レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

大阪“グルメ”旅に行ってきました(今年3回目)

 最近はようやく残暑も収まり、朝夕は涼しく過ごしやすくなりました。一般的には、秋に向けて徐々に暑さが和らいでいくものだと思うのですが、今年はわずか数日のうちに気温が急激に低下したような印象があります。10日前まで暑さに閉口していたにも関わらず、最近はこたつがあってもいいかなと思う日もある程です。日本では、日常生活の中で春夏秋冬を感じることは当たり前のことだと考えがちですが、近年はこうした四季の移ろいが感じにくくなったような気がします。

 前置きはこれくらいにして、今回は秋の乗り鉄旅第1弾ということで、今年3回目となる大阪“グルメ”旅に行ってきました。最近は、自分でも大阪に行く機会が多いなと思っていますが、3連休を利用してどこかに出かけようと思ったときに、僕の中で大阪が思いついたということで、あまり深い意味はありません。そして前々回と前回の大阪旅行に続き、今回もグルメ中心の旅を計画しました。健康診断の結果、コレストロール値が気になるところですが、まあ何とかなるでしょう。食欲の秋ということで、観光だけでなくグルメも楽しんできましたので、いつものようにその内容を紹介したいと思います。

 

 

名古屋駅から東海道新幹線に乗車

 いつものように名古屋までは名鉄線を利用し、名古屋駅から東海道新幹線に乗車します。9月下旬に九州乗り鉄旅に出かけたところですので、約2週間ぶりになります。今日は天気もよく気候も穏やかで、絶好の乗り鉄日和です。天気予報によると、3連休のうち日曜日と月曜日は雨の可能性があるようなので、出発日として土曜日を選んで正解でした。名古屋駅にはちょっと早めに到着しましたので、旅のスタートに桜通口側から見た駅舎をパシャリ📸

 そのまま中央コンコースを抜けて新幹線改札口に向かいますが、3連休初日ということもあってか、名古屋駅は非常に混雑しています。高島屋側にある金時計は、名古屋駅での定番の待ち合わせ場所となっていますが、多くの方々で賑わっていました。そして名古屋駅にはもう一つ、有名な待ち合わせ場所として知られている銀時計がありますが、この付近も人が多く、学生さんと思われる団体やツアー旅行に出かけられるであろうグループの方が出発を待っておられました。

 少し早いですが、新大阪方面の下り線ホームに移動しました。改札口の前と比べるとホームはそれほど混雑していませんが、大きなキャリーケースを持った方が多くいらっしゃいます。3連休ということで、九州など遠方に出かけられる方が多いのかもしれません。

 僕は今回、新大阪行きの「ひかり」に乗車します。「ひかり」ではありますが、名古屋から新大阪までの各駅に停車するため、実質的には「こだま」と変わりありません。新大阪までの乗車時間は約1時間10分で、50分を切る「のぞみ」と比較すると時間がかかりますが、特に時間を気にする旅ではないので、まったく気になりません。

東海道新幹線で活躍しているN700系名古屋駅 2023/10/7

 16番線に停車中の車両と入線中の車両をそれぞれ撮影しました。上の写真は僕が実際に乗車した「ひかり」ですが、下の写真はひとつ前に発車した「のぞみ」です。名古屋駅での撮影は、どうしてもホームの安全柵が被ってしまいますが、雰囲気ということでご理解ください。

 「ひかり」631号は後続の「のぞみ」5号に先を譲り、名古屋駅を発車しました。次の停車駅である岐阜羽島で6分停車して後続の「のぞみ」に追い越され、さらに米原でも9分停車して「のぞみ」に先を譲ります。こうして各駅停車の新幹線に乗車していると、「のぞみ」の運転本数の多さをあらためて感じるとともに、東京―新大阪間の膨大の輸送量にも驚かされるばかりです。

 今回はグリーン車を利用しました。これまで東海道新幹線に乗車した際、東京や新横浜まで乗車するときにはグリーン車を利用したことがありますが、名古屋―新大阪という比較的短区間グリーン車を利用するのは初めてです。新大阪行きの「ひかり」のグリーン車ということで乗客は多くなく、静かな落ち着いた空間で乗り鉄旅を楽しむことができました。やっぱりグリーン車には、追加料金を支払うだけの十分な価値があります。

水陸両用バスに乗車する「大阪ダックツアー」に参加

 東海道新幹線を新大阪で下車し、大阪メトロ御堂筋線谷町線を乗り継いで、天満橋に向かいます。大阪には「○○橋」という名前の地名がたくさんあり、僕のような慌てん坊は気を付けないと間違えてしまいそうです。天満橋駅から歩いてすぐのところに「川の駅はちけんや」という施設があり、今回はここから水陸両用バスに乗車する「大阪ダックツアー」に参加します。

 水陸両用バスを使用したダックツアーは日本各地にあり、僕も以前、お台場や横浜で同様のツアーに参加したことがあります。ときにはバスとして公道を走行し、そしてときには船舶として川や海上を航行するという、何とも珍しい乗り物です。どうしてバスのような重量のある乗り物が水に浮くのか、なぜエンジンや車内に水が入り込まないのか、僕の小さな頭では到底理解できませんが、とにかくスゴイ乗り物だということは分かります。そして乗客は、陸上を走行していたバスがそのまま海や川に入っていくという、まるでテーマパークのアトラクションのような感覚も楽しむことができるわけですが、そんな水陸両用バスに乗車できるダックツアーが大阪にもあることを最近知り、今回の旅行で乗車してみることにしました。

 上の写真は、大阪ダックツアーが発着する「川の駅はちけんや」です。「道の駅」という施設は最近よく聞きますが、「川の駅」というのは初めて知りました。この「はちけんや」は、水都大阪の交流拠点として誕生した、関西初の常設となる川の駅なんだそうです。

 僕は今回、10:45発の第2便に乗車します。僕は事前にWebページから予約しておいたのですが、「はちけんや」の階下にある窓口で受付を済ますと、すでに2便は満席となっていました。最近は訪日外国人も徐々に増加し、インバウンド需要も順調に回復してきているようですので、そういった影響があるのかもしれませんね。

 こちらが今回乗車する水陸両用バスです。見た目はかなりゴツイ印象で、バスにも船にも見える外観です。迷彩色に塗装すれば、自衛隊の車両にもなりそうな感じです。車体には、大阪観光シンボルキャラクターである「関ジャニ∞」が大きく描かれています。例の問題でジャニーズのタレント起用には色々と意見があるようですが、大阪府の吉村知事は、大阪・関西万博のPRに引き続き「関ジャニ∞」を起用する方針のようですね。

 そして車内は、青色のベンチタイプの座席がずらりと並んでいます。座席幅は通常の路線バスと同じくらいで、シートピッチも決して余裕があるとは言えません。まあ、乗り心地や快適さを追求したバスではありませんからね。

 ちなみに車内の座席はすべて指定されており、乗客側から座席位置を希望することもできません。前の方になるのか後ろの方になるのか、そして窓側になるのか通路側になるのかもすべて運次第です。せっかくなので景色を見やすい窓側に当たることを期待しつつ乗車すると、希望どおりに窓側の座席でした😊 しかも車両中央にある非常出口付近の座席ということで、前席との間隔がめちゃくちゃ広いです。おそらく40席ある座席の中で一番のアタリ席と言っていいでしょう。Webページから事前に予約しておいたことが功を奏したのか、それとも当日早めに受付を済ませたことがよかったのか分かりませんが、強運に恵まれました。

 バスは予定どおりに「川の駅はちけんや」を出発しました。旧大阪市公館前を通って桜宮公園に向かいます。車両にガラス窓がないので写真撮影には向いていますが、手や顔を車外に出さないよう注意しなくてはいけません。

 入水ポイントがある桜宮公園に到着しました。ここでバスの運転士さんから船の船長さんに交代します。そしていよいよバスは大川へとダイブ🌊します。やっぱりこの瞬間が一番盛り上がりますね。車内でも歓声が上がっていました。

 川の水位によっては、普段とは異なるサブルートで運行される日もあるそうですが、今日は通常ルートでの運行です。ほどなくして進行方向右手に造幣局が見えてきました。川岸よりも低い視点から眺めることになるため、建物が木の陰に隠れてしまい、ちょっと見づらいです😓

 そして天満橋の下も通過します。普段は橋を渡る時に特に意識はしませんが、水上から見上げると巨大な構造物だということがよく分かります。

 水上から「川の駅はちけんや」が見えてきたら、そろそろ折り返しです。こうして眺めてみると、川幅がかなり広いですね。高層ビル群に囲まれて水都大阪を感じる風景です。

 桜宮公園に戻って、先ほどダイブしたポイントから上陸します。ここからは再び陸上を走行するバスとして大阪中心街を周遊し、「川の駅はちけんや」に戻ります。走行中の車内からは、関西テレビの社屋や天神橋筋商店街大阪市役所、日本銀行大阪支店の各庁舎などを見ることができました。

 

とんかつepaisでヘレカツ

 バスを下車したところでちょうど正午になり、次は昼食をいただくことにしました。午後に梅田である人と会う約束になっていたので、天満橋から梅田に移動し、梅田にあるお店でランチを楽しむことにします。実は、ちょっと前から次に大阪に行く機会があれば是非とも立ち寄りたいと思っていたお店があり、それが今回初めて訪問する「とんかつepais(エペ)」さんです。その名のとおり、とんかつをメインに提供されているお店で、本店は北新地にありますが、梅田の阪神百貨店地下2階にある阪神バル横丁にも出店されています。僕は、梅田に近い阪神百貨店の方を利用することにしました。

 本店もそうですが、かなりの人気店ということで、平日でも入店待ちの行列ができるんだそうです。相当の混雑も覚悟してお店に向かったところ、やはり入店を待つ方が数名、店先に並んでいました。どのくらいの待ち時間になるか分かりませんでしたが、今回はどうしてもこのお店でとんかつをいただきたかったので、最後尾に並びました。思ったように列は進みませんが、40分くらい待ったところで席に案内されました。店員さんが気を利かせて事前にメニューを配りながら注文も受けてくれていたため、席についてからしばらくすると、それほど待たずに提供されました。今回いただくのは、一度は食べてみたいと思っていた特選ヘレカツです。

 豚のヒレ肉を使ったカツは一般的に「ヒレカツ」と言われていますが、大阪では「ヘレカツ」と呼ばれているようです。「ヒレカツ」自体はもちろん僕も食べたことがあり、特に珍しいものではありませんが、epaisさんでは低温調理によるレアな状態の「ヘレカツ」が提供されます(もちろん中まで火が通っています)。僕はこれまで低温調理された「ヘレカツ」を食べたことがなかったので、一度食べてみたいと思っていました。

 上の写真のとおり、お肉の断面の色艶が最高です。ソースをつけていただくこともできますが、オススメは右下にあるボルチーニ塩で、この塩がお肉の旨味を一層引き立ててくれます。肉質はしっとりとしていますが非常にジューシーで、こんな食感の豚肉をいただくのは初めてです。いつも行列ができる人気店というのも納得です。

 

夜パフェ専門店Parfaiteria PaL心斎橋でパフェ

 梅田での用事を終えた後、もう一度、大阪メトロ御堂筋線で心斎橋に向かいました。ところで皆さんは、「夜パフェ」というものをご存じでしょうか? 僕はつい最近まで知りませんでした。何でも、お酒や食事を楽しんだ後に1日の締めとしていただくパフェのことなんだそうです。インターネットで調べると、夜パフェの発祥は札幌のようですが、最近は各地に夜パフェを提供するお店があるようで、大阪・心斎橋にもParfaiteria PaLという夜パフェ専門店があります。僕の大阪グルメ旅では、これまで「クレープリー・アルション」や「幸せのパンケーキ」などを訪れてデザートを楽しんでいますが、今回もやはりスイーツは欠かせないということで、Parfaiteria PaLさんにお邪魔し、夜パフェをいただくことにしました。

 Parfaiteria PaLさんは心斎橋にある商業ビルの3階で営業しています。ビル入口付近に置き看板がありますが、一見するとスイーツを提供する飲食店があることに気が付きません。僕も最初はこれを見落とし、店舗前を素通りしてしまいました。

 今日は土曜日ということで夕方16時からの営業です。夜パフェにはちょっと早い時間ですが、15時50分くらいにエレベーターで3階に上がると、店舗前にはすでに開店を待つ方々の行列ができていました。僕は事前に電話予約しておいたので、行列に並ばなくても確実に入店できます。ほどなくして開店し、予約してある旨を告げると1番に店内に案内されました。

 窓際の席に着席してメニューを見ると、パフェ単体とパフェにドリンクの付いたセットがありました。ちなみにパフェは6種類で、時期によって内容が変わるようです。どのパフェも魅力的でちょっと悩みましたが、今回はシャシンマスカットが盛り付けられた『ぶどう農林21号』というパフェと、ブラッドオレンジジュースのセットを注文しました。

 ちょっと変わったネーミングのパフェですが、全体でシャインマスカットの房をイメージして飾り付けられています。シャインマスカットの葉はジェラート抹茶のラングドシャ、ヘタは飴細工で作られています。ちなみにジェラートには日本酒の大吟醸ジュレには白ワインが使用されており、アルコール分を含む大人のパフェとなっています。他にもゼリーやムース、フロマージュなど、新鮮なシャインマスカットと相性の良い食材がふんだんに使われており、非常に贅沢なパフェです。もちろん見た目にも美しく、ほとんどの方は自身が注文したパフェを写真に収めていました。心も豊かになる一皿をいただくことができ、いつも以上に大満足のデザートとなりました。

 

ぼてぢゅうで2色とん玉

 新大阪駅に戻ってきました。今回の旅行は、全体的に時間に余裕のある行程にしたため、乗車予定の新幹線の発車時刻まで、まだ2時間近くあります。ちなみに夕食は駅でお弁当を購入し、車内でいただこうと思っていたのですが、新大阪駅構内をぶらぶらしていると、「元祖お好み焼き ぼてぢゅう」さんを見つけました。夕食にはちょっと早いですし、先ほど夜パフェをいただいたばかりだったので一度は素通りしたのですが、店頭にあったお好み焼きやモダン焼きのサンプルに惹きつけられ、思わず入店を待つ列の最後尾に並んでしまいました。誘惑にはめっぽう弱い男です。

 少し待って席に案内されました。メニューは豊富で、どれにしようか迷いに迷ってしまいましたが、ここは一番最初に目に留まった「2色とん玉」を注文しました。ぼてぢゅうさんでは、豚肉入りのお好み焼きを「とん玉」と呼んでおり、2色とん玉は、ソースにかつお節がかけられたものと、旨味醤油タレに九条ねぎがのせられたものが、それぞれ半分ずつ提供されるため、一度に2種類の味を楽しむことができます。オリジナルマヨネーズも添えられており、食べごたえも十分です。最初予定していたよりも早い時間に夕食をいただくことになりましたが、美味しいものはいくらでもお腹に入っていきますね。本当に今日は、よく食べました😋

 

新大阪駅から東海道新幹線に乗車

 楽しい時間が過ぎるのは早いもので、そろそろ帰路に着きます。今まで何度も新大阪駅を利用していますが、乗り換えでの利用がほとんどで、駅舎外から新大阪駅の姿を眺めたことはほとんどありません。今回は時間に余裕があったので、無事に旅を終えられるように願ってパシャリ📸

 少し早い目に新幹線ホームに移動しました。復路で乗車するのは往路と同じく「ひかり」です。往路の「ひかり」は名古屋ー新大阪間が各駅停車となる実質「こだま」でしたが、復路で乗車する「ひかり」は名古屋までの間に京都にのみ停車するタイプで、所要時間も往路より15分以上短くなります。発車は26番線ですが、僕が乗車する「ひかり」520号の入線直前まで新大阪止まりの「のぞみ」が停車していました。

 土曜日の夕方ということで車内は混雑するかと思っていましたが、少なくとも僕が乗車していた号車については、予想していたよりも空席が多かったです。新大阪から上りの新幹線に乗車される方ですと、東京や新横浜、それに名古屋に向かう方が多いでしょうから、やはり「のぞみ」を利用されるパターンが圧倒的に多く、停車駅が少ないタイプと言えども「ひかり」を利用される方は少ないのかもしれません。

東海道新幹線で活躍しているN700系新大阪駅 2023/10/7

 上の写真は、僕が乗車した「ひかり」ではなく、それ以前に26番線に入線してした列車を撮影したものです。いつ見ても、どの角度から見てもN700系はかっこいいですね。「ひかり」520号は定刻に新大阪を発車し、無事に名古屋に到着しました。ちなみに復路で利用したのは普通車指定席です。往路はグリーン車を利用したので、往復でそれぞれの座席種別を楽しむことができました。

 

乗車券類の紹介

 今回もいつものように、名古屋ー新大阪間の東海道新幹線での移動にJR東海ツアーズの日帰り旅行商品を利用しました。実際に使用した乗車票は次のとおりです。

 上2枚は往路で、下2枚は復路で使用したものです。すでに紹介したとおり、往路ではグリーン車を利用していますが、これは旅行商品を購入する時点で普通車がすでに終売となっていたため、グリーン車としました。後から落ち着いて考えれば、JR東海ツアーズ以外の旅行商品(例えば日本旅行JTBなど)の利用も検討すべきでした😓 まあ、正規運賃や特急料金と比べて割安で乗車できた訳ですから、これはこれでよしとします。ちなみにこの乗車票は大阪駅まで利用できますが、新大阪で途中下車することができます。大阪市内発着の通常の乗車券では、ゾーン内の駅で途中下車できませんので、そういった意味では、通常の乗車券よりも使い勝手がいいものとなっています。

 以上、今回の大阪グルメ旅の紹介でした。次回以降も僕の乗り鉄旅をお伝えしていきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いします🙇

2つの観光列車に乗車する南九州乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 今回は鹿児島中央駅近くにある「ホテルタイセイアネックス」に宿泊します。特にこのホテルにこだわりがあった訳ではなく、JR東海ツアーズの旅行商品の中から、鹿児島中央駅に近いホテルを適当に選びました。客室はバス・トイレ付きですが、男性に限りホテルの大浴場とサウナを利用することができます。大浴場好きの僕にとってはありがたいことで、もちろん大浴場を利用しました。足を伸ばして大きな浴槽に浸かることができ、とても気持ちよかったです。

 ちなみにこのホテルでは、朝食付きプランも用意されており、追加料金を支払えばバイキング形式の朝食をいただくこともできますが、今回は出発時刻が早いため、朝食なしのプランを利用しました。朝食は、コンビニでサンドウィッチを飲み物を購入し、車内でいただくことにします。

 

 

23日の旅行概要

 それではここで、2日目(23日)の旅行行程を紹介します。

 まずは鹿児島中央から宮崎に向かいます。利用するのは特急「きりしま」です。今日の乗り鉄のメインとなる「海幸山幸」の宮崎駅発車が10:13なので、10:01に宮崎に到着する「きりしま」4号からちょうどいい具合に乗り継ぐことができます。宮崎からは日南線を走る「海幸山幸」に乗車しますが、残念ながら途中の飫肥駅で下車します。日南線は運行本数が少なく、「海幸山幸」の終点である南郷まで行ってしまうと、予定の時間までに宮崎に戻れなくなってしまうからです。せっかくの乗車なため、ちょっと残念ではありますが、約1時間の乗車を楽しむことにします。飫肥駅からは普通列車南宮崎、そして宮崎へと移動し、宮崎からは「B&Sみやざき」号という高速バスを利用して新八代に向かいます。新八代からは九州新幹線「さくら」に乗車して博多に行き、博多からは「のぞみ」に乗車して名古屋に戻るという行程となっています。朝はちょっと雨がぱらつきそうな天候でしたが、何とか傘なしで移動できること願いながら、まずは今日の1本目の列車「きりしま」に乗車します。

 

鹿児島中央駅から特急きりしまに乗車

 「きりしま」4号は、朝の早い時間に運行される列車ですが、ひとつ前の2号は何と鹿児島中央駅5:51発です。こんな早朝に鹿児島から宮崎方面に向かう特急は、どういった目的で利用される方が多いのか、ちょっと気になります。

 「きりしま」は787系特急型車両で運転されています。1号車はグリーン車と普通車指定席の合造車で、2号車から4号車までは普通車自由席です。僕は「九州ネットきっぷ」を利用するため、指定席を利用します。

きりしま号で使用されている787系鹿児島中央駅 2023/9/23

 程なくして「きりしま」が入線してきました。「きりしま」は、主に日豊本線を走る特急で、早朝や深夜の一部列車を除いて鹿児島中央―宮崎間を結んでいます。以前の乗り鉄旅で、肥薩線の吉松から「はやとの風」に乗車した際に、隼人―鹿児島中央間を利用したことがありますが、宮崎までの全区間を通して乗車するのは初めてです。運転本数は1日当たり10往復で、概ね1〜2時間に1本程度運行されています。

 JR九州の列車は、D&S列車ではない通常の特急型車両もデザイン性に富んでいますが、外観だけでなく車内もなかなか凝ったものとなっています。上の写真は787系のデッキ部ですが、黒い壁に真っ赤なドアのコントラストが実に独創的です。ちなみに床面は、普通車としては珍しい絨毯敷きとなっています。

 普通車の車内です。一般的な2+2配置の回転リクライングシートとなっています。こちらはいたって普通の座席で、どちらと言えば地味な感じのモケット柄です。また、九州の特急型車両は、普通車であってもシート1列に対して1つの個窓となっているものが多く、個人的には気に入っています。

 そしてこの「きりしま」では、特急であるにも関わらず、ワンマン運転が行われています。ドアの開閉などを車掌さんの代わりに運転士さんが行うことは分かるのですが、自由席の設定がある特急では欠かせない車内検札はどうしているのでしょうか?  おそらく基本的には実施していないということだと思います。性善説に立ちながら、抜き打ちで特別検札を実施するのでしょうが、一定数の不正乗車は防ぎようがないと思います。少し前にテレビのニュースで、JR九州では不正乗車を防止する目的で、自動券売機による170円きっぷの発売を見合わせることが放送されていましたが、中にはさらに特急券を購入せずに特急列車に乗車するような不正をはたらく人もいるだろうということです。ほとんどの方は目的地までの正しい乗車券や特急券を購入しているはずですので、こうした不正は厳しく取り締まると同時に、正直者が不利益を被ることがないよう、不正乗車防止対策にも力を入れてもらいたいですね。

 途中の行き違い列車の遅れにより、僕が乗車した「きりしま」は、終点の宮崎に約4分遅れて到着しました。すでに乗車予定の「海幸山幸」は入線していたので、すぐにホームを移動して「海幸山幸」に乗車しました。

 

宮崎駅から特急海幸山幸に乗車

 「海幸山幸」は宮崎を発着する列車で、日南線の南郷までを往復しています。ここで「海幸山幸」1号のダイヤを紹介します。

 昨日乗車した「指宿のたまて箱」と比べると、途中の停車駅が多いことが分かります。僕は途中の飫肥までの乗車ですが、終点の南郷まで乗車すると、約1時間30分の旅となります。

 宮崎駅では発車までの時間を利用して、1号車側と2号車側の写真を撮影しました。ちなみに1号車が山幸号で、2号車が海幸号です。ぱっと見た感じで違いが分かりにくいですが、運転台下のライト横に「山」「海」の文字がデザインされており、これが見分けるポイントです。

海幸山幸で使用されているキハ125形400番台:宮崎駅 2023/9/23

 可愛らしい路面電車のようにも見えますが、れっきとした特急型車両です。形式はキハ125形400番台で、もともとは高千穂鉄道という第三セクターの鉄道会社で使用されていたものです。その高千穂鉄道は、2005年の台風14号の影響よって壊滅的な被害を受け、結果的には復興が果たせずそのまま廃線となってしまった訳ですが、その高千穂鉄道の車両の一部がJR九州に譲渡され、内外装が大幅に改装されて現在の「海幸山幸」用の列車が誕生したという経緯があります。そういう事情から、JRとしては珍しい18m級の車体となっています。

 改造に当たっては、塗色が白に変更されたほか、車体の外装に本物の杉板が装飾された何とも斬新なデザインです。鉄道車両の外装に木材が使用されている例は、キハ125形400番台以外の車両で聞いたことがありません。こんな挑戦的な観光列車を誕生させた水戸岡鋭治氏は、前例にとらわれない思い切った意匠を採用される方なんですね。

 車体側面には、「海幸山幸」それぞれのロゴをあしらったプレートが取り付けられています。車両の外装ということで、杉板は直射日光や風雨に晒され続けているわけですが、防水や腐食などは大丈夫なんでしょうか?

 次に車内を紹介します。まずは僕が乗車した1号車です。車内はJR九州のD&S列車の一員に相応しいデザインとなっていますが、車幅にあわせて1+2配置の回転リクライングシートが並んでいます。

 「海幸山幸」には専用の販売カウンターはありませんが、1号車前よりスペースで飲み物やグッズ類を販売しており、アテンダントさんが常駐しています。ちょうどその向かいにフリースペースとなっているソファー席があるため、このスペースを利用しながらアテンダントさんとの会話を楽しんでいる方も見えました。

 車端部には、車イスの方でも利用可能なトイレがあります。車内は随所に杉材が使用されていますが、トイレ部分もデザイン性に富んでおり、とてもお洒落ですね。

 また、キハ125形400番台は片運転台構造となっているため、乗客は車両の最先頭部から前面展望を楽しむことができます。僕もちょっとの間、前面展望を楽しみました。自然の木々の中に敷設された線路がどこまでも続いているような、そんな風景を見ることができました。

 先ほど紹介した物販スペースで、宮崎県産の完熟マンゴーを使ったサイダーを購入しました。各座席には肘掛けの中にテーブルが収納されており、これを利用することも可能ですが、ちょっとした小物は窓横に置いておくことができるので便利です。早速サイダーをいただきいましたが、すっきりした後味の良い味わいで、マンゴーのいい香りが口の中に広がります。

 続いて、2号車にもちょっとお邪魔させてもらいましたので、あわせて紹介します。2号車も1号車と同様に、1+2配置の回転リクライングシートが並んでいます。ちなみにこの日の「海幸山幸」1号はすべての指定席が発売済みとなっており、特に2号車は混雑していました。正面から撮影すると迷惑になると思い、座席後方から撮影しました。

 基本的な内装や車内設備は1号車と同じようですが、1号車と2号車とでは座席数が異なっており、1号車の方がシートピッチが広めてゆったりとしています。また、1号車は座席と窓枠が一致しているので、車窓を眺める上でのハズレ席もありません。僕としては断然、1号車をオススメします。人気のある観光列車ですので、乗車の予定が決まったら早めに指定席券を購入した方がいいと思います。

 また、先ほどは1号車からの前面展望を紹介しましたが、反対に2号車からは後方展望を楽しむことができます。それにしても、線路内の雑草が多いですね。運転本数が少ない区間だと、どうしてもこうなってしまうのでしょうかね。

 「海幸山幸」は停車駅が多いとお話ししましたが、途中駅での乗降もそれなりにあり、とくに青島では下車する方も乗車する方も結構いました。日南線自体の運転本数が少ないということもあってか、短区間でも「海幸山幸」を利用される方がいらっしゃるようです。そのためか、昨日乗車した「指宿のたまて箱」は全車指定席でしたが、「海幸山幸」は2号車の一部に自由席が設定されていました。

 そして途中には、「海幸彦・山幸彦」伝説を紹介する紙芝居の上演があります。後部座席からではちょっと見づらいですが、アテンダントさんの語りだけでも十分に楽しむことができます。

 時間が過ぎるのは早いもので、列車はあっという間に飫肥に到着しました。ここまで楽しい乗り鉄旅を提供してくれた「海幸山幸」を再度、飫肥駅で撮影しました。

終点の南郷駅へと向かう海幸山幸:飫肥駅 2023/9/23

 

記念乗車証の紹介

 「海幸山幸」の車内では、乗車後すぐにアテンダントさんから記念乗車証をいただきました。乗客一人一人に手渡しで配布されていました。昨日の「指宿のたまて箱」に続き、こちらもキレイにスタンプを押印できたと思います。

  ちなみに、これまでの乗り鉄旅で色々なD&S列車に乗車してきましたが、それぞれの列車で記念乗車証をいただいています。せっかくの機会なので、ここでこれまでいただいたD&S列車の記念乗車証をまとめて紹介したいと思います。

 左上から実際に僕が乗車した順になっています。それぞれの列車に思い出がありますが、どれもまた乗車してみたい列車ばかりです。

飫肥駅から宮崎駅

 飫肥からは、いま乗車してきた経路を引き返して宮崎まで戻ります。僕はあらかじめ宮崎↔飫肥間の往復乗車券を購入していたため、飫肥駅では出場せずにそのままホームで南宮崎行きの列車の到着を待っていました。ホーム側からになりますが、記念に飫肥駅の駅舎と駅名標をパシャリ📸

 ここまでトラブルなく、ほぼ予定どおりに乗り鉄旅を続けてきましたが、発車時刻が近づいても南宮崎行きの列車は姿を現しません。また、僕が乗車する南宮崎行きの列車と行き違いで発車する「海幸山幸」も、飫肥駅で抑止状態です。どうやら今朝方に日南線の一部区間で、車両の車輪空転が発生し、その影響で遅延が発生しているようです。まあ5分程度かなと勝手に思っていましたが、待てど暮らせどなかなか列車は来ず、やっと来た列車が飫肥を発車したのは予定よりも約30分遅れとなってしまいました。

 正直、「まいったな~」と思いながら乗車していましたが、回復運転によって途中での遅延時間が約20分にまで縮まりました。さらに遅延が縮小するかと期待していたところ、途中駅での行き違いのため待ち合わせがあるなどしたため、終点の南宮崎に到着したのは予定よりも約30分遅れとなってしまいました。これではもちろん、予定していた宮崎方面に向かう列車にも間に合いません。とは言っても仕方ないので後続の特急「ひゅうが」に乗車して宮崎に向かいましたが、宮崎駅に到着したのは、予定よりも40分以上遅れてしまいました。

 当初は宮崎で昼食をいただいてから、次の移動をスタートする予定でしたが、時間があまりなくなってしまったため、やむを得ず近くのコンビニでサンドウィッチを購入し、昼食代わりとしました。僕にとっての初宮崎は、ただ慌ただしいものとなってしまいました。

 

宮崎駅からB&Sみやざきに乗車

 今回の旅行は、鉄道による乗り鉄旅ですが、宮崎から新八代区間のみ高速バスを利用します。JR九州バスと宮交バスでは、宮崎から新八代までの移動に便利なB&Sみやざきという高速バスを運行しています。新八代から博多までは九州新幹線が利用できるため、このバスを利用すれば、宮崎−博多間を最速3時間15分で移動できるというものです。さらに、こうした移動に便利な「B&Sみやざきネットきっぷ」というものも発売されており、早特商品であれば最安値は5,020円と破格のねだんです。時間的に早く、ねだんもお得ということで、僕も今回の乗り鉄旅で利用してみることにしました。ちなみにバス単独の正規運賃は4,350円で、新幹線の運賃と特急料金(指定席・通常期)は5,920円なので、早特商品のねだんは半額以下のとてつもないねだんです。

 宮崎駅前の高速バス乗り場で待っていると、真っ赤なJR九州バスがやってきました。

 車内は一般的な4列シートになっています。バスは鉄道よりも座席が窮屈に感じられるため、長時間の乗車で相席になると、正直ちょっと辛いものがあります。隣が空いているといいなと思っていたところ、今回利用した便の乗客は10人程度で、全然余裕でした。

 確かバス車内でスマホの充電ができることを思い出し、早速、カバンから充電器を取り出したら、USBタイプ専用の充電口で、僕が持参したコンセントタイプの充電器は使用できませんでした😓 まあ、新八代から乗車する新幹線で充電できれば問題ないんですがね。

 バスはしばらく下道を走ります。そして僕は先ほど購入したサンドウィッチを車内でいただきました。そしてしばらくすると、高速道路に入ります。僕はバスに揺られると眠たくなる性質で、今回もいつの間にか寝てしまい、気がついたらどこかのバス停に停車中でした。それから外の景色をぼーっと眺めたりしていると八代インターチェンジで、すぐに新八代駅に到着しました。

 列車と違ってバスはどうしても遅延が気になってしまうのですが、今回乗客したバスはほぼ定刻でした。新幹線への乗り換え客をターゲットとしていることから、運行ダイヤに余裕を持たせるなどして、遅延防止に努めているのだと思います。

 

新八代駅から九州新幹線に乗車

 新八代駅を利用するのは今回が初めてです。恒例となりつつありますが、駅舎をパシャリ📸 都会的で、なかなかおしゃれな駅舎だと思います。

 新八代からは、今回の乗り鉄旅で2回目となる九州新幹線「さくら」に乗車します。これで無事にスマホの充電ができます。車両はもちろん8両編成のN700系7000番台で、今回も指定席を利用します。

 車内の様子を見てみると、新八代で乗車した際には僕が乗車した8号車には空席が目立っていましたが、途中の熊本から外国人のグループ客が乗車してきました。それでも乗車率は40%くらいといった感じでしょうか。最初は僕の隣の通路側にも外国人の方が着席されていましたが、席を間違えていたことに気がついたのか、すぐに他の席に移動していきました。

九州新幹線「さくら」などで運用されているN700系7000番台:博多駅 2023/9/23

 新八代駅では車両を撮影する時間がなかったので、博多駅で撮影しました。「さくら」は新大阪行きのため、博多は途中停車駅の一つに過ぎませんが、乗務員の交代などもあるためか、停車時間が比較的長く設定されているようです。さて、博多到着後は駅でお土産やお弁当を購入し、いよいよ九州ともお別れになります。

 

博多駅から山陽新幹線に乗車

 博多駅の新幹線ホームには、東海道新幹線でも活躍しているN700系だけでなく、500系や700系といった僕が普段見かける機会の少ない車両を見ることができるため、発着する列車を眺めるだけでも楽しいものがあります。ホーム上にいても、どこから豚骨ラーメンのスープのものと思われる独特の匂いが感じられるのも実に博多らしいですね。

 乗車するのは「のぞみ」58号東京行きです。いつもはきれいに撮影できないJR西日本の発車標ですが、今回は文字が分かる程度に撮影することができました。

東海道・山陽新幹線の主役であるN700系博多駅 2023/9/23

 乗車してしばらくしたところで、ちょっと早いお弁当タイムです。当初から博多駅で夕食用のお弁当を購入しようと考えていましたが、どのお弁当にするかは見てから決めることにしていました。そして僕の目に留まったのは、駅構内の通路に店舗がある「元祖博多めんたい重」というお店のお弁当です。内容は実にシンプルで、白米の上に海苔がまぶされていて、その上にドンと明太子が丸ごと一本のせられています。僕は海苔弁が好きで、しかもちょうど明太子が食べたいと思っていたところだったので、このお弁当に決めました。作り置きではなく、注文を受けてからその場で温かいご飯を入れてお弁当を盛り付けてくれます。ねだんはちょっとお高めで、一食1,814円でした。

 めちゃウマです🤩 まだご飯が温かいままで、付属のたれをかけるとさらに味の深みが増してきます。明太子のピリ辛と白いご飯の相性はバツグンです。次回に博多に行く機会があれば、リピートは間違いないと言えます。旅の最後に美味しいお弁当をいただくことができると、旅行全体の満足感も高まるというものです。

 しかし、当然のことですが食後には口の中に辛さが残ります。何か甘いものをと思った矢先、ちょうどいいタイミングで車内販売のワゴンが通りがかったので、アイスを買うことにしました。新幹線の車内でいただくアイスといえばやはり“シンカンセンスゴイカタイアイス”で、僕も最初は久しぶりにこのアイスを買おうかと思ったのですが、メニューに新甘泉梨シャーベットというものがあり、こちらに惹かれて考えて直し、結局シャーベットの方を購入しました。シャキシャキした食感で、梨のいい香りがするシャーベットで、こちらも美味しくいただきました。

 デザートもいただき、お腹いっぱいです。「のぞみ」は小倉、広島、岡山、姫路、新神戸に停車し、山陽新幹線の終点である新大阪に到着しました。僕の経験則上、新大阪から先の東海道新幹線区間になると、乗客の数が一気に増えます。予想どおり新大阪から多くの乗車があり、僕の隣の通路側座席も埋まりました。新大阪発車後は京都に停車し、そして名古屋に到着しました。

 

乗車券類の紹介

 最後にまとめて、今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類を紹介します。

 往路の名古屋→博多→鹿児島中央と復路の博多→名古屋は、いつものようにJR東海ツアーズの旅行商品を利用しています。往路は博多駅九州新幹線に乗り換えるため、乗車船用と新幹線指定席用が別々に発券されていますが、復路は一葉券となっていました。

 続いては、鹿児島中央↔指宿間の「指宿のたまて箱」での乗車に使用した乗車券と特急券です。実は当初、この区間ではという企画乗車券を利用しようと考えていました。この企画乗車券は、鹿児島中央―指宿・西大山間を「往復JR」または「片道JR+片道路線バス」で利用できるもので、JR線では「指宿のたまて箱」にも乗車できます。ねだんは3,150円なので、間違いなくオトクに乗車できるのですが、残念なことに「指宿のたまて箱」の座席指定ができるのは、JR九州みどりの窓口指定席券売機できっぷを受け取る際に限られています。つまりインターネットであらかじめ座席を確保することができないため、きっぷの受取前に指定券が完売してしまった場合には、乗車することができません。

 はじめのうちは、まあ平日だし指定券が完売することもないだろうと楽観的に考えていたのですが、乗車日が近づくにつれて残り座席数が少なっていき、数日前には窓側座席がすべて埋まってしまいそうだったので、慌てて5号の指定券をインターネットで予約しました(ちなみに6号の方は、念のためということで早めにカウンター席をインターネットで予約してありました)。

 というわけで急遽、「指宿レール&バスきっぷ」の購入を断念した訳ですが、その代わり当日、鹿児島中央駅指定席券売機で「かごしま満喫きっぷ」という別の企画乗車券を購入しました。鹿児島中央―指宿間の往復が2,040円と正規運賃と同額のきっぷですが、きっぷとは別に500円分の商品券がついてきます。せっかくなので、ちょっとでもオトクに乗車しようという訳です。ちなみに僕はこの商品券を利用して、指宿駅売店でお土産用の茶葉を購入しました。

 鹿児島中央から宮崎まで乗車した「きりしま」では、九州ネットきっぷを利用しました。このきっぷを利用すれば、正規運賃と特急料金あわせて4,860円のところ、何と2,620円で乗車することができます。「きりしま」は指定席の座席数が少ないため、場合によっては満席になることもあるかもしれませんが、確か乗車当日でも購入できたはずですので、利用価値は高いと思います。

 宮崎↔飫肥駅では、通常の往復乗車券を使用しました。前日に鹿児島中央駅みどりの窓口で購入しておいたものです。最近、博多駅などJR九州の大きな駅で、みどりの窓口が激混みするというニュース記事を読んだことがあり、どんなものかと心配しましたが、鹿児島中央駅の窓口は10分程度の待ち時間で発券してもらえました。また、「海幸山幸」の指定券は、あらかじめインターネットで予約しておいたものを鹿児島中央駅指定席券売機で発券しました。

 最後に紹介するのは、「B&Sみやざきネットきっぷ」です。実際には、上の2枚に加えてバス指定券も発券されたのですが、残念ながらバス乗車時に回収されてしまったため、手元に残っていません。

 さて、1泊2日の旅でしたが、予定どおり2つの観光列車に乗車し、久しぶりに九州新幹線にも乗車することができ、思う存分、乗り鉄を楽しむことができました。「指宿のたまて箱」では、指定券の手配をギリギリまで遅らせてしまうという判断ミスもありましたが、次回以降はタイミングを失しないよう気をつけていきたいと思います。

2つの観光列車に乗車する南九州乗り鉄旅(1)

 僕は乗り鉄旅に出かけることが好きですが、「次はどこに行ってみようかな〜」と時刻表のページをめくりながら旅行先を思案するのも大好きです。鉄道旅行好きの方であれば理解いただけると思いますが、路線図を見ながら頭の中で旅行ルートを思い描き、そのルートに沿って行程を作成するという一連の作業は、非常に楽しいものです。いざ時刻表で調べ始めると、運転本数が少なく希望どおりに移動できないことが後から判明することもありますが、逆に自分が作成したオリジナルのルートで予定時間内にうまく乗り継げることが分かった場合には、喜びもひとしおというものです。

 そんな訳で、僕は年に数回、時刻表を購入しています。書店で販売している時刻表にもいくつかの種類がありますが、僕は交通新聞社が発行している「JR時刻表」を愛用しています。毎年3月のダイヤ改正が収録された号は必ず購入しており、その他の時期は季節ごとの臨時列車が掲載される月にあわせて購入することが多いです。9月号では秋の臨時列車が初掲載されるということで、8月下旬に早速購入し、暇なときにニヤニヤしながらページをめくって妄想鉄道旅を楽しんだりしていました。その中でふと、九州の列車に目が留まりました。九州といえば、昨年10月に西九州新幹線と「ふたつ星4047」に乗車し、さらに一昨年の9月には「36ぷらす3」や「或る列車」などに乗車する乗り鉄旅に出かけていますが、まだ乗車したことがない観光列車があります。それは「指宿のたまて箱」と「海幸山幸」という列車です。「指宿のたまて箱」は指宿枕崎線鹿児島中央-指宿間を、「海幸山幸」は日南線の宮崎-南郷間をそれぞれ走る特急で、いずれもJR九州のD&S列車(デザイン&ストーリー列車)のひとつです。以前から乗車してみたいと思いつつ、鹿児島や宮崎を発着する列車ということで、これまでの九州乗り鉄旅でもなかなかゆっくりと現地を訪れる機会がありませんでした。今回、あらためて時刻表で調べて見ると、うまく行程を工夫すれば、1泊2日で「指宿のたまて箱」と「海幸山幸」の両方に乗車できることが分かりました。このうち運転本数が少ないのは「海幸山幸」です。9月の運転日は土休日のみで、16日から18日までの3連休は1日2往復ですが、その他の土日は1日1往復のみです。本来であれば、「海幸山幸」が1日2往復される日のダイヤをもとに行程が組めるとベストなのですが、今回は諸事情により、これより1週間遅い22日と23日の2日間で乗り鉄旅を楽しむことになりました。鹿児島を訪れるのは約6年ぶりで、宮崎は初めての訪問となります。

 

 

22日の旅行概要

 それでは早速、初日(22日)の旅行行程を紹介します。

 この日の乗り鉄のメインはもちろん「指宿のたまて箱」です。「指宿のたまて箱」は臨時列車扱いとなっていますが、現在のところ毎日運転されており、鹿児島中央-指宿間を1日3往復しています。僕が乗車できそうなのは、鹿児島中央を午後に出発する5号と、その折り返しとなる6号なので、これを行程中に組み込みました。「指宿のたまて箱」5号の鹿児島中央駅の発車時刻は13:56ですが、多少の時間的な余裕と昼食時間も考慮して、名古屋-博多間の「のぞみ」と博多-鹿児島中央間の「さくら」の時間を決めました。ちなみに、僕は東海道新幹線山陽新幹線を利用する際、複数の乗車票を組み合わせて新大阪で乗り換える行程とすることがありますが、今回は九州までの移動時間を最小限にするため、名古屋から博多まで直通する「のぞみ」を利用する行程としています。

 なお、この日の乗り鉄旅は「指宿のたまて箱」6号の鹿児島中央到着(16:00着)で終了です。せっかく鹿児島まで来たからには、ここから川内まで戻って、肥薩おれんじ鉄道に乗車してみようかなと思いましたが、あまり欲張りすぎないことにしました。

 

名古屋駅から東海道新幹線に乗車

 今回の乗り鉄旅で使用する乗車票は、[名]名古屋市内発のものなので、金山から名古屋までは在来線を利用し、名古屋駅の乗り換え改札口から新幹線ホームに入りました。

 今回乗車するのは「のぞみ」3号です。名古屋駅の新幹線ホームに到着すると、ちょうどひとつ前の「のぞみ」1号が発車するところでした。「のぞみ」1号はN700Sで、続いて発車する「ひかり」535号の広島行きもN700S、さらに「のぞみ」3号より早く名古屋駅に入線する「こだま」765号の新大阪行きもN700Sでした。N700Sを見かける機会も多くなり、車両全体に占めるN700Sの割合が着実に増えているなと感じました。ひょっとしたらこの流れで「のぞみ」3号もN700Sかと思いましたが、結果はN700のスモールAでした。ちなみに下の写真は上りホームから発車するラージAを撮影したものです。

東海道新幹線で活躍中のN700A名古屋駅 2023/9/22

 今回利用する座席は、6号車1E席です。シートマップを利用して僕が選んだ座席ではありませんが、新幹線の最前列は初めてかもしれません。乗車前には「最前列ってどうなの?」って思っていましたが、他の乗客の方が視界に入りにくく、落ち着きがあっていいです。足元も狭苦しい感じはなくて結構快適です。

 車内は平日にも関わらずほぼ満席です。さすがは「のぞみ」ですね。名古屋発車後の様子を見ていると、途中の新大阪で下車する方が多いですが、同じくらい乗車する方もたくさんいらっしゃいました。その後、山陽新幹線区間に入ると徐々に下車する方が多くなり、特に広島で多くの方が下車しました。終点の博多までは約3時間20分、たっぷりと新幹線の旅を楽しむことができました。

 

博多駅から九州新幹線に乗車

 博多ではホームを移動し、九州新幹線に乗車します。

 JR西日本仕様の発車標は、どうもうまく撮影できませんね。乗車するのは「さくら」で車両はもちろんN700系7000番台(8両編成)です。

発車を待つ九州新幹線N700系7000番台:博多駅 2023/9/22

 こちらの「さくら」号も想定外に混雑していました。僕が乗車した8号車は博多出発時点でほぼ満席です。あまり利用が多い時間帯ではないはずですが、これくらいの乗車率が一般的なんでしょうか? 僕が勝手に、コロナ禍で利用者数があまり多くなかった頃の感覚を引きずっているだけなのかもしれません。博多を発車したさくら号は新鳥栖、久留米、熊本の順にこまめに停車していきます。新鳥栖―久留米間は7.1kmと非常に駅間が短いため、発車後すぐに停車駅のアナウンスが始まります。九州新幹線に乗車するのは初めてではありませんが、今まで気付きませんでした。

 途中の熊本に到着しました。熊本は「みずほ」号を含めてすべての新幹線が停車する駅です。おそらく熊本で下車する方が多いんじゃないかと予想していましたが、やはり熊本で多くの方が下車されました。熊本を発車すると次の停車駅は川内のため、ここからは新幹線らしい本格的な高速走行を楽しむことができます。

 「さくら」号はその外観から分かるとおり、N700系シリーズのひとつで、両数の違いを除けば、車両の構造自体は東海道・山陽新幹線用のN700系と変わりありません。しかし、外観のカラーリングは同じ白系統でも違いがあり、東海道新幹線N700系を見慣れている僕にとっては、とても新鮮な感じがします。

 続いて車内のうち、僕が利用した普通車指定席の様子です。ご覧のとおり、自由席とは異なる指定席の専用座席となっており、グリーン車のような2+2配置の贅沢な設備となっています。東海道新幹線との違いという点では、最も特徴的なものだと思います。

 そう言えば、ここまで乗車してきた区間では、名古屋出発からずっと曇り空でしたが、川内に近づくにつれて日が差してきて、鹿児島に到着する頃には気持ちのいい晴天となりました。やはりせっかくの旅行なので、晴れの中で列車に乗車できるのは嬉しいですよね。

白藍色が特徴的なN700系7000番台:鹿児島中央駅 2023/9/22

 予定どおりに鹿児島中央に到着しました。名古屋から新幹線を乗り継いで実に約5時間の乗車です。乗りごたえがありました。

 ここからいよいよ「指宿のたまて箱」に乗車しますが、発車時刻まで1時間くらいあるので、この時間を利用して昼食をいただくことにしました。

 今回は鹿児島中央駅直結の商業施設「アミュプラザ鹿児島」にある、その名もざぼんラーメンさんというお店を利用することにしました。日本各地には、ご当地ラーメンがいくつもありますが、ざぼんラーメンとは鹿児島ラーメンを代表する店舗のひとつのようです。僕は“ざぼん”と聞くと、柑橘類の果物しか思い浮かびませんが、この果物とラーメンが関係しているのかどうかは分かりません。入店したのが午後1時くらいだったため、待ち時間なく店内に案内されました。いただくのは、店の看板メニューである「ざぼんラーメン」です。音痴の僕は食レポが苦手ですが、あっさりとした豚骨ベースのスープにストレート麺、キャベツやもやし、メンマ、チャーシューなどいろいろな具材が盛り付けられた、見るからに美味しそうなラーメンです。

 写真の左下にある小皿は大根の漬物です。ラーメンに大根の漬物が添えられているのは初めてで、ちょっとビックリしました。鹿児島と言えば桜島桜島言えば桜島大根ということなのでしょうかね。京都の千枚漬けのような、あっさりした口当たりのいい漬物でした。

 

鹿児島中央駅から特急指宿のたまて箱5号に乗車

 昼食を終えてホームに向かうと、「指宿のたまて箱」はまだ入線していませんでした。僕が往路で乗車する5号は、4号の折り返しになるため、入線は直前になるようです。ちなみに5号と復路で利用する6号のダイヤは、次のとおりです(上段が5号、下段が6号です)。

 入線までの間でホームをウロウロしていると、「指宿のたまて箱」の乗車位置を示す表示板が掲出されていることに気付きました。ホームの黄色い点字ブロック付近に乗車位置を示す目印があるのは見かけますが、こうした表示板が珍しいですね。

 そんなことをしているうちに、指宿方面から列車が入線してきました。到着後しばらくは車内清掃のため、すぐに乗車することはできません。しばらくすると、乗車開始の案内があり、ホーム上にいた方々が一斉に乗車していきました。

指宿のたまて箱で使用されているキハ47形・キハ140形:鹿児島中央駅 2023/9/22

 上の写真は、車内清掃中の待ち時間を利用してホームから撮影しました。中央を境にして白と黒に塗り分けられた特徴的な列車です。これまでにもネット上で目にしたことはあったのですが、実車を見てみると、あらためて大胆なデザインだということがよく分かります。

 今回の乗り鉄旅では、往復とも「指宿のたまて箱」の全区間に乗車するため、往路と復路で違う号車に乗車することにしました。なお、「指宿のたまて箱」は通常、専用車両の2両編成(キハ47-8060・キハ47-9079)で運行されていますが、当該車両が検査などのために使用できない時には、1号車または2号車のどちらかに予備車両(キハ140-2066)が使用されることがあります(多客期には、専用車両+予備車両の計3両編成で運行される日もあります)。今回は平日ということで通常の2両編成ですが、2号車には予備車両が充てられていました。そして往路では、予備車両である2号車に乗車しました。

 予備車両の外観の特徴は、専用車両にはない展望スペースです。なお、この予備車両は、以前は「はやとの風」仕様で共通予備車となっていましたが、現在は再改造されて「指宿のたまて箱」専用車両と同じ塗色になっており、編成としての統一感が図られています。

 車体側部のロゴもJR九州のD&S列車らしいですね。定刻になると、列車は気動車特有のエンジンを奏でながら、鹿児島中央を発車しました。ちなみに、僕が指宿枕崎線を利用するのは今回が初めてです。地方のローカル線ということで、失礼ながら始発の鹿児島中央発車後は、ずっと自然豊かな風景が続くかと思いっていましたが、途中には立派な高架区間もあり、鹿児島の市街地を走る路線でもあることが分かりました。
 それではここで、往路で乗車した2号車の車内を紹介したいと思います。

 先ほどお話ししたとおり、今回の2号車には予備車両が充当されています。専用車両と予備車両で外観は統一されているものの、車内設備や座席は共通化されていません。専用車両には海側に1人掛けのカウンター席があるのですが、予備車両は車両中央にある展望スペースを除き、2+2配置の回転リクライニングシートが並んでいます。車内の雰囲気は、以前に乗車した「はやとの風」のことが思い出される車両設備でした。

 そして車両中央にある展望スペース部分も撮影しました。「指宿のたまて箱」は全車指定席ですが、展望スペースの座席は誰でも利用することができます。本来であれば、乗客同士が譲り合って利用すべきものですが、実際には、残念なことに早い者勝ち状態となっていました。

 今回は平日にも関わらず指定券は完売ということで、相席となりました。これはこれでもちろん仕方ないことですが、僕の隣席の男性は数人のグループで乗車した中国人旅行客のようで、グループでまとまった座席を確保できなかったらしく、通路を挟んで近くの席に座っている仲間の方と大きな声で会話をしていました。正直、僕はこういう場面が苦手です。さらにその男性は、大柄な上に脚を投げ出しふんぞり返ったような姿勢でずーっとスマホを操作しており、「すいません🙇」と声をかけて前を通らせてもらうこともはばかられる感じでした。本来であれば少し席を離れて写真撮影をしたかったのですが、せっかくの旅行中に嫌な思いをしたくなかったので、ただひたすらじっと窓側座席で車窓を眺めていました。

 外国から来日される方も様々で、もちろんルールやマナーを守って行動されている方がほとんどだと思いますが、そうでない方も一定数いらっしゃるようで、乗客同士のトラブルに発展するケースもあるようです。ルールやマナーを守るよう注意すべきなのか、諦めて我慢する方が結果的にはいいのか、その答えは分かりませんが、できることなら、こうした場面には遭遇したくないものです。そんなモヤモヤした状態であれこれ考えているうちに列車は終点の指宿に到着しました。

 

指宿駅から特急指宿のたまて箱6号に乗車

 指宿駅での滞在時間はわずか18分ですが、せっかくの機会なので改札を出て駅前で写真を撮影しました。南国感あふれる風景がいいですね。

 駅前には足湯の設備もありましたが、残念ながら時間の都合で利用できませんでした。次の機会には、是非とも指宿周辺の観光を楽しみたいものです。

 ここで再び改札を入り、停車中の「指宿のたまて箱」を撮影しました。指宿駅のホームには、地元の高校生によるお出迎えとお見送りがあります。それから、下の写真をよく見ていただくと、車体上部から白い煙のようなものが流れ出ているのがお分かりいただけるかと思いますが、これは「たまて箱」の白い煙をイメージして噴射されたミストです。なかなか面白い演出ですね。

鹿児島中央駅へと折り返す指宿のたまて箱指宿駅 2023/9/22

 復路では、専用車両である1号車に乗車します。こちらは早めに指定券を確保しておいたため、海側にある1人掛けのカウンター席を利用することができました。座席周りが広々としており、気分はグリーン席です。同じ列車の座席とは思えず、往路での窮屈さが嘘のようです。やはり乗車環境って大切ですね。今回つくづく感じさせられました。

 僕が利用した1号車14A席です。1人掛けカウンター席の中でも窓枠に邪魔されずに車窓を眺められる当たり席ですので、これから乗車を考えられている方にはオススメです。この他にも、1号車には様々なタイプの座席が用意されています。

 まずは、運転席後ろにあるボックス席です。リクライング機能はないようですが、大きなテーブルが付いており、グループでの利用に向いています。

 こちらは、1号車で最も座席数の多い回転リクライングシートです。よく見ていただくと、予備車両のものとは背もたれ部分が異なっています。見た感じでは、予備車両のものより座り心地は良さそうです。

 また、車両中央部にはフリースペースとしてソファー席があります。座席周りには木製の書棚があり、本に囲まれながら乗車することができます。乗客の中には、このスペースを利用して記念撮影をする方がいらっしゃいました。

 ついでに車内全体を見回してみました。内装や照明の違いもあってか、予備車両よりも明るくて上質感のある空間となっていました。

 そして1号車の車端部にはサービスカウンターがあり、オリジナルグッズや飲み物などを販売しています(下の写真には商品が写っていませんが…)。

 時間的にちょうどいいおやつタイムということで、僕は「いぶたまプリン」とペットボトル入りの知覧茶を購入しました。「いぶたまプリン」はクリームと黒ゴマの2層になったプリンで、「指宿のたまて箱」の車両をイメージした商品のようです。プリンはどちらかといえば固めの生地で、特に黒ゴマの生地からはしっかりとしたゴマの香りが感じられました。

 復路で利用したカウンター席は、すべて海側に位置しているため、車窓からは錦江湾桜島雄大な自然の風景を堪能することができました。素晴らしい景色を眺めながら美味しいデザートをいただくのは、何とも贅沢な時間です。往路と復路で乗車時間はほとんど同じはずですが、僕としては復路の乗車はあっという間という感じでした。楽しい時間はすぐに過ぎてしまいます。

 そしてこれから「指宿のたまて箱」に乗車される方には、絶対にA席をオススメします。D席も窓側ですが、海と反対側になってしまい、眺望という点では今ひとつです。また、観光列車にありがちなことですが、窓枠と座席位置が一致しない席もあることから、乗客を決めたら早めにJR九州のWebページなどで座席表を確認し、すぐにでも指定券を確保した方がいいです。同じねだんであれば、やはり眺望のいい座席の方がいいですもんね。

 余談ですが、夏ということもあってか線路沿いの草木が生い茂っており、長く伸びた枝などが走行中の車両に接触することが何回かありました。車体部分ならまだしも、ガラス窓に当たるとバチバチっという音が聞こえてきてちょっと心配になるほどです。経費削減や人手不足といった事情もあるのかもしれませんが、安心・安全な運行のためにも、最小限の草刈りや枝落としは必要だなと思いました。

 そんなことを思ったりしているうちに、列車は定刻どおりに鹿児島中央に到着しました。念願だった「指宿のたまて箱」に往復とも乗車でき、とても満足です。

 これで今日の乗り鉄旅は終了です。後はホテルでゆっくり過ごします。チェックインした後、客室内でダラダラ過ごしてしまい、夕食をいただこうと7時くらいに外出しましたが、1軒目はあいにくの満席、そして2軒目はすでにオーダーストップということで、結局、食べたいと思っていた鹿児島の黒豚をいただくことはできませんでした😰 さらに新しいお店を探す気になれなかったので、最終的にはコンビニ弁当になってしまいました。もっと早めに行動しておけばよかったと後悔しても、あとのまつりです。お弁当を食べて、大浴場で入浴し、明日に向けて英気を養うべく、早々に就寝しました。

 

記念乗車証の紹介

 サービスカウンターには記念乗車証があり、車内には裏面に押印できるスタンプも用意されています。「指宿のたまて箱」が走る指宿枕崎線は、路線の状態があまりよろしくないようで、走行中の揺れが大きいことで知られています。そんな車内できれいにスタンプを押印するのは至難の技ですが、僕は指宿駅停車中に押印したため、ずれなく押印できました。

>>(2)に続く

4社連絡片道乗車券を使った会津若松乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 今回の乗り鉄旅では、先ほどまで乗車していた「お座トロ展望列車」を含め、浅草までの間に3つの列車に乗車する訳ですが、鉄道会社としては、JR東日本会津鉄道野岩鉄道、それに東武鉄道を利用することになります。乗車する列車はそれぞれの会社の路線に対応しているというわけではなく、次のようになっています。

 「お座トロ展望列車」がJR東日本只見線会津鉄道線を走行することは前回の記事で紹介しましたが、今から乗車する特急「リバティ会津」は会津田島から引き続き会津鉄道線を走行した後、野岩鉄道線に入り、さらに新藤原から東武鉄道線に直通します。「リバティ会津」は実に運用範囲が広いですね。「リバティ会津」に乗車すれば、そのまま乗り換えなしに浅草まで行くことができますが、それでは今回の乗り鉄旅のメインとなる「スペーシア X」に乗車することができないため、今回はわざわざ鬼怒川温泉駅で乗り換える行程となっています。

 それでは、後半戦もよろしくお付き合いください。

 

 

会津田島駅から特急リバティ会津に乗車

 会津田島からは東武鉄道500系の「リバティ会津」に乗車します。「お座トロ展望列車」からの乗り換え時間が3分しかありませんでしたが、「リバティ会津」は構内踏切を渡ってすぐの位置に停車しており、特に焦ることなく乗り換えることができました。

 上の写真のように、構内踏切からは2つの列車が並んだ姿を見ることができます。最近は安全性の面から、列車と乗客の動線を分けるよう橋上駅舎が一般化しつつあり、こうした構内踏切が残る駅も少なくなっています。

 さて、ここから乗車する「リバティ会津」ですが、特急リバティは、けごん・きぬ・会津のほか、赤城方面のりょうもうでも使用されており、東武鉄道を代表する特急型車両となっています。「スペーシア」は、コンパートメントルーム(JR線内ではグリーン個室)設備を有し、3号車には物販用の販売カウンター(現在は営業終了)を備えるなど、観光利用を意識した特急型車両となっていますが、「リバティ」は通勤需要にも対応できるような特急型車両で、小田急ロマンスカーで例えると、「スペーシア」がVSEGSEで、「リバティ」がEXEやMSEといったところでしょうか。ちなみに僕は、これまでの乗り鉄旅で、浅草から下今市まで「リバティけごん」に乗車したことがありますが、「リバティ会津」は初めてです。車両自体は同じ東武500系ですが、何せ「リバティけごん」に乗車したのは約5年前のことなので、乗車した当時のことをあまりはっきりと覚えていません。言い訳をすれば5年前、豊橋から「ムーンライトながら」で東京駅に到着した後、そのまま浅草駅に移動して乗車したため、半分くらい寝ぼけたまま乗車していたものです。そういった意味でも、久しぶりに乗車する「リバティ」は新鮮に感じます。

リバティ会津で使用されている500系中三依温泉駅 2023/9/2

 始発の会津田島ではゆっくり写真撮影する時間がありませんでしたが、途中駅で行き違いのため数分間停車したため、その際に下車してホーム上から先頭車両を撮影することができました。あらためて見ると、「リバティ」はなかなかゴツい顔をしてますね。

 それにしても、「リバティ会津」の停車駅には「温泉」という名前の入った駅が非常に多いですね。駅の近くに温泉地や温泉施設があるのでしょうか? 今回は寄り道することなくひたすら乗り鉄を楽しむ旅で、途中下車は予定していませんが、再度この付近を訪れる機会があれば、どこかの温泉を訪問してみたいものです。

 続いて車内の紹介です。といっても、先ほどお話ししたとおり、「リバティ」は通勤特急という性格も持つ車両であり、車内には一般的な2+2配置の回転式リクライニングシートが並んでいる感じです。個室や展望席などの設備はありません。客室内には随所に木目が採用されており、天井には鬼怒川などの流れをイメージした間接照明が取り入れられています。また、座席のモケット柄は紫系のものが使用されており、これは江戸の伝統色「江戸紫」をモチーフとした配色なんだそうです。浅草を発着する特急らしい配色だなと感じました。

 車内には、最近の車両らしく車イスでの利用を想定したスペースも用意されています。ちなみに東武鉄道の特急に乗車する場合、もちろん特急券を購入する必要がありますが、会津田島鬼怒川温泉区間内のみを利用する場合に限り、特急料金が不要となります(ただし、特急券を購入しない場合は座席の指定を受けることができないため、空席がある場合のみ着席できます。確実に着席したい場合は、同区間内のみを利用する場合でも特急券を購入することになります)。会津田島発の「リバティ会津」がどの程度混雑するのか予想が付きませんでしたが、まあ満席ということもないだろうと思い、今回は特急券を購入せず利用することにしました。実際の乗車率はおそらく50%弱といった感じで、無事に着席することができました。

 

鬼怒川温泉駅から特急スペーシアXに乗車

 鬼怒川温泉駅に到着しました。この駅では「リバティ会津」から下車する方が結構大勢います。僕は一旦、この駅で途中下車するため、跨線橋をわたって改札口に向かいますが、通路のあちこちにこれでもかと言わんばかりにスペーシアXのポスターがが掲出されていました。

 改札を出たところで買い物を済ませて、再び改札口から入場します。「リバティ会津」を下車したときにすでに気が付いていたのですが、今回乗車する「スペーシアX」はすでに1番線に入線しており、折り返し運転のための車内清掃中でした。登場して間もない特急型車両ということもあり、多くの方が「スペーシアX」にカメラを向けており、僕もこの時間を利用して1号車側の先頭車両を撮影しました。

スペーシアXとして運行を開始したN100系:鬼怒川温泉駅 2023/9/2

 上の写真では、撮影の加減で車体色が少し青っぽく見えますが、これは日光東照宮の陽明門の胡粉をイメージした白色なんだそうです。実に東武鉄道らしいですね。他にもホームに設置されている昭和テイストの駅名標が入るアングルからも撮影してみました。

 駅名標の向こうに見えるのは1号車ですが、六角形の窓枠とその窓枠をXの文字に見立てるデザインは斬新で、「スペーシアX」の車名に相応しい外観です。また、車両側面には、「スペーシアX」のロゴマークも描かれています。

 もう一方の先頭車両である6号車付近にも多くの観客(?)がおり、珍しそうに車内の様子を見入っている方もいました。僕も清掃が終了して乗車が始まるまでの間、子供ようにドキドキワクワクしながら待つこと数分、発車時刻が近付き、いよいよ乗車が始まりました。

 また後で詳しく紹介しますが、僕は今回、1号車「コックピットラウンジ」にあるソファ座席を利用します。1号車にはカフェカウンターが併設されているため、乗車定員はわずか20人と6両編成の中で最も少ない座席数となっており、始発の鬼怒川温泉駅から1号車に乗車したのは、僕を含めてたった2人だけでした。1号車の乗客は、カフェを優先的に利用することができるということで、乗車すると早々に、スタッフの方からお声がけいただきました。何でもこの後、下今市駅で多くの方が乗車されるため、下今市到着前であればスムーズに購入できるとのことです。メニューを見ると、全体的にアルコール類が豊富ですが、ソフトドリンク類もあったので、その中から「ニッコーラ」というコーラと一口羊羹を注文しました。

 「ニッコーラ」とは、日光珈琲というメーカーが発売しているクラフトコーラで、スパイシーさが特徴的なオリジナル商品のようです。ちょうど喉も渇いていたため、鬼怒川温泉駅を発車する前から「ニッコーラ」をいただいてしまいました。確かに一般的なコーラとは全く違い、ジンジャーエールにも似た独特の風味があります。弱炭酸で味はスッキリとしていますが、思った以上にスパイス感がありました。

 そうこうしているうちに、「スペーシアX」は鬼怒川温泉駅を発車しました。ここで、下今市到着前の乗客がまだ少ないうちに車内の様子を撮影しようと思い、他の号車の様子も見てきましたので、まとめて紹介します。

1号車「コックピットラウンジ」

 まずは僕が乗車している1号車「コックピットラウンジ」です。座席は1人掛け、2人掛け、そして4人掛けのソファ型座席となります。利用には特別座席料金が必要で、1人用は200円、2人用は400円となっており、この料金を支払えば1人で2人掛け座席を利用することもできます(ただし、4人用は2人以上で利用可能)。僕も今回は、2人掛けを利用しました。

 1人掛けは2名分あり、運転席の真後ろに座席がありますが、残念ながら着席したまま前面展望や後方展望を楽しむことはできないようです。ちなみに鬼怒川温泉発の場合、1号車は最後尾となりますので、1人掛け座席は進行方向とは逆向きで着席することになります。そして2人掛けと4人掛けは通路を挟んでそれぞれ両側にあり、すべての区画にテーブルが用意されています。

 車内はラウンジの名にふさわしいデザインで統一されており、内装の色合いなどからクラシカルな雰囲気が漂っています。何でも日光金谷ホテルや大使館別荘などをモチーフに仕上げられたそうで、気品のある落ち着いた空間となっています。定期運行されている特急列車というよりも、観光列車のようですね。

 僕が「ニッコーラ」を購入したカフェカウンターです。僕は発車前に利用することができたため、上の写真のようにカウンターは混雑していませんでしたが、スタッフの方がおっしゃられていたとおり、下今市からは多くの乗車があってコックピットラウンジもほぼすべての区間が埋まり、カウンターも利用客で賑わっていました。

2号車「プレミアムシート」

 隣の2号車は2+1配列の「プレミアムシート」です。最近は、各地の特急型車両で「プレミアム」の名称を用いる座席区分が次々と登場しています。JR東日本のE261系サフィール踊り子のプレミアムグリーンや、近鉄80000系ひのとりのプレミアムシートなどがその例です。そして「スペーシアX」の登場により、東武鉄道にも新たなプレミアムシートが登場しました。後の方に気兼ねすることなくリクライング機能を利用できるバックシェル構造の座席が導入され、電動リクライニングや可動式の枕も装備された豪華な座席となっています。モケット柄のオレンジ色も鮮やかで、旅の高揚感が一段と高まるような車内と言えるのではないでしょうか。

 僕は今回、第一希望だった「コックピットラウンジ」を利用したため、プレミアムシートは利用していませんが、次回乗車する際には、是非とも利用し、その座り心地を確かめてみたいと思います。ちなみにプレミアムシートの利用には、プレミアムシート特急料金が必要となり、鬼怒川温泉-浅草間の場合、スタンダードシート特急料金よりも580円高くなります。

3号車から5号車「スタンダードシート」

 続く3号車から5号車までは、一般的な特急型車両らしい2+2配置の「スタンダードシート」となっています(5号車の一部には「ボックスシート」もあります)。各座席は背面テーブル付きで、また最近の車両らしくとモバイルコンセントも完備されており、2時間程度の乗車を想定した特急型車両としては、十分な設備となっています。

 また、スタンダードシート車両もプレミアムシート車両と同様、連続窓ではなくシート1列に対して1つの個窓となっているため、どの座席からでも同じ条件で車窓を楽しむことができるようになっています。なお、5号車の「ボックスシート」は写真撮影していませんので、説明は省略します。

 さらにこの先の6号車には、「コンパートメント」4室と「コックピットスイート」1室の個室がありますが、個室を利用されている方の迷惑になってはいけないと思い、今回は、6号車の車内に立ち入りませんでした。特に「コックピットスイート」は「スペーシアX」を代表する最上級の車内設備で、プライベートジェットをイメージした「走るスイートルーム」と言われる空間です。運行開始以来、「コックピットスイート」の人気は続いており、特急券も発売直後に完売してしまうようですが、グループで乗車する機会があれば、一度は利用してみたいものです。

 さて今回、「スペーシアX」に初めて乗車した訳ですが、車内の雰囲気やスタッフさんのサービスも含めて、非常にクオリティの高い特急型車両であることがよく分かりました。また、座席の種類が豊富で、利用人数や目的にあわせて車両設備を選択できる点もいいと思います。現在は、2編成での運行されているようですが、2024年にはさらに2編成が導入され、計4編成となるようですので、乗車できる機会も増えるのではないかと思っています。

スペーシアXの6号車側先頭車両:浅草駅 2023/9/2

 列車は時刻どおりに終点の浅草駅に到着しました。次回は、浅草発の「スペーシアX」にも乗車してみたいですね。久しぶりに降り立った浅草駅で記念にパシャリ📸

 

東京駅から東海道新幹線に乗車

 浅草駅で下車した後は、東京メトロ銀座線と京浜東北線を利用して東京駅に移動しました。東京駅からは再び東海道新幹線豊橋に帰ります。もう30分早く東京駅を発車する新幹線でも間に合いますが、今回は時間に余裕を持って、東京駅19:57発の「こだま755号」に乗車することにしました。

 往路はちょうどいい時間に豊橋に停車する「ひかり」号が運行されていたため、これを利用しましたが、残念ながら復路では都合のいい「ひかり」号がなかったので、「こだま」を選びました。まあ、後は帰宅するだけですので、「こだま」でも全然問題ありません。

東京駅18番線で出発を待つN700系:東京駅 2023/9/2

 いつものように、東京駅の乗車ホームで先頭車両の写真を撮影していると、遠くに何か短い編成の新幹線が見えました。もしかしてドクターイエローか?と思って近づいてみると、反対側のホームに停車している黄色いボディの車両が見えてきました。

 やはりドクターイエローです。これまで新横浜駅に停車しているところや、小田原駅を通過するところを目撃したことはありますが、東京駅でドクターイエローを目にするのは、おそらく初めてです。ちょうど発車する直前で、僕が写真撮影するとすぐに発車していきました。旅の終盤で久しぶりにドクターイエローの姿を見ることができ、僕としては大満足です。

 時間になり、「こだま755号」に乗車しました。往路に続き、復路もグリーン車を利用します。グリーン車は座席幅やシートピッチも広く、ゆったりと寛げる点が大きなメリットですが、車内でお弁当をいただく際にも周囲の目が気になりにくく、落ち着いて食事をすることができる点も非常にありがたいですね。夕食がまだでしたので、今回は鬼怒川温泉駅の改札外にある売店で購入したお弁当を車内でいただきます。それがこちら👇

 その名も「スペーシアX 日光埋蔵金弁当」です。「スペーシアX」の車両をあしらった容器に入れられたお弁当は、いかにも子供向け商品のようですが、値段は何と3,000円で、ふたを開ければ大人でも十分満足できるような“鱒寿し”と“ちらし寿司”が可愛らしい箱に入って並べられています。

 両方ともしっかりとした押し寿司で、十分満足できる味です。特に鱒寿しはネタも厚く、酢飯との相性も抜群です。ちなみに「スペーシアX」の容器の中には、スペーシアX刻印入り金色ランチスコップと金色日本刀型ナイフとが入っていました。ナイフで細かく切れ目を入れた上で、スコップを差し込んで食べるということでしょうか? 僕は普通に割り箸でいただき、ランチスコップと日本刀型ナイフはそのまま持ち帰りました。

 食後は約2時間10分のグリーン車でのひとときを満喫し、豊橋駅に到着しました。全体を通してみると、今日は東海道新幹線東北新幹線、さらにトロッコ列車や最新型の特急列車などに乗車することができ、充実した乗り鉄旅になりました。また、会津若松駅での食事や「スペーシアX」のお弁当も、美味しく楽しくいただくことができ、いつものとおり大満足です。

 

乗車券類の紹介

 最後に、今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類を紹介します。

 東海道新幹線の往復分の乗車票です。いつものようにJR東海ツアーズのずらし旅のプランを利用しています。このうち往路分については、東京駅の新幹線改札口で係員の方に乗車券類の持ち帰りをお願いしたのですが、JR東海の場合、事務用のパンチで穴を開けて無効印を押印するのがいつものパターンです。しかし、今回利用した改札口では、きっぷを機械に通して磁気を無効化(?)する処理を行ってくれたようで、パンチによる穴あけはありませんでした。さらに無効印も駅名だけのゴム印ではなく、新幹線のイラストが描かれたスタンプ印を押印してくれました。このあたりは利用する改札口や対応いただく係員によって違いがあるのかもしれませんね。

 続いて、東京から会津若松までの区間で使用した乗車券です。左は郡山まで乗車した東北新幹線分の一葉券なのですが、前回の記事で触れたとおり、普通車指定席の「お先にトクだ値」を購入することができなかったことから、かわりに購入したグリーン車用の「お先にトクだ値」です。右は郡山から会津若松までの乗車券で、東京駅で「お先にトクだ値」のきっぷを受け取る際に、一緒に購入しておいたものです。

 会津若松から浅草までは、JR、会津鉄道野岩鉄道東武の4つの鉄道会社をまたいで乗車することになります。もちろんそれぞれの鉄道会社ごとに乗車券を分けて購入することも可能でしょうが、それでは手間がかかります。そこで会津若松から東武の主な駅までの4社分の連絡乗車券が発売されており、それが今回の記事のタイトルにある「4社連絡片道乗車券」です。4社連絡といえど単なる片道乗車券ですが、一見すると企画乗車券のようなマルス券となっています。会津若松駅みどりの窓口で購入しましたが、「浅草までお願いします。」と伝えると、乗車日の確認があった後、されてすぐに発券してくれました。僕と同じように、4社の鉄道会社をまたいで浅草まで乗車する方は一定数いらっしゃるんでしょうね。

 それと「お座トロ展望列車」の指定席券と「スペーシアX」の特急券ですが、両方ともインターネットを利用して予約・購入したため、紙の乗車券類はありません。

 さて、今回もいつものように、思うがままに旅の思い出を紹介させてもらいました。自分でももうちょっと簡潔にしたほうがいいかなと思ったりしますが、まあ趣味でやっていることなので、その時の気分次第っていう感じです。ということで、また次回も長文になったらスイマセン😥

4社連絡片道乗車券を使った会津若松乗り鉄旅(1)

 8月が終わり、「残暑お見舞い申し上げます。」とあいさつすべき時期になりましたが、一向に暑さが収まりません。8月後半になっても最高気温が35℃近くになる日も珍しくなく、当たり前のように猛暑日が続いています。ここまで暑いと身体がバター🧈のように溶け出すのではないかと本気で思ったりしてしまうあたり、暑さの影響によって脳細胞の一部が壊滅的なダメージを受けているのかもしれません。僕はどちらかと言えば、暑い夏よりも寒い冬のほうが苦手ですが、さすがにここまで暑さが絶え間なく続くと、冬が待ち遠しく思えてきます。ちなみに最近はほぼ毎日、クーラーをフル稼働させて何とか生命活動を維持していますが、冷房の効いた部屋の中にばかりいると、それはそれで身体にダルさを感じてきます。つまりは屋外・屋内どちらにいても体調は万全とはいかないわけで、一体どうしたらいいものなのか、全く分かりません。冷房がなくても快適に過ごせるような涼しい場所はないのでしょうか? 聞くところによると、最近は北海道でも真夏日になる日が増えているようで、どうやら今の日本国内には、人間らしく生きられる場所などないような気がしてきます😭。

 そんな状態が続いているのですから、乗り鉄旅に出かけるような気分にはなれません。不用意に外出すれば、熱中症になってしまう危険性がありますからね。さらに今年は昨年12月に亡くなった父親の初盆ということで、もともと旅行などを事前に計画していなかったということもあり、8月は全く乗り鉄旅に行きませんでした。

 そして今年の8月は、帰省や旅行などで公共交通機関が最も混雑するお盆休みの後半になって、台風と大雨の影響により大規模な運休や遅延が発生しました。特に東海道新幹線では、8月15日に名古屋ー新大阪で終日運転見合わせとなり、翌16日には静岡県内での大雨により一時的に全線での運休を余儀なくされ、さらにその影響が17日にも及んでしまったことから、合計3日間にわたって大幅にダイヤが乱れることとなりました。僕はこの期間、自宅と職場を往復するだけだったので、特に列車の運休や遅延に巻き込まれることはありませんでしたが、中には長時間にわたって足止めを余儀なくされた方も多くおられたようです。こうして見ると、今年は不遇の8月だったと言えそうです。

 さて、僕はと言えば、9月に向けて着々と旅行プランを計画していました。それは、7月15日にデビューしたばかりの浅草ー日光・鬼怒川方面を結ぶ東武鉄道の新型特急「スペーシア X」に乗車するものです。東武には大別して、日光・鬼怒川・会津方面に向かう特急と、館林・足利市・太田・赤城方面に行く特急がありますが、特に日光方面に向かう特急には、100系スペーシア」や500系「リバティ」のほか、JR線との直通運転ではJR東日本253系も充当されるなど、様々な車両が活躍しています。こうした特急型車両には、これまでの乗り鉄旅で乗車してきましたが、そこに新たに投入されたのがN100系「スペーシア X」です。その名前のとおり、東武特急を代表する100系スペーシア」の後継となる車両で、新たな東武特急の“顔”となる、いわばフラッグシップモデルといってもいいと車両だと思います。乗り鉄的にはこの車両に乗車しないという選択肢はなく、1日でも早く乗車してみたいと思っていたのですが、ようやく8月上旬になって希望する座席を確保することができたというわけです。

 ということで、今回の乗り鉄旅のメインはもちろん「スペーシア X」に乗車することになりますが、「スペーシア X」の運行本数は、月~水は2往復、木・金・土休日は4往復となっており、日光方面に向かう特急の一部に充当されています。そして基本的な運行区間は浅草-東武日光間ですが、1日あたり1往復は浅草-鬼怒川温泉間での運行となっています。僕は当初、浅草-東武日光(または鬼怒川温泉)間を往復とも「スペーシア X」に乗車することを考えていましたが、いろいろ調べて見ると、会津若松から会津鉄道の「お座トロ展望列車」で会津田島まで行き、会津田島から「リバティ会津」号に乗車することで、鬼怒川温泉発の「スペーシア X」に乗車できることが分かりました。確か以前は、会津田島駅で「お座トロ展望列車」と「リバティ会津」の接続が図られておらず、「リバティ会津」の発車時刻よりも「お座トロ展望列車」の到着時刻の方が遅いダイヤとなっており、何とも不便なものでしたが、今年3月のダイヤ改正で改善され、「お座トロ展望列車」の会津田島駅への到着時刻が早くなりました。その結果、会津田島駅で「リバティ会津」に乗り換えることが可能となったわけです。

 そこで今回の乗り鉄旅では、当初計画していた「スペーシア X」には鬼怒川温泉ー浅草間の片道で乗車し、その前に「お座トロ展望列車」と「リバティ会津」にも乗車することとしました。そして具体的な旅行行程は、次のとおりとしました。

 豊橋から東京までは、いつものとおり東海道新幹線で移動します。東京からは郡山まで東北新幹線に乗車し、郡山から磐越西線に乗り換えて会津若松を目指します。会津若松で昼食をいただいた後、ここから「お座トロ展望列車」に乗車して会津田島へ、そして会津田島からは「リバティ会津」に乗車して鬼怒川温泉へ、さらに鬼怒川温泉から終点の浅草まで「スペーシアX」に乗車します。浅草からは東京メトロとJR線を乗り継いで東京に向かい、東京からは再び東海道新幹線に乗車するというものです。全体的に列車の接続がいいため、かなりの移動距離となるにも関わらず、日帰りが可能です。

 では、今回の乗り鉄旅を順に紹介したいと思いますので、よろしくお付き合いください。

 

 

豊橋駅から東海道新幹線に乗車

 旅の出発は、例によって豊橋駅です。名鉄線に引き続いて新幹線に乗車するため、乗り換え改札を利用します。

 僕はどうもこの乗り換え改札にある自動改札機との相性が悪いようで、豊橋までの名鉄線のきっぷと豊橋から乗車する新幹線の乗車票を同時に投入すると、なぜか⛔ピンポーンという音と共にピシャっと弾かれてしまいました。確か以前にも同じようなことがありました。駅員さんが僕に代わってきっぷを投入すると、今度はきちんと処理してくれます。どうやら2枚のきっぷをきれいに重ねて投入するのではなく、名鉄線のきっぷを投入した直後に新幹線の乗車票を投入するくらいのタイミングがベストのようです。

 そして今回乗車するのは「ひかり632号」です。豊橋発の上り列車は、始発から2本続けて「ひかり」の東京行きとなりますが、632号はその2本目になります。以前は7時前に豊橋駅を発車するダイヤだったはずですが、現在では7:09発となっており、僕にとってはこれまでよりも利用しやすいものとなりました。

東海道新幹線で活躍を続けているN700系:東京駅 2023/9/2

 豊橋駅では先頭車両まで移動して列車を撮影するチャンスがなかったため、東京駅下車後に撮影したのが上の写真です。いつものとおりN700系に乗車しました。そういえば、東海道新幹線では「のぞみ」と「ひかり」でのワゴン販売が10月末で終了するそうですね。「こだま」でのワゴン販売は以前から休止されていたものの、最近は東海道新幹線の利用者も徐々に回復してきているようでしたので、このタイミングでの営業終了にはちょっと驚きました。新幹線のワゴン販売と言えば、真っ先に“シンカンセンスゴイカタイアイス”を思い浮かべる方も多いのではないかと思います。現にインターネット上では、アイスクリームを行く末を心配する声もあるようですが、果たして新幹線の車内であのアイスクリームを食べることはできなくなってしまうのでしょうか? 確かにワゴンによる車内販売は終了してしまいますが、グリーン車の乗客に対しては、スマートフォンなどを利用してオーダーした商品をパーサーの方が座席まで届けてくれる新たなモバイルオーダーサービスがスタートするということですので、このサービスを利用すれば、引き続き車内で“シンカンセンスゴイカタイアイス”を購入することができるのではないかと思います。

 ちなみに今回はグリーン車を利用しました。また、せっかく「ひかり」に乗車したので、ワゴン販売であのアイスを購入しようかなと思いましたが、さすがに朝からアイスを食べる気分にはなれませんでした。

 

東京駅から東北新幹線に乗車

 東京駅からは東北新幹線の「なすの255号」に乗車します。東京駅では、20番線から23番線までの4つの発着番線の中で、東北(北海道)・山形・秋田・上越・北陸の各新幹線に接続する列車が行き来しており、E4系「つばさ」やE6系「こまち」、E7系「かがやき」「はくたか」など色々な新幹線車両を見ることができます。しかしこれだけ多くの種別の列車を限られた路線容量の中で運行できるというのは、本当にスゴいことだと関心してしまいます。よほど緻密な運行管理がなされているんでしょうね。僕みたいな大雑把な人間にはとても真似できるものではありません。

 ホーム上でそんなことを考えていると、今回乗車するE5系が入線してきました。折り返し運転のため到着後すぐに車内清掃が始まり、しばらくは車内に立ち入ることができません。そのため、この時間を使ってゆっくりと写真撮影を楽しみました。

東北新幹線で活躍を続けているE5系:東京駅 2023/9/2

今回は終点の郡山駅まで乗車します。前回の団体旅行でE5系に乗車した際には普通車でしたが、今回は久しぶりにグリーン車を利用することにしました。

 実は今回の旅行計画当初には、普通車指定席が30%オフとなる「お先にトクだ値」を利用しようと思い、わざわざ事前予約までしておいたのですが、結果は申込不成立でした😭。事前予約しておけば間違いないと思い込んでいましたので、この結果はショックでした。土曜日とはいうものの、夏休み期間真っ只中という時期でもありませんし、そもそも「なすの」が10時打ちでも確保できないほど申込みが集中するとは思えないのですが、ひょっとしたら「お先にトクだ値」での発売枚数が相当限られているのではないかと推測します。ちなみに申込不成立のメールを確認したタイミングでは、すでに10%オフとなる「えきねっとトクだ値」も購入できず、どうしたものかと悩んだ末に、だったら久しぶりにグリーン車にしようと開き直り、グリーン車用の「お先にトクだ値」を購入したものです。

 E5系グリーン車の車内です。上の写真は郡山到着後に撮影したため、乗客は写り込んでいませんが、東京駅発車時点でも乗客は思った以上に多く、先ほどの「ひかり」よりもグリーン車の利用率が高いなと感じました。しかし、よくよく考えてみると「ひかり」のグリーン車が編成中に3両あるのに対して、「なすの」ではグランクラスを除くとグリーン車は1両なので、1両あたりの乗客数が多く見えただけなのかもしれません。

 ちなみにN700系グリーン車にはフットレストが装備されていますが、E5系グリーン車にはフットレストの代わりに電動のレッグレストが備わっています。どちらがより快適に感じるかは好みの問題となりますが、僕はE5系のレッグレストがお気に入りです。一方で、車内全体の雰囲気というか居心地の良さは、N700系の方が僕好みです。もちろんどちらのグリーン車も上品さがあり、不満に感じる点はありません。

 

郡山駅から磐越西線会津若松

 E5系「なすの」グリーン車で快適な移動を楽しむこと1時間35分、終点の郡山に到着しました。ここからは在来線の普通列車会津若松を目指します。乗り換え時間は約25分と余裕がありましたが、なるべく早く乗車できるようにと、新幹線下車後はすぐに在来線ホームに向かいました。ちなみに郡山ー会津若松間には快速の設定もあり、さらに一部の快速は「あいづ」という列車名で指定席の設備があります。せっかくなので、まだ乗車したことがない「あいづ」の指定席を利用したかったのですが、「あいづ」は1日3往復しか運転されておらず、あいにく僕が乗車したい時間帯には設定がありませんでした。

磐越西線で使用されているE721系会津若松駅 2023/9/2

 この区間普通列車がどれくらい混雑するのか分からず、着席できるかどうか心配しましたが、そのイヤな予感が的中し、僕が乗車する頃には、2両編成の車内はすでに多くの座席が埋まっていました。辛うじて窓側座席を確保できましたが、発車時刻が近付くとドア付近だけでなく通路にも立ち客が発生する程の混雑ぶりです。せめて4両編成にならないものかと思いましたが、そう簡単に増結はできないのでしょう。しかし、終点の会津若松まで乗車する観光客も多い路線なので、土休日には指定席の設備がある「あいづ」の運転本数を増やすなどしてもらえると、より安心して利用できるようになるのではないかと感じました。

 なお、今回乗車した普通列車は、普段であれば郡山駅の1番線から発車するのですが、この日は2番線に変更となっていました。1番線には団体専用列車が停車しており、車内からその様子を見ていると、何とE655系「なごみ」ではありませんか! 実は以前の乗り鉄旅で1度だけ乗車したことがありますが、なかなか見かける機会の少ない列車です。普通列車の車内からになりますが、記念にパシャリ📸ました。(ガラス窓越しに撮影したため、こちら側の車内が反射してしまっていますが、ご容赦ください。)

 会津若松駅に到着しました。会津若松と言えば“赤べこ”が有名で、駅構内にも大きな顔の愛くるしい“赤べこ”とご当地キャラの展示がありました。

 さて、会津若松駅ですが、僕は2018年12月に訪れて以来の約4年9月ぶりの訪問となります。確か前回は、早々に郡山に引き返すという慌ただしい日程だったため、外から駅舎を眺めることすらしていなかったような気がします。瓦屋根の城郭のような建物が特徴的で、駅前には白虎隊士の銅像もあります。

 ここで当初の予定どおり、昼食をいただくことにします。会津若松に行ったら是非とも食べておきたいものって何だろうと思い、インターネットで調べると、どうやらソースカツ丼会津ラーメンが有名なようです。とは言っても、現地に滞在できる時間は1時間なので、あまり遠くまで移動することはできませんが、ちょうどいい具合にラーメンやソースカツ丼を提供している飲食店が駅中にあったため、今回はここを利用することにしました。お店の名前は会津山塩食堂さんです。

 店頭にあったメニューを見ながら何を注文しようかと悩みましたが、一番気になった「会津山塩レモンラーメンとミニソースカツ丼セット」に決めました。僕は麺類の中でそれほどラーメンが好きということはありませんが、レモンラーメンというのは食べたことがなく、どういう風味なのか、興味があったからです。注文から提供までの時間は意外と早く、やはりエキナカということで、限られた時間で食事をする方に配慮していただいているようです。

 上の写真が今回いただく「会津山塩レモンラーメンとミニソースカツ丼セット」です。写真で見ると、それほど量が多くは見えませんが、実際には僕が思っていた以上のボリューム感です。当たり前ですが、本当にラーメンに薄切りレモンが添えられています。いつものとおり食レポはしませんが、それほどレモン風味が強いというわけではなく、スッキリした食べやすい味でした。ソースカツ丼の方は甘いソースが絶妙で、僕好みのちょっと濃いめの味付けです。基本的に外出時には少食の僕ですが、最後まで飽きずに完食することができました。ごちそうさまでした😊。

 

会津若松駅から「お座トロ展望列車」に乗車

 食事を終えたところで、「お座トロ展望列車」の発車時間が近付いてきましたので、改札口から入場し、5番線へと向かいました。今回乗車する「お座トロ展望列車」は会津鉄道が運行する列車ですが、会津若松西若松間ではJR只見線を走行します。「お座トロ展望列車」以外の列車も含めて、会津鉄道の列車は基本的に会津若松駅に乗り入れており、会津若松駅が実質的に会津鉄道線の始発駅のような役割を果たしています。会津若松駅の発車標にも、ちゃんと「会津鉄道」という案内があります。

 僕がホームに到着した時点では、まだ列車は入線していませんでしたが、僕と同じようにこれから「お座トロ展望列車」に乗車するであろう方々がすでに何人かホームに見えました。しばらくすると、西若松方面から「お座トロ展望列車」がゆっくりと入線してきました。

お座トロ展望列車で使用されているAT-400形とAT-350形:会津若松駅 2023/9/2

 それでは、まず始めに「お座トロ展望列車」について紹介したいと思います。

運転日と運転本数

 「お座トロ展望列車」の運転日は基本的に4月から11月までの土休日となっていますが、ゴールデンウイークやお盆休み期間、紅葉シーズンなどには、平日にも運転されることがあるようです。運転本数は1日当たり3本(1.5往復)で、発車が早い順に会津浪漫花号、会津浪漫風号、そして会津浪漫星号と呼ばれています。ちなみに僕が今回乗車するのは、“会津浪漫星号”の便です。3便ともJR区間を除いて全車指定席となっており、指定料金は大人400円です。

運転区間

 すべての便が、会津若松会津田島間の約45kmの区間で運転されています。先に紹介したとおり、このうち会津若松西若松間はJR只見線で、西若松会津田島間が会津鉄道線の区間となっています。会津鉄道線内は快速運転となっており、主要駅にのみ停車します。

使用車両

 「お座トロ展望列車」で使用される車両は、会津鉄道が所有・運行するものですが、新たに製造された車両ではなく、JR東日本のキハ40形気動車とキハ30形気動車種車として、AT-400形(1号車)とAT-350形(2号車)に改造されたものです。また、両車両とも2021年7月に外装リニューアルを受けており、現在のカラーリングとなっています。

 全2両の短い編成ですが、車内には、お座敷席、トロッコ席、そして展望席と色々な種類の座席があり、これが列車名の由来にもなっています。それでは、それぞれの座席を見てみましょう。

お座敷席

 まずは「お座トロ展望列車」の“お座”に当たるお座敷席で、1号車の約3分の2を占めています。以前は1号車全体が回転リクライニングシートとなっていたようですが、現在は改装されて掘りごたつ式のお座敷席になっており、通路の左右に32席分並んでいます。4人掛けのボックスタイプで、大きなテーブルを囲んで着席することになります。夏場はやはりトロッコ席の方が人気のようで、僕が乗車した便では空席が目立ちました。しかし、天候の悪い日や車内で静かに寛ぎたい場合には、こちらのお座敷席がピッタリだと思います。

ロッコ

 次に僕が乗車した、「お座トロ展望列車」の“トロ”に当たるトロッコ席の紹介です。2号車は52席すべての座席がトロッコ席で、いかにもトロッコらしい簡易なベンチタイプの座席となっています。もちろん、リクライニング機能などありませんが、座り心地が気になることはありませんでした。こちらの座席も 4人掛けのボックスタイプが基本ですが、車端部にある一部の座席は2人掛けとなっています。僕は今回、相席にならなかったため、4人掛けのボックスシートを贅沢に独り占めすることができました。

 また、6月から9月までの夏季期間中は、トロッコ車両のガラス窓が取り外されており、外気を感じながら列車の旅を楽しむことができます。(雨天☔の場合はどうなるんでしょうかね?)

 トロッコ車両の連結部付近には、オリジナルグッズや飲み物類を販売するスペースがありました。上の写真にも写っていますが、車内に郵便ポストも設置されています。この郵便ポストは単なる展示物ではなく、実際にハガキを投函することができるのだそうです。

展望席


 最後に「お座トロ展望列車」の“展望”に当たる展望席です。展望席は1号車の会津若松寄りのハイデッカー部分に12席設置されており、会津田島発の場合は前面展望を楽しむことができますが、会津若松発の場合は残念ながら後方展望になってしまいます。進行方向と逆向きというのはあまり好まれないようで、展望席の座席は運転席に背を向けて進行方向側に転換されていました(もちろん乗客自身で反対方向に転換し直すこともできます)。会津若松駅発車時点で確認したところ、展望席の利用客も少ないようです。

車内から眺めるトンネルシアターとビュースポット

 さて、ここからは実際の旅の様子を紹介したいと思います。僕が乗車した“会津浪漫星号”は、定刻どおり会津若松駅を発車しました。しばらくはJR線区間を走行しますが、すぐに会津鉄道の起点となる西若松駅に到着します。会津若松西若松のJR線の区間は乗車券のみで乗車できるため、18きっぱーの中には、会津若松西若松間のみこの列車に乗客する方もいるようです。

 西若松からは会津鉄道線をします。「お座トロ展望列車」はやはり観光利用を目的とした列車ということで、走行中にも沿線の観光案内などがありました。しかし気動車ゆえにエンジン音でかき消されてしまい、ほとんど聞き取れないのが残念なところです。加えて僕が乗車しているトロッコ車両は窓がない状態のため、思っていた以上に強い風が車内に吹き込んできます。テーブルに置いたスマホやペットボトルが飛ばされるのではないかと心配になるほどです。

 暑さは感じるものの、風に当たりながらの乗車を楽しんでいると、他の乗客の方が車内でアイスを購入されていました。それを見たら僕も食べたくなってしまい、バニラ味のアイスをいただくことにしました。

 このアイス、例のアイスとは比べものにならないくらいの柔らかさです。風が強いため、この後フタが飛んで行きました。

 会津鉄道線内にはいくつかトンネルがあります。トロッコ車両に乗車してトンネル内を通過するというのもなかなか経験できないことですが、この列車ではトンネルシアターなるものがあり、走行中の車内からトンネル壁面に映し出される映像を鑑賞することができます。僕は今回、9番D席を利用しましたが、この席だとちょうど真横に映像が映し出されます。

 もちろんトンネルシアター以外にも見どころはあります。途中には3つのビュースポットがあり、橋梁の上で一時停車して、乗客が景色を眺めたり写真撮影などを行える時間が設けられています。この日は若干曇り気味でしたが、雄大な自然とその中にある人工物の美しいハーモニーが織り成す風景を楽しむことができました。緑の多い自然の中に身を置くと、何とも言えない清々しい気分になりますね。列車に乗車したままこうした景色を楽しめられるのは、何とも贅沢なことです。

 「お座トロ展望列車」での約1時間20分の乗り鉄旅はあっという間で、列車は終点の会津田島駅に到着です。会津鉄道線自体は、この先の会津高原尾瀬口駅まで続きますが、僕はここから先、「リバティ会津」に乗車していきます。長くなってきましたので、以降は次回に続きます。

>>(2)に続く

大阪“グルメ”旅に行ってきました(今年2回目)

 僕は名古屋ー大阪間の移動には、東海道新幹線だけでなく近鉄特急も利用します(今まで僕の記事を読んでいただいたことのある方なら、すでにご存知だと思いますが…)。僕の中には、特にどちらを利用するのかといった明確な基準がある訳ではなく、主にその時の気分によって決めており、どちらでもいい場合には、往路を近鉄特急、復路を新幹線にするなど、乗り鉄らしい使い方もしています。

 しかし、名古屋ー大阪間を移動する場合、一般的に言えば、少しでも早く到着したいという速達性を重視する場合には東海道新幹線を利用し、逆に多少は時間を要しても安価に移動したい場合には近鉄特急を利用するというイメージがあるのではないでしょうか?

 ところで近鉄は、今年4月、平均17%の運賃改定を実施しました。その背景には昨今の新型コロナの影響による大幅な減収があり、また、ホーム柵設置やバリアフリー対策などの各種設備投資に向けて、安定的に運賃収入を確保する必要があるということだと思います。近鉄の運賃改定は、消費税率の引き上げ分を除けば1995年9月以来ということで、約27年にわたって据え置かれてきたことになります。この間に社会・経済情勢は様変わりし、特にここ数年は在宅勤務の普及などによって人の流動も急激に変化しました。こうした中で更なる安全対策の充実や利便性の向上を図るためには、運賃改定もやむを得ないものだと思います。ちなみに今回の運賃改定によって、近鉄名古屋大阪難波間はこれまで2,410円だったものが、一気に2,860円となりました。

 インターネット上には、今回の運賃改定によって近鉄特急利用者の一部が、東海道新幹線にシフトしてしまうのではないかという意見もあるようですが、実際のところ、その影響はどうなのでしょうか? 東海道新幹線近鉄特急のねだんを比較してみましょう。

【新幹線利用時(通常期)】
 6,470円(新幹線ひかり・こだま指定席利用時・通常期)
 4,800円ぷらっとこだま・特定期以外)

近鉄特急利用時】
 4,790円アーバンライナーのレギュラーシート利用時)

 両者の正規運賃+特急料金を見ると、運賃改定後であっても東海道新幹線の方が近鉄特急よりも高いです。所要時間の違いを考えれば当然のことですね。しかし注目すべきはここから先で、近鉄特急(アーバンライナーのレギュラーシート利用時)のねだんは、東海道新幹線で「ぷらっとこだま」を利用する際のねだんとほぼ同額になっています。少し前までは、東海道新幹線の方が高く近鉄特急の方が安いのは当たり前という意識を持っていましたが、現在はそうとも言えません。近鉄特急でデラックスシートや「ひのとり」を利用すれば、むしろ「ぷらっとこだま」のねだんを超えてしまいます。こうした状況を踏まえると、確かに近鉄特急利用者の減少を心配する声があがるのも頷けます。特に最近は「ぷらっとこだま」も便利になり、JR東海ツアーズの窓口に出向いたり、わざわざ郵送してもらわなくても、新幹線停車駅にある指定席券売機で乗車票を受け取ることができるなど、従来よりも利用しやすくなっていますからね。

 しかし、僕としては、今回の運賃改定によって近鉄特急利用者が急激に減少することはないと思っています。なぜかと言えば主な理由は3つで、1つ目は東海道新幹線「こだま」と近鉄特急の運転本数の違い、2つ目は特急「ひのとり」のプレミアムシートに代表される豪華さと快適さを備えた車両の充実、そして3つ目は大阪(梅田)と難波という駅位置の違いです。

 1つ目の運転本数については、名古屋ー大阪間の「こだま」号は基本的に毎時1本と限られる上、夕方など運行のない時間帯もあるに対し、近鉄特急は毎時2本運行されています。現在の東海道新幹線は「のぞみ」主体のダイヤとなっており、「こだま」なんて待っていられないという方もいると思います。そして2つ目の使用車両について言えば、すべての名阪甲特急は「ひのとり」車両となり、名阪乙特急でも「アーバンライナー」が充当されています。「ひのとり」のプレミアムシートはJR車両のグリーン席以上の設備を誇っており、こうした座席を1,000円に満たない特別車両料金で利用できるのは破格のサービスだと言えます。“せっかくの旅行なので、ちょっと贅沢したい。”という利用客のニーズをしっかりと掴むことで、新幹線とはまた違った乗車旅を提供してくれています。そして3つ目ですが、東海道新幹線の駅が新大阪であるのに対し、近鉄特急は大阪難波を発着しており、目的地の違いによって住み分けが図られている面もあると考えれます。難波方面に出かけたい時だけでなく、例えば名古屋から高野山方面に行く際に新大阪まで東海道新幹線を利用する方法もありますが、乗換回数を考えれば大阪難波まで近鉄特急を利用し、難波で南海電鉄を利用するという人もいると思います。

 新型コロナの5類移行後、初の夏休み期間を迎える中、運賃改定の影響によって利用動向に変化が見られるのか気になる近鉄特急ですが、僕は今回、例によってヤフオク!で株主優待乗車証を落札しました。この時期には、一部の乗車証の利用期限が7月末に設定されていることから、期限が迫った乗車証を一般的な市場価格よりも安価に入手することができます。この乗車証が1枚あれば、区間や距離に関係なく1回の片道乗車(途中下車は不可)に利用することができ、今回は2枚セットを落札したため、例えば近鉄名古屋大阪難波間を往復することもできます。というか、過去に近鉄株主優待乗車証を入手した際には、いつも大阪難波までの往復に利用しており、今回もこれまでと同様に、近鉄名古屋大阪難波間での往復乗り鉄旅で利用することにしました。

 大阪旅行と言えば、今年4月にちょっとした“グルメ”旅を楽しみました。今回はいろんな名所や観光スポットを巡る旅もいいなと考えていましたが、最近の日中の暑さは尋常ではありません。旅先で熱中症になってしまっては元も子もないので、前回に続き、今回も屋外中心の観光は避けて、近鉄特急の乗り鉄とグルメを楽しむ旅に出かけることにしました。最近はちょっと食べ過ぎ感がありますが、まあ旅先での楽しみということで、許してください。それでは、今回の旅の様子を紹介していきたいと思います。

 

 

近鉄名古屋駅から特急ひのとりに乗車

 旅の出発はもちろん近鉄名古屋駅です。僕の場合、乗車当日に駅窓口で特急券を受け取るのですが、曜日や時間帯によっては長蛇の列となっていることも多いため、今回も時間に余裕を持って少し早めに到着しました。しかし予想していたような混雑はなく、スムーズに特急券を受け取ることができました。改札口から入場し、乗車予定の列車が到着するまでホームにあるベンチに座って待ちます。

 出発時間が近づくと、6番線に80000系の特急「ひのとり」が入線してきました。フラッグシップモデルに相応しいスピード感ある流線型の車体フォルムで、メタリックレッドの外観デザインからは美しさと上質さが伝わってきます。「ひのとり」に限らず、こういった気品ある車両を運行し、乗客をワクワクさせてくれるようなところこそが、近鉄特急が長く愛され続けている理由のひとつなんでしょうね。

ひのとり号で使用されている近鉄80000系:近鉄名古屋駅 2023/7/26

 現在、80000系には6両編成と8両編成とがありますが、今回乗客するのは6両編成です。以前にも紹介しましたが、両端の1号車と6号車はハイデッカー構造のプレミアムシートで、中間車両の2号車から5号車までが通常のレギュラーシートとなっています。今回僕は、進行方向に向かって先頭車両に当たる6号車に乗車しました。座席を予約したのが出発日の数日前だったため、インターネットで購入する際にはすでに6号車は満席で、最後尾車両となる1号車の2人掛け座席の窓側に1席だけ空席がある状態でしたが、後日もう一度シートマップを確認すると、6号車の1人掛け座席に空席があったため、この座席を即座に抑えました。最前列とはなりませんが、前から3列目ということで、身体をちょっと通路側に傾けると、前面展望を楽しむことができます。

 また、80000系「ひのとり」の前面展望では、走行中の運転席の様子を背後から眺めることもできます。乗客は楽しいかもしれませんが、運転士さんは後方からの視線は気にならないのでしょうか? 僕が運転士だったら絶対に気になってしまい、仕事に集中できません。とは言いつつも、中川短絡線を走行中のシーンを撮影したりしちゃいました。

 名阪特急に乗車していると、名古屋や大阪を始めとする主要駅付近では、人家や商業ビルなどが建ち並ぶ都会的な風景を眺めることになりますが、一部では周囲を緑に囲まれた自然豊かな区間も走行します。トンネルが連続する区間もあり、確か“秘境駅”として知られている西青山駅もこうした山中にあるはずなのですが、いつも車窓から見逃してしまいます。

 そうこうしているうちに、列車は無事に大阪難波駅に到着しました。約2時間10分の乗り鉄旅ですが、機能性に優れたシートのおかげで全く疲れはありません。さすがはプレミアムシートです。プレミアムシートしか勝たんと言っていいと思います。

 

ひとり焼肉by焼肉めいげつ ABCランチで焼肉

 今回もいつものように、終点の大阪難波までやってきましたが、実は鶴橋で昼食にしようと思っています。“だったら最初から鶴橋で下車すればいいじゃん!”というツッコミをいただきそうですが、乗り鉄的にはせっかくなので大阪難波まで乗車したかった訳です。

 僕はこれまでに何度も大阪に行く機会がありましたが、コリアンタウンとして有名な鶴橋には行ったことがありません。特にコリアンタウンに興味がある訳ではないのですが、何となく鶴橋だと美味しい焼肉が食べられるんじゃないかと思い、今回は焼肉目当てで鶴橋に行ってみることにしたものです。大阪難波からは再び近鉄線に乗車して、鶴橋まで折り返しました。

 駅の改札口を出て、路地裏のような狭い道路を歩いていると、多くの焼肉店が軒を連ねています。また、何とも言えない独特な雰囲気が漂っており、昭和の時代にタイムスリップしたかのようなちょっとレトロな感じがあります。実は事前にどのお店を利用するのか決めていませんでしたが、近鉄特急に乗車しながら口コミ情報などを調べ、今回は「めいげつ」さんでランチをいただくことにしました。

 店舗前に到着すると、平日の12時前にも関わらず店内はすでに満席でした。口コミの評判のとおり、なかなか人気店のようです。とりあえず用紙に名前を書いて順番を待っていましたが、しばらくすると店員さんから、姉妹店の「めいげつABCランチ」という一人焼肉の店舗であれば、すぐに案内できますよと教えていただきました。提供されるメニューも全く同じということです。僕は別に店舗にこだわりがある訳ではないため、「めいげつ」さんの裏手にある「めいげつABCランチ」さんに入店しました。

 確かにパッと見た目では、お洒落な焼肉屋さんらしい店構えの「めいげつ」さんとは異なり、「めいげつABCランチ」さんは何だか居酒屋さんのような感じです(ちょっと失礼かな…)

 「めいげつ」さんはおそらくテーブル席が中心だと思いますが、「めいげつABCランチ」さんは一人焼肉のお店ということで、カウンター席となっています。一人で利用する際には、大きなテーブル席よりもこうしたカウンター席の方が気兼ねすることもないため、結果的にはこちらのお店を選択して正解でした。

 早速、メニューを見てみると、当然のことながらランチや定食類が充実しています。どれも手頃な値段で美味しそうですが、今回は焼きしゃぶロースの定食をいただくことにしました。焼しゃぶは久しぶりなので、とても楽しみになってきました。お腹もいい具合に空いています。程なくして注文した焼きしゃぶの定食が運ばれてきました。

 定食には、お肉のほかにライスとスープ、それにキムチやナムルなどの小鉢がセットになっています。お肉は見た目にもきれいで、ジュッと焼いて口に運ぶと、程よい脂が口の中に広がります。間違いなく美味しいです。特に生卵を入れたタレがお肉によく合い、ベストハーモニーを奏でています。これで税込み2,200円なので、わざわざ鶴橋を訪れた甲斐がありました。

 

幸せのパンケーキでデザートタイム

 鶴橋での焼きしゃぶランチを堪能した後、梅田である人と会う約束になっていたのでJR大阪環状線に乗車して大阪駅に向かいます。今回の乗り鉄旅は近鉄特急がメインとなっており、JR線を利用するのは鶴橋ー大阪間のみとなります。ギラギラと照りつける強い陽射しは最高潮に達し、鶴橋駅ではホーム付近での気温が41℃を超えているとのアナウンスがありました。喉が渇く前にしっかりと水分補給するようにとのことだったため、僕もペットボトルのお茶を飲みつつ移動しました。

 梅田でのもう一つのお楽しみ(?)を終えた後、まだ帰りの列車まで時間があったので、恒例のデザートタイムにすることにしました。初めてのお店でいただくスイーツは、旅の楽しみのひとつでもあります。

 突然ですが、皆さんは「あなたは今、幸せだと思いますか?」と問われれば、何と答えますか? 僕は「幸せだと思っています。」と答えます。特に自分が恵まれた環境にあるとは思っていませんが、不安な気持ちに苦しめられるようなこともなく、平凡な日常生活を送ることができているということは、幸せなことだと感じているからです。ただ単に、僕は幸せを感じる基準が他の人よりも低いということかもしれませんけどね。まあ、そんなことはどっちでもいいのですが、今回は店名を聞いただけでハッピーになれそうな、その名も「幸せのパンケーキ」というお店に行ってきました。

 「幸せのパンケーキ」は、北海道から沖縄まで全国各地に店舗があり、看板商品はもちろんパンケーキです。パンケーキ自体は大阪でしか味わえないものではありませんが、どうやら店舗限定のオリジナルメニューがあるようで、インターネットで調べたところ、梅田店では「茨城メロンパンケーキ ライムの香り」という商品が提供されているとのことでした。メロン🍈好きな僕は是非ともこのパンケーキを味わっておきたいと思い、今回の旅で訪問することにしました。

 かなり人気のお店だと聞いていたので、入店待ちがないかどうか心配しましたが、結果的にはすんなり入店することができました。前回の大阪乗り鉄旅では、「クレープリー・アルション」さんをおっさん1人で訪問し、周囲の視線を感じつつクレープをいただきましたが、「幸せのパンケーキ」さんも圧倒的に女性客が多く、少なくともおっさん1人は僕だけでした。まあ、メロンのパンケーキを食べられるのであれば、多少のことは我慢します。

 と思っていたのですが、メニューを見ても「茨城メロンパンケーキ ライムの香り」がありません。まさかの裏メニューでしょうか? にしては、Webページ上で堂々と公表しています。店員さんに聞いてみてもよかったのですが、それも恥ずかしいような気がして、結局、別のパンケーキを注文しました。後から調べたところ、どうやら「茨城メロンパンケーキ ライムの香り」は期間限定で、すでに提供を終えていたようです。やってしまいました😰

 そして今回いただいたのは、こちらの「国産白桃のローズヒップピーチパンケーキ」です。今の時期は、桃🍑も美味しい季節なので、これはこれでとてもよかったです。パンケーキと白桃には、ラベンダーのジュレを添えられており、見た目にも涼しげです。パンケーキ自体は思った以上にふわふわで、口当たりのいい軽やかな食感です。生クリームも甘すぎず、パンケーキや白桃との相性もバツグンです。今回の旅行でも美味しいスイーツに出会うことができて、僕は幸せです😄

 

大阪難波駅からアーバンライナーに乗車

 「幸せのパンケーキ」さんでのハッピーなひと時を終え、再び大阪難波駅に戻ってきました。ここから近鉄特急に乗車して名古屋に戻ります。往路は甲特急である「ひのとり」を利用しましたが、復路はタイミング的に乙特急の方が便利だったため、アーバンライナーに乗車することにしました。昨年の12月に志摩地中海村に行く際、名伊特急に充当されているアーバンライナーnextに乗車しましたが、アーバンライナーの乗車はそれ以来です。

 大阪難波駅は2面3線と発着番線が限られているため、アーバンライナーの入線も発車直前となります。いつものとおりplusかと思いきや、nextが姿を見せました。前回の初乗車に続いて2回目となります。

アーバンライナーnextこと近鉄21020系:大阪難波駅 2023/7/26

 往路で利用した「ひのとり」もかっこいいですが、アーバンライナーnextもシャープな外観でスピード感があり、なかなかのイケメン顔です。名古屋方の先頭車両である1号車がデラックスカーで、2号車から6号車までがレギュラーカーとなっています。僕としてはなるべく1人掛け座席を利用したかったので、今回はデラックスシートにしました。インターネット予約・発売サービスを利用してシートマップで空席状況を確認しながら特急券を購入しましたが、ちょうど最前列の1人掛け座席に空席があったため、この座席にすることにしました。

 往路で乗車した80000系「ひのとり」では、先頭車両からの前面展望を楽しむことができますが、アーバンライナーも運転席越しに前面展望を楽しむことができるようになっています。ただし「ひのとり」とは異なり、デッキから眺める必要があるため、最前列の座席であっても着席したままでは楽しむことはできません。

 運転席内は客室内ほど冷房が効いていないのでしょうか? 運転士さんの横に扇風機が置かれていますね。

 車内の様子です。アーバンライナーnextのデラックスシートを利用するのは今回が初めてですが、これまで利用したことのあるplusのデラックスシートとはモケット色に違いがあるんですね。これは知りませんでした。ある意味、新鮮に感じます。平日の夕方でまた帰宅時間帯でもないことから、車内は全体的に閑散としていました。ちなみに僕が利用した最前列は足元が他の座席よりも広々としており、ゆったりと足を伸ばすことができるため、とても快適です。ちなみに最前列の座席にも他の座席と同様、ちゃんとフットレストが用意されています。

 帰路ではちょっとウトウトしてしまいましたが、往路よりも少しだけ長い2時間20分の乗車を経て、終点の近鉄名古屋駅に無事に到着しました。楽しかった今回の大阪旅もこれで終了となります。

 

乗車券類の紹介

 今回は冒頭でお話ししたとおり、近鉄株主優待乗車証を利用しており、自動改札で出場したため手元には残っていません。往路と復路で使用した特急券は上のとおりです。ちなみに近鉄では現在、インターネット予約・発売サービスによるチケットレスサービス開始20周年を記念して、通常は購入金額の10%がポイント還元されるところ、9月末までの期間限定で20%がポイント還元されるキャンペーンが実施されています。JR東日本の「えきねっと」などと比べると、近鉄はもともとポイント還元率が高いのですが、さらに通常の倍のポイント還元ということで、今回の利用で1,000ポイント以上獲得することができました。これはまた、どこかの機会に近鉄特急を利用しなくてはいけませんね。(近鉄の思う壺かな?)

 以上、今回の大阪旅をダイジェストでお伝えしました。まだまだ夏季期間中にどこかしら乗り鉄旅に出かけたいと思っていますので、その際はまたご報告します。最後までお読みいただき、ありがとうございました🙇

「ウエストエクスプレス銀河」に乗客する出雲乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 今回も「ウエストエクスプレス銀河」の魅力を僕なりにお伝えしていきたいと思います。また、「ウエストエクスプレス銀河」を下車した後に訪れた出雲大社の様子や、復路で乗車した「スーパーやくも色」の381系も紹介していますので、よろしければもう少しお付き合いください。

 

 

エストエクスプレス銀河の車内を紹介

 まず「ウエストエクスプレス銀河」の各号車の様子をお伝えしたいと思います。車内には多くの乗客の方がいらっしゃったため、なるべく迷惑にならないよう配慮しながら撮影しました。ちょっと急いで撮影したものも含まれていますので、多少のブレ等はご容赦ください。

1号車

 まずは1号車の紹介です。各号車の乗降扉付近には、「ウエストエクスプレス銀河」をイメージしたロゴとともに、号車と座席種別などを示す表示がありますが、1号車にはグリーン席とファーストシートのマークが掲げられています。

 ファーストシートはこの1号車のみで、車内には2名用のボックス席が8区画あります。そのため座席数は16席となりますが、夜行運転の際にはボックス単位で発売(A席のみ発売)されるため、1人当たりの専有面積はとても広いです。その分だけ定員は非常に少なくわずか8名となります。

 上の写真のように、京都発車時には昼行運転と同様、通常座席として使用できるようになっていますが、テーブルを収納して両側の座席を前に倒すと下の写真のようにフルフラットになり、備え付けのシーツをかければベッドに早変わりです。もちろん逆の手順で通常座席に戻すことも可能です。

 実際にベッドに横たわってみると、天井までの空間が広いため、圧迫感は全くありません。横幅も窮屈に感じることもありません。座席を転換したベッドとしては、なかなかいい感じだと思います。窓側と通路側にはそれぞれカーテンがあり、これを閉めるとプライベートな空間となります。ただし、カーテンは薄い生地でできており、通路側から見て完全に遮断されるものではないため、注意が必要です。もっとも1号車に乗車するのは最高でも8名で、他の号車の乗客の出入りもないため、通路側からの視線はそれほど気にならないと思います。

 また、窓下には読書灯と天井灯のスイッチがあり、好みで明るさを調整することができます。座席上には広めの荷物置き場があり、隣の座席との間にも収納スペースがあるため、荷物が多少多めでも十分に対応できます。車内は全体としてゆったりしているため、寛ぎながら列車の旅を楽しむことができます。やはりファーストシートを選んでおいて正解でした。

 また1号車の運転席寄りにはグリーン券を持つ乗客専用のラウンジがあります。4席のみの限られた空間ですが、運転席越しに前面展望を楽しむことができます。

 そこには側窓から眺めることができない風景が広がっており、いつまで見ていても飽きません。やはり僕は乗り鉄好きなのです。

 

2号車

 2号車は、半分がリクライニングシートで、もう半分がクシェット(簡易寝台)となっています。女性専用車両であるため、男性の乗客が利用することはできませんが、1号車の乗客については、2号車を通り抜けないと3号車以降の号車に移動できないことから、通り抜けのための立入りが認められています。1号車の乗客の中には、2号車を通り抜けて3号車や4号車のフリースペースに移動しているだろう人も見かけましたが、僕としては女性専用車両に立ち入ること自体に抵抗感があったため、結局、2号車には1回も立ち入りませんでした。よって車内の写真もありません。(3号車以降の号車には、停車中に車外から移動していました。)

 

3号車

 3号車もいくつかの種類の座席が用意されています。まずはリクライニングシートです。通路を挟んで両側に2人掛けの座席が並んでおり、一般的な特急型車両のようです。シートピッチはかなり広く、リクライニングも深く倒れるようになっていました。夜行として運行することを意識し、少しでも乗客が快適に過ごすことができるようにとの配慮だと思います。

 もう一つの座席はファミリーキャビンです。その名のとおり、家族など小グループでの利用を想定した座席で、大きめのベンチシートが設置された半個室空間です。あわせて2区画ありますが、夜行運転時は1区画のみ発売され、他のもう1区画はファミリーキャビンをご利用する乗客が自由に利用することができるようになっています。僕が3号車を訪れた際には、両区画とも乗客の方がいらっしゃったため、写真撮影はしていません。

 また、2号車よりの車端部には、こじんまりしたフリースペース「明星」があります。リクライニングシートの乗客がちょっと気分転換したいときなどに利用しやすいと思います。

 

4号車

 4号車は1両まるごと「遊星」という名前のフリースペースになっています。大型テーブルを備えた4人掛けのボックス席のほか、一人でも気軽に利用できそうなベンチタイプのスペースがあり、可愛らしい円形のクッションが用意されていました。また、夜景を眺めながらお酒を立ち飲みするにはぴったりなハイテーブルも備え付けられていました。

 僕が4号車を訪れた際、ボックス席を利用されている方はいましたが、ベンチタイプのスペースには利用客がいませんでした。またこのスペースには撮影用のボードが用意されており、記念撮影できるようになっていました。

 

5号車

 5号車はクシェットで、横になって寛ぐことができる座席が車両の片側に並んでいます。ひとつの区間に上下2段の計4席が設置されており、見た目はブルートレインのB寝台そのものです。ちょうど4人の仲間同士で利用する際には、このクシェットがいいと思います。

 こちらは車イスでも利用可能なクシェットで、全体的に広めのスペースが確保されています。「ウエストエクスプレス銀河」の座席種別としては、プレミアルームとファーストシートが超人気ですが、このクシェットも人気が高く、発売開始直後に完売してしまうようです。リクライングシートよりも快適なのは間違いないと思いますので、僕も一度は利用してみたいなと思っています。

 

6号車

 6号車もグリーン席ですが、1号車のファーストシートとは異なり、すべて個室のプレミアルームが計5室設けられています。複数名用個室(昼間運転時は2~3名、夜行運転時は2名)が4室と一人用個室が1室です。下の写真は乗降扉付近から撮影した個室に続く廊下部分です。やはり個室特有の上質感がありますね。

 僕はこの廊下の突き当たり付近にある一人用個室を利用したかったのですが、今回その夢は叶いませんでした。どういった方が指定券を購入できたのか、参考までにお聞きしたい程です。どの個室も内部を見ることはできませんでしたが、室内にはベンチ型の座席が設置されており、背もたれを倒すことでベッドに転換することができるようになっているようです。

 6号車の乗務員室前にも小さなフリースペース「彗星」があります。このフリースペースはグリーン券を所持に関わらず、すべての乗客が利用できるそうです。静かに夜景を眺めたい時などに最適だと思います。

 

 前回記事では停車駅でのおもてなしを、今回は各号車の座席やフリースペースの様子などを紹介してきましたが、いろんな楽しさを提供してくれた「ウエストエクスプレス銀河」に乗車する乗り鉄旅も、ついに終わりを迎えました。約12時間の時間を経て終点の出雲市駅に到着です。またまたしつこいですが、長時間にわたってお世話になった「ウエストエクスプレス銀河」を最後にパシャリ📸

長旅を終えたばかりの117系7000番台「ウエストエクスプレス銀河」:出雲市駅 2023/7/22

 

出雲大社を参拝

 下車後には、出雲市駅の駅舎を撮影しました。大きな三角屋根の駅舎は、言うまでもなく出雲大社をイメージしており、風格のある立派な建物です。出雲市駅に降り立ったのは今回が初めてではありませんが、前回はまったく周辺の観光をしていません。今回は復路で乗車する列車の発車時刻まで余裕があるため、少し移動して出雲大社を参拝していきたいと思います。

 以前はこの出雲市駅から出雲大社近くの大社駅までの7.5kmを結ぶ大社線という路線がありましたが、残念ながら平成2年に全線が廃止されてしまいました。僕は営業していた当時の大社線を利用したことはありませんが、おそらく出雲大社への参詣路線だったのだろうと思います。マイカーの普及により、やはり鉄道を利用して出雲大社を訪れる方が減少してしまったんでしょうか? 大社線が廃止された現在、出雲市駅から出雲大社まで行くには、一畑電車を利用するか路線バスを利用することになります。僕は今回、乗り換えの必要がない路線バスを利用することにしました。一畑電車の終点である出雲大社前駅より、路線バスの正門前バス停の方が便利だという理由もあります。駅前の停留所から路線バスに乗車して揺られること約30分、出雲大社の正門前に到着しました。

 大きな石碑と鳥居が目に飛び込んできます。境内に生い茂る立派な木々や澄み切った青空をきれいに写真に収めることができました。鳥居をくぐり抜けて真っ直ぐ進むと、「松の参道」と呼ばれる松並木が続いています。前回、熊野那智大社を訪問した際には、階段や坂の多さに閉口してしまいましたが、出雲大社は平坦でスイスイ進むことができました。

 ほどなくして銅鳥居が現れ、拝殿が見えてきました。しめ縄が特徴的で、重厚で厳かな雰囲気が感じられる建物です。拝殿は参拝者の祈祷のほか、さまざまな奉納行事が行われるそうです。

 拝殿の奥には御本殿があります。さすがは御本殿だけあって、堂々なる威厳が感じられます。建物の高さは約24mということで想像していたよりも高く、廻廊越しに立派な屋根部分を見ることができます。内部には、大国主大神が御鎮座されている御神座と、別天神5柱の神をお祀りする御客座があるんだそうです。

 ちなみに下の写真は、御本殿前にある八足門で、ここから御本殿を参拝することになります。(もちろんですが、御本殿に立ち入ることはできません。)

 続いて訪れたのは神楽殿です。拝殿のものとは比べものにならないくらい巨大なしめ縄が懸けられており、出雲大社と言えばこの神楽殿を真っ先に連想する人も多いのではないでしょうか。この巨大なしめ縄、長さ13m、重さ5.2トンもあるそうです。もちろん僕も心を込めて参拝しました。

 

お食事処 八雲で出雲そば

 出雲大社を参拝したところで、少し早めに昼食をいただくことにしました。今朝は「ウエストエクスプレス銀河」の車内で出発前に購入しておいたクロワッサンを食べただけだったので、11時を過ぎる頃にはお腹が空いてきました。出雲観光といえば出雲大社ですが、出雲でいただく名物といえばやはり出雲そばでしょう。僕はうどんよりもそば派で、暑いこの時期にはさっぱりとした物が食べたかったので、そばの昼食はピッタリです。出雲大社周辺にはいくつかのそば屋さんがありますが、今回はその中から、神楽殿近くにある八雲東店さんに立ち寄ることにしました。

 出雲そばの代表的な食べ方は『割子そば』で、割子と呼ばれる丸い漆器に薬味とそばが盛られており、これに直接そばつゆをかけていただくものです。三段で一人前のようですが、二段や四段も用意されています。僕はオススメの『三色割子』をいただくことにしました。

 提供された際には三段重ねになっていましたが、それぞれの薬味を見比べようとトレイに並べてみました。それぞれの器ごとに異なる薬味が添えられており、とろろ、揚げ玉、玉子の三種類の味を楽しむことができます。僕としては、サクサクした揚げ玉もいいですが、とろっとした生玉子にからめて食べるそばが美味しかったです。ちなみに僕は昔からとろろがあまり得意ではないため、最近はほとんど食べていません。久しぶりに食べて見ようかと思って注文したのですが、やはり僕はとろろとの相性があまりよくないようです😅。これもまた、旅の思い出です。

 僕は早めの時間に入店したため、待ち時間は全くありませんでしたが、12時近くになると混雑しはじめ、ほぼ満席になっていました。いいタイミングで食事を済ませることができました。

 八雲で食事を終えて店外に出ると、日差し☀がギラギラと照りつけてきます。今日も本当に暑いです。午後になるにつれて、さらに暑さが増してきます。帰りのバスまでちょっと時間があったため、近くにあったお土産物屋さんを見て回るなどしていましたが、先ほどつゆを付けてそばを食べたせいか、何か甘いものが無性に食べたくなりました。そんなことを思っていると、ちょうどソフトクリームを提供しているお店を見つけてしまい、無意識のうちに吸い寄せられるように入店し、献納茶のソフトクリームを購入しました。

 写真で見ると分かりにくいですが、これが意外と量が多く食べごたえがあります。お茶の濃い味が強く感じられるかと思っていましたが、バニラとのミックスを選んだため、甘さと苦みがちょうどいい感じです。

 お腹を満たし、涼をとったところで再び路線バスに乗車して出雲市駅に戻ってきました。往路のバスはほぼすべての座席が埋まる程の乗車率でしたが、復路のバスは空席が目立ちました。

 

出雲市駅から特急やくもに乗車

 出雲市から帰路に着きますが、まずは、山陰本線伯備線山陽本線の経路で岡山まで移動します。往路で乗車した「ウエストエクスプレス銀河」が走行した経路の逆ルートで、今回は特急「やくも」を利用することにしました。

 特急「やくも」では、現在でも国鉄時代に製造された381系が現役で使用されています。以前はJR東海が運行する特急「しなの」でも同じ381系が使用されていましたが、こちらは後継車両である383系に置き換えられています。さらに7月20日には、その383系を置き換える予定の385系の概要が発表され、2026年度から量産先行車を使用した走行試験を実施することが発表されたばかりです。同じ381系であっても、JR東海は置き換え車両(383系)をさらに置き換える車両(385系)を見据えているのに対し、JR西日本では未だ381系を使い続けています。会社によってこんなにも更新時期に違いが生じるのですね。別にJR西日本ディスるという意味ではありません。古い車両も大切に使い続けるJR西日本の方針も決して間違いではなく、むしろSDGsが注目される今の時代には大切なことかもしれません。
 そんな381系ですが、現在はカラーリングの異なる3つの編成があります。1つ目は「ゆったりやくも色」、2つ目は「国鉄色」、そして3つ目は「スーパーやくも色」です。「ゆったりやくも色」編成は現在のいわば基本色となるもので、白を基調として窓周りを赤とした外観です。僕もこれまでに「やくも」を利用した際には、この「ゆったりやくも色」編成に乗車しています。そして「国鉄色」は「やくも」の伯備線運転開始50周年を記念して2022年3月に登場した編成で、クリーム色と赤色に塗り分けられた懐かしのカラーリングとなっています。3つ目の「スーパーやくも色」は、1994年から2006年まで運行されていた特急「スーパーやくも」時代のカラーリングを復活させたもので、パノラマグリーン車を含む編成全体が当時の薄紫色をベースとした塗色となっています。

 僕は今回、これら3種類のカラーリングのうち、「スーパーやくも色」の編成に乗車することになりました。乗車区間は始発の出雲市から終点の岡山までで、約3時間の乗り鉄旅を楽しみます。

やくも号で使用されている381系:出雲市駅 2023/7/22

 ちょうど隣のホームに「ゆったりやくも色」の編成が停車中だったため、うまい具合に両編成の並びを撮影することができました。「スーパーやくも色」はまだ塗装から日が経っていないため、光沢感が残っておりピカピカです。僕は当時の「スーパーやくも」を見たことがないため、懐かしさを感じることはありませんが、JRの他の車両ではあまり見かけることのない鮮やかでビビッドな感じで、なかなか個性的です。愛称幕もちゃんと「スーパーやくも」となっていました。

 一方の車内の様子はご覧のとおりです。元車両の「ゆったりやくも」編成から手は加えられておらず、「スーパーやくも」らしさは特にありません。「スーパーやくも色」編成に限ったことではありませんが、窓側に座席のない謎の1人掛け座席があるのは、381系「やくも」の座席配置の特徴ですね。

 そして381系「やくも」には、ゆったり仕様に改造される際に生じた、窓枠と座席位置が一致しないハズレ席があるのですが、今回僕はこのハズレ席となってしまいました😓。しっかりと事前に座席表を確認せずに指定券を手配してしまったことが原因です。結果として、座席の真横は窓枠間の壁で、この壁を見ながら3時間の乗り鉄旅となりました。

 

岡山駅から新幹線に乗車

 特急「やくも」を終点の岡山で下車し、新幹線ホームに移動します。例によって新大阪で分割されるきっぷ類を購入しているため、岡山からは「のぞみ」号で新大阪に向かい、新大阪で「こだま」号に乗り換えて名古屋まで移動します。

山陽新幹線区間を走るN700S:岡山駅 2023/7/22

 岡山駅のホームで発車標を撮影したのですが、液晶表示がうまく写らず、何が何だか分からない写真になってしまいました。今回、岡山駅から乗車した「のぞみ」号はJR東海車のN700Sです。久しぶりに「のぞみ」に乗車しましたが、やっぱり速いですね。途中の停車駅が新神戸だけで、もちろん通過待ちなどないため、岡山から新大阪までわずか45分です。青春18きっぷを利用した乗り鉄旅だと、姫路から大阪まで新快速でも速く感じるのですが、さすがは新幹線ですね。格が違い過ぎます。

こだま号として運用されているN700S:名古屋駅 2023/7/22

 さらに、新大阪駅から乗車した「こだま」号もJR東海車のN700Sでした。これまでの乗り鉄旅で新幹線を乗り換えて利用したことは何度かありましたが、続けてN700Sに乗車したのは初めてです。徐々にN700Sによる運用が増加しているということだと思います。もちろん車内では、「会いにいこう」の車内チャイムが流れていました。新幹線は無事に名古屋駅に到着し、今回の乗り鉄旅もこれで終了ということになります。

 

乗車券類を紹介

 今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類をまとめて紹介します。まずは7月21日乗車分です。名古屋から京都までは「こだま」号を利用したため、ぷらっとこだまを利用しました。当日の朝に名古屋駅で受け取っています。京都から出雲市までの乗車券は当日に京都駅の指定席券売機で購入するつもりでしたが、なぜか東海道.山陽.伯備.山陰を経由する乗車券が発券できません。何度か券売機の前で格闘していましたが、結局うまくできず、その場で「e5489」で予約してすぐに発券することで何とか用意できました。やはり旅行行程が決まっている場合には、余裕を持って事前に購入しておけばよかったと反省しています。

 続いて7月22日乗車分です。出雲市から新大阪までは、「e5489」で購入可能なWEB早特14を利用しました。以前はこの区間の乗車で利用できる「新幹線&やくも早特3」という割引率が非常に高い企画乗車券があったのですが、残念ながら発売を終了しています。特急「やくも」号と新幹線に乗車してわずか5,000円という破格のねだんだっただけに、発売終了は残念です。


 さて、車内で1泊する旅は本当に久しぶりでしたが、夜行運転される列車の乗り鉄旅には、非日常感に満ちたある種別格の楽しさがありますね。「トワイライトエクスプレス瑞風」のような豪華周遊列車にはもちろん乗車してみたいとは思いますが、正直言って現実的ではありません。一般的な特急券や寝台券で乗車できる夜行特急列車はもはや絶滅危惧種であり、とても貴重なものだと思っています。車齢を考えると、117系7000番台「ウエストエクスプレス銀河」は当然ながら、285系サンライズエクスプレス」だってこの先十数年も今のまま活躍できるはずもなく、遠くないうちに運用から離脱する日がやってくる訳です。その際、後継車両が用意されなければ、一般利用客が乗車できる夜行特急列車はついに終焉を迎えることになります。

 現在は、こうした夜行特急列車が生き残ることができるのか、その正念場にあると言ってもいいのではないでしょうか。JR側にも経営面などから様々な事情があることは分かりますが、夜行特急列車に対する一定数の需要があることは確かですので、是非とも広く日本の鉄道界全体のあり方も考慮していただき、今後も末長く運用していただけたらと勝手に思う次第です。