「青春18きっぷ」は、春季・夏季・冬季の3シーズンに販売され、日本全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席が自由に乗り降りできるきっぷです。1枚のきっぷを1人で5回利用することはもちろん、5人のグループで一緒に利用することもできます。1枚5回(人)分が11,850円で、1回(人)当たり2,370円ということになります。価格の安さも大きな魅力と言えますが、あらかじめ目的地を設定しない気ままな旅や、旅行中にその場の気分で目的地を変更することもできるという、使い勝手の良さも人気の理由のひとつです。その気になれば、普通・快速列車を利用してどこまでも行くことができ、乗り鉄には欠かすことができないきっぷです。(ただし、体力的に耐えることができるかどうかは別問題です。)
しかし、「青春18きっぷ」は利用期間が限定されており、年間を通じて利用できるものではありません。また、特急や新幹線を利用する場合や、普通・快速列車であってもグリーン車指定席を利用する場合には、特急券やグリーン券のほかに乗車券が必要となることから、長距離旅行であっても、主に特急や新幹線を利用する場合には、あまり利用価値がありません。
今回、7月29日(土)・30日(日)の2日間、長野ー中津川間を結ぶ快速「いろどり木曽路号」に乗車することになりました。かなり人気のある列車ですが、何とか通路側の座席を確保することができました。僕の乗車区間は、中津川ー塩尻間です。7月下旬であれば「青春18きっぷ」の利用が可能ですが、使用車両の「彩(いろどり)」は全車グリーン車指定席となっています。したがって、快速列車であっても「青春18きっぷ」で乗車することができません。普通乗車券を購入することも考えましたが、JR東海の企画乗車券に「青空フリーパス」というものがあります。土休日しか利用できませんが、名古屋を中心に、米原、下呂、木曽平沢、二川、鳥羽、紀伊長島までの範囲が1日乗り放題で、別に特急券を購入すれば在来線特急にも乗車することができます。もちろんグリーン券があれば、指定席グリーン車にも乗車できます。このきっぷでは、中央西線の木曽平沢までしか利用できませんが、木曽平沢ー塩尻間の往復乗車券を追加すれば、中津川ー塩尻間で「いろどり木曽路号」を利用することができます。さらに、「青空フリーパス」を購入することで、中央西線以外の路線も利用することができることから、次のような旅行行程を組み立てました。
せっかく「青空フリーパス」を利用するならば、「青春18きっぷ」では利用できない特急列車にも乗車してみようと思い、名古屋から米原まで「しらさぎ号」に乗車します。その後、1日1本だけ運行されている大阪発着の「ひだ号」に乗車して美濃太田まで行きます。美濃太田からは岐阜経由で名古屋に戻り、中央本線で中津川まで移動します。中津川からは、今回の乗り鉄旅のメインとなる「いろどり木曽路号」に乗車します。塩尻からの帰路では、「しなの号」を利用しようかとも思いましたが、ちょうどいい時間に塩尻から乗車できる普通列車があったので、金山までは普通列車を利用することにしました。
今回利用する「青空フリーパス」です。自動改札機に対応した85mm券で、券面にはフリー区間の略図が掲載されています。価格は2,570円ですが、正規の片道運賃を見ると、豊橋ー米原間は2,590円、名古屋ー木曽平沢も2,590円、名古屋ー紀伊長島間は2,780円(伊勢鉄道線の運賃510円を含む。)なので、土休日であれば、これらの区間をかなりおトクに利用することができます。
豊橋から名古屋まで東海道本線に乗車し、名古屋から「しらさぎ1号」に乗車しました。「しらさぎ号」は、北陸新幹線の開業前は名古屋ー富山間を結んでいましたが、現在は金沢までの運行となっており、名古屋ー金沢間で8往復、米原ー金沢間で8往復が、1時間ごとに1本運転されています。名古屋発着の名古屋ー米原間はJR東海区間となりますが、「しらさぎ号」に使用されている車両は、すべてJR西日本の車両が充当されています。
僕は、「しらさぎ号」と言えば、車両は当然681系だと思っていたのですが、どうやら元北越急行の683系8000番台が1編成だけあるようで、今回乗車する「しらさぎ1号」は683系8000番台の車両でした。683系は以前、サンダーバードでも利用したことがあります。今回は、非貫通型先頭車を撮影してみました。
ちなみに、僕は予定どおり米原で下車しましたが、米原では付属編成との連結作業が行われていました。車両の増解結が行われていると、その作業を一目見ようと多くの人が見物に集まって来るのは、不思議なものです。車両同士の連結には迫力があり、どのような作業が行われているのか、鉄道ファンならずとも気になるようです。今回連結される付属編成は681系でした。681系と683系は、編成単位での連結はできるんですね。
普段は「えきねっと」や「e5489」を利用して購入することが多いですが、これらのきっぷは、JR東日本やJR西日本の管内でないと受け取ることができません。そのため、今回のきっぷは金山の指定席券売機で購入しました。JR東海には、在来線のインターネット予約サービスがありません。新幹線に比べると在来線特急の運行本数が少なく、相対的な需要は少ないのかも知れませんが、これからの時代、わざわざ駅や旅行会社まで出向かないと指定券が予約・購入できないのは、さすがに不便だと思います。せめて「えきねっと」や「e5489」で予約したきっぷの受け取りだけでもできないものでしょうか?
>>(2)に続く