レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

赤沢森林鉄道に乗ってきました

 9月になっても真夏のような暑い日が続き、体力的にも精神的にも限界を感じる今日この頃です。僕がまだ小学生だった頃は、2学期が始まってしばらくすると、連日のように屋外の校庭で運動会の練習をしていましたが、当時はここまでの暑さは感じませんでした。自分が歳をとったせいで暑く感じるようになったのか、それとも地球全体の気温上昇の影響によるものなのか、僕にははっきりとした原因は分かりませんが、もう少し暑さが和らいでほしいものです。話は少し逸れてしまいますが、僕が子どもだった時には、まだ冷房装置のない電車があり、客室内の窓を全開にして走っていたことを思い出します。最近は電車内はもちろん、どこでもクーラーが当たり前になっており、身体が冷房慣れしてしまっている分だけ、昔よりも暑さに対して弱くなっているのかも知れません。かと言ってクーラーなしではとても生活できるような状況ではありませんから、結局のところ、今の生活様式を続けるしかないということなのでしょう。

 そんなことを考える日々が続いていますが、今年の夏の乗り鉄旅を振り返って見ると、青春18きっぷの購入を見送ったということもあり、昨年よりも旅行回数は少なく、また、宿泊を伴うような旅行もありませんでした。しかし、見方を変えると、例年以上に近県を中心とした乗り鉄旅を楽しむことができたと思っています。7月には新型車両のHC85系に乗車し、岐阜の下呂を往復しました。また、先月は休日乗り放題きっぷを活用して静岡の伊東までの乗り鉄旅を楽しむことができました。もちろん、まだ行ったことのないところに遠出して、新しい車両に乗車したり初めての路線を利用することも旅の醍醐味ですが、あまり目を向けてこなかった近場の観光地を巡って見るのも、遠出する乗り鉄旅とはまた違った魅力があります。

 そこで今回の乗り鉄旅では、長野の赤沢自然休養林を旅の目的地として、しなの号で名古屋―木曽福島間を往復する乗り鉄旅を計画しました。これまでの乗り鉄旅では何度も中央西線を利用しており、普通列車だけでなくしなの号にも乗車していますが、そのほとんどは通過利用で、木曽福島で上下車したことはありません。また、赤沢自然休養林についても、以前に何かのパンフレットで休養林内にある赤沢森林鉄道の記事を読んだことがあったくらいで、もちろん訪れたことはありません。まだまだ暑さは厳しい中ですが、自然休養林という言葉からは、避暑地的なイメージもあり、今回この機会に行ってみることにしたものです。

 僕の最寄り駅から赤沢自然休養林まで行くには、まずは名古屋まで移動し、そこから木曽福島まで中央西線に乗車します。木曽福島から赤沢自然休養林までは直通の路線バスがあり、これを利用するのですが、この路線バスの本数が非常に少なく、通常期の平日だと往路が3本、復路が2本のみです。そのため利用するしなの号もある程度限定されてしまいます。今回は、バスの時間を考慮して、往路では名古屋を9時に発車するしなの5号に乗車し、帰路では木曽福島を15時31分に発車するしなの16号に乗車することにしました。

しなの号で使用されている383系名古屋駅木曽福島駅 2022/9/15

 特急しなの号といえば383系です。ちょっと調べてみると、383系が登場したのは1994年とのことで、もうすぐ30年を迎えようとしています。車体がステンレス製の無塗装のため、ぱっと見たところでは劣化を感じさせませんが、先頭部をよく観察すると、運転席周りの窓枠部分に塗装の剥げ落ちた箇所があり、また、前頭部のスカート部分の汚れも目立つようになりました。同じJR東海キハ85系は近いうちに引退となるでしょうが、HC85系による置き換えが完了すれば、次はいよいよ383系も新たな車両に置き換えられていくことになるのではないかと思っています。

 ちなみに上の写真は、名古屋駅出発前のしなの5号と、木曽福島駅でたまたま居合わせたしなの11号を撮影したものです。往路のしなの号は増結編成を連結した8両でしたが、平日にも関わらず、かなりの乗車率でした。僕は指定席を利用しましたが、自由席は名古屋発車時点で窓側座席はすべて埋まっており、通路側の座席を相席で利用している方もいたほどです。往路のしなの号に乗車していてちょっと驚いたのは、僕が利用していた指定席車に名古屋→多治見間での利用者が一定数いたことです。50kmに満たない区間であっても、やはり着席需要な少なからずあることを実感しました。

 復路のしなの号は基本編成のみの6両で、往路ほどの乗車率ではありませんでしたが、それでもビジネス利用らしき方も何人か見かけました。名古屋―松本・長野間を結ぶしなの号は、僕が思っている以上に需要は高いようです。

 名古屋―木曽福島間はおよそ1時間30分程度で、長すぎず短すぎずちょうどいい乗車時間です。この日は晴れたり曇ったりの天気でしたが、木曽福島到着時点では、ご覧のとおり気持ちいい快晴でした。駅前のバス乗り場で赤沢自然休養林行きの便を待つこと40分以上、やっとバスがやって来ました。ちなみに始発から終点の赤沢自然休養林まで、乗客は僕1人だけでした。車内があまりに混雑するのも嫌ですが、乗客がたった1人というのも正直あまり居心地よくありません。

 バスは途中で少し工事渋滞に巻き込まれてしまいましたが、その後の回復運転が功を奏し、予定どおりの時刻に赤沢自然休養林に到着しました。往路のバスの運転手さんはなかなかアグレッシブで、まるでアトラクションのようなスリル感あふれる乗車を楽しみました。到着後すぐに森林鉄道乗り場に向うと、ちょうど12時に発車する便に間に合ったため、到着早々に森林鉄道に乗車することにしました。

 この鉄道施設は元々、伐採した木材を運搬するために整備されたもので、1975年にはその役目を終えて廃止されたものの、1987年には園地内の復元軌道を乗車体験することができるようになりました。茶色とクリーム色に塗り分けられた小さなディーゼル機関車が貨車のような客車をけん引しています。運転区間は丸山渡停車場までの往復2.2kmで、丸山渡停車場での機関車付け替えのための停車時間を含めて約25分間の乗車となります。渓流沿いをゆっくりと走行し、また客車にはガラス窓もないため、風を感じながら心地よい乗車を楽しむことができます。

 森林鉄道乗場には森林鉄道記念館が併設されており、歴史的資料や写真などが展示されています。また、木材運搬に活躍していたアメリカ製の蒸気機関車ボールドウィン号の姿も見ることができました。小さな車体と大きく膨らんだユニークな煙突が特徴的で、まるでおもちゃの蒸気機関車のような可愛らしい外観です。100歳を超える機関車には風格が感じられ、この機関車が現役だった古き時代が偲ばれます。

 また、記念館前には、理髪車なるものが展示されていました。長期にわたって入山する営林署員のため、月に数回、この車両が巡回してきたそうです。揺れる車両内で髪を切ったり髭を剃ったりできるのだろうかと思いましたが、実際には留置線などに停車させて使用していたそうです。この森林鉄道がいかに当時の人々の生活に密着していたのかを感じることができました。

 赤沢自然休養林の駐車場付近には「せせらぎの里 赤沢」という食堂があり、今回はここで昼食をとることにしました。店舗にはテラススペースもあり、テーブルと丸太のイスが置かれています。平日ということもあってか利用客はまばらで、店内もテラスも空席があったので、気持ちのよさそうなテラス席を利用することにしました。ちなみに赤沢自然休養林は僕が予想していたとおり、じめじめした蒸し暑さは全くなく、心地よい風が吹き爽快です。こうした日はやはり屋外で食事を楽しみたくなるのですが、今回は食事中に大きな蜂が現れてちょっと慌てましたので、虫が苦手な方には店内で食事をすることをオススメします。

 せっかく赤沢自然休養林まで来たので、食後は園地内に整備されたコースを散策してみました。いくつかのコースがありますが、僕は「ふれあいの道」というコースを選びました。最も気軽に森林浴が楽しめるコースで、段差なく整備された舗装路となっており、初心者向きです。往復2.8kmということで、無理なく歩くことができそうです。途中には、野生生物の出没に注意するよう案内された看板があり、熊や蛇が現れたらどうしようかとビクビクしましたが、運よく遭遇することはありませんでした。緑溢れる大自然の中に身体を置くのは、実に気持ちがいいものです。「となりのトトロ」に描かれていたような風景の中を歩くのは実に新鮮で、往復2.8kmはあっという間でした。今まで山歩きなどにあまり関心を持っていませんでしたが、今回、初心者コースながら散策を楽しめたことで、山歩きの醍醐味がちょっと理解できたような気がします。

 その後は往路の逆をたどって帰路に着きます。木曽福島駅まで路線バスを利用し、木曽福島からは名古屋までしなの号に乗車しました。いつもの乗り鉄旅よりもちょっと体力を使うものとなりましたが、心身共にリフレッシュできる快適な旅となりました。

 今回の乗り鉄旅で使用したのは、JR東海ツアーズが発売している旅行商品です。名古屋―木曽福島間のJR線往復(特急しなの号の普通車指定席を利用)と木曽福島駅―赤沢自然休養林間の路線バス往復、さらに赤沢森林鉄道の乗車分などがすべてセットになったもので、ねだんは8,900円でした。

 木曽福島駅は自動改札が導入されておらず、有人改札を利用しますが、往路での下車時に乗車票の持ち帰りをお願いしたところ、無効印の押印のみで穴あけはありませんでした。JR東海の駅では珍しい対応です。不正利用の防止という観点からは、穴あけが必要という事情も分かりますが、きっぷ鉄的には少しでもキレイな形で手元に残すことができる方がありがたいです。

 これで今年の夏旅も終わりです。10月になればさすがに暑さも収まり、秋らしい涼し気な日がやって来ると思います。今年は夏旅で行けなかったところもたくさんありましたので、秋にはちょっと遠出もしてみたいなと思っています。