レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

天竜浜名湖鉄道線に乗車してみた

 今年のゴールデンウイークは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による「まん延防止等重点措置」の影響によって、ほとんど自宅で過ごすことになり、城北線愛知環状鉄道線に乗車した以外には、外出する機会がありませんでした。城北線愛知環状鉄道線への乗車を思いついた時点では、乗り鉄的にはそれほど期待しておらず、正直に言って、“暇つぶし”程度になればいいくらいに考えていましたが、実際に乗車してみると、なかなか楽しいものでした。特に城北線は、全線高架化された路線で車内からの眺めもよく、また、初めての路線ということで、新鮮な気持ちで乗車することができました。

 それから約半年が経過しようとしていますが、この間、こうしたローカル線に乗車することを目的とした乗り鉄旅には出かけていません。ここ数か月間は、新幹線のグランクラスに乗車する乗り鉄旅や、各地の観光列車に乗車して車内で食事を楽しむ旅など、以前と比べてちょっと贅沢な乗り鉄旅をしてきましたが、最近になって、久しぶりにのんびりとしたローカル線の乗り鉄旅にも出かけてみたくなりました。どこか近場にいいローカル線はないかと考えたところ、僕が住んでいる愛知県からそう遠くないところに、まだ乗車したことのない第三セクター路線である天竜浜名湖鉄道線(通称:天浜線)があることを思い出しました。ということで、今回は、この天浜線に乗車する乗り鉄旅に出かけることに決めました。

 天浜線の前身は、国鉄二俣線です。国鉄が分割民営化される直前の1987年3月に第三セクター化され、現在に至っています。静岡県内では唯一の全線非電化の路線で、東海道本線を山側に迂回するような形で掛川新所原間(67.7km)を結んでいます。
 ちなみに国鉄二俣線時代には、一部の列車が新所原から先の豊橋まで乗り入れていました。僕が小学生だった頃、祖母と母親と僕の3人で電車に乗って豊橋に買い物に行くと、古めかしい気動車が停車しているのを何度か目撃したことを覚えています。今になって思い返せば、あれは二俣線の列車が豊橋駅まで乗り入れていたのでしょうが、小学生だった僕には乗車する機会もなく、第三セクター化されてからも、乗車することはありませんでした。

 天浜線には、専用車両を使用した観光列車などはなく、地域の足として、沿線の通勤・通学用の路線として運行されている印象ですが、数年前には、浜名湖の湖畔にある浜名湖佐久米駅に飛来するユリカモメの大群がインスタ映えする風景として有名になりました。また、そのシーンが、アニメや漫画で話題となった「ゆるキャン△」にも取り上げられ、ちょっとした観光スポットにもなりました。それから、天竜二俣駅構内には、二俣線時代から残る転車台や扇形車庫があり、今もなお現役で活躍しています。国の登録有形文化財に登録された貴重な鉄道遺産で、これらを含めた鉄道歴史館を見学するためのツアーも毎日開催されています。

 さらに最近は、今年3月に公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の作品中に、「第3村」として、天竜二俣駅の転車台や構内の留置線などが描かれていたということで、エヴァファンが“聖地巡礼”として現地を訪れるなどし、天浜線の名が広く知られることになりました。

 ちなみに、転車台や鉄道歴史館を見学するツアーは、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、9月末まで開催中止となっていましたが、10月1日に再開しています。僕は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を見ておらず、作品中にどのようなシーンとして描かれているのか詳しくは分かりませんが、せっかくの機会ということで、今回の乗り鉄旅では、この転車台・鉄道歴史館見学ツアーにも参加してみることにしました。

 また、天浜線新所原には、改札のすぐ隣にうなぎ屋さんがあることでも知られています。店内での飲食のほか、うなぎ弁当として持ち帰ることもできます(現在は改装中のため、一時的に店内での飲食はできないようです)。このうなぎ弁当がなかなか美味しいとの評判を耳にし、今回の乗り鉄旅では、うなぎ弁当を購入することも目的のひとつにしました。天竜二俣駅での転車台・鉄道歴史館の見学ツアーの開始時間が13時50分ということで、新所原駅でうなぎ弁当を購入することも考慮し、次のような行程を組んでみました。

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 豊橋から東海道本線新所原に行き、新所原から天浜線天竜二俣に向かいます。新所原でJR線から天浜線に乗り換えますが、その際に改札横のうなぎ屋さんで、うなぎ弁当を購入します。ちょうど昼時ということで、天浜線の車内でお弁当をいただきたいと思います。そして、天竜二俣で下車して見学ツアーに参加し、その後、掛川まで再び天浜線に乗車します。これで天浜線の全線に乗車することができます。掛川からは東海道本線豊橋に戻りますが、途中の浜松で買い物をするため、一旦、浜松で下車する行程となっています。

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天浜線で使用されているTH2100形:新所原駅 2021/10/22

  天浜線には、定期列車として快速列車や優等列車はなく、すべて各駅停車のみでの運行となっています。新所原掛川間を直通する列車のほか、途中の天竜二俣までの列車も設定されていますが、基本的には乗り換えを考慮したダイヤとなっているようです。現在、JR線との直通運転は行われておらず、すべて自社線内での運行となっています。

 使用されている車両は、TH2000形/TH2100形という気動車です。TH2000形/TH2100形としての元々のオリジナルデザインの車両もありますが、天浜線には、地元企業などとコラボしたラッピング列車が多数在籍しています。スズキのバイクをイメージしたカタナラッピング車両、ホンダのHonda Carsラッピング車両、自動車触媒のキャタラー社のラッピング車両やヤマハのPASラッピング車両もあります。また、うなぴっぴごー!、ゆるキャン△ラッピング車両など、見た目にも可愛らしいものや、二俣線時代のキハ20形気動車をイメージした「国鉄気動車色」、湘南電車のカラーリングをあしらった「湘南色Re+」などもあります。ちなみにそれぞれの車両の運用は天浜線の公式Webページで公表されており、どの運用に充当されるのかを事前に調べることもできます。僕が最初に乗車した車両は、この中のオリジナル車両でした。

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 車内の座席はご覧のとおりです。4人掛けのボックス席が中心で、車両端の乗降ドア付近はロングシートがあります。新所原で乗車した際、最初のうちは僕一人だけでしたが、発車時間が近づくと数人が乗車してきました。といっても4人用のボックス席が相席となるほどではなかったため、ゆったりと乗車を楽しむことができました。

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 新所原駅では、当初の予定どおり、うなぎ弁当を購入しました。ふっくらとした肉厚の蒲焼がご飯の上にのせられ、食欲をそそる甘いタレの匂いが漂ってきます。発車前でしたが、せっかくの温かいお弁当が冷めてしまう前に、早速、いただくことにしました。飯テロになってしまうかなと心配しましたが、車内の乗客もまばらだったため、他の方に迷惑をかけることなく美味しい浜名湖産のうなぎ弁当を楽しむことができました。ちなみに弁当には3種類あり、うなぎの大きさによって値段が異なります。今回は1本入りのお弁当をチョイスし、2,800円と値は張りましたが、それだけの価値はありました。

 うなぎ弁当を食べ終わってしばらく車窓を眺めていると、つい車内でうとうとしてしまい、気がつけば、まもなく天竜二俣に到着するところでした。ここで約1時間滞在しますが、その間に転車台・鉄道歴史館見学ツアーに参加します。駅の窓口で見学券を購入し、係員の方の案内により順次、各施設を見学します。

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 この高架貯水槽は、蒸気機関車に大量の水を給水するために使用されていたものだそうです。70トンの水を貯めることができるようで、蒸気機関車の運行には欠かせない存在だったようです。現在はその役目を終えていますが、その大きさから存在感のある構造物となっています。

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 転車台に向かう途中、運転区の敷地内を横切るのですが、その建物は昭和の世界そのもので、ノスタルジックなムードが漂っています。蒸気機関車が運行されていた当時に使用されていた浴場がそのまま残されており、現在は列車のヘッドマークの置き場となっていました。

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 これが今回の見学ツアーの目玉となる転車台です。この見学ツアーのためだけに、実際の車両を使った実演が行われ、思った以上に間近で転車の様子を見ることができました。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」でも描かれたシーンのようで、多くの人が転車台から見る風景を撮影していました。

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 そして転車台の向かいには、扇形車庫があります。係員の方の説明によると、建設当時は戦地に金属を供出するために鉄骨が使用できず、この扇形車庫も総木造で建築されたということです。

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 現在、車庫に隣接する建物の中には鉄道歴史館があり、過去に使用されていた道具や資料などが展示されていました。ツアーの時間に限りがあり、あまりゆっくりと見学できなかったのがちょっと残念でした。

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国鉄気動車色のTH2100形:天竜二俣駅 2021/10/22

 転車台と鉄道歴史館の見学を終え、再び天浜線での乗り鉄旅となります。今度乗車する車両は、国鉄のキハ20形気動車色の車両でした。当時の豊橋駅で見かけた気動車のカラーリングを思い出すことはできませんが、これはこれで、なかなか似合っていると思います。

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 車内は、さきほどのオリジナル塗装の車両と同じで、4人掛けのボックス席とロングシートが並んでいますが、車内広告も含め、至るところに国鉄二俣線時代の写真が飾られています。中には、当時の運転ダイヤがデザインされたものも掲出されていました。

 掛川からは、JR線に乗り換えて東海道本線を下っていきます。新所原は、JRと天浜線の駅舎が分かれており、いわゆる連絡改札はありませんでしたが、掛川には、JR線側のホームに通じる天浜線との乗り換え改札があり、自動改札機も設置されていました。途中の浜松で家族に頼まれた買い物を済ませた後、豊橋まで戻り、今回の乗り鉄旅を無事に終えることができました。

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 今回の乗り鉄旅で使用したきっぷです。1枚目は新所原経由の天竜二俣までの乗車券で、2枚目は天竜二俣から掛川経由の浜松までの乗車券です。天浜線はJR線との連絡運輸が設定されているため、こうした通しの乗車券をマルス券で発券してもらうことが可能です。券面には、経由として新所原掛川が表示されますが、天浜線の表示はありませんでした。ちょっと調べてみると、通過連絡運輸の設定はないようですが、連絡運輸区域は広く、東海道本線の清水-豊橋間と飯田線豊橋-豊川間となっています。

 また、浜松から豊橋までは、回数券のバラ売りを金券ショップの自販機で購入しました。自販機からは2枚のマルス券のセットが出てきたため、一瞬あれっと思いましたが、途中の鷲津で分割したものでした。ちなみに浜松ー豊橋間の正規の運賃は680円ですが、金券ショップの自販機では630円で販売されていました。

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 そして、天竜二俣駅で転車台・鉄道歴史館の見学券を購入した際にいただいた記念硬券付のカードも紹介します。観光列車の記念乗車証のようなもので、これは見学ツアーに参加したいい記念になりそうです。

 今回の乗り鉄旅は、以前に乗車した城北線愛知環状鉄道線乗り鉄旅とは、また一味違ったローカル線の旅となりました。天浜線以外にも、近隣には第三セクター路線がいくつかあり、例えばお隣の岐阜県には、樽見鉄道明知鉄道長良川鉄道といった路線があります。樽見鉄道はかなり以前に乗車したことがありますが、明知鉄道長良川鉄道には、まだ乗車したことがありません。また機会を見つけて、こうした未乗の路線にも乗車してみたいものです。