レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

西九州新幹線と2つの観光列車に乗車する九州乗り鉄旅(3)

 前回の記事からの続きです。

 1泊2日の九州乗り鉄旅の2日目となります。ちなみに今回の旅行では、JR東海ツアーズが発売している旅行商品「ダイナミックぷらっと」の博多シングルを利用しており、宿泊は博多駅の目の前にあるコンフォートホテル博多を選択しました。博多駅の博多口から徒歩約1分との案内がありましたが、駅前の横断歩道を渡るとすぐにホテルがあり、博多駅を利用する方にとっては非常に便利だと思います。そして今回の旅行代金は31,900円(早割による500円引後の額)でしたが、ご存知のとおり10月11日から全国旅行支援が開始され、運よくその適用を受けることができたため、8,000円が割り引かれて実負担額は23,900円となりました。さらに3,000円分のクーポン券までいただけたので、当初の予定よりもかなりオトクに旅行することができました。

 そんないい事ずくめの乗り鉄旅ですが、ここからは2日目の乗り鉄旅を紹介したいと思います。2日目の主な目的は2つで、1つ目は博多南線博多南駅までを往復すること、そして2つ目は西鉄のレストラン列車である「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗車することです。順番としては、まず最初に「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗車して、その後に博多南線を利用してもよかったのですが、時間的には先に博多南線博多南駅までを往復することができそうだったので、こちらを先に乗車する行程としました。

博多南線での運用に就く700系新幹線:博多駅博多南駅 2022/10/15

 まずは今回乗車する博多南線ですが、鉄道ファンでない方だと、あまり聞いたことがないかもしれません。博多南線は、博多駅の南方にある新幹線の車両基地(博多総合車両所)までの回送線を旅客線化して誕生した路線で、新幹線用の路線を新幹線車両が走っているものの、あくまで在来線の扱いになっているという、国内ではあまり例のない、ちょっと変わった珍しい路線です(これに似た例として、上越新幹線越後湯沢駅ガーラ湯沢間があります)。

 旅客線化の背景には、古くからの地元住民からの強い要望があったようで、1990年に開業しました。九州内で完結する路線でありながら、山陽新幹線を運営するJR西日本の路線となっているのは、こうした旅客線化に至る経緯が影響しています。ちなみに博多南線が開業する以前は、車両基地のある那珂川町から博多駅まで、路線バスで1時間近くかかっていたものが、博多南線の開業によってその所要時間は大幅に短縮され、現在では10分程度となっていることから、地元住民の方が旅客線化を要望し続けたということも納得できます。

 今回乗車した車両は、上の写真のとおり往復とも700系レールスターでしたが、これ以外に500系N700系で運行されることもあります。また、一部の列車は山陽新幹線との直通運転を行っているものもありますが、博多南駅でのホーム有効長の制約から、使用車両は8両編成に統一されています。

 博多南駅は博多総合車両所の一角に位置しており、ホーム上からは広々とした車両基地の様子を眺めることができます。東海道新幹線にも大井車両基地や鳥飼車両基地がありますが、この博多総合車両所山陽新幹線の大規模な車両基地のひとつとなっています。僕が訪れた時間帯には、多くの新幹線車両がずらりと並んでおり、なんだか胸踊らされるようで気持ちが高ぶってきます。N700Aをはじめとする見慣れた新幹線車両ですが、これだけの数の車両が一同に会しているのを見る機会はなかなかなく、車両基地ならでは光景が広がっていました。

 乗車券と特急券は、往復分をまとめて博多駅で購入しました。博多南線には途中駅はなく、始発駅の次は終着駅となる訳ですが、列車はすべて特急扱いとなっているため、乗車には特急券が必要になります。と言っても特急料金は片道100円で、博多―博多南間の乗車券を含めてもたった600円で往復することができます。実際に乗車してみると、僕が思っていた以上の乗車率に少し驚きました。乗車時間は10分程度で、しかも片道300円で移動できるということで、地元の方は日常的に利用しているようです。

 博多からは西鉄福岡(天神)に移動し、ここからはいよいよ「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗車します。「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗車するには、団体旅行商品を購入する必要がありますが、こうした商品によくある2名以上といった制約はありませんので、1人でも申し込むことができ、ひとり旅を楽しみたい方にとっても利用しやすいものとなっています。「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は最近まで、カフェコース1便、ランチコース1便そしてディナーコース1便の計3便運行されていましたが、9月から運行体制が見直され、アーリーランチコースとレイトランチコースの2便運行となりました。アーリーとレイトで運行ルートは異なりますが、提供される料理は共通のようです。僕は今回、このうちアーリーランチコースを利用することにしましたが、その運転時刻は次のとおりです。

         

 福岡(天神)駅から花畑駅までを単純に往復するものですが、公式ホームページを見ても花畑駅の発着時刻は記載されておりません。乗車時間は約2時間20分で、車内では前菜からデザートまでのコース料理を楽しむことができます。ちなみに僕はインターネットを利用して専用のWebページから申し込みましたが、事前に乗車票やパンフレット類が郵送されてくるのではなく、メールで送られた最終案内画面が乗車票の代わりとなっていました。

THE RAIL KITCHEN CHIKUGOで使用されている6050形:福岡(天神)駅・花畑駅 2022/10/15

 福岡(天神)駅の有人窓口でメール画面を提示し改札を通り、待合スペースで待つことしばし、「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」が入線してきました。
 「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は、他社の多くのレストラン列車と同様、新造ではなく既存の6050形を改造して誕生したもので、2019年3月に運行を開始しました。外装はキッチンクロスをモチーフにしたポップなデザインで、都会的でありながらカジュアルな感じが伝わってきます。先頭の方向幕部分には何やらネオン表示のようなものがあり、最初は何が書かれているのか分かりませんでしたが、後から調べてみると「hello」という文字だったようです。

 また、外観上の特徴としては、鉄道車両としては珍しく側窓が格子状となっており、街中にあるレストランのような雰囲気となっています。車両の種車は古く、正直、最新型の車両と比べるとやや不格好な印象ですが、レールキッチンというコンセプトを見事に表現したデザインになっており、乗車する前から期待に胸が膨らみます。

 続いて車内を紹介したいと思います。「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は全3両編成で、1号車と3号車はすべてが客席スペース、そして2号車はオープンキッチンスペース(一部に客席スペースあり)となっています。全体的には2人用の座席が多いようですが、1号車の運転席寄りには最大6人で利用可能な大型テーブルを備えた座席や、ボックスタイプの4人用の座席も用意されており、様々な利用形態に対応しています。乗車中や花畑駅での停車時間を利用し、各号車内の様子を少し撮影しました。

1号車

 僕が今回乗車したのは、この1号車です。車両中央部に客用扉があり、乗務員の方が利用するテーブルが置かれています。車内はまさにカフェレストランといった感じで、先ほど紹介した格子状の窓やそこに取り付けられたカーテンが、お洒落で素敵な空間を演出しています。2番テーブルから7番テーブルまでが2人用の座席となっていますが、改造車ということで座席と窓位置が一致しておらず、景色を眺めるにはやや不向きな座席もあります。しかし、特に車窓を楽しむポイントがある訳ではなく、車内での食事がメインの列車になるため、それほど気にならないのではないかと思います。

2号車

 オープンキッチン付近は、あまり邪魔になることのないようにと、通路からやや遠慮がちに撮影したため、その全体の様子は分かりにくいですが、予想していた以上に本格的なキッチンです。この車両が誕生した直後には、“車内にピザ窯のある鉄道車両”として話題になりましたが、残念ながら実物の窯を撮影することはできませんでした。
 2号車には、オープンキッチン以外にも、4人用の座席スペースが2区画あります。キッチンからのいい匂いが漂ってきそうな“当たり席”ですが、今回乗車した便では、この座席を利用している方はいませんでした。

3号車

 3号車も1号車とほぼ同じ雰囲気ですが、座席の配置が若干異なっています。今回乗車した便では乗客がいませんでしたが、一部のテーブル上には紙のクロスが敷かれて食器類も用意されていました。僕が利用したアーリーランチコースでは、すべての乗客が1号車に乗車しましたが、ひょっとするとレイトランチコースでは3号車を利用するというような、使い分けがなされているのかもしれません。僕が3号車の車内を撮影しようとしていたところ、乗務員の方が僕に気付き、わざわざスペースを空けてくださり、上の写真を撮影することができました。

 そして、レストラン列車の最大の楽しみである料理の数々も写真に収めましたので、ここでまとめて紹介したいと思います。

 ちなみに今回の旅行代金は8,800円で、これまで乗車したレストラン列車の中では比較的リーズナブルな値段でしたが、他のレストラン列車と比べて、車両やサービス面で見劣りするようなことは全くありませんでした。発車早々にウエルカムドリンクが提供され、また、料理は前菜から魚料理、肉料理、デザートに至るまで見た目にも美しく、味も十分満足いくもので、コストパフォーマンスほ非常にいいと感じます。また、僕にとってはちょうどいいタイミングで次の料理が提供されたため、心地よい優雅なランチ旅を味わうことができました。

 最後にきっぷ類の紹介ですが、今回は先にお話ししたとおり、紙の乗車票類はありません。そのかわりに車内で車掌さんから記念乗車券が配布されました。「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の車両のデザインをそのまま乗車券にしたもので、画像だとちょっと分かりづらいですが、乗客自身で乗車日を入鋏することができるようになっています。最近の鉄道では、きっぷに鋏を使って切り込みを入れるようなことはほとんどなく、目にすることもないことから、貴重な経験ができたと思っています。

 以上で今回の九州乗り鉄旅は終了となります。全国旅行支援が開始されて迎えた初めての週末ということもあり、全体的に人手が多かった印象です。特に博多駅の混雑は想像以上で、1日目の「リレーかもめ」乗車前にきっぷを券売機で受け取る際には、長蛇の列となっていました。僕は発車時間まで余裕があったため、そこまで焦ることはありませんでしたが、もし時間ギリギリだった方がいたとすれば、乗り遅れてしまう危険性もあったと思います。行楽シーズンということもあり、しばらくはこうした状況が続くのかもしれません。やはり、何事にも多少の余裕を持った行程としておくことが大切ですね。こうした教訓は、次回以降の乗り鉄旅にも活かしていこうと思います。