レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

城北線と愛知環状鉄道線に乗車してみた

 月日の流れは早いもので、2021年もすでにゴールデンウイークを迎えました。ゴールデンウイークと言えば、昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の真っ只中で、日常生活のために必要な場合を除いて、外出すること自体を自粛するという状況であったことから、当然ながら、全く乗り鉄旅に出掛けることができませんでした。昨年の時点では、2020年限りの我慢のゴールデンウイークかと思っていましたが、実際には今年のゴールデンウイークになっても事態に収束は見えず、愛知県においても「まん延防止等重点措置」が適用され、特に夜間や県をまたぐ不要不急の移動自粛が強く求められるところです。僕としては、「Go To トラベルキャンペーン」の再開は難しいとしても、日帰り可能な範囲で乗り鉄旅ができるようになるといいなと期待していたのですが、残念ながら、今年のゴールデンウイークも、そうした旅を楽しむことはできそうにない状況です。

 では、こうした最中にあって、大型連休をどのように過ごそうかと考えた時、県内にある鉄道路線の中に、まだ乗車したことがない路線があることを思い出しました。それは、愛知県内で唯一の非電化旅客路線である城北線です。城北線は、愛知県民にとっても“超マイナー路線”であり、その存在すら知らない人も少なくないと思います。そしてもう一つ、愛知県内には、第三セクター鉄道路線である愛知環状鉄道線(愛環線)もあります。僕はこれまでに、愛環線のうち一部区間のみを乗車したことはありますが、ここ10年くらいは利用した記憶がなく、また、全線を乗り通しての乗車経験もありません。そこで今回は、この2路線にスポットを当て、両路線の全線を完乗してみることにしました。その行程は次のとおりです。

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 大雑把な行程としては、県西部に位置する尾張一宮駅を出発し、県東部の拠点である豊橋駅を目指すものです。尾張一宮駅からは東海道本線に乗車して枇杷島駅まで行き、枇杷島駅から勝川駅までは城北線に乗車します。勝川駅からは中央本線高蔵寺駅まで行き、高蔵寺駅から岡崎駅まで愛環線に乗車します。そして、岡崎駅から豊橋駅までは、再び東海道本線に乗車するという行程で、JR東海道線城北線JR中央線→愛環線→JR東海道線の順に乗り継いで行くことになります。なお、利用する乗車券については後で紹介しますが、通過連絡運輸の都合上、尾張一宮駅から豊橋駅までの行程を1枚のマルス券で発券してもらうことはできないため、途中の春日井駅で分割することにしました。そのため、一旦、春日井駅で途中下車することとします。

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城北線で使用されているキハ11形300番台:枇杷島駅勝川駅 2021/5/3

 JR区間については割愛し、枇杷島駅から先を紹介します。
 枇杷島駅は、東海道線の中でも普通列車のみが停車する駅です。JR東海城北線を運行する東海交通事業JR東海の完全子会社)の共同利用駅であり、改札口も共通となっています。枇杷島駅を含む東海道本線の名古屋-稲沢間は、旅客用の線路とは別に貨物用の線路(通称「稲沢線」)があり、旅客用の列車と貨物用の列車とで使用する線路が分けられていますが、今回乗車する城北線用のホームは、この貨物用の路線の一部を間借りするような形で、稲沢線の本線上に設けられています。長編成のコキやタキが行き交う路線上に、有効長が2両程度の小さなホームが設置されている光景は、何だかプラレールのようでした。

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 枇杷島駅のホーム端から稲沢駅方面を見たところです。向かって右の2本が東海道線の旅客用の線路で、その左側を走るのが貨物用の線路です。城北線の線路はこの先で貨物線から分岐し、架線のない非電化区間となります。

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キハ11形300番台の車内座席

 そもそも城北線は、JR東海が第1種鉄道事業者として所有し、その子会社である東海交通事業が第2種鉄道事業者として運営している路線であり、車両についても、JR東海から購入したキハ11形300番台が使用されています。ここまでJR東海との関連が強い路線であれば、いっそのこと、JR東海が直接運営すればよいと思うのですが、Wikipediaなどで調べて見ると、借損料に関連する様々な事情があるようで、少なくとも後10年以上は、現状の運営方法が継続するようです。

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 上の写真は、走行中の車内から後方を撮影したものです。見てのとおり線形が非常によく、見事な高架のストレートです。ローカル線仕様のキハ11形が1両単独で運行するには、あまりに不釣り合いな設備です。せっかくなら、長編成のキハ85系が最高速度で駆け抜ける姿を見てみたいものです。

 城北線は11.2kmと短く、全区間を乗車しても16分程度です。乗車したと思ったら、あっという間に勝川駅に到着しました。乗車した枇杷島駅は、東海道線と同一の駅舎になっていましたが、勝川駅は、中央線の勝川駅から500mくらい離れているため、線路が繋がっていないどころか、単なる乗り換えですら10分程度の時間を要する状況となっています。中央線の勝川駅付近が立体高架化された際、勝川駅城北線との接続を想定した構造とされ、ホーム上にも城北線用のスペース(ただし線路は未敷設)が確保されるなど、将来的な乗り入れを意識したものとなりましたが、現状からすれば、何だか中途半端な状態のまま運用されている印象が残ります。

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城北線勝川駅(高架上にホームあり)

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JR勝川駅の上下線の間にある城北線用のスペース

 ちなみに利用状況ですが、枇杷島駅を発車する時点での乗客は僕を含めて6人でした。ホーム上には、僕と同じように写真撮影をしている同業者と思われる方もおり、また、途中駅では、生活利用している地元の方の乗降もあって、空気輸送といったことはありませんでした。

 春日井駅では、次に使用する乗車券を購入するため、一旦下車します。予定では春日井駅での滞在時間を20分ほど確保していましたが、乗車券もスムーズに購入することができたため、予定より少し早い列車に乗車することができました。そして高蔵寺駅からは愛環線に乗車します。

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愛環線で使用されている2000系:高蔵寺駅岡崎駅 2021/5/3

 高蔵寺駅は、JR東海愛知環状鉄道の共同利用駅となっており、改札口も分けられていません。実は以前、高蔵寺に住んでいた友人Dと旅行に行く際には、高蔵寺駅を待ち合わせに利用したこともあり、僕にとっては、いろいろと思い出のある駅のひとつです。中央本線普通列車を中心に、高蔵寺を始発又は終着とする列車が設定されており、ニュータウンからの通勤・通学客だけでなく、駅前のターミナルを発着する路線バスの起点ともなっており、春日井市の駅としては最多の利用者数となっているそうです。快速列車の停車駅になっていますが、瑞浪や中津川に向かう下りのホームライナーと特急「しなの」は全列車が通過します。

 高蔵寺駅では、愛環線の列車は1番線を発着します。高蔵寺駅には当初の予定よりも10分以上早く到着したため、愛環線も1本早い列車に乗車できました。当初乗車する予定だった列車は、途中の北野桝塚で車両交換を行うものでしたが、結果的には1本早い列車に乗車できたので、終点の岡崎駅まで乗り換えなしで行くことができました。

 乗車する車両は愛知環状鉄道2000系です。第三セクター会社である愛知環状鉄道株式会社が所有する車両ですが、どこか見覚えがある外観となっており、よく観察するとJR東海313系にそっくりです。愛環線では、車両の新造に当たり、既存の313系と部品の共通化を図ることによってコストを抑え、外装のカラーリングのみオリジナルのものを採用しています。

 ちなみに外装のカラーリングには、色調の異なる緑色を組み合わせたタイプと青色帯タイプの2つがあり、一部の編成は、落成時の緑色のカラーリングから青色帯に変更されていますが、今回乗車したG10編成は、現在も緑色バージョンのままです。この緑色バージョンですが、僕はこのタイプのカラーリングを、勝手に”ミニ四駆”と名付けています。左右非対称の炎柄のようなデザインが、何となく「爆走兄弟レッツ&ゴー」に登場するマシンを連想させるからです。皆さんは、どう思いますかね?

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2000系の車内座席

 愛環線は、春日井市瀬戸市豊田市そして岡崎市を結んでおり、沿線住民(特に学生)の利用も多い路線です。休日でもそれなりに利用客があるようで、日中は2両1編成での運行が基本ですが、今回の乗車した列車では、一部の区間で立ち客もいました。国内の第三セクター鉄道の中でも数少ない黒字路線ということで、最近では鉄道系ICカードの利用が可能となるなど、利便性も向上しており、こうした取組がさらに乗客アップに繋がるという好循環を産み出すことになっているのだと感じました。

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 今回の移動で利用した乗車券です。先にお話したとおり、城北線と愛環線を経由する尾張一宮から豊橋までの乗車券は発券されないため、途中の春日井で分割しています。左のきっぷは経由に城北線を含んでいますが、マルス券には路線名は表示されていません。また、「乗換案内」など一部の時刻表アプリでは、城北線を通過連絡する場合のJR線区間の運賃が正しく計算されないようで、僕が使っている「乗換案内」では880円と誤表示されました。JR線区間の合算距離が16.2kmの330円で、城北線区間が450円なので、正しくはマルス券に表示されたとおり780円です。

 右のきっぷは経由に愛環線を含んでおり、マルス券にも印字されています。こちらの春日井ー豊橋間については、「乗換案内」も愛環線の通過連絡に対応していて、正しい金額が表示されました。愛環線を全線乗車すると片道890円ということで、春日井から豊橋までの運賃は1,570円です。春日井から金山経由で豊橋まで行く場合(つまりすべてJR線を利用する場合)の運賃は1,520円なので、それほど金額差はありませんが、乗車時間では、金山経由の場合が乗り換え時間を含めて約1時間20分なのに対し、愛環線経由の場合だと2時間以上かかります。つまりは、金額も時間もかかるルートとなり、一般に利用する方はほどんどいないと思いますが、乗り鉄&きっぷ鉄としては、なかなか貴重な経験ができたのではないかと思っています。