レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

大井川鐵道で2つのSLに乗り鉄旅

 日本各地には、いくつかのSLが動態保存されています。JR北海道の「SL冬の湿原号」、JR東日本の「SLばんえつ物語」「SLみなかみ」「SL碓氷」「SL銀河」、JR西日本の「SLやまぐち号」「SL北びわこ号」などがあり、私鉄でも真岡鉄道秩父鉄道などでSLによる運行が行われています。

 こうした各鉄道会社における動態保存の先駆け的存在で、SL運行に関して最も有名なのは大井川鐵道(大鐵)です。1976年に日本で初めて蒸気機関車の動態保存を始めた鉄道会社で、現在でも、年間300日以上にわたってSLを営業運転しているということです。さらに大鐵は、昭和10~20年代に製造された多くの旧型客車も所有(一部は日本ナショナルトラスト所有)しており、SLの旅では昭和初期にタイムスリップしたかのような雰囲気を味わうことができます。僕が初めて大鐵のSLに乗車したのは小学生の頃ですが、中学生の時には学校の夏休みイベントで、先生に引率されて数人の友達と一緒に乗車したこともあります。

 それ以降、大鐵のSLに乗車していませんでしたが、世間では機関車トーマスの主人公であるトーマスに改装された機関車が大きな注目を集めています。鉄道ファンだけでなく、トーマス好きの子供達からの支持により、その人気は絶大で、個人ではなかなか指定席を確保できないという話も聞くほどです。僕自身は、トーマスファンという訳ではありませんが、久しぶりに大鐵に乗ってみたくなり、新金谷ー千頭間を、SLに牽引される客車に乗車して往復する乗り鉄旅に行くことにしました。

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 豊橋から金谷まで東海道本線に乗車して移動します。あらかじめ往復乗車券を購入しておきました。そう言えば、往復乗車券を購入したのは久しぶりです。JRの金谷駅と大鐵の金谷駅は隣接しており、専用の乗り換え改札もあります。あらかじめ乗り換え先の乗車券を購入していれば、改札を出ずに乗り換えることも可能ですが、僕はここで「大井川本線フリーきっぷ」を購入するため、一旦、改札を出てフリーきっぷを購入しました。

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 これが今回使用した「大井川本線フリーきっぷ」です。最近のJRや大手私鉄ではほとんど見かけなくなった常備券で、使用開始日の大きな日付印が押印されています。この乗車券では、大井川本線が2日間乗り降り自由となりますが、僕が使用するのは今日1日だけです。それでも普通運賃で金谷ー千頭間を往復するよりも安いため、購入することにしました。これからSLに乗車するであろう他の乗客たちも、ほどんどの方がフリーきっぷを購入していました。大鐵は運賃が高いことでも有名で、2日間有効とはいえ3,440円しました。

 なお、大鐵のSLは新金谷ー千頭間を運行しており、金谷ー新金谷は普通列車で移動します。新金谷の駅前にはプラザロコという施設があり、お土産物やお弁当などの他、事前に電話予約したSL乗車券の発券も行っています。僕も事前に予約しておいたため、ここでSL乗車券を受け取ります。券面には「SL乗車券」と記載されていますが、実際には指定席急行券、指定席特急券のことです。

 

急行「かわね路」

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かわね路を牽引するC11形蒸気機関車千頭駅 2018/8/30

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かわね路で使用されている旧型客車:新金谷駅 2018/8/30

 新金谷から終点の千頭までは、急行「かわね路」に乗車します。今日の牽引機はC11形190号機です。C11形蒸気機関車東武鉄道のSL大樹でも使用されていますが、大鐵では旧型客車で、天井には古めかしい扇風機がグルグル回っています。もちろん冷房装置はなく、走行中は窓を全開することになります。そのため客車内にはSL独特の煤煙が漂い、ノスタルジック感に溢れています。車内はボックス席で4人掛けとなりますが、僕のいるボックス席には他の乗客はいなかったため、他の乗客の方に気兼ねすることなく、広々と利用できました。プラザロコで購入したお弁当を食べながら、約1時間20分のゆったりとした旅を楽しむことができました。

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 事前に予約した「SL乗車券」には、予約時に申告した氏名も記載されています。まさか転売防止のためということではないと思いますので、乗車後に持ち帰って記念にしてもらうためのサービスだと思います。

 

特急「トーマス号」

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発車前に出発準備中のトーマス号の機関車:千頭駅 2018/8/30

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転車台に向かうトーマス号の機関車:新金谷駅 2018/8/30

 復路の千頭から新金谷までは、特急「トーマス号」に乗車します。正式な呼び名は分かりませんが、駅員の方もトーマス号と呼んでいたため、これが正式名なのかもしれません。客車側面のサボ受けには、特急の表示がありました。牽引機は、C11形227号機にようですが、トーマスの顔に隠れてナンバープレートが見えません。

 最近は、各地で様々なラッピング列車が運行されていますが、C11形227号機はほぼ完璧にトーマスに改装されており、実物大のトーマスの迫力に驚かせられました。僕はトーマスのアニメには詳しくありませんが、オレンジ色の客車は「アニー」と「クララベル」を模したものだそうです。実物を見る前は、どちらかと言えば子供向けのイベント列車かなと思っていましたが、機関車も客車もアニメの世界から飛び出してきたかのようなリアル感があり、大人でも充分楽しめるものとなっていました。

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 なお、トーマス号に乗車するためには、ローソンチケットで事前に予約することになりますが、キャンセルが生じた場合には、直前に電話での予約受付が行われます。僕もこの電話予約を利用しました。事前に大鐵のWebページを見ていると、トーマス号はほとんど完売のようでしたので、さすがに往路のようなボックス席の一人利用はできないだろうと思っていましたが、意外なことに、復路でもボックス席を独り占め状態でした。

 大鐵には、全部で4両の蒸気機関車が現役で運行しているそうです。昭和初期の製造ということで、日常のメンテナンスなどの維持費も含め、SLの動態保存には多額の費用が必要となります。老朽化したり劣化した部品を交換しようにも、調達は容易でないことと思います。こうした保存活動を40年以上の長きにわたって地道に続けてきた大鐵のSLに対する熱い思いを感じた乗り鉄旅となりました。