レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

伊勢に行くなら近鉄?それともJR?

 名古屋から伊勢・鳥羽方面に向かう場合、近鉄線を利用する方法とJR線(関西本線紀勢本線参宮線と一部は伊勢鉄道線)を利用する方法とがあります。首都圏からの旅行客やジャパン・レール・パスを利用する訪日外国人客にとっては、名古屋で東海道新幹線を下車してから引き続きJR線を利用できるとあって、JR線の方にも一定程度の利用客がいることは間違いないですが、現状をみると、優等列車の有無や運行本数などから近鉄が圧倒的に有利な状況です。

 名古屋から伊勢市までの運賃を比較すると、JR(快速「みえ」利用による伊勢鉄道線経由の場合)が2,000円であるのに対し、近鉄は1,450円で、運賃的にも近鉄の優位性が分かります。僕もこれまで、伊勢神宮参拝のために伊勢方面まで鉄道を利用したことがありますが、すべて近鉄線でJR線を利用したことはありません。

 話は変わりますが、近鉄には、それぞれ特徴のある特急形車両が存在します。ダブルデッカー車両を連結した“ビスタカー”、名古屋ー大阪難波間を結ぶ“アーバンライナー”、プレミアムシートやサロン、個室などの豪華設備を有する“しまかぜ”など、様々な人気列車が定期列車として運行されており、多くの鉄道ファンを魅了しています。

 しかし、中には定期列車として運行されておらず、団体専用列車としてのみ運用されている列車もあります。近鉄20000系「楽」もそうした車両の一つです。つまりは、基本的に何らかの旅行商品を購入しなければ乗車することができず、そもそもそうした旅行商品がいつでも発売されている訳ではありません。僕は一時期、「楽」に乗車しようと本気で旅行商品を探し、近鉄の営業所にも足を運びましたが、窓口の方には「最近は『楽』に乗車するプランは少なくなっちゃったよ。」と言われてしまいました。

 そんなこんなで「楽」に乗車する機会が訪れないまま月日は過ぎてしまいましたが、4月上旬頃、近鉄のWebページに、「GW伊勢まで『楽』らくきっぷ」というものが発売されるとの情報を発見しました。その名のとおり、今年のゴールデンウイーク期間中に、近鉄名古屋から伊勢市、宇治山田、五十鈴川の各駅までを「楽」に乗車するという企画乗車券で、4月12日の午前5時30分から近鉄主要駅で発売するという内容でした。発売枚数は各列車180枚ということで、定員制ですが座席指定はしないということです。

 「楽」に確実に乗車できるということで、このチャンスを逃すわけにはいきません。さすがに午前5時30分に駅の窓口に並ぶわけにはいきませんが、発売枚数が限られている以上、なるべく早く入手した方がよいと考え、仕事の始業前に近鉄名古屋駅に寄って、乗車券を入手しました。

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 これがその企画乗車券です。自動改札機には対応していない120mm券です。ちょっと不思議なのはその価格です。近鉄名古屋から五十鈴川までの正規運賃は1,460円であるのに対し、このきっぷの値段は1,450円です。「楽」以外の列車には乗車できないという制限はあるものの、この良心的な価格設定は、何らかの謝恩価格なのでしょうか?

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団体専用に利用される近鉄20000系:五十鈴川駅 2019/4/27

 これが近鉄20000系「楽」です。車両限界いっぱいの2階建て&ハイデッカー構造で大迫力の車体ですが、上半分の黄色と下半分の白色のカラーリングが、可愛らしいキャラクターのような印象です。特急形車両ではないため座席は転換クロスシートですが、乗り心地は決して悪くありません。また、僕が乗車した運転日は乗客がかなり少なかったようで、車内には空席が目立っており、座席の移動も自由でした。

 なお、先頭車両には展望席がありますが、ここは時間交代制となっていました。自分もちょっと覗いてみましたが、順番待ちで混雑している様子はありませんでした。

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 「楽」の車内では、ポストカードサイズの乗車記念証をいただきました。まるで、ちょっとした観光列車に乗車したような気分です。単なる企画乗車券で乗車した客に、よくぞここまでサービスしてもらえるものかと関心してしまいました。近鉄は太っ腹で乗り鉄の見方です。また、企画乗車券の券面には、下車駅で係員に渡すこととなっていましたが、実際には回収されませんでした。

 さて、せっかく五十鈴川まで来たので、お土産を購入するためバスに乗り換えて赤福五十鈴川店に行き、「いすず 野あそび餅」を購入しました。4色の赤福といった感じの商品で、発売開始と同時に多くの方が購入していました。

 ここからは帰路に就くことになりますが、復路は近鉄線ではなくJR線を利用します。特にJR線を利用したい積極的な理由はありませんが、冒頭にお話ししたとおり、これまでJR線を利用したことがなかったため、一度くらいは乗ってみようと考えたからです。再びバスに乗車し、伊勢市駅に向かいます。

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 利用するのは快速「みえ」で、名古屋まで乗車します。どうせ乗車するのであれば少しでも安価な方がいいので、事前にチケットショップで「快速みえ得ダネ4回数券」のバラを購入しておきました。4枚つづりで4,920円なので、1枚あたり1,230円となり、近鉄線の正規運賃よりも安くなります。もちろんチケットショップで購入する場合には、少し割高になってしまいますが、それでも1枚1,330円で購入できました。ちなみに、この回数券には、名古屋(市内)⇔伊勢市以外にも、鈴鹿、津、松阪、鳥羽などの設定もあり、名古屋(市内)だけでなく、桑名や四日市を発着するものもあります。

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出発前のキハ75形:伊勢市駅 2019/4/27

 快速「みえ」には、JR東海キハ75気動車が使用されています。この気動車の最高運転速度は120km/hで、電車並みの走行性能を有する車両です。以前は急行「かすが」に使用されていたこともあり、転換クロスシートで窓には日除けのカーテンも装備されていますが、見た目が通勤用車両そのもので、車内設備面でも近鉄特急には大きく差をつけられています。

 僕としては、そもそも東海道新幹線名古屋駅から伊勢神宮の最寄り駅までを結ぶJR線に、定期運用する観光列車が存在しない方が不思議です。日光東照宮への輸送を担う日光線には「いろは」が、世界文化遺産の平泉には「ジパング」があり、名古屋ー伊勢間にもこうした列車があってもよさそうなものですが、どうやらJR東海にはその気がないようです。せめて快速「みえ」の指定席車両として回転リクライニングシートを備えた車両を連結するなどすれば、もう少し魅力が高まるのではないかと感じました。現状の状態を見ると、近鉄の一人勝ちは、まだまだ続くものと思います。