レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

西九州新幹線と2つの観光列車に乗車する九州乗り鉄旅(1)

 9月23日、ついに西九州新幹線(武雄温泉-長崎間)が開業しました。以前は整備計画上の路線名であった「九州新幹線(西九州ルート)」であったり、一般の方にも分かりやすく「長崎新幹線」と呼ばれることもありましたが、現在は「西九州新幹線」という路線名が定着しつつあるようです。西九州新幹線の開業日前後には、テレビの情報番組で採り上げられることも多く、JR九州の発表によれば、開業当日の一番列車となる「かもめ」号(下り1号・上り2号)の指定席は、発売からわずか10秒で完売したそうです。僕のような鉄道ファンにとってはもちろんですが、これまで県内に新幹線停車駅が全くなかった長崎県民の方にとっては、待望の新幹線開業ということで感慨深いものがあったことと思います。

 しかし、現在の西九州新幹線は一部区間での暫定開業であり、博多まで直通させるための整備方式やルートをどうするのかという大きな課題が残されたままになっています。国土交通省JR九州などは、武雄温泉―新鳥栖間も既開通区間と同じフル規格(新鳥栖―博多間は九州新幹線と共用区間)で整備する方針であるのに対し、佐賀県は費用負担の問題からこれに反対しており、既設路線を利用して最高速度時速200km程度で走行するフリーゲージトレイン(略してFGT)を導入することや、フル規格で整備するとした場合でも、佐賀市北部を経由するルートや佐賀空港を経由するルートを検討すべきとする「幅広い協議」を求めています。今のところ両者の主張は並行線状態で具体的な進展が見られず、中には西九州新幹線が博多まで直通する日は来ないのではないかという悲観的な見方もある程です。

 そんな先行き不安な要素もある西九州新幹線ですが、そのお膝元である佐賀・長崎両県では、10月から“あなたの旅のコンパスをSとNへ”をキャッチコピーとしてデスティネーションキャンペーン(佐賀・長崎DC)が始まりました。その主役は西九州新幹線であることは間違いないでしょうが、今回の佐賀・長崎DCでは、長崎と佐賀を結ぶ新たな観光列車「ふたつ星4047」が誕生した点も注目されるところです。

 季節は秋となり、絶好の行楽シーズンとなりました。そこで今回、夏から続いた大きな仕事が一段落したこともあり、約1年ぶりに1泊2日で九州の乗り鉄旅に出かけることにしました。実はすでに1か月以上前から計画を進めて行程を組み立てており、今回の旅行にあわせて1か月前の発売開始直後に指定券も確保するなど、着々と準備を進めていたものです。せっかくの2日間を有効に利用したいと思い、1日目には西九州新幹線「かもめ」号と「ふたつ星4047」に乗車し、2日目には以前から一度乗車してみたいと思っていた博多南線西鉄のレストラン列車である「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗車してみることにしました。これらを踏まえた今回の乗り鉄旅の全行程は次のとおりです。

10月14日の旅行行程

10月15日の旅行行程

    

 九州での起点は博多で、1日目はまず、「リレーかもめ」号に乗車して西九州新幹線の出発駅である武雄温泉を目指します。先ほどお話ししたとおり、西九州新幹線は武雄温泉―長崎間での運行となっているため、博多からは在来線を利用して武雄温泉に行くことになります。武雄温泉からは「かもめ」号に乗車して終点の長崎に向かい、長崎からは「ふたつ星4047」で武雄温泉に引き返し、武雄温泉から再び上りの「リレーかもめ」号で宿泊地の博多まで戻るというものです。

 そして2日目はまず、博多から博多南線を利用して博多南までの間を往復した後、地下鉄で天神に行き、西鉄天神大牟田線西鉄福岡(天神)から花畑までの間の往復で「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に乗車します。その後は再び地下鉄で天神から博多に移動し、博多から帰路につくというものです。

 西九州新幹線や「ふたつ星4047」に乗車するのはもちろん初めてですし、長崎駅を訪れることも、西日本鉄道を利用するのも初めてです。計画段階では、欲張っていくつも詰め込みすぎないように気をつけましたので、これまでの九州乗り鉄旅と比べると、全体的に余裕のある行程に仕上がったと思います。

 では早速、武雄温泉に向う「リレーかもめ」号から紹介したいと思います。

リレーかもめ号で使用されている787系博多駅 2022/10/14

 JR九州では、西九州新幹線の開業にあわせて在来線特急を再編し、従来の「かもめ」号は運行区間門司港吉塚・博多―佐賀・肥前鹿島・長崎から門司港・博多―武雄温泉に変更した上で、列車名も「リレーかもめ」号となりました。また、これに伴い肥前山口(江北)―肥前鹿島が「リレーかもめ」号の運行経路から外れてしまうことから、これを補完する形で門司港・小倉・吉塚・博多―佐賀・肥前鹿島を結ぶ在来線特急として「かささぎ」号が新設されました。

 また、「リレーかもめ」号は、武雄温泉駅で新幹線「かもめ」に接続することになっており、その役割を「ハウステンボス」号や「みどり」号が担う際には、「ハウステンボス(リレーかもめ)」号や「みどり(リレーかもめ)」号と呼ばれています。そんな「リレーかもめ」号にはいくつかの形式の特急型車両が使われることになり、現在は787系885系そして783系が充当されています。どの編成で運行されるのかはあらかじめ固定されているようで、JR時刻表などを使って調べることができますが、僕は事前に調べていませんでした。そして、博多駅の在来線ホームで乗車予定の「リレーかもめ」号を待っていると、入線してきたのは8両編成の787系でした。よって今回は、787系の「リレーかもめ」号で博多から武雄温泉まで移動することになります。

 787系に乗車するのは、昨年9月の乗り鉄旅で「にちりんシーガイア」号と「36ぷらす3」に乗車して以来で約1年ぶりとなります。
 787系と言えば、以前は門司港・博多―西鹿児島(現在の鹿児島中央)間を結ぶ「つばめ」号として運用されていましたが、九州新幹線の暫定開業に伴って運行区間を博多―新八代間に短縮し、九州新幹線の博多延伸までの間は「リレーつばめ」号として活躍していました。その列車が、今度は西九州新幹線のリレー列車になろうとは、何とも不思議な縁のようなものを感じずにはいられません。

リレーかもめ号で使用されている885系武雄温泉駅 2022/10/14

 乗車した順序は入れ替わってしまいますが、「リレーかもめ」号のつながりということで、武雄温泉から博多まで乗車した「リレーかもめ」号を先に紹介します。博多行の上りの「リレーかもめ」号は885系でした。せっかくの機会なので、行きに乗車した787系ではない車両に乗車したいと思っていたところ、運よく885系に乗車することができました。885系に乗車するのも昨年9月以来のことになります。

 ちなみに武雄温泉駅は、在来線特急である「リレーかもめ」号と新幹線「かもめ」が同一ホームで乗り換えられる構造となっており、ホームを挟んで新幹線車両と在来線特急型車両とが並んでいる姿を見ることができます。乗り換え時間の関係から、行きに武雄温泉駅で乗り換えた際には、写真撮影する余裕がありませんでしたが、長崎からの帰りに再び武雄温泉で乗り換える際には、ホームの端から2つの列車が並んでいる姿を撮影することができました。

西九州新幹線かもめ号で使用されているN700S:長崎駅 2022/10/14

 ここからは、いよいよ新幹線の「かもめ」号を紹介します。車両は東海道・山陽新幹線でもおなじみのN700Sですが、西九州新幹線用のN700Sは6両編成で、従来のN700Sと同様に白を基調としながらもJR九州のコーポレートカラーである赤を車体下部に配し、オリジナル感あふれる外観となっています。16両編成の新幹線だと、ホーム上から車両全体を撮影することは困難ですが、6両編成であれば何とか車両全体を撮影することができます。水戸岡鋭治氏がデザインを担当したということで、同じく同氏がデザインを手掛けた800系新幹線の兄弟のような感じがしました。

 車体側部には、「かもめ」号の大きなロゴが描かれています。「KAMOME」と書かれているものと毛筆体で「かもめ」と書かれたものがあり、なかなかインパクトがあります。東海道新幹線には「のぞみ」「ひかり」「こだま」といった複数の種別があり、車両も共通で運用されているため、その愛称を車体にデザインすることはできませんが、西九州新幹線は「かもめ」に統一されているため、こうした表記が可能になったのだと思います。

 続いて車内の紹介です。一部の列車を除いて1号車から3号車までが普通車指定席、4号車から6号車までが普通車自由席となっており、グリーン車は連結されていません。山陽・九州新幹線N700系と同様、指定席車は2+2列、自由席車は2+3列配置となっており、自由席と指定席とで差別化が図られています。上の写真は、今回利用した指定席車のものです。自由席の車内には立ち入っていないため、写真はありません。車内の内装についても水戸岡鋭治氏がデザインしているということで、座席の背板に木材が使用されるなど、ちょっとした観光列車のような雰囲気が伝わってきます。一方、1号車のモケット柄はダークグレーで、新幹線らしい落ち着きのある空間となっていました。

 乗り心地で言えば、高速走行時の揺れも少なく、新幹線らしい申し分のない快適なものでしたが、個人的には座席の座り心地がやや気になりました。東海道新幹線N700系の普通車と比べると、ゆったりした座席であることは間違いありませんが、座席幅の広さを活かしてもう少しホールド感がある座席だと、より快適性が高まるのではないかと思いました。しかし、乗車時間は30分程度であることを考慮すれば、十分な座席だと言えるかもしれません。このあたりは個人の好みによるところが大きいと思います。

 実際に乗車してみると、始発の武雄温泉から終点の長崎まで、あっと言う間だったというのが率直な感想です。営業キロは69.6 km(実距離は66km)という日本で一番短い区間を走る新幹線で、途中駅が3駅(嬉野温泉、新大村、諫早の各駅)あるため、発車してしばらくするとすぐに次の駅に到着してしまいます。最新の新幹線であるN700Sですが、西九州新幹線での最高時速は時速260kmであり、山陽新幹線区間のような力強いパワフルな走りは感じられなかった点は少し残念でした。

 ここで「リレーかもめ」号と「かもめ」号の乗車に使用したきっぷを紹介しておきます。博多→長崎間については現在、JR九州からインターネット予約でのみ購入可能な企画乗車券「おためし!かもめネット早特7」が期間限定で発売されていたため、これを利用しました。博多→長崎間で「リレーかもめ」と「かもめ」を乗り継いで利用する際の運賃+特急料金の合計は6,050円(通常期)ですが、この企画乗車券は3,200円なので約47%引ということになり、大変おトクに「リレーかもめ」号と「かもめ」号に乗車することができました。

 また、武雄温泉→博多間の「リレーかもめ」号の乗車には、九州ネットきっぷを利用しています。正規の運賃+特急料金が3,410円(通常期)のところ、九州ネットきっぷでは2,200円と、こちらもおトクに乗車することができました。

 さて、「かもめ」号で長崎に到着した後は、再び武雄温泉を経由して博多に戻る訳ですが、今度は新幹線ではなく在来線を利用して武雄温泉を目指します。ここからは、西九州新幹線と同時に誕生した観光列車「ふたつ星4047」に乗車しますが、長くなってきましたので、今回はここまでにします。

 >>(2)に続く