レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

3種類の企画乗車券を使った水上までの乗り鉄旅

 JR東日本では、いわゆる観光列車やジョイフルトレインの類を「のってたのしい列車」と銘打って、公式サイトのWeb上で紹介しています。JR東日本管内を運行する様々な列車の情報が掲載されており、車内の様子や沿線の紹介などもあるので、乗車前の下調べなどにはとても便利です。

 それらの中で、僕が特に気になっていたのは「SLばんえつ物語」という列車です。磐越西線を走る臨時快速列車で、冬季を除く土休日を中心に1日1往運転されています。もちろん、牽引する蒸気機関車(SL)に惹かれるものがありますが、僕がそれ以上に魅力を感じるのは、「SLばんえつ物語」の専用客車です。ボックス席仕様の12系客車が基本ですが、先頭と最後尾は展望車となっており、そのうち1両はグリーン車です。

 「のってたのしい列車」のポータルサイトに掲載されたグリーン車を見ると、車端部にはグリーン車専用のパノラマ展望室があり、3方向がガラス張りとなった広々とした展望スペースがあります。車内の方は、大正ロマンを感じさせるレトロ調で統一され、1+2席配列で大型の回転リクライニングシートがずらりと並んでいます。車内全体を通じて上質で華麗な雰囲気となっており、ノスタルジック感に満ち溢れています。僕としては、当然、この列車に乗車してみたいと思っていましたが、なかなか新潟や会津若松まで足を伸ばす機会がありませんでした。

 そんな中、今年の11月19日・20日の2日間、D51-498号機の牽引で「ばんえつ物語」の専用客車が上越線の高崎-水上間を走行するということを知りました。これならば日帰りでも乗車できるということで、「SLみなかみ物語」に乗車する乗り鉄旅を計画しました。その旅行行程は、次のとおりです。

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 「SLみなかみ物語」の高崎駅発車は9時台であるため、在来線の普通列車でゆっくり移動していては間に合いません。そこで、豊橋から高崎までは新幹線を利用することにしました。旅のメインはもちろん「SLみなかみ物語」ですが、東京から高崎までの上越新幹線区間では、まだ乗車したことがないE7(W7)系新幹線にも乗車することにしました。

 水上からの帰路は、往路とは異なり、在来線の普通列車と快速列車を乗り継いで豊橋まで戻ります。水上から豊橋までは450km以上の距離がありますが、乗り換え回数はそれほど多くはありません。高崎から小田原までは湘南新宿ラインで一気に移動できますが、この列車だけでも3時間乗車することになるため、グリーン車を利用しようと思います。

 また、乗車券について、豊橋-水上の往復乗車券でもよかったのですが、きっぷ鉄でもある僕としては、普段利用しない企画乗車券も利用してみようと思い、あえて複数の企画乗車券を組み合わせて利用することにしました。

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 豊橋からは「ひかり500号」で終点の東京まで向かいます。ちなみに僕は、東京に住む友人Dに会いに行く時には、ほぼ毎回「ひかり500号」を利用しています。その際は「日帰り 1day 東京」というJR東海ツアーズの旅行商品を利用することが多く、必然的に指定席を利用していますが、今回は自由席で十分だろうと思い、事前に回数券のばら売りを買っておきました。

 しかし、当日の朝に豊橋駅の新幹線ホームに着いてビックリです。1号車から5号車までの自由席を利用する乗客が長蛇の列となっています。名古屋発だから自由席でも大丈夫だろうという僕の考えは見事に外れ、大混雑の予感です。これは着席できないかなと最悪の事態を覚悟しましたが、車内に入り、通路側にあった空席1席をうまい具合に確保できました。列に並んでいる時に僕のすぐ後ろにいた人は、空席がなく着席できなかったようです。本当に超ラッキーでした。11月の行楽日和の土休日を甘く見てはいけないと、大変、勉強になりました。

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はくたか号のW7系高崎駅 2016/11/19

 東京からは、上越新幹線に乗り換えます。高崎まで乗車するのであれば、「とき」でも「たにがわ」でもいいのですが、今回はE7(W7)系新幹線すべく、金沢行の「はくたか555号」に乗車します。E7(W7)系新幹線は、北陸新幹線用に使用されている車両で、E7系JR東日本W7系JR西日本の車両となっていますが、車両そのものに差異はありません。僕が乗車する車両は、JR西日本W7系の方でした。アイボリーホワイトベースの車体色にあしらわれた空色のカラーリングと銅色のラインがとても似合っていて、他の新幹線と比べると、全体的なデザインの印象から、「和」の雰囲気が感じられます。

 そして、E7(W7)系新幹線と言えば、E5系新幹線に引き続き、グランクラス車両が導入されたことでも有名です。僕にとっては、新幹線のグリーン車でも十分に上級クラスだと思うのですが、さらにその上をいく車内設備とサービスが提供されるようです。ホームからグランクラス車両の中をちらりと見ましたが、やはり豪華です。もはや新幹線の車内というよりも、“走る高級ラウンジ”といった印象です。1両にわずか18席しかない特別な空間ということで、なかなか普段使いできるものではありませんが、機会があれば、一度は乗ってみたいものです。

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 東京駅では「休日おでかけパス」を購入しました。このきっぷの高崎線内のフリーエリア区間は、神保原までとなっています。今回は高崎まで乗車したいので、フリーエリア外となる神保原-高崎間の普通乗車券もあわせて購入しておきました。新幹線に乗車する場合、上越新幹線のフリーエリア区間外となる本庄早稲田-高崎間の乗車券が必要かと思ってしまいましたが、神保原-高崎間の乗車券で大丈夫のようです。なお、「はくたか」号に乗車する特急券も、「えきねっと」で事前に予約しておいたものを受け取りました。

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 高崎には、予定どおり到着しました。ここから更に水上まで行くのですが、高崎から先の乗車券はまだ買っていません。今回は「ぐんまワンデー世界遺産パス」という企画乗車券を購入することにしました。この乗車券があれば、上越線の土合まで乗り降り自由です(といっても、僕は水上までの単なる往復利用ですが…)。また、高崎線区間では、深谷から利用することができます。「休日おでかけパス」と一部区間が重複しているため、「ぐんまワンデー世界遺産パス」を東京駅で購入することができれば、神保原-高崎間の普通乗車券を購入する必要はなかったのですが、発売箇所が限定されており、フリーエリア内の駅(深谷以北の駅)でないと購入することができないため、やむを得ず高崎到着後に購入したものです。

 高崎からは、いよいよ「SLみなかみ物語」に乗車する訳ですが、まずは車内で食べる駅弁を購入します。 SLの列車内で食べる機会はなかなかないため、SLにちなんで「SLロクイチ物語」というお弁当にしました。

 ホームに行くと、これから「SLみなかみ物語」に乗車する人や写真撮影の人が大勢おり、僕も期待が高まってきました。ちなみに今日の牽引機は、D51蒸気機関車(通称デゴイチ)です。国内で動態保存されているSLは数えるほどしかありませんが、特にデゴイチは、高崎の498号機と京都の200号機の2両だけのはずです。

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SLみなかみ物語を牽引するD51蒸気機関車渋川駅 2016/11/19

 しばらくホームで待っていると、「ばんえつ物語」用客車を従えたD51蒸気機関車が入線してきました。やはり最近の電車や新幹線にはない貫禄というか、威厳が感じられます。 SLに乗車するのは久しぶりですが、煙突から流れ出る白い煙や機関車本体から伝わってくる熱気、石炭を燃やした独特の匂いなどは、蒸気機関車ならではのものです。両親に連れられた小さな子供は、蒸気機関車が放った大きな汽笛に驚いてビックリしていました。最近の電車しか知らない子供にとっては、真っ黒で大きな図体の本物の蒸気機関車は、ちょっとおっかない存在かもしれません。

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 そして、ついに念願の「ばんえつ物語」用客車のグリーン車に乗車しました。事前に想像していたとおり、ゆったりした車内です。感覚的には、新幹線のグリーン席のようです。E231系E233系など首都圏の普通列車グリーン車よりも、遥かに高いグレードです。普通車のボックス席と異なり、グリーン席の窓は開けることができませんが、それでも煙の匂いや汽笛の音が心地よく感じられます。パノラマ展望室は、グリーン車の乗客専用ということで混雑することがなく、走行中の蒸気機関車を直後から眺めることができました。約2時間の乗車時間は、本当にあっという間に過ぎてしまいました。

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 高崎駅では、入線から発車までの間に写真撮影する方があまりに人が多く、D51蒸気機関車をゆっくり撮影することができなかったため、途中の渋川駅での停車時間中に、あらためて機関車と客車の写真撮影をしました。今回は、残念ながらあまり天気に恵まれませんでしたが、また機会を見つけて他路線の蒸気機関車にも乗車してみたいです。

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 車内販売でピンバッジを購入した際に「購入証明証」をいただきました。観光列車の車内に「乗車記念証」が備えてあることはよくありますが、「購入証明証」というのは初めてです。運転日と運行ダイヤが書かれており、いい記念になります。

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 「SLみなかみ物語」には、希望どおりにグリーン車に乗車することができましたが、グリーン席はわずか30席しかなく、しかも、年に1度あるかないかの首都圏での運行ということで、グリーン券の争奪戦は避けられない状態でした。僕は、乗車日1か月前の“10時打ち”で何とかグリーン券を確保しましたが、相当の競争率だったのではないかと思います。今回は運よく、第一希望どおりに窓側の1人掛けを確保することに成功しました。これには、旅行センターの方に感謝するしかありません。

 ちなみに「SLみなかみ物語」は快速列車扱いのため、普通列車用グリーン券となります。グリーン料金は980円ですが、普通車であっても指定席料金520円が必要となりますので、その差額はわずか460円です。この差額であれば、グリーン車を利用する価値は十分にあると思います。

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 帰路は、旅行行程にあるとおり、ひたすら在来線の普通列車と快速列車の乗継旅となります。水上から高崎まで戻り、高崎から湘南新宿ラインの小田原行に乗車しました。先にお話ししたとおり、熱海までグリーン車を利用します。これだけの距離・時間を移動するのであれば、普通列車グリーン車のグリーン料金780円も、決して高くはありません。小田原から熱海は普通乗車券で移動し、熱海では「休日乗り放題きっぷ」を購入します。価格は2,670円なので、単純に熱海-豊橋間を片道で利用する場合でも、普通運賃より少しだけ割安になります。途中の沼津からは、定番の「ホームライナー浜松3号」を利用しました。

 今回は、こうしたバラエティに富んだ列車に乗車することができました。正直に言って、帰路はちょっとお疲れモードでしたが、久々に在来線で長距離を移動することができ、僕としては大満足の乗り鉄旅でした。