レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

2つの観光列車に乗車する南東北乗り鉄旅(1)

 これまでの乗り鉄旅の中で、機会があれば乗車してみたいと思いながらも、なかなかその機会がなかった列車として、山形新幹線の「とれいゆつばさ」があります。数年前、うまい具合に行程が組めないかと運行ダイヤを調べた際には、新潟から「きらきらうえつ」(現「海里」)に乗車して酒田まで行き、酒田から余目を経由して陸羽西線で新庄まで行くと、ちょうど新庄発の上りの「とれいゆつばさ」に乗車することができることが分かったため、一度は、このルートでの乗り鉄旅を計画したことがありました。

 しかし、残念なことに、この行程は「ムーンライトながら」号を利用して早朝に東京から新潟に向かうことが前提となっています。「ムーンライトながら」号で“前泊”しないと、豊橋から始発の新幹線に乗車しても「きらきらうえつ」(現「海里」)の発車時刻までに新潟駅に到着することができないからです。「ムーンライトながら」号を利用しなくても、何とか「海里」に乗車する方法はないかとあらためて調べると、新潟発の下り列車に乗車することはできませんが、酒田発の上りの「海里」であれば、日帰りでも乗車できることが分かりました。ただし、その場合、同日に「とれいゆつばさ」に乗車することはできません。結果として10月30日の乗り鉄旅では、「海里」への乗車を最優先事項とし、「とれいゆつばさ」への乗車は見送ることとした経緯があります。

 その後、「とれいゆつばさ」への思いはありながらも、かといって「とれいゆつばさ」に乗車するためだけに、福島方面・新庄方面に出かける程でもなかったことから、また、別の機会にでも乗車しようと思っていたところ、「フルーティアふくしま」が、12月からの冬季限定で、郡山-仙台間で運行されることを知りました。僕がいままで知らなかっただけのことですが、普段は磐越西線の郡山-会津若松-喜多方間を往復している「フルーティアふくしま」ですが、例年、降雪が見込まれる冬季期間に限り、91号・92号として東北本線区間で運行されているそうです。その時刻を調べてみると、郡山を午前中に出発して仙台に正午過ぎに到着する下りの「フルーティアふくしま91号」に乗車すれば、終点の仙台から仙山線山形線で村山まで移動し、村山から「とれいゆつばさ」に乗車できることが分かりました。僕はこれまで、「フルーティアふくしま」の存在は知っていましたが、旅行商品でないと乗車できない列車ということで、2人以上でないと申し込めないと勝手に思い込んでいました。しかし、よく調べてみると、車内には1人用の座席もあり、実際に1名でも旅行商品を購入できることが分かりました。そこで今回、「フルーティアふくしま」と「とれいゆつばさ」に乗車する福島・宮城・山形をたどる南東北乗り鉄旅を計画したという訳です。具体的な旅行行程は次のとおりです。

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 豊橋-郡山間は往復とも、東海道新幹線東北新幹線を利用します。東京駅での乗り換えにそれほど時間はかからないと思いますが、多少の遅延が発生しても対応できるように、豊橋からは始発の「ひかり」号で東京に向かうことにしました。東京からは「やまびこ」号で郡山に向かい、郡山から仙台までは「フルーティアふくしま91号」に乗車します。ここから先、「とれいゆつばさ」に乗車するためには、山形新幹線内のいずれかの停車駅に移動する必要があるのですが、今回は仙台から仙山線に乗車して羽前千歳まで行き、さらにそこから山形線で村山まで移動して、村山から「とれいゆつばさ」に乗車することにしました。わざわざ羽前千歳で下車して村山まで移動しなくても、仙山線が直通する山形から「とれいゆつばさ」に乗車する方が自然なのでしょうが、少しでも長い時間「とれいゆつばさ」に乗車できるようにと考え、こうした行程を組んでみました。「とれいゆつばさ」には終点の福島まで乗車し、福島から郡山までは在来線で、郡山から先は、往路の反対のルートで豊橋に帰ります。福島から東北新幹線に乗車してもよいのですが、あとから紹介する企画乗車券の制約上、福島→郡山は在来線を利用することにしました。

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 豊橋-東京間は、僕の乗り鉄旅では恒例となっている「日帰り 1day 東京」を利用します。最近、東海道・山陽新幹線に乗車する際は、普通車ばかり利用していましたが、今回は気分を変えて往復ともグリーン車を利用することにしました。この旅行商品では、片道当たりプラス1,700円でグリーン車に変更することができるため、往復で3,400円増となりますが、そもそもの価格が正規運賃・料金とは比べものにならないほど安いですし、「Go To トラベルキャンペーン」の割引も適用されるため、グリーン車利用であっても実負担額は9,000円程度です。逆にこの値段ならば、むしろグリーン車を利用した方が、よりおトク感があるかもしれません。

 東京-郡山間は、「お先にトクだ値スペシャル」の50%割引の乗車券・特急券を利用します。期間限定で設定されているもので、正規運賃・料金の半額で乗車できるという素晴らしいきっぷです。購入期限は乗車日の21日前までですが、各列車ごとに発売枚数が限定されており、購入期限前であっても発売予定枚数に達すれば、「お先にトクだ値スペシャル」のきっぷを購入することはできません。要は早い者勝ちです。ということで、今回は往復とも発売開始日に手配し、無事に購入することができました。

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フルーティアふくしま号で使用されている719系郡山駅 2020/12/5

 東海道新幹線N700A)と東北新幹線E5系E2系)は、これまでにも何度か紹介していますので、今回の記事では省略します。郡山到着後、在来線ホームに移動すると、1番線にはすでに「フルーティアふくしま」が入線していました。

 この「フルーティアふくしま」ですが、使用されている車両はJR東日本719系電車を改造した2両編成です。719系は、主に仙台地区の交流近郊形電車として活躍していた車両で、帯の色や窓配置などに多少の違いはあるものの、見た目は直流電車である211系にそっくりです。「フルーティアふくしま」への改造にあたり、車内はもちろん、車体の外観にも手が加えられています。車両の先頭部分は種車の姿がそのまま残っているものの、客用扉は片側3扉のうち運転席寄りの扉を残して埋め込まれています。また、カラーリングは大胆に変更されていて、黒と赤のツートンが目に飛び込んできます。これは、赤瓦や黒漆喰壁などをイメージしたものらしく、さらに、側面の窓枠周辺がゴールドに色取られていることで、車両のコンセプトとなっている“明治・大正時代の西洋モダン”が見事に表現されていると思います。

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 車内の様子です。2両編成のうち1号車はカフェカウンター車となっています。車内は、そのほとんどをカウンタースペースが占めており、車端部に簡単なカウンターシートが並んでいますが、座席定員は設定されておらず、車両の形式番号上も「クシ718-701」と食堂車の扱いになっています。このカウンターには、物販の他に、アイスコーヒーやアイスティー、ミネラルウォーターのサーバーが用意されており、乗客がセルフサービスで利用することができるようになっていますが、現在は新型コロナウイルス感染症対策として、アテンダントさんへのオーダー形式による提供方法になっていました。

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 続いて2号車です。2号車には4人掛け又は2人掛けのボックスシートと1人掛けのカウンターシートが配置されています。1人掛けシートは、運転席寄りに左右2席ずつの計4席がすべて窓向きに設置されています。4人掛けと2人掛けのボックスシートは、それぞれテーブルを囲むように座席が設置されていますが、テーブルが台形状となっているため、これに合わせて座席も内向きにやや斜めとなるように配置されています。これは、プライベート感を確保しつつ、さらに通路側の方でも車窓が見やすいようにとの配慮がなされているのだと思います。座席はすべて、お洒落なカフェにありそうなアイボリー系のソファータイプのシートとなっており、全体的に落ち着きのあるブラック調の車内のインテリアと相まって、贅沢な大人の空間といった感じが伝わってきます。

 ちなみに、僕は1人掛けのカウンター席を利用しましたが、この席は1人利用者専用のようで、逆に1人で利用する際には、4人掛けや2人掛けのボックス席は利用不可となっているようです。ちなみに今回乗車した91号は、始発の郡山以外に途中の福島でも乗車が可能で、福島発車時点で全体の8割程度の座席が埋まっていました。全部で4席ある1人掛けのカウンター席も、郡山発車時点では僕を含めた3名でしたが、残りの席に福島から1名が乗車し、すべて埋まりました。冬季限定運行の開始初日ということもあってか、なかなか盛況のようです。

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 先ほども触れたとおり、「フルーティアふくしま」号に乗車するには、旅行商品を購入する必要がありますが、その旅行商品には「スイーツセット」と「ドリンクセット」という2つのプランがあります。
 「スイーツセット」の内容は、次のとおりです。

 ◆福島県産フルーツなどを使用したオリジナルスイーツ(2ピース)
 ◆福島県産品を使用したフルーツジュース
 ◆ホットコーヒー
 ◆アイスティー・アイスコーヒー(1号車のカフェカウンター車に用意されたもの)

 このプランは、乗車日の3日前までに購入する必要がありますが、2日前から当日であれば「ドリンクセット」を購入することができます(「ドリンクセット」にはオリジナルスイーツが付きません)。今回僕は「スイーツセット」を申し込みましたので、車内で上の写真のようなスイーツ類が提供されました(僕はコーヒーが苦手なので、ホットコーヒーは辞退しました)。

 提供されるスイーツ類は、上り列車と下り列車で別のものが提供されることもあるようですが、郡山⇔仙台間での冬季運転期間は、どちらも同じものになっているようです。ちなみに今回のスイーツは、福島県産の洋梨を使用したタルトでした。写真で見ると分かりにくいですが、なかなかボリュームがあり、2切れ食べるとお腹がいっぱいになりました。

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 観光列車ではお馴染みの乗車証明書ですが、乗車時にはすでに各座席のテーブルに置かれていました。冬らしい風景の写真が使われています。最近は、車内に用意された記念スタンプを押印できるタイプのものも多いですが、「フルーティアふくしま」の車内には記念スタンプはなく、乗車証明書に押印するスペースもありませんでした。

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 今回の乗車で使用した乗車票です。始発の郡山から終点の仙台まで「フルーティアふくしま」に乗車するため、一葉券でも問題ないような気もしますが、乗車船用と指定券とに分かれていました。福島駅で停車中に車掌さんにチケッターを押印してもらいましたが、「フルーティアふくしま」専用のものとなっています。

 そして写真下の120mm券は、スイーツセットのバウチャー券です。乗車するとすぐにアテンダントさんが各座席を回って、バウチャー券を回収していました。そのため実物は手元に残っていませんが、今回は乗車票類をあらかじめ自宅に郵送してもらっていたため、出発前にスキャンしておいたものです。

 >>(2)に続く