レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

伊豆急行線で2つの観光列車に乗車する乗り鉄旅

 JR各社は、元をたどれば国鉄という一つの公営企業体だった訳ですが、1987年に分割民営化されて以来、すでに約30年が経過しており、それぞれの旅客会社ごとに地域の特性を生かした会社運営が行われています。このうちJR東日本は、東北地方、関東地方、甲信越地方鉄道路線を有しており、また、首都圏を管轄する旅客会社として、JRグループの旅客6社(北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州)を代表する事業者となっています。

 さらにJR東日本は、旅客6社の中でも、多くの観光列車(ジョイフルトレイン)を運行していることでも有名です。管内は各支社に分けられており、それぞれの支社ごとに、観光列車の運行やイベントの開催など、地域に根差した取り組みを進めています。観光列車を例にあげるならば、東北地方では「TOHOKU EMOTION」「リゾートうみねこ」「リゾートしらかみ」「SL銀河」、甲信越地方では「SLばんえつ物語」「きらきらうえつ」「越乃Shu*Kura」など、数多くの列車が運行されています。また、これらの列車に乗車するため、首都圏から東北・上越新幹線を利用して現地まで往復するツアーなども組まれており、鉄道を中心にした様々な旅行プランを提供しています。

 そんなJR東日本ですが、首都圏から日帰り旅行も可能な一大観光地である「伊豆」への輸送も担っています。正確に言えば、熱海-伊東間の伊東線JR東日本の路線で、伊東-伊豆急下田間は伊豆急行線の路線ですが、特急列車だけでなく、普通列車でも直通運転が行われており、熱海から乗り換えなしで伊豆急下田まで行くことができます。この路線には、特急「踊り子」「スーパービュー踊り子」が運行されていますが、いわゆる「観光列車」は運転されていませんでした。JR東日本のような会社が、なぜこれまで伊豆エリアを走る観光列車を運転していなかったのか、非常に不思議な気もしますが、今年7月、ついに新たな観光列車「IZU CRAILE(伊豆クレイル)」が誕生しました。

 「IZU CRAILE」は、以前に「スーパーひたち」として活躍した651系を改造した車両で、4両1編成となっています。運行区間は、小田原-熱海-伊豆急下田で、伊豆方面に行く列車としては珍しい小田原発着となっています。土休日に1日1往復運用され、全車両グリーン車指定席の快速列車となっています。グリーン車といっても、特急列車ではないため、グリーン料金もそれほど高くはありません。冬季の青春18きっぷ利用期間に乗車してみようと思い、今回、始発の小田原から終点の伊豆急下田まで乗車してみることにしました。

f:id:Len_Railway:20200420211754j:plain

伊豆クレイル号で使用されている651系熱海駅 2016/12/18

 始発の小田原駅には、「IZU CRAILE」の乗客専用のラウンジがあります。数十万円もするような豪華列車ならともかく、みどりの窓口で購入することができる観光列車の乗客に対して、こうしたラウンジが提供されているというのは驚きです。僕もグリーン券を提示して入室してみましたが、ラウンジ内は込み合っており、かえって落ち着かなかったので、早々に乗車するホームに移動しました。ホームで待つことしばし、「IZU CRAILE」が入線してきました。外観は、スーパーひたち時代のままですが、白をベースに薄いメタリック系のローズピンク色の塗装が追加され、女性らしさが感じられるデザインとなっています。

 なお、「IZU CRAILE」は4両編成ですが、1号車(カウンター席とボックスシート)と3号車(4人用コンパートメント)は、すべて旅行商品専用となっており、みどりの窓口でのグリーン券の販売はありません。そして2号車は、多目的スペースを備えた物販カウンターのある車両で座席はありません。したがって、みどりの窓口で購入することができる座席は4号車のみとなっています。

f:id:Len_Railway:20200420214137j:plain

f:id:Len_Railway:20200420214151j:plain
f:id:Len_Railway:20200420214200j:plain

 今回は、2つの乗車券を組み合わせて利用しました。「IZU CRAILE」は全車グリーン車指定席で、青春18きっぷを利用することができないことから、小田原→伊東については、普通乗車券を購入しました。伊東→伊豆急下田伊豆急行線区間については、「伊豆満喫フリーきっぷ」という企画乗車券を利用します。この企画乗車券は、伊東駅みどりの窓口で購入する必要があるため、今回は小田原に行く前にちょっと伊東に寄り道し、事前にこのフリーきっぷを購入しておきました。伊豆急行線は、JR線よりもかなり運賃が高いのですが、このフリーきっぷがあれば、伊東⇔伊豆急下田間を乗り降り自由でおトクに乗車することができます。

 また、グリーン券ですが、あらかじめ「えきねっと」で予約しておいたものを、伊東駅で発券しておきました。最近では少数派となりつつある熱転写タイプのマルス券です。また、下車した伊豆急下田駅に、可愛らしいデザインのスタンプがあったので、券面に押印してしまいました。

f:id:Len_Railway:20200420211947j:plain

f:id:Len_Railway:20200420212010j:plain

黒船電車こと伊豆急行2100系:伊豆急下田駅 2016/12/18

 伊豆急下田からは、再び伊豆急行線とJR伊東線を利用して熱海まで戻ります。乗車した列車は、伊豆急行2100系のリゾート21による「黒船電車」です。「リゾート21」と言えば、車体両側に左右非対称のカラーリングが施され、白、赤、青の3色のトリコロールカラーが特徴的な車両ですが、現在は、下田に来航した黒船に見立てて黒色に塗装されており、「黒船電車」と呼ばれています。

 なお、リゾート21車両は、東京-伊豆急下田間を走る特急「リゾート踊り子」として使用されていたこともあり、その際には、グリーン車として「ロイヤルボックス」と呼ばれる特別車両が連結されていました。「ロイヤルボックス」は、伊豆急行線内での普通運用の際には連結されないことから、乗車する機会がとても少ない車両です。しかし、今回、期間限定で「黒船電車」に「ロイヤルボックス」が連結され、さらに乗車券のみで利用することができるという、なんとも太っ腹な運用が行われており、僕もこの機会に「黒船電車」の「ロイヤルボックス」に乗車してみました。

 「ロイヤルボックス」はグリーン車に相当する車両ということで、車内はとても豪華な印象です。少なくとも185系グリーン車と比べて見劣りすることはないと思います。高い丸天井が開放的でリゾート感があり、1,340mmのゆったりしたシートピッチで1+2配置の座席が並んでいます。僕は1人掛けの座席を利用しましたが、座席は進行方向に対して45度窓側を向いた位置となっていました。車窓から外の景色を眺めるにはもってこいで、ストレスを感じさせません。

f:id:Len_Railway:20200420215643j:plain
f:id:Len_Railway:20200420215700j:plain

 さらに、この「ロイヤルボックス」車両には、トンネル内で天井に星空等を映し出す照明装置があり、車内でプラネタリウムのような映像を鑑賞することができます。こうした演出を知らずに乗車した方の中には、突然写し出された星空に驚かれている方も見えました。普通列車への乗車と言うと、どうしても退屈で単なる移動するだけの時間になりがちですが、「ロイヤルボックス」には、こうしたエンターテイメント的な要素もあり、熱海までの約1時間30分は、あっという間に感じました。