レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

観光列車「雪月花」に乗車

 10月になり、涼しく感じる日が少しずつ増えてくる時期になりましたが、今年はまだまだ暑い日が続いています。日中は、半袖のポロシャツ一枚でも違和感はなく、職場では、一度は役目を終えた扇風機が再び活躍している状態です。僕の乗り鉄旅は、前回の九州旅行で夏シーズンを終了し、10月からはいよいよ“秋旅”となりますが、ここ数日間の体感気温からは、秋らしさを感じるものがありません。

 そんな今日この頃ですが、最近の出来事を振り返ると、前回の九州乗り鉄旅を終えた直後に、新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を受けました。職域接種ということで、モデルナ社製のワクチンだった訳ですが、1回目にもかかわらず思った以上の副反応があり、微熱と腕の痛みが数日間続きました。来週には、2回目の接種を受けるますが、すでに接種を終えた周囲の方の話を聞くと、どうやら1回目よりも強い副反応があるようなので、すでに不安でいっぱいな状態です。

 話がそれてしまいましたが、そんなワクチン接種2回目の不安を打ち消すため、今回は“秋旅”として計画していた、えちごトキめき鉄道(通称:トキ鉄)の「雪月花」に乗車する乗り鉄旅に行ってきましたので、その様子を紹介したいと思います。

 まずは、「雪月花」に乗車するに至った経緯ですが、昨年11月にJR四国の「四国まんなか千年ものがたり」に初めて乗車し、沿線の風景を眺めながら車内で提供される料理を楽しむ旅の魅力に引き寄せられて以来、僕の中では、いわゆる“レストラン列車”に乗車することが、ちょっとしたマイブームとなっています。1か月ほど前の九州乗り鉄旅でも、憧れだった「或る列車」に乗車したところです。

 現在、国内にはいくつかの“レストラン列車”があり、先に紹介した「四国まんなか千年ものがたり」や「或る列車」などJR各社が運行するものだけでなく、例えば、大手私鉄では、西武の「旅するレストラン 52席の至福」や、西鉄の「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」などが有名で、さらには第三セクター会社でも、肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂」や、長良川鉄道の「ながら」などが運行されています。そうした列車の中でも、僕が以前から特に注目していた列車のひとつが、トキ鉄の「雪月花」です。以前に購入した観光列車のガイドブックにも大きく取り上げられており、車体の美しさや提供される料理の評判も高いようで、ちょっと大げさかもしれませんが、日本を代表する“レストラン列車”と言っても過言ではない車両です。そこで今回は、「四国まんなか千年ものがたり」「或る列車」に続き、車内で料理を楽しむ列車への乗り鉄旅第3弾として、「雪月花」に乗車することにしたものです。

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 今回の乗り鉄旅の行程表です。大まかに言えば、名古屋からの往路は、米原経由で特急「しらさぎ」と北陸新幹線、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道を利用して糸魚川まで行き、雪月花に乗車した後、上越妙高からの復路では、北陸新幹線と特急「しなの」を利用するものです。結果的には、ちょうど一筆書きのルートとなります。行程を作成する初期の段階では、往路も「しなの」と北陸新幹線を利用することを考えていましたが、せっかくならば往路と復路で違う経路にしてみようと考え直し、北陸本線を利用して「しらさぎ」に乗車することにしました。また、名古屋から金沢までは、始発から終点まで「しらさぎ」に乗車して乗り換えなしで行くこともできますが、名古屋から米原までは東海道新幹線に乗車し、米原から「しらさぎ」に乗車する方法もあります。今回は、少しでも出発時間に余裕を持たせるため、後者の行程とすることしました。

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雪月花で使用されているET122形1000番台:糸魚川駅二本木駅 2021/10/9

 往路の糸魚川までの区間と、復路の上越妙高からの区間は省略させてもらい、早速「雪月花」を紹介したいと思います。
 レストラン列車を始めとする観光列車では、既存の車両を改造して製造されたものが多い中、トキ鉄のET122形1000番台「雪月花」は全くの新造車両です。また、トキ鉄は全線が電化されており、自社線内に限れば電車でも全線走行可能ですが、他の非電化路線に乗り入れることを想定してか、気動車となっています(実際に非電化区間のあるJR大糸線に入線した実績もあります)。

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 車内の開放感を高め、また、車内からの展望を最大限に確保するため、車両限界ぎりぎりの天井高となっており、近鉄20000系「楽」にも似た面長な顔立ちが特徴的です。外観のカラーリングには、銀朱色と名付けられた色が用いられており、鮮やかな朱赤色が目を引き、所々に取付けられた金色に輝くエンブレム類が、車両の美しさを引き立てています。

 また、この車両最大の外観上の特徴は、何と言っても屋根肩部にまで回り込むように設置された側窓です。僕もこれまでいろいろな観光列車に乗車してきましたが、ここまで大きな側窓を備えた車両を見たのは「雪月花」が初めてです。天井付近からの暖かい日差しが車内に注ぎ込むと同時に、車内からも、ダイナミックな車窓を存分に楽しむことができるようになっています。

 実は以前、2019年8月に「青春18きっぷ」と「北陸おでかけパス」を使った北陸横断乗り鉄旅に出かけた際、直江津駅のホームに停車中の「雪月花」を見かけたことがあります。その時は、たまたま有名な観光列車を目撃することができたという程度の認識でしたが、今回は自分が乗車する立場になり、そうした視点でゆっくりと車両の外観を見ていると、これから始まる旅への期待感が次第に高まってきます。丸みを帯びた優しい印象の2両編成の外観には、どこか可愛らしさも感じられました。

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 「雪月花」は、土休日を中心に運行日が設定されており、通常、午前便(上越妙高糸魚川)と午後便(糸魚川上越妙高)の1日2往復の運転となっています。乗車には専用の旅行商品を購入する必要があり、運行開始当初は、食事付きプランと食事のない乗車のみのプランがあったようですが、現在は基本的にすべて食事付きのプランとなっています。午前便でも午後便でも料金に違いはありませんが、車内で提供される食事に違いがあり、午前便はフレンチ、午後便は和食となっています。

 当初は、普段あまり食べる機会のないフレンチ料理にするため、午前便に乗車してみたいと思っていましたが、運行ダイヤを確認したところ、午前便は始発の上越妙高を10:19に発車するということで、これに乗車するためには前泊が必要となることから諦めました。午後便は、始発である糸魚川を13:59に発車し、終点の上越妙高には16:44に到着するため、昼食には少し遅い時間になってしまいますが、当日の朝に最寄り駅を出発しても十分に間に合い、また、終点の上越妙高に到着した後、そのまま帰路に着けば日帰りでの旅行も可能となります。

 ちなみに、今回乗車する午後便は、糸魚川発車後、日本海ひすいラインを走行して直江津に向かい、直江津からは妙高はねうまラインに入って南端の妙高高原を目指します。妙高高原到着後は、折り返して上越妙高まで運転されるルートで、途中には、直江津の他、日本海ひすいラインの筒石と、妙高はねうまラインの二本木に停車します。筒石駅はトンネル内にホームがある珍しい駅で、また、二本木駅スイッチバックのある駅として知られています。この両駅では、乗客が実際にホームに降り立って、写真撮影などを楽しむことができるよう、停車時間が設けているのだと思います。
 糸魚川から上越妙高までの乗車時間は2時間45分で、レストラン列車として車内で食事を楽しむには、ちょうどいい時間だと思います。

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 続いて車内の紹介です。まずは僕が乗車した1号車です。車いす対応スペースを除く乗車定員は22名ですが、新型コロナウイルス感染症対策として乗客数を減らして運行されているようで、実際の乗客数は、僕を含めて8名でした。本来の乗車定員からみれば半数以下のため、乗客同士の距離が保たれおり、他の乗客の視線が気になることもありませんでした。

 1号車の座席は、車窓を楽しむことに重点を置いたラウンジ形式となっており、ほとんどの座席が日本海側と妙高山側を向いて設置されています。1人掛けのカウンター席と、2~3人掛けのベンチシートタイプの座席があり、また、運転席後ろのハイデッキ部分はフリースペースになっていて、乗客が自由に利用することができるようになっています。

 座席のモケット色は黄金色と若草色で、とても明るい車内です。実際に車内に入ってカウンター席から車窓を眺めてみると、大型の側窓から飛び込んで来る風景はとてもダイナミックで、特に日本海側の風光明媚は区間で行われる徐行運転区間では、雄大な景色の中に自分自身が溶け込んでいるかのような感じを覚えます。また、展望ハイデッキからは、ガラス張りの運転席を通して、車両後方(直江津妙高高原間では車両前方)の景色を堪能することもできます。

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 次は2号車の車内ですが、こちらは4人掛けと2人掛けのテーブル席がそれぞれ左右に3つずつ設置されており、さらに連結部寄りの車端には、バーカウンターである「さくらラウンジ」が、運転席寄りには「雪月花」の中でも特別な座席である展望ハイデッキ席(要追加料金)が用意されています。1号車がラウンジ形式の車内設備となっているのに対し、2号車は本格的なレストランカー形式の座席配置となっており、全体的に落ち着きのある雰囲気となっていました。ちなみにこの日の2号車には、高齢者のツアー客が団体で乗車していましたが、その中に偏屈で気難しい男性が1人いて、その方にカメラを向けている訳でもないのに、肖像権が侵害される可能性があるというようなことを強く主張しており、正直言って、不快なものでした。その方は、何かを誤解しているのかもしれませんが、僕だけでなく、周囲の人も同じ気持ちだったと思います。社会生活の中で、何がどこまで許容されるのかは、人それぞれの感じ方によって基準に違いがあるのは当然ですが、あまりに極端な態度や振る舞いは、周囲の方々に不快な思いをさせてしまいます。しかし、当の本人は、そんなことには全く気が付いていない様子です。「人の振り見て我が振り直せ」と言いますが、どういう状況になろうと、僕自身はあういう人間にはなりたくないなと強く思いました。ということで、2号車の車内は、ラウンジのみの紹介です。

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 今回は午後便に乗車したため、食事は和食となります。糸魚川発車後すぐに、各座席に三段の折箱が運ばれてきて、あわせてウェルカムドリンクも用意されます。ウェルカムドリンクは、ソフトドリンクとスパークリングワインから選ぶことができ、僕は前回の「或る列車」に続いて、スパークリングワインを注文しました。

 そしてお楽しみの食事ですが、事前にWebページで調べた情報によると、この料理を担当しているのは、糸魚川にある鶴来家という老舗割烹ということで、かなり本格的な和食料理となっていました。

 食事の内容を簡単に紹介すると、

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一の重
 紅ズワイ蟹を使ったちらし寿しです。紅ズワイ蟹は地元・糸魚川の名産だそうです。折箱いっぱいに敷き詰められた錦糸卵と紅ズワイ蟹が、見た目にも彩りよく盛り付けられていました。

二の重
 二の重は、いろいろな新潟の味をぎゅっと詰めた折箱で、糸魚川の郷土料理や地元にしかない希少な山菜を使った料理などが用意されています。また、さつまいものレモン煮や牛肉巻きなど、多種多様な食材をじっくりと味わうことができました。

三の重
 旬を詰め込んだ折箱で、鯛や鱸、甘えび(南蛮えび)といった魚介類を中心に、茶碗蒸しも添えられていました。どの折箱も冷製の料理でしたが、調理方法も素晴らしく、特に甘鯛の塩焼きが美味しく仕上げられていました。

味噌汁
 メギスのつみれ汁も提供されました。

デザート
 デザートも和菓子です。一番左はさるなしジャムの寒天だそうで、さるなしという食材を初めて知りました。中央は甘酒で、すりおろした生姜が添えられています。一番右は味噌まんじゅうでした。

 さらに今回は、列車を予約する際にオプションとしてケーキも予約していたため、最後にイチゴのショートケーキが運ばれてきました。折箱の食事だけでも昼食として十分な量でしたが、甘いものは別腹ということで、しっかりと美味しくいただきました。

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 乗車前の受付時に、名刺サイズの記念乗車証をいただきました。この記念乗車証を提示することで、「雪月花」乗車当日に限り、トキ鉄全線(普通、快速、急行、特急列車の自由席)が乗り放題となります。受付前にトキ鉄に乗車する場合でも、乗車日の数日前にメールで送られてくる最終案内書を提示すれば、同様にトキ鉄全線が乗り放題となるため、僕も「雪月花」乗車前の市振→糸魚川間では、この特典を利用しています。

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 また、乗車記念証ではありませんが、「雪月花」の運行区画や時刻をまとめた台紙が各座席に用意されており、裏面には乗車記念スタンプを押印できるようになっていました。2号車のカウンターにスタンプが置かれていたので、僕も記念に押印しました。

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 今回の乗り鉄旅で利用したすべての乗車券類を紹介します。往路の名古屋-富山間は「北陸指定席特急回数券」を利用しました。このきっぷを利用すると、名古屋-金沢間は「しらさぎ」の普通車指定席に、金沢-富山間は北陸新幹線の「つるぎ」「はくたか」の普通車自由席に乗車できます。また、名古屋ー米原間については、「しらさぎ」の指定券の交付を受けていなければ、東海道新幹線の普通車自由席に乗車することもできます。僕は1回しか利用する予定がないため、金券ショップでバラ売りのものを購入しましたが、1枚7,550円ということで、正規の運賃・料金と比べると、多少なりともおトクに乗車できたと思います。続く富山-市振間は、あいの風とやま鉄道の普通乗車券を購入しています。

 復路の上越妙高から名古屋市内までは、普通乗車券を利用しました。北陸新幹線と「しなの」を長野駅で乗り継ぐため、在来線の特急料金が半額になっています。名古屋から北陸地方(福井、金沢、富山、高岡、黒部宇奈月温泉など)に行く場合、今回利用した「北陸指定席特急回数券」が利用できますが、名古屋から信越方面(飯山、上越妙高糸魚川)に行くためのおトクな回数券類は存在しません。高速バスなど格安の移動手段もあり、こうした区間での利用客は少ないのかも知れません。

 こんな感じで、今年最初の“秋旅”を無事に終えることができました。振り返って見ると、九州での「或る列車」といい、今回の「雪月花」といい、最近の乗り鉄旅では、ちょっと贅沢し過ぎのような気もしてきました。現時点で次の乗り鉄旅の具体的な予定はありませんが、これからもお財布と十分相談しながら、楽しい乗り鉄旅にしたいと思っています。