レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

「日本一のモグラ駅」土合駅を訪ねる

 鉄道と切っても切り離せない施設といえば、やはり「駅」です。路線の廃止によって廃止される駅もあれば、既存路線に新たな駅が設置されることもあり、インターネットで調べてみると、全国には約9,500もの駅があるそうです。僕がこれまでの乗り鉄旅で利用したことがある駅の数はどれくらいなのか、まったく想像すらできませんが、中には特徴的な駅もありました。変わった駅で真っ先に思い付くのは、やはり青函トンネル竜飛海底駅です。文字どおり海底にある駅で、生活利用を見込んだものではありませんが、みどりの窓口で見学券を購入すれば、施設の一部を見学できることができました。また、昨年5月に乗車した小海線には、標高で言えば普通鉄道として最も高所に位置する野辺山駅がありました。

 今回も、青春18きっぷを利用して乗り鉄旅に出かけることにしますが、特に早くから計画を立てていた訳ではありません。先週4日には「ムーンライトながら号」を利用して東京まで行き、長岡や直江津、金沢を経由する北陸横断乗り鉄旅を決行したばかりですが、何気に「e5489」でムーンライトながら号の空席状況を見ていると、たまたま11日に空席を見つけてしまい、何も考えずにそのまま購入してしまいました。購入後、東京から先は、どこに行こうかとあれこれ時刻表を見ながら探していたところ、「山の日谷川岳号」という臨時快速列車を見つけました。8月11日は「山の日」ということで、これにちなんで毎年8月11日に運転されているようです。

 僕は谷川岳を含めて山岳に関する知識は全くなく、今回の旅行でも登山の予定はありませんが、この臨時列車の下りの終点となる上越線土合駅には興味がありました。この駅は、地上からの距離で言えば日本一深い所にホームがある駅として有名で、その深さから「日本一のモグラ駅」と呼ばれています。今回は、そんな土合駅の訪問も旅の目的のひとつとして、先週に引き続き「ムーンライトながら号」に乗車し、まずは東京を目指しました。

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 毎度のことながら「ムーンライトながら号」の指定席券です。4日に利用した時にも思ったのですが、豊橋駅有人改札青春18きっぷを提示して入場する際に、駅員さんから指定席券についても提示を求められました。そのため、指定席券にも豊橋駅の入鋏済スタンプが押印されています。指定席券を持たない乗客が強硬乗車することを防止するために確認しているのでしょうか?実際、豊橋駅有人改札の列に並んでいた数人前の方は、指定席券を持たずに乗車しようとして、駅員さんとちょっと口論している様子でした。どうやら「車内で精算する」「指定席券がなくても乗車自体はできると言われた」というようなことを言っているようです。確かに、指定席券の発売状況から見て運行に支障がない場合には、そうした事後精算にも対応してもらえるでしょうが、さすがにムーンライトながら号では難しいでしょう。旅客営業規則上のルールを詳しく把握している訳ではありませんが、僕としては、事前に指定席券を所持しない人は乗車させないという対応は正しいと思います。

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山の日谷川岳号で使用されている651系渋川駅 2019/8/11

 東京からゆっくりと山手線で上野に移動し、そこから「山の日谷川岳号」に乗車します。充当車両は、JR東日本651系特急形電車です。昨年までは185系6両で運行されていたようですが、今年は651系4両でした。651系には、以前に「IZU CRAILE(伊豆クレイル)」で乗車したことがありますが、オリジナル編成に乗車するのは初めてです。651系は、常磐線の「スーパーひたち」としてデビューした交流直流両用特急形電車ですが、現在は「ひたち」としての役目を後輩のE657系に譲り渡し、「草津」「あかぎ」として定期運行されています。また、常磐線のいわきー竜田間の普通列車として運用されていることでも有名です。

 外観は、ホワイトとグレーで塗られたシンプルなカラーリングで清潔感が感じられます。また、目を引く特徴として、後部標識灯を兼ねたLED表示式のヘッドサインがあり、イラスト付きで列車の愛称が表示されることもあるようです。車内設備を見ると、所々に経年劣化はあるものの、特急形車両としての重厚感があり、今でも「タキシードボディ」の愛称に相応しい風格を備えています。
この写真は、途中の渋川駅での停車時間を利用して撮影したものですが、上越線渋川駅水上駅651系が停車している光景は、あまり目にすることができないと思います。そのためか、沿線や停車駅で写真撮影をされている方が大勢みえました。

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 終点の土合駅には、ほぼ予定どおりに到着しました。土合駅の下りホームは新清水トンネル内にあり、外からの光は遮蔽されています。ここから地上にある駅舎までは、階段を昇って10分ほどかかるそうです。10分という時間はさておき、ホームから見た階段は、とても駅構内にあるものとは思えません。階段左端には、岩盤が露出した部分があり、どうやらエスカレーター設置のために残されたスペースのようですが、実際には設置されていないため、改札口に向かうには階段を上るしかありません。

 また、今回は臨時列車から下車した方が大勢いるのでよいのですが、もし階段下に一人きりで取り残されでもしたら、これは身震いしそうな不気味さを感じるでしょう。幽霊の1体や2体、どこかに潜んでいてもおかしくないような雰囲気です。

 「山の日谷川岳号」を下車した方の多くは、この階段を昇っていかれますが、中には、次の下り列車をそのままホームで待つ方もいるようです。僕はどうしようかと迷いましたが、せっかくここまで来た記念ということで、駅舎のある地上に向けて階段を昇ることにしました。途中でバテてしまうのではないかとちょっと心配です。すでに谷川岳の登山がスタートしているような気がしてきました。

 やっとのことで改札口までやってくると、JRの社員さん(地元の観光協会の職員さん?)が、乗客の一人一人に観光案内などのパンフレットとともに、500mlのペットボトルの冷たい水を配っておられました。ここまで462段の階段を昇ってきた乗客への労いの意味も込めてということでしょうか?僕もちょうど喉が乾いていたところだったので、こうしたおもてなしは大変ありがたかったです。

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 「山の日谷川岳号」は、今年で4回目の運行のようですが、とても人気のある列車のようで、指定席は完売でした。「ムーンライトながら号」だと、指定席が完売でも実際の乗車率が70%程度ということが多いですが、「山の日谷川岳号」について言えば、ほぼ100%の乗車となっています。僕の場合、数日前に「えきねっと」で予約したのですが、購入前には「△」表示だったものが、購入後にもう一度見てみると「×」表示になっていたので、僕は直前に生じたキャンセル分を、たまたまゲットできたようです。

 ちなみに土合駅の改札口まで昇ってきた後は、水上行の上り列車に乗車しました。下りホームとは正反対で、上りホームは地上にあるごく一般的な単式1面1線となっています。上りホームと下りホームの間には、実に81mもの高低差があるということで、あらためて「日本一のモグラ駅」の凄さを実感しました。