レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

寝台特急サンライズ出雲に初乗車(2)

 前回の記事からの続きです。

 名古屋から新幹線を利用したため、在来線で予定していた到着時間よりも約1時間早く岡山に到着することができました。あらためて新幹線の速さを実感した次第です。特急料金を支払う価値というものが、よく分かったような気がします。

 そして、ここからは当初の予定どおりの日程で出雲市まで向かうことができます。岡山で昼食を食べて列車の撮影などをした後、予定よりもちょっと早めに備中高梁まで普通列車で移動しました。備中高梁でも時間に余裕があったので、改札外の駅1階にある「高梁ほっとカフェ」というところで涼みながら休憩することができました。何かにつけて、適度に時間に余裕があるのはいいのものです。休憩後、再び伯備線で山陰方面を目指します。

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やくも号で使用されている381系:岡山駅 2018/8/24

 出雲市に向かう伯備線では、特急「やくも」に乗車しました。使用されている車両は、381系という振り子式特急形車両で、国鉄期に製造されたものです。以前は「しなの」「くろしお」などとして他地域でも活躍していた車両ですが、現在は「やくも」のみで、さらに定期列車として運行されている数少ない国鉄形の特急車両でもあります。車齢は古いものの、内外観はリニューアルされており、座席も683系と同じものに交換されるなど、大幅にグレードアップされています。車体も“ゆったりやくも”塗装となっていますが、先頭車に付けられた国鉄特急のシンボルマークは健在で、最近の特急形車両にはない精悍さというか威厳のようなものを感じさせます。

 ちなみに「やくも号」には、一部の編成にパノラマ型グリーン車を組み込んだものがあります。少し昔のJR西日本には、「スーパーくろしお」「スーパー雷鳥」など、先頭車にパノラマ型グリーン車を連結した編成が多くありましたが、現存するのは「やくも」だけです。381系は、国鉄JR西日本の特急形車両の一時代を築いた、貴重な生き証人と言えると思います。

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 今回は、あらかじめ「やくも15号」に乗車することとしていたため、「e5489」で事前に予約しておいたものを岡山で受け取りました。備中高梁ー米子間は約110kmなので、A特急料金は2,350円となりますが、「e5489」では200円引で購入することができます。しかし、[チケットレス特急券]と印字された紙のマルス券というのも、おかしなものですね。

 米子で「やくも15号」を下車し、普通列車に乗り換えて出雲市に向かいます。この区間は予定どおり、青春18きっぷを利用しましたが、結果的には今日一日で青春18きっぷを利用した区間はほんのわずかということになってしまいました。

 出雲市駅に到着後、「サンライズ出雲」の車内で食べる夕食用の弁当や飲み物などを購入し、これから始まる12時間超の乗車旅に備えます。約25年ぶりに乗車する寝台特急ということで、ドキドキ感とワクワク感は最高潮に達しています。「サンライズ出雲」は出雲市駅が始発ですが、出雲市駅には発車数分前に西出雲方面から回送されて来るそうです。早々に駅での買い物を済ませて改札を入り、ホームで待つこと十数分、やっと今回の乗り鉄旅の主役のお出ましです。発車までの時間を利用して先頭車両の写真撮影をし、そそくさと車内に乗り込みました。

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サンライズ出雲号で使用されている285系出雲市駅 2018/8/24

 これが285系サンライズエクスプレスによる「サンライズ出雲号」です。先にお話ししたとおり、以前に乗車した寝台特急はくつる」では、583系の電車3段式の狭さに驚愕したこともあり、今回は贅沢してシングルデラックス(A寝台)に乗車することにしました。しかし、「サンライズ出雲」のシングルデラックスは、寝台券の確保が難しいことでも有名です。シングルデラックスのうち僕が希望する禁煙個室は、1編成の中にたったの3室しかありません。もちろん乗車日1か月前の午前10時の発売開始と同時に購入する必要があります。今回は、何とか「10時打ち」で希望の個室を確保してもらいました。

 サンライズエクスプレスの車内は、通路から客室内に至るまで、木目調のインテリアで統一されていました。個室の設計にはミサワホームという住宅メーカーも関わったということで、JRと住宅メーカーとの異業種コラボレーションにより実現したものだそうです。一般的に寝台車の車内というと、どうしても無機質で殺風景なイメージが持たれがちですが、サンライズエクスプレスの車内は、まるで新築住宅のような暖かみのある雰囲気です。

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シングルデラックスの室内

 シングルデラックスの個室内には、ベッドだけでなく洗面台やデスクも備わっており、コンパクトなビジネスホテルのようでありながら、閉塞感はありません。ベッドの大きさは1,960mm×850mmで、一般の男性でも充分な大きさです。また、ベッドが側窓に対して並列に設置されているため、横になりながら外の景色を眺めることもできます。さらに、シングルデラックスの乗客には専用のアメニティセットが用意されており、同じ号車内にあるA寝台専用のシャワールームを無料で利用できるシャワーカードも付いていました。B寝台やノビノビ座席の乗客がシャワーを利用する場合、車内でシャワーカードを購入する必要がありますが、発売枚数が限定されているため、特に夏場には発車早々に売り切れることも多いようです。A寝台であればこうした心配もなく、専用のシャワールームを使用することができます。

 僕も個室内で夕食のお弁当を食べた後、岡山到着の少し前にシャワールームを利用しました。電車内でシャワーを浴びるというのは初めての体験です。さっぱりするのはもちろんですが、電車内でシャワーを浴びていると思うと、何だかいつも以上に気持ちいいものでした。その後、いよいよ就寝することにしましたが、気持ちが高ぶってなかなか寝られません。シングルデラックスは付随車の2階に位置しているため、車両のモーター音や台車からの音は全く気になりませんが、かすかに聞こえる走行音がとても心地よく、乗り鉄的に言えば、まさに天国です。東京までと言わず、このまま日本一周してもらいたい気分でした。

 ちなみにサンライズエクスプレスに乗車する際の注意点ですが、ついつい車窓や夜空を見たまま寝入ってしまい朝方を迎えると、途中の停車駅でホームにいる人から寝姿が丸見えになってしまう可能性があります。シングルデラックスは2階のため、それほど気にはなりませんが、平屋部分や階下部分の部屋の場合、就寝時にはロールブラインドを下げておく必要があります。

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 ここで今回の旅で使用した乗車券と特急券・A寝台券を紹介しておきます。乗車券は出雲市から東京都区内までのもので、運賃は11,990円です。特急券と寝台券は1つになっており、こちらは120mm券です。特急料金は3,240円で、出雲市から東京までの距離を考えれば決して高いものではありませんが、寝台料金は13,730円となかなかの料金です。発車直後に車掌さんが検札に来られ、乗車券と特急券・寝台券にチケッターで入鋏印が押印されました。

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約12時間の旅を終えたサンライズエクスプレス:東京駅 2018/8/25

 終点の東京です。約12時間という乗車旅でしたが、本当にあっという間だったというのが率直な感想です。これまでに経験のなかった、新たな乗り鉄旅の楽しみ方を発見できたような気がします。サンライズエクスプレスは、出雲号の他に瀬戸号もありますし、東京発の下り列車を利用してみるのも楽しそうです。下車した早々、またいつか、サンライズエクスプレスに乗車しようと決意を新たにしてしまうほどの満足感でした。