レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

2つの観光列車とSLに乗車する九州乗り鉄旅(1)~SL人吉編~

 今回は、ついに念願だった九州乗り鉄旅に行くことができました。思い返せば、6月下旬に出発を予定していたものが、父親の体調不良による通院への付き添いなどのため、出発日直前に延期することとなり、さらに8月下旬に再出発を予定していたものが、記録的大雨の影響による佐世保線の一部区間での運転見合わせによって、乗車予定だった「或る列車」の運休が決定したことから、これまた延期を余儀なくされたという経緯があります。諦めきれない僕は、9月11日・12日の2日間でリベンジを果たすべく、1泊2日の九州乗り鉄旅に向けた準備を進めてきましたが、三度目の正直という諺にあるとおり、今回は無事、旅行を終えることができました。旅行自体の満足度もさることながら、ここに至るまでの経緯から、まずは何事もなく、予定どおりの行程で旅行を終えることができたということ自体に、ほっとしたというのが正直な感想です。

 今回の九州乗り鉄旅のメインは、これまでにも何度かお話ししたとおり、“JR KYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」”に乗車するというものですが、せっかく九州まで行くからには、これまでに乗車したことがない他のD&S列車にも乗車してみようということで、6月下旬に出発するはずだった際の旅行行程では、1日目に「指宿のたまて箱」に、2日目に「或る列車」に乗車することにしていました。その後、あらためて8月下旬の出発に向けた旅行行程を作成する際、内容を大幅に見直して、「或る列車」と「36ぷらす3」に乗車してみることにしました。実は、6月下旬に出発を予定していた際には、「36ぷらす3」が車両整備等による運休期間中だったため、旅行行程に組み込むことができませんでしたが、7月中旬から運行を再開し、8月以降であれば、お盆休みの時期を除いて通常どおり運行されていることから、これに乗車すべく、旅行行程を変更したものです。

 「或る列車」は、時期によって運行ルートが異なっており、6月には、佐賀-長崎-佐世保コースで運転されていましたが、7月以降は、ハウステンボス-博多コースで運転されています。また、団体専用列車ということで、平日を含めて毎日運行されているわけではありません。そして「36ぷらす3」は、曜日によって運行ルートが異なっており、1泊2日の限られた時間の中では、乗車しづらいルートで運行される曜日もあります。そこで、旅行行程の見直しを行うに当たっては、「或る列車」と「36ぷらす3」のどちらにも乗車できるベストな組み合わせを検討することとし、その結果、1日目(土曜日)に「或る列車」の午後便(博多→ハウステンボス)に乗車し、2日目(日曜日)に「36ぷらす3」の大分から博多までを走るルートに乗車することにしました。

 また、JR九州では現在、週末を中心として、熊本-鳥栖間で「SL人吉」を走らせています。本来の運転区間肥薩線ですが、八代-吉松間が長期にわたって不通となっていることから、代替措置として鹿児島本線で運転されているものです。調べてみると、熊本→鳥栖の上り列車はSLが牽引し、反対の鳥栖→熊本の下り列車はDLが牽引するというものでした。さらに上り列車のダイヤを調べると、熊本駅の発車時刻が10:50発ということで、僕が最寄り駅から始発に乗って熊本を目指しても、この発車時刻には間に合いませんが、途中停車駅の大牟田からであれば、何とか乗車できることが分かったため、1日目の午前には、新幹線で博多に到着したらそのまま在来線で大牟田に移動し、そこから「SL人吉」にも乗車することにしました。これらをまとめた今回の旅行行程は、次のとおりです。

9月11日の旅行行程

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9月12日の旅行行程

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 名古屋から博多までは、もちろん「のぞみ」を利用します。次に「SL人吉」に乗車するため、鹿児島本線大牟田に移動しますが、普通(快速)列車だけでは間に合わないため、博多から鳥栖までは、短区間ながら特急「かもめ」に乗車し、大牟田から鳥栖までは「SL人吉」に乗車します。鳥栖からは博多に戻り、博多からは1日目のメインとなる「或る列車」にハウステンボスまで乗車します。テーマパークの最寄り駅まで行きますが、ハウステンボスに入園することなく、そのまま宿泊地の博多まで引き返します。しかし、夕方の時間帯には、すでに特急「ハウステンボス」の運行が終了しているため、一旦、早岐まで普通列車に乗車し、早岐から特急「みどり」に乗車することにしました。

 そして2日目は、朝早くに博多から特急「にちりんシーガイア」に乗車して大分まで行き、折り返して、大分から博多まで特急「36ぷらす3」に乗車します。博多到着後は、往路と同じく「のぞみ」を利用して名古屋に戻るという行程となっています。

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かもめ号で使用されている885系博多駅 2021/9/11

 東海道・山陽新幹線で乗車した「のぞみ」については、これまでに何度も乗車したN700Aということで省略します。新幹線に続いて乗車したのが特急「かもめ」です。「かもめ」の車両には、現在3つのタイプがあり、いわゆる「白いかもめ」と呼ばれている885系、「きりしま」「かいおう」「きらめき」などでも使用されている787系、さらに平日に1本だけ使用されている783系です。今回乗車した「かもめ17号」は、885系の「白いかもめ」ですが、この車両には以前、「ソニック」として乗車したことがあります。呼び名のとおり、外観のカラーリングは白一色で、車体裾部と運転台窓周りに、ワンポイントとして青色が配色されています。「青いソニック」こと883系のメタリックブルーや、「九州横断特急」のキハ185気動車の鮮やかな赤色のような派手さはありませんが、どこか欧州の特急列車を思わせる“日本離れ”したデザインが印象的です。

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 JR九州の特急形車両らしく、車内の内装もデザイン性が重視されています。前に885系に乗車した際にも紹介しましたが、普通車の座席は、一般的な2+2列配置でありながら、大きめのヘッドレストを備えた黒いモケット柄の座席が特徴的で、趣向を凝らしたものとなっています。床は木目調のフローリングとなっており、定期運行される特急形車両でありながら、ちょっとした観光列車に乗車しているような気分になりました。

 ちなみに今回は自由席を利用しましたが、885系の場合、指定席車両には座席にモバイルコンセントがありますが、自由席車両にはありません。車内設備のちょっとした違いですが、こうしたところで差別化が図られていることが分かりました。

 鳥栖から大牟田までは普通列車で移動し、大牟田からは58654(8620形)が牽引する50系客車の「SL人吉」に乗車します。乗り鉄旅でSLが牽引する客車に乗車するのは久しぶりで、3年前に大井川鐵道の「かわね路」と「トーマス号」に乗車して以来のことです。

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往路でSL人吉号を牽引する58654(8620形)蒸気機関車大牟田駅鳥栖駅 2021/9/11

 「SL人吉」を牽引するSLは、大正生まれの通称“ハチロク”で、現役では日本最長老の蒸気機関車と言われています。大正時代に製造されたSLが、100年以上の時を経て令和の時代に活躍しているということは非常に貴重なことで、これまでにも広く注目を集めていましたが、昨年秋に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開され、この作品とのコラボ企画として、JR九州が熊本-博多間で8620形を使用した「SL鬼滅の刃」号を運転したことから、映画の大ヒットと相まって、「無限」のプレートを掲げた8620形は爆発的な人気を集めることになりました。この列車に乗車するための指定券は、発売開始からわずか数秒で完売するほどで、僕も運試しだと思って、某旅行代理店で“10時打ち”をお願いしましたが、見事に完敗したことを覚えています。

 そんな8620形ですが、あらためて間近で眺めてみると、やはり最近の電車にはない圧倒的な存在感があります。汽笛の音や燃料の匂い、煙を噴き上げる勇ましい姿は迫力満点で、まるで乗客を過去の時代に誘うような、そんな特別感のある存在と言えます。牽引される50系客車もレトロ調の外観となっており、8620形の雰囲気にマッチしたノスタルジックなものとなっています。

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復路でSL人吉号を牽引するDE10形ディーゼル機関車鳥栖駅 2021/9/11

 なお、鳥栖駅にはSLの方向転換を行うための転車台がないため、鳥栖駅に到着した「SL人吉」は、DE10形ディーゼル機関車がSLと客車を牽引して熊本に戻ります。そのため、編成全体を見ると、SL(8620形)+50系客車3両+DL(DE10形)の合計5両編成となっています。この編成で使用されているDE10は、「ななつ星in九州」の牽引にも使用されるディーゼル機関車で、黒をベースとした専用塗装のものでした。SLや客車の雰囲気に馴染むカラーリングとなるよう、配慮されているのだと思います。

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 「SL人吉」は、先にお話ししたとおり、現在は本来の運行区間である肥薩線を離れて、鹿児島本線の熊本-鳥栖間を土休日限定で1日1往復運行しています。僕が乗車した上り列車のダイヤは上のとおりで、熊本を10:50に発車し、終点の鳥栖には12:34に到着します。僕は大牟田から乗車するため、乗車時間は約1時間20分ですが、全区間で乗車すると、約2時間45分のSLの旅を楽しむことができます。

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1号車の座席

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2号車の座席①

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2号車の座席②

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3号車の座席

 続いて、車内の様子を紹介します。座席の配置は、号車によって大きな違いはなく、4人掛けのボックスシートと、それを半分に分割したような2人掛けのシートが並んでいます。ただし、種車の関係からか、1・3号車と2号車ではシートピッチが異なっており、2号車の方が広くなっています。ボックス席は、もともと向かいの席との間にあまり余裕がありませんが、足元のスペースを少しでも確保したい方は、2号車をオススメします。モケット柄は号車ごとに異なっており、よく見ると、同じ号車の中でも車両中央を境にして異なる柄が使用されていました。(すべてのモケット柄を撮影したわけではないため、上の写真はあくまで一例です。)

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1号車側の展望ラウンジ

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3号車側の展望ラウンジ

 1号車と3号車の車端部には、展望ラウンジがあります。「SL人吉」の場合、2つの機関車が客車を挟み込んでいることから、前面展望はもちろんのこと、後方展望を眺めることもできませんが、その分だけ、車内から走行中の機関車の後ろ姿を間近で楽しむことができます。ちなみに"特等席"に当たる正面中央の座席は、子供用になっていました。

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2号車にあるビュッフェ

 また、2号車には、Cafe&Barとしてビュッフェがあります。ビュッフェといっても、車内で調理した軽食を提供するようなものではなく、お弁当や飲み物、グッズなどの販売がメインとなっています。僕は今回、もともと「SL人吉」の車内で食事をする予定はありませんでしたが、昼食にちょうどいい時間とあって、車内でお弁当を食べている人も多かったです。ビュッフェで販売されている「86(ハチロク)弁当」は、大牟田を発車した時点で売り切れとのことで、なかなかの人気商品のようでした。

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 車内には記念乗車証があり、裏面に記念スタンプを押印することができます。JR 九州のD&S列車には、こうしたポストカードタイプの記念乗車証が用意されていますが、こうしたものをいただくと、ついつい全列車分を集めたくなります。ちなみにDL機関車が牽引する下り列車では、DE10が描かれた記念乗車証も配布されるとのことですが、僕が乗車したのは上り列車のため、SLが描かれたもののみ配布されていました。

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 続いて実際に使用したきっぷを紹介します。博多ー大牟田間の往復乗車券と、「かもめ」の乗車に必要な自由席特急券は、出発前日にあらかじめ購入しておきました。「SL人吉」の指定席券は、8月下旬の出発に向けて準備していたものを乗車変更しています。今回の乗り鉄旅で使用する九州内の指定席券は、基本的にJR九州のインターネット予約サービスを利用して購入しますが、「SL人吉」についてはシートマップに対応していないということで、インターネット予約では希望の座席を確保することができません。そのため今回は、進行方向側の2人掛け座席の窓側を押さえるため、駅の窓口で希望座席の空き状況を確認しながら購入しました。ちなみに車内の詳しい座席配置は、JR九州がWebページで公表しているので、あらかじめ確認しておくとスムーズに指定券を購入することができると思います。

 なお、指定券の値段は1,680円で、JRの指定席料金としては異例の高額な設定となっています。JR北海道の「SL冬の湿原」や、JR東日本の「SL銀河」「海里」「HIGH RAIL 1375」でも、通常の指定席料金より高い840円となっており、実は「SL人吉」もつい最近まで840円の指定席料金で乗車することができたのですが、5月に値上がりし、一気に倍の値段になりました。蒸気機関車の運行や維持管理には、多額の費用が必要となるであろうことを考えると、やむを得ない措置とは思いますが、指定席料金として1,680円とするのは、ちょっと高すぎるような気がします。いっそのこと急行扱いにして、指定席料金を据え置いたまま急行料金を徴収する方法でもいいのではないかと感じました。(もちろん、これまでどおり快速扱いのままとすることで、引き続き青春18きっぷでも乗車できるというメリットがあります。)

 「SL人吉」でののんびりとした乗り鉄旅を楽しんだ後は、博多に引き返して「或る列車」に乗車しますが、お話しが長くなってきましたので、ここで一旦、区切ることにします。

 >>(2)~或る列車編~に続く