レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

289系「こうのとり」に乗車して城崎温泉へ

 10月下旬のある日、何気なく11月のカレンダーを眺めていると、3日(水)と23日(火)が休日であることを思い出しました。普段であれば、休日の1か月以上前から乗り鉄旅を計画して、指定券の発売日となる1か月前に早々ときっぷを手配することもあるのですが、今回に限っては、なぜか休日があること自体をすっかり失念していました。現時点では、1泊2日で行くような乗り鉄旅の具体的な計画はなく、また、日帰り旅についても準備を進めているものはありませんでしたが、せっかくの行楽日和の休日を無駄に過ごすのはもったいないと考え、3日(水)の文化の日にちょっと出かけてみることにしました。

 肝心の旅行先ですが、今回は城崎温泉を選んでみました。その理由は2つで、1つ目は、以前から気になっていた、日本旅行が発売している旅行商品を利用してみたかったからです。僕は普段、旅行商品のほとんどをJR東海ツアーズで手配していますが、いろいろと調べてみると、日本旅行JR西日本管内の旅行商品を多く取り扱っており、例えば、1名でも利用可能な関西発の日帰りプランの旅行先としては、博多、広島、岡山、北陸(金沢・富山)、南紀白浜城崎温泉、山陰(鳥取・島根)があります。利用できる列車は限定されるものの、正規運賃・料金の半額以下の値段となっているものもあり、おトクな旅行商品好きな僕としては、機会があれば一度は利用してみたいと思っていたところです。今回僕が利用するのは、新大阪⇔城崎温泉間の往復に特急列車の普通車指定席が利用でき、現地でのランチクーポンがセットになった商品で、値段は7,200円です(ランチクーポンの代わりにスイーツクーポンが付いた6,600円のプランもありましたが、現地での昼食を予定していたため、ランチクーポン付きのプランを選択しました)。JR線の同じ区間を特急列車の普通車指定席で利用する場合、正規運賃・料金では片道5,700円、つまり往復で11,400円になることから、割引率のいい商品だと言えます。

 そして今回の旅行先に城崎温泉を選んだ2つ目の理由ですが、これは単に、どこか駅近くの温泉に行ってみたかったというものです。JR線で駅名に「○○温泉」という名称が付けられた駅はいくつもあり、僕がこれまで利用したことのある路線だけを見ても、釧網本線川湯温泉駅、陸羽東線鳴子温泉駅羽越本線あつみ温泉駅中央本線石和温泉駅身延線下部温泉駅、飯田線湯谷温泉駅北陸本線芦原温泉駅加賀温泉駅七尾線和倉温泉駅山陰本線玉造温泉駅佐世保線武雄温泉駅肥薩線霧島温泉駅など、数え出したら切りがない程です。その中でも城崎温泉は、日本を代表する温泉地の一つでありながら、駅の近くに気軽に利用できる外湯があり、また、日帰り旅行にはちょうどよい距離感であるということも大きな魅力のひとつです。今年8月には、青春18きっぷを利用した鳥取までの乗り鉄旅として、城崎温泉を通る山陰本線区間に乗車しながらも、現地に立ち寄ることができなかったことから、その思いを胸にして現地を訪れることにしました。

 なお、名古屋方面から城崎温泉まで鉄道を利用する場合、新大阪から福知山線を経由するルート(特急「こうのとり」を利用するルート)よりも、京都からそのまま山陰本線で向かうルート(特急「きのさき」を利用するルート)の方が一般的だと思いますが、今回は、利用する旅行商品の都合や、そもそも僕がまだ乗車したことのない特急「こうのとり」に乗車してみたかったということもあり、新大阪から福知山線を経由するルートとしています。また、名古屋-新大阪間は、オーソドックスに東海道新幹線を利用しますが、こちらはいつものようにJR東海ツアーズの旅行商品を利用することにしました。この旅行商品で利用できる列車は「ひかり」と「こだま」で、「のぞみ」は利用できません。こうした事情を考慮し、全体として次のような旅行行程としました。

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 ご覧のとおり、金山(名古屋)-新大阪-城崎温泉を全く同じ経路で往復するものとなります。往路で乗車する「こうのとり3号」は新大阪9:04発のため、名古屋から乗車する「ひかり」をもう一本遅らせることも考えましたが、名古屋や新大阪での乗り換え時間がかなり短くなってしまうことから、時間的に余裕のある上記の行程としました。また、城崎温泉発の復路は、もう1時間くらい早い時間でもよかったのですが、限定列車ということで、事実上、他に選択肢がなく、15:30発の「こうのとり22号」に決めました。この時間でも十分に日帰りは可能て、現地では、ゆっくりとランチと温泉を楽しむことができます。

 往路の名古屋→新大阪と、復路の新大阪→名古屋間で乗車した「ひかり」は、ともにN700Aでした。最近は、N700Sを見かける機会が多くなったような気がしますが(本当に増えているかどうか分かりません…)、全体から見ればまだまだ運転本数は限られているようで、なかなか実際に乗車する機会に恵まれません。

 新大阪では、「ひかり」の到着時刻から「こうのとり」の発車時刻まで、時間に余裕があることから、しばらくの間、発着する新幹線を様子を眺めていました。新大阪は、山陽新幹線の始発駅でもあることから、東海道新幹線区間を走行していない新幹線車両を見ることができます。「みずほ」や「さくら」で使用されている九州新幹線直通のN700Aや、シャープでスマートな外観が特徴的な500系の姿を見ることができたら、写真撮影したいなと思っていましたが、運悪くタイミングが合わなかったようで、こうした車両には出会えませんでした。しかし、様々な行き先の新幹線が発着する様子を眺めているだけでも、ウキウキした気分になれるのは、鉄ヲタの性分かもしれません。

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こうのとり号で使用されている289系:城崎温泉駅 2021/11/3

 続いて在来線ホームに移動し、ここからは「こうのとり」に乗車します。今回は、始発の新大阪から終点の城崎温泉までの全区間を乗車することになりますが、城崎温泉までの乗り鉄旅を決めた当初、無知な僕は、新大阪から城崎温泉まで、それほど遠くはないと勝手に思い込んでいました。しかし、実際の距離は片道187.5kmで、乗車時間も約2時間50分という長距離乗車となります。なお、往路の「こうのとり3号」は、所定の運用では4両の基本編成のみとなっていますが、今日は休日ということもあってか、3両の付属編成と連結した7両での運転となっていました。

 「こうのとり」で使用されている車両には、287系と289系がありますが、今回乗車したのは往復とも289系でした。287系よりも289系の方が新しい形式の車両かと思いきや、実はこの289系、交直流両用の特急形車両だった683系の元「しらさぎ」を直流専用に改造したもので、外観や車内設備などは、種車である683系そのままです。
 ちなみに289系は、いわゆる北近畿ビッグXネットワークを形成している特急形車両で、今回乗車する「こうのとり」の一部だけでなく、京都-城崎温泉間を結ぶ「きのさき」や京都-天橋立間を結ぶ「はしだて」の一部でも使用されています。また、新大阪-新宮間を結ぶ「くろしお」でも、一部が289系で運行されています。両者の車両に違いはありませんが、「こうのとり」「きのさき」などは帯色がダークレッドであるのに対し、「くろしお」はオーシャングリーンとなっており、運用線区による違いがあります。

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 今回利用するのは、往復とも普通車指定席ですが、さきほどお話ししたとおり、元683系ということで、内装にも種車との違いはないように思います。683系の普通車のインテリアカラーには、赤系のサーモンピンクと青系のグレーブルーがありますが、289系も全く同じで、車内には2つのインテリアカラーの号車が混在していました。なお、各座席付近にモバイルコンセントはありませんが、デッキ仕切り壁と対面となる座席には、大型のテーブルとモバイルコンセントが用意されているので、ノート型パソコンなどを持ち込んで車内で仕事をする方には、こうした席がオススメです。

 上の写真は、車内の様子を撮影したものですが、実際に乗車してみると、特に往路の「こうのとり3号」はガラガラで、僕が利用した7号車について言えば、新大阪発車時点では僕一人、その後、大阪と尼崎で数人が乗車したものの全体で5人程度で、さらに途中の柏原と豊岡で僕以外の全員が下車し、終点の城崎温泉まで乗車したのは僕1人だけでした。結果的にみれば、わざわざ付属編成を連結した7両編成としなくても、基本編成の4両だけで十分に対応できたと思います。

 ちなみに、復路の「こうのとり22号」は、基本編成のみの4両ということで、僕が利用した2号車には、それなりに乗客はいましたが、それでも半数以下といった感じです。やはりまだまだ利用者が少ないのかなと思っていましたが、途中の車内放送で、自由席が混み合っているとのアナウンスがありました。往路の3号もそうでしたが、「こうのとり」には自由席が1両(4号車)しかないため、時間帯によっては、自由席を中心に利用が集中することもあるようです。

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 城崎では、到着後すぐに昼食にしました。旅行商品に付いているクーポンで指定されているのが駅近くの「おけしょう鮮魚の海中苑」というお店です。2階にある店舗に続く階段には、10人くらいの行列ができており、周囲の飲食店と比べてもかなりの人気店のようです。お客さんの回転がいいようで、思ったほど待たされることなく入店できました。

 クーポンで指定されているのは、おまかせの「海鮮丼」又は「天丼」ですが、店員さんの説明によると、これ以外のものを注文することも可能で、その際にはクーポンを800円分の金券として利用できるとのことでした。メニューを見ると、多くの種類の丼物や定食があり、どれにしようか悩みましたが、もともと海鮮丼が食べたかったので、「海鮮丼(海)」を注文しました。いろいろな魚介類が一つの丼に盛り付けられており、大満足のランチとなりました。

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 城崎温泉の街並みと言えば、この風景です。川を挟んだ両岸には、食べ歩きやお土産物などを扱うお店が軒を連ねており、柳並木が温泉街の風情を感じさせます。川の南側が南柳通りで、北側が北柳通り(そのままの名前です。)と呼ばれているようで、この通りを進んだ先にも、いくつかの外湯があり、木屋町小路と呼ばれるちょっとした観光スポットがあります。僕は今回、この中にある「かみや民藝店」に立ち寄り、お土産として麦わら細工の小さな置物を購入しました。

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 城崎には7つの外湯がありますが、そのうち駅横にあるのが「さとの湯」です。城崎にある外湯の中では最も新しいもので、なかなか趣のある外観です。今回の旅の楽しみのひとつである温泉は、この「さとの湯」を利用しました。ちなみに料金は800円ですが、7つの外湯をすべて利用できる外湯1日券なるものもあり、こちらは1,300円です。「さとの湯」には、内風呂だけでなく露天風呂もあり、また、それほど混雑していなかったため、ゆったりと城崎の温泉を楽しむことができました。

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 さて、城崎での食事や温泉を紹介したところで、今回の乗り鉄旅で使用した乗車票についても説明します。上の4枚は、名古屋⇔新大阪(大阪)間の乗車票です。JR東海ツアーズに旅行商品を申し込む際、名古屋発着の場合には、現地発着駅を大阪か新大阪かを選ぶようになっており、僕は新大阪を選んだのですが、送られてきた乗車票はなぜか大阪でした。その関係もあってか、一葉券ではなく、乗車券相当のものと新幹線特急券相当のものが分かれて発券されています。
 下の4枚は、新大阪⇔城崎温泉間で「こうのとり」に乗車するための乗車票です。少し気になったのが、乗車票の券面に、途中下車取扱駅として、和田山駅豊岡駅が指定されていますが、そもそもこの乗車票は、指定列車(つまり往路の「こうのとり3号」と復路の「こうのとり22号」)にのみ有効なはずで、理論上、指定列車から下車してしまえば、以降の区間の乗車票は無効になるはずです。どういったケースで途中下車が可能なのか、僕には分かりませんでした。

 今回は、いつもの乗り鉄旅とは少し違い、現地での食事や温泉も楽しむ旅行となりました。新幹線と在来線特急にも乗車することができたため、もちろん乗り鉄的にも満足できるものでした。また、現地までの往復に要する時間も手頃で、日帰り旅行にはちょうどいい感じでした。時期的には、これから本格的な冬を迎えることになりますが、今回のような、体も心も温まる乗り鉄旅も悪くないなとあらためて実感したところです。