等重点措置も3月21日で全面的に解除されることが正式に決定し、春休み期間とも重なって各地の人出も徐々に増えてくるのではないかと思っている今日この頃です。

 さて今回ですが、年度末に向けて残りの年休を少しでも消化すべく、平日に休暇を取得することができたため、久しぶりに横浜に行ってみることにしました。横浜にはこれまでに何度か訪れたことはありますが、思い返すと家族旅行や友人Dと一緒に遊びに行ったりしたことはあるものの、ひとり旅の経験はありません。2月下旬の京都旅行では、「シャトルきっぷ」という企画乗車券を利用し、現地での観光も含めてひとり旅を楽しめたことから、今回は関東方面に行ってみようと思い、旅先として横浜を選んでみました。

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上下の待避線で発車を待つN700A豊橋駅 2022/3/18

 豊橋から新横浜までは、もちろん東海道新幹線を利用します。そういえば、現在は春季の青春18きっぷが利用可能な期間となっていますが、今季は購入しておらず、今のところ利用する予定はありません(金券ショップで残り1回分か2回分のきっぷが入手できれば利用するかもしれません。)上の写真は、豊橋駅の新幹線上りホームの東京方で撮影したものです。僕は今回、ひかり号に乗車しますが、その直前にこだま号が発車するため、その停車時間を利用して撮影したものです。ちょうど反対側の下り線にもこだま号が停車していたため、通過線を挟んで上下の待避線にN700が並んだ瞬間を撮影することができました。

 今回乗車したのは、新大阪発東京行きのひかり号で、新大阪からは名古屋まではこだま号と同様に各駅に停車しますが、その後は豊橋に停車した後、静岡県内のすべての駅を通過し、次は新横浜まで停車しません。そのため、豊橋-新横浜間はほぼ1時間で、本当にあっという間です。現在、豊橋駅に停車するひかり号は日中に上下とも2時間に1本のみですが、新横浜まで約1時間、東京まで約1時間20分で到着できる速達タイプのひかり号を利用できることは、とてもありがたいことです。

 

◆横浜中華街

  今回の横浜旅行では、中華街で昼食を楽しむことに決めていたので、新横浜到着後、早速、中華街に向かいます。

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横浜線で運用されているE233系6000番台:東神奈川駅 2022/3/18

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みなとみらい線で運用されている東急5050系:元町・中華街駅 2022/3/18

 横浜までは横浜線京浜東北線を利用し、横浜からはみなとみらい線に乗車しました。中華街に行くには、根岸線石川町駅を利用する方法もありますが、これまであまり利用したことのないみなとみらい線に乗車してみたかったので、こちらを利用して元町・中華街駅まで移動しました。せっかくの機会なので横浜高速鉄道の自社車両であるY500系に乗車してみたかったのですが、今回は東急の車両でした。

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 中華街に来るのは久しぶりです。以前、友人Dの誕生日に2人で横浜に遊びに行った際、中華街にある聘珍楼というお店でディナーコースを食べたことがありますが、その時以来だと思います。聘珍楼に行ったのはその1回だけですが、数ある中華料理店の中でも立派な店構えで雰囲気もよく、本格的なコース料理を楽しめたことを覚えています。その時の思い出もあり、今回の旅行でもう一度、聘珍楼横浜本店で食事をしたいと思い、再び訪れて平日のランチメニューをいただくことにしました。味はもちろん申し分なく、期待を裏切らない本格的な中華を楽しむことができました。

 

◆YOKOHAMA AIR CABIN

 聘珍楼でお腹を満たした後は、根岸線に乗車して桜木町まで移動し、ここからYOKOHAMA AIR CABINに乗車してみることにしました。

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 YOKOHAMA AIR CABINは、桜木町駅前から汽車道に沿って運河パークを結ぶロープウェイで、2021年4月に開業したばかりです。乗車中には、普段とは異なる視点で汽車道やみなとみらいの景色が楽しめるということで、どんな風景が見られるかと期待していましたが、残念なことに乗車前に雨が降り出し、事前に写真で見ていたような風景を楽しむことはできませんでした。乗車時間は約5分であっという間という感じでしたが、意外と高低差があり、単なる移動手段というよりも、ちょっとしたアトラクションとして楽しむことができます。平日の雨天時ということもあって乗客は少なく、ほとんど空気輸送状態で待ち時間もありませんでした。運賃は片道1,000円でちょっと高いかなと思いましたが、8人乗りのゴンドラを贅沢に一人で独占できましたので、まあ良しとします。

 

◆赤レンガ倉庫

 運河パークでYOKOHAMA AIR CABINを下車した後、少し歩いて赤レンガ倉庫に向かいました。

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 これは、横浜税関が実際に使用した後に役目を終えた倉庫が、文化・商業施設としてリニューアルされたもので、付近一帯は広場と公園を備える赤レンガパークとして整備されています。ちなみに赤レンガ倉庫には1号館と2号館とがあり、このうち2号館1階には、世界一の朝食として知られているbillsがあります。僕はbillsのリコッタパンケーキが大好きで、お台場にある店舗で初めて食べた際には、これまで経験したことのない食感と味わいに感動しました。billsに行くことができる機会はなかなかないため、赤レンガ倉庫の店舗でも是非、あのパンケーキを食べてみたかったのですが、さすがに昼食直後ということでお腹に余裕がなく、残念ながら今回は見送ることにしました。

 

マリーンルージュ

 今回の旅行では、豊橋-新横浜間で往復とも東海道新幹線に乗車する訳ですが、必要な乗車券類については、いつものようにJR東海ツアーズの旅行商品で手配しました。現在発売されているJR東海ツアーズの日帰り旅行商品の中で最もおトクに利用できるのは、新幹線を利用した分散型旅行を楽しむという“ずらし旅”というもので、これは、目的地ごとに用意された複数の体験メニューの中から好きなプランを1つ選び、現地で利用することができるというものです。横浜を目的地とする“すらし旅”には、先ほど乗車したYOKOHAMA AIR CABINの片道とコスモクロック21という大観覧車の利用がセットになったプランや、中華街でランチを楽しむプラン、自転車シェアリングができるプランなどがありますが、僕はそれらの中から横浜港観光船マリーンルージュに乗船できるプランを選びました。本来であれば、山下公園桟橋を発着する観光船ですが、現在は工事中のため、ピア赤レンガ乗り場から乗船することができます。

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 JR東海ツアーズが提供しているマリーンルージュの乗船プランは、ケーキセットプランとなっており、船内でスイーツを楽しみながら横浜港でのクルージングを楽しむことができます。乗船中も引き続き雨模様で、大桟橋や横浜ベイブリッジなどの景色を屋外のデッキから眺めることはできませんでしたが、優雅でゆったりとしたひと時を堪能することができました。

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 今回の旅行で使用した乗車券類です。上の2枚はJR東海ツアーズの乗車票で、下の1枚は横浜駅指定席券売機で購入した企画乗車券「ヨコハマ・みなとみらいパス」です。この企画乗車券は、券面に表示されているとおり、JR根岸線の横浜-新杉田間と横浜高速鉄道みなとみらい線の全線が1日乗り放題になるものです。よくよく計算してみると、今回乗車した区間の運賃を合計しても530円に満たないことから、計算上はこのきっぷを購入するメリットはありませんが、きっぷ鉄として一度は利用してみたいと思っていたため、今回の旅行で利用してみようと購入してみました。

 ちなみに復路の新横浜→豊橋間で乗車した新幹線はN700Sでした。以前に豊橋→名古屋間でN700Sの普通車に乗車したことがありますが、N700Sのグリーン車を利用するのは初めてです。座席などの基本的な設備にN700Aとの大きな違いは感じられませんでしたが、モケット柄は明らかにN700Aとは異なるもので、新鮮な印象でした。今回の旅行は全体的に雨に降られてしまい、ちょっとがっがりする面もありましたが、最後の最後で想定外のN700Sのグリーン車に乗車することができ、大満足の中で今回の旅を締め括ることができました。

「シャトルきっぷ」で京都へ

 JR東海が発売する企画乗車券に「シャトルきっぷ」というものがあります。この名称だけでは、どういった特長があるきっぷなのかが分かりにくく、通勤・通学時間帯にシャトル運用が行われている区間で利用できる回数券タイプのきっぷなのかと勝手に想像してしまいますが、実際には、東海道本線の穂積~醒ヶ井の各駅から米原までは在来線に、そして米原から京都・新大阪までは新幹線に乗車することができる往復タイプの企画乗車券です。京都・新大阪を目的地とすることや一部区間で新幹線を利用することをアピールするのであれば、例えば「新幹線 京都(又は新大阪)お出かけきっぷ」というような、もっと分かりやすい名称でもいいと思いますし、そもそも米原で乗り換えが発生することを前提としているにも関わらず、直通をイメージさせる「シャトルという言葉を用いることにも違和感がありますが、そこは何かしらJR東海の深い意図があるのかもしれません。今回は、この「シャトルきっぷ」を初めて利用し、久しぶりに京都までの乗車旅を楽しんできましたので、その内容を紹介したいと思います。

 シャトルきっぷ」とは?

1 設定区間
 東海道本線の穂積・大垣地区(穂積、大垣、垂井、関ケ原、柏原、近江長岡又は醒ケ井)から京都・新大阪までの区間で、先に紹介したとおり、発駅から米原までは在来線に、米原から京都・新大阪までは東海道新幹線の普通車自由席に乗車するものです。発着駅は上記7駅に限定されており、岐阜や西岐阜の設定はありません。また、穂積・大垣地区→京都・新大阪を往路とするもののみで、その反対(新大阪・京都→穂積・大垣地区を往路とするもの)はありません。

 米原-京都間の在来線(琵琶湖線には新快速が設定されているため、わざわざ米原で乗り換えて1区間だけ新幹線に乗車しなくても十分ではないかという意見もあるでしょうが、JR側の事情からすれば、琵琶湖線JR西日本東海道新幹線JR東海と別会社になることから、このきっぷを発売するJR東海としては、すべて自社路線で完結させたいという思惑があるのだと思います。

 ちなみに、新幹線に乗車することができる企画乗車券を所持していれば、新幹線に替えて同区間の在来線を利用することもできることが多い(例:新幹線名古屋/豊橋往復きっぷなど)と思いますが、「シャトルきっぷ」では米原京都間の在来線を利用することはできず、別途乗車券が必要となる旨がしっかりと券面に記載されています。

2 利用/発売期間
 通年で発売されており、平日や土・休日を含めて利用可能ですが、ゴールデンウイークや年末年始などの多客期には利用できません。
 また、有効期間は2日間で、日帰り旅行だけでなく、1泊2日の旅でも利用することが可能です。

3 発売箇所
 上記7駅で自駅を発着するもののみ発売しています(大垣発着分のみ周辺の旅行会社でも取り扱いあり)。つまり穂積発着分は穂積駅でしか購入することができず、僕のように名古屋・岐阜方面から引き続き乗車したい場合でも、一旦は上記7駅のいずれかで下車して「シャトルきっぷ」を購入しなければなりません。

 という訳で、今回は金山-穂積間の往復乗車券を購入し、穂積で下車して「シャトルきっぷ」を購入しました(穂積で下車するのはきっぷを購入するためだけです)。事前に名古屋や金山で「シャトルきっぷ」を購入することができればさらに便利なのですが、JRのきっぷのルールでは、原則として購入する駅を発着駅とする乗車券を発売することになっているため、やむを得ません。そういった事情もあってか、「シャトルきっぷ」は名古屋や岐阜方面から京都・新大阪まで乗車する際の“定番商品”とはなっておらず、JR時刻表のトクトクきっぷのコーナーでも紹介されていません。

4 ねだん
 各駅からの価格は、次のとおりです。

発着駅 シャトルきっぷ 正規運賃+自由席特急料金
京都 新大阪 京都 新大阪
穂積 4,700円
(20.9%)
6,340円
(38.7%)
5,940円 10,340円
大垣 4,700円
(20.9%)
6,340円
(38.7%)
5,940円 10,340円
垂井 4,140円
(22.8%)
5,680円
(41.3%)
5,360円 9,680円
関ケ原 3,760円
(25.1%)
5,680円
(41.3%)
5,020円 9,680円
柏原 3,760円
(25.1%)
5,680円
(41.3%)
5,020円 9,680円
近江長岡 3,440円
(26.2%)
5,040円
(44.1%)
4,660円 9,020円
醒ケ井 3,440円
(26.2%)
5,040円
(44.1%)
4,660円 9,020円

※ シャトルきっぷ欄にある(%)は、正規運賃+自由席特急料金に対する割引率を示す。

 全体的に、京都までのきっぷよりも新大阪までの方が割引率が高くなっています。これは、米原京都間で新幹線の普通車自由席を利用する際に特定特急料金が適用されるため、元々の特急料金が安価に設定されていることによるものだと思います。京都までのきっぷでは往復の正規運賃に720円~760円を、新大阪までのきっぷでは往復の正規運賃に1,060円~1,080円を追加することで、往復とも新幹線に乗車できる訳ですから、特に新大阪を往復する際には、かなりおトクに利用できると思います。

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 今回使用した、金山-穂積間の往復きっぷと「シャトルきっぷ」の実物です。穂積駅では、近距離券売機にも「シャトルきっぷ」口座が設定されており、券売機と窓口のどちらでも購入することができますが、僕はマルス券で発券してもらいたかったため、あえて窓口で購入しました(僕の次に窓口を利用している方も「シャトルきっぷ」を購入していました)。

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今回乗車した313系東海道新幹線N700A米原駅 2022/2/27

 京都までの道中は、東海道本線区間では313系に乗車し、新幹線も安定のN700Aでした。上の写真はともに米原で撮影したものです。これまでにも何度か撮影したことのある車両ですが、少し時間に余裕があったので、数枚撮影してみました。そういえば、313系乗車中に車窓を眺めていると、大垣車両区にJR東海の新たな通勤型車両である315系が何編成か留置されていました。3月12日のダイヤ改正までの間、神領車両区から一時的に疎開しているのでしょうか?

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 米原-京都間は新幹線でわずか20分弱で、あっという間に京都に到着しました。言い忘れていましたが、今回はいつものような乗り鉄旅と違い、さらに別の路線に乗り継いで先を目指すことはなく、京都市内でちょっとした観光を楽しみたいと思って計画したものです。といっても事前に決めていたのは、昼食に平野屋本店で「いもぼう」を食べることと、祇園辻利の本店にある茶寮都路里でパフェを食べることくらいで、あとは駅でお土産を買う程度です。

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 駅前から市バスに乗車して祇園に向かいました。京都の市バスに乗車するのは久しぶりです。バス停から八坂神社の境内を通り抜けて、平野屋本店を目指します。僕が初めて平野屋本店を知ったのは大学生の頃です。どういったいきさつだったのか詳しくは覚えていませんが、家族全員で平野屋本店を訪れて「いもぼう」を食べさせてもらったことを覚えています。いかにも老舗らしい佇まいで風情があり、京都に来たら是非とも立ち寄りたいお店のひとつです。

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 辻利本店を訪れるのは初めてです。以前、入店を待つ長い行列が続いているのを目撃したことがあり、すぐに入店できるかどうか心配しましたが、今回はとどんど待ち時間はなく10分程度ですぐに案内してもらえました。注文したパフェは期待どおりの味で、濃い目の抹茶と甘い苺が見事に調和し、京都らしい上品で奥深い味わいです。また、見た目にも美しく、すぐに食べてしまうのがもったいないくらいでした。

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 この他にもちょっと寄り道をしながら、予定どおりに京都旅行を楽しむことができ、僕としては十分に満足です。今回は久しぶりに京都市内を巡りましたが、やはり京都旅行はいいものです。僕は京都の歴史や文化に対する知識も見識もなく、単なるミーハー旅行者にすぎませんが、京都という街全体に人を惹きつけるような不思議な魅力を感じます。日常の中に非日常があるというか、普段は自分の心の隅っこで小さく眠っている感性が呼び起こされるといったイメージでしょうかね。京都は、今の自分に何かの気付きを与えてくれるような気がします。

 そして気付けば、もう2月もほぼ終わり、すぐに3月となります。少しずつ暖かな日も増えてくると思いますので、体調にも気を付けながら、春に向けて乗り鉄旅を楽しんでいきたいと思っています。

「ふじかわ」「あずさ」「はこね」に乗車する乗り鉄旅

 2022年もすでに2月となり、1年の中で最も寒い時期を迎えました。最近は、ちょっとした外出の際にも手袋と厚手のコートが欠かせません。特に今シーズンは、例年以上に寒さが厳しいように感じます。全国的に見ても積雪が多いようで、たびたび各地の鉄道路線で列車の遅延や運休が発生するなど、地域の日常生活に大きな影響を及ぼしています。特に日本の大動脈である東海道新幹線は雪の影響を受けやすく、年に数回、関ケ原付近での降雪や積雪により数時間単位での遅延が発生することがありますが、今年はその頻度が多いような気がします。また、数日前には、札幌市付近を中心とした記録的な大雪によって線路の除雪作業が追いつかず、札幌駅を発着する列車が数日間にわたって終日運休になったことなどが報道されました。JR北海道には除雪作業のノウハウもあり、それ相応の機器や設備も整っていると思うのですが、それを以ってしても対応しきれないような、凄まじい大雪だったのだろうと想像します。

 幸いなことに、僕が住んでいる愛知県の平野部では、真冬であっても雪が降ることはほとんどなく、さらにその雪が地面に積もることはめったにないため、降雪や積雪による大きな混乱はありませんでしたが、気温の落ち込みはとても厳しく、毎日の通勤で自宅と最寄り駅との間を自転車で数分間行き来するだけでも、身体が芯まで冷えるような凍てつく寒さを感じるときがあります。(北海道や東北地方に住む方から見れば大したことはないと言われてしまいそうですが…)

 話しは変わって今年になってからの乗り鉄事情ですが、今季は「青春18きっぷ」を購入していません。もし昨年の12月時点で「青春18きっぷ」を購入していれば、残り回数分を年始の乗り鉄旅として利用していたでしょうが、心が弱い僕は今季の冬の寒さに完全に敗北し、年が明けてからあまり積極的に外出することもなく過ごしてきました。

 しかし、1か月以上も乗り鉄旅をしていないと、だんだんと身体から“鉄分”が失われていくようで、そろそろ“鉄分”を補給したいなと思うようになってきました。ちょうど2月には、建国記念の日を含めた11日(金)から13日(日)までの3連休があります。そこでこの機会を利用することとし、事前の天気予報なども参考にして、比較的天気が良さそうな12日に乗り鉄旅に出かけることにしました。

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 今回の乗り鉄旅の行程です。今回は、小田急の「白いロマンスカー」こと50000形VSEに乗車することをメインに組み立てました。50000形VSEには以前に乗車したことがあり、特に目新しい車両という訳ではありませんが、昨年12月、2022年3月に定期列車としての運行が終了して2023年秋には引退予定であることが発表されたことから、定期運行終了までにもう一度、乗車してみることにしました。小田急のWebページでVSEの運用を事前に確認し、あわせて現地までの往復に要する時間を考慮した結果、新宿14:20発の「はこね25号」に乗車することにしました。

 ロマンスカーの始発駅である新宿までは、豊橋から東海道新幹線を利用するのが一般的で、JRの在来線だけで移動する場合でも、東海道本線湘南新宿ラインを利用する方法が最短の経路になりますが、今回は乗り鉄旅を楽しむため、あえて別のルートを選択しました。豊橋から富士までは東海道本線を利用し、富士から甲府までは身延線の特急「ふじかわ」に、そして甲府から新宿までは中央東線を走る特急「あずさ」に乗車するもので、VSEによる「はこね」とあわせて計3つの特急列車に乗車するものです。なお、小田原で「はこね」を下車した後は、再び東海道本線を利用して帰路につくことになります。

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静岡県内のホームライナーやふじかわ号で使用されている373系豊橋駅・浜松駅・甲府駅 2022/2/12

 まずは、豊橋から浜松行の普通列車に乗車しますが、これには373系が充当されていました。特急形車両が普通列車として使用されており、いわゆる乗り得列車です。豊橋-浜松間の乗車時間は40分弱で、ロングシートでもさほど気にならない距離ではありますが、短い区間であっても特急形車両で快適に移動できることはとてもありがたいことです。ちなみに今回は、車端部のコンパートメント席を利用しました。

 次の区間である浜松から静岡までは、「ホームライナー静岡36号」に乗車します。この列車も先ほどと同じ373系で運行されています。そういえば、今年3月のダイヤ改正により、静岡地区における土休日のホームライナーの運転が取りやめられることになりました。したがって、今回乗車する「ホームライナー静岡36号」もなくなり、また、これまで何度も利用した沼津発の「ホームライナー浜松3号」も平日しか乗車する機会がなくなります。静岡地区のホームライナーには、青春18きっぷ利用可能シーズンの土休日を中心に何度もお世話になっただけに、残念でなりません。昨今の利用状況を踏まえた判断だと思いますので、仕方のないことではありますが、これまで頻繁に利用していた列車がなくなってしまうことには、やはり寂しさがあります。

 そして静岡から富士までは普通列車を利用し、富士からは「ふじかわ」に乗車します。「ふじかわ」は静岡始発なので、静岡から乗車してもよかったのですが、特急料金をケチって富士から乗車することにしました。乗車する車両は再び373系です。今日だけで種別が異なる373系に計3回も乗車してしまいました。特急として運用される373系に乗車するのは、昨年4月に「伊那路」に乗車して以来で、「ふじかわ」に乗車するのは初めてです。

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 「ふじかわ」は全3両編成で、うち1号車が指定席、2・3号車(コンパートメントを除く。)が自由席となっています。始発駅からの乗車ではありませんが、途中駅の富士からでも座席に余裕はあるだろうと考え、指定席ではなく自由席を利用することにしました。もしかしたら車内はガラ空きで貸切状態かもしれないと勝手に想像していましたが、思っていた以上に利用客が多いことに少し驚きました。

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あずさ号で使用されているE353系新宿駅 2022/2/12

 甲府に到着後、「えきねっと」で予約したきっぷを券売機で受け取り、車内で食べるお弁当を購入してすぐに上りの「あずさ」に乗車しました。いつもの乗り鉄旅と同様、今回も現地で観光する時間は設けていません。「あずさ」に使用されている車両はJR東日本E353系です。僕がE353系に乗車するのは今回が2回目で、初めて乗車したのは、E353系が営業運転を開始して間もない頃(約4年前)の「スーパーあずさ」でした。

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 以前の記事でもE353系を紹介しましたが、洗練されたデザインとカラーリングが美しく、次世代を担うにふさわしい特急形車両だと思います。さきほどまで乗車していたJR東海373系ワイドビュー仕様で汎用性もあり、また性能面でも他の車両に劣るものではありませんが、僕としては、オレンジ帯のみ引かれたステンレス無塗装の外観がどうしても気になります。通勤形車両や近郊形車両ならまだしも、特急形車両には、単なる実用性だけでなく、それなりの風格というか、特急形車両らしいデザイン性にもこだわったカラーリングが欲しいところです。JR東日本の特急形車両には各車両ごとにオリジナル性が与えられており、人によって好みは分かれるかも知れませんが、乗客の印象に残るような特急形車両が多いと感じます。

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 続いて車内です。普通車の車内は、特急形車両として一般的な2+2列配置の回転式リクライニングシートが並んでおり、シートピッチは960mmだそうです。座席の背もたれ部分には落ち着きのあるブルー系のモケットが使用されており、車内全体からはどことなく清らかさが伝わってきます。設備面では、回転式リクライニングシートでは定番の背面テーブルが利用可能で、モバイルコンセントも完備おり、不自由を感じることはありません。

 現在、「あずさ」は「かいじ」「富士回遊」とともに全車指定席化されているため、必然的に指定席を利用することになりますが、今回僕が乗車した号車の乗客はまばらで、乗車密度で言えば「ふじかわ」よりも空席が目立つような状況でした。3連休の中日とは言え、ここまで乗客が少ないのを目の当たりにすると、「あずさ」の定期運用も減便されてしまうのではないかと心配になってしまいます。

 終点の新宿で「あずさ」を下車し、ここからは小田急線を利用します。新宿-小田原間は、JRの湘南新宿ラインを利用しても乗り換えなしに移動することができますが、運賃に大きな差があり、小田急線の運賃が900円であるのに対し、JR線の運賃は1,520円です。さらに同区間小田急線のロマンスカーに乗車する場合の特急料金は910円ですが、JR線で普通列車グリーン車を利用する場合のグリーン料金は平日1,000円/ホリデー800円とほぼ互角で、これらを比較すれば圧倒的に小田急線が有利な状況にあります。そんな訳で、僕もこれまで何度も利用したことのある小田急ロマンスカーですが、先に紹介したとおり、この3月のダイヤ改正にあわせ、50000形VSEが登場からわずか17年で定期運行から離脱することになってしまいました。まだまだ引退するような車齢ではなく、80000形GSEの「赤いロマンスカー」と並んで小田急を代表する特急形車両として引き続き活躍してくれると思っていただけに、正直言って、未だに信じられない気持ちでいっぱいです。VSEは連接台車という日本の鉄道車両ではあまり例のない構造を採用しており、今後のメンテナンス費用や交換用部品の調達などの面において、現役続行は困難と判断されたようです。VSEならではの“個性”がかえって仇となり、引退を早めてしまったとは、何とも皮肉な話です。

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はこね号で使用されている50000形VSE新宿駅 2022/2/12

 上の写真は、VSEの入線から発車までの間に撮影したものです。僕と同じようにVSEを撮影しようと待ち構えている撮り鉄の方も多い中、何とか1号車(小田原方)と10号車(新宿方)それぞれの先頭車両を撮影することができました。VSEを間近で見たのは久しぶりですが、あと1か月で定期運用を離脱する車両とは思えないほど美しさを保っています。流線形のシャープなデザインは実にスマートで、シルキーホワイトのボディに引かれたバーミリオン・オレンジのラインが、車両全体を引き締めるアクセントになっています。

 VSEが独特のミュージックホーンを吹鳴させて入線する姿を見ていると、引退を宣言されたVSEの今後の行方が気にかかり、何だか感傷的な気持ちになってしまいました。

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 VSEといえば、何と言っても先頭車両の展望席に注目が集まりますが、VSE(Vault Super Express)という名のとおり、車内に開放感をもたらすドーム型の天井も大きな特徴となっています。VSEは10両1編成となっていますが、先頭車の全長は約18m、中間車では約14mと一般的な鉄道車両よりもひと回り小さいため、どうしても車内空間が狭くなってしまいます。しかし、ドーム型天井のおかげで圧迫感を感じることはありません。そして、車内の座席の表地はロマンスカーを象徴するかのようなオレンジ色で明るく、一方で背面はブルーグレーの落ち着きのある配色となっています。また、テーブルなどの内装類にはメイプル材が使用されており、全体として温かみが感じられる空間となっています。繰り返しになりますが、最新のGSEと比べても全く見劣りしないVSEが引退してしまうのは、やはり惜しい感じがしてなりません。

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 今回の乗り鉄旅で使用したきっぷをまとめて紹介します。今回乗車した区間のうちJR東海管内については「休日乗り放題きっぷ」を利用しました。以前にこのきっぷを利用した時には、同じマルス券でも、自動改札機に対応していない120mm券でしたが、いつの間にか85mm券になっており、自動改札機を利用できるようになっていました。ちなみに豊橋甲府間の普通運賃は片道4,510円で、熱海-豊橋間は3,410円なので、「休日乗り放題きっぷ」を利用することで、これらの区間をかなりおトクに乗車することができます。(オススメですよ😃)

 特急「あずさ」は、いつものようにJR東日本の「えきねっと」で購入しました。「あずさ」「かいじ」については、乗車日の13日前までであれば30%割引となる「お先にトクだ値」を購入することができますが、今回はきっぷの手配が直前だったため、10%割引となる「えきねっとトクだ値」を前日に購入しました。

 ロマンスカー特急券は、「e-Romancecar」を利用して予約しておきました。前日の予約だったため、その時点ではすでに展望席は満席で、あわよくば直前に展望席のキャンセルが発生しないかと空席状況をこまめに確認してみましたが、やはり展望席を確保することはできず、一般席に乗車しました。これまでの僕の経験からすると、新宿発のロマンスカーは、発車数分前に満席となることが多いと思うのですが、今回は満席になることなく、僕の隣の通路側の座席も小田原まで空席のままでした。

 最後に載せた乗車券は、復路で利用するJR区間のうち、「休日乗り放題きっぷ」の範囲外になる小田原→熱海間を別に購入したものです。熱海で乗車券の持ち帰りをお願いしたところ、珍しい乗車記念印を押印してくれました。(マルス券には収まりますが、エドモンソン券にはとても収まらない大きさですね…)

 こんな感じで、2022年最初の乗り鉄旅を終えました。新型コロナウイルス感染症の関係もあり、今年がどんな1年になるのか全く予想できませんが、世間が落ち着きを取り戻して、「Go To トラベル」が一日でも早く再開されることを願うばかりです。

近鉄「アーバンライナー」と「ひのとり」に乗車する大阪往復乗り鉄旅

 乗り鉄&きっぷ鉄である僕にとっては、実際に旅行で使用する乗車券類を手配することも楽しみのひとつになっています。通常は、旅行商品を購入したり、駅の窓口や「えきねっと」「e5489」などのインターネット予約サービスを利用したりして、希望する列車の指定券を手配するのですが、利用する区間によっては、金券ショップで回数券のバラ売りを購入することもあります。また、過去には、ヤフオク!に出品されていた株主優待乗車証を落札して利用したこともありました。特にインターネットオークションでは、有効期限が迫った時期になると株主優待乗車証が多く出品され、一般的な市場価格を大幅に下回る価格で落札できることも多いことから、その時期になると、ヤフオク!をこまめにチェックするようにしています。

 そして今回、どうしようかとちょっと悩みましたが、近鉄株主優待乗車証(正確には、沿線招待乗車券?)の2枚セットを落札しました。これは今年12月末が期限のもので、利用可能期間は残りわずかでしたが、その分だけ割安になっており、送料込み1,600円の即決価格でした。(過去には、同じ近鉄株主優待乗車証で7月末まで有効の2枚セットを、送料込み1,300円で落札したこともありましたが、さすがに今回は、そこまで安い出品は見かけませんでした。)

 当初、「TOHOKU EMOTION」への乗車を今年最後の乗り鉄旅とする予定でしたが、久しぶりに近鉄株主優待乗車証を手に入れることができたため、急遽、年内に追加で乗り鉄旅を楽しむことにしました。

 ちなみに近鉄株主優待乗車証は、近鉄全線に対して有効で、1枚あれば、区間や距離に関係なく1回の片道乗車(途中下車は不可)に利用することができます。落札した乗車券は2枚セットのため、これらを使用すれば、近鉄名古屋から大阪難波までを往復することもできます。さらに別に特急券や特別車両券を購入すれば、特急列車に乗車することもできます。実際、株主優待乗車証を利用した前回の乗り鉄旅では、近鉄名古屋大阪難波間を特急「ひのとり」のプレミアムシートで往復しています。

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 今回、落札時点では具体的な旅行先まで計画していた訳ではありませんが、近鉄全線で利用できる数少ない機会を最大限に活用するため、前回と同様に近鉄名古屋大阪難波間を往復する乗り鉄旅で使用することにしました。

 乗車する車両については、別に特急券を購入し、往路は21000系「アーバンライナー」のデラックスカーを、そして復路は80000系「ひのとり」のプレミアムシートを利用することにしました。往復とも「ひのとり」に乗車してみようかと思いましたが、僕が特急券を手配しようとした時点で、希望する時間帯に近鉄名古屋を発車する「ひのとり」のプレミアムシートはすでに満席で、レギュラーシートも通路側に数席を残すのみとなっていたため、残席に余裕のあった「アーバンライナー」を選択しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着き、さらに年末ということもあってか、乙特急である「アーバンライナー」もそこそこ座席が埋まっており、特にデラックスシートは1人掛け座席に空きがない状態でした。一旦は2人掛け座席の窓側を確保し、翌日になってから、もう一度空席状況を確認したところ、たまたまキャンセルで空いた1人掛け席に変更することができた次第です。

 復路で乗車する「ひのとり」は、まだ乗車したことがないレギュラーシートでもいいかなと思いましたが、やはり前回乗車したプレミアムシートの誘惑に勝てず、今回もプレミアムシートの1人掛け席を確保しました。特急券を手配した当初、復路の「ひのとり」には残席に余裕がありましたが、時間が経つにつれて徐々に座席が埋まっていき、最終的にはプレミアムシートもレギュラーシートも満席となりました。コロナ禍以前に戻ったかのような、なかなかの盛況ぶりだなと感じたところです。

 

■21000系「アーバンライナー

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アーバンライナーで使用されている21000系:大和八木駅 2021/12/29

 「アーバンライナー」は、名阪甲特急の代名詞とも言える車両でしたが、現在は甲特急としての役目を「ひのとり」に譲り渡し、主に名阪乙特急として活躍しています。そして今回乗車したアーバンライナーは、21000系のアーバンライナー・プラスの方でした。アーバンライナーには現在、2つのタイプの車両が充当されており、1988年に営業を開始した初代のアーバンライナーがこの21000系です。2代目となる21020系が登場してからは、両者を区別するため、アーバンライナー・プラスと呼ばれています。そして2代目となる車両は、2003年から営業運転を行っている21020系で、こちらはアーバンライナーネクストと言われています。僕がこれまで乗車したことがあるアーバンライナーはすべて21000系のアーバンライナー・プラスで、21020系のアーバンライナーネクストには乗車したことがありません。アーバンライナーネクストはわずか2編成しかなく、目撃することさえ少ない車両です。個人的にはネクストの先頭車両のデザインが好きなので、乗り鉄として一度は乗車してみたいと思っていますが、なかなかその夢は叶いません。

 ちなみに上の写真は、途中停車駅の大和八木で撮影したものです。数分間の停車時間があったため、ホームに降りて最後尾車両の外観を撮影することができました。近鉄名古屋大阪難波間を特急に乗車すると、始発の近鉄名古屋駅も終着の大阪難波駅も地下駅になるため、停車中の車両を明るい日差しの下で撮影する機会がありません。今回は途中の停車時間を利用し、日中の地上駅で乗車中の車両を撮影することができ、大満足です。

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 続いて車内です。車内と言っても、乗客の多い車内をあちこち歩き回って撮影するのは迷惑になるので、利用したデラックス車両の座席だけを撮影しておきました。シートピッチはレギュラーシートと同じ1,050mmですが、座席配置については、レギュラーシートが2+2の横4列配置であるのに対し、デラックスシートは1+2配置となっており、差別化が図られています。21000系は2003年から2005年にかけて大がかりなリニューアルが行われ、デラックス車両はこれまでの2両から1両に減車されましたが、客室設備は刷新され、座席も21020系と同様のシートに更新されています。

 このシートは、ゆりかご型シートと呼ばれており、リクライニングも電動式となっています。前後の間隔はJRのグリーン車ほど広い訳ではなく、また、背面テーブルがない(インアーム収納式のテーブルはあります)など、やや使い勝手が気になる箇所もありますが、座り心地はとても快適で、長時間乗車していても疲れることはありません。デラックスシートを利用するには、特急料金の他に520円(近鉄名古屋大阪難波間の場合)の特別車両料金が必要となりますが、追加料金を支払う価値は十分にあると思っています。

 

■80000系「ひのとり」

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ひのとりで使用されている80000系:大阪難波駅 2021/12/29

 「ひのとり」に乗車するのは昨年7月に初乗車して以来となります。その際のダイヤでは、「ひのとり」の運用は現在よりも本数が少なく、「アーバンライナー」とともに名阪甲特急の一部に充当されていましたが、現在では「アーバンライナー」から名阪甲特急の役目を完全に引き継ぎ、近鉄を代表する看板特急として活躍しています。2020年3月のデビューから1年半以上が経過していますが、いまだ人気は衰えていないように感じます。特急列車としての速達性もさることながら、深みのあるメタリックレッドで彩られた美しい外観は、鉄道ファンならずとも一度は乗車してみたいと感じさせるような魅力を備えています。現在、「ひのとり」には6両編成と8両編成の2つのタイプがありますが、今回乗車したのは6両編成の車両でした。どちらの編成であっても、先頭車両と最後尾車両(1号車と6又は8号車)がプレミアムシートで、その他の中間車両(2号車から5又は7号車まで)がレギュラーシートとなっています。

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 こちらも車内を紹介します。やはり車内は満席状態だったため、写真は利用したプレミアム車両の座席だけです。座席の詳細については、過去の記事で紹介していますので割愛しますが、プレミアムシートの名に恥じることのない、贅沢な仕様となっています。E5系(H5系)新幹線やE7系(W7系)新幹線にはグリーン車のさらに上位に位置付けられるグランクラスが、また、E261系サフィール踊り子にはプレミアムグリーン車があり、僕も過去に利用したことがありますが、これらの座席に匹敵する設備だと思います。

 また、「ひのとり」の中でもプレミアム車両だけはハイデッキフロアとなっており、レギュラー車両よりも少し高い位置から車窓を楽しむことができるようになっています。さらに先頭車両の最前列からは、運転席越しに前方展望を楽しむこともできます。最前列の座席は、プレミアムシートの中でも特に人気が高く、なかなか特急券の確保が困難だと思いますが、是非とも乗車してみたいものです。

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 特急券はいつものように、インターネット予約・発売サービスを利用して購入しました。会員登録すればネット上から空席状況を確認しながら好きな座席位置を選ぶことができ、クレジットカードで支払いを済ませておけば、駅の窓口や券売機で特急券を発券することなく、チケットレスで乗車することができます。そのため、通常であれば、購入済の特急券をわざわざ発券する必要はないのですが、きっぷ鉄でもある僕は、記念用にということで、あえて窓口で換券してもらいました。

 以上のとおり、今年最後の乗り鉄旅を無事に終えることができました。今のところ、来年に向けた乗り鉄旅の具体的な計画はありませんが、年末年始の休みを利用していくつかプランを考えてみたいと思います。何はともあれ、今年1年間、各方面への乗り鉄旅を楽しむことができたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

観光列車「TOHOKU EMOTION」に乗車

 いよいよ12月後半となり、今年も残りわずかとなりました。社会人になってからは、1年という年月が瞬く間に過ぎ去ってしまうように感じられますが、特に今年は6月下旬に父親が体調を崩して以来、家庭内での生活様式が大きく変化し、これまでに経験のない不慣れな出来事の連続で、あれこれと右往左往しているうちに年末になってしまったというのが実情です。これまでは、家族が揃って年末年始を迎えることに特段の意味を感じていませんでしたが、これは決して当たり前のことではなく、幸せで感謝すべきことだということを実感したところです。

 また、今年1年間の社会動向を振り返ると、昨年に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大と、これに伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に振り回され続けた年だったと感じています。首都圏を中心に日本各地で繰り返された緊急事態宣言が9月末の期限をもってようやく解除され、10月1日からは全国で緊急事態宣言もまん延防止等重点措置の適用もない生活が始まりました。ワクチン接種が進められたこともあってか、以降は国内での感染状況も落ち着いており、行楽シーズンとも重なって、最近は徐々に観光地も賑わいを取り戻しつつあるようですが、一方で新たな変異株が見つかり、国内でも感染者が確認されるなど、まだまだ予断を許さない状況が続いています。世間では必ず「第6波」がやって来ると言われており、現在の落ち着いた状況がいつまで続くのか分かりませんが、僕としてはこれまでどおり、感染リスクの高い行動を避けるとともに、基本的な感染防止対策にしっかりと取り組んでいきたいと思っているところです。

 さて、そんな昨今の状況の下、おそらく今年最後となる乗り鉄旅として、八戸線の八戸-久慈間で運行されている観光列車「TOHOKU EMOTION(東北エモーション)」に乗車することになりました。今年は、食も楽しめる観光列車(レストラン列車)ということで、10月にはトキ鉄の「雪月花」に、9月にはJR九州の「或る列車」に乗車することができましたが、今回はこれらに続く第3弾となります。

 「TOHOKU EMOTION」は、いつかは乗ってみたいと憧れていた観光列車の一つですが、なかなか乗車する機会に恵まれませんでした。「TOHOKU EMOTION」は団体専用として運行される列車で、みどりの窓口での取扱いはありません。そのため、乗車するためには旅行商品の購入が必須となるわけですが、僕にとっては、この旅行商品の購入にも高いハードルがあります。というのも、「TOHOKU EMOTION」に乗車するためには、JR東日本系列のびゅうトラベルサービスが販売するびゅう商品を購入するのが一般的ですが、これは大人1名を含む2名以上で申し込む必要があり、1名での利用はできません。そのため、大人1名で利用したい場合には、びゅうトラベルサービス以外の旅行会社が販売する旅行商品の中から、1名でも利用可能なプランを探して申し込む必要があるのですが、そもそも「TOHOKU EMOTION」は、びゅう商品としての運転日の設定がほとんどで、びゅう以外の旅行会社が販売する旅行商品で運転する日はごくわずかです。これまでにも、機会を捉えてはいろいろな旅行会社のWebページを検索してみましたが、なかなか僕の希望に近い旅行商品を見つけることができませんでした。そんな中、11月のある日にたまたまクラブツーリズムのWebページを見ていると、12月20日(月)に同社による「TOHOKU EMOTION」のツアーが設定されており、1名からでも申し込み可能となっていました。その内容を見ると、往復とも「TOHOKU EMOTION」に乗車する日帰り旅で、僕が思い描いていたものとピッタリ一致したため、その場ですぐに申込手続きをしたところです。

 なお、今回のクラブツーリズムの旅行商品の中には、「TOHOKU EMOTION」の出発駅となる八戸駅に集合・解散となる現地発着プランのほか、首都圏からの日帰り旅行に便利な東京発着プランというものもあり、こちらのプランには、東京-八戸間の東北新幹線はやぶさ」号の普通車指定席の往復分がセットになっています。どちらのプランにするか少し考えましたが、トータルの代金を計算してみると、どうやら後者の東京発着プランの方がオトクに利用できそうだったので、こちらのプランを利用することにしました。

 これで東京-八戸間の移動手段は確保できましたが、豊橋-東京間については、別途、何らかの移動手段を確保する必要があります。僕の場合、旅行商品で指定された東京7:32発の「はやぶさ」号に乗車するためには、当日朝に最寄り駅から始発の列車に乗車しても間に合わないことから、前日から東京への移動を開始する必要があります。当初は、前日夜の新幹線で東京に行き、東京で1泊することを考えましたが、夜行バスでも十分かなと考え直し、結局、往路では、当日の午前6時少し前に新宿に到着する夜行バスを利用することにしました。そして復路の東京→豊橋では、オーソドックスに新幹線を利用することとし、旅行行程全体のうち鉄道利用部分は、次のとおりとなりました。

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 すでに紹介したとおり、東京-八戸-久慈間の往復は、すべてクラブツーリズムの旅行商品を利用して乗車します。このツアーでは、東京-八戸間で利用する「はやぶさ」もあらかじめ号数が指定されており、往路は「はやぶさ5号」、復路は「はやぶさ38号」に乗車します。今回の乗り鉄旅のメインとなる「TOHOKU EMOTION」には、八戸線の八戸-久慈間で往復とも乗車しますが、運行ダイヤはびゅう商品による場合と同じものになっていました。ちなみに今回の八戸-久慈間の乗車は、僕にとって初の八戸線乗車となります。

 なお、往路の「TOHOKU EMOTION」が久慈に到着してから、復路の発車時間までの間、現地での自由時間となりますが、時間も限られており、駅前や近隣施設を見学する程度です。僕としては、往復とも「TOHOKU EMOTION」に乗車することが最優先のため、現地での滞在時間は特に気になりません。
 八戸から東京まで「はやぶさ38号」で移動した後は、東京20:27発の「こだま757号」で豊橋に戻ります。思い返してみると、最近はJR東海ツアーズの「日帰り1dayシリーズ」を利用して東海道新幹線に乗車する機会が多く、特に東京-豊橋間では「ひかり」号をよく利用していたため、東京から「こだま」号に乗車するのは久しぶりのような気がします。

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 「TOHOKU EMOTION」の運行ダイヤは上のとおりです。往路は八戸を出発後、終点の久慈までの間に途中停車駅は設定されていませんが、復路では、種差海岸、鮫、本八戸の各駅に停車するダイヤが組まれています。団体専用列車であるため、基本的に途中駅での乗降はないはずで、いわゆる観光停車なのかとも思いましたが、途中駅では到着後すぐに発車することから、ホーム上で写真撮影するような余裕はなく、観光目的での停車ではないようです。運転停車であればわざわざ時刻を公表する必要もないと思うので、何のために停車駅として設定されているのか、結局よく理由が分かりません。

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TOHOKU EMOTIONで使用されているキハ110系:八戸駅久慈駅 2021/12/20

 東京-八戸間の往復で乗車したE5系新幹線は、これまでにも何度か紹介していますので、今回は省略し、早速、「TOHOKU EMOTION」を紹介したいと思います。
まずは車両についてですが、ご覧のとおり、JR東日本の非電化区間ではお馴染みのキハ110系気動車を改造したものです。外観は種車の姿がそのまま残っていますが、車両全体に白色のレンガ積みされたようなデザインが施されており、お洒落な西洋風のレストランカフェを連想させるものとなっています。また、どこか童話の世界から飛び出してきたような、ちょっとメルヘンチックな印象もあり、愛くるしさも伝わってきます。

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 車両は全3両編成ですが、団体専用列車としてのみ使用されるということで、乗降口は2号車のみとなっています。発車前には扉の上部に幌やランプが取り付けられ(もちろん走行中は取り外されています)、他の車両では見かけないような凝った演出も行われており、これから始まる旅の気分を盛り上げてくれます。

 それでは次に車内の紹介です。「TOHOKU EMOTION」の車内は、ライブキッチンを中心としたレストラン空間となっており、全3両編成のうち1号車はコンパートメント個室車両、2号車はライブキッチンスペース車両、3号車はオープンダイニング車両となっています。このうち2号車はすべてが調理用のキッチンスペースとなっており、座席定員が設定されていないため、乗客は1号車か3号車のどちらか指定された号車の座席に乗車することになります。

■1号車

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 4人1部屋のコンパートメント7室が配置されており、座席定員は28名です。室内は対面のクロスシートで中央に大型のテーブルが備え付けられています。レイアウト的には、HB-E300系の「リゾートしらかみ」や「海里」のコンパートメント席と同じような空間となっていますが、廊下と各個室との間に簡易な扉が設けられており、プライベート感が高められています。また、7室すべてが海側に配置されており、車窓からの眺めにも配慮されています。

 なお、今回は同じクラブツーリズムによる別の団体客が1号車を利用していましたが、7号室は添乗員さん用に割り当てられており、自由に写真撮影させてもらうことができたため、コンパートメント内も撮影しました。

■2号車

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 1両まるごとキッチンスペース車両となっており、オープンキッチン、バックキッチン、オープンバーで構成されています。車内で調理する場所といえば、寝台特急の食堂車のような狭小空間を思い浮かべてしまいますが、「TOHOKU EMOTION」はこうした概念を覆すような、開放感あるキッチンスペースが確保されています。オープンキッチンでの調理の様子やオープンバーでの盛り付けの風景をそのまま見学することができ、街中のレストランでは見ることができない、ライブ感覚の演出を楽しむことができます。
 ちなみに2号車の形式記号は「キクシ112-701」で、これは国鉄時代を通じても初となるものだそうです(ちなみに、過去にJR北海道に在籍していたトマムサホロエクスプレスにも食堂車が組み込まれましたが、こちらは「キシ80-501」でした)。

■3号車

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 車両中央の通路を挟んだ両側にテーブルが並べられており、海側に4人用テーブル席×3組、山側に2人用テーブル席×4組となっています。僕が申し込んだツアーはすべてひとり参加の計10人で、座席は全員が3号車に割り当てられました。ちょうど定員の半数で利用することになり、適度に間隔が保たれて周囲の方の視線が気になることもありませんでした。テーブル配置や座席のタイプは全く異なりますが、以前乗車した「フルーティアふくしま」の2号車の雰囲気に似ていると感じました。「フルーティアふくしま」には、1人掛けのカウンター席がありましたが、「TOHOKU EMOTION」には1人掛けの座席はありません。4人掛けのテーブル席は、側窓に向かってコの字型に座席が配置されており、また、2人掛けのテーブル席は、一般的な対面ではなく、三角形のテーブルを挟み込むような直角の並びで座席が配置されていました。どの座席の乗客にも車窓を楽しんでもらえるよう、テーブルの配席が工夫されています。

 なお、今回のツアーでは、往路と復路でそれぞれ別の席が指定され、僕の場合、往路は4人用席の進行方向側、復路は2人用席の進行方向側になり、往復で海側と山側双方の車窓を楽しむことができました。どちらの座席も快適で、備え付けのテーブルにも不便さを感じることはありませんが、車窓を楽しむには、圧倒的に海側の4人用席の方が有利です。ひとり参加で「TOHOKU EMOTION」の海側座席を利用できる機会はほとんどないと思いますので、これはラッキーだったと思います。

 「TOHOKU EMOTION」の車内の内装には、随所に東北地方の伝統工芸を活かしたインテリアが施されています。例えば1号車のコンパートメント個室席の壁面ファブリックは福島の「刺子織」を、3号車の床は青森の「こぎん刺し」、照明は岩手の「琥珀」をモチーフにしているとのことです。以前に「あめつち」に乗車した際にも感じたことですが、普段の旅行の中で沿線各地の様々な伝統工芸や伝統的産業に触れる機会はあまりないため、車内にいながら地域の歴史や文化を感じることができるというのは、とても貴重な体験だと感じます。

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 先ほどお話ししたとおり、往路では海側の座席を利用することができ、沿線各地の風景を楽しみながら乗車することができました。海岸線沿いを走る列車に乗車したからには、やはり海を見たいものです。また、八戸線沿線には、多くのウミネコ飛来することで有名な蕪島や、天然芝が波打ち際まで広がる種差海岸などの景勝地があります。種差海岸の方は、時期的に青々とした天然芝に覆われた美しい姿を見ることはできませんでしたが、蕪島神社は車内からでもはっきりとその姿を見ることができました。

 続いて「TOHOKU EMOTION」の最大の魅力である食についてですが、往路区間の八戸→久慈は昼食付きのランチコース、復路区間の久慈→八戸はデザートとアフタヌーンティーを楽しむコースとなっています。なお、ランチコースのメニュー内容は年4回替わるということで、今回は2021年10月~12月の期間に設定されたコース料理が提供されました。料理で使われる食器類や食材にも地元のものが用いられているということで、東北の食を十分に楽しむことができるようになっています。今回は、往路のランチコースと、復路で提供されたオードブルとデザートの数々を写真に収めましたので、ここで紹介したいと思います。

■往路でのランチコース

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■復路でのデザート&アフタヌーンティー

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 観光列車によくある記念乗車証類ですが、今回のツアーに参加した限りでは、特にいただくことはありませんでした。「TOHOKU EMOTION」には記念乗車証がないのか、それともびゅう商品で申し込んだ場合にのみ配布されるものなのか、どちらなのか分かりません。その代わりという訳ではありませんが、車内には沿線の見どころを紹介した「景観のおしながき」というものがありました。さらに乗車記念品ということで、オリジナルバッジをいただきました。

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 クラブツーリズムによる今回のツアーでは、参加者全員の乗車票を添乗員さんが一括して管理しているため、参加者各個人に乗車票類が手渡されることはありませんでした。「きっぷ鉄」でもある僕としてはちょっと残念に思っていましたが、八戸で「TOHOKU EMOTION」を下車し在来線改札口から出場する際、乗車記念に1枚いただけないかとダメ元でお願いしたところ、無効印を押印した乗車票を快くいただくことができました。僕以外の参加者の中にも、記念に持ち帰りたいという方がおり、数人が受け取っていました。こんなことなら、往路で乗車した「TOHOKU EMOTION」の分も貰っておけばよかったと、後からちょっと後悔したところです。

 なお、東京からは新幹線で豊橋に戻りますが、もともと「こだま」を利用する予定だったため自由席で十分だろうと考え、あらかじめ金券ショップで購入しておいた回数券のバラ売りを利用しました。「ぷらっとこだま」を利用したいところですが、残念ながら「ぷらっとこだま」には豊橋発着の設定がありません。豊橋発着にも一定の需要はあると思うのですが、やはり「ぷらっとこだま」の設定は難しいのでしょうかね。

 それから、巷の噂では、年が明けると「GO TO トラベル」が再開される動きもあるようです。すでに1年にわたって休止状態にあり、いつ再開されるのか、利用条件や割引率がどのように変更されるのか、現時点で正式な決定は行われていないようですが、新しい年は、年間を通じて落ち着きを取り戻し、いつでも自由に気兼ねなく乗り鉄旅を楽しむことができるような年になることを願っています。

289系「こうのとり」に乗車して城崎温泉へ

 10月下旬のある日、何気なく11月のカレンダーを眺めていると、3日(水)と23日(火)が休日であることを思い出しました。普段であれば、休日の1か月以上前から乗り鉄旅を計画して、指定券の発売日となる1か月前に早々ときっぷを手配することもあるのですが、今回に限っては、なぜか休日があること自体をすっかり失念していました。現時点では、1泊2日で行くような乗り鉄旅の具体的な計画はなく、また、日帰り旅についても準備を進めているものはありませんでしたが、せっかくの行楽日和の休日を無駄に過ごすのはもったいないと考え、3日(水)の文化の日にちょっと出かけてみることにしました。

 肝心の旅行先ですが、今回は城崎温泉を選んでみました。その理由は2つで、1つ目は、以前から気になっていた、日本旅行が発売している旅行商品を利用してみたかったからです。僕は普段、旅行商品のほとんどをJR東海ツアーズで手配していますが、いろいろと調べてみると、日本旅行JR西日本管内の旅行商品を多く取り扱っており、例えば、1名でも利用可能な関西発の日帰りプランの旅行先としては、博多、広島、岡山、北陸(金沢・富山)、南紀白浜城崎温泉、山陰(鳥取・島根)があります。利用できる列車は限定されるものの、正規運賃・料金の半額以下の値段となっているものもあり、おトクな旅行商品好きな僕としては、機会があれば一度は利用してみたいと思っていたところです。今回僕が利用するのは、新大阪⇔城崎温泉間の往復に特急列車の普通車指定席が利用でき、現地でのランチクーポンがセットになった商品で、値段は7,200円です(ランチクーポンの代わりにスイーツクーポンが付いた6,600円のプランもありましたが、現地での昼食を予定していたため、ランチクーポン付きのプランを選択しました)。JR線の同じ区間を特急列車の普通車指定席で利用する場合、正規運賃・料金では片道5,700円、つまり往復で11,400円になることから、割引率のいい商品だと言えます。

 そして今回の旅行先に城崎温泉を選んだ2つ目の理由ですが、これは単に、どこか駅近くの温泉に行ってみたかったというものです。JR線で駅名に「○○温泉」という名称が付けられた駅はいくつもあり、僕がこれまで利用したことのある路線だけを見ても、釧網本線川湯温泉駅、陸羽東線鳴子温泉駅羽越本線あつみ温泉駅中央本線石和温泉駅身延線下部温泉駅、飯田線湯谷温泉駅北陸本線芦原温泉駅加賀温泉駅七尾線和倉温泉駅山陰本線玉造温泉駅佐世保線武雄温泉駅肥薩線霧島温泉駅など、数え出したら切りがない程です。その中でも城崎温泉は、日本を代表する温泉地の一つでありながら、駅の近くに気軽に利用できる外湯があり、また、日帰り旅行にはちょうどよい距離感であるということも大きな魅力のひとつです。今年8月には、青春18きっぷを利用した鳥取までの乗り鉄旅として、城崎温泉を通る山陰本線区間に乗車しながらも、現地に立ち寄ることができなかったことから、その思いを胸にして現地を訪れることにしました。

 なお、名古屋方面から城崎温泉まで鉄道を利用する場合、新大阪から福知山線を経由するルート(特急「こうのとり」を利用するルート)よりも、京都からそのまま山陰本線で向かうルート(特急「きのさき」を利用するルート)の方が一般的だと思いますが、今回は、利用する旅行商品の都合や、そもそも僕がまだ乗車したことのない特急「こうのとり」に乗車してみたかったということもあり、新大阪から福知山線を経由するルートとしています。また、名古屋-新大阪間は、オーソドックスに東海道新幹線を利用しますが、こちらはいつものようにJR東海ツアーズの旅行商品を利用することにしました。この旅行商品で利用できる列車は「ひかり」と「こだま」で、「のぞみ」は利用できません。こうした事情を考慮し、全体として次のような旅行行程としました。

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 ご覧のとおり、金山(名古屋)-新大阪-城崎温泉を全く同じ経路で往復するものとなります。往路で乗車する「こうのとり3号」は新大阪9:04発のため、名古屋から乗車する「ひかり」をもう一本遅らせることも考えましたが、名古屋や新大阪での乗り換え時間がかなり短くなってしまうことから、時間的に余裕のある上記の行程としました。また、城崎温泉発の復路は、もう1時間くらい早い時間でもよかったのですが、限定列車ということで、事実上、他に選択肢がなく、15:30発の「こうのとり22号」に決めました。この時間でも十分に日帰りは可能て、現地では、ゆっくりとランチと温泉を楽しむことができます。

 往路の名古屋→新大阪と、復路の新大阪→名古屋間で乗車した「ひかり」は、ともにN700Aでした。最近は、N700Sを見かける機会が多くなったような気がしますが(本当に増えているかどうか分かりません…)、全体から見ればまだまだ運転本数は限られているようで、なかなか実際に乗車する機会に恵まれません。

 新大阪では、「ひかり」の到着時刻から「こうのとり」の発車時刻まで、時間に余裕があることから、しばらくの間、発着する新幹線を様子を眺めていました。新大阪は、山陽新幹線の始発駅でもあることから、東海道新幹線区間を走行していない新幹線車両を見ることができます。「みずほ」や「さくら」で使用されている九州新幹線直通のN700Aや、シャープでスマートな外観が特徴的な500系の姿を見ることができたら、写真撮影したいなと思っていましたが、運悪くタイミングが合わなかったようで、こうした車両には出会えませんでした。しかし、様々な行き先の新幹線が発着する様子を眺めているだけでも、ウキウキした気分になれるのは、鉄ヲタの性分かもしれません。

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こうのとり号で使用されている289系:城崎温泉駅 2021/11/3

 続いて在来線ホームに移動し、ここからは「こうのとり」に乗車します。今回は、始発の新大阪から終点の城崎温泉までの全区間を乗車することになりますが、城崎温泉までの乗り鉄旅を決めた当初、無知な僕は、新大阪から城崎温泉まで、それほど遠くはないと勝手に思い込んでいました。しかし、実際の距離は片道187.5kmで、乗車時間も約2時間50分という長距離乗車となります。なお、往路の「こうのとり3号」は、所定の運用では4両の基本編成のみとなっていますが、今日は休日ということもあってか、3両の付属編成と連結した7両での運転となっていました。

 「こうのとり」で使用されている車両には、287系と289系がありますが、今回乗車したのは往復とも289系でした。287系よりも289系の方が新しい形式の車両かと思いきや、実はこの289系、交直流両用の特急形車両だった683系の元「しらさぎ」を直流専用に改造したもので、外観や車内設備などは、種車である683系そのままです。
 ちなみに289系は、いわゆる北近畿ビッグXネットワークを形成している特急形車両で、今回乗車する「こうのとり」の一部だけでなく、京都-城崎温泉間を結ぶ「きのさき」や京都-天橋立間を結ぶ「はしだて」の一部でも使用されています。また、新大阪-新宮間を結ぶ「くろしお」でも、一部が289系で運行されています。両者の車両に違いはありませんが、「こうのとり」「きのさき」などは帯色がダークレッドであるのに対し、「くろしお」はオーシャングリーンとなっており、運用線区による違いがあります。

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 今回利用するのは、往復とも普通車指定席ですが、さきほどお話ししたとおり、元683系ということで、内装にも種車との違いはないように思います。683系の普通車のインテリアカラーには、赤系のサーモンピンクと青系のグレーブルーがありますが、289系も全く同じで、車内には2つのインテリアカラーの号車が混在していました。なお、各座席付近にモバイルコンセントはありませんが、デッキ仕切り壁と対面となる座席には、大型のテーブルとモバイルコンセントが用意されているので、ノート型パソコンなどを持ち込んで車内で仕事をする方には、こうした席がオススメです。

 上の写真は、車内の様子を撮影したものですが、実際に乗車してみると、特に往路の「こうのとり3号」はガラガラで、僕が利用した7号車について言えば、新大阪発車時点では僕一人、その後、大阪と尼崎で数人が乗車したものの全体で5人程度で、さらに途中の柏原と豊岡で僕以外の全員が下車し、終点の城崎温泉まで乗車したのは僕1人だけでした。結果的にみれば、わざわざ付属編成を連結した7両編成としなくても、基本編成の4両だけで十分に対応できたと思います。

 ちなみに、復路の「こうのとり22号」は、基本編成のみの4両ということで、僕が利用した2号車には、それなりに乗客はいましたが、それでも半数以下といった感じです。やはりまだまだ利用者が少ないのかなと思っていましたが、途中の車内放送で、自由席が混み合っているとのアナウンスがありました。往路の3号もそうでしたが、「こうのとり」には自由席が1両(4号車)しかないため、時間帯によっては、自由席を中心に利用が集中することもあるようです。

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 城崎では、到着後すぐに昼食にしました。旅行商品に付いているクーポンで指定されているのが駅近くの「おけしょう鮮魚の海中苑」というお店です。2階にある店舗に続く階段には、10人くらいの行列ができており、周囲の飲食店と比べてもかなりの人気店のようです。お客さんの回転がいいようで、思ったほど待たされることなく入店できました。

 クーポンで指定されているのは、おまかせの「海鮮丼」又は「天丼」ですが、店員さんの説明によると、これ以外のものを注文することも可能で、その際にはクーポンを800円分の金券として利用できるとのことでした。メニューを見ると、多くの種類の丼物や定食があり、どれにしようか悩みましたが、もともと海鮮丼が食べたかったので、「海鮮丼(海)」を注文しました。いろいろな魚介類が一つの丼に盛り付けられており、大満足のランチとなりました。

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 城崎温泉の街並みと言えば、この風景です。川を挟んだ両岸には、食べ歩きやお土産物などを扱うお店が軒を連ねており、柳並木が温泉街の風情を感じさせます。川の南側が南柳通りで、北側が北柳通り(そのままの名前です。)と呼ばれているようで、この通りを進んだ先にも、いくつかの外湯があり、木屋町小路と呼ばれるちょっとした観光スポットがあります。僕は今回、この中にある「かみや民藝店」に立ち寄り、お土産として麦わら細工の小さな置物を購入しました。

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 城崎には7つの外湯がありますが、そのうち駅横にあるのが「さとの湯」です。城崎にある外湯の中では最も新しいもので、なかなか趣のある外観です。今回の旅の楽しみのひとつである温泉は、この「さとの湯」を利用しました。ちなみに料金は800円ですが、7つの外湯をすべて利用できる外湯1日券なるものもあり、こちらは1,300円です。「さとの湯」には、内風呂だけでなく露天風呂もあり、また、それほど混雑していなかったため、ゆったりと城崎の温泉を楽しむことができました。

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 さて、城崎での食事や温泉を紹介したところで、今回の乗り鉄旅で使用した乗車票についても説明します。上の4枚は、名古屋⇔新大阪(大阪)間の乗車票です。JR東海ツアーズに旅行商品を申し込む際、名古屋発着の場合には、現地発着駅を大阪か新大阪かを選ぶようになっており、僕は新大阪を選んだのですが、送られてきた乗車票はなぜか大阪でした。その関係もあってか、一葉券ではなく、乗車券相当のものと新幹線特急券相当のものが分かれて発券されています。
 下の4枚は、新大阪⇔城崎温泉間で「こうのとり」に乗車するための乗車票です。少し気になったのが、乗車票の券面に、途中下車取扱駅として、和田山駅豊岡駅が指定されていますが、そもそもこの乗車票は、指定列車(つまり往路の「こうのとり3号」と復路の「こうのとり22号」)にのみ有効なはずで、理論上、指定列車から下車してしまえば、以降の区間の乗車票は無効になるはずです。どういったケースで途中下車が可能なのか、僕には分かりませんでした。

 今回は、いつもの乗り鉄旅とは少し違い、現地での食事や温泉も楽しむ旅行となりました。新幹線と在来線特急にも乗車することができたため、もちろん乗り鉄的にも満足できるものでした。また、現地までの往復に要する時間も手頃で、日帰り旅行にはちょうどいい感じでした。時期的には、これから本格的な冬を迎えることになりますが、今回のような、体も心も温まる乗り鉄旅も悪くないなとあらためて実感したところです。