レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

観光列車「52席の至福」とSL「パレオエクスプレス」に乗車(1)

 僕は、乗り鉄旅の際に旅行商品を利用することがあります。特に東海道・山陽新幹線を利用する場合には、JR東海ツアーズや日本旅行などから色々な旅行商品が発売されており、しかも正規運賃・料金に比べてオトクに購入できることから、旅行行程に適した商品が見つかれば、積極的に利用するようにしています。こうした商品は、いわゆる個人旅行向けの旅行商品と言われるもので、主に往復の交通費と宿泊代金がセットになって発売されてます(もちろん日帰り商品もあります)。現地での食事や施設への入場料などが含まれていないことから、フリープランとも呼ばれ、通常の乗車券類をきっぷうりばで購入した場合とほぼ同じ感覚で利用することができます。一方で、旅行会社が発売している商品の中には、添乗員付きのパッケージツアー(団体旅行)というものもあります。団体旅行と言うと、真っ先にバスツアーを思い起こしますが、バス利用に限らず、最近は観光列車やレストラン列車への乗車を組み込んだツアーが設定されることもあり、乗り鉄的にはこちらも見逃せません。両者にはそれぞれ特徴があり、内容や価格も様々ですが、乗り鉄的な観点から個人旅行と団体旅行のメリットを比較すると、次のようになります。

🔵個人旅行商品(日帰り1dayやバリ得こだまなど)
 自分の都合にあわせて出発日や出発時間、乗車する列車やその設備(自由席か指定席か、普通車かグリーン車か)を希望にあわせて選ぶことができる。
 満席になることはほとんどなく、出発日直前でも購入することができる商品も多い。

🔴団体旅行商品
 きっぷ類を個別に手配する必要がないため、個人では予約が取りづらい人気列車(観光列車やレストラン列車)にも乗車しやすい。
 決められた行程にしたがって行動するため、自身で旅行行程を作成する必要がない。

 僕の場合、事前に旅行行程を作成したり、きっぷ類を手配することは全く気にならず、むしろ旅行出発前の準備の一環として楽しみのひとつになっています。また、決められた行程を添乗員さんの引率によって旅行するよりも、自分で計画したルートを自分の好きなタイミングで移動する方が好きなので、団体旅行よりも個人旅行の方が向いています。しかし、団体旅行には、個人では予約が取りづらい観光列車や、窓口で購入するきっぷ類では乗車できない団体列車に乗車できるという大きなメリットがあります。これまでの乗り鉄旅においても、ハイグレード車両E655系「和 なごみ」に乗車したり、定期運行を終えたE26系客車を使用した「カシオペア紀行」に参加したりしましたが、これらはともに団体旅行商品を利用したものです。

len-railway.hatenablog.jp

len-railway.hatenablog.jp

 また、観光列車のうちレストラン列車と呼ばれるものに乗車する際にも、団体旅行商品を利用したことがあります。例えば昨年12月に乗車した「TOHOKU EMOTION(東北エモーション)」には、個人で手配する方法と団体旅行商品を購入する方法とがありましたが、個人で手配しようとする場合、2名以上でないと申し込むことができません。一方、大手旅行会社が発売する団体旅行商品の中には、1名でも申し込むことができるものがあり、1名で利用したい時には、そうした団体旅行商品を購入する方法しかありません。レストラン列車の中には、昨年10月に乗車した「雪月花」のように、個人手配でも1名から申し込むことができるものもありますが、僕の感覚としては、個人手配では2名以上からの申込みとなっている列車も少なくないと思っています。

 「TOHOKU EMOTION」と同様、個人では2名以上の申込みでないと手配できないレストラン列車として、西武鉄道が運行している「52席の至福」があります。23区内を発着する数少ない本格的なレストラン列車で、日帰り旅としても利用できることから、いつか乗車してみたいと思っていました。調べてみると、クラブツーリズムが「52席の至福」への乗車と現地での観光をセットした団体旅行商品を発売していましたが、思った以上に高額で、正直ちょっと躊躇していました。そんな中、他の旅行会社に「52席の至福」に乗車できる手頃な旅行商品を発売しているところはないかと検索していたところ、JR東日本グループの旅行会社であるJR東日本びゅうツーリズム&セールスが発売している旅行商品に目が留まりました。それは“西武 旅するレストラン「52席の至福」と秩父鉄道「SLパレオエクスプレス」日帰りの旅”というもので、僕のような乗り鉄好きにはピッタリな旅行商品です。ねだんもクラブツーリズムの商品よりも安価で、しかも「52席の至福」だけでなく「SLパレオエクスプレス」にも乗車できるというものでした。

 思い起こせば以前、友人Dと2人で「SLパレオエクスプレス」に乗車しようと計画したことがありました。当時はWebページから指定席券を予約できるシステムがなく、JR東日本みどりの窓口などで購入する方法が一般的でしたが、友人Dに頼んで窓口で購入してもらおうとしたところ、希望する日の指定席にほとんど空席がなく、そうかと言って、自由席(当時は指定席車が3両、自由席車が1両となっていました。)では心許ないことから、結局、乗車を諦めてしまったことがあります。また、「52席の至福」は、2016年4月の運行開始以来、その存在はもちろん把握していましたが、先にお話しししたとおり、西武鉄道主催の旅行商品の場合、個人で申し込む際には2名以上でなければならず、一人旅中心の僕には、なかなか乗車する機会に恵まれませんでした。

 ちなみに「SLパレオエクスプレス」は現在、秩父鉄道のWebページから指定席券を予約できるようになっており、こちらは何とか個人でも手配できそうですが、「52席の至福」に乗車できる機会は限られることから、今回はこの団体旅行商品を購入し、久々にパッケージツアーを利用した乗り鉄旅を楽しむことにしました。(かなり人気があるようで、申込時点ではキャンセル待ちとなりましたが、期限ギリギリになって連絡があり、運よく参加することができた次第です。)

 まずは今回乗車する「52席の至福」のダイヤについて紹介します。西武新宿を10時40分に出発し、終点の西武秩父に13時57分に到着する約3時間の乗り鉄旅です。ランチコースを楽しむにはちょうどいい時間設定で、レストラン列車らしいゆったりした旅が楽しめそうなダイヤとなっています。過去に乗車したことのある方の情報によると、途中駅に30分ほど停車して扉扱いがあるとのことでしたが、公式Webページに記載があるのは、上記の出発・到着時間のみです。

 旅の始まりは西武新宿駅です。西武線は以前、「レッドアロー」や「ラビュー」に乗車する乗り鉄で利用したことがありますが、その際はいつも池袋発着でしたので、西武新宿駅から乗車するのは初めてです。新宿駅と言えば、JR線や地下鉄各線の他に、小田急線や京王線も乗り入れる日本有数のターミナル駅ですが、西武線新宿駅はJRの駅からやや離れた北側にあります。2面3線の頭端式ホームで、日曜日の午前10時台でも多くの列車がひっきりなしに発着していました。10時30分発の特急「小江戸」号が発車すると、ほどなくして2番線に「52席の至福」が入線してきました。待ちに待った列車とのご対面で、早速、写真撮影したいところですが、西武新宿駅にはホームドアが設置されており、うまく撮影できそうになかったため断念しました。

52席の至福として運行している4000系:西武秩父駅芦ヶ久保駅 2022/8/21

 上の写真は、芦ヶ久保駅と終着の西武秩父駅で撮影したものです。先にお話ししたとおり、「52席の至福」の途中停車駅は公表されていませんが、芦ヶ久保駅では30分程の停車時間が設けられており、ホームで記念撮影をしたり、近くにある道の駅に立ち寄ったりすることができます。

 あらためて車両の外観を見ると、種車の4000系の特徴を残していますが、カラーリングは大きく変更されており、空色をベースにして四季の移ろいや豊かな自然をイメージした絵柄が大胆に描かれています。どことなく絵画などの芸術作品に通じるような、印象的かつ独創的なデザインです。それぞれの車両ごとに四季のイメージが割り当てられており、1号車は「春」、2号車は「夏」、3号車は「秋」、そして4号車は「冬」がモチーフとなっています。
 なお、車両は4両1編成となっており、西武新宿発車時点での先頭車は4号車で、最後尾が1号車です(途中の所沢と飯能で進行方向が変わるため、所沢―飯能間では1号車が先頭車両となります)。

 続いて車内です。今回は、芦ヶ久保駅停車中に多くの乗客が一時下車している間の時間を利用して、各号車の車内の様子を撮影することができました。

■1号車

 1号車は見事なまでに“空っぽ”です。デッキ部には車いす対応の大型トイレが設置されていますが、客室部分は何もない多目的スペースとなっています。ここまで車内に何もないとかなり殺風景に思えてしまい、もったいない感じです。特にイベントや催しなどで利用しないときは、例えば秩父の観光案内のパネルを展示するとか、「52席の至福」誕生までのあゆみを紹介するコーナーを設けるなど、何か観光列車らしいものがあると、より魅力が高まるのでないかと感じました。

■2号車

 2号車は客席スペースで、4人向け座席が4区画、2人向け座席が5区画あり、あわせて26の座席が並んでいます。1席当たりの座席幅も広く、前後の間隔も非常にゆったりしているため、窮屈さを感じることはありません。ただし、テーブル上には新型コロナウイルス感染症対策のためのパーテーションが設置されており、また、4人向け座席の通路側には、移動式の大きなパーテーションが据え付けられるため、実際に着席していると、何となく取り囲まれているような感じがします。基本的には4号車と同じレイアウトになっていますが、一部の内装素材に違いがありました。

■3号車

 3号車は1両まるごとキッチンスペースで、オープンキッチンとクローズドキッチンに分かれています。車内の雰囲気は「TOHOKU EMOTION」の2号車に似ており、本格的なキッチンスペースになっています。上の写真を撮影した時には、すでに料理の提供が終了していたため、オープンキッチンスペースには特に何も準備されていませんが、ここで52名分の料理が調理される様子も見てみたいものです。

■4号車

 4号車も2号車と同様、すべて客席スペースとなっており、2号車の26席と4号車の26席をあわせて編成全体で52席が用意されているということになります。僕が今回乗車したのもこの4号車です。今回乗車した便では、JR東日本びゅうツーリズム&セールスが4号車をすべて貸し切っているとのことで、空席はなかったようです。僕としてはできれば2人向け座席がよかったのですが、座席位置を希望することはできないことから、結果として4人向け座席に相席となりました。

 そして最後に、提供された料理も写真に収めましたので、ここで紹介したいと思います。

 感想としては、料理のクオリティが非常に高く、本格的なものだと感じました。メニューは3か月ごとに変更されるとのことで、現在は夏のメニューで提供されています。特に2品目はスイカガスパチョで、初めはどんな味だろうと半信半疑でしたが、実に夏らしいさっぱりとしたスープでした。食レポは大の苦手なので感想はこの程度にしておきますが、機会があれば是非、秋メニューや冬メニューも食べてみたいと思えるような料理の数々でした。

 今回の乗車に使用した乗車票(きっぷ)です。西武新宿駅に集合した際に添乗員さんから参加者に配布されたもので、西武線が1日乗り放題となるものです。単に西武新宿→西武秩父の乗車票でも良さそうなものですが、「52席の至福」への乗車特典という意味合いがあるのでしょうか。ちなみに座席番号は、別に手書きの用紙が配られ、決められた座席に着席するようになっています。乗車後に周囲の様子を見ていると、どうやら2名参加の組に優先的に2人向け座席が割り当てられ、その他の組や1人利用の場合には4人向け座席が相席で割り当てられていたようです。

 西武秩父到着後は、「SLパレオエクスプレス」に乗車するため、添乗員さんの引率のもと、秩父鉄道御花畑駅に移動します。少し長くなってきましたので、「SLパレオエクスプレス」の乗り鉄旅は次回、紹介していきます。

 >>(2)に続く

伊豆急行「アロハ電車」と「キンメ電車」に乗る伊東往復乗り鉄旅

 僕は夏になると、なぜか普通列車で長距離の乗り鉄旅がしたくなります。ムーンライトながら号が現役だった頃、青春18きっぷを利用して東京まで行き、早朝から首都圏近郊での乗り鉄旅を楽しんだことは、今でもいい思い出の一つになっています。また、学生時代には訪れる機会がほとんどなかった山陰や四国などの西日本各地にも、青春18きっぷを利用して遠征したりしました。僕が初めて四国を訪れたのも青春18きっぷを利用した乗り鉄旅でしたし、また4年前には、名古屋から出雲市まで在来線で移動し、その足でサンライズ出雲号の個室寝台に乗車して東京まで行った後、再び青春18きっぷを利用して豊橋まで戻るという乗り鉄旅も経験することができました。さらに昨年は、あめつち号に乗車するため前日に鳥取入りすべく、東海道本線山陰本線普通列車を乗り継いで移動したこともあります。

 青春18きっぷという強い味方もあって、この時期になると、自然と普通列車での長距離旅を思い浮かべるのですが、今季は今のところ青春18きっぷを購入しておらず、少なくともJRの窓口で5回券を購入する予定もありません(もしかしたら金券ショップで残り2回程度のバラ券を入手するかもしれません)。かといって、わざわざ目的地までの普通乗車券を購入してまで、青春18きっぱーのような長距離の乗り鉄旅をしようという気持ちもなかったため、豊橋発着としては使い勝手がよく、値段もちょうどいい休日乗り放題きっぷを利用した乗り鉄旅を計画することにしました。
 休日乗り放題きっぷはこれまでにも何度か利用していますが、あらためてこのきっぷの特徴を確認しておきたいと思います。

休日乗り放題きっぷとは?

  1. JR東海が発売しているトクトクきっぷ(企画乗車券)の一つで、東海道本線豊橋―熱海間及び身延線御殿場線の全線が1日乗り放題
     JR東海管内のうち静岡地区をすべてカバーしており、フリー区間には愛知、山梨、神奈川の一部を含んでいます。また、別に特急券を購入すれば特急列車(ふじかわ号の全区間、ふじさん号の御殿場―松田間、踊り子号の三島―熱海間)にも乗車することができますが、東海道新幹線には乗車できません。
  2. 土休日と年末年始に利用可能(多客期でも土休日であれば利用可能)
     つまり平日には利用できません。夏休みなど、旅行での利用が多く見込まれる期間に限って、平日にも利用できるようになるとさらに利用価値が高まると思うのですが、現状では例外なく土休日限定となっています。
  3. ねだんは2,720円フリー区間内の各駅(甲府駅国府津駅を除く。)で乗車当日まで購入可能
     青春18きっぷの1回分当たりの金額よりも高額になっていますが、豊橋甲府豊橋―熱海を単純に片道で利用するよりも安価な価格設定となっており、また、同じくJR東海が発売している青空フリーパス(2,620円)やJR東日本の休日おでかけパス(2,720円)ともほぼ同じ価格設定です。甲府駅国府津駅にはJR東海のきっぷうりばがないため発売されておらず、熱海駅では新幹線改札側にあるJR東海のきっぷうりばでのみ発売されています。

 そして今回の乗り鉄旅では、このきっぷを豊橋↔熱海間で利用し、さらに別途、普通乗車券を購入して伊東線に乗車して伊東を目指すことにしました。これまでの乗り鉄旅でも、スーパービュー踊り子号やサフィール踊り子号、伊豆クレイル号に乗車するなどして何度か伊東線伊豆急行線を利用しており、伊東で乗下車したこともありますが、駅周辺を観光したことはありません。さらに今年4月、伊豆急行JR東日本から譲渡された209系電車を改装し、新たに3000系「アロハ電車」なるものを誕生させました。また、伊豆急行普通列車であるリゾート21(2100系)には、第3次車による「キンメ電車」と第4次車による「黒船電車」がありますが、僕はまだ「キンメ電車」には乗車したことがありません。そこで今回は、伊東までの乗り鉄旅で「アロハ電車」と「キンメ電車」に乗車することとし、あわせて伊東駅近くにある道の駅伊東マリンタウンに行ってみることにしました。調べて見ると、伊東マリンタウンでは食事やお土産物の購入はもちろんのこと、遊覧船にも乗船することができ、温泉施設も併設されているとのことで、日帰りで楽しむにはちょうどぴったりです。
 そこで早速、伊豆急行のWebページで「アロハ電車」と「キンメ電車」の運転時刻を調べ、次のような行程を作成しました。

 熱海発の「アロハ電車」に乗車するため、発車時刻である10時10分までに熱海に到着する必要があることから、少し時間的に余裕を持って、熱海に9時51分に到着できる列車に乗車することにしました。そこから逆算していくと最寄り駅を始発列車に乗車することになります。伊東到着後は徒歩かバスでマリンタウンに移動し、食事や温泉、それに遊覧船にも乗船します。その後は再び伊東に戻り、復路では伊東を14時55分に発車する「キンメ電車」に熱海まで乗車し、帰路に着くというものです。せっかく「アロハ電車」と「キンメ電車」に乗車するのに、それぞれの乗車時間がかなり短くなってしまいますが、マリンタウンでの時間をある程度確保したかったので、今回はこの行程で乗り鉄旅を楽しむことにしました。

アロハ電車として運用されている3000系:熱海駅網代駅 2022/8/14

 豊橋から熱海までの東海道本線区間は省略して、早速、熱海から乗車した「アロハ電車」を紹介します。上の写真は熱海発車前と途中の網代停車中に撮影したものです。外観はJR時代からほとんど変わっていませんが、帯とスカート色は変更されていることが分かります。また、車両側面にも白地に細かな絵柄が描かれたラッピングが全面に施されており、JR時代とは異なる印象の列車になりました。
 伊豆急下田寄りの先頭車は白地に赤を基調とし、熱海側の先頭車は白地に青を基調としており、リニューアル前のリゾート21にデザインされたトリコロールカラーが復活したようなカラーリングです。

 お盆休み期間中ということもあってか、4両1編成の2編成が連結された全8両での運転ながら車内はまあまあ混雑しており、熱海発車時点ではボックス席にはほとんど空きがなく、立ち客はいないもののロングシート席も半分以上が埋まっている状態でした。という訳で車内の座席は撮影できませんでしたが、客用扉の内側に伊豆の風景写真がラッピングされていることなどを除くと、座席や車内案内装置などはJR時代のままといった感じでした。
 ここからは、伊東で訪れたマリンタウンを少しだけ紹介したいと思います。

 伊東マリンタウンはちょうど海岸線沿いにある道の駅で、カラフルな建物がいくつか並んでおり、ちょっとお洒落な外国のリゾート地のようです。伊東駅から直通のバスも運行されていますが、運転本数はそれほど多くないため、時間によっては歩いた方が早く着くことができます。暑い中でしたが、僕も駅から歩いて行きました(帰りはちょうどバスの発車時間に間に合ったためバスを利用しました。歩きで約15分、バスで約5分くらいです。)

 マリンタウン到着早々、ちょうど遊覧船の運航開始時間に間に合いそうだったため、急いで遊覧船のチケットを購入して乗船しました。神戸で乗船した船よりも小型のものでしたが、この船は半潜水式水中展望船というもので海中の様子を船内から観察できるようになっており、乗船後に階段を下って船底部分のスペースに移動すると、そこには両側に海中展望用の窓が並んでおり、その前に並べられた長椅子に座りながら海中を泳ぐ魚たちを間近に観ることができるようになっています。僕もこの窓から海中を眺めていると、確かに出港前には多くの魚が群がって泳ぐ姿が観られましたが、いざ出港してしまうと見えるのは海底ばかりで、ちょっと期待外れでした。

 また、海中展望用の半地下スペースからデッキ部分に上がってくると、カモメやトンビが餌を求めて遊覧船の周りを飛び交う姿を見ることができました。実は以前、友人Dと2人で熱海旅行に行った際、熱海の海岸を発着する遊覧船に乗船したことがあり、その時は何十羽という多くのカモメが飛来してきて、僕も思わずテンションが上がり、船内でカモメ用のエサ(かっぱえびせん)を買って餌やりをしたことがあります。しかし今回は残念ながら、それほど多くの飛来はなく、どこかの子どもがカモメ用のエサを買ってもらって餌やりをしていましたが、思うようにカモメが集まって来ず、ちょっとガッカリしている様子でした。海中遊覧で見た魚もそうですが、自然が相手のことなので、期待どおりに見ることができるかどうかは運次第としか言いようがありません。

 伊東マリンタウンにはいつくかのレストランがあり、麺類、海鮮、ピザ類など様々なメニューが用意されていますが、僕としてはやはり海鮮だろうということで、今回は海の前のカフェレストランでサーモンといくらの親子丼をいただきました。ちょうど12時になってから入店したため、多少の待ち時間があるかと覚悟していましたが、すぐに座席に案内されました。屋内で食事をすることもできますが、屋外にテラス席があるとのことだったので、こちらを利用することにしました(陽射しの強い日であれば間違いなく冷房が効いた屋内の席を選びますが、この時間は薄曇り気味だったため、屋外でもいいかなと思って選びました)。

 注文後、すぐに運ばれてきた親子丼は見た目にもきれいで、なぜか屋外で食事をするといつも以上に美味しく感じます。写真にも写っていますが、ワサビが多めに添えられていて、思わず全部を醤油で溶いて全体にかけてしまいましたが、思った以上に辛さが効いていて、久しぶりに鼻にツーンときました。

 食事のあとは、同じマリンタウン内にある温泉施設で入浴し、体中の汗をきれいに流したところでデザートタイムです。無性にアイスクリームが食べたくなったところにちょうどよくアイスクリームの店がありました。その店には「海を見ながら食べると幸せになるアイスクリーム」とのキャッチフレーズがありましたが、海を見ながらアイスクリームを食べるだけで幸せになれるなら、それほど簡単なことはないよと心の中でツッコミを入れつつ、一番人気というヨーグルト風味のアイスをいただきました。入浴直後ということもあって、身体の芯まで冷やされていくような気分です。ちょっと酸味が効いたアイスの中にりんごやラ・フランスなどのフルーツが入っており、食感も抜群です。

黒船電車として運用されているリゾート21伊東駅熱海駅 2022/8/14

 伊東に戻り、ここから熱海まで「キンメ電車」に乗車します。先にお話ししたとおり、僕は以前の乗り鉄旅で「黒船電車」に乗車したことはありますが、「キンメ電車」は今回が初めてなので、どんな車両かワクワクしながら伊東駅で到着を待ちました。3番線で待つことしばし、予定どおりの時間に列車が入線してきましたが、あれれ?なぜか「キンメ電車」ではなく「黒船電車」です。

 旅行計画の段階でWebページで調べた際には、確かに「キンメ電車」が充当されることになっていたのですが、おそらく前日の台風8号の影響により列車の運休や行き先変更が生じたため、直前に「キンメ電車」から「黒船電車」に変更されたものと思われます。鮮やかな赤い車体のリゾート21に乗車することを楽しみにしていたので、まさかの運用変更にちょっと残念な気持ちになりましたが、まあ「黒船電車」もリゾート21に変わりはないため、気持ちを切り替えて熱海までの乗車を楽しむことにしました。

2号車の車内(山側)

3号車の車内(山側)

 「黒船電車」の車内です。僕が乗車したのは2号車で、車内は通路をはさんで両側に座席が配置されており、山側は2人掛け向かい合わせのボックス席、海側は側窓に向いた3人掛けベンチシートと4人掛けのボックス席になっています。車両自体は昭和の雰囲気が感じられる内装ですが、しっかりと手入れが行き届いているようで、汚れや傷みが気になることは全くありません。それどころか特急車両並みの設備を持つリゾート21が、乗車券のみで利用可能な普通列車として運行されていることには、いつも驚かされます。今回は3人掛けベンチシートに空きがあったため、こちらの座席を利用しましたが、窓も非常に大きくて景色が見やすく、足元にも余裕があるので、非常に快適です。ちなみに隣の3号車を覗いて見ると、2号車とは座席の種類が一部異なっており、3人掛けベンチシートの代わりにサロン席のように配置された座席が並んでいました。現在は新型コロナウイルス感染症の感染予防対策として、展望席の一部が利用不可となっていましたが、色々な座席の種類を備えたリゾート列車の名に相応しい列車となっています。今回は運悪く「キンメ電車」に乗車することや写真撮影することはできませんでしたが、それはまたのお楽しみということにしたいと思います。

 今回の乗り鉄旅で使用した乗車券は上の3枚です。休日乗り放題きっぷは原則としてフリー区間内の各駅で発売されるものですが、フリー区間の入口駅(例:豊橋駅など)までの乗車券を同時に購入する場合には、青空フリーパスの発売駅でも購入することができます。今回はこの取扱いを利用し、事前に金山駅で購入しておきました。乗車券の無効印は、熱海と伊東で押印されたものですが、両駅とも絵柄入りです。特に熱海駅のものはなかなかユニークで、いかにも熱海らしいデザインです。

 今回の伊東往復乗り鉄旅の紹介は以上のとおりです。東海道本線区間の紹介はしていませんが、往路では373系313系8000番台にも乗車することができました。やはり僕には、普通列車での長距離乗り鉄旅を欲する血が流れていることを、あらためて感じたところです。

 愛知に住んでいる僕にとって静岡はお隣ということになりますが、静岡は東西に長く、特に東部にはまだ訪れたことのないところがたくさんあります。三島や沼津といった駅には馴染みがありますが、実は通過したり乗り換えたりするだけで、下車観光したことがありません。青春18きっぷと異なり、休日乗り放題きっぷは土休日であれば時期に関係なく利用が可能です。乗り降り自由という企画乗車券の強みを活かし、このきっぷを利用する新たな乗り鉄旅を考えて、どこかのタイミングで実際に乗車してみたいなと思ったりしています。

観光列車「SAKU美SAKU楽」に乗車

 JR旅客6社では、地元自治体や観光事業者と共同してデスティネーションキャンペーン(略してDC)と呼ばれる大型観光キャンペーンを実施しています。キャンペーン期間中は、地域の魅力を全国に発信しようと工夫を凝らした様々な企画やPR、各種イベントが開催され、旅行会社からも関連する旅行商品が発売されるなど、DCは誘客促進や観光振興に一役買っているところです。また、これまでに開催されたDCでは、開幕のタイミングにあわせて新たな観光列車を運転したり、期間限定のイベント列車が設定されたこともあり、乗り鉄的な視点からも注目したい一大イベントとなっています。ちなみに僕の住んでいる愛知県においても、2018年10月から12月までの期間で愛知DCが開催され、お膝元となるJR東海は、313系8000番台の車両に郷土ゆかりの三英傑や県内観光施設などをラッピングした車両を登場させました。僕も当時、このラッピング車両を使用したイベント列車である「知多鉄道酢トーリー号」に乗車しています。

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 そんなDCですが、近年は、4月から6月、7月から9月、10月から12月、そして1月から3月までの期間を単位として実施されることが多く、特に1月から3月までの期間は“京の冬の旅”として京都市で開催されるのが通例となっています。今年度について見ると、4月から6月までの春季については設定がなく、7月から9月までは岡山県、10月から12月までは佐賀県長崎県で開催されます。佐賀・長崎両県での開催は、おそらく9月23日の西九州新幹線(武雄温泉-長崎間)の開業にあわせて実施されるもので、N700S車両の「かもめ」や、新幹線開業と同時に運行を開始する「ふたつ星4047」が大きな注目を集めることと思います。一方、7月からDCが開催される岡山県でも、“こころ晴ればれおかやまの旅”をキャッチフレーズに、様々な企画が用意され、DCにあわせて「おか鉄フェス 2022」を開催するなど、こちらも鉄道ファンのハートをがっちりと掴む企画が用意されています。この中でも乗り鉄的に特に注目したいのは観光・イベント列車で、今回の岡山DCでは、津山線を走る新たな観光列車として「SAKU美SAKU楽」が運行されることになりました。そこで今回は早速、7月1日に運行を開始したばかりの「SAKU美SAKU楽」に乗車するため、岡山経由での津山までの乗り鉄旅を楽しんできましたので、そちらを紹介したいと思います。

 まずは、いつものように下調べと旅行行程の作成から準備を進めます。「SAKU美SAKU楽」は岡山DCの期間にあわせて、7月から9月までの金・土・日・月曜日にそれぞれ1日2往復ずつ運行されています(10月以降も運行されるようですが、現時点で運転日は発表されていません)。運転区間は岡山⇔津山間で、金・土・日曜日は臨時列車として「SAKU美SAKU楽」が単独で、月曜日は定期列車である快速ことぶきの岡山方に連結して運転されており、単独運転日と併結運転日とで運行ダイヤも異なっています。

 今回は、18日の休日出勤の代休を22日の金曜日に取得することにしたため、この日に乗車することを決めましたが、まずは1号から4号までのどの列車に乗車するのかを決定する必要があります。ちなみに「SAKU美SAKU楽」の車内では乗客全員にお弁当またはスイーツと沿線のお土産が提供されることになっており、乗車する列車によってその内容も異なっています。乗車する時間帯としては、1号でも2号でも対応できそうでしたが、1号の車内で提供されるお弁当に魅力を感じ、津山12時52分発の「SAKU美SAKU楽」1号に乗車することにしました。

 なお、津山までは岡山経由で向かうため、名古屋から岡山までは新幹線に乗車し、岡山から津山線を利用します。復路の津山から岡山間で「SAKU美SAKU楽」に乗車し、岡山から名古屋までは再び新幹線に乗車します。ちなみに利用する旅行商品の都合上、往路では新大阪で乗り換える必要があり、これらを踏まえて次のような行程を作成しました。

山陽・九州新幹線用のN700A新大阪駅 2022/7/22

 名古屋-新大阪間は東海道新幹線のひかり号に、新大阪-岡山間は山陽新幹線のひかり号に乗車します。上の写真は新大阪駅で撮影した8両編成のN700Aです。同じひかり号であっても、東海道区間に直通または東海道区間で完結する16両編成のN700Aと異なり、山陽または九州区間のみを走行する8両編成のN700Aでは、普通車のうち自由席と指定席とで座席の差別化が図られています。今回は普段あまり乗客する機会が少ない8両編成のN700Aに乗車しましたが、やはり2+3列配置の普通車に比べて座席は非常にゆったりしており、在来線であればグリーン車の座席に匹敵するといっても過言ではないと思います。今回は新大阪-岡山間の50分間の乗車でしたが、あまりの心地良さに乗車早々に寝てしまい、気付けばすでに岡山直前でした。寝過ごさなくてよかったです😅

 岡山からは津山線で津山に向かいます。津山線に乗車するのは今回が初めてです。津山線岡山駅から津山駅までを結ぶ路線距離58.7kmの地方交通線で、全線単線・非電化の路線となっています。定期列車としては快速ことぶきと各駅停車の普通のみ運転されており、いわゆる優等列車は設定されていません。使用されている車両は、国鉄気動車であるキハ40系気動車がメインとなっています。

津山線で使用されているキハ47形ノスタルジー編成:岡山駅津山駅 2022/7/22

 往路となる岡山→津山で乗車したのはキハ47形のノスタルジー編成です。わざわざこの編成を狙っていた訳ではありませんが、乗車予定だった列車にたまたま充当されていました。この編成は、6年前の岡山DCにあわせて登場し、観光列車「みまさかノスタルジー」号で運用されたこともある列車です。

 ワンマン運転の2両編成で、観光列車とは言っても車内はいたって標準的な気動車ですが、津山方車両の車端部にテーブル付きの1人掛けカウンター席が4席設置されています。青春18きっぷ利用可能期間ということもあってか乗客は多く、岡山発車からしばらくの間はカウンター席もすべて埋まっていましたが、途中で気が付くと空席があったため、僕も利用してみました。長時間の乗車には不向きなカウンター席ですが、短時間であれば車窓を眺めるにはちょうどいい席です。今回の乗り鉄旅では復路の津山→岡山で乗車する「SAKU美SAKU楽」がメインとなりますが、期せずしてノスタルジー編成にも乗車することができ、運のいい津山線乗り鉄旅をスタートすることができました。

 津山駅からはいよいよ「SAKU美SAKU楽」に乗車します。往路で乗車したノスタルジー編成と同様、SAKU美SAKU楽編成もキハ40系気動車の一つです。同じJR西日本が運行する「ベル・モンターニュ・エ・メール」「花嫁のれん」「あめつち」などにも同じ系列の気動車が使用されており、JR西日本が手掛けた観光列車の定番とも言える車両です。
 まずは、今回乗車する「SAKU美SAKU楽」1号のダイヤを紹介しておきます。

 Webページなどで案内されているのは津山駅の発車時刻と岡山駅の到着時刻のみで、臨時列車として単独運転される際の途中停車駅は正式には公表されていないようです。実際に乗車してみると、途中の亀甲駅弓削駅に停車しましたが、僕が乗車した「SAKU美SAKU楽」1号では両駅ともそれぞれ4分程度しか停車時間が設けられておらず、車外には出ずに車内で過ごすよう案内がありました。せっかく観光列車として運行するのであれば、乗客が車外でも写真撮影等を楽しめるよう、もう少し時間に余裕のある停車時間としてもらえるといいなと感じました。なお、「SAKU美SAKU楽」は1号から4号までそれぞれ乗車時間が微妙に異なりますが、僕が乗車する1号はちょうど1時間20分です。

SAKU美SAKU楽号で使用されているキハ40形:津山駅 2022/7/22

 上の写真は津山駅で撮影した「SAKU美SAKU楽」です。全面が淡いピンク色となり、ところどころに花びらをイメージした扇型の模様が散りばめられています。往路で乗車したノスタルジー編成は、国鉄時代の急行色を復刻させたものでキハ40系気動車にとってはベストマッチなカラーリングとなっていましたが、「SAKU美SAKU楽」のピンク色も斬新なスタイルで、さらに1両単独のこじんまりした外観から、列車名と相まってなかなか可愛い感じがしました。

 乗車日は金曜日ということで、乗客はそれほど多くないのではないかと予想していましたが、団体での利用があったようで意外と乗客が多く、車内にある4人掛けボックス席はすべて埋まり、ロングシート部に設置された座席にもあまり空席はありませんでした。上の写真は車内に入った直後に撮影したものです。ロングシート部分には2名で使用する可搬式のテーブルが置かれ、テーブル中央部分には新型コロナウイルス感染症対策としてアクリル製のパーティションが据え付けられています。僕は1人での利用となるため、ロングシート席となりましたが、テーブルは固定されておらず、しかもパーティションで区切られてかなり狭いため、少し不便に感じました。今回は運よく両隣が空席でしたが、もし両隣に他の乗客がいると、かなりの圧迫感があると思います。車内でお弁当やスイーツを楽しむ列車としては、もう少し配慮や工夫があったほうがいいかも知れません。

 車内には、乗車時点ですでに各テーブル上にお弁当とお茶が置かれていました。乗車時間が1時間20分で、さらにデザート類も提供されることから、あまり時間をかけて食事をする余裕はなく、多くの方は発車早々にお弁当に箸を付けていました。1号で提供されるお弁当は、イタリアンのシェフが監修したもので、『体の中から美しく』をコンセプトに地元の食材にこだわって作られたイロドリちらしです。メインはローストビーフですが、夏野菜も盛りだくさんで、見た目にも楽しめるお弁当になっていました。量的にもちょうどよく、もちろんお味も申し分ないものでした。

 「SAKU美SAKU楽」1号は途中の亀甲駅弓削駅に停車しましたが、亀甲駅ではアイデア料理研究家の方が監修したスイーツ(黄身だんごとフルーツのバターサンド)が、弓削駅では特産品の「ゆず」と豆乳で作ったシャーベット状のミルクセーキが、それぞれ車内に運び込まれて乗客に提供されました。僕はスイーツ系は大好きなので、どちらも美味しくいただきましたが、お弁当を食べ始めたばかりで直ぐにデザートが提供されるとは思っていませんでした。今回は2人用のテーブルを1人で利用することができたことから、特に問題はありませんでしたが、本来の1人分のスペースにお弁当とスイーツの両方を並べる余裕はほとんどないので、提供するタイミングについては検討の余地があるかなと感じました。

 今回の乗り鉄旅で使用したきっぷ類をすべて紹介します。名古屋ー新大阪間はJR東海ツアーズの旅行商品を、新大阪ー岡山間は日本旅行の旅行商品をそれぞれ使用しました。新大阪で分割せずとも、本来であればJR東海ツアーズの「日帰り 1day 岡山」を利用すればいいのですが、岡山までの旅行商品を利用した場合に乗車可能な帰路の新幹線があまりに少なく、名古屋への到着も相当遅くなってしまうため、やむを得ず分割して別々に購入しました。日本旅行の乗車票は駅の指定席券売機でのみ受取可能ですが、名古屋近辺の駅では受け取ることができないため、当日に新大阪で一旦下車して改札を出て乗車票を受け取る必要があります。多少の手間はかかりますが、今回は全体的に時間に余裕のある行程としたため、特に問題はありませんでした。

 「SAKU美SAKU楽」の乗車票も日本旅行で購入していますが、こちらは指定席券売機での受け取りのほか、自宅への郵送も可能とのことだったため、事前に郵送してもらいました。マルス券の券面には、列車名として「SAKU美SAKU楽」と表記されるのかと思っていましたが、実際にはひらがな表記でした。

 そして最後の1枚は、帰路の名古屋→金山で使用したきっぷです。名古屋駅の新幹線地下街エスカにある金券ショップの自販機で購入した普通回数券のバラです。JR東海は9月末をもって普通回数券の販売を終了することをすでに発表しており、数か月先にはこうした普通回数券のバラ売りも見ることができなくなります。そうしたこともあって、今回はあえて普通回数券のバラ売りを買ってみました。

 「SAKU美SAKU楽」に乗車する乗り鉄旅は以上のとおりです。今回は当日の天気が心配されましたが、津山では晴れ間もあり、雨に降られることもなく無事に予定どおりの行程を終えることができました。ところで話は少し変わりますが、夏季の青春18きっぷ利用可能期間となりました。津山線の車内でも18きっぱーらしい人を何人か見かけました。この時期になるとよく迷うのですが、今年は今のところ5回分の青春18きっぷを購入する予定はありません(急に気が変わって購入するかもしれません)。そんな計画性のない状態ですが、また8月になったら乗り鉄旅に出かけたいなーと思ったりしています。

HC85系「ひだ」に乗車する下呂往復乗り鉄旅

 JR東海では、「ひだ」「南紀」用の特急用気動車として長らくキハ85系が使われています。キハ85系気動車は1989年2月に「ひだ」として営業運転を開始し、その約3年後には「南紀」でも使用されるようになり、JR東海の特急形気動車としての役割を一手に担ってきました。思い起こすと僕は中学生の頃、家族旅行で初めて高山に行くことになった際、まだデビューして間もないキハ85系気動車に乗車したことを覚えています。キハ85系が登場する以前、僕の中にあった気動車に対するイメージは、国鉄時代から使われている古びたゴツイ車両といった感じで、電車タイプの車両と比較するとどうしても見劣りがする印象でした。しかし、キハ85系はステンレスの車体に白い前面、オレンジ色の帯が引かれたスマートなデザインで、従来の気動車にはないスピード感もあり、また、今まで以上に車窓を楽しめるよう客室の側窓が大型化されるなど設備面も大幅に向上し、特急形気動車にも新たな時代が到来したことを強く印象付けられました。

 その後も、キハ85系には何度も乗車する機会があり、乗り鉄旅として「ひだ」のグリーン車に乗車して高山を往復したり、「南紀」と「くろしお」とを乗り継いで紀勢本線を完乗したこともあります。

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 実際にキハ85系に乗車していつも感じるのは、他の特急形車両よりも良質な車内空間です。普通席のシートピッチは1,000mmで標準的な特急形車両よりも広く、さらに座席はセミハイデッキ構造となっています。また、グリーン車のうち非貫通先頭車タイプのいわゆるパノラマ仕様のグリーン席では、2+1配置の横3列でシートピッチも1,250mmと非常にゆったりしており、在来線の特急形車両としてはキング・オブ・グリーン席といってもいい程の快適さを提供してくれます。

 そんなキハ85系ですが、登場からすでに30年以上が経過しています。実際に乗車してみると、その後に登場した車両と比較して車齢を感じさせる面もありますが、JR東海らしくメンテナンスが行き届いており、素人目にはまだまだ第一線で活躍できそうな気もします。そんな中、JR東海は2017年、キハ85系の置き換え用として新たな特急形車両を導入予定であることを発表し、2019年には試験走行車となる4両編成の新型車両が登場しました。これがJR東海初のハイブリッド車両となるHC85系です。系列名には“Hybrid Car”を表す“HC”と現行車両から引き継いだ“85”を組み合わせたものが与えられています。

 このHC85系は、試験走行車の落成後、JR東海管内の各地で試験走行を重ねてきましたが、ついに今年7月1日、名古屋-高山間を結ぶ「ひだ」のうち2往復で営業運転を開始することになりました。現行のキハ85系は、名古屋-高山(飛騨古川)間のほかに、1日1往復のみ大阪発着として大阪-高山間を、そして1日4往復は富山発着として名古屋-富山間でも走行しており、これらの区間の一部ではJR西日本の線区に乗り入れることになりますが、運行開始に当たっては、JR東海区間で完結する名古屋-高山間での「ひだ」としてスタートすることになりました。JR東海が数十年ぶりに運行を開始する新型の特急形車両ということで、僕も新型車両の落成当初から注目していましたが、待ちに待った営業運転が開始されたことから、早速、このHC85系「ひだ」に乗車して下呂までの往復乗り鉄旅を楽しんできましたので、これを紹介したいと思います。

新型ひだ号として活躍しているHC85系:名古屋駅下呂駅 2022/7/7

 今回の往復乗り鉄旅を計画するに当たり、まずはHC85系で運用される「ひだ」号を確認してみました。7月の運用開始当初にHC85系で運転される列車は、下り方面(名古屋→高山)は1号と17号、上り方面(高山→名古屋)は4号と10号ということで、ともにHC85系に乗車して名古屋-下呂間を往復するためには、名古屋7:43発のひだ1号(下呂9:25着)と、下呂13:20発のひだ10号(名古屋15:05着)に乗車する行程になります。申込み時点で7日時点の空席状況を見ると、1号と10号のどちらの列車にも余裕があったため、この行程で往復旅を楽しむことにしました。

 上の写真は、名古屋駅下呂駅で撮影したHC85系の外観です。車体はキハ85系と同様にステンレス製で、先頭車両の前面下部から側面上部にかけて白色が配され、無塗装部との境界付近にオレンジ色のラインが引かれています。同じステンレス鋼でも、キハ85系にあった波模様がなくなりストレートの平板となったことで、デザイン的にもすっきりした印象です。また、先頭車両のライトも特徴的で、ヘッド・テールライトにあわせて前面上部の“おでこ”部分にある照明も点灯するようになっています。

 なお、キハ85系気動車の特性として、1両単位で増解結することが可能でしたが、HC85系は編成単位で固定されており、基本編成(4両)と付属編成(2両)を組み合わせて運用されることになります。今回乗車したひだ1号・10号は、ともに基本編成のみの4両でした。6月まで使用されていたキハ85系での運用においても、ひだ1号・10号は基本的に4両編成(普通車自由席1両、グリーン席と普通車指定席の合造車1両、普通車指定席2両)となっていたため、グリーン席が0.5両分増えて普通車指定席が0.5両分減るものの、両数に変更はありません。

普通車の車内

グリーン車の車内

 続いて車内の紹介です。今回は往復ともHC85系に乗車するため、往路では普通車を、復路ではグリーン車を利用しました。普通車の座席は、赤から橙系のグラデーションが施されたモケット柄となっており、明るく高揚感があります。着席してみると、ちょうどN700Sの普通車に似た感覚で、肘掛け部分にモバイルコンセントが内蔵されている点もN700Sと共通です。キハ85系のようなセミハイデッキ構造は採用されていませんが、これは昨今のバリアフリー対応によるものだろうと思います。

 一方のグリーン車の座席は、落ち着きのある緑から青そして紫へとつながるグラデーションのモケット柄となっています。2+2列配置となっており、一見すると、モケット色を除いて普通席との違いがあまり感じられないかもしれませんが、座り心地はグリーン車らしい適度なクッション性で、ヘッドレストキハ85系にはなかった可動式ピローが採用されています。また、背面テーブルも前後に可動するタイプのもので、足元にはフットレストも備えられており、普通車との差別化が図られていることが分かります。欲をいえば、HC85系でもキハ85系に続いて1+2列配置を踏襲して欲しかったところですが、このあたりは定員確保のためやむを得ないのかもしれません。

 HC85系は、JR東海初となるハイブリット車両ということで、その乗り心地も気になっていましたが、実際に乗車してみると、気動車特有の唸るようなエンジン音も聞かれますが、ほとんど気になることがありませんでした。また、走行も非常に滑らかで加速性能もよく、電車に乗車しているのとほぼ同じ感覚です。また、車内チャイムは従来のワイドビューチャイムではなく、アルプスの牧場に変更されていました。

 ここまで車両の紹介が続きましたが、せっかく下呂に来たからにはやはり温泉ということで、今回の旅では日帰り温泉と食事、ちょっとしたスイーツも楽しんできましたので、こちらも紹介したいと思います。下呂駅周辺には、徒歩圏内に多くの旅館・ホテルや温泉施設があり、宿泊だけでなく日帰りで入浴や食事を楽しむことができるプランも用意されています。今回僕は、下呂駅近くにある水明館というホテルの日帰りプランを事前に予約しておきました。

 プランの内容は、飛騨牛ひつまぶし膳の昼食とホテル内の温泉利用がセットになったものです。通常はおとな1人4,700円ですが、「下呂で遊ぼうクーポン」という配布枚数限定のクーポンを利用することで、2,000円引きの2,700円で利用することができました。身体が芯まで冷えるような真冬の寒い日に温泉に入るのもいいですが、夏の暑い日に温泉に入って汗を洗い流すのも気持ちがいいものです。ちなみに水明館では、日帰り入浴用に野天風呂と展望大浴場が用意されており、僕は野天風呂を利用しました。平日ということで入浴客はほとんどおらず、広いお風呂をほぼ貸切状態で利用することができました。昼食の飛騨牛ひつまぶし膳も美味で、これが2,700円で楽しめるのは非常にオトク感があります。

🔵GEROGERO ミルクスタンド 飛騨りんごと馬瀬のとちみつのスムージーミルク

🔵水明館ロビーラウンジ「エビアン」 下呂シューパルフェ

🔵Rigolo×Rigolo 下呂茶ップリン

 下呂では、湯めぐりとともに楽しめる地元の素材を使った様々なスイーツがあるようで、11種類の素肌美人スイーツが市内の各店舗で提供されています。今回の乗り鉄旅は、JTBが発売している旅行商品を利用していますが、JR東海ツアーズの商品と同様に“ずらし旅”のクーポンがセットされており、これを利用することで11種類のスイーツの中から2種類を選ぶことができます。さらにJTB独自の電子クーポンも利用することで3種類のスイーツの中から1種類を選ぶことができるため、あわせて3つのスイーツを楽しむことができました。この3つの中では、写真一番上のスムージーミルクが特に美味しくてお気に入りです。

 先に紹介したとおり、今回は初めてJTBの旅行商品を利用しました。僕はこれまでの乗り鉄旅で、JR東海ツアーズの商品を多く利用しており、今回もいつものようにJR東海ツアーズが発売する商品を購入しようと思っていましたが、何気なくJTBのWebページを検索していると、名古屋-下呂間で「ひだ」号に乗車する旅行商品を見つけました。そこでJTBJR東海ツアーズの旅行商品を僕なりに比較してみると、次のとおりでした。

  ずらし旅 限定列車で行く 日帰り 下呂 ずらし旅 日帰り1day 下呂
旅行会社 JTB JR東海ツアーズ
旅行代金 5,800円 6,500円
グリーン席利用の追加代金(片道当たり) 1,000円 1,200円
座席の希望方法 シートマップ機能あり シートマップ機能なし(連絡事項として号車や座席位置などの希望をリクエストすることは可能)
乗車票の受取方法 駅の指定席券売機でのみ受取 旅行会社の窓口又は郵送で受取(乗車日が迫っている場合は郵送不可)

 どちらの旅行会社も内容は同じで、ずらし旅の電子クーポンも共通ですが、代金は明らかにJTBの方が安くてオトクです。また、JTBの場合、シートマップを利用することができるため、申込み時点での周囲の空席乗車を確認しながら希望の座席を選ぶことができます。JR東海ツアーズの旅行商品をWebで申し込む際にはシートマップは利用できず、また、えきねっとを利用した場合にもJR東海管内の在来線についてはシートマップから座席を選択することができないことから、JTBで申し込む際にシートマップが利用できるというのは意外でした。最後に乗車票の受取方法ですが、これはどちらがいいのか一概には言えませんが、普段利用する駅に指定席券売機が設置されているのであれば、JTBの受取方法も便利で時間や手間も少ないと思います。

 今回は、総じてJTBのほうが安くて利便性にも優れていたため、こちらを利用することにしたものです。これからの乗り鉄旅でも、JR東海ツアーズの旅行商品だけでなく、他社の旅行商品もしっかりチェックしておきたいと思います。

 HC85系は、今後はますます活躍の場を広げて、「南紀」号だけでなく、大阪や富山まで乗り入れる「ひだ」号でも順次、導入されていくと聞いています。長年親しんだキハ85系の運用が消滅してしまうのは残念ですが、今後機会があれば、HC85系による「南紀」号や他区間での「ひだ」号の乗り鉄旅も味わってみたいと思っています。

近鉄「三都めぐりきっぷ」で「あをによし」に乗車

 月日が経つのは早いもので、今年も梅雨の時期がやってきました。僕が住んでいる愛知もすでに梅雨入りし、連日のように“じめじめ”“じとじと”した湿っぽい日が続いています。湿度だけでなく、蒸し暑さも加わって不快指数は相当高く、特に日中の時間帯には、何をするにも気力がわかない今日この頃です。さらに新型コロナウイルス感染症が広まって以降、屋内だけでなく屋外でも常にマスクを着用することが当然のようになり、これが不快指数の上昇に拍車をかけています。ちょっと息苦しいなと感じても、周囲の視線が気になってマスクを外すことをためらいがちですが、湿度や気温の状況によっては熱中症になる危険もあるようで、最近になってようやくマスクの着用を見直す動きが出てきました。現在では、単独で行動するときや、屋外で活動・作業をするような場面では、マスクを着用する必要はないとされています。よくよく考えてみれば、明らかに感染リスクがない(又は低い)場面において、マスクを着用する必要がないというのはごく当然のことなので、過剰とも言えるマスク着用に疑問を抱いていた人も少なからずいたと思います。何はともあれ、こうしたマスク着用に関する方針が明確に示されたことによって、世間の状況も少しずつ変化するのではないかと期待しています。

 さて、前置きはこれくらいにして、今回は休日出勤の代休として平日(月曜日)休みとなりました。雨の多い時期ではありますが、事前の天気予報によると、天気の大きな崩れはなさそうだったため、乗り鉄旅に出かけることにしました。今回の乗り鉄旅のメインは、新たな観光特急「あをによし」に乗車することで、あわせてちょっとだけ奈良観光も楽しむことにしました。

 まず、「あをによし」の基本情報についてですが、これは4月29日に運行を開始した近鉄の観光特急で、まだデビューして間もない列車です。車両は「スナックカー」としての役割を終えた12200系を改造したもので、新たな形式名は19200系となりました。運行区間は【大阪難波近鉄奈良-京都】と【近鉄奈良-京都】の2つがあり、全区間を通して乗車した場合の乗車時間は、前者が約1時間20分、後者が約35分となります。観光特急の乗車時間が約35分ではちょっと短いと感じる人が多いのか、やはり大阪難波発着の便の人気が高いようです。当初は僕も大阪難波発着の便で乗車しようと考えていましたが、行程を組み立てやすい【近鉄奈良-京都】で乗車することにしました。

 また今回は、いつものように日帰りの乗り鉄旅となりますが、行程としては、まず近鉄名古屋から近鉄奈良まで移動し、近鉄奈良から京都まで「あをによし」の第3便に乗車した後、折り返しとなる京都から近鉄奈良までの第4便にも乗車することにしました。その後、近鉄奈良から大阪難波まで移動し、帰路として大阪難波から近鉄名古屋まで「ひのとり」に乗車することにします。

アーバンライナーで使用されている21000系:近鉄名古屋駅 2022/6/20

汎用特急のACE 22000系:大和西大寺駅 2022/6/20

 近鉄名古屋から大和八木までは、名阪乙特急である「アーバンライナー」に、大和八木から大和西大寺までは汎用特急に乗車します。「アーバンライナー」は昨年12月の“大阪往復乗り鉄旅”の際にも利用しており、約半年ぶりの乗車となります。汎用特急に乗車するのは、おそらく一昨年12月の“伊勢志摩周遊きっぷ近鉄特急乗り鉄旅”のとき以来なので、約1年半ぶりとなります。

len-railway.hatenablog.jp

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 近鉄奈良に到着後は、「あをによし」の発車時間までの間、現地での観光を楽しむことにしますが、時間的な制約もあるため、あまり遠方まで足を伸ばすことはできません。そこで今回は、東大寺とその周辺の奈良公園に行ってみることにしました。

 東大寺には小学校の修学旅行で訪れたことがあり、その後は高校生の頃に家族旅行で立ち寄ったのが最後なので、実に約30年ぶりの訪問ということになります。今回の乗り旅の中で東大寺を訪れてみようと思った理由は、駅からのアクセスがよく時間的にもちょうどいいという点もありますが、奈良を訪れたからには大仏様を拝んでおきたかったからです。久しぶりに大仏様のご尊顔を拝見し、その迫力と存在感にあらためて圧倒されました。大仏様の前に立つと、ちっぽけなことで悩んだりくよくよしたりせず、他人を思いやる優しい心を持つ人間になれるような気がしてきます(注:実際になれるとは言っていません)。

 東大寺周辺の奈良公園では、当たり前のことですが、多くの鹿を見かけました。木陰で仲間と休んでいるものや、人に寄ってくるものなど様々ですが、どこものどかな雰囲気が漂っており、こちらも心癒される感じがしました。公園内では至る所で鹿せんべいを販売しており、自分の手で鹿にせんべいを与えることができます。また奈良公園に行く機会があれば、挑戦してみたいと思います(ビビりな僕は今回、挑戦できませんでした😞)。

近鉄の新たな観光特急あをによし19200系:京都駅 2022/6/20

 さて、いよいよ「あをによし」の紹介です。写真は京都駅のホームで撮影した「あをによし」です。車両は4両編成で、角のない丸みを帯びた外観は種車であるスナックカーの面影をそのまま残していますが、カラーリングは大きく変更されており、「冠位十二階」で最高位の色である紫を基調とした紫檀メタリックが全面に施され、さらに先頭車両のスカート部分や車体側面のラインには、金色が用いられています。また、車両前面には正倉院の宝物に描かれている吉祥文様「花喰鳥(はなくいどり)」をイメージした輝かしいエンブレムが取り付けられ、車両側面にも天平文様をイメージした図柄が描かれており、上品さと奥ゆかしさが伝わってくるデザインとなっています。

 「あをによし」は、木曜日を除いて毎日運行されており、1日あたり【大阪難波近鉄奈良-京都】を1往復、【近鉄奈良-京都】を2往復しており、あわせて計6便が設定されています。僕が今回乗車するのは第3便と第4便で、その運転時刻は次のとおりです。

 続いて車内の紹介です。全4両編成のうち1・3・4号車はツインシート、2号車は3人以上で利用可能な4人掛けのサロンシートとなっています。ツインシートはその名のとおり、2名での利用が基本となりますが、自身の乗車券・特急券・特別車両券に加えて、こども分の特急券・特別車両券を購入すれば1人であっても利用可能です。実際に乗車してみると、乗車日が平日だったということもあってか、ツインシートを1名で利用している方は僕も含めて数人いました。

 ツインシートには、長方形のテーブルを挟んで座席が対面に配置されているタイプ(座席番号がAB席)と、三角形のテーブルを挟み込むような直角の並びで座席が配置されているタイプ(座席番号がCD席)の2パターンがあります。僕は今回、このツインシートを利用する訳ですが、せっかくなので往復で異なるタイプのシートを利用してみようと思い、往路の第3便ではAB席を、復路の第4便ではCD席を利用してみました。両タイプを比較すると、テーブルが大きく車窓も眺めやすいCD席の人気が高いようですが、実際には座席設備自体に違いはなく、また、窓割と座席位置とが一致しないハズレ席も存在しないため、AB席であっても不便を感じることは全くありませんでした。

 こちらは2号車のサロンシートです。車内を一通り見ていると、サロンシートに空席があったため、そのうちの一区画分を撮影することができました。こちらはツインシートとは全く異なるソファーのような座席がU字形のテーブルを囲むように配置されており、また、通路との間にパーテーションが設置されているため、プライベート感のある空間となっています。グループで乗車する場合には是非とも利用したいシートですが、こちらは2号車にたった3区画(12席)しかないことから、サロンシートよりも特急券が確保しにくいようです。

 サロンシートがある2号車の車端部には、スイーツやアルコールなどを取り扱う販売カウンターが設置されています。こうした販売カウンターは、以前に乗車した観光特急「青の交響曲」にも設置されており、同じ近鉄ということもあって、どことなく雰囲気も似ているような気がします。今回は、このカウンターで販売されているバターサンドを購入してみました。「あをによし」の車体色をイメージして作られたスイーツは、風味はもちろんのこと、見た目にも楽しめるものとなっていました。

 近鉄奈良駅内にあるGOTO-CHI奈良店でお土産物を購入した際にいただいたポストカードです。車内の販売カウンターにも乗車記念証があり、こちらもいただいてきましたが、僕としてはこちらのポストカードの方が気に入っています。

 近鉄奈良-京都間の往復で「あをによし」の乗車を楽しんだ後は、大阪難波に向かいました。近鉄奈良で第4便を下車してそのまま帰路に着く行程も考えましたが、今回は後ほど紹介するように、奈良・京都・大阪を中心とする近鉄線の一部区間が乗り放題となる「三都めぐりきっぷ」というものを利用しているため、奈良と京都を訪れた後に大阪にも足を延ばすことにしたものです。大阪難波からは、昨年12月の“大阪往復乗り鉄旅”の際と同様、17:00発の「ひのとり」に乗車することとしたため、難波には2時間15分くらい滞在することができます。今回はこの時間を利用し、以前から気になっていたサロン・ド・モンシェール心斎橋店に行ってみることにしました。

 サロン・ド・モンシェールで注文したのは「大阪セット」という商品です。大阪らしさが一皿に凝縮されており、ふわふわした厚焼き玉子の「たまごサンド」と看板商品である「堂島ロール」、それに各種ドリンクがセットになったもので、ドリンクメニューには大阪らしい「ミックスジュース」も用意されていました。モンシェールの堂島ロールは、名古屋で何度か購入したことがありますが、店舗内のカフェスペースを利用するのは初めてです。お洒落で優雅な雰囲気の中、ちょっと贅沢な午後のひとときを楽しむことができました。

ひのとりで使用されている80000系:大阪難波駅 2022/6/20

 今回の乗り鉄旅の締めくくりは、名阪甲特急である「ひのとり」です。一度くらいは前面展望が楽しめる先頭車両の最前列の座席を利用してみたいところですが、僕のように乗車日直前になってから特急券の手配をしているようでは、やはり確保することは難しいですね。

 最後に恒例の(?)きっぷ紹介です。今回は名古屋出発から帰着まですべて近鉄での移動となりましたが、乗車券として利用したのは先に紹介したとおり、「三都めぐりきっぷ」という期間限定のきっぷです。

 このきっぷは、「あおによし」の運行開始を記念して発売されている企画乗車券で、大阪・奈良・京都のフリー区間内でのみ利用可能な1日フリーと、これに発駅からフリー区間までの往復乗車券もセットになった2日フリーの2種類があり、近鉄名古屋発着の2日フリーの値段は4,200円です。近鉄では土日を含む連続3日間で全線が乗り放題となる週末フリーパスという企画乗車券が発売されており、値段は三都めぐりきっぷと同額の4,200円です。単純に乗り放題区間や有効期間の違いだけに注目すると、三都めぐりきっぷの方が割高に感じてしまいますが、近鉄名古屋大阪難波間を往復する場合の正規運賃は4,820円なので、三都めぐりきっぷでも十分にオトクな価格設定となっていることが分かります(週末フリーパスが超激安の価格設定となっているため、これと比較すればどのきっぷも割高に見えてしまう訳です)。

 なお、先にGOTO-CHI奈良店でお土産物を購入した際に記念のポストカードをいただいたことを紹介しましたが、これも三都めぐりきっぷの特典のひとつです。他にも周辺店舗での飲食代や買い物代が割引きとなる特典もついていましたが、今回は利用しませんでした。

 写真2段目のきっぷは、往路の近鉄名古屋から大和西大寺までと、復路の大阪難波から近鉄名古屋までの特急券です。往路は途中の大和八木で乗り換えたため、2つの特急列車が2段書きで表示されています。いつものとおり、アーバンライナーではデラックス席を、ひのとりではプレミアムシートを利用しました(ちょっと贅沢になりますが、一人掛けの座席が好きなので、ついついアップグレードしてしまいます😀)。

 そして3段目が「あをによし」の第3便(近鉄奈良→京都)で、4段目が第4便(京都→近鉄奈良)で使用した特急券です。ツインシートを1人で利用するため、こども分の特急券も同時に購入しており、それぞれ2枚ずつが手元に残っています。以前に近鉄特急を利用した際もそうですが、乗車の記念としたいため、インターネット予約・発売サービスを利用して購入したチケットレス特急券を、事前に駅の窓口で換券してもらいました。

 今回の乗り鉄旅では、久しぶりに観光列車に乗車しました。乗り鉄好きとして、定期運行されている特急列車や新幹線に乗車するのも楽しみですが、やはり観光列車には他にはない特別感があり、乗っているだけでワクワクします。これまでの乗り鉄旅で、各地の観光列車に乗車してきましたが、まだ乗車していない列車も数多くあります。これからも暑い日が続きますが、体力にも十分に気をつけながら、夏の乗り鉄旅を楽しんでいきたいと思います。

神戸に行ってきました

 ゴールデンウイークも終わって5月下旬となり、晴天が多い初夏の陽気となりました。暑くもなく寒くもなく、お出かけには最も適した時期と言えます。新型コロナウイルス感染症が世の中を騒がせるようになってからというもの、1か月先の状況すら見通すことができなくなってしまったことから、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった行動制限のないときには、積極的に乗り鉄旅に行こうと思っているのですが、実際には家庭の事情もあってなかなか思うようには外出できていません。そんな中でも最近は月に1回程度、観光を兼ねた乗り鉄旅を楽しんでおり、5月もどこかに出かけてみたいなと思って旅行先を検討した結果、今回は神戸を訪れてみることにしました。

 関西方面と言えば、これまでにも京都や大阪への旅行だけでなく、近鉄や京阪、南海の特急列車などに乗車する乗り鉄旅でも何度か訪れていますが、実は神戸を目的地とする旅行は経験がなく、新神戸や三ノ宮といった主要駅で下車したこともありません(別に神戸を避けていた訳ではなく、たまたま機会がなかったというだけのことです)。こうした経緯もあり、神戸という土地に全く知識がなく、当初は神戸のどこを訪れたらいいのか全く分からない状態でしたが、インターネットで調べてみると、海にも山にも魅力的な観光施設が多くあることが分かりました。また、新幹線を利用する際に神戸の玄関口となる新神戸駅からのアクセスもよく、限られた時間で複数の観光スポットを巡ることもできることから、今回の旅の目的地としたものです。日帰りとはなりますが、今回の旅行で神戸の魅力を味わってきましたので、その一部を紹介したいと思います。

東海道・山陽新幹線N700AとN700S :名古屋駅 2022/5/25

 まずは神戸まで移動します。もちろん東海道・山陽新幹線を利用します。僕にとっての新幹線最寄り駅は豊橋になりますが、西日本に向かう際には名古屋から新幹線に乗車するのが定番となっており、今回も名古屋から乗車することにしました。ということで、新幹線乗車区間は名古屋ー新神戸間です。乗車するのは名古屋始発の「ひかり535号」広島行ですが、時間に余裕をもって名古屋駅に到着したため、発車までの間を利用して発着する新幹線を撮影しました。下り線のN700も撮影しましたが、僕がホームの端付近にいた際、たまたま上り線に入線してきた「のぞみ」号がN700Sだったので、この車両をちょうどホームの安全柵にかからない位置から撮影することができました。

 ちなみに「ひかり535号」はその名のとおり「ひかり」号ですが、名古屋を出発すると、岐阜羽島米原にも停車するため、新神戸までの間に通過する駅はなく、実質的には「こだま」号です。そのため、名古屋ー新神戸はちょうど1時間20分となりますが、新大阪で乗り換える手間はありません。

 実は今回の乗り鉄旅で乗車する電車は、名古屋-新神戸間の新幹線のみです。したがって、いつもの車両紹介も新幹線だけということになります。神戸市内での移動には路線バスを利用し、また、神戸港内の遊覧船や布引ハーブ園のロープウェイにも乗船車しましたので、訪れた観光施設とあわせて紹介したいと思います。


◆北野異人館(風見鶏の館・萌黄の館・ラインの館)

 神戸観光をしたことがなかった僕でも、北野異人館という名前くらいは知っていました。神戸を代表する観光地の一つで、中でも北野異人館を象徴するシンボリックな建造物といえば、やはり「風見鶏の館」だと思います。北野異人館新神戸駅から徒歩圏内にあり、「風見鶏の館」は午前9時から開館しているということで、神戸到着後真っ先に向かいました。

 レンガの外壁と尖塔が特徴的で、実に異国情緒溢れるノスタルジックな佇まいです。また、洋風建築としての美しさと同時に、まるで絵本の中にある風景が目の前に現れたような感じがしました。内部の応接間や居間、食堂も見学することができ、時代を感じながら貴重な当時の様子を垣間見ることができました。

 一帯には、いくつもの異人館が立ち並んでおり、「風見鶏の館」のすぐ近くには「萌黄の館」がありました。こちらは外観を鑑賞するのみでしたが、「風見鶏の館」とはまた違った趣と美しさが実に印象的でした。また、乗車予定のバスの発車時刻まで少し余裕があったので、バス停の近くにあった「ラインの館」にも行ってみました。ちなみに「ラインの館」には無料で入館することができるため、北野異人館街を訪れた際には、気軽に立ち寄ってみるといいと思います。今回は限られた時間の中で3つの異人館を見ることができ、あらためて神戸の伝統と歴史を感じることができました。

 ここからは、路線バスに乗車して神戸港を目指します。神戸には観光スポットを周回するシティループバス、ポートループバスというものがあり、これらを利用することで効率的に市内主要施設を巡ることができるようになっています。僕も北野異人館街から神戸港にある中突堤中央ターミナル(かもめりあ)までの移動に、このシティループバスを利用しました。ちなみにこのバス、通常は1回乗車につき260円ですが、現在は期間・数量限定で1日乗り放題のチケットが350円で発売されています。僕は復路でもシティループバスに乗車するため、あらかじめこのチケットを購入して利用しました。ちなみにこのバスにはアテンダントさんが乗務しており、肉声による沿線の観光案内がありました。単に車窓を眺めているだけでは知ることができない情報を丁寧に解説してくれるため、観光客にはとてもありがたいサービスです。

 

◆ロイヤルプリンセス号

 先ほどは、神戸を代表する観光地として北野異人館街を訪れたことを紹介しましたが、神戸と言えば、やはり海の街・港の街である点を忘れることはできません。そこで今回の旅行では、神戸港を発着する遊覧船に乗船してみることにしました。事前にWebページで調べてみると、手軽に乗船できる観光船として、関西最大級の大きさを誇る遊覧船で神戸港を一周することができるロイヤルプリンセス号、江戸時代の巨船をモチーフにして造られた御座船 安宅丸、リゾート感満載でカフェなども備えたboh boh KOBE号があることが分かりました。僕としては、これらの中でも特に船内の雰囲気が気になったboh boh KOBE号に乗船してみたいと思っていたのですが、あいにくboh boh KOBE号はメンテナンスのため運休中とのことで、今回はロイヤルプリンセス号に乗船することにしました。

 ロイヤルプリンセス号は、中突堤中央ターミナル「かもめりあ」を発着します。船内1階と2階の客室内には多くの座席が設置され、グループ利用に便利な大型テーブルを備えた座席も用意されていました。また、2階部分の後方には開放的なデッキがあってベンチが置かれており、海風を感じながら乗船を楽しむことができるようになっています。船内の座席に指定はないため、それぞれ好きな場所を利用することができるようになっており、僕は2階のデッキにあるベンチを利用することにしました。航行中は、神戸ハーバーランドや造船所の光景、また神戸大橋の下を通過しながらのダイナミックな景色を眺めることができました。

 

布引ハーブ園

 ロイヤルプリンセス号を下船した後、再びシティループバスに乗車し、今度は布引ハーブ園まで移動します。行ったり来たりのルートになってしまいましたが、遊覧船の出航時間の都合上、やむを得ずこうした行程になってしまいました。

 路線バスを下車し、ここから布引ハーブ園に向かうためのロープウェイに乗車します。バス停からロープウェイ乗り場であるハーブ園山麓駅はすぐ近くで、待ち時間もなくすぐに乗車することができました。このロープウェイでハーブ園山頂駅を目指す訳ですが、ビビりの僕はちょっと足がすくんでしまいましたが、ゴンドラ内から眺める景色は絶景で、神戸市街を一望することができました。

 ロープウェイのハーブ園山頂駅を下車すると、すでにそこはハーブ園の展望エリアです。展望エリアには季節の花々が咲き誇る展望プラザがあり、ローズガーデンや香りの資料館のほか、レストランやカフェといった飲食店などからなるロッジ風の建物があります。全体を見渡すと、まるで絵はがきのような美しい風景が広がっており、現実とは別の世界に連れてこられたような感覚すら覚えるほどです。

 今回の旅行では、この展望プラザ内にあるレストラン「ザ・ハーブダイニング」で昼食をいただくことにしました。メイン料理(パスタ、肉料理、魚料理)の中から一つ選び、これに前菜8種とパンがついたランチメニューです。前菜8種の盛り付けが芸術的で、味だけでなく見た目にも楽しめる料理を提供してくれます。

 山頂の展望エリアからは、坂道を下りながらガーデンエリアにある種々な植物を鑑賞することができます。途中には、ラベンダー園や四季の庭などがあり、風の丘芝生広場にはモニュメントのほか、来園者が自由に利用できるハンモックも設置されていました。ガーデンエリアを下っていくと、そのままロープウェイの風の丘中間駅にたどり着くため、ここからは再びロープウェイに乗車してハーブ園を後にしました。

 今回の旅行で使用した乗車券類です。3月の横浜旅行の際と同じく、今回もJR東海ツアーズの旅行商品を利用しているため、上のとおり乗車票で旅行しました。現地では私鉄線を含めてその他の鉄道は利用しておらず、今回の旅行で利用した鉄道の乗車券類はこの2枚のみです。

 ちなみに新神戸駅は、JR在来線の接続がない新幹線単独駅ですが、乗車票は神戸市内まで有効なため、引き続き在来線に乗車する場合には、新神戸駅の改札を出場して在来線の駅に移動し、再び入場する必要があります。JRが定めたきっぷのルールにも“「神戸市内」発着の場合の特例”というものがあり、山陽新幹線を利用の場合に限って、三ノ宮、元町、神戸、新長田又は新神戸の各駅で新幹線と在来線を乗り継ぐための途中出場(特別下車)ができることになっています。そのため新神戸駅には、他の新幹線駅では見かけない在来線乗換改札出口という特別下車用の自動改札機(黄色の自動改札機)が設定されています。僕は今回、在来線区間を利用しないため、新神戸駅まで(から)の利用になりますが、往路で新神戸を出場する際、試しにこの改札機を利用したところ、券面には日時、駅名とともに「特別下車」の赤文字が印字されました。

 今回は神戸での滞在時間が約8時間30分でしたが、これまでに紹介したとおり、北野異人館街の見学、遊覧船の乗船、ハーブ園への入園と昼食、さらに他のちょっとしたお楽しみ(?)も含めて十分に満喫することができました。また、都会的でお洒落な街並みも印象的でした。行き慣れた場所に旅をするのもいいですが、いままでに行ったことのない場所に旅をすると、色々な発見があって楽しいものです。日本全国を見渡すと、まだまだ訪れたことのない場所はいっぱいあります。これから夏本番にかけては、避暑の旅なんで言うのもいいかもしれません。神戸旅行を終えたばかりですが、早くも次の旅行先に期待が膨らんできたような気がします。

名鉄「まる乗り1DAYフリーきっぷ」で犬山へ

 僕は普段の通勤に名鉄を利用しており、そのため通勤定期券を所持しています。社会人になってから数年間は1か月定期券を購入していましたが、わが社の通勤手当が6か月定期券の価額で支給されるようになってからは、ずっと6か月定期券を継続で購入しています。6か月定期券を購入する際、一般的には、入社や人事異動にあわせて新年度がスタートする4月を利用開始日とする場合が多いと思いますが、僕は約1か月遅れて5月上旬を利用開始日としているため、毎年、ゴールデンウイーク前と9月後半に定期券を更新(継続)するようにしています。休日の乗り鉄旅の際にも、西日本方面に向かう時には最寄り某駅から金山駅まで定期券を利用することができるため、プライベートでも非常に重宝しています。

 そんな通勤定期券について、今年も継続の時期を迎えましたが、今回、名鉄では3月24日から4月30日まで“定期券で楽!トク!通勤定期券ご購入感謝キャンペーン”というものを実施しており、期間中に通勤定期券を購入した者に対していくつかの特典が用意されています。具体的には、

  1. [新生活応援!]ミュープラット&SAKUMACHI商店街 おとクーポン
     名鉄が展開する商業施設(μPLAT)などで利用可能な500円分のクーポン
  2. [お出かけ応援!]名鉄電車「まる乗り1DAYフリーきっぷ」特別割引券【3・6か月の通勤定期券購入者のみ】
     通常3,200円の「まる乗り1DAYフリーきっぷ」が2,200円引の1,000円で購入できる割引券
  3. [エコ通勤応援!]名鉄協商パーキング 月ぎめ料金 クイズに答えて1か月分無料
     沿線にある名鉄系のパーキングの月ぎめ料金が1か月分無料
  4. [時差通勤応援!]「時差・土休日ミューチケット引換券」を発売
     金山または名鉄名古屋名鉄岐阜など対象区間を含む通勤定期券所持者が購入可能な5枚1,000円の「時差・土休日ミューチケット」の引換券

 の4つとなります。これらの特典のうち僕が利用可能なものは1~3ですが、通勤で自家用車を使用していない僕にとっては、3の特典を利用することはありません。そこで実際に利用できる特典は1と2になりますが、乗り鉄的に注目したいのはやはり2の特典です。普段から名鉄をよく利用しているものの、最寄り某駅から金山駅まで定期券を利用することができることから、これまで名鉄の「まる乗り1DAYフリーきっぷ」を利用したことはありません。しかし、1,000円で購入できるのであれば利用価値は高いと考え、ゴールデンウイーク期間を利用して「まる乗り1DAYフリーきっぷ」を使った乗り鉄旅に出かけてみることにしました。

 名鉄全線が1日乗り放題となるのであれば、あまり利用したことのない路線を乗り尽くすというものいいかなと思いましたが、ここ最近は現地でちょっとした観光を楽しむ乗り鉄旅にも魅力を感じており、名鉄だけで行くことができる範囲内という制約はありながらも、どこか楽しめる場所はないかと思案して思いついたのが犬山です。僕は保育園児か小学生の頃、両親や祖父母に連れられて名鉄で犬山に行ったことがありますが、なにせ相当昔のことなので、あまり覚えていません。当時は犬山遊園駅から日本モンキーパーク内の動物園駅までを結ぶモノレール線が現役で、これにも乗車したことがあるのですが、こちらもかすかに覚えがある程度です。今回は、そんな犬山を久しぶりに訪れ、また1DAYフリーきっぷを活用して、名鉄本線西端の岐阜にも足を延ばしてみることにしました。

名鉄各路線の快速特急や特急で使用されている2200系犬山駅 2022/4/30

 僕の家から犬山を目指す場合、最寄り某駅から名古屋方面に向かうことになりますが、今回は始発駅から乗車しようと思い、まずは最寄り某駅から豊橋に移動して、豊橋から犬山方面に直通する快速特急に乗車することにしました。

 ちなみに名鉄快速特急及び特急に使用される車両には、一般車両(運賃だけで利用可)と特別車両(特別車両券:ミューチケットが必要)とが併結されており、1号車と2号車が特別車両、3号車から6号車(8号車)までが一般車両となります。そして車両の編成としては、パノラマsuperの愛称で親しまれている1200系と、空港連絡特急であるミュースカイの弟分にあたる2200系の2種類があります。両者の運用は分けられており、どちらの車両が充当されるのかを事前に知ることができるため、往路の豊橋→犬山間ではまず2200系に乗車することにしました。

 「まる乗り1DAYフリーきっぷ」は名鉄全線が1日乗り放題になるのはもちろんのこと、10時から16時までの間に限り、追加料金を支払うことなく特別車を利用することができる(ただし座席の指定は不可)ため、今回は特別車両券を購入することなく、特別車両に乗車することができました。

 客室内はご覧のとおりで、ライトグレーを基調とし、一般的な特急形車両と同じく2+2列配置の回転式リクライニングシートが並んでいます。座席のモケット柄は濃青色と淡青色のツートンで、2000系と全く同じものが使用されており、実際に乗車していると2000系なのか2200系なのかの区別がつきません。個人的には、停車直前に荷棚飾灯がゆっくりと点滅して乗客に到着を知らせるところが機能的だなと思って、気に入っています。

名鉄特急を代表するパノラマSuperこと1200系名鉄岐阜駅 2022/4/30

 往路は2200系に乗車したので、復路は1200系で運行されている列車を選びました。1200系の最大の特徴は、何と言っても豊橋方の先頭車に展望席がある点です。現在では一般車と併結した編成となっている1200系ですが、以前は1000系として4両編成の全車特別車として運用されており、その当時は、豊橋方だけでなく岐阜方にも同様の展望席が設けられていました。しかし、一般車両を併設した1200系では展望席は豊橋方のみとなってしまい、豊橋方面から岐阜方面に向かう列車で展望席からの前面展望を楽しむことはできません。

 ちなみに1000系として誕生した際には、クリーム色の車体に赤帯をまとった「パノラマDX」譲りのデザインでしたが、すべての車両にリニューアルが施され、現在の塗色に変更されています。

 上の写真は展望席、下の写真はいわゆる平屋席部分です。展望席と言えば、すでに引退したパノラマカーこと7000系小田急VSEGSEなどの先頭車両にもありますが、この1200系パノラマスーパーは、展望客室全体がハイデッキ構造となっているため眺望性に優れており、先頭部の大型曲面ガラスを通して迫力あるダイナミックな展望を楽しむことができます。

 一方、平屋席部分は2200系と同様に、2+2列配置の回転式リクライニングシートとなっています。座席は2200系のものと比べると重厚さがあり、全体的にクッション性があってソファのような座り心地です。今回は展望席を利用したため、平屋席は利用しませんでしたが、快適性は抜群で、1時間20分程度の短時間の乗車ではもったいないと思えるほどです。

1200系と同様に塗色が変更された1800系:名鉄岐阜駅 2022/4/30

 こちらは、犬山から岐阜までの区間で乗車した1800系の普通列車です。1800系は、朝夕のラッシュ時を中心に1200系の増結用として使用されていますが、昼間時間帯は単独で運用され、主に犬山・岐阜地区の普通列車として活躍しています。普通列車では通勤型のロングシート車が充当されることが多い中、1800系は1200系の一般車と同じ転換クロスシート車となっており、ちょっとした乗り得気分を味わうことができます。

◆FARMERS GARDEN Cafe オムレット

 犬山では、昼食とちょっとした観光を楽しみましたので、その内容を紹介したいと思います。

 犬山に到着したのは12時少し前だったため、すぐに昼食にすることにしました。出発する前から、どのお店でランチを楽しむのかいろいろと悩みましたが、今回はホテルミュースタイル犬山エクスペリエンス内にあるオムレットというカフェを利用することにしました。駅前ということで場所も分かりやすく、待ち時間もほとんどありませんでした。料理はプレート料理で、基本メニューに加えてサラダのトッピングやデリ、メインをチョイスするスタイルで提供されます。パンまたはライス、スープもセットされており、飲み物もいくつかのソフトドリングの中から自分の好きなタイミングで受け取ることができるようになっています。僕は珍しいパイナップルジュースを選びました。サラダがボリューミーで、普段はあまり目にすることのない珍しい野菜もいただくことができました。健康的な食事ができ、とても満足です。

犬山城三光稲荷神社

 昼食後は、少し歩いて犬山城を目指しました。僕は全く城に詳しくありませんが、犬山城は国宝に指定されており、天守は現存する日本最古の様式だそうです。小高い山の上にそびえる天守閣を目指して城下町の古い町並みを歩くこと数十分、やっと城山の麓にある三光稲荷神社に到着しました。朱色の鳥居が美しく、ハート型をしたピンク色の絵馬が飾られている場所では、多くの人が記念撮影をしていました。天守閣には、ここからさらに急な坂道を上がっていくのですが、この日は相当混雑しているらしく、城の入場には60分以上待つ必要があり、天守閣にはさらに30分以上かかるとの案内があったため、さすがに待つ気にはなれず、周辺を散策しながら天守閣を写真に収めることにしました。

◆恋小町だんご

 城下町の古い町並みの中に、昭和横丁という飲食店などが並ぶ施設があります。その中に茶処くらやという甘味処があり、フルーツ餡や季節ごとに変わる餡を使ったカラフルなお団子を提供しています。僕は以前、何かの機会にこのお団子のことを知り、一度は食べてみたいと思っていたところで、今回の犬山乗り鉄旅では是非とも立ち寄りたいと思っていたお店です。実際にお店を訪れてメニューを見ると、餡の種類も豊富で、いろいろなお団子がありましたが、その中でも2本のお団子に色とりどりの8種の餡が飾られたハイカラ恋小町セットが気になり、これを注文しました。ちなみに値段はグリーティー付きで600円です。早速店内の飲食スペースで食べてみましたが、見た目だけでなく、餡ごとに違った味を楽しむことができるのも魅力的です。ちなみに8種の餡のうち、2種類はいくつかの種類の中から自分で好きな餡を選ぶことができ、僕はラムネ餡とチョコバナナ餡にしてみましたが、特にラムネ餡は爽やかな味わいでした。

 今回の乗り鉄旅で使用した乗車券類です。左は「まる乗り1DAYフリーきっぷ」で、券面に表記はありませんが、特別企画乗車券ということになります。普段、名鉄に乗車する際には圧倒的に定期券利用が多く、たまに普通(片道or往復乗車券)を利用するくらいなので、企画乗車券を利用するのは初めてだと思います。通常価格で購入するものと今回のキャンペーン割引で購入したものの印字内容に違いがあるのかどうか分かりませんが、おそらく金額以外は全く同じものだと思います。

 右は復路で使用した特別車両券です。往路は豊橋から10時台の列車に乗車したので、追加料金不要で特別車両を利用できましたが、復路は16時18分発の列車を利用したため、別に特別車両券を購入しました。当初はもう一本後の列車に乗車する予定で、事前に展望席の最前列を確保していたのですが、犬山城の入場を取りやめて予定を繰り上げたため、復路で乗車する特急列車も直前に変更することにしました。そのため、展望席の最前列に空席はありませんでしたが、2列目の通路側の座席を確保することができました。

 以上のとおり、今回はいつもとちょっと違った名鉄線内でのプチ乗り鉄旅となりました。「まる乗り1DAYフリーきっぷ」を有効に利用し、現地での観光時間をうまく調整すれば、犬山方面だけでなく、プラスしてもう少し広範囲な乗り鉄旅を楽しめたかも知れません(相当慌ただしい旅になるとは思いますが…)。来年も通勤定期券の購入キャンペーンが開催され、フリーきっぷを購入する機会があれば、また違った場所への乗り鉄旅も考えてみたいと思います。