レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

近鉄80000系「ひのとり」に初乗車

 早いもので、2020年もすでに半年が経過し、後半になってしまいました。例年であれば、年の前半に間違いなく乗り鉄旅に出かけるところですが、今年はそういった状況ではありません。ちなみに春の青春18きっぷシーズン期間中には、新潟から山形方面に行き、まだ乗車したことがない「海里」と「とれいゆつばさ」に乗車する1泊2日の乗り鉄旅を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛要請が行われたことから、出発日直前にキャンセルしてしまいました。また、5月25日には緊急事態宣言が解除されたため、初夏に向けて少しずつ外出もできるようになるだろうと考え、7月に運行を開始する「志国土佐時代の夜明けのものがたり」を含む3つの「ものがたり列車」に乗車する2泊3日の四国乗り鉄旅を計画しましたが、6月下旬から急性腎盂腎炎により10日間の入院生活を余儀なくされ、これまた、キャンセルせざるを得ないこととなりました。

  7月上旬に退院できたものの、しばらくの間は継続的に通院治療が必要であり、乗り鉄旅に出かける気分にはなれませんでしたが、そうかと言って、休日に家に閉じこもりっぱなしというのも気分が滅入ってしまうので、日帰りで往復できる範囲での乗り鉄旅を計画することにしました。

 日帰りの乗り鉄旅の候補として思いついたのは、東京-伊豆急下田間を走るE261系の特急「サフィール踊り子」と、近鉄名古屋大阪難波間を走る近鉄80000系の特急「ひのとり」の2つです。どちらも今年3月にデビューしたばかりの車両ですが、ともに「プレミアムクラス」の車両を連結しているという共通点があります。「サフィール踊り子号」は全車グリーン車で、そのうち1号車はJRの車両として初のプレミアムグリーン席となっています。これに対して「ひのとり号」は、近鉄自慢のデラックスシートを超えるプレミアムシートを備えた車両が1編成中に2両組み込まれており、E5系新幹線やE7系新幹線のグランクラスに匹敵するほどの豪華な座席となっています。当然、どちらの車両にも乗車してみたいのですが、今回は現在の体調面にも配慮して、東京よりも移動距離が少ない大阪を目指すこととし、近鉄80000系の特急「ひのとり」に乗車することにしました。

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ひのとりで使用されている近鉄80000系:近鉄名古屋駅 2020/7/19

 近鉄80000系「ひのとり」です。ちなみに近鉄の特急形車両では、20000系「楽」(団体専用車両)、21000系・21020系「アーバンライナー」、22000系「ACE」、23000系「伊勢志摩ライナー」、26000系「さくらライナー」、30000系「VISTA EX」、50000系「しまかぜ」という形式が割り当てられてきましたが、なぜか60000系や70000系は存在せず、「ひのとり」で一気に80000系となりました。近鉄としても、他の特急形車両とは別格の存在と位置付けているのでしょうか?

 そして車両の外観ですが、かなり深みのあるメタリックレッドで仕上げられており、なんでも3層塗装にクリア塗装を重ねた5層塗装になっているそうです。さらに車体帯とエンブレムはプレミアムゴールドで、高級感が漂っています。僕がこれまで乗車した車両の中では、E655系「なごみ」に近い高貴な輝きが感じられました。

 先頭車両は流線形で、シャープでスマートな印象です。どことなく小田急70000系GSEを思い起こさせるデザインですが、「ひのとり」には展望席はありません。そのかわり、先頭と最後尾のプレミアムシートはすべてハイデッカー仕様となっており、側窓からの眺望を楽しむことができるようになっています。また、一部車両の側面部には「ひのとり」の大きなエンブレムが描かれており、特急形車両としての風格とスピード感溢れる外観となっています。名阪特急として活躍する近鉄特急のフラッグシップにふさわしい車両だと感じました。

 近鉄80000系「ひのとり」は、将来的には、6両1編成が8本、8両1編成が3本の計11編成が投入されるということですが、今回僕が乗車したのは6両編成で、うち1号車と6号車がプレミアムシート、2号車から5号車までがレギュラーシートとなっています。今回は、近鉄名古屋大阪難波の往路と、大阪難波近鉄名古屋の復路の両方で「ひのとり」に乗車するので、一方をプレミアムシート、もう一方をレギュラーシートにしようかとも思いましたが、近鉄名古屋大阪難波間の場合、プレミアムシートとレギュラーシートとの料金の差はわずか700円だったため、結局は往復ともプレミアムシートを利用することにしました。

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プレミアムシートが並ぶ車内

 これがプレミアムシートの座席です。「アーバンライナー」などのデラックスシートや「しまかぜ」と同様、1+2の横3列の座席配置です。「しまかぜ」に初めて乗車したときにも感じたことですが、座席のクオリティはJR車両のグリーン車をはるかに超えています。シートピッチは、新幹線のグリーン席標準1,160mmを超える1,300mmということで、グランクラスと同じだそうです。特に今回乗車した「ひのとり」は、グランクラスと同様にバックシェル構造となっており、シートを最大までリクライニングさせても、後席の方に圧迫感を与える心配がありません。さらにレッグレストやシートヒーターも含めてすべてひじ掛け部分のパネルで操作可能で、ストレスを感じさせません。さらにシート生地は本革でホールド感も心地よく、レギュラー席も含めて全席にモバイルコンセントが装備されているため、片道2時間10分弱の乗車では、もったいないと思うほどの車内設備となっています。

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 今回乗車した「ひのとり」の特急券です。「ひのとり」に乗車するには、通常の特急券の他に「ひのとり特別車両券」が必要となります。近鉄名古屋大阪難波間の場合、レギュラーシートの特別料金は200円で、プレミアムシートの特別料金は900円です。プレミアムシートの設備を考えれば、特別料金の900円は決して高くありません。ちなみに、あえて狙ったわけではありませんが、往路と復路で、利用する号車と座席位置が全く同じ(1号車5A)です。しかし、往路では最後尾の車両で、復路では最前列の車両になるため、往復で違った雰囲気を楽しむことができました。

 なお、以前に近鉄名古屋大阪難波を往復した際には、「名阪まる得きっぷ」という企画乗車券を利用しましたが、これはすでに終了しています。代わりに「名阪ビジネス回数きっぷ」という乗車券部分のみの回数券が発売されており、このバラ売り分を購入しようかと思っていましたが、今年7月末まで有効の沿線招待乗車券(株主優待乗車券のようなもの)が安く入手できそうだったので、今回は往復とも、ヤフオク!で入手した沿線招待乗車券を利用しました。2枚セットが1,300円(送料込み)で落札できたため、近鉄名古屋大阪難波間を、たった1,300円で往復することができました。ちなみに、名古屋-大阪間を鉄道で移動する際の正規運賃・料金をまとめてみると、次のとおりです。

◆新幹線(名古屋→新大阪の通常期)

列車区分 座席種別 運賃 特急料金 グリーン料金 合計
のぞみ グリーン席 3,410円 2,740円 2,800円 8,950円
普通車指定席 3,410円 3,270円 6,680円

ひかり

こだま

グリーン席 3,410円 2,530円 2,800円 8,740円
普通車指定席 3,410円 3,060円 6,470円

※ 新幹線回数券利用時の1回当たりの金額は、普通車指定席利用で5,760円

近鉄近鉄名古屋大阪難波

列車区分 座席種別 運賃 特急料金 特別車両料金 合計
ひのとり プレミアム席 2,410円 1,930円 900円 5,240円
レギュラー席 2,410円 1,930円 200円 4,540円
アーバンライナー デラックス席 2,410円 1,930円 520円 4,860円
レギュラー席 2,410円 1,930円 4,340円

※ 名阪ビジネス回数きっぷ利用時の1回当たりの運賃分は1,730円

※ 名阪チケレス割による特急料金は、期間限定で1,630円(「ひのとり」を除く。)

  もちろん所要時間は新幹線の方が圧倒的に有利ですが、運賃・料金では近鉄の方がオトクで、今回のように「ひのとり」のプレミアムシートを利用しても、新幹線「ひかり」「こだま」の普通車指定席を利用するよりも1,200円以上安いことになります。今回はさらに沿線招待乗車券を利用したため、片道当たりわずか3,480円で移動できたことになります。この金額は、JRを利用した場合の運賃額とほぼ同額であり、今回の乗り鉄旅が常識破りの価格であったことがよく分かります。