レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

しなの鉄道SR1系「軽井沢リゾート号」に初乗車

 先週は、今季の青春18きっぷを利用した乗り鉄旅の第1弾として、山陽方面(姫路・岡山)に行ってきましたが、今回は第2弾として、軽井沢・長野を目指すことにしました。長野県は県域がとても広く、JR線の在来線だけを見ても、中央本線信濃境~田立間)、小海線(野辺山~小諸間)、篠ノ井線全線、大糸線(松本~北小谷間)、信越本線篠ノ井~長野間)、飯山線(豊野~森宮野原間)、飯田線中井侍~辰野間)があり、その他の私鉄・第三セクターでも、しなの鉄道長野電鉄アルピコ交通松本電鉄上高地線)、上田電鉄があります。僕はこれまでの乗り鉄旅で、これらの中のいくつかの路線に乗車していますが、まだ乗車していない区間もあり、JR線では小海線佐久平~小諸間と大糸線の白馬~北小谷間には乗車したことがありません。また、私鉄線・第三セクター線では、しなの鉄道のうち北しなの線(長野~妙高高原間)と、長野電鉄アルピコ交通には乗車したことがありますが、しなの鉄道のうちしなの鉄道線(軽井沢~篠ノ井間)と上田電鉄には全く乗車したことがありません。

 これらのうち、しなの鉄道は、昨年夏、新型車両であるSR1系を導入しました。そしてこのSR1系を使用し、平日には通勤用の『しなのサンライズ号』『しなのサンセット号』を、そして土休日には観光での利用にも適した『軽井沢リゾート号』を、それぞれ有料のライナー列車として運行しています。そこで今回の乗り鉄旅では、まだ乗車したことのないしなの鉄道線区間で、SR1系による『軽井沢リゾート号』に乗車する乗り鉄旅に出かけることにしました。

 『軽井沢リゾート号』には、しなの鉄道線(JR信越本線区間を含む。)と北しなの線を直通する1号及び4号と、しなの鉄道線の軽井沢とJR信越本線の長野間を結ぶ2号及び3号とがあり、今回は旅行行程の都合上、軽井沢発長野行きの「軽井沢リゾート3号」に全区間で乗車することにしました。その旅行行程は、次のとおりです。

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 全体をとおして、重複する区間がほどんどない一筆書きルートです。豊橋から東海道本線で東に向かい、熱海での乗り換えを経て、小田原で湘南新宿ラインの高崎行きに乗車します。高崎からは信越本線で横川まで行き、ここからはバスに乗り換えて軽井沢駅を目指します。軽井沢からは、しなの鉄道の乗車券を購入して「軽井沢リゾート3号」に乗車し、終点の長野からは中央西線で金山を目指すというものです。途中で路線バスを利用する行程となっていますが、横川-軽井沢間は、長野新幹線の開業に伴い鉄道路線が廃止されてしまったため、その代替となる路線バスに乗車するものです。また、帰路の長野-上松間では、時間や運転本数の都合上、特急「しなの」を使ってワープすることにしました。なお、今回乗車するJR線+しなの鉄道線の総路線距離は751.1kmで、1日の移動距離としては、なかなか乗りごたえのある乗り鉄旅になっています。

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軽井沢リゾート号で使用されているSR1系:長野駅軽井沢駅 2021/3/14

 東海道本線高崎線、横川までの信越本線区間は割愛して、軽井沢から乗車したしなの鉄道SR1系による「軽井沢リゾート3号」を紹介します。上の写真は、下車後の長野駅と乗車前の軽井沢駅で撮影したものです。軽井沢駅は、JR東日本北陸新幹線の途中駅のひとつですが、在来線(しなの鉄道線)では、始発(終着)駅となっています。在来線ホームは1面2線となっており、ホーム上からは、一見すると、さらに東へ線路つながっているような錯覚を覚えてしまいますが、さきほどお話ししたとおり、実際には横川-軽井沢間の鉄道路線は廃止されているため、現在では、在来線を利用して東に向かうことはできません。

 車体の外観を見ると、濃い鮮やかな青色に、緑と水色のラインが引かれた爽やかで清々しいイメージで、高原や清流を連想させるデザインとなっています。また、有料のライナー運用を念頭に製造された車両ということもあり、車両前面や側窓中央部に引かれた細いゴールドのラインが、さりげなく気品を感じさせます。

 しかしこの車両、実は、しなの鉄道のオリジナルではなく、JR東日本E129系をベースに製造されたものであり、その車体形状は、新潟地区でよく見かけるE129系そのものです。先頭車両前面の行先表示器や前照灯、運転台周りの黒枠塗装部分などを見比べてみると、確かにE129系との共通点が見つかります。外観色もJR車両のままだとインパクトに欠けてしまいますが、部品の共通化などによってコストの削減を図りながらも、しなの鉄道独自のカラーリングにすることで、JR車両との差別化を図っているようです。

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2号車のテーブル付き座席

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2号車の普通座席

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1号車の車内

 SR1系2両編成のうち、軽井沢方の1号車は通常の座席車で、長野方の2号車には一部に固定テーブルが備え付けられた座席が用意されています。「軽井沢リゾート号」に乗車するには、乗車券の他に列車指定券(500円)が別に必要となりますが、さらに“軽食付プラン”(軽食セット1,500円+列車指定券500円の計2,000円)というものも設定されており、このプランを予約した場合には、テーブル付の座席が割り当てられるという仕組みになっています。僕は今回、乗車のみのプランで利用するため、テーブル付きではない通常の座席を利用することになります。

 車内設備ですが、まずは座席が特徴的で、ロングシートにも転換可能なデュアルシート構造となっています。おそらく間合い時に通常の普通運用に入ることを想定し、その際には通勤通学のラッシュにも対応できるよう、ロングシートに転換させるものと思います。今回は有料ライナーとしての運用のため、列車の進行方向に向けた座席配置となっていました。(ちなみに2号車にあるテーブル付座席は、軽井沢方向に固定されているようで、長野方面に向かう列車では、進行方向と反対向きになってしまうようです。)

 近年、こうしたデュアルシート構造を持った車両による有料着席サービスは、首都圏の大手私鉄を中心に一般的になりつつあります。西武のS-TRAIN(40000系)、東武TJライナー(50090系)、東急のQシート(6020系)などが有名ですね。一つの編成で二役こなすことが可能なこうしたタイプの車両は、場面にあわせて効率的に使い分けることが可能となり、有料ライナー運用の拡大にあわせ、今後も各地で導入されていくものと思われます。

 少し話がそれてしまいましたが、このSR1系は車内設備として、モバイルコンセントを装備しており、無料Wi-fiも利用することができます。このあたりの車内設備は、最近の有料ライナーとしては、もはや定番になりつつあります。

 車内にはトイレも設けられており、今回のような1時間程度の乗車には、十分な車内設備だと思います。ただ、列車指定券500円という金額は、ちょうど先週乗車した223系「Aシート」の乗車整理券と同額なため、どうしても両者を比較してしまいますが、SR1系の座席にはリクライニング機能がない点が少し残念でした。デュアルシート構造である以上、やむを得ないのかもしれませんが、“リゾート列車”の名に相応しい更なる快適性が感じられると、より魅力が高まるのではないかと思いました。

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 列車指定券の購入方法は2つあり、一つはしなの鉄道の主な駅の窓口で購入する方法で、もう一つはしなの鉄道のWebページにある専用の申し込みサイトから購入する方法です。少し調べてみると、乗車当日でも十分に座席は確保できるような状況だったため、今回は当日の乗車直前に軽井沢駅で購入しました。マルス券のような様式ではなく、レシートタイプの用紙に指定された座席位置が印字されています。ちなみにWebサイトから購入した場合、チケットレスとなるようで、紙の指定券に換券することはできないようです。

 座席位置は、できるだけ車窓を楽しむことができそうな席を事前に調べておいて、その中から1号車7Aを選びました。実際に乗車してみると、全体的に窓枠と座席位置が一致していない座席が多く、ハズレ席だと真横が窓枠になってしまいます。車窓を楽しみたいのであれば、1号車の2A、4D、7Aか、2号車の8A、10Dをおススメします。ちなみに今回乗車した「軽井沢リゾート3号」の乗車率ですが、途中駅から乗車した方を含めても10人程度で、ガラガラでした。1都3県を対象とした緊急事態宣言が再延長され、まだまだ首都圏からの旅行客が少ないことが影響しているのだと思います。

 長野で「軽井沢リゾート列車」を下車した後、特急「しなの」で帰路につきます。終点の名古屋まで「しなの」に乗車する方法もありますが、今回は青春18きっぷをメインとする乗り鉄旅ということで、「しなの」への乗車は必要最小区間とし、長野から上松までとします。今回の旅の行程上、上松まではどうしても「しなの」を利用せざるを得ず、上松からは再び普通列車に乗車して金山を目指しました。

 こうして、今季の青春18きっぷを利用した乗り鉄旅も、2回目を終えました。今回の旅では、湘南新宿ラインに乗車して首都圏を通過利用しましたが、まだ首都圏を目的地とした乗り鉄旅に出かけていません。1都3県を対象とした緊急事態宣言が一日でも早く解除され、首都圏での乗り鉄旅を楽しむことができる日が来ることを、楽しみにしている今日この頃です。

姫路から岡山に、そしてまた姫路に

 前回の記事では、青春18きっぷを利用して姫路まで乗車した新快速の「Aシート」を紹介しましたが、新快速1号の姫路到着から新快速4号の姫路発車までには、約5時間あります。この間の時間の使い方については、いろいろと考えましたが、これといった妙案も思い浮かばなかったので、安直ですが岡山に行ってみることにしました。と言っても、ただ単に姫路と岡山間を山陽本線で往復するだけでは面白くありません。そこで、姫路から姫新線に乗車して途中の佐用まで行き、佐用から智頭急行線に乗り換えて上郡を経由して岡山まで行くことにしました。僕はこれまでの乗り鉄旅で、一度も姫新線を利用したことがありませんので、乗車するいい機会になりそうです。また、佐用から先は智頭急行線を利用するため、別に乗車券を購入する必要がありますが、ちょうどいい時間に特急「スーパーいなば」があることから、あわせて特急券も購入し、これに乗車してみることにしました。智頭急行線を利用することも初めてですし、キハ187系気動車に乗車するのも初めてになります。

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 まずは、岡山から佐用まで姫新線に乗車します。以前にも紹介したことがありますが、姫路駅には「播但線姫新線のりかえ口」というものがあり、山陽本線から姫新線に乗り換える場合には、この専用の乗換改札口(中間改札口)を通る仕組みになっています。この改札口で青春18きっぷを提示してホームに上がると、すでに乗車予定の列車が入線していました。

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姫新線で活躍しているキハ122系:佐用駅・姫路駅 2021/3/5

 姫新線には優等列車が設定されておらず、普通(快速)列車のみ運行されてます。僕の勝手なイメージとしては、地方の非電化区間と言えばキハ40形・キハ47形気動車を思い浮かべるのですが、どうやら姫新線でのキハ40形・キハ47形気動車による運用はごく一部に限られているようで、今回乗車したのは、両運転台仕様のキハ122気動車でした。

 乗車計画を作成した時点では、車内はきっとガラガラだろうと予想していたのですが、実際には車内はかなり混雑しており、始発の姫路を出発する時点ですでに立ち客がいるほどでした。平日の昼間に混雑する理由はよく分かりませんが、確かに過去の乗り鉄旅でも、地方のローカル線が意外と混雑している場面に遭遇したことがあります。運転本数が限られており、しかも両数も少ないため、1両当たりの輸送人員が多くなるということなのでしょうか。

 ちなみにキハ122気動車の車内は、1+2列の転換クロスシートとなっており、いかにもJR西日本車らしい車内となっていました。

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スーパーいなば号で使用されているキハ187系岡山駅 2021/3/5

 終点の佐用で下車した後、続いて乗車したのが、JR西日本キハ187系気動車による特急「スーパーいなば」です。「スーパーいなば」は、因美線鳥取-智頭間)、智頭急行線(智頭-上郡間)そして山陽本線(上郡-岡山間)を走る特急で、1日当たり6往復が運行されています。今回乗車する佐用は、このうち智頭急行線の途中駅であり、列車の停車時間がわずかなため、ホーム上で写真を撮影する時間がなく、終着の岡山で撮影してみました。

 このキハ187系気動車ですが、ご覧のとおり、なかなかユニーク(?)な外観となっています。誰が皮肉ったのか知りませんが、“小学生の工作”と言われるほど単純で飾り気のない前面形状です。いろいろとツッコミどころがありますが、中間運転台が顔を出したかのような真っ平らの切妻面の先頭形状、黄色一色に塗装された車両前面など、一体どういったモチーフで製造されることになったのか、様々な疑問が湧いてくる車両です。最近は、私鉄のみならずJRにおいてもデザイン性を重視した車両が多い中、このキハ187系はそういった要素をかなぐり捨てて、あくまで実用性のみに重点を置いて設計・製造された車両といったところなのでしょうか。

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 なお、キハ187系気動車ですが、大出力エンジンと制御付自然振り子装置を搭載しており、最高速度は120kmで山陰本線などの高速化に大きく貢献しているそうです。特急列車としての運用の幅も広く、今回僕が乗車した「スーパーいなば」以外にも、「スーパーおき」(新山口-米子・鳥取間)や「スーパーまつかぜ」(益田・米子-鳥取間)としても活躍しており、鳥取と各都市とを結ぶ特急として運用されています。そのためか、車体の客用扉付近には、鳥取県をイメージさせる梨の花などが描かれていました。

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 事前にWebページで確認したところ、佐用駅にも「みどりの窓口」があるようだったので、乗車券と特急券は現地で購入することにしました。「スーパーいなば」は2両編成で、1号車が指定席、2号車が自由席となっていますが、自由席でも問題なく着席できそうだったので、今回は自由席を利用しました。

 実際に乗車してみると、やはり自由席の乗客はまばらでしたが、その中でも、キャリーバッグを持った若い女性が多く乗車していたのは意外でした。「スーパーいなば号」は、ビジネスで利用する方ももちろんいるでしょうが、どちらかと言えば沿線の方の移動手段としての役割が大きいのかも知れません。

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ひかりレールスター仕様の700系:相生駅 2021/3/5

 「スーパーいなば」を下車し、岡山からは、再び姫路に戻る訳ですが、始めに乗車計画を作成した時点では、帰路では山陽本線を利用する予定でした。しかし、出発前夜、過去に青春18きっぷを利用して岡山→相生→姫路を利用した際に車内が相当混雑したことを思い出し、また同じような状況に遭遇するのは避けたいと思い直して、この区間だけ新幹線を利用するように変更しました。時間的には在来線でも十分に間に合う区間を、わざわざ新幹線でワープするのはちょっともったいないかなとも思いましたが、金曜日であれば「新幹線 近トク1・2・3」という期間限定の企画乗車券が利用できるため、これを使うことに決めました。そしてこのきっぷを利用して乗車したのが700系「こだま」号です。

 東海道新幹線では、すでに700系は完全に引退してしましたが、山陽新幹線では引き続き運転されています。このうち「ひかりレールスター」と呼ばれる車両があるのですが、僕はこれまで「ひかりレールスター」仕様の700系に乗車したことがありませんでした。今回利用するきっぷは、自由席であれば「のぞみ・みずほ」「ひかり・さくら」であっても乗車することができたのですが、今回はあえて、「ひかりレールスター」車両で運用される「こだま」号を選びました。ちなみに上の写真は、通過待ちのため相生駅に10分停車した際に撮影したものです。

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 「ひかりレールスター」仕様の700系では、1号車から3号車までは一般的な新幹線と同じく2+3シート配列となっていますが、4号車から8号車までは2+2シート配列となっており、座席幅も広くゆとりのある車内となっています。山陽新幹線の8両編成の「こだま」号では、1~3号車と7・8号車が自由席で、4~6号車が指定席となるのが一般的で、これであれば、自由席であっても7・8号車に乗車すれば、2+2シートを利用することができます。しかし、あいにく僕が乗車した「こだま」号では、7・8号車も指定席となっており、自由席は1~3号車のみとなっていたため、残念ながら2+2シートを利用することはできませんでした。

 上の写真は、岡山停車中に2号車の車内を撮影したものです。車内の様子は、東海道新幹線で乗車したことがある16両編成のものとほとんど変わりません。ちなみに2号車の乗客は、僕を含めて3人しかいませんでした。

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 今回利用した「新幹線 近トク1・2・3」の実物です。最近、山陽新幹線にはいろいろな旅行商品や企画乗車券が設定されており、旅の目的にあった商品や企画乗車券を利用することで、かなりおトクに利用することができます。「新幹線 近トク1・2・3」は、山陽新幹線の1駅から3駅までの区間について、1,000円/1,500円/2,000円というキリのいい値段で自由席が利用できるというもので、一人での利用や片道利用も可能です。当日の購入はできませんが、乗車前日まで購入可能なため、今回の僕のように、直前であっても「e5489」から手続きして購入することができます。ただし、利用可能日が金・土休日に限定されており、金曜日を除く平日には利用できないため、旅行日によっては注意が必要です。

新快速「Aシート」に初乗車

 いよいよ3月となり、青春18きっぷが利用できる期間となりました。思い返すと、直近で青春18きっぷを利用して旅行したのは2020年1月なので、1年以上も前ということになります。今季の青春18きっぷについては、現時点で5回分使い切るための予定を組んでいる訳ではないため、購入しようかどうか悩みましたが、先月末に首都圏を除く6府県の緊急事態宣言が解除され、今後は少しずつ外出の機会も増やせるのではないかとの期待も込めて、久しぶりに購入することにしました。

 購入したとなれば、早速どこかに乗り鉄旅をしてみたくなるのですが、真っ先に候補となる東京方面は、未だ緊急事態宣言が発令されており、旅行先としては相応しくないため、今回は西日本に向かうこととし、山陽方面(姫路・岡山)への乗り鉄旅に出かけることにしました。山陽方面に行く場合、東海道本線山陽本線を利用するわけですが、僕はまだ、JR西日本管内の東海道本線山陽本線琵琶湖線京都線神戸線)を走る新快速に連結された「Aシート」(有料座席サービス)を利用したことがありません。運用開始時には、利用客が集中して混雑することもあったと聞きましたが、サービス開始からすでに2年が経過しようとしており、利用状況も落ち着いていると思われるため、今回初めて、野洲-姫路間の往復で「Aシート」を利用してみることにしました。

 まずは、「Aシート」について、その内容を簡単に紹介します。

 

Aシートとは?
① 東海道本線山陽本線野洲-姫路・網干間)で運転される新快速の一部で行われている有料座席サービス
② 該当列車には、回転リクライニングシートなどを備えた「Aシート」専用車両を連結
③ 運転本数は、1日あたり上下各2本の計4本(2往復)のみ
④ 席数は1両当たり全46席で、利用には乗車券の他に乗車整理券(500円)が必要
⑤ 乗車整理券は、乗車後に空席がある場合にのみ、車内で乗務員から購入

 

 これらについて、少しだけ補足します。

 まず①の運転区間ですが、東端は野洲となっており、なぜか米原発着の運用はありません。米原発着の新快速も多く設定されている中、あえて野洲から(野洲まで)の運用としているのには、何かしらの運用上の都合があるのだろうと思います。個人的には、米原発着の運用をお願いしたいところですが、米原発着とした場合、青春18きっぷシーズンに長距離移動者が「Aシート」を独占してしまうという問題を回避するための策なのでしょうか?

 ②についてですが、「Aシート」専用車両は、223系12両編成(8両+4両)のうち9号車に組み込まれています。この9号車は「Aシート」用に新たに新造された訳ではなく、既存の223系の一部を改造したもので、車内はリクライニングシートに交換されているほか、各座席にはコンセントと大型テーブルが取り付けられ、さらに無料Wi-Fiサービスにも対応しています。

 ③の運転本数についてですが、あれほど多くの新快速が運行されているにも関わらず、1日当たりたったの4本(2往復)となっています。「Aシート」の運用が開始された当初は、まずは1日2往復が設定され、徐々に運転本数を増やしていくものと期待していましたが、約2年が経過した現在でも、運転本数拡大の動きは見られません。JR西日本として、これ以上の拡大は予定していないのか、それとも拡大できない事情があるのか、その理由は分かりませんが、利用者目線からすれば、是非とも運転本数を増やしてほしいものです。

 ④の乗車整理券ですが、JR東海地区のライナー料金(330円)よりは高いものの、首都圏の普通列車グリーン車よりも安く、ちょうどいい価格設定だと感じました。京阪のプレミアムカー料金も500円(一部の区間は400円)なので、これを意識したのかもしれません。一方で、今回僕が利用する野洲-姫路間は約160kmで、かなりの長距離・長時間の乗車となることから、この区間を500円の追加料金で快適に移動できると考えれば、むしろ良心的な価格だなと思いました。

 最後に⑤の購入方法についてですが、JR東海ホームライナーJR東日本のライナー列車などと異なり、事前に駅の券売機などで乗車整理券ライナー券を購入することができません。どうしてこういう方法を採用しなかったのかは分かりませんが、現時点では運転本数も少ないことから、わざわざ駅の券売機を改修して「乗車整理券」の発券機能を追加するまでもないと判断したのかもしれません。

 なお、現在は、期間限定ではありますが、「Aシート」の一部座席(全46座席中の12座席)について、指定席が設定されています。指定席券は、一般的な指定料金である530円よりも少し割高な840円となっていますが、あらかじめ座席を確保できるというメリットがあります。この取扱いは昨年12月に開始され、今のところ今年6月まで行われることになっています。ちなみに、JR西日本のインターネット予約サービスである「e5489」を利用してチケットレスで購入すると、指定料金が600円になります。この方法で予約すれば、乗車整理券とそれほど変わらない値段で「Aシート」の指定席を利用することができます。

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Aシートを連結した223系:姫路駅 2021/3/5

 上の写真は、姫路到着後に撮影したものです。始発である野洲でも撮影したかったのですが、入線が発車直前だったため、撮影することができませんでした。さきほどお話ししたとおり、「Aシート」は、一般形車両として製造された223系の一部を改造して誕生した車両です。車体側面の帯色や窓枠周りの塗色が一部変更されており、また、客用扉が片側3扉から2扉化されているものの、外観上は種車の姿をそのまま残しています。扉横には、誤乗車防止のために「Aシート」専用車両であることを示すロゴが書かれていました。

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 続いて車内です。実際に乗車してみると、回転リクライニングシートがずらりと並んでいることもあって、ほぼ特急形車両といった印象です。シートピッチは970mmということで、これも特急形車両の標準的なものと同じです。さきほどお話ししたとおり、各座席にはコンセントと大型テーブルが備え付けられており、設備面でも特急形車両と変わりません。一般形車両に連結された有料座席と言えば、首都圏の普通列車グリーン車を思い浮かべますが、「Aシート」はダブルデッカー構造ではないものの、その快適性は同等以上と言っていいと思います。ちなみに客室内は、乗車整理券で利用する自由席(34席)と、指定席券が必要な指定席(12席)が混在していますが、これらを区別するため、指定席にはヘッドカバー部分にその旨の表示がされていました。

 ここまでいいこと尽くめの「Aシート」ですが、ちょっと残念な点もあります。改造車である以上やむを得ないことですが、一部の座席では窓の位置と座席の位置が一致していません。特に2扉化に際して埋め込まれることになった中間扉跡付近では、眺望が大きく遮られてしまう座席があります。外の景色を楽しみたい場合には、そうした座席は避けたいものです。

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 今回は、乗車整理券ではなく指定席券を購入することとし、事前に「e5489」で予約しておきました。本来はチケットレスを前提にしたサービスですが、指定席券売機で発券することも可能となっています。発券してみると、1枚の「指定席券」ではなく、「Aシート指定席券」と指ノミ券(指定券)の2枚に分かれていました。一瞬「あれっ?」と思いましたが、考えてみれば、企画座席指定券を購入したのですから、おかしい訳ではありません。

 また、指定席車を連結する列車には、何らかの名称が付けられていることがほとんどですが、今回乗車した新快速には愛称のようなものがなく、マルス券にも“新快速(A)○号”とだけ表示されています。そもそも指定席の取扱いが期間限定となっているため、わざわざ愛称を用意する必要もないという判断だろうと思います。

 僕が乗車した新快速1号と4号における「Aシート」の混雑状況ですが、まず往路の1号については平日の昼間時間帯ということもあって、乗客はまばらでした。野洲から乗車したのは僕も含めて3人で、おそらく京都ー大阪間でも10人はいませんでした。復路の4号は、夕方の帰宅時間帯と重なることもあって、姫路を発車後、停車するたびに利用客が増え、大阪ではデッキで空席待ちとなる方も見えました。

 復路での利用状況を見ると、特に通勤客の利用が多いようで、「Aシート」に対する一定数の需要はあるようです。しかし現在の運転本数では、こうした需要に十分対応できていないように思いました。通勤客が利用してくれるのであれば、設備投資に費用はかかるものの、例えば1時間あたり1本から2本くらい運転することで、相応の利益が見込めると思うのですが、実際はどうなんでしょうか?コロナ禍の影響もあり、長期的に見れば通勤需要にも変化が生じることが想定される中、「Aシート」の今後の動向が注目されるところです。

「浜松まちなかお買いものきっぷ」で浜松へ

 年末から年始にかけて、今季はまったく乗り鉄旅をしていません。ご承知のとおり、新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大により、12月28日から「Go To トラベルキャンペーン」が全国を対象にして一時停止され、さらに1月になってからは、11都府県に再度の緊急事態宣言が発令されるなど、とても旅行を楽しむような状況ではなくなってしまいました。僕は社会人になって20年以上経ちますが、これほど外出機会がない年末年始の休暇を過ごしたのは初めてです。せっかくの連休にもかかわらず、ほとんど家にこもったままで気分転換の機会がないというのは、精神的にも辛いものがありましたが、昨今の社会情勢を考えれば、仕方がないことです。列車への乗車自体を旅の目的とする乗り鉄旅は、イベント列車などの特別な場合を除けば過度に人が密集するようなことはなく、ライブやコンサートなどと比べて、感染リスクが高いものとは思いませんが、このご時世、どこで感染するか分からず、また、遠方に外出することで、気付かないうちに自分が他人に感染させてしまうことも否定できないことから、やはり乗り鉄旅を強行する気にはなれませんでした。

 そして2月になり、7日までとされていた緊急事態宣言がさらに1か月間延長されることになりましたが、一方で、徐々に解除に向けた動きもみられるようになりました。もちろん、正式な宣言解除はまだ行われておらず、本格的な乗り鉄旅の再開には時間がかかりそうですが、少しずつでも明るい兆しが見えてきたことは嬉しい限りです。最近は、来たるべき「Go To トラベルキャンペーン」の再開に期待を寄せながら、あれこれと今後の乗り鉄旅のプランを考えているところです。この計画を実現できる日がいつになるのかは分かりませんが、1日も早く訪れることを願っています。

 前置きが長くなってしまいましたが、話題はガラリと変わり、今回は普通列車豊橋⇔浜松間を往復した際に乗車した車両と、それに使用した「浜松まちなかお買いものきっぷ」を紹介したいと思います。いつものように、特急列車や観光列車などの乗り鉄旅を紹介するものではありませんが、初めて使用した企画乗車券の感想も含めてまとめてみました。

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JR東海の新旧の通勤型車両である211系・313系豊橋駅 2021/2/14

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長距離運用にも充当されることがある211系:浜松駅 2021/2/14

 上の写真は、豊橋駅と浜松駅で撮影したものです。豊橋⇔浜松間で普通列車の運用に充当されている車両には、211系、311系313系それに373系の4種類がありますが、往路では211系に乗車しました。以前は数多くの路線で運用されていた211系ですが、東海道本線についてみれば、すでに多くの線区から撤退しており、現在の運用は豊橋-熱海間に限られています。僕は以前、211系で運用される豊橋発熱海行きの普通列車に全区間乗車したことがありますが、オールロングシートでトイレもなく、乗り鉄好きでない方には、長距離での乗車はあまりオススメしません。

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東海道本線を走る311系新所原駅 2021/2/14

 今回は、「浜松まちなかお買いものきっぷ」を購入するため、往路では途中の新所原で一旦下車しました。きっぷを購入し、再び上り線ホームで浜松行きの列車を待っていると、下り線に豊橋行きの311系が入線してきました。登場時には、名古屋地区の快速運用で活躍していた車両ですが、現在はその役目を313系に譲り、普通運用を中心に活躍しています。車齢は313系よりも古いですが、車内は転換クロスシートとなっており、乗り心地は決して悪くありません。

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JR東海管内の多くの線区で活躍している313系豊橋駅 2021/2/14

 上の写真は、帰路で乗車した313系豊橋駅で撮影したものです。静岡地区を走る313系は、211系と連結して運用されるオールロングシート車が大半を占めますが、今回乗車した313系は単独運用で、しかも転換クロスシート車でした。往路で乗車した211系のロングシート車と比べると、313系の転換クロスシートはずいぶんと快適です。もし転換クロスシート車の313系による豊橋-熱海間の通しの運用があれば、特に青春18きっぷシーズンなどには、かなりの人気を集めることは間違いないと思うのですが、実際には難しいでしょうね。

 そういえば、今年1月、JR東海から在来線通勤型電車の新製についての発表があり、その車両デザインも公表されました。発表された資料によれば、「名古屋・静岡都市圏を中心に、中央本線東海道本線関西本線等に順次投入する計画」とされており、静岡地区の東海道本線にも新型車両の315系が配備されるようです。東海道本線から211系が引退するのも、そう遠くはないということですね。

 ついでと言っては何ですが、時間があったので、豊橋-浜松間の平日の上りダイヤを少し分析してみました。同区間を走る普通・快速列車52本のうち39本が豊橋発浜松行となっており、実に75%の列車がこの区間で完結する運用となっています。残りの列車をみると、豊橋発で浜松以東(掛川・静岡・興津・熱海)が着駅となる列車が6本(約11.5%)、豊橋以西(大垣・岐阜)が発駅で浜松着となる列車が4本(約7.7%)となっており、豊橋・浜松のいずれかが発駅又は着駅となっているものがほとんどです。豊橋以西から浜松以東を直通する普通・快速列車は、岐阜発掛川行が3本(約5.8%)あるのみです。したがって、青春18きっぷなどを利用して東海道本線を名古屋方面から東京方面まで乗車するときには、多くの場合、豊橋と浜松(又はそのどちらか)で乗り換えが必要となります。

 また、青春18きっぷ東海道本線の静岡地区を利用したことがある方であればご存じでしょうが、この区間では、ホームライナーを除いて基本的に快速運用がありません。これは、豊橋-浜松間も例外ではなく、先ほど紹介した平日の上りダイヤでは、実に51本が「普通」となっており、唯一の快速である「特別快速」大垣発浜松行も、豊橋-浜松間は全駅に停車するため、同区間で途中駅を通過する運用はないことになります。(平日の下りダイヤや土休日ダイヤであれば、1日あたり3~4本の快速(特別快速、新快速、区間快速など)が設定されていますが、これらもすべて豊橋-浜松間の全駅に停車しています。)

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 こちらが今回使用した「浜松まちなかお買いものきっぷ」です。
 JR時刻表にあるトクトクきっぷコーナーでも紹介されておらず、発売駅も限定されているため、全国的に知名度のあるものではありません。僕もつい最近までこのきっぷの存在を知らず、たまたまJR東海のWebページを見ていて気付いたといったところです。その内容としては、発駅から浜松駅までの往復きっぷと駅周辺の商業施設で利用可能な1,000円分の「お買いもの券」がセットになっており、ねだんは発駅から浜松駅までの片道運賃+1,000円という設定です。僕は今回、新所原発着のきっぷを購入しましたが、新所原→浜松の片道運賃が510円のため、「浜松まちなかお買いものきっぷ」は1,510円となります。ちょうど片道分の運賃で往復乗車できるため、駅ビルのメイワンや遠鉄百貨店などで買い物や食事の予定がある場合には、結構おトクに利用できるのではないかと思います。ちなみにきっぷ購入時には、この他に120mmの「お買いもの券」がセットになっていましたが、使用してしまったので手元に残っていません。

 ただ残念なことに、このきっぷには豊橋発着の設定がありません。最も西の発着駅は新所原で、東は島田です。島田と浜松とは50km近く離れていますが、豊橋ー浜松間はおおよそ36kmで、所要時間も35分程度です。島田と比べるとずいぶんと近く、需要もそれなりにあると思うのですが、豊橋駅を発着駅とせず、静岡県内の駅に限定する何かしらの事情があるのでしょうか。

東海道新幹線の乗車券類を紹介

 僕が最も利用する新幹線は、もちろん東海道新幹線です。東日本方面(関東・東北・上越など)に出掛ける際には豊橋⇔新横浜・東京間で乗車し、西日本方面(関西・九州・四国など)に旅行する際には名古屋⇔京都・新大阪・岡山・博多間で利用します。また、ちょっとした旅行気分や普段とは違う雰囲気を味わいたい時には、県内ながら豊橋⇔名古屋間で新幹線を利用することもあります。これだけ乗車機会が多い訳ですから、当然に利用した乗車券類も多く、そのいくつかは今も手元に残っています。

 下の写真は、3年ほど前にリニア・鉄道館を訪れた時のものです。JR東海が運営する博物館というだけあって、これまで東海道新幹線で活躍した車両がズラリと並んでいます。ちなみに当時、リニア・鉄道館まで往復した際にも名古屋まで新幹線を利用しました。

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 せっかくの年末年始期間なので、例年のように、どこか遠方への乗り鉄旅に出かけたいところですが、今季も「ムーンライトながら」の運行はなく、また、新型コロナウイルスの感染が拡大している中、県外に旅行に行けるような状況でもないため、年末に一度だけ名古屋に買い物に出掛けるほかは、自宅で大人しく過ごすことにしました。年末年始のあり余る時間を利用し、今回、僕がこれまで東海道新幹線に乗車した際に利用したいくつかの乗車券類を紹介したいと思います。

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東海道新幹線N700A (X1編成):名古屋駅豊橋駅 2020/12/26

◆普通乗車券・特急券

 言わずと知れた最も基本的な乗車券類です。以前は購入する機会も多かったですが、最近はあまり利用していません。しかし、普通乗車券・特急券は直前であっても乗車変更が可能で、最も使い勝手のいい乗車券類です。

【使用例1】

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 これはかなり古いものですが、豊橋⇔東京間を出張で利用した時の乗車券と指定席特急券です。回数券のバラ売りをチケットショップで購入してもよかったのですが、豊橋⇔東京間には自由席用の回数券しかないため、指定席を利用する場合には普通乗車券・特急券を購入することになります。東京からの帰路で「ひかり」を利用する際には、「こだま」よりも混雑が予想されるため、ホームへの到着が発車直前になっても確実に着席できるように指定席を利用することが多かったです。豊橋に停車する「ひかり」は限られており、特に金曜日の夕方には東京駅をほぼ満席の状態で発車することも多かったことを覚えています。

【使用例2】

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 こちらは比較的新しいものです。新幹線回数券は365日いつでも使用できるわけでなく、ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始の多客期には利用できません。このきっぷは、友人Dに会うため、ゴールデンウィークの多客期に東京まで新幹線に乗車した際に利用したものです。珍しく品川までの特急券を購入しています。利用した5日2日は繁忙期に当たるため、普通車指定席の利用で片道9,140円となり、普通車指定席利用としては最も実負担額が大きいです。

【使用例3】

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 これは、とある事情で急遽、新幹線で名古屋から浜松まで行かなければならなくなった際に、名古屋駅の券売機で購入したものです。この時は、駅近くのチケットショップで回数券のバラ売りを購入する余裕すらありませんでしたので、自由席利用ながら乗車券と自由席特急券を購入しました。


◆企画乗車券

 JR東海が発売する企画乗車券には、「青空フリーパス」や「休日乗り放題きっぷ」のように新幹線を利用できないタイプのものが多いですが、名鉄と競合する豊橋-名古屋間については、同区間での利用客を獲得するため、「ひかり」「こだま」の普通車自由席に乗車することができるオトクなきっぷが発売されています。

【使用例4】

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 過去にも紹介しましたが、豊橋-名古屋間には「新幹線名古屋往復きっぷ/新幹線豊橋往復きっぷ」が設定されており、土休日であれば2,360円(平日の場合は2,940円)で往復とも新幹線を利用することができます。僕もこれまで何度か利用していますが、今回は初めて「新幹線名古屋往復きっぷタワーズパック」という企画乗車券を使用しました。これは、春休みからゴールデンウィーク、夏休み、年末年始などに期間限定で発売されるもので、通年発売の「新幹線名古屋往復きっぷ」にセントラルタワーズやゲートタワーの店舗で利用可能な1,000円分の食事・商品券がセットになったものです。通年発売されている往復きっぷでも十分におトクな価格設定となっていますが、このタワーズパックは食事・商品券が付いて3,000円ということで、コストパフォーマンスは非常に高いといえます。ただし、この企画乗車券は利用日当日のみの発売となり、前売りはありません。また、発売駅も豊橋周辺の数駅に限られていますので、利用する際には注意が必要です。

 

◆回数券

 東海道新幹線の回数券は、これまでにも様々なタイプのものが発売されてきました。僕がよく利用する豊橋⇔東京間を見ると、以前は「新幹線自由席特急回数券」だったものが、2003年(平成15年)10月の「のぞみ」への自由席の設置と同時に、「ひかり・こだま自由席回数券」となりました。要は、のぞみ停車駅間を含む区間の回数券であっても、「のぞみ」自由席の利用は不可というものです(豊橋⇔東京間では、もともと「のぞみ」利用がありえないため影響はありませんでしたが…)。その後、しばらくの間は「ひかり・こだま自由席回数券」として存在し続けていましたが、消費税率が5%から8%に引き上げられる2014年(平成26年)4月に、一部の「おトクなきっぷ」の整理が行われ、豊橋⇔東京間の「ひかり・こだま自由席回数券」は、「新幹線回数券」に統合されるかたちでその役目を終えています。

【使用例5】

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 マルス券の束を探ってみると、過去に利用した「ひかり・こだま自由席回数券」が数枚残っていました。この頃は、多い時には月1回程の頻度で東京出張があったため、その都度、回数券のバラ売りを購入していたことを思い出します。すでに17年以上も昔のきっぷですが、発券時に生じた文字の擦れはあるものの、印字自体はしっかりと残っています。やはり、熱転写式のきっぷは耐久性に優れているようです。

【使用例6】

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 もちろんですが、「新幹線回数券」もいくつか手元に残っています。以前は友人Dに会うために東京に行く際、往路は新幹線で、復路では夜行バスを利用していました。当時はあまり気にならなかった夜行バスの利用ですが、最近では体力・気力ともに自信がないため、ここ数年は利用していません。そのため、次第に往復とも新幹線を利用することが多くなり、そうなると回数券よりも旅行商品の方がオトクなため、自然と回数券を利用しなくなってしまいました。

 ちなみに近年、回数券は縮小傾向にあり、減少の一途をたどっています。東海道新幹線について言えば、「スマートEX」や「エクスプレス予約」が普及し、わざわざ駅の窓口に行って紙の特急券を購入する必要がなくなりつつあります。僕は「スマートEX」や「エクスプレス予約」も利用したことがありませんが、これらのサービスを利用すれば通常の運賃・料金よりも安くきっぷを購入することができ、さらにオトクな早得商品もあります。従来の回数券タイプの企画乗車券よりも便利でおトクに利用できるこうしたサービスは、間違いなく今後さらに展開されていくことになると思います。「新幹線回数券」の発売が終了するのも、そう遠い日ではないかもしれません。

 

◆乗車票(乗車船用・新幹線特急券用)

 いわゆるマル契の旅行商品として発券される乗車票です。僕はほぼすべて、JR東海ツアーズを利用しており、「日帰り 1day 東京」は、何度利用したか分からない程です。列車変更や乗り遅れ時などに制約はあるものの、普通乗車券や回数券と比べて圧倒的に安いのが魅力です。

【使用例7】

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 過去の記事と重複しますが、JR東海ツアーズが発売している「ぷらっとこだま」の乗車票です。「ぷらっとこだま」の最大の特徴は、利用最低人数の制限がないことと片道利用も可能という点です。こうした利点がある以上、僕の乗り鉄旅でも何度か利用を検討したことがありますが、結果としてほとんど利用したことがありません。その理由は券面を見ればわかるとおり、豊橋発着の設定がないことです。浜松発着の乗車票を利用する場合、豊橋⇔浜松間は別途、乗車券を用意する必要がありますが、この区間を在来線で移動するとなると、何かと旅行行程を組みにくくなるため、僕としては敬遠しがちです。また、「こだま」限定ということも少々ネックで、例えば名古屋⇔京都・新大阪で利用しようとしても、「こだま」が1時間に1本しかなく、これもやはり旅行行程を組む際の足枷となる場合もあるからです。もし豊橋発着が設定されれば、利用頻度が上がるかもしれません。ちなみに「ぷらっとこだま」は現在、浜松駅や名古屋駅などにある指定席券売機で受け取ることができるようになっています。

【使用例8】

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 今回紹介するきっぷ類の中で最も使用頻度が高いのが、JR東海ツアーズの旅行商品である「日帰り 1day シリーズ」です。僕はこれまでに、日帰り1day 東京、横浜、鎌倉、京都、博多を利用したことがありますが、この他にも熱海、静岡や新大阪といった商品もあります。「ぷらっとこだま」と異なり、往復での発売に限られますが、営業キロが201km以上であれば特定都区市内制度も適用されます。しかし、何と言ってもこの乗車票の強みは、その価格です。旅行商品なため、時期によって多少のバラツキはありますが、他の乗車券類と比べると圧倒的に安く、プランによっては追加料金でグリーン車も利用可能です。そういえば僕は、「日帰り 1day シリーズ」でしか東海道新幹線グリーン車を利用したことがないような気がします。

伊勢志摩周遊きっぷで近鉄特急乗り鉄旅

 前回の記事では、団体のツアー旅行で20000系「楽」と15400系「かぎろひ」に乗車したことを紹介しました。この旅行では、「楽」「かぎろひ」への乗車の他、昼食と現地での約6時間のフリータイムが設定されています。昼食終了後、それぞれ自由時間となる訳ですが、僕は当初、2019年4月の乗り鉄旅のときと同じように、バスで赤福五十鈴川店に行き、「いすず 野あそび餅」を購入しようと思っていました。しかし、Webで事前に調べてみたところ、現在は販売を休止しているということです。これをお土産に購入することを楽しみにしていただけに、非常に残念ですが、仕方ありません。それならば伊勢神宮に参拝に行ってみようかなと色々悩んでいたところ、近鉄のWebページで「伊勢志摩周遊きっぷ」という期間限定のきっぷがあることを知りました。このきっぷの主な特徴としては、

  • 発売期間は2020年11月11日(水)から2021年1月31日(日)まで(乗車開始日前日又は当日に限り発売)
  • 松阪~賢島駅間(フリー区間)が1日乗り放題
  • GoToトラベル地域共通クーポン(紙クーポン)でのみ購入可能
  • 発売額は1,000円
  • フリー区間特急券引換券2枚付きもあり、こちらの発売額は2,000円

というものです。

 フリー区間の両端に当たる松阪⇔賢島間の普通運賃は、片道960円なので、1,000円の周遊きっぷは格安と言えます。さらに同区間の特急料金も片道920円なので、周遊きっぷに+1,000円で特急券引換券が2枚付くというのもおトク感があります。今回の団体ツアーには、もちろん地域共通クーポンが付いていますが、幸いなことに電子クーポンではなく紙クーポンです。ということで、久しぶりに伊勢志摩ライナービスタEXにも乗車してみたくなったことから、約6時間のフリータイムには、この周遊きっぷ特急券引換券2枚付)を使用して、松阪⇔賢島間での近鉄特急乗り鉄旅を楽しむことにしました。

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 ツアーの集合時間(宇治山田駅に18時)にはかなりの余裕があったので、単純な松阪⇔賢島間の一往復だけでは、時間が余ってしまいます。そこで、ちょうど時間内にうまく収まるように工夫し、さらに伊勢市・宇治山田⇔賢島間の往復を追加することにしました。これでちょうどフリータイムの時間に合わせた乗り鉄旅を楽しむことができます。

 松阪⇔賢島間の往復には特急券引換券2回分を使用することにしましたが、それとは別に伊勢市→賢島と、賢島→宇治山田の特急券が必要になります。なお、伊勢市⇔賢島間の特急券については、近鉄のインターネット予約サイトで「伊勢志摩チケレス割」が利用可能です。期間限定のチケットレスキャンペーンで、伊勢市⇔賢島間であれば、1列車当たり320円で特急券を購入することができます。

 近鉄特急には、これまでにも何度か乗車しており、大阪難波まで「ひのとり」や「アーバンライナー」に乗車したこともあります。また2017年6月には、一日で4つの近鉄特急に乗車する乗り鉄旅にも挑戦しています。その際は、23000系「伊勢志摩ライナー」、30000系「ビスタEX」、22000系「ACE」、50000系「しまかぜ」に乗車していますが、今回も松阪⇔賢島間で「伊勢志摩ライナー」と「ビスタEX」に乗車し、伊勢市・宇治山田⇔賢島間では汎用特急に乗車することとしました。それでは順に、紹介したいと思います。

 

23000系「伊勢志摩ライナー

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伊勢志摩ライナーで使用されている近鉄26000系:賢島駅 2020/12/13

 「伊勢志摩ライナー」には、赤色塗装の編成と黄色塗装の編成とがあります。2017年6月にはサンシャインレッドの赤色編成に乗車しているので、今回は、まだ乗車したことのない黄色編成を期待していました。すると、期待どおりに見事、サンシャインイエローの黄色編成に乗車することができました。個人的には、「伊勢志摩ライナー」には赤色よりも黄色の方が似合っていると思います。団体ツアーの中にいた近鉄マニアっぽいおじさんも「伊勢志摩ライナーはやっぱり黄色だわ。」と言っていました。

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 なお、前回はデラックスシートを利用しましたが、今回は一般的なレギュラーシートです。レギュラーシートと言えども、さすがは近鉄特急で、窮屈さは全く感じさせません。今回は1時間程度の乗車でしたが、名古屋⇔賢島間の乗車でも快適に旅を楽しむことができそうです。なお、車内はご覧のとおりで、賢島発車時点で乗客はまばらでした。

 

30000系「ビスタEX

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ビスタEXとして活躍している近鉄30000系:賢島駅 2020/12/13

 近鉄特急として長年親しまれているビスタカーこと「ビスタEX」です。2017年6月に乗車した際には、オレンジ色に紺帯という伝統的なカラーリングの車両でしたが、その後、順次更新されていき、現在はすべて新塗装となっています。白地ベースにビスタカー伝統のオレンジ色(ブライトイエロー)が使われ、側窓下にはゴールドのラインが描かれています。塗装変更直後には、なんとなく違和感を感じることもありましたが、見慣れてくると、新しいカラーリングもなかなか似合っている感じがします。

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 2017年6月の記事でも触れましたが、4両編成の「ビスタEX」の中間車(2号車・3号車)はダブルデッカー構造となっており、車内は大別して平屋席、階上席、階下席に分けることができます。このうち階下席は、3人以上での利用可能なグループ席となっており、ちょっとしたコンパートメントのようになっています。1人で乗車する場合には、平屋席と階上席のうちから選択することになりますが、僕はもちろん、階上席を選びました。車内はご覧のとおり閑散とした状態で、周りを見渡してもほとんど乗客はいませんでした。

 

22000系「ACE」/22600系「Ace」(汎用特急)

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汎用特急として運用されている近鉄22000系と22600系:賢島駅 2020/12/13

 「しまかぜ」や「ひのとり」のような観光的な要素や豪華さはなく、「ビスタEX」のようなダブルデッカーを組み込んだ特徴的な車両でもありませんが、近鉄特急を陰で支えているのが汎用特急です。この汎用特急も、以前はオレンジ色と紺色の外観でしたが、「ビスタEX」と同様に塗装変更が進められ、現在のカラーリングとなりました。上の写真はともに賢島駅で撮影したものですが、ホームの頭端部分に柵があるため、車体に被ってしまいます。

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 新しい形式の車両ということもあり、シンプルながらも快適性は向上しています。今回は、乗車当日に「伊勢志摩チケレス割」で特急券を購入しましたが、どの号車に乗車すべきなのかでちょっと迷いました。近鉄では、汎用特急同士が連結し、例えば12200系(スナックカー)+22000系で運用されることもあります。この場合、どの号車からどの号車までが12200系で、どの号車が22000系であるかは、一般的には案内されていません(個別に駅員さんに確認すれば教えてもらえるとは思いますが…)。せっかく乗車するならモバイルコンセントがない12200系よりも22000系に乗車したいと思う方も多いと思うのですが、インターネット予約サイトだけでは、どの形式の車両か判断できません。22000系を期待して座席を指定したところ、意図せず12200系になってしまうという可能性もある訳です。実際には、近鉄アプリを使用したり、喫煙室の有無と座席列数の情報から車両を類推することができるようですが、車両交換の可能性もあるため、最終的には乗車直前まで分かりません。今回は、めでたく狙いどおりの車両に乗車することができました。

 ちなみに汎用特急の乗車に使用する特急券を「伊勢志摩チケレス割」で購入した後、有人の窓口に行って発券をお願いしたところ、こうした割引の適用のある特急券は紙の特急券として発券できないとのことでした。ということで、この分の特急券は手元に残っていません。

 最終的には、予定どおりにフリータイムの時間内に周遊きっぷの利用を終えて、宇治山田駅に戻ることができました。連続乗車を重ねてさすがにちょっと疲れてしまいましたが、約3年半ぶりに伊勢志摩ライナービスタEXに乗車し、十分に鉄分を補給することができました。

近鉄の団体専用列車「楽」「かぎろひ」に乗車

 僕は普段、個人手配で乗り鉄旅を楽しむことがほとんどですが、今回は久しぶりに団体でのツアー旅行に参加してきましたので、その内容を紹介したいと思います。

 まず、今回のツアーですが、クラブツーリズムの『往路「楽」・復路「かぎろひ」2つの近鉄団体専用列車に乗車!たっぷり楽しむ伊勢フリープラン』というもので、近鉄名古屋駅から伊勢市駅(復路の出発は宇治山田駅)までの間を2つの団体専用列車で往復するというものです。ちなみに僕が申し込んだプランでは、往路の名古屋→伊勢市が20000系「楽」で、復路の宇治山田→名古屋が15400系「かぎろひ」となっていますが、往路と復路で逆の列車を利用するプランも設定されていました。どちらにしようか迷いましたが、今回はリニューアル直後の20000系「楽」への乗車をメインとしたかったので、往路で「楽」に乗車できるプランを選択しました。

 ところで今回乗車する「楽」ですが、僕はこれまでに一度だけ乗車したことがあります。2019年4月のゴールデンウィーク期間中に限定で発売された「GW伊勢まで『楽』らくきっぷ」という企画乗車券を利用し、近鉄名古屋から五十鈴川まで「楽」に乗車しました。

len-railway.hatenablog.jp

  「楽」は今年の夏、全面リニューアルされましたが、前回乗車したのはリニューアル前なので、内外装とも現在の車両とは大きく異なっています。今回は、約1年半前に乗車した「楽」がとのように生まれ変わったのか、それを見つけるもの楽しみのひとつです。

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リニューアルされた近鉄20000系「楽」:伊勢市駅近鉄名古屋駅 2020/12/13

 旅行会社からあらかじめ郵送されてきた最終案内では、往路での乗下車時間について、次のとおり案内がありました。

 近鉄名古屋8:37発→桑名8:56発→近鉄四日市9:10発→津9:37発→伊勢市10:19着

 僕は始発の近鉄名古屋から乗車しますが、途中駅でも乗車可能のようです。事前に案内のあった集合場所で受付を済ますと、これから乗車する「楽」の入線時刻は8時33分とのお知らせがありました。発車までの時間はわずかなため、乗り遅れには注意しなくてはいけませんが、せっかくの機会なので写真も撮りたいと思い、短時間のうちに4号車側の先頭車両を数枚撮影しました。近鉄名古屋駅は地下ホームのため、今回のように濃い目の茶色系統の列車を撮影しようとすると、どうしても全体的に暗い写りになってしまうのが残念です。終点の伊勢市でも、1号車側の先頭車両を撮影したのですが、残念ながら強い逆光になり、これまたうまく写真に写真に収めることができませんでした。

 リニューアル前と比べて見ると、何と言っても外観色が大幅に変更されていることが分かります。以前に乗車した時は、レモンイエローとパールホワイトのツートンカラーで、縦型の標識灯とも相まって、どこか可愛らしい風貌の列車でしたが、リニューアルによって「漆メタリック」という塗色に変更され、ところどころに和柄の模様が描かれており、まるで別の列車に生まれ変わったような落ち着きのある雰囲気です。

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1号車の展望スペース

 続いて車内の様子です。まず運転室後方のスペースは、リニューアル以前は階段状に転換クロスシートが設置された展望席となっていましたが、フリースペース「楽 VISTA スポット」に改装されてソファが設置されていました。天井が高く、さらに3面方向の眺望が同時に楽しめるため、開放感は抜群です。

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1号車の階上室(座席スペース)

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1号車の階下室(フリースペース)

 「楽」は、先頭車両である1号車と4号車はダブルデッカー構造となっており、以前は階上にも階下にも座席が設置されていましたが、現在は階上室にのみ座席が設置されています。階下室はフリースペースになっており、乗客が自由に利用することができるようになっていました。僕は1号車の階下スペースをちょっとだけ見学しましたが、その時にはフリースペースの利用者はいませんでした。今回は、階上室の座席スペースと階下のフリースペースを両方とも記念に撮影しておきました。

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2号車の車内

 中間車となる2号車と3号車は、ハイデッカー構造となっており、転換クロスシートがずらりと並んでいます。和柄をモチーフにしたモケット柄で、数種類の柄が各座席にランダムに配置されていました。ここまでは先頭車両の階上席と同じですが、中間車両の各座席には、照明付きの大型テーブルが据え付けられていました。転換クロスシートをテーブル付きとする場合、どうしてもテーブルを座席の肘掛けの中に収容するタイプのものとなってしまい、必要最小限のサイズになってしまいますが、座席から独立させた大型テーブルが別に用意されていれば、お弁当や飲み物などを置いておくのにも便利で、何より座席から移動する際にも全く邪魔になりません。団体列車としては、非常に使い勝手のいい設備だと思います。

 一方で、各座席ごとに大型テーブルを据え付けたことから、リニューアル前よりもシートピッチが広くなり、結果として窓枠の位置と一致しない座席が発生してしまいました。僕の座席は2号車11ABでしたが、少なくとも伊勢市方面に乗車する場合には窓枠に邪魔されず、車窓を楽しむことができましたが、ハズレ席になってしまうと、座席の真横が窓枠となり、視界が大きく遮られてしまいます。

 また、テーブル下の壁面には、モバイルコンセントも設置されていました。最近の列車では、一般的になってきましたが、「楽」でもしっかりと用意されていました。

 伊勢でのフリータイムについては、また別に紹介させてもらうとして、ここでは続いて復路で乗車した「かぎろひ」を紹介したいと思います。

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クラブツーリズム専用の近鉄15400系「かぎろひ」:宇治山田駅 2020/12/13

 復路で乗車する「かぎろひ」の乗下車時間については、次のとおり案内がありました。

 宇治山田18:33発→津19:09着→近鉄四日市19:52着→桑名20:10着→近鉄名古屋20:44着

 宇治山田駅の2番線への入線は18時22分頃ということで、発車までに10分程の時間があったため、入線から発車までの時間を利用して撮影しました。すでに日没後だったため、濃い緑色系統の列車を撮影するにいいコンディションとは言えませんが、途中停車駅ではおそらく扉扱いはなく、終点の名古屋駅到着後も、下車後すぐに添乗員の先導で改札まで移動することから、宇治山田駅以外で撮影する機会はないと思い、何枚か撮影しました。

 まずこの「かぎろひ」ですが、同じ団体専用列車であっても「楽」にような新造車両ではなく、近鉄12200系(2両編成2本)をクラブツーリズム専用列車として改造した車両です。そのため、車両の形状などは、種車をそのまま引き継いでいますが、カラーリングは大きく変更され、車内も一部、団体向けに改装されています。

 車体色は、クラブツーリズムの最上級バスツアーで使用されている「ロイヤルクルーザー四季の華」と同じダークグリーンを基調としたものとなっています。鉄道ファン的には、どことなく「サロンカーなにわ」や「トライライトエクスプレス」の客車を思わせる色で、乗車への期待が高まる感じがします。

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 こちらは「かぎろひ」の車内です。座席は回転式リクライニングシートとなっており、鮮やかな濃い目のピンク色のモケット柄が目に飛び込んできます。車内はカーペット敷となっており、実際に乗車してみると、一般的な特急形車両に乗車しているのと大きな違いはありませんが、改造前よりも座席数が減らされているようで、車端部にはちょっとしたスペースが確保されていました。以前、何かの記事で、車内にビールサーバーがあると紹介されていたのを思い出しましたが、確かにそれっぽい設備がありました。また、後から調べて見ると、団体専用列車ということでオーディオ設備も設置されているとのことです。(今回は乗車のみで、こうした設備は利用されていませんでした。)

 特急形車両であったスナックカーを改装して「かぎろひ」が誕生したのは2011年ということで、それほど昔のことではありませんが、リニューアルしたばかりの「楽」と比べると、全般的にやや見劣りしてしまうのは仕方ありません。最近では、旅行者が求めるニーズも変化し多様化しており、ひと昔前なら気にもならなかったことが、今ではその旅行の良し悪しを決定付ける重要なポイントになっているということも少なくないと思います。これからの旅のスタイルにあわせて、「かぎろひ」もさらに進化することを期待したいです。

 以上、往路の「楽」と復路の「かぎろひ」を紹介させてもらいましたが、今回はいつものような乗車票がありません。僕としては、事前に乗車票類が郵送されてくるのかなと思っていたのですが、実際には各参加者に配られる乗車票類はないようで、当日の受付の際、座席位置が書かれた紙が配られただけでした。また、乗車中に記念乗車証のようなものがあると嬉しかったのですが、そういったものもありませんでした。今回のツアーには、電車好きの小学生や鉄道ファンの方も乗車されていましたので、乗車の記念になるようなちょっとしたサービスあれば、もっと旅の魅力が高まるのではないかと思いました。