レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

「ウエストエクスプレス銀河」に乗車する出雲乗り鉄旅(1)

 思い返せば1か月前の6月21日午前9時30分頃、僕はJR線のとある駅にいました。乗ヲタが朝10時前に駅に出向く理由と言えば、やはり“10時打ち”でしょう。僕も“10時打ち”をお願いすべく、JR全線きっぷうりば(みどりの窓口)に向かいました。狙うのは、7月21日の京都発出雲市行き「ウエストエクスプレス銀河」の指定券です。それも1編成に8区間分しかないファーストシートです。2020年9月の運行開始当初から、「ウエストエクスプレス銀河」に乗車してみたいと思っていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響や家庭の事情もあり、なかなか思うように計画を進めることができませんでした。タイミングを見ながら日本旅行の旅行商品を購入しようと抽選申し込みに何度か参加しましたが、残念ながら当選することはありませんでした。さらに今年3月には、一部の出発日に限って窓口で指定券が発売されることになったため、この機会に乗車しようと発売開始日である1か月前から準備を整え、「e5489」や駅の窓口でも購入を試みましたが、いずれも『失敗』に終わっています😰。

 そうした中、JR西日本は5月24日、山陰コースの7・8月出発分について、指定券を再び窓口発売することを発表しました。前回の窓口発売は限られた日数分であった上、「ウエストエクスプレス銀河」にとって初めての窓口発売となったことから激戦となりましたが、今回は前回よりも多くの日数分が設定されており、指定券を購入できるチャンスが拡大されます。しかし、新型コロナウイルス感染症の5類移行後初の夏休み期間ということもあり、今回も簡単に指定券を購入することはできそうにありません。そこで、これまでの反省点を踏まえて次の作戦で挑むことにしました。

【その1】プレミアルームは諦めてファーストシートに絞る。
 前回の窓口発売時には、「プレミアルーム」を第一希望とし、「ファーストシート」を第二希望として“10時打ち”をお願いしていましたが、そもそも1人用個室であるプレミアルームは1室しかないため、宝くじで当選するような相当の強運がなければ指定券を確保することができません。また、ファーストシートも人気が高く発売直後に完売してしまうため、確保するためにはやはり10時ちょうどに端末を操作してもらう必要があります。プレミアルームを第一希望としたままではファーストシートの“10時打ち”が遅れてしまい、結局は両方とも失敗に終わってしまう可能性が高いことから、今回はこのリスクを回避するよう「ファーストシート」に絞って“10時打ち”をお願いすることにしました。

【その2】なるべく早めに窓口に出向く。
 前回の窓口発売時には、仕事の合間に出向いたため、きっぷうりばへの到着が9時45分くらいになってしまいました。その際、すでに別の“10時打ち”を待つ先客がおり、結局は1番目に端末を操作してもらうことができませんでした。これについては運もあるかと思いますが、他の“10時打ち”の方に先を越されないよう、少なくとも30分前には窓口に出向くことにしました。

 予定どおり早めに窓口に到着し、申込書を窓口の駅員さんに渡しました。9時55分くらいにもう一度窓口に来るようにとのことだったので、ちょっと時間をあけて再び窓口に出向きました。この日の窓口は閑散としており、窓口の方は早々とマルス端末への入力を終え、あとは発券ボタンを押すのみとなりました。そしてきっぷうりばでは時報の放送が流れ始めました。僕も緊張していましたが、窓口の方も緊張した面持ちでした。そして10時ちょうどにボタン操作を行っていただくと……
 見事に希望のファーストシートの指定券を確保することができました。僕が嬉しかったのは当然ですが、マルス端末を操作されていた窓口の方もホッとしているようでした。やはり駅員さんとしても、“10時打ち”の成績は気にされるのでしょうかね? 

 何はともあれ、これでやっと念願だった「ウエストエクスプレス銀河」に乗車することができることになったというわけです。今回お世話になった駅員さんには感謝しかありません。ありがとうございました🙇。

 指定券を確保してからの1か月間、待ち遠しくて長かったような気もしますし、ウキウキしながらあっという間だったような気もしますが、いよいよ出発日当日となりました。まずは無事に当日を迎えることができたことに一安心です。最近は北陸や秋田など、各地で大雨が相次ぎ、列車が大幅に遅延したり運休となることもあり、数週間前には「ウエストエクスプレス銀河」も米子-出雲市間で区間運休になったことがあったため、当日の天候がどうなるか気になっていましたが、なんとか晴天の中で当日を迎えることができました。今回もいい旅になりそうな予感がします。

 それでは早速、今回の「ウエストエクスプレス銀河」の乗り鉄旅を紹介していきたいと思います。

 

 

名古屋駅から新幹線に乗車

 「ウエストエクスプレス銀河」の始発は京都です。大阪など途中駅から乗車することも可能ですが、今回は少しでも長く「ウエストエクスプレス銀河」に乗車できるよう、始発の京都から終点の出雲市までを通して乗車することにしました。ということで、まずは京都駅に向かいます。名古屋から京都までであれば、在来線でも十分に移動可能ですし、この時期には「青春18きっぷ」を利用することも可能ですが、初めて「ウエストエクスプレス銀河」に乗車する旅ということで、ケチることなく新幹線を利用することにしました。

 旅のスタートの記録として、桜通口側のセントラルタワーズをパシャリ📸

 「ウエストエクスプレス銀河」の京都駅発車時刻は21時15分で、時間には余裕があるため、名古屋からは「こだま」号で京都に向かいます。ちなみに名古屋から新大阪に向かう「こだま」号は、基本的に1時間当たり1本ですが、夕方から夜にかけては運行されていない時間帯があるんですね。今回初めて気付きました。

東海道新幹線で活躍しているN700:名古屋駅 2023/7/21

 そして東海道新幹線では、約20年にわたって親しまれてきたJR東海所有車両の車内チャイムが「AMBITIOUS JAPAN!」から「会いにいこう」に変更されることになり、7月21日がその初日となります。JR西日本が所有する車両では引き続き「いい日旅立ち・西へ」が使用されるため、新しい車内チャイムを体験するにはJR東海の車両に乗車する必要があります。しかし、充当される車両がJR東海車かJR西日本車であるかは乗車してみるまで分かりません。JR東海車に乗車できるといいなと思いながらホームで入線を待っていると、期待どおりJR東海車がやってきました😊。

 これまで「AMBITIOUS JAPAN!」の車内チャイムをずっと聴いてきたので、新しい車内チャイムを初めて聴いた瞬間は「?」って感じでした。確かに「会いにいこう」だと感じられるのですが、どの部分のメロディーをアレンジしたものなのか、数回聴いただけではよく分かりませんでした。まあ、これから何度も聴く機会があると思いますので、いずれは分かるんじゃないかと思います。

 

京都駅に到着

 京都駅に到着しました。これまでの乗り鉄旅でも何度か京都を訪れていますが、東海道新幹線を利用して京都駅で下車したのは久しぶりです。この時間帯の京都駅を眺めるのも数年ぶりです。

 京都駅では、ちょっと早めの夕食タイムです。京都駅の南北自由通路にある階段下(新幹線中央乗換口横)にスパイシーマサラというカレー専門店があります。このお店には、新幹線の食堂車で提供されていたカレーを復刻した、その名も「新幹線懐かしの食堂車プレミアムビーフカレー」というメニューがあるとのことです。鉄道ファンとして一度は味わってみたいと思い、今回はここで夕食をいただくことにしました。

 ですが、すでに売り切れとなっていました😓。残念です。仕方ないので今回はごろごろ野菜カレーをいただきました。パプリカ、ピクルス、ヤングコーンなどの夏野菜だけでなくレンコンやサツマイモも添えられており、見た目にもきれいなカレーです。僕にとってはちょっと辛め🌶でした。

 お腹がいっぱいになったところで、今度は入浴です。サンライズエクスプレスと異なり、「ウエストエクスプレス銀河」の車内にはシャワー設備がありません。以前は、京都タワーに入浴施設があったのですが、数年前に営業を終了してしまいました。京都タワーは駅から至近距離なので、ここに入浴施設があると便利なんですけどね。これまた残念です。やはり新型コロナによる利用客減少の影響なんでしょうか? 今回は駅から少し歩いて、東本願寺付近にあるホテルの日帰り入浴を利用しました。

 今日一日の汗をしっかり洗い流し、さっぱりして京都駅に戻って来ました。まだ発車時刻までには余裕がありましたが、待ちきれない気持ちになり早めに改札を入りました。そして「ウエストエクスプレス銀河」が発車する31番線ホームに向かいます。

 

京都駅から「ウエストエクスプレス銀河」に乗車

 すべての準備を整えて、ついに待望の「ウエストエクスプレス銀河」に乗車するわけですが、ここで「ウエストエクスプレス銀河」の基本情報をおさらいしておきたいと思います。

 まず「ウエストエクスプレス銀河」に使用される車両ですが、かつて名古屋地区や京阪神地区の新快速などで使用されていた117系6両編成を種車として改造された列車が使用されています。「銀河」という愛称からは、かつて東京ー大阪間で運行されていた寝台急行「銀河」を連想する人も多いと思いますが、寝台急行「銀河」で使用されていた24系25型の客車(いわゆるブルートレイン)を彷彿とさせる瑠璃紺色で塗装された外観が印象的な車両です。改造に際しては、一部の乗降扉や側窓が塞がれるなどしていますが、先頭車両の運転席周りは種車の姿のままで、通勤型(近郊型)車両として活躍していた当時の117系の面影が残されています。

 117系と言えば、少し前までは草津線などでも運行されていましたが、京都地区からはすでに引退しており、岡山地区でも新型車両の導入によって7月21日に運行を終えてしまったため、今後117系に乗車する機会は「ウエストエクスプレス銀河」のみとなってしまいました。

 次に「ウエストエクスプレス銀河」の運行ですが、主に次の3つのルートがあります。

  1. 山陰ルート まず1つ目は、今回僕が乗車する山陰ルートで、運転区間は京都―出雲市間です。往復とも夜行特急列車として運行されます。本年は4月3日から8月10日までの期間で運転日が設定されています。
  2. 山陽ルート 2つ目は山陽ルートで、大阪ー下関間を結びます。3つのルートのうち最も長距離となるルートでもあり、過去には冬季期間に運転日が設定されましたが、今年は8月下旬に限り団体専用列車として運転されるようです。過去の運行ダイヤを見ると、往復とも昼行特急列車として運行されました。
  3. 紀南ルート そして3つ目は紀南ルートで、京都-新宮間を走ります。2021年5月に追加されたルートで、京都発は夜行特急列車として、新宮発は昼行特急列車として運行されます。今年も9月以降にこのルートでの運転が行われることが発表されています。

 そして運転日についてですが、「ウエストエクスプレス銀河」の専用車両は1編成しかないため、期間中に週2往復程度が設定されています。今期の山陰ルートについては、毎週水曜日と土曜日に上り(出雲市→京都)、金曜日と月曜日に下り(京都→出雲市)が運転されます(ゴールデンウイーク等の一部期間を除く)。山陰ルートでは、上り下りとも夜行特急列車として運転されるため、週末(土日)にまたがって乗車できる金曜日の京都発と、土曜日の出雲市発が特に人気のようです。

 そして今回僕が乗車するのは金曜日の京都発で、出雲市までの運行ダイヤは次のとおりです。なお、同じ下り列車でも金曜日発と月曜日発とでは、一部の途中停車駅での発着時間が異なっているようです。

 「ウエストエクスプレス銀河」の概要はこのくらいにして、話を今回の乗り鉄旅に戻します。

京都駅

 京都駅の31番線付近には、僕と同じように「ウエストエクスプレス銀河」に乗車するであろう方々が次々と集まってきます。と言っても、全車指定席で座席数も限られているため、大混雑といった感じではありません。30番線と31番線の発車標に列車名が表示されると、「ウエストエクスプレス銀河」の映像がモニター部にも映し出され、否が応でも乗車気分が高まってきます。

 しばらくすると入線を知らせる案内放送が流れ、ついに117系7000番台「ウエストエクスプレス銀河」が姿を見せました。早速、ホームから「ウエストエクスプレス銀河」を撮影します。

発車を待つ117系7000番台「ウエストエクスプレス銀河」:京都駅 2023/7/21

 発車前の時間を利用して先頭車両を撮影してみましたが、照明の関係からか、瑠璃紺色の車体がうまく撮影できませんでした。暗すぎます😰。そうこうしているうちに「ウエストエクスプレス銀河」は出発時刻を迎えてました。ここから終点の出雲市駅まで約12時間の旅が始まります。

 京都駅を出発すると、列車は次の停車駅である新大阪駅に向かって東海道本線を西に進みます。途中駅では運転停車があり、後続の「サンダーバード」号に追い越されますが、面白いことに、新快速にも追い越されました。「ウエストエクスプレス銀河」は『特に急がない特急』なのです。

新大阪駅

 新大阪駅では、約10分停車します。京都駅の発車前には、上手く撮影できませんでしたが、新大阪駅のホームは全体的に明るく、この停車時間を利用して先頭車両を撮影することができました。

 新大阪を出発すると、大阪、三ノ宮、神戸、西明石と主要駅に次々に停車していきます。次の姫路駅に到着するには23時48分で、約1時間停車します。姫路駅では、6番線ホームにあるそば屋さんが「ウエストエクスプレス銀河」の乗客のために特別に営業しており、停車時間を利用して名物のえきそばをいただくことができます。僕はと言えば、あまりこの時間に食事をする気分にはなれませんでしたので、今回は遠慮しました。今さら気がついたのですが、姫路駅では写真を撮影するのを忘れていました😓。

 姫路駅を発車すると、次の停車駅は伯備線生山駅で、翌朝6時2分の到着まで扉扱いはありません。ここからは深夜帯になるため、車内は減灯され、車掌さんによる案内放送も翌朝までお休みとなります。僕もベッドの準備をしてゴロンと横になりました。

 実は乗車前、「ウエストエクスプレス銀河」の車内でもしっかりと寝ることを楽しみにしていたのですが、実際に乗車してみると、なぜだかあまり寝付けません。サンライズエクスプレスなどと比べると走行音や振動音が気になるというのもありますが、僕は周囲が真っ暗でないと寝付けないタイプなので、通路の照明が気になって仕方ありません。ベッドの上でゴロゴロしており、寝たか寝ていないか自分でもどっちなのか分からないまま結局、朝を迎えてしまい、時計を見ると5時30分くらいだったため、少し早いですが、顔を洗ったり着替えを済ませて身支度を整えました。

生山駅

 上の写真は生山駅で撮影したものです。似たような写真を撮影し過ぎですね😅。分かってはいるんですが、旅の記念にとついつい停車駅ごとに撮影してしまいます。やはり夜間よりも日中の方がキレイに撮影できます。

 生山駅鳥取県日南町にある駅で、特急「やくも」の約半数が停車します。ホーム上では、地元産のトマトを使用したトマトジュースなどが販売されていました。僕は特にトマトが苦手ではありませんが、なぜか昔からトマトジュースが大の苦手です。約6時間ぶりの停車駅ということで、列車から多くの乗客が下車していました。また、記念品として「生山駅上石見駅100周年記念ポストカード」や「ウエストエクスプレス銀河」とヒメボタルが描かれた缶バッチなどをいただきました。記念ポストカードには、生山駅とその隣の上石見駅の新旧駅舎が描かれていました。

米子駅

 次の写真は米子駅です。米子駅は、鳥取県鳥取市に次ぐ2番目の都市である米子市の中心駅で、特急列車を含むすべての列車が停車します。米子駅でも地元産の特産品の販売が行われており、米子武者隊のお出迎えや「ウエストエクスプレス銀河」の大きな横断幕での歓迎もあり、ホーム上では多くの方が記念写真を撮影していました。

松江駅

 列車はいよいよ島根県に入り、安来駅に停車した後、松江駅に停車します。松江駅では約12分停車しますが、生山駅米子駅のような特産品の販売は行われていないようです。まつえ若武者隊のメンバーの方によるお出迎えがありました。

 

 各駅での趣向を凝らしたお出迎えも貴重な経験といえますが、山陰本線沿線の朝の車窓を何も考えずにぼーっと眺めるのも、実に心地よいものです。人間は意図的に何か活動している時よりも、何もせずに心穏やかに過ごしている時の方が、実は高い満足感が得られるのかもしれません。何にも拘らず、何にも縛られずにこんな時間がずーっと続けばいいのですが、現実はなかなか希望どおりには進まないものです。

 

記念乗車証の紹介

 さて、乗車中には、大阪車掌区さんと米子車掌区さんが作成した記念乗車証をいただきましたので、ここで紹介します。


 続いて車内の様子もお伝えさせていただきますが、ちょっと記事が長くなってきましたので、次の記事で紹介しますね。

>>(2)に続く

HC85系「南紀」に乗車する紀伊勝浦往復乗り鉄旅

 今年も後半に入り、ついに夏がやってきました。「8月に向けて少しずつ暑さが増してくるだろうな〜」と思いきや、真夏日や熱帯夜となる日もあるなど、すでに本格的な夏の陽気となっています。毎年いつも思うことですが、今年の暑さも容赦ありません。今期も例年どおり、夏の乗り鉄旅を楽しんでいきたいと思っていますが、暑さに負けて体調を崩してしまっては元も子もありません。日中はしっかりと水分補給するなどして、熱中症には十分気をつけていきたいと思っています。

 さて、話はがらりと変わりますが、最近、ふと気になったことがあります。それは『名古屋駅から定期列車に乗車して一度も乗り換えることなく到達することができる駅が所在する都道府県って、どのくらいあるのか?』という疑問です。実際はどうなのでしょうか。ちょっと調べてみました。

 上の地図で色塗りした箇所が該当する都府県です。東海道・山陽新幹線に乗車すれば、東京ー福岡間の各都府県を乗り換えなしに訪問することができます。在来線に乗車した場合、東海道本線上り列車では朝と夜に浜松行きがあるため、静岡県まで行くことはできますが、神奈川県や東京都に行くには乗り換えが必要となります。反対の下り列車では米原行きがあるため、滋賀県まで行くことはできますが、京都府大阪府に直通する列車はありません(以前は大阪発着の「しなの」がありましたが、2016年3月のダイヤ改正で運転取り止めとなってしまいました)。

 その他の路線では、中央西線篠ノ井線信越本線を走る「しなの」に乗車することで長野県に、高山本線を走る「ひだ」に乗車することで富山県に、そして北陸本線を走る「しらさぎ」に乗車することで福井県と石川県に、それぞれ訪れることができます。また、見落としがちですが、紀勢本線を走る「南紀」に乗車すれば、三重県だけでなく和歌山県内にも足を踏み入れることができ、愛知県を含めて合計19都府県に行くことができると分かりました。計算上では、47都道府県の約4割をカバーしているということで、思ったよりも多いなというのが正直な感想です。

 しかし、ブルートレインに代表される夜行列車の全盛期には、長崎行の「さくら」、西鹿児島(現鹿児島中央)行の「はやぶさ」、熊本行の「みずほ」、宮崎行の「富士」といった列車があり、名古屋駅からこれらの列車に乗車すれば、乗り換えなしに九州各地を訪れることができた訳ですから、こうした列車の廃止は、人々の行動様式さらには日本の公共交通機関全体に大きな影響を与えるものであったことを、今更ながら実感したところです。

 さて、ここからが本題となりますが、例によって今回も、名古屋駅を発着する列車に乗車して日帰り旅行に出かけることにしました。先述のとおり、名古屋駅から乗り換えなしに到達できる都府県は19ありますが、その中から今回は和歌山県那智勝浦町にある紀伊勝浦までを往復する旅に行ってきました。利用する列車はもちろん特急「南紀」です。「南紀」は過去の乗り鉄旅でも利用していますが、紀伊勝浦発着で乗車したことはありません。今回は「南紀」の全区間に乗車することとし、終点の紀伊勝浦からは世界遺産である熊野那智大社に行ってみることにしました。僕の乗り鉄旅では、久しぶりの和歌山県訪問となります。

 

 

名古屋駅から特急南紀に乗車

 特急「南紀」の始発駅である名古屋駅に来ました。「南紀」に使用される車両は先月末まではキハ85系でしたが、7月1日からはHC85系に置き換えられました。置き換え直後ということもあり、名古屋駅のコンコース内通路には、HC85系をPRするポスターがこれでもかというほど掲出されています。

 名古屋方面から新宮・紀伊勝浦方面までおトクに「南紀」に乗車できる「南紀熊野古道フリーきっぷ」も大きく宣伝されていました。

南紀号で使用されているHC85系:名古屋駅 2023/7/4

 今回乗車するのは「南紀」1号で、名古屋駅の12番線から発車します。

 ちなみにHC85系のデビューは昨年7月で、当初は一部の「ひだ」で運行を開始しました。その後、徐々にキハ85系「ひだ」を置き換えていき、今年3月のダイヤ改正で定期運行されるすべての「ひだ」がHC85系になったところです。「ひだ」は約9か月かけて置き換えを進めていきましたが、「南紀」の場合は一斉にHC85系となりました。

 HC85系の編成には大きく分けて3つのパターンがあり、4両のグリーン車あり編成とグリーン車なし編成、2両のグリーン車なし編成となっています。「南紀」にはグリーン車の設定がないため、4両グリーン車ありの編成が充当されることはなく、基本的には2両編成のHC85系が使用されることになりますが、今回乗車したのは4両グリーン車なしの編成でした。「南紀」としてデビュー間もないということもあり、多客にも対応できるよう4両編成での運行になったのだと思います。1号車のみ自由席で、2号車から4号車までが指定席でした。今日は平日ということで全体的に乗客はまばらで、正直、2両編成でも十分なくらいでした(僕が乗車した4号車も乗客は10人前後でした)。

 よく考えてみると、「南紀」以外にも、名古屋や桑名、四日市から津、松阪に行くには近鉄がありますし、名古屋から新宮までは高速バスもあります。特に高速バスは「南紀」にとって強力なライバルで、「南紀」の普通車指定席を利用した場合のねだんが7,530円(通常期)であるのに対し、三重交通の高速バスは4,200円で、3,000円以上の開きがあります。もちろん所要時間の面では「南紀」の方が優位ですが、これだけねだんに差があると、利用者の一部は高速バスに奪われているものと考えられます。快適な新型車両の投入で「南紀」による“巻き返し”が図られるのか、注目されるところです。

 上の写真は、三瀬谷駅での停車中に撮影したものです。名古屋駅と異なりホーム上に屋根がないため、きれいな青空の下で輝くHC85系を撮影することができました。ちなみに三瀬谷駅は、すべての「南紀」が停車する駅の一つでありながら無人駅となっています。

 三瀬谷駅の次は、紀伊長島駅に停車します。紀伊長島駅では名古屋行の「南紀」4号との行き違いのため、約6分間停車します。この時間を利用して跨線橋の上から駅の全景と停車中のHC85系を撮影することができました。以前公開された『君の名は。』という映画の中に、高山本線の飛騨古川駅が描かれたシーンがあり、鉄道ファンのみならず一般の方にも注目を集めてましたが、今回はそのイメージに重なるような、のどかな雰囲気を写真に収めることができたと思います。

 「南紀」の車内からは、穏やかな海と緑の木々が美しい山々を眺めることができ、車窓に飽きることはありません。こうした風景をゆったり眺めることができるのも、列車旅の大きな魅力の一つだと思います。

 熊野川を渡ると、いよいよ和歌山県に入ります。今日は空色も水色もとてもきれいです。やはり晴天は気持ちいいですね。

 

紀伊勝浦駅に到着

 名古屋駅から「南紀」に乗車すること約3時間50分、終点の紀伊勝浦駅に到着しました。過去に紀勢本線のほぼ全線を乗り尽くす旅をしていますが、その際は新宮駅から特急「くろしお」に乗車したため、紀伊勝浦駅で下車するのは初めてです。降り立った記念に駅舎をパシャリ📸

 駅前には、勝浦温泉と記された石碑と、温泉地でよく見かけるアーチ型の大型看板などがあります。また、那智と言えば那智黒という黒飴が有名で、『那智黒』と書かれたキラキラの看板も目に飛び込んで来ました。ちょっとレトロで懐かしい雰囲気が旅行気分を盛り上げてくれます。

 「南紀」の紀伊勝浦到着は11時56分で、ちょうど昼食にいい時間になったので、ここで昼食をいただいてから、今回の目的地である熊野那智大社に向かうバスに乗車することにしました。

 

お食事処 川柳で鉄火丼

 せっかくの機会なので、那智勝浦らしいものをいただこうと思い調べてみると、やはりマグロ料理が多いようです。ネット情報によると、勝浦漁港は、延縄漁法による生鮮まぐろの水揚げが日本一なんだそうです。ならば駅近くにある飲食店で美味しいマグロを食べてみようということで、今回はお食事処 川柳さんに立ち寄りました。

 昭和テイストの趣きのある店構えです。なお、川柳さんは、紀伊勝浦駅で販売する駅弁を製造しているお店でもあります(僕が探した限りでは、駅構内に駅弁を販売する売店はなかったように思いますが、僕が見落としていたのかもしれません)。川柳さんが製造する「鮪素停育(鮪ステーキ)弁当」は紀伊勝浦駅の名物駅弁なんだそうです。今回は駅弁ではなく、店内で食事させていただくため、お店イチオシの鉄火丼をいただきました。マグロの赤身はモチモチしていて柔らかく、癖のない味で食べやすかったです。やはり地元の名物にハズレはありませんね😊

 

熊野那智大社を訪問

 お腹を満たしたところで、ここからは路線バスに乗車して熊野那智大社に向かいます。熊野那智大社は、熊野本宮大社、熊野速玉大社と並ぶ熊野三山の一社であり、全国各地にある熊野神社の御本社でもある由緒ある社です。今回の旅では、熊野那智大社の御本殿のほか、別宮である飛瀧神社那智御瀧(俗に言う「那智の滝」)、朱塗りが美しい青岸渡寺の三重塔も見学することにしました。

龍神社と那智御瀧

 路線バスに乗車してまず訪れたのは、飛瀧神社那智御瀧です。もう神社に入る前から厳かで神々しい独特な雰囲気が伝わってきます。

 鳥居をくぐると、すでに大量の水が勢いよく滝壺に落ちる激しい音が聞こえてきます。道なりに石畳を進むと、程なくして正面に落差133mという巨大な滝が見えてきました。これがあの有名な御滝です。こんな立派な滝を見るのは初めてです。本当に圧倒されるような存在感です。ちなみにこの御滝は、日光にある華厳の滝、奥久慈の袋田の滝とあわせて日本三名瀑に数えられています。

 また、熊野那智大社の別宮である飛瀧神社は、御滝そのものを御神体として祀っているそうです。社務所付近から眺める御滝の姿も素晴らしいのですが、別に料金を支払えば、より近くにある観覧舞台から御滝を拝観することができます。せっかくここまで来たので、僕も観覧舞台から拝観してみました。

 御滝に近づくと、さらにその迫力が増してきます。自然の雄大さを感じながら、心が洗われるような清々しい気分に浸ることができました。

青岸渡寺 三重塔

 那智御瀧を拝観した後は、青岸渡寺の三重塔を訪れることにしました。手持ちの社殿案内図を見るとそれほど距離は離れておらず、徒歩でも余裕だろうと思って街道沿いにあった階段を登り始めたところ、なかなか辿り着きません😰。石階段で足場も悪く、大きな段差が連続する箇所もあり、途中で心が折れかけました。強い陽射しの中で汗びっしょりになり、途中で引き返すことも考えましたが、何とか気合いで階段と坂道を登りきると、朱塗りの三重塔が見えてきました。

 正直ここに辿り着くまでにかなりの体力を消耗してしまい、塔に入るのもためらうほどでしたが、せっかくここまで来たのだからと思い直して見学することにしました。嬉しいことに塔内にはエレベーターがあり、楽々と最上階まで移動することができました。ここからも御滝の姿を眺めることができます。

 次はいよいよ、御本殿に向かうのですが、とにかく暑さが尋常ではありません。したたるような汗もすごいのですが、あまりの日差しにフラつくような気がしたため、これはマズいと思い、近くの茶店で少し休憩することにしました。

 茶店では、オススメの「もうで餅と水もうで食べ比べセット」をいただきました。これでクールダウンできそうです。写真では分かりにくいですが、お茶は冷やし抹茶です。かき氷のような強烈な冷たさではないため、身体に優しい感じがします。店員さんがお餅の説明をしてくれましたが、忘れてしまいました😓

熊野那智大社 礼殿

 少し休憩したところで体力を回復し、いよいよ礼殿に向かいます。またまた階段を登ることになりますが、三重塔に行くまでの石階段と比べれば、こちらの方が楽に移動できます。

 途中にはきれいな手水鉢がありました。心癒されます。

 階段を登りきったところで礼殿に辿り着きました。先ほど訪れた青岸渡寺の三重塔もそうですが、朱塗りの礼殿と木々の緑、青空のコントラストが実に美しく、思わず見惚れてしまいます。お祀りされているのは熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ、イザナミノミコト)です。何か日本史の授業で聞いたことがある名前です。

 ここでゆっくりと参拝するのが本来の姿ですが、実は帰りのバスまであまり余裕がありません。その後の予定を考えると、ここでバスを乗り過ごす訳にもいきません。御朱印をいただき、ちょっと焦った気持ちで参拝してしまったためか、何と御本殿を拝観するのを失念してしまいました😓。下調べが十分でなく、経路や所要時間を事前にきちんと調べておかなかったこともミスった原因のひとつだと思います。「後悔先に立たず」という諺にあるとおり、後から後悔しても遅いので、これからはしっかりと調べてから現地に赴きたいと思います。

 急ぎ気味で階段を下りバス停に戻ってきましたが、またまた汗が吹き出してきました。バス停に到着すると発車時刻までまだ4分あったため、近くのお店で思わずソフトクリームを買ってしまいました。

 購入したのは、和歌山県北山村特産の果物「じゃばら」のソースをかけた「じゃばらソフト」です。ちょうど数日前に僕が応援している鉄道系ブロガーの方が「じゃばらウォーター」なる飲み物を紹介しており、どんなものか僕も味わってみたいと思っていたところだったため、「じゃばらソフト」を見つけた瞬間、これをいただくことにしました。柑橘系の果物ということで、すだちのようなさっぱりした味わいでした。

 

那智勝浦駅から特急南紀に乗車

 熊野那智大社のバス停から路線バスに乗車し、再び紀伊勝浦駅に戻ってきました。道中にはカーブの厳しい箇所やアップダウンの激しい箇所があるのですが、往路と復路の運転手さんはともにアグレッシブな運転で、驚くほど上下左右に揺れることがあり、瞬間的に座席からお尻が浮いてしまうほどでした。そのおかげ(?)もあってか、遅れることなく、時間どおりに到着することができました。

 実は当初、熊野那智大社での参拝を終えてから帰路の「南紀」に乗車するまでの時間を利用して、駅近くにある観光桟橋を発着する遊覧船に乗船することを計画していました。そこで駅前でバスを下車するとそのまま観光桟橋に向かったのですが、残念ながら強風のため欠航となっていました。

 予定していた遊覧船に乗船できなくなって現地での時間が余ってしまい、さてどうしたものかと辺りを探していると、「にぎわい広場」という施設の前に無料で利用できる足湯があるのを見つけました。今日は熊野那智大社で思った以上に体力を消耗してしまい、脚も疲れ気味だったので、帰りの「南紀」の発車時刻までこの足湯に浸かって待つことにしました。

 平日ということで、他の利用客もほとんどおらず、気兼ねすることなく足湯を楽しみました。風があったので、濡れた足をそのまま日に当てていると、そのまま乾いて気持ちよかったです。

 脚の疲れを癒し、紀伊勝浦駅に戻ってきました。ここから再び「南紀」に乗車し、名古屋まで帰ります。乗車するのは「南紀」8号で車両はもちろんHC85系です。往路と同じく4両グリーン車なしの編成でした。この時期はまだ日没まで時間があるので、紀伊勝浦駅でもHC85系を撮影することができました。

南紀号で使用されているHC85系:紀伊勝浦駅 2023/7/4

 HC85系に乗車するのは今回が2回目で、昨年7月に乗車した際に車内の座席などを撮影していますが、今回の乗り鉄旅でも撮影してみました。オレンジ色から赤色につながるグラデーションのモケット柄が明るい車内を演出しています。(下の写真は往路の車内で撮影したものです。)

 そしてHC85系のデッキには、高山本線紀勢本線の沿線地域の伝統工芸品を鑑賞できるナノミュージアムというスペースが設置されています。展示されている工芸品は車両ごとに異なっているそうで、どのような工芸品が鑑賞できるのかも、HC85系に乗車する際の楽しみのひとつと言えます。

 帰路の車内ではウトウトしてしまいましたが、「南紀」8号は定刻どおりに名古屋駅に到着しました。今日は往路と復路をあわせて7時間30分ほどHC85系に乗車することができ、また、晴天にも恵まれて初めて熊野那智大社や御滝を参拝することができたため、大満足の乗り鉄旅となりました。

 

乗車券類の紹介

 それでは最後に、今回使用した「南紀熊野古道フリーきっぷ(中辺路コース)」という企画乗車券を紹介します。このきっぷは、名古屋を始め愛知、岐阜、三重県内の主要駅からフリーエリア(熊野市ー紀伊勝浦間)までの往復に特急列車の普通車指定席が利用でき、あわせてフリーエリア内での特急列車や普通列車の普通車自由席が乗り放題となるものです。

 名古屋ー紀伊勝浦間の普通運賃は片道4,590円なので往復だと9,180円ですが、これに対して今回利用した「南紀熊野古道フリーきっぷ(中辺路コース)」は9,970円なので、正規運賃に790円追加するだけで、往復とも「南紀」の普通車指定席が利用できることになります。さらに現地では熊野御坊南海バスもフリー区間で乗り放題となることから、名古屋方面から那智大社や速玉大社、本宮大社を訪れる方にはオススメできるきっぷです。ちなみに乗車日当日でも購入できますので、使い勝手もいいと思います。

 今回の乗り鉄旅の紹介は以上ですが、実は7月中にもうひとつの乗り鉄旅をすでに予定しています。以前から乗車してみたいと思っていた列車の指定券をついに購入することができたため、今からドキドキワクワクしています😊。これについては、次回以降の記事で紹介したいと思いますので、よかったら引き続きお付き合いください。

2つの観光列車に乗車する宗谷本線乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 昨日はホテルドーミーイン稚内で、最上階にある天然温泉 天北の湯を堪能しました。内湯だけかと思っていたら露天風呂もあり、泉質まではよく分かりませんが、大きな湯船の気持ちいいお湯でした。そして入浴後には、無料でいただけるアイスキャンディもしっかりいただき、ゆっくりと休みました。

 そして2日目の朝を迎えました。朝食はバイキング形式となっていますが、ドーミーインには“ご当地メニュー”というものがあり、稚内では海鮮メニューが提供されています。また、小鉢の一品料理も充実しており、いろいろな種類のおかずを少しずつ楽しむことができます。

 盛り付け方がきれいではありませんが、酢飯の上にサーモンやニシンの切り身、ホタテをのせて、さらにその上からイクラをかけてみました。朝食ということで量は少な目にしましたが、食べられる方であれば、大きな茶碗に思いっきりイクラをのせたイクラ丼にすることもできます。小鉢は温泉たまごと松前漬、和え物をチョイスしました。他にもバイキングらしい料理が揃っており、プレートやお皿いっぱいに盛り付けている方も見えました。

 さて、ここから宗谷本線乗り鉄旅の2日目がスタートします。行程的には昨日と同じ線区を反対方向から乗車するものになりますが、昨日は乗車していない観光列車に乗車できるため、非常に楽しみです。それでは、期待の2日目の様子をお伝えしたいと思います。

 

 

稚内駅から急行「花たびそうや」に乗車

 外はあいにくの雨模様☔です😢。今日は場所によって、降ったり止んだりの天気になりそうです。せっかくの乗り鉄旅なので、すっきり晴れ☀てほしいのですが、こればかりはどうしようもありません。今日は稚内から旭川まで急行「花たびそうや」号に乗車します。「花たびそうや」号は人気が高く、指定券も発売直後に完売してしまうほどです。今回は1か月前の指定券発売日に“10時打ち”をしてもらい、何とか指定券を確保することができました。普段なかなか乗車する機会の少ない観光列車に乗車することができるということで、天気に関係なく宗谷本線の乗り鉄旅(復路編)を楽しみたいと思います。

 まず初めに急行「花たびそうや」号の紹介です。「花たびそうや」号はJR北海道が5月中旬から6月上旬にかけて運行する臨時急行列車です(最近のJRで急行という種別はほとんど観光列車ですね)。2020年春に初めて運行されることが発表されましたが、新型コロナウイルス感染症の影響によって指定券発売前に中止が決定され、2021年春も北海道全域を対象にした緊急事態宣言が発出されたことから、直前になって運休となってしまいました。そして迎えた昨年春には、三度目の正直ということで無事に運行されることになり、大変な賑わいをみせたようです。

 僕も以前から「花たびそうや」号のことは知っていましたが、旭川稚内間で運転される列車ということで、簡単に訪れることはできません。そのため、気にはなるものの実際に乗車してみようとは考えていなかったのですが、久しぶりに北海道での乗り鉄旅を楽しみたいという気持ちが高まり、思い切って乗車してみることにしました。

 次に「花たびそうや」号の今年の運転日ですが、5月13日(土)から6月4日(日)までの土日の計8日間で、土曜日には旭川稚内行の下りが、日曜日には稚内旭川行の上りが運転されます。僕が乗車するのは稚内旭川行の上り列車で、その運転時刻は次のとおりです。

 稚内から旭川までの乗車時間は約6時間10分で、かなりの長時間での運行となります。この列車は、宗谷本線の魅力を活かし、沿線自治体の方々と協力しながら運転されるもので、各停車駅ではご当地キャラによるお出迎えや地域の特産品の販売などがあります。そのため、長めの停車時間が確保されていることから、特急列車よりも2時間以上長い時間をかけて宗谷本線を走破します。

「花たびそうや」車両を紹介

 次に、急行「花たびそうや」号の車両を紹介したいと思います。

花たびそうや号で使用されているキハ40形気動車:剣淵駅他 2023/6/4

 「花たびそうや」号はキハ40形気動車4両で運行されています。昨年は3両で運転されていましたが、今年は1両増えて4両となり、座席数も増加しました。車両は「山紫水明」シリーズの2両で「北海道の恵み」シリーズ2両を挟み込むように組成されており、全車指定席ですが、このうち3号車は乗客が自由に利用できるフリースペースとなっていました。

1号車「紫水」号

 上り列車の最後尾は1号車で、車両は「山紫水明」シリーズの「紫水」号です。停車時間を利用して何枚か撮影しましたが、1枚目は稚内駅出発前で、2枚目は和寒駅停車中です。その名のとおり紫色のボディカラーで、車内の座席のモケットにも同じ紫色の柄が使われています。観光列車らしい車内といった感じでした。

2号車「道東 森の恵み」号

 2号車は「北海道の恵み」シリーズの「道東 森の恵み」号です。自然豊かな北海道の地をイメージさせる明るい緑色のボディカラーです。1枚目は士別駅、2枚目はドアカットされている剣淵駅、3枚目は比布駅で撮影しました。車内は「山紫水明」シリーズの車両と同等の設備ですが、座席は柄のない無地のモケットとなっています。

3号車「道北 流氷の恵み」号

 こちらは「北海道の恵み」シリーズの「道北 流氷の恵み」号です。黄色をベースに氷や海を連想させる白色や水色の絵柄が可愛らしい外観です。1枚目は小雨の中を豊富駅で、2枚目は一転して青空の下の比布駅で撮影したものです。車内は他の車両と異なりテーブルが設置されていません。食事などには不便でしょうが、その分だけボックス内が広く見えます。

4号車「山明」号

 旭川方の先頭車両である4号車で、車両は「山紫水明」シリーズの「山明」号です。2号車と比べると深みのある緑色のボディカラーとなっています。1枚目は発車前の稚内駅で、2枚目は幌延駅で撮影しました。「紫水」号と対をなすよう、車内の座席は青緑系統のモケット色となっています。

「花たびそうや」各停車駅でのおもてなし

 「花たびそうや」号は、沿線の魅力を活かした鉄道活性化のシンボルとして運行されており、地域の方々の協力なくして運行できるものではありません。地域に根付いた鉄道路線をこの先も末長く存続させたいと願うのは、沿線自治体として当然のことです。ただし、JR側の事情として、利用者が極端に少ない路線については、その存続意義について議論しなければならないというのも理解できます。こうした立場の異なる両者が力を合わせ、活性化に向けた取り組みとして観光列車を運行するのは、実に素晴らしいことだと思います。

 そのため、沿線自治体の「花たびそうや」号に対する思い入れは強く、各停車駅ではそれぞれの自治体が趣向を凝らしたおもてなしを実施していました。旅の途中で雨足が強まり、傘なしでは車外に出られないような駅もありましたが、いくつかの駅でおもてなしの様子を撮影しましたので紹介したいと思います。

稚内

 稚内駅では、間宮林蔵をモチーフにした「りんぞうくん」と「出汁之介」というゆるキャラが出発を見送ってくれました。「出汁之介」とは、名産の利尻昆布にちなんたキャラクターでしょうかね? 駅長さんと並んだ2人は手旗を持ってくれています。

豊富駅

 南稚内の次の豊富駅では、約10分の停車時間がありました。ホーム上では法被姿の観光協会の方と、ホルスタイン柄の「とよとみくん」が乗客を迎えてくれました。常にニコニコ顔で、サロペットジーンズがポイントですね。

幌延

 幌延駅では、駅の改札を出てみました。天井からは「花たびそうや」のタペストリーが飾られています。幌延はトナカイの里であることをPRしており、ホーム上にはトナカイ観光牧場のキャラクター「ホロベー」がいました。また、駅舎内の待合スペースにはブルーポピーのマスコットである「ブルピー」もいました。どうして「ブルピー」は「ホロベー」と一緒にホーム上に出てこないんだろうと思っていたら、時間差で出てきました。

 そして駅の一端には、本物のトナカイもお出迎えしてくれました。なかなかトナカイを実際に見る機会はなく、僕も初めてのような気がします。脚が細い割には蹄は大きく、立派な角も生えています。でも、「ホロベー」のように鼻は赤くありませんでした。

美深駅

 次に紹介するのは美深駅です。かつてはこの駅から国鉄美幸線(美深⇔仁宇布間)が分岐していましたが、1985年に廃止され、現在はその路線の一部が観光トロッコ用に使われているそうです。

 この駅では、特産品のかぼちゃをイメージした「びふかくん」と「みみちゃん」が仲良く満面の笑みで手旗を振ってくれています。ちなみに「びふかくん」のネクタイと「みみちゃん」のカバンはチョウザメなんだそうです。可愛い2人に癒やされました。

名寄駅

 名寄駅は、全列車が停車する宗谷本線を代表する駅のひとつです。ホームには名寄市観光キャラクターの「なよろう」が待っていました。愛くるしい顔をしているので女の子だと思っていたのですが、名前からすると男の子なのかもしれません。頭には2本の稲穂がデザインされており、おもちと星が大好きなんだそうです。普段は天体観測用に望遠鏡を持っているようですが、今日は「花たびそうや」の手旗を持っての出迎えです。

士別駅

 士別駅では、羊のまち「サフォークランド士別」をPRするゆるキャラ「さほっち」が緑の法被姿で登場です。最初は何の動物だか分かりませんでしたが、サフォーク種という食用羊をイメージしたものだそうです。うーん、羊と言えば、白色の毛に覆われたモコモコの姿を思い浮かべますが、サフォーク羊は黒い顔が特徴だということで、このゆるキャラのとおりです。でも、食用と聞くとちょっと切ない感じもしてしまいます。

比布駅

 お次は比布駅です。北海道にはアイヌ語に由来するちょっと変わった地名がありますが、「ぴっぷ」という読み方もなかなか意表を突かれた感じです。比布駅では、“イチゴがスキーを滑る”という「スノーベリーちゃん」が出迎えてくれました。比布町はスキーの町であると同時に特産品はイチゴで、これらを組み合わせたキャラクターが「スノーベリーちゃん」です。頭のヘタが帽子のようで、真っ赤な顔もよく目立ちます。比布駅は新しいきれいな駅舎で、待合室を兼ねた交流スペースにはカフェカウンターが併設されているそうです。「花たびそうや」の運転日ということもあってか、この日はイチゴを使用したデザートが販売されていました。

旭川駅

 旭川駅では、「花たびそうや」の大きな横断幕で列車の到着を歓迎してくれました。しばらく小さな駅ばかりを見続けてきたので、旭川駅が非常に大きく感じると同時に、何故か「帰ってきたな~」という思いがよぎりました。僕はこの後、札幌行きの特急列車に乗車するため、到着するとすぐに移動してしまいましたが、まだまだ「花たびそうや」との別れを惜しむ方々が記念撮影をしたりしていました。約6時間10分にわたって宗谷本線を走行してくれたキハ40形気動車や、楽しい時間を提供してくれた沿線自治体の方々に感謝しながら、今回の「花たびそうや」での旅を終えることになりました。

本日の昼食は「スタミナステーキ丼」

 時間が前後してしまいますが、今回乗車した「花たびそうや」では、途中停車駅でお弁当の販売がありました。「スタミナステーキ丼」や「野菜パエリア弁当」など、地元産の食材を使ったオリジナル弁当で、事前にインターネットで予約しておけば天塩中川駅停車中にホームで受け取ることができます(実際には予約していなくても購入できる当日分があったようです)。僕も「花たびそうや」に乗車する際の昼食をどうしようかといろいろ考えましたが、せっかくなのでこの弁当を頼んでみようと思い、「スタミナステーキ丼」を注文しておきました。天塩中川駅到着時はかなりの雨でしたが、ダッシュで弁当を受け取りに行き、無事に昼食を確保できました。雨の中で財布を取り出して現金を準備するのは面倒なので、事前に予約しておいて正解でした。

 今回は車内で「スタミナステーキ丼」をいただきます。道の駅なかがわで製造されたもののようです。ご飯の上にカットされたステーキがのせられており、大きなソーセージ2本も隠れています。見た目は茶色っぽくて地味目のお弁当ですが、味はなかなかグッドです。お肉もジューシーで食べ応えがありますが、ソーセージが非常に美味しく、これだけを何本も食べたいくらいです。スパイシーという訳ではなく、ピリ辛でもないのですが、とにかく噛めば噛むほど旨味が広がるような感じで最高の味わいでした。これも「花たびそうや」のいい思い出のひとつです。

乗車券類を紹介

 長々と「花たびそうや」について紹介してきましたが、最後に乗車券類と乗車証明書を紹介します。

 左は稚内旭川の片道乗車券です。出発前には用意していなかったので、前日に稚内駅で購入しました。長距離となるため、思った以上に高額です😅。往路で同区間を「サロベツ」に乗車した際には“えきねっとトクだ値”を利用したため、特急料金込みで4,440円だったものが、復路は片道乗車券だけで5,940円です。往路と復路で完全にねだんが逆転していますが、稚内旭川間の片道で利用できるお得なきっぷ類はないようなので、仕方ないですね。

 車内では乗車証明書をいただきました。プラスチック製のカード型で、これまでになかったタイプの乗車証明書です。これとは別に名刺サイズのカードもいただきました。紙の裏には停車駅ごとの到着時間と発車時間が一覧になって印刷されていました。乗車中に次の駅での停車時間が一目で分かるため、これはなかなか実用的で便利です。

 

旭川駅から特急カムイに乗車

 今回の乗り鉄旅のメインである急行「花たびそうや」での旅を無事に終え、ここからは昨日とは逆の行程で新千歳空港に向かいます。まず旭川から乗車するのは特急「カムイ」号です。往路は「ライラック」号に乗車したので、復路は別の特急に乗車しようと「カムイ」を選びました(時間的にもちょうどよかったです)。「ライラック」と同様、4年前の北海道乗り鉄旅の際にも乗車しているので、今回が2回目の乗車となります。車両は789系1000番台です。

カムイ号で使用されている789系1000番台:旭川駅 2023/6/4

 旭川駅で撮影した発車前の特急「カムイ」号です。旭川が始発ということで、「花たびそうや」が到着した際には、すでに入線していました。車両の基本的な形状は0番台とそれほど違いはありませんが、シルバーメタリックのボディにライトグリーンとラベンダーバイオレットのラインが引かれたデザインが特徴的で、金属を削り出したようなシャープでクールな北海道らしい印象です(4年前の記事でも同じことを書いたような気がしますが…)

 789系1000番台は「カムイ」号のほか、「すずらん」号で使用されることもあり、「すずらん」号で使用される785系と同じく4号車が「uシート」となっています。僕ももちろん「uシート」の指定席を利用しました。「ライラック」号は5両編成で、4号車の指定席以外は自由席となっており、最近の特急にしては珍しく自由席が多く設定されています。札幌ー旭川間は1時間30分程度のため、指定席よりも自由席の方が需要が高いのかもしれません。実際に乗車していると、僕が乗車した指定席はかなりの乗車率で、観光客だけでなく、部活動で札幌から遠征してきた高校生と思われるグループも乗車しており、都市間輸送を担っている特急であることがよく分かりました。自由席には立ち入っていないため、車内の様子は見ていませんが、車内放送によると満席だったようです。

 今回利用した「uシート」の車内です。2+2配置で回転リクライニングシートが並んでおり、一見すると自由席車両と「uシート」の指定席車両の違いが分かりにくいかも知れませんが、側窓はグリーン車両のように1列につき1窓となっており、シートピッチも広めに設定されているようです。また、モバイルコンセントも用意されており、こういった設備面で自由席との差別化が図られています。

 今回使用した乗車券と特急券です。「カムイ」と「ライラック」は同一区間を走行する特急列車であるため、“えきねっとトクだ値”でも同じ割引率で設定されています。

 

札幌駅から快速エアポートに乗車

 実をいうと、特急「カムイ」号の車内では爆睡してしまい、気が付けば札幌に到着する少し前でした。今日は朝が特に早かったわけではありませんが、僕は枕が変わるとどうも睡眠が浅くなりがちなので、おそらくその影響ですね。

 札幌からは今回の乗り鉄旅で最後となる新千歳空港行きの快速「エアポート」に乗車します。往路は733系で、復路はどちらになるだろうと思っていると、721系が入線してきました。僕の中で快速「エアポート」のイメージは721系ですし、せっかくなら往路で乗車していない721系の方に乗車したかったので、よかったです。

快速エアポートで使用されている721系:札幌駅 2023/6/4

 僕は4年前の北海道乗り鉄旅の際にも快速「エアポート」を利用し、721系にも乗車していますが、当時の記事を読み返すと、なぜか快速「エアポート」の写真を撮影していなかったようです。当時は特急列車ばかりを追いかけていたので、わざわざ快速列車を撮影しなかったのかもしれません。733系の場合、自由席はロングシートとなっていますが、721系は転換クロスシートとなっているため、自由席に乗車するのであれば圧倒的に721系の方が快適です。一方、指定席の「uシート」はどちらも回転リクライニングシートということで違いはありません。ただし721系の「uシート」は窓枠と座席位置が必ずしも一致しておらず、車窓を眺めるには不向きな席もあります(ちなみに僕の座席は窓枠に邪魔されることはありませんでしたが、窓ガラスが汚れており、外の景色も曇った感じでしか見られませんでした😢)。

 こちらが今回乗車した721系の「uシート」の車内です。往路で乗車した733系の車内とは随分と雰囲気が違います。んっ?「uシート」のモケット色ってこんな派手な赤と青でしたっけ?

 帰りの快速「エアポート」の乗車券と指定券も、乗車直前にえきねっとで購入しました。復路の快速「エアポート」は往路以上に空席が多く、座席も選びたい放題です。快速「エアポート」は運転本数が多いため、特定の列車に乗客が集中しにくく、うまい具合に乗客の分散化が図られているのでしょうかね。

 

新千歳空港から中部国際空港まで航空機に搭乗

 新千歳空港ではお土産物を購入して、ついでに夕食もいただくことにしました。昨日の昼食と夕食はラーメンとスープカレー、今日の朝食はホテルで海鮮メニュー、昼食はスタミナステーキ丼をいただいており、すでに十分過ぎるほど北海道のグルメを満喫しています。最後に何を食べようかと迷いましたが、空港のフードコートに行ってみると、ジンギスカン丼を提供しているお店があったので、ここで「特上ラムジンギスカン丼」を注文しました。

 “特上”というだけあって、クセもなくて柔らかく、味付けもよかったです。量も大中小から選ぶことができ、上の写真は小です。確かにちょっと少な目ですが、早めの夕食にはちょうどいい量でした。白味噌のお味噌汁とよく合います。

 夕食が終わり、また航空機に搭乗する時間がきました。昨日搭乗したばかりなのに今日も搭乗しなくてはなりません。憂鬱です。航空機は素晴らしい移動手段なのですが、僕はどうしても好きになれません。だから航空機に何時間も乗る海外旅行なんて絶対に無理です。機内では、楽しいことを考えながら時間が過ぎるのを待ちたいと思います。

 これで北海道ともお別れです。次回はいつ訪問できるか分かりませんが、また別の季節に訪れて、僕がまだ見たことがない北海道の景色を見てみたいです。でも、さすがに真冬は無理ですね。

 愛知に戻ってきました。帰りも再びミュースカイに乗車します。今回は1泊2日でかなりの距離を移動しました。さらに苦手な航空機にも搭乗したため、正直かなり疲れました😰。しかし内容の濃い乗り鉄旅となり、列車もグルメも充実した旅行になったと思います。

 さて、今回の乗り鉄旅を2回に分けて紹介させてもらいましたが、いかがでしたでしょうか。出発前日の大雨から波乱のスタートとなる予感もしていましたが、結果的にはほぼ予定どおりの行程で旅行を楽しむことができました。これも1か月前に「花たびそうや」の指定席を確保していただいた駅員さんのおかげです。これから本格的な夏を迎えますが、暑さに負けず元気に乗り鉄旅を楽しんで行きたいと思っています。

2つの観光列車に乗車する宗谷本線乗り鉄旅(1)

 僕は乗り鉄屋さんなので、これまで乗車したことのない路線を利用したり、初めての列車に乗車することが大好きです。目的地に行くことよりも列車に乗車すること自体が好きなので、以前と同じ列車に乗車することもそれはそれで楽しいですし、飽きることもないのですが、やはり初めて乗車する列車には、いつも以上の期待と楽しみがあります。特に観光列車と呼ばれる列車には興味・関心があり、いつかは乗車してみたいと思っている列車はいくつもあります。

 では、最近よく耳にするこの「観光列車」とは一体、どういう列車のことを指すのでしょうか? これには様々な定義があるようで、「観光輸送を担う列車」という非常に広い捉え方もありますが、もう少し範囲を狭めると、

① 主な利用者が観光客である。
② 観光客向けのサービスを提供している。
③ 内装・外装のデザインが特徴的な専用車両によって運行される。

列車であると位置付けることができそうです。このうち②にある「サービスの提供」には様々な内容があり、車内で食事が提供されるレストラン列車などの本格的なものもあれば、観光案内やPRの実施、記念乗車証の配布といったようなものもあります。また、③の「専用車両」についても、高級感に満ちた豪華列車もあれば、通勤用としての役目を終えた車両を改造した列車もあり、本当に多種多様です。

 また、最近はJRだけでなく、大手私鉄や中小私鉄そして第三セクターまで、日本各地で観光列車が運行されるようになりましたが、ここでJR旅客6社についてその現状を見てみたいと思います。まず第一に、JR旅客6社の中で最も観光列車に力を注いでいるのはJR九州でしょう。D&S(デザイン&ストーリー)列車と名付られた個性溢れる列車が九州各地で運行されており、最新の「ふたつ星4047」を含めて11列車(災害による線区不通のため運休中の列車を含む。)が設定されています。また、工業デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインや監修を務めた“水戸岡列車”が多いことでも有名です。ちなみにJR九州は5月10日、2024年春開催の「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」に合わせて運行を開始する新たなD&S列車について発表しましたが、そのデザインは水戸岡鋭治氏ではないそうです。これは意外でした。ひとつの時代の区切りということでしょうかね。

 そしてJR旅客6社の中のうち、JR九州と同様に多くの観光列車を運行しているのは、JR東日本JR西日本です。両社とも営業エリアが広く、管内には魅力ある景勝地や観光地が多く点在することから、それぞれ趣向を凝らした観光列車が設定されています。特にJR東日本は、「のってたのしい列車」と位置付けて自社のWebページで大きくアピールし、また、観光列車用の車両として新たにHB-E300系を誕生させるなど、観光列車に対して積極的で前向きな姿勢がうかがわれます。

 逆にJR旅客6社の中で最も観光列車から縁遠いのはJR東海でしょう。確かにJR東海も毎年春と秋に飯田線秘境駅号を運行していますし、アニメとのコラボ企画などで臨時列車を設定することはありますが、上の③にある「専用車両」を保有していません。これはJR旅客6社の中でJR東海だけです。確かにJR東海は在来線の営業エリアが狭いものの、イベント列車を運行したり、管内に飛騨高山や伊勢など日本を代表するような観光地がある訳ですから、観光列車を保有してもおかしくないと思うのですが、残念ながらそういう話しは全く耳にしたことはなく、この先も観光列車を保有することはなさそうです。

 ちなみに他のJR旅客6社のうちJR北海道については、アルファコンチネンタルエクスプレスを筆頭にノースレインボーエクスプレスに至るリゾート気動車が有名でしたが、これらはすべて運用を終了しています。現在は、季節運行されるトロッコ列車のほか、多目的特急車両として2種類のキハ261系5000番台や国鉄気動車のキハ40形による山紫水明シリーズ車両が活躍しています。また、JR四国については、何といっても「伊予灘ものがたり」「四国まんなか千年ものがたり」「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」の3つの「ものがたり列車」が有名です。これら3つの列車は、四国を訪れる観光客の心をがっちりと掴んでおり、これらの列車に乗車することを目的に四国を訪れる旅行客も多いようです。

 そんな感じで、JR旅客6社では様々な観光列車が運行されていますが、今回はこのうちJR北海道の2つの観光列車に乗車する乗り鉄旅に出かけることにしました。勘のいい方であれば、何となく察しがついているかもしれませんが、乗車区間はともに宗谷本線です。僕は2019年6月に2泊3日で北海道各地での乗り鉄旅を楽しみましたが、この時は道央から道東を中心に巡ったため、道北エリアは訪れておらず、宗谷本線も利用していません。前回の渡道からすでに4年が経過しており、久しぶりに北海道の地で乗り鉄旅を楽しみたいという思いから、今回の旅行を計画したものです。なお、今回は諸事情から1泊2日となるため、新千歳空港−札幌−旭川稚内を往復するのみの乗り鉄旅となりますが、先ほどお話ししたとおり、2つの観光列車に乗車できるということで、きっぷを手配した時点からテンション爆上がりです😊。

 そんな今回の北海道旅について、無事に1日目を終えましたので、往路の稚内までの旅の様子をお伝えしようと思います。

 

 

中部国際空港から新千歳空港まで航空機に搭乗

 実は出発日の前日、愛知県では各地で激しい雨となり、僕が住んでいる地方でも線状降水帯が発生して激しい大雨が何時間も続き、さらに唸るような強風も吹き荒れるなど、かなりの悪荒天でした。もちろん鉄道もその影響を受けて運休や遅延、行き先変更などが発生するなど、ダイヤは大幅に乱れていました。日付が変わるくらいの時間になってようやく小康状態になったものの、一部路線が冠水したとの情報もあり、3日朝に中部国際空港まで無事にたどり着けるか心配しましたが、名鉄は一部を除いて運休はなく、まずはホッとしました。

 しかし名鉄本線の一部区間で徐行運転となった影響で、当初乗車する予定だった常滑線空港線)の列車に乗車できなかったため、急遽、課金してミュースカイに乗車しました。8両編成でしたが、窓側座席は8割以上埋まっており、なかなかの乗車率です。土曜日の朝ということで、これから旅行に行くという方が多いんだと思います(僕もその一人です)。ミュースカイであれば確実に着席できるため、結果としてはこれでよかったです。

 中部国際空港駅に到着しました。せっかくなので旅の記念にミュースカイを撮影したかったのですが、ガラス張りのホームドアがあるため上手く写真に収めることができませんでした。

 今回の北海道旅行では、4年前と同様、中部国際空港新千歳空港間で航空機✈を利用します。上の写真は、出発前に中部国際空港のスカイデッキから撮影したものです。ここからは、色々な航空会社の機体を見ることができます。この日は前日からの影響か、スカイデッキはかなりの強風でした。こんな強風の中でも通常どおり発着できる航空機はすごいものです。

 今更ながらですが、本心から言えば、北海道に行く機会には是非とも北海道新幹線を利用したいところです。しかし、今回は当日中に稚内まで移動しなくてはならないため、新幹線乗り継ぎでは時間的に間に合いません(厳密には間に合う可能性もありますが、稚内到着が23時過ぎとなってしまうため、現実的ではありません)。僕は航空機が苦手で、特に離陸直後の上昇がジェットコースターのような感じがして落ち着きません。万が一、燃料切れで墜落したらどうしようという不安も尽きません😞。ということで可能であれば航空機を利用しない行程を組みたいところですが、さすがに限られた日数で北海道を往復するとなると、航空機に頼らざるを得ません。いやいやながら我慢して搭乗します。

 僕の乗り物好きは鉄道一本のため、航空機には関心がなく、こだわりもありません。自分が搭乗する機体の機種が何であるかも全く理解しておらず、時間に遅れないように空港に行き、ラウンジで休憩し、保安検査を通過し、機内に入って着席するだけといった感じです。上の写真は中部国際空港を離陸する前の機体を撮影したものです。「新千歳までどうか安全に飛行してください。」とお願いしておきました。

 機内では緊張しっぱなしです。顔が若干引きつっていたかもしれません。窓側座席だったので、写真を撮影したりして気を紛らわせました。機内ではドリンクサービスの際に何を思ったのかホットの日本茶🍵をオーダーしてしまい、アツアツのお茶を飲むことになってしまいました😢。隣席のお姉さんは離陸直後から思いっきり寝ていましたが、この状況でよく寝られるなと感心してしまいました。

 

新千歳空港から快速エアポートに乗車

 無事に新千歳空港に着陸しました。やはり地に足がついている状態は落ち着きます。人間、常にこうあるべきだと思います。ここからはいよいよ道内での乗り鉄旅の始まりですが、まずは北海道の中心である札幌を目指します。

 新千歳空港から札幌と言えば当然、快速エアポートですよね。快速エアポートは現在、721系と733系で運用されており、721系は小さい目をしたかわいい車両で、733系は頬が張ったちょっと厳つい顔をした車両です。どちらの車両も4号車に指定席「uシート」を連結しており、840円の指定席券を購入すれば、特急列車の普通席並みのリクライニングシートで快適に移動することができます(いつの間にか「uシート」の指定席券は840円になったんですね)。僕もせっかくなので「uシート」を利用しました。車両は厳つい方の733系です。

快速エアポートで使用されている733系:札幌駅 2023/6/3

 ちなみに車内はこんなに感じです。空港アクセス列車ということで、大きな荷物を持った乗客の利用も想定しているためか、シートピッチは首都圏の普通列車グリーン車よりも広い感じがしました。

 札幌までの乗車券と指定席券はえきねっとで購入し、新千歳空港駅指定席券売機で発券しました。乗車直前に購入しましたが、座席は十分に空いており、余裕で窓側座席を確保することができました。乗車時間が短い上、指定席料金も840円とやや割高なため、指定席を敬遠して自由席を利用する方も多いと思います。ちなみに快速「エアポート」には“えきねっとチケットレス座席指定券”が設定されており、指定席券売機で指定券を受け取ることなく利用する方法もありますが、ねだんは通常の場合と同じ840円です。チケットレスサービスに限定した割安感のある価格設定(例えば一般的な指定券と同じ530円)にすれば、利用者も増えるのではないかと思います。

 

札幌駅から特急ライラックに乗車

 札幌から稚内までは、特急「宗谷」号を利用すれば乗り換えなしに移動することができますが、「宗谷」号は1日に上下1往復ずつしか運行されておらず、下りは札幌7時30分発なので、どう考えても今回の乗り鉄旅でこれに乗車することはできません。他の方法としては、札幌から旭川まで特急「ライラック」号を利用し、旭川稚内行きの特急「サロベツ」号に乗り換える方法があり、こちらは「サロベツ」号の運転本数に合わせて1日に上下2往復の利用が可能です。サロベツ1号に乗車するためには札幌を12時ちょうどに発車するライラック15号に乗車することになり、時間的にちょうどいいので、僕も今回はこれらの特急列車を乗り継いで稚内を目指すことにしました。

 快速エアポートで札幌に到着しました。ちょっと雨が降ってきました。この先の天候の変化が心配なところです。まだ撮影したことのなかった札幌駅をパシャリ📸

 「ライラック」号に乗車するまで1時間くらいの余裕があったので、少し早いですが、札幌駅の札幌ステラプレイス内にある「一風堂KAI」さんでラーメンをいただくことにしました。

 札幌と言えばやはり味噌ラーメン🍜ですからね。一風堂は博多ラーメンのお店のような気もしますが、僕は食べ物に関して細かいことは気にしないので、味噌ラーメンが食べられればそれでOKです。肉厚のチャーシューとたっぷりめの野菜で、スープの味もよく大満足です。

ライラック号で使用されている789系0番台:札幌駅 2023/6/3

 食事を終えて「ライラック」号の発車番線に向かうと、まだ前の回送列車が停車しており、乗車する「ライラック」号は入線していませんでした。どうやら函館本線内の踏切で安全確認を行った影響によりダイヤが乱れているようです。しばらくしてようやく回送列車が発車して「ライラック」号も入線し、無事に乗車することができました。札幌駅を11分遅れての発車です。

 「ライラック」号は、特急「カムイ」号と同じく札幌―旭川間を結ぶ電車特急で、4年前の北海道乗り鉄旅でも乗車したことがある列車です。「ライラック」号と「カムイ」号は運転区間が全く同じですが、使用される車両は異なっており、789系0番台が「ライラック」号、789系1000番台が「カムイ」号です。0番台には1号車に半室グリーン車がありますが、1000番台にはグリーン設備がありません。反対に1000番台には4号車に「uシート」がありますが、0番台には「uシート」はありません。指定席に乗車するのであれば「uシート」が連結された「カムイ」号の方がオトクな感じがしますが、今回は旭川駅での乗り換えを考慮して「ライラック」号を利用しました。
 外観はステンレスの無地がベースとなっており、特に中間車は無機質な感じもしますが、運転台を含む前頭部と客用扉の箇所にはライトグリーンが大胆に用いられているため、全体として明るく若々しい印象です。

 車内の様子です。一般的な特急型車両である2+2配置で回転リクライニングシートが並んでいます。ちなみに1号車は半室グリーン車で、2号車寄りは普通車指定席となっていますが、普通席にも窓側座席にモバイルコンセントがあります。車内でスマホタブレット端末を充電したい方には、1号車の窓側座席をオススメします。

 今回使用した乗車券と特急券の一葉券です。JR北海道の特急列車には“えきねっとトクだ値”が設定されており、特急「ライラック」についても45%割引で普通車指定席を利用することができます。しかも乗車当日まで申込みができるため、札幌⇔旭川間で普通車を利用するのであれば、積極的に利用すべきだと思います。もちろん僕も“えきねっとトクだ値”を利用して乗車しました。

 

旭川駅からラベンダー編成の特急サロベツに乗車

 旭川からは予定どおり「サロベツ」号に乗車します。通常、「サロベツ」号には4両編成のキハ261系気動車が充当されていますが、時期によってはキハ261系5000番台が使用されることがあります。このキハ261系5000番台こそが、冒頭でも紹介した多目的特急車両で、北海道をイメージさせる「はまなす編成」と「ラベンダー編成」の2つの編成が活躍しています。今回は行程に組み込んだ「サロベツ」号にちょうどキハ261系5000番台のラベンダー編成が充てられており、運よく乗車することができました。今回の乗り鉄旅で乗車する観光列車のひとつめとなります。

ラベンダー編成のキハ261系5000番台:稚内駅 2023/6/3

 先頭部分の外観はその名のとおりラベンダー色で、臨時特急「フラノラベンダーエクスプレス」でも使用されています。

 続いて車内の紹介です。キハ261系5000番台は「はまなす」編成・「ラベンダー」編成とも共通仕様となっており、今回乗車した「サロベツ」号では5両編成のうち1号車から3号車までが指定席、1号車の前に位置する増1号車と最後尾となる4号車は自由席となっています。なお、グリーン車の設定はありません。

 まずは増1号車です。増1号車は自由席と案内されていますが、実際には「ラベンダーラウンジ」と名付けられたフリースペースとなっています。車両中央の通路を挟んで、片側にはカウンター席(1人掛けと2人掛けがある)が、もう一方にはテーブル付きの4人掛けボックス席が配置されています。車内の内装は木目調で統一されており、上品さと落ち着きが感じられます。カウンター席は側窓に向いた座席となっているため、車窓を眺めるには最適ですし、ボックス席には大型テーブルがあるため、グループで食事を楽しむ際やパソコンなどで作業をする際には重宝すると思います。今回乗車する「サロベツ」号や「宗谷」号はかなりの長時間乗車となることから、乗車中にちょっと気分を変えたい場合に気軽に利用できるラウンジ設備があるのは、ありがたいですね。僕は事前に指定券を購入していましたが、途中で1人掛けカウンター席に空きがあったので利用してみました。座ってみると、座面はファブリックでなく合皮(本革?)で、座り心地も悪くありません。ただ、カウンター座席というだけあって肘掛けはなく、リクライニング機能もありませんので、長時間の利用には不向きだと思います。

 1号車から4号車までの客室内は共通仕様で、2+2配置の一般的な特急型車両らしい車内となっています。ただ、各座席の背ずり部分にピンクやグリーン、ブルーなど鮮やかな色が用いられているため、明るく華やかな車内となっています。定期運用される特急だけでなく、「ノースレインボーエクスプレス」などのリゾート車両に代わって登場した多目的特急車両ということで、少しでも乗客に楽しんでもらえるような工夫が施されているのだと思います。増1号車を除く4両のうち3両が指定席で、残り1両が自由席ですが、僕が乗車した「サロベツ」号はそれほど混雑していませんでした。先ほどお話ししたとおり、札幌⇔稚内間は、旭川乗換が必要なパターンを含めて1日3往復しかなく、それなりに混雑するのではないかと想像していましたが、乗車率はだいたい3割程度といったところでしょうか? 僕は窓側座席を指定していましたが、終点の稚内まで隣の通路側座席を利用する方はいませんでした。まあ、広々と利用できたので、これはこれでよかったです。

 車窓からの風景です。特に撮影対象が決まっている訳ではなく、気まぐれで撮影したものです。どれも実に北海道らしいですよね。写真にはありませんが、途中には放し飼いしている乳牛の姿も見ることができ、列車に揺られながら雄大な景色を満喫することができました(列車は本当に揺れました)。天気が今ひとつだったことがちょっと残念です。

 特急「サロベツ」でも「ライラック」と同様に“えきねっとトクだ値”を利用しました。こちらは普通車指定席の利用が50%割引となるため、4,440円で旭川稚内を移動することができます。こちらも乗車当日まで申込みができるという利便性の高いきっぷとなっています。ちなみに札幌ー稚内間を直通する特急「宗谷」にも“えきねっとトクだ値”が設定されていますが、「宗谷」を利用する場合のねだんは、「ライラック」と「サロベツ」を乗り継いで利用する場合のねだんとほぼ同額に設定されているため、利用する特急列車の違いによって金額に差が生じることはありません。

 

日本最北端の駅 稚内駅に到着

 稚内駅に無事に到着しました。初めて日本最北端の駅に降り立つことができました。まず感じたのは「寒っ🤢」です。日本最北端の地を完全にナメていました。外の気温は約12℃しかなく、連日25℃以上の中で生活している僕にとっては、真冬のように感じます。ここまでは半袖シャツで来ましたが、急いで鞄から長袖のパーカーを取り出しました。

 改札口を出て駅前に行くと、駅舎から伸びる線路と車止めのモニュメントがあります。さらにバスロータリーもあり、各方面への路線バスが発着しているようです。有名な宗谷岬にもここから路線バスで行くことができるようですが、時間の都合もあり、今日の移動はここで終了となります。

 

プチGARAKUでスープカレー

 列車を下車したところで、そろそろ夕食の時間になりました(ちょっと早いですがね😅)。北海道でいただく食事と言えば、ウニやいくらなどの海鮮やジンギスカン、札幌や旭川のラーメンなどが定番ですが、札幌発祥のグルメとしてスープカレーも人気のようです。出発前にWebページで調べたところ、札幌にある「GARAKU」さんというスープカレーのお店が稚内にも出店しているようで、僕が宿泊するホテルのすぐ近くにあることが分かりました。和風ダシを効かせたカレーということで、どんなものか気になったため、北海道ならではのメニューということで、夕食は「プチGARAKU」さんのスープカレーをいただくことにしました。

 今回いただいたのは、“上富良野ラベンダーポークの豚しゃぶとたっぷりきのこ”です。辛さとライスの量は選ぶことができるので、辛い物が苦手で外食では少食になりがちな僕にはピッタリです。写真では何だかスパイスが効いて辛そうに見えますが、辛さレベル1で注文したので、辛さはほとんどありません。肝心のお味ですが、しつこくないスッキリとした僕好みの味で、とても美味しかったです。これなら小ライスではなく中ライスにすればよかったです。スープといえども、やはりカレーはライスと一緒に楽しみたいですからね。具材の野菜やきのこ、しゃぶしゃぶのお肉もたっぷりで、大満足の夕食となりました😁。

 そんな感じで1日目を終え、今夜の宿泊施設であるドーミーイン稚内に向かいます。ドーミーインは全国的なホテルチェーンですが、各ホテルごとに地域オリジナルの朝食メニューが用意されており、また、稚内では大浴場も完備されています。大浴場好きの僕にとっては、そんなドーミーインヘの宿泊も旅の楽しみのひとつです。今日は大移動でさすがに疲れました。明日はいよいよ今回の乗り鉄旅のメインともいえる列車に乗車しますので、早めに寝て鋭気を養いたいと思います。

>>(2)に続く

「SL銀河」に乗車する岩手乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 昨日は、豊橋から盛岡まで新幹線に乗車し、バスに乗り換えて浄土ヶ浜宮古市田老地区を訪れたところまでを紹介しました。1日でおおよそ1,000km近く移動したので、そこそこ疲れました。ちなみに今回宿泊したのはホテルルートイン宮古です。夕朝食はともに和洋食バイキングとなっており、最近のビジネスホテルらしい一般的なものでしたが、ホテル内に大浴場があったのはうれしかったですね。僕は大浴場が好きなので、もちろん利用することにしました。この日は訪日観光客と思われる団体も同じホテルに宿泊しており、夕食時間帯には飲食スペースも混雑していたため、大浴場も人が多いかなと思って行ってみると、まさかの僕一人で貸切でした。客室内にも浴室はありましたが、やはり旅行に来たからには大きな湯舟に身体を浮かべたいものです。しかも思いがけない独占状態とあって、気分上々で入浴を済ませました。入浴後は、明日に備えて早めに就寝しました。

 そして2日目の朝を迎えました。昨日は朝方に雨が降っていたものの、現地到着後は傘の出番はありませんでした。できれば2日目も何とか雨に降られずに過ごしたいところです。少し早めに起床して朝食や準備を済ませ、昨日と同じバスに乗車して、三陸鉄道陸中山田駅を目指しました。

 

 

三陸鉄道リアス線に初乗車

 ここからはいよいよ本格的な乗り鉄旅の始まりです。まずは三陸鉄道リアス線に乗車します。三陸鉄道は、大船渡市にある盛駅から久慈市にある久慈駅 までを結ぶ全長163kmの鉄道路線を有しており、その総延長は第三セクター鉄道として日本最長となっています(厳密には北リアス線南リアス線、リアス線の3路線となっているようですが、支線のように枝分かれする路線はないため、全体としてリアス線と呼ばれているようです)。少し前までは、宮古駅久慈駅間の北リアス線盛駅-釜石駅間の南リアス線に分断されていましたが、JR山田線の一部区間(釜石駅-宮古駅間)の移管を受けたことで、現在の路線に至っています。また、第三セクター鉄道としての歴史は古く、1984年4月に北リアス線南リアス線が開業しており、国鉄のローカル線を転換して開業した初めての第三セクター鉄道でもあります。

 そんな三陸鉄道ですが、おそらく一般の方々にもその名が知れ渡ったのは、NHK朝の連続テレビ小説あまちゃん」の舞台として取り上げられたことではないでしょうか。また、三陸海岸に沿って走る三陸鉄道リアス線の車内からは、太平洋を見晴らす絶景を楽しむことができるとあって、地元の方々だけでなく多くの観光客にも愛されている路線でもあります。

 今回は、そんな三陸鉄道リアス線の陸中山田駅-釜石駅間を乗車します。ところで宿泊したホテルルートイン宮古からは、陸中山田駅よりも宮古駅の方が近いのですが、なぜ陸中山田から乗車するんでしょうかね。

 陸中山田駅です。風車を模したオブジェがあるなかなかおしゃれな洋風デザインの駅舎です。添乗員さんの話によると、今回はこの駅から、僕が参加しているツアーの参加者20名の他に、他のツアーの参加者20名が加わって、計40名が乗車するのだそうです。ツアー専用の貸切列車ではなく定期運行の列車に乗車する上、車両は1両編成ということで、全員が着席できるかどうか添乗員さんも心配していましたが、地元利用客の少ない時間帯ということもあってか、ほぼ全員が着席できました(写真撮影のため、着席せずに立っている方も見えました)。それほど長い乗車時間ではなく、旅行費用も考慮すれば、簡単に貸切列車とすることは難しいでしょうが、せっかくの旅行で着席できるかどうか乗車するまで分からないというのは、ちょっと不安でした。

三陸鉄道リアス線で使用されている36-200形式:鵜住居駅 2023/5/14

 今回乗車した車両は36-200形式で、三陸鉄道開業時から使用されている車両です。ということで、ほぼ40年にわたって活躍しているということになります。外観には、三陸鉄道のシンボルカラーである、青(三陸の海)、赤(情熱)、白(誠実)の3色が用いられています。上の写真は途中の停車時間を利用して鵜住居駅で撮影しました。三陸鉄道の一般車両には、36-100(200)形式以外にも鮮やかなラッピングが施された36-700形式があり、さらにイベント車両として36-Z形式(通称さんりくはまかぜ)のお座敷車両、レトロ調の外観が特徴的な36-R形式があります。今回は最古参となる36-200形式に乗車しましたので、また機会があれば、他の形式の車両にも乗車し、北リアス線からの車窓も楽しんでみたいところです。

 

釜石駅から「SL銀河」に乗車

 三陸鉄道線を途中の釜石駅で下車すると、すでにJR線側のホームにC58形蒸気機関車を先頭にして編成された「SL銀河」が入線していました。少しでも早く近くで車両を見たり写真撮影したいところですが、団体旅行のため勝手に行動するわけにはいかないため、添乗員さんの先導で三陸鉄道の改札を出て、あらためてJR線側の改札口から入場します。JR線側の改札前に目をやると、あちこちに「SL銀河」に関連した掲示物や展示物があり、まさに「SL銀河」一色といった感じです。

 上を見上げると、「SL銀河」の大きなタペストリーのようなものが装飾されており、これから「SL銀河」に乗車する僕としては、自然とテンションも高まってきます。また、駅にあるNewDaysでは、多数の「SL銀河」グッズを販売していました。僕も以前は観光列車に乗車するたびに、ピンバッチやポストカードなどを購入していましたが、家に持ち帰っても結局保管するだけになってしまうことが多いので、最近は購入しないようにしています。ちなみに、改札口のところで駅員さんが「SL銀河」に乗車する方に本物の石炭が入った小袋を配布しており、こちらは記念にいただきました。

 ではここで、「SL銀河」の停車駅と発車時刻を紹介します。ちなみに「SL銀河」は土曜日に花巻→釜石の下り列車が運転され、日曜日に釜石→花巻の上り列車が運転されています。今回、僕が乗車するのは釜石発花巻行の上り列車になります。

 始発の釜石から終着の花巻まで、約5時間20分かけて釜石線全線を走破します。途中にはいくつかの停車駅がありますが、遠野駅では約2時間の停車時間が設けられています。なんでも蒸気機関車のメンテナンスや給水などが必要となるためで、乗客はこの間を利用して昼食や観光したりと、思い思いの時間を過ごすことでがきるようになっています。僕も今回、遠野駅で途中下車して昼食の時間とする予定です。

 ホームに上がると、「SL銀河」発車直前ということで、多くの人でにぎわっています。「SL銀河」の乗客だけでなく、法被姿の方や手旗を持った地元の方など「SL銀河」をホームから見送られる方も大勢いらっしゃいました。僕も機関車の写真を撮影しようとホームを移動していると、たまたま駅長さんが「SL銀河」が描かれた大漁旗を掲げておられたため、撮影させてもらいました。そうこうしているうちに発車時刻が近付いてきましたので、指定された2号車に移動し、着席して発車を待つこと数分、蒸気機関車特有の汽笛とともに、列車は花巻に向けて出発しました。

 今回は、これでもかというほど写真をいっぱい撮影しました。まずは何と言っても蒸気機関車です。「SL銀河」を牽引するのはC58形蒸気機関車です。間近で見ると、やっぱりカッコいいです。真っ黒で重厚なボディは圧倒的な存在感で、最近の電車や気動車とは比べものにならない力強さを感じます。また、石炭の焦げる独特の匂いは蒸気機関車ならではで、この匂いが鼻に入ってくると、自分がSLに乗車していることが五感を通じて感じられるような気がしてきます。ちなみにこのC58形蒸気機関車、239号機が「SL銀河」をけん引しているほか、363号機も現役で、秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」として活躍しているのだそうです。今回はこの239号機をいくつかの停車駅で撮影しました。被写体は同じでも撮影する場所が変わると、また違った雰囲気になりますよね。

SL銀河を牽引するC58形蒸気機関車:釜石駅他 2023/5/14

 続いて客車です。「SL銀河」の客車は全4両編成で、形式はキハ141系700番台です。僕はこの車両を“客車”と紹介しましたが、実はこの車両、「SL銀河」として使用されるまでの間、ちょっと変わった変遷を経て現在に至っています。この列車は元々、正真正銘の客車である50系客車として誕生したものです。しかし時代の経過とともに50系客車が余剰気味となっていたところ、沿線の都市化などによって需要が急激に増加した札沼線学園都市線)の輸送力増強を目的として、この車両に駆動用エンジンなどを取り付けて気動車化する改造が施されて、本形式が登場することになりました。そのキハ141系はJR北海道にて活躍していましたが、JR東日本札沼線電化によってこれまた余剰となったキハ141系4両をJR北海道から購入し、動力装置を残したまま専用客車に再改造したのが、今回乗車する「SL銀河」専用客車であるキハ141系700番台という訳です。

 4両の客車に描かれている模様は、宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」に登場する星座や動物たちがモチーフとなっているようです。はくちょう座、わし座、さそり座、ふくろう、ラッコ、鷺などが、物語の世界に誘うかように美しく輝いていました。

SL銀河の客車であるキハ141系700番台:遠野駅他 2023/5/14

 こうして見ると、しっかりと運転台も残されており、以前は気動車であったことがはっきりと分かりますね。しかし、さらにそれ以前は50系客車であったことから、車内には客車としての雰囲気のようなものが色濃く残っています。

 では続いて、車内の様子も紹介したいと思います。運行終了が近づいている「SL銀河」は発売開始直後にすべての指定席券が完売してしまうほどの人気ということで、当然、車内は多くの乗客でいっぱいです(しかし僅かながら空席がありました。直前にキャンセルが発生したのか、それともきっぷ鉄の方が乗車目的ではなく、きっぷ収集目的で購入されたのか、その真相は不明ですが、いずれにしてももったいないことです)。ということで、なかなか車内を思うように撮影することができませんが、停車時間など車内の乗客が少なくなるタイミングを捉えて撮影しました。

 座席はご覧のとおり4人掛けのボックスシートです。赤い座面が鮮やかで磨りガラスの装飾も施され、大正から昭和にかけての世界観が表現されており、時代をタイムスリップしたかのような客室となっています。

 通路から側窓方向にカメラを向けてボックスシート部分を撮影したものです。ご覧のとおり、座席間隔はあまり広くないため、大人同士が向かい合わせに着席するとやや窮屈な感は否めません。また、荷物棚の部分にはステンドグラスがはめ込まれており、大正ロマン(昭和ロマン)に溢れています。

 ちなみに1号車には、プラネタリウムを鑑賞できるスペースがあり、「SL銀河」オリジナルプログラムの作品が上映されています。プラネタリウムを鑑賞するには、事前に受付を済ませておき、指定された時間に集合すれば鑑賞スペースに案内してもらえます。僕も遠野駅到着直前にこのプラネタリウムを鑑賞しました。ちなみにプラネタリウムの上映中は撮影禁止となっているため、その様子をお見せすることはできませんが、なかなか楽しいものでした。上の写真は、同じ1号車の「月と星のミュージアム」にあったオブジェです。

 車端部には様々なフリースペースがあり、ギャラリーには宮沢賢治の作品に関連する展示がありました。乗客が自由に利用できる座席も用意されていますので、長時間の乗車でちょっと気分を変えたい時などに利用するといいかなと思いました。

 そして4号車には物販スペースがあります。「SL銀河」グッズの他、ドリンク類やお弁当、アイスクリームなども販売されています。先にお話ししたとおり、僕は最近ほとんどグッズ類は購入しないため、今回はアイスクリームを購入し、車内でいただきました。スジャータシンカンセンスゴクカタイアイス🍦でした。

 

遠野駅での停車時間を利用して遠野の街へ

 釜石駅から「SL銀河」での旅を楽しむこと約1時間50分で、予定どおり遠野駅に到着しました。車内で時間が経つのを忘れていたため、もう遠野駅かという感じです。

 遠野といえば「カッパ」が有名ですが、駅前に造られた池にもちゃんとカッパの像がありました。どうやら駅から4kmほど離れた場所に、カッパが生息しているといわれるカッパ淵があるそうです。実際に目撃するのは怖いので、僕は行っていません。

 さて、遠野では当初の予定どおり昼食時間とします。駅付近にはいくつかの飲食店がありますが、僕は蕎麦が食べたかったので、駅から徒歩7分ほどの場所にある「ばんがり伊藤家店」で昼食をいただくことにしました。

 古民家風の外観で、なかなか風情があるお店です。僕が入店した際にちょうど1階席が満席になったようで、2階席に案内されました。メニューを見ると、丼物とざるそばのセットが充実しており、その中に“ミニ生ウニ丼とざるそばセット”があったため、迷わずこれを注文しました。せっかく岩手まで来たにもかかわらず、まだウニをいただいていませんでしたからね。

 メニューにはミニ丼と書かれていましたが、しっかりとした量の生ウニが盛り付けられています。ワサビを醤油で溶いて、ウニ丼の上にかけていただきましたが、これが本当に美味しかったです。もちろんざるそばもよかったです。なお今回は、釜石駅でいただいた500円引きのクーポンを利用することができたため、このセットは実質1,350円です。この内容でこの値段、大満足の昼食となりました。

 食後は、行きと違った道を歩きながら遠野駅に戻りました。あらためて遠野は風情のある街だなと思いました。

 あっ、紹介する順序が前後してしまいますが、今回の「SL銀河」の停車駅では、機関車や客車だけでなく、駅名標も撮影してみました。

 本来であれば、乗車した釜石駅と下車した新花巻駅でも撮影しておくべきでしたが、撮影するのを忘れていました😓。釜石駅の駅名標にはエスペラント語の愛称名が記されており、なかなか面白い趣向だなと思いました。

 遠野から再び「SL銀河」に乗車して約1時間20分で、新幹線との乗り換え駅となる新花巻駅に到着しました。観光列車としてかなりの長時間乗車となりましたが、振り返るとあっという間でした。こんな魅力的なSL旅ができるのであれば、また次の機会にもう一度乗車したいところですが、これが最初で最後の乗車となってしまいます。本当に残念でなりません。時間を作ってもっと早くに乗車しておけばよかったです😢。

 それからもう一つ、車内で記念乗車証をいただきました。JR東日本の観光列車に乗車するとよくいただけるポストカードタイプのものです。裏面に記念スタンプを押印することができるようになっていたので、車内で押印してみました。

 

新花巻駅から東北新幹線に乗車

 新花巻駅では新幹線への乗り換えのため、約1時間の待ち時間がありました。売店でお土産物を購入した後、待合室で「はやぶさ」号の出発時間を待ちます。乗車する車両は往路と同じでE5系です。新花巻駅で撮影したいところですが、団体旅行で停車時間も僅かなため撮影できず、東京駅下車後に撮影しました。

東北新幹線を疾走するE5系:東京駅 2023/5/14

 往路の新幹線は3人掛け座席の真ん中であるB席でしたが、復路の新幹線は2人掛け座席の窓側であるE席でした。やっぱりこちらの座席の方が安心して乗車できますね😊。

 

東京駅から東海道新幹線に乗車

 東京駅では「はやぶさ」号を下車して東海道新幹線の「こだま」号に乗り換えます。この日はまだ夕食をとっていなかったので、乗り換え時間を利用してお弁当を購入しました。これは車内でいただくことにします。

 そう言えば昨日、往路の東海道新幹線に乗車する際、豊橋駅の乗換改札の自動改札機に嫌われて⛔ピンポーンってなっちゃいましたが、今回はクラブツーリズムの添乗員さんから配布された都区内用の乗車票を持っているので安心です。自信を持って東京駅の東海道新幹線乗換改札の自動改札機に2枚重ねて投入すると、またまた⛔ピンポーンで「ここまでの乗車券を入れてください。」と案内されました。「いやいや、ちゃんと入れてるじゃん!!」とツッコミながら仕方なく有人改札に移動し、事情を説明して入場しました。うーん、往路といい復路といい、何がマズかったんでしょう。よく分かりません。

東海道新幹線を疾走するN700:東京駅 2023/5/14

 何はともあれ、無事に予定していた「こだま」号に乗車できました。往路と同じで復路も新幹線回数券を利用するため、乗車するのは普通車自由席です。乗車早々、お腹が空いてきたので、早速、先ほど購入したお弁当をいただくことにしました。

 今日の夕食は牛たん弁当です。東北新幹線に乗車している際に途中で仙台駅に停車したのですが、仙台と言えばやはり牛たんだよなと思い出し、そうしたら急に牛たんが食べたくなったので、たまたま東京駅で見つけたこの弁当に決めました。しおとタレの2種類の牛たんが乗ったシンプルなものですが、僕好みの味付けで美味しかったです。やはり、食べたいと思ったときに食べられると、美味しく感じられますよね😋。

 日曜日の夜ということもあってか、「こだま」号も結構な乗車率で、特に品川と新横浜から多くの乗車がありました。僕と同じで旅行帰りと思われる方も多いのですが、スーツを着たビジネスマンの姿もあり、さすがは東海道新幹線だと思いました。コクりコクりと途中で若干居眠りしつつ、無事に豊橋に到着し、今回の乗り鉄旅のすべての行程を終えることができました。

 久しぶりに1泊2日での乗り鉄旅を楽しみましたが、遠征はやはり楽しいですね🙂。特に憧れ続けていた「SL銀河」に乗車できたことで、大満足の乗り鉄旅です。そして次の乗り鉄旅ですが、これも着実に準備を進めています。もちろん、このブログでも紹介させてもらいますので、今後ともよろしくお願いします。

「SL銀河」に乗車する岩手乗り鉄旅(1)

 ゴールデンウイークも終わり、5月も半ばに差し掛かる時期となりました。前回記事の最後に「ゴールデンウイークに向けて、乗り鉄旅の準備を進めていきたい。」と高らかに宣言してしまいましたが、結果としては4月29日から5月7日までの9日間、全く乗り鉄旅に出かけることはありませんでした。その理由としては、4月上旬に引き続き、再び体調を崩してしまったからです😢。前回は主に微熱と身体のだるさといった症状に悩まされ、仕事を休まざるを得ない状態でした。今回はそこまでキツいものではないものの、鈍い頭痛が時折発生してなかなか治まらず、また、何となく身体に力が入らないような感じが続いたので、連休期間中は大事をとって休養に努めました。しかし、わずか1か月という短期間のうちに2回も体調を崩すのは何か大きな病気の前兆ではないという不安もあり、5月6日に前回の時と同じクリニックを受診して、医師による問診と頭部のCT検査を受けましたが、特に異常は見つからず原因も分からずじまいです。つい最近になって、症状は少しばかり回復したのですが、寒暖差が大きい気候も影響してか、完治したなという実感もなく、頭痛の“予兆”がある場合には早めに処方された薬を服用するなどして、日々の生活を送っているという状況です。

 そんなこともあって、今年のゴールデンウイーク期間中は乗り鉄旅に全く縁がありませんでしたが、体調に問題がなかった4月下旬には、こんなことになるとは想像だにせず、5月13日に出発する団体旅行商品の申込みを済ませていました。今から思えば、ゴールデンウイーク期間を含む旅行商品を避けておいて、本当によかったと思っています。もし出発日が1週間前であれば、おそらくキャンセルせざるを得なかったでしょう。体調的には、まだまだ完治が実感できない状況ではありましたが、かと言って仕事や外出に支障が生じるようなことはなく、さらに悪化するような様子もなかったので、予定どおり参加することにしました。

 

 

今回の旅行概要

 さて、今回、僕が参加する団体旅行ですが、もちろん乗り鉄的な要素を含むもので、行き先は岩手県です。そしてその最大の目的は、釜石線を走る「SL銀河」に乗車することです。「SL銀河」は2014年に運行を開始した観光列車で、僕も以前から乗車したいと思っていたのですが、タイミングを逃してしまい、まだ一度も乗車していません。そんな「SL銀河」は今年6月、客車の老朽化などもあってついに運行が終了することになりました。ならば最後の機会ということで乗車してみようと決意し、駅の窓口やえきねっとで指定席券を確保して乗車しようと思っていました。しかし、指定席券の争奪戦は凄まじく、「10時打ち」ですら確保できない状況だと聞き、それならばということでツアーに「SL銀河」への乗車が組み込まれた団体旅行商品を購入することにしたものです。

 旅行は1泊2日で、「SL銀河」に乗車するのは2日目になります。1日目は盛岡駅まで「はやぶさ」号で移動した後、バスに乗り換えて宮古の代表的な景勝地である浄土ヶ浜に行き、遊覧船に乗船します。その後、東日本大震災によって大きな津波の影響を受けた田老地区を案内人同行で見学します。浄土ヶ浜や田老、宮古を訪れるのは今回が初めてということになります。そして2日目は乗り鉄旅の本番で、まずは陸中山田駅から釜石駅まで三陸鉄道に乗車します。釜石駅から新花巻駅まで「SL銀河」に乗車し、新花巻駅からは「はやぶさ」号で帰路に着くという行程です。これらをまとめると、今回の乗り鉄旅での鉄道乗車区間は下図の赤線部分となります。僕にとっては三陸鉄道釜石線に乗車するのも初めてとなります。贅沢を言えば、せっかく盛岡まで行くからには、宮古まで山田線にも乗車してみたかったのですが、団体旅行のため仕方ありません。

  

 そんな感じでいろいろと初めてづくしの今回の団体旅行ですが、まずは無事に1日目の行程を終えましたので、その様子を紹介したいと思います。

 

豊橋駅から東海道新幹線に乗車

 数日前から天気予報をこまめにチェックしていましたが、雨予報☔は変わることなく当日を迎えました。本当は晴れてほしかったのですが、こればかりはどうしようもありません。久しぶりに雨の中での乗り鉄旅のスタートです。ちなみに豊橋駅発車時には写真を撮影する余裕がありませんでしたので、下の写真は東京駅到着後に撮影しました。

N700Aの先頭車両と最後尾車両:東京駅 2023/5/13

 いつものとおり、最寄り駅から豊橋駅まで名鉄線で移動し、豊橋駅から東海道新幹線に乗車しました。名鉄線から新幹線に乗り換える際、僕はいつも乗換改札を利用し、名鉄線のきっぷと新幹線のきっぷを2枚重ねて自動改札機に投入するのですが、何故か「ここまでの乗車券を入れてください。」と案内され、名鉄線のきっぷが回収されて新幹線のきっぷだけが吐き出されてきました。「何でだ❓」と思いながらも、事情を説明して有人改札から入場しましたが、こんな経験は初めてです。

 今回は新幹線回数券を使用するため、普通車自由席に乗車しました。豊橋駅を発車する始発の上り「ひかり」号となりますが、土曜日にはこれよりも早い時間に東京駅に到着する名古屋駅始発の「のぞみ」号が運転されているため、こちらの「ひかり」号はそれほど混雑しません。と思っていたのですが、途中の浜松と静岡から多くの乗車があったようで、自由席は通路側も含めてすべての座席が埋まるような状況でした。「乗車があったようで〜」と表現したのは、浜松駅発車後に爆睡😪してしまい、小田原駅を通過するまでの記憶がないため、詳しいことは分かりません。まあ、終点の東京駅まで乗車するとなると、乗り過ごしの危険がないので、どうしても気が緩んでしまいます。

 

 ご存知の方も多いと思いますが、東京駅の18・19番線ホームの南端(品川寄り)には、東海道新幹線の建設に尽力し、「新幹線の父」とも称される元国鉄総裁の十河信二氏のレリーフを埋め込んだ記念碑があります。現代の日本にとって新幹線はなくてはならない交通手段であり、その礎を築いた同氏の偉大な功績を讃えるものだと思います。僕も今回の乗り鉄旅で2つの新幹線にお世話になりますので、十河氏への感謝と畏敬の念を込めて撮影しました。

 

東京駅から東北新幹線に乗車

 東京駅から団体旅行がスタートします。集合時間は8時35分で、ちょうどいい時間に東京駅に着くことができました。言い忘れていましたが、今回利用するのはクラブツーリズムで、2021年12月に「TOHOKU EMOTION」に乗車する乗り鉄旅で利用して以来です。

緑色と白色のツートンカラーにピンク色ラインが映えるE5系:東京駅 2023/5/13

 東京駅から乗車するのは「はやぶさ」号の新青森行です。旅行商品を購入する際には「やまびこ」号と案内されていましたが、変更になったようです。車両はもちろんE5系で、乗車するのは久しぶりです。僕個人による新幹線車両ランキングでは、最もカッコいいのが500系で、最もカラーリングが魅力的なのはE5系です。メタリック調のエメラルドグリーンってほんと素敵ですよね。

 乗車した「はやぶさ」号は東京駅発車時点ですでにほとんどの座席が埋まっており、上野駅と大宮駅からの乗車で満席になった感じです。車内放送でも指定券はほぼ発売済であるとアナウンスされていました。ゴールデンウイークを終えたばかりの週末ということで、どちらかといえば人出は少ないのかなと予想していましたが、新型コロナが季節性インフルエンザと同じ5類に移行された影響もあってか、こちらもなかなかの賑わいでした。

 今回は団体旅行なので、車内での座席位置を選ぶことはできません。できれば窓側がいいなと期待していましたが、残念ながら3人掛け座席の真ん中B席でした😓。まあ、こんな機会ぐらいでしかB席を利用することはありませんので、これはこれでよしとします。盛岡までの約2時間10分の間、両側を知らない人に挟まれて大人しくいました。

 

浄土ヶ浜を見学

 盛岡駅からは観光バスに乗り換えて、まずは浄土ヶ浜に向かいます。現地に到着すると、思ったよりも風が冷たく、東北に来たことを実感しました。浄土ヶ浜は白肌の岩や松の緑、そして海の群青が相まった風光明媚な風景が有名で、この浄土ヶ浜という名前も、今から約350年前にとある僧侶がこの景色を見て「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことから名付けられたのだそうです。僕が今まで訪れたことのある場所で例えると、東尋坊に近い感じがします。こうした景色を実際に自分の目で見ると、自然というものの神秘性と計り知れない力のようなものを感じます。ちなみに現地の天候は薄曇り⛅で、雨に降られずにすみました。気の向くままにあちこちで写真を撮影しましたので、ここで少し紹介します。(いつものように下手っぴです。)

 

レストハウスで「瓶ドン」の昼食

 浄土ヶ浜の一帯には展望台やレストハウスがあり、今回の団体旅行でもこのレストハウスで昼食をいただきました。

 宮古の名物と言われても、僕はウニやアワビといった食材しか思い浮かばなかったのですが、どうやら「瓶ドン」というものが有名なようで、今回の昼食も「瓶ドン」でした。「瓶ドン」とは、小さな牛乳瓶のようなガラス容器にメカブイクラ、サーモンなどの食材が詰め込まれたもので、これをご飯の上にのせて丼物にしていただくというものです。それならば、最初から丼ぶりに食材を盛り付けておけばすぐに食べられるじゃないか?というツッコミが入りそうですが、自分で乗っけるところが面白いのだと思います。

 写真左の白飯にガラス容器の中にある食材を盛り付けるとこうなります。

 ちなみに瓶の中の食材はお店によって違いがあるようで、マグロやタラなどが入っているものもあるそうです。お腹に自信がある方は、色々なお店で食べ比べるのも面白いかもしれません。

 

遊覧船「宮古うみねこ丸」に乗船

 昼食後はレストハウスから10分くらい離れた浄土ヶ浜桟橋まで移動し、ここから出崎ふ頭まで遊覧船「宮古うみねこ丸」に乗船しました。約30分の船旅です。何でもこの遊覧船、利用客の減少や現存船の老朽化により、2021年1月には運航を終了したんだそうです。しかしその後、運航再開を望む多くの声が寄せられ、クラウドファンディングにより募った資金を使って遊覧船を新造することになり、そして昨年7月に営業を再開したという、“奇跡の復活”を成し遂げた遊覧船です。

 新造されたばかりの船ということで船内設備も使いやすく整備されており、浄土ヶ浜をイメージしたエメラルドグリーンが配色された外観も美しさを保っています。船内での案内放送によると、この船は双胴船という船体形状で、2つの船を横に並べたような形をしており、横波に強いという特徴があるとのことです。そして下の写真は1階と2階の客室です。

 船内からは、陸上から眺めるのとはひと味違う浄土ヶ浜の景色を楽しむことができます。また、付近にはカモメやウミネコが飛来し、乗船客が購入したエサ目当てに多くのカモメたちが遊覧船に近寄ってきます。2月の沼津旅行で遊覧船に乗船した際には僕も餌やりを楽しみましたが、今回は遠慮しました。子どもがパンをちぎって船外に差し出すと、要領のいいカモメたちはうまい具合にキャッチしていきますが、モタモタしてなかなかパンにありつけないカモメもいます。まるで鈍臭い自分を見ているようで、「頑張れ!カモメさん!」と心の底から応援したくなりました🙂。

 

 

田老地区を訪問

 出崎ふ頭で遊覧船を下車した後は再びバスに乗車し、今度は宮古市田老地区に向かいました。誰しもが知る、東日本大震災津波による甚大な被害を受けた街です。今回は実際に津波の現場に居合わせた案内人さんの解説を聞きながら、現在の現地の姿を見学します。

 僕自身はこれまで、幸いにして大きな地震や火災、事故などに巻き込まれた経験はありません。東日本大震災の発生直後も、大津波が防潮堤を乗り越えて街中に海水が押し寄せる映像や福島第一原子力発電所の事故の様子などをテレビ画面越しに見て、とんでもないないことになったとただただ驚くばかりでした。しかし今回、団体旅行の一環とはいうものの、実際にその場所に足を運び、案内人さんの話を聞いていると、当時の壮絶な田老地区の様子が目に浮かび、住民の方々の気持ちを思うと、胸を締め付けられるような思いがしました。今回のツアーでは、主に田老地区の防潮堤と、津波被害を受けた当時の姿をそのまま残すたろう観光ホテルを見学することができましたので、その一部を紹介します。

 上の写真は、東日本大震災の発生前からあった防潮堤に登って撮影したものです。平屋の建物の奥に新しいコンクリート造の構造物が見えますが、これが震災後に新たに造られた防潮堤で、従来のものより5mくらい高いそうです。また、道路との交差部にある開口部分は、津波注意報や警報が発令された際に自動で閉門するよう設計されており、機能性や安全性も大きく向上しているとのことでした。ちなみに震災前からあった防潮堤は、一部は現存するものの、ほとんど壊されてしまった箇所もあるそうで、津波の威力が桁外れであることを実感できました。

 こちらの写真は、震災遺構として有名なたろう観光ホテルです。その特徴的な姿は報道番組で取り上げられることもあるようで、僕もニュース映像などで見た覚えがあります。地震そのものの影響はなかったものの、津波によって6階建ての建物の4階までが浸水し、1階と2階は内装や外壁が完全に破壊されて鉄骨が剥き出しとなっており、こちらも大津波の恐ろしいほどの破壊力を感じることができます。今回は、この建物の6階にあるホテル時代の客室にも入ることができました。建物全体が2011年3月11日で時が止まっているかのような不思議な感覚です。こうした貴重な震災遺構や震災の教訓は、次の世代にも確実に引き続いでいかなければならないですね。

 そんな感じで岩手乗り鉄旅の1日目を終了し、その後は宿泊施設に向かいました。明日はいよいよ待望の「SL銀河」に乗車します。大きなお風呂に入ってしっかり身体を休め、明日の乗り鉄旅も楽しんでいきたいと思います。それでは次回に続きます。

>>(2)に続く

大阪“グルメ”旅に行ってきました

 僕のブログをお読みいただいている皆様方、大変ご無沙汰しております。約1か月ぶりに戻ってきました。この間、状況報告すらしておらず、「あいつは3年前の腎盂腎炎が再発して入院でもしているのか?」などとご心配いただいた方がいらっしゃったとすれば、大変申し訳ないことをしてしまいました。お詫びいたします。そこでまず最初に報告させていただきますが、僕は死んでおりませんし(当たり前ですがね…)、入院もしておりません。今はフツーに元気にしております。

 では、この1か月の間、何があったのかを順を追って説明しますと、まず4月8日には、「青春18きっぷ」の最後の1回分を利用して乗り鉄旅に出かけることを予定していたところです。しかし、4月3日に異動後の新しい職場に初出勤したまではよかったものの、翌4日の正午頃から少し身体がだるくなり始め、大事をとって午後休を取って早めに帰宅しました。帰宅後すぐに布団に入って身体を休めましたがだるさは続き、ついには微熱の症状も出てきたことから、「ひょっとして新型コロナか?」と心配になり、5日も休暇を取得して近くのクリニックを受診しました。クリニックでは新型コロナとインフルエンザのPCR検査を受け、結果は陰性であることが確認できましたが、身体のだるさと微熱の症状はなかなか改善せず、6日の朝になっても出勤できる状況ではなかったことから、結局は4月の第1週のうち半分を休むことになってしまいました。7日になって少し症状が改善したため何とか出勤することができたものの、全く本調子ではなく、8日に予定していた乗り鉄旅も中止することにしたものです。そのため、今季の「青春18きっぷ」を1回分残すことになってしまいましたが、体調が不完全なまま旅行に出かけ、さらに回復が遅れて職場に迷惑をかける訳には行かないので、やむを得ないこととして諦めました。

 その後、最近の出来事を振り返ってみると、人事異動によって4月から職場が変わるということで多少の緊張感が続いたことや、季節の変わり目で1日の中での寒暖差が激しい日も多いこと、さらには花粉症による鼻詰まりで息苦しい日が続いたことなど、あまりよくない条件が色々と重なってしまったことで、自覚はなかったものの、僕の身体は3月下旬頃から不調を訴えていたのではないかと思えてきました。そのため、その翌週の週末となる15日と16日も大事を取って買い物程度の外出に留め、乗り鉄旅は控えることにしました。こうしたことから、結果としてブログを更新するネタがなかったという訳です。

 僕自身、「青春18きっぷ」を使った5回目の旅に出かけ、その思い出を皆様に紹介できることを楽しみにしていましたので、残念な気持ちでいっぱいです。次の18きっぷシーズンにはリベンジを果たしたいと思っていますので、その際にはどうぞ、お付き合い頂ければと思います。また今回の件で、僕ももう若くないということを強く思い知ることとなりましたので、体調管理には今まで以上に気をつけていかねばならないことを新年度早々から実感させられた次第です。

 さて、いつものように前置きが長くなってしまいましたが、ここからいよいよ今回の乗り鉄旅を紹介していきたいと思います。まず肝心の行き先ですが、大阪に決めました。もともと「青春18きっぷ」の5回目として計画していた旅先が大阪だったことと、3月下旬に東京に行ったため、今回は反対方面になる大阪にしようと思ったというのがその理由です。鉄道で行くことはもちろんとして、大阪であれば近鉄特急を利用する方法もあるのですが、今回は後から紹介する理由により新幹線を選択しました。そうと決まればあとは大阪での旅行行程を組む訳ですが、思い返すと僕はまだ天保山ハーバービレッジ海遊館のある大阪港付近に行ったことがありません。特に海遊館は以前から一度は行ってみたいと思っていたことから、今回は大阪港エリアに足を伸ばすことにしました。他にも有名なクレープ店や友人Mと一緒に食べた思い出のたこ焼き屋さんにも立ち寄ってみようということで、乗り鉄旅というよりも、ちょっとした“食いだおれ”のグルメ旅(という程のものでもありませんが…)を計画しました。それでは早速、旅の様子を紹介して行きますね😄。

 

 

名古屋駅から新幹線に乗車

 最寄り駅から名古屋駅までの間は省略し、名古屋から先をお伝えします。今回も時間に余裕を持って早めに名古屋駅に到着しました。旅のスタートということで記念にパシャリ📸

 名鉄線から新幹線に乗り換えるため、名古屋駅の中央コンコースを太閤通口に向かって歩いていると、新幹線改札口付近やきっぷ売り場の窓口がかなり混雑していました。最初のうちは、「最近はどこも人出が多いようなので、やっぱり新幹線も賑わっているな〜。」くらいに思っていたのですが、何やら周囲の様子を見ているとどうやらそれだけではないようで、もしやと思い発車標を確認すると、運転を見合わせているとのことでした😭。どうやら名古屋―岐阜羽島間で線路内に人が立ち入ったとの情報があったようで、その捜索のため一時的に列車の運転を取り止めているようです。

 うーん、どうしたものか😰と悩んでいたところ、8時少し前になって運転が再開されました。数時間にわたって運休が継続したらどうしようと心配していたため、思ったよりも早く運転が再開されたことはよかったものの、50分程の遅れが発生していました。今回はいつものとおりJR東海ツアーズの乗車票を利用しているため、ルール上、指定列車以外に乗車することができず、また、新たに乗車券を手配しようにも駅のきっぷ売り場は長蛇の列です。ここで再びどうしたものかと思いを巡らしていると、指定券を所持している乗客に対して、乗車後の対応を呼びかける案内放送がありました。状況が状況なだけに、要は臨機応変にお願いしますという趣旨だろうと受け取り、運転再開後に名古屋駅に到着した「のぞみ491号」の自由席に乗車しました。(写真は新大阪駅到着後のものです。)

名古屋から新大阪まで乗車したN700:新大阪駅 2023/4/22

 もし必要であれば、車掌さんや駅係員の方に状況を説明した上で精算すればいいと思い、新大阪駅で出札担当の方に確認すると、列車ダイヤが乱れた場合の取扱いとして、今回は精算不要ということでした。思いがけないダイヤの乱れに巻き込まれてしまいましたが、「のぞみ」号に乗車したことで予定時間よりも少し早い時間に新大阪駅に到着することができました。

 話が少し脱線しますが、JR東海の新しい東海道新幹線のCM『会いにいく、が今日を変えていく。』っていいですよね、僕はこのCMが大大大好きです😄。企業のCMでこれほど心惹かれるものを僕は他に知りません。

 JR東海の公式YouTubeチャンネルでは、UAさんが歌唱するTVCM版のフルバージョン(?)のほか、賀来賢人さんが出演し歌唱する別バージョンも視聴可能となっており、飽きることなく何度も見ています。限られた短い時間の中に東海道新幹線の魅力が凝縮されており、東京から新大阪までの沿線各地の印象的な景色が映像として映し出されると、あたかも自分が新幹線に乗車しているようなワクワクした気分になり、今すぐにでも旅に出たくなる感じがします。そう、僕が今回、大阪までの往復で東海道新幹線を利用しているのも、このTVCMの影響を受けた人間の一人だということです。

 

天保山ハーバービレッジに到着

 さて、無事に新大阪に到着してからは、地下鉄で大阪港に移動しました。大阪の地下鉄に乗車するのは久しぶりで、御堂筋線新大阪駅が地上にあることをすっかり忘れていました😅。本町で中央線に乗り換えて大阪港駅で下車しましたが、大阪港駅も地上区間にあるんですね、初めて知りました。大阪港駅から歩くこと約10分、天保山ハーバービレッジに到着しました。

 目の前にはレゴブロックで作られた大きなキリンと大観覧車があり、これを横目にさらに進むと、程なくして海遊館が見えてきました。

 

いよいよ海遊館に入館

 海遊館はなかなか派手な外観です。鯉のぼりかと思いきや、ジンベイザメやペンギンと思われるのぼりも風に泳いでいます。

 海遊館は日本でも有数の大規模な水族館で、巨大なビルのような水槽の中を遊泳するジンベイザメが見どころとなっています。館内では「日本の海」「アリューシャン列島」「太平洋」などそれぞれの地域に生息する海の生き物たちが展示されており、世界各地の様々な自然環境を感じながら鑑賞することができるようになっていました。

 本来であれば一つ一つの水槽をゆっくり鑑賞したいところですが、土曜日ということで館内は混み合っていました。子ども連れのご家族も多く、水槽の前で長居をしてしまうと他の方の迷惑になってしまうため、ひと通りすべての水槽を見て回ることを優先して見学しました。その中で気になったいくつかの水槽の前で写真を撮影してみたので、ここにアップしておきます。まあ、自分でも分かっていますが、下手くそな写真ばかりです。動きの遅い生き物はまだいいのですが、動きが速い生き物はシャッターチャンスが限られていて、ほとんど“空振り”状態です。海遊館に来たからには、やはりジンベイザメをうまく写真に収めたかったのですが、こちらも思ったようには撮影できませんでした。まあ、僕の実力ではこんなもんです😟。

 

帆船型観光船サンタマリアに乗船

 海遊館のすぐ近くの波止場を発着する観光船がサンタマリアです。大阪湾内を約45分で周遊しており、その名のとおりコロンブスの旗艦サンタマリア号をモチーフにしたもので、ちょっと面白そうだったので乗船してみました。

 乗船後、しばらくは後方のデッキにいたのですが、せっかくなので船首部分にあるオープンデッキスペースに行ってみました。しかし、凄まじい海風です。踏ん張らないと立っていられないくらい強い風が吹きつけてきます。やはり陸上と海上では様子が全く違いますね。下の写真は海風が少し収まったところを見計らって撮影しました。

 この日は快晴で眺めもよかったため、船からの景色は最高です。多くの方が船上からの風景を撮影しており、僕もちょっと撮影して見ました。遠くに見えるのがユニバーサルスタジオジャパンです。久しぶりに行きたいな〜😗。

 ここで船内をちょっと探索しました。この観光船は4階建てで思った以上に広く、1階客室には資料や機器類の展示スペース、2階にはテーブル席を備えたフードカウンターがありました。フードカウンターのメニューを見るとライスバーガーがあり、久しぶりに食べて見たくなったので注文し、テーブル席でいただくことにしました。レンチンだと思うのですが、めっちゃ熱かったです😣。テーブル席から客室内をパシャリ📸しました。

 

 突然ですが、僕はコーヒーが飲めません。そのため、これまでにスターバックスを利用したことがありません。コーヒーが飲めない自分が行く店ではないと勝手に思っていたからです。しかし先日、スターバックスにはコーヒーだけでなくフラペチーノというものがあることを知り(そんなことも知らなかったんです😓)、特に最近はメロンオブメロンフラペチーノというメロン好きにはたまらない商品が発売されたようで、メロン好きとして一度はスタバに行ってみようと思っていたものの、僕にとってスタバの敷居は高く、なかなか決心が付かずにいました。そしてたまたま、サンタマリアの波止場のすぐ近くにスタバがあったことから意を決して入店し、鼓動が高まるのを感じながら何とかメロンオブメロンフラペチーノを注文しました。極度の緊張のためが頭が真っ白になってしまい、なぜかドーナツ2つもあわせて購入してしまいました。フラペチーノは期待していたとおりの味わいで、またドーナツ2つのおかげで昼食が要らないくらいの腹具合になりました😅。僕の初スタバ記念日です。

 

露天神社を参拝

 ここで天保山に別れを告げて、他のお楽しみ(?)のために一旦、梅田に向かいました。朝は名古屋駅をカメラに収めたので、今度は大阪駅をパシャリ📸です。

 約束の時間まで少し余裕があったので、ふらふらと梅田界隈を歩いていると、大阪駅から10分くらいの曽根崎に露天神社(通称:お初天神)という神社を見つけました。

曽根崎という地名を聞けば真っ先に近松門左衛門の「曽根崎心中」を思い浮かべるのですが、何でもこの作品は、この神社の境内で実際にあった心中事件を題材に作られたものなんだそうです。そのためか、縁結びのご利益に預かることができる「恋人の聖地」とされており、境内には恋愛成就を願う可愛らしい絵馬がたくさん奉納されていました。神社でありながら、ちょっとした癒しのスポットのようです。

 

クレープリー・アルションでクレープ

 お次は難波です。難波にはクレープ好きな人なら誰もが知っていると言われるほど有名なクレープ屋さんがあり、それが今回訪問したクレープリー・アルションさんです。

 黄色の壁とレンガ造りが特徴的な小さな洋館で、フランス国旗が掲げられた可愛らしい店舗です。僕は午後3時40分くらいに到着したのですが、付近には長い行列ができていました。どうやら店内で飲食をする人が並ぶ列と持ち帰りの人が並ぶ列とがあるようで、長蛇の列となっているのは持ち帰りの方でした。店内で飲食する方も数人の待ちがあり、僕も30分弱並んで待ちました。

 そこで注文したのがはちみつレモンのクレープセットで、ドリンクは季節の紅茶です。いつも言っているとおり食レポは大の苦手なため味の表現は割愛しますが、クレープ好きでない方も含めて一度は食べてみる価値のある美味しさです。はちみつレモンのトッピングの美味しさもありますが、クレープ生地の風味や食感が癖になりそうで、このクレープであればすぐにでも追加でもう一枚食べられそうです。おそらく素材や製法にもこだわりがあるのだと思います。今回は直感的にはちみつレモンのクレープを選びましたが、種類は豊富で、ガレットなどもありました。ランチコースなども用意されていたことから、また機会があれば是非その他のメニューもいただいてみたいです。
 ここで皆様にお知らせです。経験した僕だからこそ確実にお伝えできることは、おっさん1人での店内飲食は想像以上にハードルが高く、他人のどんな視線にも耐えうる強靭なメンタルが不可欠だということです。

 

通天閣を初訪問

 またまた移動して、次は通天閣にやってきました。通天閣は、大阪城、道頓堀のグリコサイン、太陽の塔あべのハルカスなどと並んで大阪を象徴する建造物のひとつと言えるでしょう。僕はこれまで何度が大阪に遊びに来ているのですが、実は通天閣を訪れるのは今回が初めてです。日中なのでネオンサインが輝く姿を見ることはできませんが、展望台に上ることを楽しみにしていました。

 しかし案内によると展望台に上るまでの待ち時間が約40分ということで、待つか諦めるか微妙な待ち時間でしたが、まあ、外からでも通天閣の姿を見ることができたので、今回はこれでよしとし、展望台への入場は諦めました。

 

たこ家道頓堀くくるでたこ焼き

 今回の旅もいよいよラストです。大阪と言えば粉もんが有名ですが、僕は長らく大阪でお好み焼きやたこ焼きを食べていませんでした。そういえば以前、西九条に住んでいた友人Mに連れられて大阪市内を2人で観光した際、友人Mの勧めで道頓堀の太左衛門橋近くにある「くくる」という店でたこ焼きを食べた思い出があります。普段は何かと食べ物にうるさい友人Mが太鼓判を押すイチオシということで、今でも「くくる」という店名を覚えています。そんな「くくる」が新大阪駅の新幹線改札内にあるということを知り、復路の新幹線出発前の時間を利用して久しぶりに「くくる」のたこ焼きをいただくことにしました。

 ふわとろ食感が特徴で、なかなか他の店では味わうことができません。できたてアツアツのたこ焼きをふぉっふぉしながら美味しくいただきました。

 

新大阪駅から新幹線に乗車

 今日は一日で色々な場所を巡りながらグルメを堪能しましたが、いよいよ大阪ともお別れです。ちょっと名残り惜しですが、新幹線に乗車して帰ります。

東海道新幹線N700AとN700S:新大阪駅 2023/4/22

 復路では新幹線の運休や遅延に巻き込まれてしまいましたが、帰りの新幹線は予定どおりの列車に乗車することができました。車両は久しぶりのN700Sです。最近はN700Aに乗車する機会ばかりだったので、N700Sが新鮮に見えます。N700AとN700Sの外観は酷似していますが、車端部にあるフルカラーの車内案内モニターや普通車のアームレストに装備されたモバイルコンセントなど、内装面ではN700Aから着実に進化しています。

 客室内はN700Aよりも明るく感じられ、どちらかと言えば僕はN700Sの方が好きです。

 そして今日は各地でグルメを楽しんだため、もうお腹いっぱいです。当初は新大阪駅で駅弁を買って車内でいただく予定でしたが、とても弁当1人前を食べられそうになかったので、代わりにカツサンドを購入しました。ハニーマスタード味のカツサンド、なかなかいいですね。まあ僕の場合、新幹線の車内で食べるだけで美味しさが50%ほどアップするようです。

 

乗車券類の紹介

 今回の乗り鉄旅で使用したきっぷ類としては、JR東海ツアーズの乗車票のみです。僕の希望どおり、2人掛けの窓側座席を手配していただけたJR東海ツアーズには感謝です。ちなみに旅行商品に付属する“ずらし旅”のクーポンは、帆船型観光船サンタマリアへの乗船で使用しました。

 以上が大阪乗り鉄旅の紹介です。ひとまず無事に乗り鉄旅を終えることができ、どこか安心しています。そして4月も後半になり、そろそろゴールデンウイークが近づいてきました。せっかくの連休を無駄にしないよう、次の乗り鉄旅に向けた準備も進めていきたいと思っています。