レン鉄★気ままな乗車記

乗り鉄&きっぷ鉄の管理人が、備忘録を兼ねてブログに綴っていきます。

乗り鉄&きっぷ鉄っぽい管理人が、乗り鉄旅行とそこで使用したきっぷを思うがままに記録したブログです。
どうぞ、お付き合いください。
 

3つの「ものがたり列車」に乗車する四国乗り鉄旅(4)

 前回の記事からの続きです。

 昨日は、高知駅で「志国土佐時代の夜明けのものがたり」を下車した後、特急南風に乗り換えて本日の宿泊先である丸亀まで移動しました。乗車した特急南風は再びアンパンマン列車で、3両編成での運行でしたが、自由席は想像以上に混雑していました。僕の場合、乗り換え時間が十分にあったため、乗車した際には、まだまだ空席の方が多いくらいでしたが、発車時間が近づくにつれて徐々に乗客が増えて、発車直前には立ち客も発生しました。

 しかし、ちょっとイラっとするのは、車掌が座席に荷物を置かないように呼び掛けているにも関わらず、平然と通路側の座席の上に荷物を置いている人がいることです。自由席なら何でも自由という訳ではありません。お互いに譲り合って少しでも多くの方が着席できるようにという配慮のできない人が一定数いるということには、本当に残念でなりません。

 ちなみに今回の旅行で宿泊するのは、丸亀プラザホテルです。JR四国の旅行商品では、四国各地のホテル・旅館が用意されており、どこに宿泊するのかちょっと迷いましたが、2日目の移動に都合がよさそうな丸亀を選びました。その中でも駅から徒歩圏内にあったのが丸亀プラザホテルです。部屋自体は標準的なビジネスホテルといった感じで、朝食付でした。宿泊施設にこだわりのある方もいると思いますが、僕からみれば普段使いには十分です。

 2日目は、9時20分に丸亀駅を発車する列車に乗車するところから始まります。計画段階では、もっと早い時間から動き出すことを考えたこともありましたが、結果的にはこれくらいの時間でちょうどよかったです。というか、これから向かうのは松山駅なため、本来であればもっと遅い時間に丸亀駅を発車する時間でも、十分に間に合います。しかし、松山までは相当長時間の乗車となるため、万一、自由席が確保できなかったとなると、かなりつらいものがあります。そのため、あえて丸亀から児島まで移動し、児島から松山まで特急列車に乗車することにしました。乗車する特急列車は岡山始発のため、より岡山に近い児島であれば、自由席を確保しやすいだろうと考えたためです。そして、児島からは特急「しおかぜ」に乗車しました。

f:id:Len_Railway:20201112201606j:plain

しおかぜ号で使用されている8600系:松山駅 2020/11/7

 これが特急「しおかぜ」号です。「しおかぜ」は電車タイプの特急で、JR四国の8000系又は8600系のいずれかで運用されています。今回乗車する8600系は2014年に営業運転を開始した比較的新しい電車で、“SETOUCHI STREAM EXPRESS”というキャッチコピーが付けられているそうです。外観は無地のステンレス製で、車体下半分はグレーで塗装されており、さらに車体側面の上部にはオレンジ、中央部にはグリーンのラインが引かれています。オレンジ色と緑色の組み合わせというと、真っ先に湘南カラーを思い浮かべますが、8600系に使われている色は、湘南カラーよりも少し淡い色合いのものです。

 普通車の車内には、2+2配置の回転式リクライニングシートがずらりと並んでいますが、座席色は車両単位でグリーンとオレンジの2種類があります。また、足元にはフットレストが装備され、肘掛にはモバイルコンセントも備えられていました。前座席に付けられた背面テーブルは、比較的大きなもので、ノートパソコンを使用する場合には重宝しそうです。

 心配していた自由席の混雑状況ですが、思っていた以上の乗車率でした。児島から乗車した時点では、すべての窓側席が埋まっており、なんとか通路側席が数席だけ空いている状況です。その後、宇多津、丸亀、多度津で数名の乗降があり、僕はたまたま空いた窓側席に移ることができましたが、松山まで乗車する方が圧倒的に多いようで、終点までほぼ満席といった状態でした。今回は丸亀から児島まで移動して乗車しましたが、この状況であれば、児島から乗車して正解だったと思います。JR四国では、土・日・祝日を含む連続3日間、特急列車及び普通列車の普通車自由席が乗り降り自由となる「四国満喫きっぷスペシャルプラス」という企画乗車券を発売しており、「Go To トラベルキャンペーン」とも相まって、特急列車の自由席利用が増加しているのかもしれません。

f:id:Len_Railway:20201112201900j:plain

1号車の「茜の章」:下灘駅 2020/11/7

f:id:Len_Railway:20201112202819j:plain

2号車の「黄金の章」:松山駅 2020/11/7

 松山駅からは、今回の乗り鉄旅で最後となる「ものがたり列車」に乗車します。その列車名は「伊予灘ものがたり」で、JR四国の「ものがたり列車」の原点となった列車でもあります。「伊予灘ものがたり」は、週末を中心に松山-伊予大洲八幡浜間を1日2往復しており、それぞれに「大洲編」「双海編」「八幡浜編」「道後編」という名前が付けられています。運行時間の違いによって違った表情の車窓を楽しむことができ、また、事前予約できる食事の内容も異なっています。

 僕は当初、伊予大洲から松山までの「双海編」に乗車しようと考えていましたが、乗車日1か月前の発売直後に購入しようとしたところ、窓口の方が端末の操作にあまり慣れていなかったのか、なかなかうまく発券できず試行錯誤しているうちに満席となってしまったようで、結局のところ、希望どおりに指定席を確保することができませんでした。どうしたものかと少し考え直し、代替案として松山を午後に出発する「八幡浜編」に乗車することにしたものです。「八幡浜編」の終点は、その名のとおり八幡浜駅ですが、帰路の都合上、今回は途中の伊予大洲まで乗車します。

f:id:Len_Railway:20201112204644j:plain

 「伊予灘ものがたり」は、「四国まんなか千年ものがたり」「志国土佐時代の夜明けのものがたり」とは異なり、特急列車ではなく、快速列車として運行されています。車両はキハ47形を改造した2両編成で、うち1号車の「茜の章」は夕焼けをイメージした茜色となっており、2号車の「黄金の章」は柑橘類と太陽をイメージした黄金色に塗装されています。両車ともグリーン車で、全車指定席となります。なお、「伊予灘ものがたり」は、一部の鉄道ファンの中で有名となった下灘駅に停車します。古びた小さな無人駅ですが、かつては日本の駅の中で最も海に近い駅と言われ、ホームから美しい伊予灘が一望できることから、青春18きっぷのポスターとして使用されたり、ドラマのロケ地にもなったことがあるそうです。ということで、今回は下灘駅でも車両を撮影することにしました。

f:id:Len_Railway:20201112204541j:plain

 あいにく小雨がぱらつく天候だったため、青い海や空が一面に広がる風景の中で撮影することはできませんでした。もし天候に恵まれていたら、(僕の腕前の範囲内で)さぞ見栄えのいい写真が撮影できたと思いますが、天候ばかりは何とも変えようがないため、仕方ありません。2号車「黄金の章」も下灘駅で撮影したかったのですが、列車の停止位置がホームぎりぎりだったため、残念ながら撮影できませんでした。そのため、あらかじめ松山駅で撮影しておいたものを紹介させてもらいます。

 そして、本当であれば車内もいろいろと写真撮影したかったのですが、やはり今回も満席でしたので、他の乗客の方の迷惑になってはいけないと思い、撮影しませんでした。

f:id:Len_Railway:20201112203100j:plain

 先ほど少し触れましたが、「伊予灘ものがたり」でも、事前予約することで食事を楽しむことができます。今回乗車する「八幡浜編」は、午後に松山を出発する便ということで、昼食後に乗車することにしたため、食事の予約していません。予約していない場合でも、おつまみ類やデザート類は車内で購入することができるため、僕はデザートとアイスティーのセットを注文してみました。写真の左側に竹輪が写りこんでいますが、これは乗車中にすべての乗客に配られたものです。竹輪以外にも、地元産のお米やみかんのプレゼントもありました。他の「ものがたり列車」にはないサービスで、「伊予灘ものがたり」とそれを支える地元沿線の方々の強い絆のようなものが感じされました。

f:id:Len_Railway:20201112203404j:plain

 「伊予灘ものかたり」は特急列車ではないため、普通列車用グリーン券を購入することで乗車できます。僕が選んだのは、1人掛けの席が並ぶカウンター席の一番端にあたる席です。車内は大きく海側席と山側席に分かれており、1人掛けカウンター席や4人用のボックス席は海側に、2人掛けのテーブル席は山側に配置されています。外の景色を眺めるには、圧倒的に海側席の方が有利です。僕の席は、座席の位置と窓の配置がピッタリと一致する当たり席でした。観光列車には種車となる車両を改造して製作されたものも多く、座席位置と窓割が一致しないハズレ席も少なからず存在しますので、乗車前にWebページなどで確認しておくことをおススメします。

 それから、今回乗車した八幡浜編ですが、ほとんどの方が終点の八幡浜まで行かれるようで、僕のように途中の伊予大洲で下車する人はいませんでした。

f:id:Len_Railway:20201112204127j:plain

f:id:Len_Railway:20201112204142j:plain

 「伊予灘ものがたり」にも、2号車の販売カウンターの前に乗車記念証と、スタンプが用意されています。できるだけきれいに押したかったのですが、周囲の部分が欠けてしまいました。どうやらスタンプ自体が摩耗しているようです。もしこのスタンプが、「伊予灘ものがたり」の誕生当時から利用されているものだとすれば、すでに何万回と使われているでしょうから、経年劣化によるものかもしれません。ふと見ると、「伊予灘ものがたり」のスタンプとは別に、日付印も用意されていました。乗車記念証の空いたスペースに適当に押印しましたが、今日の日付が入ることで、より思い出深いものとなりそうです。

 >>(5)に続く

3つの「ものがたり列車」に乗車する四国乗り鉄旅(3)

 前回の記事からの続きです。

 大歩危で下車した後、後続の特急南風に乗車して終点の高知を目指します。せっかく大歩危まで来たからには、せめて駅前散策くらいはしたかったのですが、この先で二つ目の「ものがたり列車」に乗車するためには、到着直後に大歩危を発車する特急列車に乗車しないと間に合いません。乗車したのは前々の記事で紹介した「あかいアンパンマン列車」でしたが、昼の時間帯に運行される列車のため、自由席はそれほど混雑していませんでした。約50分の乗車で高知駅に到着です。

f:id:Len_Railway:20201110205014j:plain

あしずり号で使用されている2000系:窪川駅 2020/11/6

 土讃線をさらに西に向かうため、高知駅から先は2000系気動車の特急「あしずり」に乗車します。高知駅での乗換時間は8分でしたが、同じホームでの対面乗り換えのため、特に焦ることもなく無事に乗車できました。特急あしずりは、土讃線の終点である窪川まで行き、さらに土佐くろしお鉄道に乗り入れて中村(一部の列車は宿毛)まで直通しています。今回使用している乗車票は、JR四国全線だけでなく、土佐くろしお鉄道も全線で乗車可能なため、時間に余裕があれば、中村やその先の宿毛まで行ってみたいところですが、今回は窪川までで下車します。

 あしずり号は1日9往復されており、2~3両という短編成で運行されています。ちなみにJR四国の特急列車は、比較的自由席の割合が高く、ひとつの号車の中でも、前方と後方で自由席と指定席に分かれている車両もあります。僕が乗車したあしずり5号は、1号車の前半分が指定席、1号車の後半分と2号車が自由席という設定です。僕の予想では、相当ガラガラなんじゃないかと勝手に思い込んでいたのですが、自由席は結構な乗車率でした。車内を見渡すと、出張と思われる方や旅行客っぽい方もそれなりにいましたが、どうやら地元の方が短区間で特急の自由席を利用しているようです。

 2000系ですが、車両の外観はJR四国の他車両と同じ無地のステンレス製で、コーポレートカラーである水色の帯をまとっています。ドアはプラグ式で、この部分も水色に塗装されており、デザイン上のアクセントにもなっています。車内に目を向けると、背面がFRP製の化粧板で覆われたタイプの座席が並んでおり、何となくJR東海キハ85系気動車に近いものを感じました。

f:id:Len_Railway:20201110205323j:plain

1号車の「クロフネ(KUROFUNE)」:土佐久礼駅 2020/11/6

f:id:Len_Railway:20201110205350j:plain

2号車の「ソラフネ(SORAFUNE)」:土佐久礼駅 2020/11/6

 特急「あしずり」で窪川駅に到着すると、隣のホームにはすでに次に乗車する「ものがたり列車」が停車していました。それがキハ185気動車の「志国土佐時代の夜明けのものがたり」です。今回は始発の窪川から終点の高知までの全区間を乗車します。つまり、今しがた窪川に到着したばかりですが、すぐさま高知に逆戻りという訳です。

 「志国土佐時代の夜明けのものがたり」には、「四国まんなか千年ものがたり」と同様に、上りと下りでそれぞれ列車名が付けられています。先に発車する高知→窪川は「立志の抄」、そして僕が乗車する窪川→高知は「開花の抄」と呼ばれています。列車は2両編成で、1号車は幕末の歴史を象徴する「クロフネ」、2号車は新しい時代の夜明けを連想させる「ソラフネ」と呼ばれ、それぞれ異なるコンセプトのもとにデザインされています。

 それぞれの車両の先頭部分には独自の装飾が施され、列車の世界観が表現されていますが、個人的には両車両の連結部付近に描かれた坂本龍馬の絵が何とも印象的でした。

 近年、観光列車のトレンドは水戸岡鋭治氏によるデザインが主流となっていますが、JR四国の「ものがたり列車」は、すべて社内の職員が手掛けたものだそうです。「四国まんなか千年ものがたり」に乗車した時にも感じたことですが、列車のコンセプトが見事にデザイン化されており、他にはないオリジナリティが感じられます。水戸岡氏がデザインした車両は、日本各地で目にすることができますが、「ものがたり列車」には四国でないと出会うことができません。

f:id:Len_Railway:20201110210718j:plain

f:id:Len_Railway:20201110210744j:plain

f:id:Len_Railway:20201110223300j:plain

 この列車は最も新しい「ものがたり列車」ということもあり非常に人気が高く、指定席券は発売直後に完売となってしまうことも少なくないようです。僕が乗車したのは2号車でしたが、1号車は団体のツアー客がすべて押さえているようでした。できれば途中駅での停車中に、乗客が少ないタイミングを狙って1号車の車内を撮影したいと思い、何回か1号車の様子を見に行きましたが、常に団体の乗客が出入りしており、結局、車内の様子を撮影するタイミングがありませんでした。そのため、上の写真は2号車の車内を撮影したものです。とは言うものの、2号車も満席でしたので、満足いくアングルで撮影できなかったことが少し残念です。この2号車の内装について、JR四国によれば『宇宙空間までにも繋がる未来への「夢」をコンセプトに、レトロSF小説で描かれる空想科学上の宇宙船をイメージ』しているということで、これまでにないユニークな車内装飾となっていました。

 列車は全車グリーン車となっており、車内の座席配置は、1号車と2号車で異なっています。1号車は対面座席となっており、3~4名で利用できるBOX席と1名でも利用可能な「高知家の団らんシート」があります。2号車は全席が窓向きのカウンター形式の座席となっており、うち山側席は2名での利用に適した配置となっています(新型コロナウイルス感染症対策のため、1号車の「高知家の団らんシート」は当面の間、窓向きのカウンター形式の座席に変更されています)。

 ちなみに「志国土佐時代の夜明けのものがたり」でも、事前に予約すれば車内での食事を楽しむことができます。僕はすでに「四国まんなか千年ものがたり」の車内で昼食を済ませており、かといって午後3時過ぎでは、夕食というのも早過ぎる中途半端な時間なので、食事の予約はしませんでした。逆にこんな時間に食事する人はほとんどいないんじゃないかと勝手に思っていましたが、実際に乗車してみると、ほとんどの方が事前予約の食事を利用していました。うーん、皆さんは遅い昼食なんですか?それとも早い夕食なんですか?食事の時間ではないものの、ちょっとしたおやつタイムにはいい時間なので、何か注文してみようと車内メニューを見ると、いくつかのデザート類も販売されています。アテンダントさんに確認すると、モンブランがあるということだったので、これを注文しました。

 「志国土佐時代の夜明けのものがたり」は、時刻表上での乗降可能駅は、高知駅土佐久礼駅ー窪川駅となっていますが、途中駅で数回の運転停車があり、駅によっては車外に降りて地元の方のおもてなしを受けることもできます。僕も途中駅で列車から下りて、写真撮影をしました。

f:id:Len_Railway:20201110211108j:plain

 「四国まんなか千年ものがたり」と同様、「志国土佐時代の夜明けのものがたり」のグリーン券も、旅行商品のオプションであるグリーン券引換証で手配してもらいました。もちろんこちらも指ノミ券です。ちなみに車内では、そもそも乗車券類の確認すらありませんでした。券面のチケッターは、アテンダントさんにお願いして押印しもらったものです。

f:id:Len_Railway:20201110211421j:plain
f:id:Len_Railway:20201110211431j:plain

 「志国土佐時代の夜明けのものがたり」にも車内に記念乗車証がありました。こちらも自分でスタンプを押印することができます。このスタンプのデザインは、上下左右がよく分からなかったので、何となく自分の勘で向きを決めました。これで正しい向きなんでしょうかね。

 >>(4)に続く

3つの「ものがたり列車」に乗車する四国乗り鉄旅(2)

 前回の記事からの続きです。

 前置きが長くなってしまいましたが、次はいよいよ「ものがたり列車」に乗車します。アンパンマン列車に揺られながら多度津まで移動すると、すでにホーム横の留置線にお目当ての列車が停車していました。それがこの列車です。

f:id:Len_Railway:20201108160255j:plain

1号車の「春萌(はるあかり)の章」:多度津駅 2020/11/6

f:id:Len_Railway:20201108160401j:plain

2号車の「夏清(なつすがし)の章」:多度津駅 2020/11/6

f:id:Len_Railway:20201108160619j:plain

3号車の「秋彩(あきみのり)の章」:多度津駅 2020/11/6

 多度津からは、一つ目の「ものがたり列車」であるキハ185気動車の「四国まんなか千年ものがたり」に乗車します。この列車には、上りと下りでそれぞれ列車名が付けられており、僕が乗車する多度津大歩危は「そらの郷紀行」、大歩危多度津は「しあわせの郷紀行」と呼ばれています。列車は3両編成で、それぞれの号車ごとに外観と内装のデザインが異なっています。外観のデザインは四季の移ろいを表現しており、1号車の「春萌(はるあかり)の章」は緑色、2号車の「夏清(なつすがし)の章」は青色で反対側の「冬清(ふゆすがし)の章」は白色、3号車の「秋彩(あきみのり)の章」は赤色を基調としており、カラフルな外観が目に飛び込んできます。

f:id:Len_Railway:20201108160931j:plain

「春萌の章」の4人掛けテーブル席

f:id:Len_Railway:20201108161051j:plain

「夏清の章」と「冬清の章」のグループ席

f:id:Len_Railway:20201108161159j:plain

「秋彩の章」の1人掛けカウンター席

 上の写真は、各号車の主な座席を撮影したものです。他の乗客がなるべく写り込まないように注意しており、撮影できたのは一部の座席に限られます。ちなみに1号車と3号車は、カラーリングは異なるものの座席配置はほぼ共通で、1人掛けのカウンター席、2人掛けのテーブル席、4人掛けのテーブル席の3種類が用意されています。2号車は3~4人用のグループ席で長テーブルが並んでいます。また2号車には、お土産などグッズ販売を行うカウンターも設置されていました。どの座席の色合いも、外観の色調と統一されており見事です。JR四国がこの列車にかける並々ならぬ想いが、しっかりと伝わってきました。

 全車グリーン車ということもあり、どの座席も間隔が広く、ゆったりと寛ぐことができます。特に1号車と3号車では、2人掛けと4人掛けのテーブルが千鳥配置となっているため、通路をはさんで反対方向の景色を眺める場合でも、視界を遮られることがありません。進行方向の左右に広がる風景を楽しむための配慮なのだと思います。また、食事をワゴンで運搬する都合上、通路も広めになっており、乗客同士もスムーズに行き違いすることができます。

f:id:Len_Railway:20201108161337j:plain

f:id:Len_Railway:20201108161355j:plain

 「四国まんなか千年ものがたり」は、乗車するだけでも十分にその魅力を感じることができますが、事前に車内での食事を予約することで、地元産の食材を使用した料理を堪能することができます。普段は乗り鉄メインの僕ですが、今回は乗車する時間がちょうど昼時ということもあり、「さぬきこだわり素材の洋風料理」というものを事前に予約しておきました。写真はその料理の一部です。見た目も見事で、もちろん味も最高です。琴平駅発車後、先に冷製のものが提供され、その後に温製の煮込み料理やライスが運ばれてきます。そして食後には、コーヒー(または紅茶)とお菓子もあり、まるでレストランで食事をしているような感覚です。車内での飲食ということで、お弁当の延長線上にあるような軽易な食事を想像してしまいがちですが、温製の料理はちゃんとした陶器の食器で提供される本格的なものです。さらに途中の琴平駅にある「四国まんなか千年ものがたり」の乗客専用のラウンジでは、食事の事前予約をした人を対象に温かいスープの提供もありました。まさに至れり尽くせりの「おもてなし」となっています。

f:id:Len_Railway:20201108153214j:plain

 車内での食事は事前予約制のため、遅くとも乗車日の4日前までに食事引換券を購入しておく必要があります。しかしこの引換券の購入がちょっと手間で、JR東日本JR西日本みどりの窓口では購入可能なのに対し、なぜかJR東海管内のきっぷうりばでは購入できません。JR四国の通信販売でも購入可能なため、これを利用することも考えましたが、今回はたまたま直前の乗り鉄旅でJR東日本管内を旅行する機会があったため、東京駅で購入しておきました。通信販売という方法があるとはいえ、JR東海管内でも購入できるようにしてほしいものです。

 なお、事前引換券は、車内でアテンダントさんに渡すことになっているため、手元には残っていませんが、出発前にスキャンしておきました。値段は5,600円と決して安いものではありませんが、車内でこうした食事を楽しむことができ、心暖まるひとときを過ごすことができるということを考えれば、自分へのご褒美としてちょっと贅沢するには、ちょうどいい値段といったところでしょうか。

f:id:Len_Railway:20201108154411j:plain

 「四国まんなか千年ものがたり」は全車グリーン車指定席のため、今回の乗り鉄旅で使用する乗車票だけでは乗車することができません。通常であれば、別に特急券・グリーン券を購入する必要がありますが、今回利用する旅行商品には、グリーン券引換証を1乗車当たり2,000円で購入することができるというオプションがあったため、それを利用することにしました。旅行商品を予約する際に、希望する列車を伝えて手配してもらうという方法です。旅行商品とセットで発券される特急列車のグリーン券とはどういったものかと期待していましたが、届いたきっぷを見てみると、単なる指ノミ券でした。自由席特急券の乗車票に指ノミ券を組み合わせても、グリーン券に相当するものが不足しているような気がして、本当にこれで大丈夫なのだろうかと思っていましたが、当日は、特に問題なく利用できました。乗車票の券面に押印された「指定券発行」が、グリーン券相当の役割を果たしていると解釈するのでしょうか?

 券面には「四国まんなか千年ものがたり」オリジナルのチケッターが押印されていますが、実は自分で押印したものです。観光列車では、乗客がチケッターを押すことができるサービスもあると聞いたことがありましたが、僕はこれまでにそういった機会がありませんでした。今回もアテンダントさんが押印してくれるものと思い押印をお願いしたところ、「よかったら自身で押印してみますか?」と言われ、うまく押印できるかドキドキしながら、初めてチケッターを手に取りました。普段はできない貴重な経験となりました。

 ちなみにグリーン券引換証を申し込む際、僕は1人掛けのカウンター席を希望していましたが、満席で確保できなかったということで、2人掛けテーブル席となりました。平日の運行で、しかも発売初日に手配してもらったにもかかわらず、早々に満席とは驚きです。実際に当日の乗客を見ると、確かに満席でしたが、そのほとんどが何らかのツアー客のようでした。運行開始から3年以上が経過していますが、いまだにその人気は衰えていないようです。

f:id:Len_Railway:20201108162857j:plain
f:id:Len_Railway:20201108162914j:plain

 車内には記念乗車証もあり、自分でスタンプを押印することができます。揺れる車内できれいにスタンプを押すことは結構難しいものです。今回は、いい位置に押すことができましたが、一部がかすれてしまいました。まあ、これもいい思い出ということで、大切にしたいと思います。

 >>(3)に続く

3つの「ものがたり列車」に乗車する四国乗り鉄旅(1)

 JR四国には、様々なタイプの観光列車があります。そのカテゴリーは大きく3つに分けられます。一つ目はトロッコ列車で、予土線の「しまんトロッコ」、徳島線の「藍よしのがわトロッコ」、そして瀬戸大橋線の「アンパンマンロッコ」です。二つ目のカテゴリーはアンパンマン列車で、徳島線の特急剣山に連結された「ゆうゆうアンパンマンカー」のほか、予讃線土讃線を走る特急型車両の一部にアンパンマンの装飾が施されています。そして三つ目が「ものがたり列車」と呼ばれる観光列車になります。

 「ものがたり列車」の始まりは、松山ー伊予大洲八幡浜間を結ぶ「伊予灘ものがたり」で、2014年7月に登場しました。日経新聞社による「おすすめ観光列車ベスト10」で1位となるなど、全国的に見て最も人気の高い観光列車のひとつです。その人気を背景として、2017年4月に新たに登場した2番目の「ものがたり列車」が「四国まんなか千年ものがたり」です。「伊予灘ものがたり」は快速列車であったのに対し、「四国まんなか千年ものがたり」は特急列車となりました。その列車名は、四国の中央部である土讃線多度津大歩危間を走行することから命名されたそうです。そして2020年7月、ついに3番目の「ものがたり列車」となる「志国土佐時代(とき)の夜明けのものがたり」が運行を開始しました。「四国まんなか千年ものがたり」と同じ特急列車扱いで、土讃線の高知ー窪川間を走行します。なお、この区間には以前、トロッコ列車「志国高知幕末維新号」が運行されていましたが、このコンセプトを引き継ぐ形で登場した列車になります。これらの「ものがたり列車」は2両または3両1編成の全車グリーン車で運行されており、旅行商品だけでなく、通常の快速・特急列車と同様に、駅の窓口で購入可能な乗車券類でも乗車することができます。

 今回は、今年最大の乗り鉄旅として、1泊2日で3つの「ものがたり列車」すべてに乗車することにしました。また、メインは「ものがたり列車」になりますが、定期運行されているJR四国の特急列車の中には、まだ僕が乗車したことがないものも数多くあり、これらの列車に乗車することも目的のひとつです。さらに先にお話ししたとおり、四国にはいくつかのアンパンマン列車が運行されていますので、こうした列車にも乗車することになります。僕としては、特にアンパンマンに興味・関心があるわけではありませんが、旅の思い出にはなるんじゃないかと思います。

 1泊2日で3つの「ものがたり列車」に乗車するためには、どちらかの日に少なくとも複数の列車に乗車しなければなりません。時刻表を眺めたりネットで検索してみたりしたところ、どうやら「四国まんなか千年ものがたり」の下り列車(多度津大歩危)に乗車した後、そのまま特急列車で窪川まで移動すれば、「志国土佐時代の夜明けのものがたり」の上り列車(窪川→高知)に乗車できることが分かりました。こうして1日目に2本の「ものがたり列車」に乗車し、翌2日目に松山→伊予大洲間で「伊予灘ものがたり」に乗車することにしました。「伊予灘ものがたり」は2往復運転されており、松山発には午前便の大洲編、午後便の八幡浜編がありますが、今回は午後の八幡浜編としました。この八幡浜編の終着は八幡浜なので、そこまで乗車してみたかったのですが、帰路の時間の都合上、伊予大洲までの乗車とします。具体的な旅行行程は、次のとおりです。

11月6日の旅行日程

f:id:Len_Railway:20201108131346p:plain

11月7日の旅行日程

f:id:Len_Railway:20201108131428p:plain

 実は、以前の記事でも少し触れたのですが、当初は今年7月上旬に2泊3日の予定で四国乗り鉄旅を計画していました。しかし、6月下旬から7月初旬まで入院し、その後も通院を続ける必要があり、体力的にも気分的にも2泊3日の旅行に行けるような状態ではなかったため、泣く泣くキャンセルしたという経緯があります。今回の旅行日程の作成にあたり、7月上旬に予定していた乗り鉄旅の日程をそのまま引き継いでもよかったのですが、休暇の都合もあり、また1泊2日であっても3つの「ものがたり列車」に乗車することができるため、自分なりに日程を工夫して再調整したものです。

 いつものとおり、観光要素がない行程となっていますが、これまで行ったことがない高知県愛媛県を訪れるということで、僕としては、とても新鮮な感じがする旅行行程となります。

f:id:Len_Railway:20201108140914j:plain
f:id:Len_Railway:20201108140924j:plain
f:id:Len_Railway:20201108141109j:plain
f:id:Len_Railway:20201108141117j:plain
f:id:Len_Railway:20201108141250j:plain
f:id:Len_Railway:20201108141610j:plain

 今回の乗り鉄旅の乗車券類をどのように手配するのか、いろいろと迷いました。初めは、JR東海ツアーズの旅行商品「シングルルームプラン」を利用し、四国内での移動用には、JR四国が発売している「四国満喫きっぷスペシャルプラス」を購入するという組み合わせを検討していました。もちろん「シングルルームプラン」にも「Go To トラベルキャンペーン」が適用されることになりますが、適用前の金額を見ると、それほどオトク感がある価格ではありません。しかも、「四国満喫きっぷスペシャルプラス」は3日間分で10,500円となっており、僕の旅行行程からすると、少しもったいない使い方になってしまいます。そこで、他にいい旅行商品がないか色々と探してみたところ、JR四国の旅行商品(ワープ商品)の中に「おでかけ。四国家 まるごと鉄道たび」というものを見つけました。特急列車普通車自由席に乗車できるJR四国全線・土佐くろしお鉄道全線フリーきっぷ(2日間用)と宿泊がセットとなっており、今回の乗り鉄旅にはピッタリです。ということで、Webからこの旅行商品を申し込み、さらに、岡山までの往復は新幹線回数券を、岡山から児島(JR四国との境界駅)までの往復は往復乗車券・自由席特急券を別に用意することにしました。「Go To トラベルキャンペーン」による割引額や他の費用も考えると、結果的には当初案と比べてほとんど金額の差はありませんが、損をしている訳ではないので、これはこれでよしとします。

 ということで、今回使用した名古屋⇔岡山の新幹線回数券と、岡山⇔児島の乗車券・特急券です。僕としては、指定席用の新幹線回数券を使用するのは久しぶりです。座席を指定する際、現券に「指定席発券済」と赤字で印刷されて、別に指ノミ券が発券されるのかと思っていましたが、発行替えでの対応でした。また、岡山駅での乗り換え時間に余裕がなかったので、岡山⇔児島間の乗車券類もあらかじめ購入しておいたものです。

f:id:Len_Railway:20201108141731j:plain

 そして、こちらが旅行商品として購入した乗車票です。別の旅行商品の中には、特急列車普通車指定席が利用可能なプランも一部にあったのですが、Web予約に対応しておらず電話予約のみだったため、今回は手軽に購入できる自由席タイプとしました。券面を見ると、"乗車票"の文字はなく、何となく企画乗車券っぽい感じがします。なお、自由席タイプの乗車票であるにもかかわらず、右下に「指定券発行」のゴム印が押印されています(非常に薄いですが…)。自由席特急券の乗車票に「指定券発行」というのはちょっとおかしいと思われるかもしれませんが、その理由は、また後ほどお話しします。

f:id:Len_Railway:20201108133106j:plain

f:id:Len_Railway:20201108133122j:plain

南風号で使用されている2700系アンパンマン列車:岡山駅高知駅 2020/11/6

 新幹線の乗車記は割愛して、最初に紹介するのは2700系気動車の特急「南風」で、JR四国の中では最新型の特急型気動車です。今回の乗り鉄旅では、岡山→多度津大歩危→高知、高知→丸亀の計3回、南風に乗車するのですが、偶然にもそのすべてが2700系のアンパンマン列車となりました。「僕、アンパンマン。」という車内の自動放送を何度聞いたことでしょう。このアンパンマン列車ですが、どうやら「あかいアンパンマン列車」と「きいろいアンパンマン列車」の2種類があるようです。図らずも今回はその両方に乗車することになり、もし僕が今よりも40歳くらい若かったら、大喜びだったかもしれません。

 車両前面には、デカデカとアンパンマンが描かれており、その横にばいきんまんの姿もあります。車両全体がラッピングされているため、まるでテーマパークの中を走るアトラクションの列車のような外観です。僕は自由席を利用したため、座席自体は通常編成と同じものでしたが、指定席の一部には、アンパンマンシリーズのキャラクターが描かれたアンパンマンシートというものが設定されているそうです。アンパンマン好きの子にはたまらない設備でしょう。

 さて、僕は2700系に乗車するのは初めてですが、車内も明るく、最新型の特急列車らしい車両設備となっていました。全席にモバイルコンセントが設置され、無料Wi-Fiも完備されています。普通車の座席は、窓側と通路側とでモケット柄が微妙に異なったものが交互に配置され、車内の色合いが単調にならないような工夫も施されていました。ちなみにこの2700系には制御付自然振子方式が採用されており、従来車よりも高速度で曲線区間を走行することができます。最高速度は130kmでスピードアップ化にも大きく貢献しており、今後は、JR四国気動車特急の中心的な役割を担う列車になりそうです。

 >>(2)に続く

羽越本線「海里」に初乗車

 新潟地区では、さまざまな観光列車が運行されています。世界最速の芸術鑑賞と言われる「GENBI SHINKANSEN(現美新幹線)」、酒をコンセプトにした「越乃Shu*Kura」、蒸気機関車C57-180が牽引する「SLばんえつ物語」など、多くの魅力ある列車が乗り鉄ファンを楽しませてくれています。加えて2019年9月までは、新潟駅酒田駅(時期によっては秋田駅)間を白新線羽越本線経由で結ぶ「きらきらうえつ」という快速列車も運行されていました。国鉄型特急である485系をベースにしたジョイフルトレインで、白地ベースにパッチワーク風のカラフルな配色の外観が特徴的でした。僕も2018年8月の新潟往復乗り鉄旅で「きらきらうえつ」に乗車しましたが、時間の都合で新潟駅から村上駅までの約1時間だけであったため、次回は是非とも新潟駅酒田駅間のフル区間を乗車してみたいと思っていました。しかし、その願いは叶わないまま、残念ながら「きらきらうえつ」は引退してしまいました。

len-railway.hatenablog.jp

  「きらきらうえつ」の運行終了後、白新線羽越本線に新たな観光列車が誕生することになりました。その名は「海里」で、車両は「リゾートビューふるさと」「リゾートしらかみ」などで使用されているJR東日本ジョイフルトレインの定番とも言えるHB-E300系です。新潟から酒田までの運行区間はすべて電化されているため、単純に考えれば交直流タイプの電車でも問題ないはずですが、他の非電化区間への乗り入れも考慮してか、ディーゼルハイブリット車両での運行となっています。

 「海里」は、2019年10月に運行を開始し、ちょうど1周年を迎えます。僕は当初、2020年3月下旬に乗車する予定で、指定席券も購入して乗車を心待ちにしていたのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛要請があったため、乗車予定日の直前にキャンセルした経緯があります。その後もなかなか旅行する機会に恵まれませんでしたが、今回「Go To トラベルキャンペーン」を利用して乗車してみようと思い立ち、再度、乗り鉄旅を計画したという訳です。

 しかし、旅行計画の作成が遅くなってしまい、指定席券の手配を開始したのは、発売日を数日経過してからでした。「海里」は人気列車で、満席になることも少なくないと聞いていましたが、1席くらいなら何とか確保できるだろうと思って「えきねっと」で検索するも、まさかの満席でした。それでも、普段なら数日のうちにキャンセルを拾うことができるのですが、今回はなかなかキャンセルを拾うこともできず、やっと確保できたのが20日前で、それも通路側の席でした。その後、乗車直前になって海側A席のキャンセル分を拾うことができましたが、運行開始からすでに1年が経過しており、しかも平日の運行にも関わらず、ここまで指定席券の確保が難しいということに驚きました。

 それから、以前に「海里」への乗車を計画した際には、「ムーンライトながら」での移動を前提に、新潟→酒田の下りで乗車することにしていましたが、「ムーンライトながら」を利用せずに当日の朝に新幹線で新潟まで移動する方法では、時間的に新潟発の「海里」に乗車することができません。そのため、今回の乗り鉄旅では、新幹線で新潟まで出た後に「いなほ」で酒田まで移動し、酒田から上りの「海里」に乗車することにしました。具体的な旅行行程は、次のとおりです。

f:id:Len_Railway:20201102212129p:plain

 簡単に言えば、豊橋から山形県の酒田までを1日で往復する乗り鉄旅です。「海里」以外の区間は新幹線か在来線特急を利用するため、なんとか日帰りでの日程を組むことができましたが、おそらくこれが僕にとっての日帰り旅行の限界だと思います。ちなみに往路途中の新潟駅では、ちょっと多めに時間を確保しました。普段であれば、乗り換え時間くらいしか考えませんが、今回は、後から紹介する旅行商品で昼食がセットになっていたので、その食事時間を考慮したものです。

f:id:Len_Railway:20201031212013j:plain
f:id:Len_Railway:20201031212022j:plain

 今回も、「Go To トラベルキャンペーン」をフルに活用します。豊橋ー東京間では「ひさびさ旅割引 日帰り1day 東京」という商品を利用します。先月は横浜までの「ひさびさ旅割引~」を利用しましたが、今回は東京まで利用します。9月までは、この旅行商品に豊橋発着のプランがなかったため、名古屋発着で利用しましたが、10月からは豊橋発着が設定されました。僕にとっては、とてもありがたいことです。ちなみに実支払額は約6,700円で、さらにJR東海ツアーズの1,000円分のクーポンと、2,000円分の地域共通クーポン(電子)が付与されます。正規運賃で乗車することを考えると、驚異的な値段と言えます。

f:id:Len_Railway:20201031204709j:plain

2編成が並んだN700A:東京駅 2020/10/30

 今回の往路で乗車したのは「ひかり632号」です。ダイヤ改正以前、東海道区間のみを走行する「ひかり」には500号から付番されていましたが、現在は630号から付番されているようです。写真は、久しぶりに東京駅で撮影したN700Aです。ちょうど2つの編成が並んでおり、奥の車両はヘッドライトを、僕が乗車してきた手前の車両はテールライトを点灯させていました。数ヵ月ぶりに豊橋駅から早朝の「ひかり」に乗車しましたが、やはり以前と比べると乗客の数が少ないように感じます。特に、出張などビジネスで利用されている方が減っているという印象です。一利用客として、満席で混雑した列車に乗車するよりも、乗客が少なくゆったりとした車内で過ごすことができるという点ではありがたいのですが、何となく活気がないというような印象もあり、少しばかり寂しい感じもしてしまいました。

f:id:Len_Railway:20201031212218j:plain
f:id:Len_Railway:20201031212230j:plain

 東京から新潟まで、はじめは「えきねっと」の「お先にトクだ値スペシャル」を利用しようかと思っていました。今なら上越新幹線の東京ー新潟間の運賃・料金が50%割引となる商品が発売されているからです。しかし、僕が乗車したい列車を調べてみると、すでに50%割引の商品は満席となっていました。それならばと、JR東日本国内ツアーの旅行商品を見てみると、「列車で行く日帰り旅行/新潟すし三昧『極み』」というものがありました。東京ー新潟間の上越新幹線の普通車指定席の往復に、現地での食事がセットになったプランです。こちらも「Go To トラベルキャンペーン」が適用され、実支払額は13,800円です。たまには食事付きプランもいいかなということで、こちらを利用しました。当日、指定席券売機で発券したところ、乗車票2枚とバウチャー券1枚の計3枚でした。バウチャー券は現地で利用したため手元に残っていませんが、乗車票はいつものとおり、乗車記念に持ち帰らせてもらいました。ちなみにこの旅行商品にも、2,000円分の地域共通クーポン(電子)が付いていました。

f:id:Len_Railway:20201031205053j:plain

上越新幹線で活躍するE2系新潟駅 2020/10/30

 上越新幹線では、久しぶりにE2系に乗車しました。これまで上越新幹線では、Maxとき(E4系)に乗車することが多く、東北新幹線での利用も含めてE2系新幹線の利用は数年ぶりです。今更ながら気がついたのですが、往復で利用したE2系新幹線には、その両方とも、窓側席にモバイルコンセントがありました。東海道新幹線N700系にモバイルコンセントがあるのは当然知っていましたが、恥ずかしながら、E2系新幹線にも設置されているとは知りませんでした。最近は、タブレットスマホを利用する機会が多いので、新幹線内でモバイルコンセントが利用できるというのは、大変ありがたいことです。

 新幹線の紹介はこれくらいにして、今回の乗り鉄旅のメインとなる新潟と酒田間では、新潟→酒田の下りを特急「いなほ」に乗車し、酒田→新潟の上りを快速「海里」に乗車しました。ということで、先に乗車したのはE653系「いなほ」です。

f:id:Len_Railway:20201031205244j:plain

いなほ号で使用されているE653系酒田駅 2020/10/30

 「いなほ」に乗車するのは今回で2回目です。E653系には「いなほ」以外でも、「しらゆき」や臨時快速列車で乗車したことがありますが、5種類あるカラーリング(「いなほオリジナル色(通称フルーツ牛乳)」「瑠璃色」「ハマナス色」「国鉄特急色」「しらゆき色」)のうち、「瑠璃色」にはまだ乗車したことがありません。できれば「瑠璃色」の編成に当たるといいなと思っていましたが、残念ながらそこまでの運はなく、結果としては普通のフルーツ牛乳でした。

 前回乗車した際もそうだったのですが、今回乗車した「いなほ」も車内は空席だらけでした。どう見ても乗車率は5%以下です。酒田まではアテンダントさんが車内販売を行っていましたが、これではどう見ても採算がとれません。

f:id:Len_Railway:20201031212400j:plain

 JR東日本区間の指定席を利用するということで、いつものように「えきねっと」で予約・購入したきっぷを利用しました。「いなほ」には現在、50%割引となる「お先にトクだ値スペシャル」が期間限定で設定されています。しかし、このきっぷは乗車日の21日前(正確には乗車日20日前の午前1時40分)までに申込みを行う必要があります。今回の乗り鉄旅は「海里」に乗車することを第一の目的としているため、まずは「海里」の指定席券を確保できないことには成立しません。そのため、「海里」の指定席が手配できてから「いなほ」の乗車券・特急券を購入する必要がありました。しかし、「海里」の指定席券の確保が乗車日のちょうど20日前であったため、ぎりぎりで50%割引の「お先にトクだ値スペシャル」を購入することができませんでした。そのため、30%割引のものを予約・購入しました。1日の違いで割引率が20%も違うのは惜しいですが、仕方ありません。

f:id:Len_Railway:20201031205716j:plain

f:id:Len_Railway:20201031205737j:plain

海里で使用されているHB-E300系:鶴岡駅酒田駅 2020/10/30

 酒田からは、いよいよ「海里」に乗車しました。「いなほ」は新潟ー酒田間を約2時間10分程度で結んでいますが、上りの「海里」は同じ区間を約3時間30分(下りは約3時間10分)かけて走行します。停車駅もほぼ同じであるにも関わらず、所要時間が大きく違う理由は、途中駅での停車時間です。僕が今回乗車した上り「海里」では、途中の鶴岡駅桑川駅でそれぞれ30分程度の停車がありました。乗客は、その時間を利用してちょっとした観光を楽しんだり、お土産などの買い物を楽しむことができるようになっています。また、沿線のビューポイントである笹川流れでは、通常よりも速度を落とした運転が行われ、観光列車らしいサービスがありました。

f:id:Len_Railway:20201031205942j:plain

 ちなみにこの列車のコンセプトは、新潟・庄内の食と景観を楽しむ列車ということで、4両編成の各号車ごとに異なる車内設備が用意されています。僕が乗車したのは1号車で、回転式リクライニングシートが30席あります。2号車は全席4人掛けのコンパートメントシートとなっており、この1号車と2号車は、乗車券と指定席券で利用することができます。3号車は売店・イベントスペースで、乗客であれば誰でも利用することができます。一方、4号車は“日本海ビューダイニング”で、車窓からの景観を楽しみながら料亭の味を楽しむことがでますが、びゅう旅行商品専用の車両であるため、一般の乗客は利用することができません。

 車両の外観は、1・4号車の赤色から2・3号車の白色に変化するグラデーションで表現されており、また、水引をモチーフとしたヘッドマークも掲げられています。どことなく「和」のテイストが感じられ、「海里」という漢字2文字で表された列車の愛称にうまくマッチしていると思います。

f:id:Len_Railway:20201031212446j:plain

 「海里」は全車指定席で運転されており、旅行商品で利用する場合を除き、必ず指定席券を購入する必要があります。料金は「SL銀河」や「HIGH RAIL 1375」の指定席券と同様、840円と通常の指定席券より高く設定されています。僕としては、840円の指定席料金を支払う価値は十分にあると思いますが、同じHB-E300系の車両を使用した「リゾートビューふるさと」「リゾートしらかみ」では530円に設定されています。530円と840円の指定席料金は、どういった基準で決められているんでしょうか。

 それと当日に乗車してみて分かったのですが、1号車の30席のうち、1A~5Dまでの20席をどこかの団体と思われる方が利用していました。30席のうち20席を旅行会社に抜かれてしまったら、一般発売分は、車イス対応席を含めてもわずか10席だけです。これでは平日と言えども、指定席券が確保しずらいはずです。ちなみに「えきねっと」では、1号車のリクライニングシート席(シートマップ対応)と2号車のコンパートメントシート席(シートマップ非対応)が分けられており、どちからを選択して席を選ぶことになります。2号車のコンパートメントシートも魅力的でしたが、4人未満の場合は他の乗客と相席にある可能性があります。もし3人連れのグループが利用しているコンパートメントシートの中に、他の方がぽつんと1人でいるのは、双方が気を使うことになります。そのリスクを避けるため、僕は最初から1号車のリクライニングシートを利用しようと決めていましたが、いざ乗車してみると、2号車のコンパートメントシートは半数以上が空席でした。これならば、乗車直前にでもコンパートメント席の空き状況を確認すればよかったなと、思った次第です。

新しい「踊り子」に乗車する乗り鉄旅

 2020年3月のダイヤ改正では、東京・新宿-伊豆急下田を結ぶ「踊り子」号に新たな2つの車両が投入されました。1つ目は、251系「スーパービュー踊り子」の引退により新たに登場したE261系「サフィール踊り子」で、2つ目は、185系に代わって「踊り子」の運用に投入されたE257系2000番台です。

 僕としては、当然これらの車両にいち早く乗車したかったのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛要請があったことや、さらに以前の記事でも触れたとおり、6月下旬から7月上旬まで入院し、その後の通院治療とあわせて、8月下旬から9月上旬まで再び入院することが予定されていたことから、なかなか乗車する機会に恵まれませんでした。今回、一連の治療を終えることができたことから、自分自身への快気祝いとして、また、せっかくの「Go To トラベルキャンペーン」を利用しようということで、この2つの列車に乗車する乗り鉄旅を計画しました。

 「Go To トラベルキャンペーン」を利用する場合、東京発着の旅行商品は利用できないため、今回は新横浜発着で新幹線を利用することにしました。JR東海ツアーズからは、「ひさびさ旅割引 日帰り1day 横浜」という商品が発売されていますが、この「ひさびさ旅割引~」には、なぜか豊橋発着の設定がありません。利用するには、名古屋発着とするか浜松発着のどちらかにする必要があり、今回は、久しぶりに「のぞみ」に乗車してみようということで、名古屋発着にすることにしました。旅行代金は11,100円と言うことで、通常の商品よりもかなりおトクな設定になっています。さらに「Go To トラベルキャンペーン」の割引が適用されるため、約7,200円で名古屋-新横浜間を往復することができます。名古屋発着となると、多少は時間をロスすることにはなりますが、この実質負担額で旅行できるのであれば、まったく問題ありません。

 そして、肝心の「踊り子」についてですが、横浜から伊豆急下田までの往路ではE257系2000番台の「踊り子」に乗車し、伊豆急下田から横浜までの復路でE261系「サフィール踊り子」に乗車することにしました。今回は久しぶりの乗り鉄旅ということでちょっと課金し、E257系2000番台の「踊り子」はグリーン車を利用し、E261系の「サフィール踊り子」ではプレミアムグリーン車を利用することにしました。

 また、横浜-伊豆急下田間の乗車には、JR東日本の企画乗車券である「南伊豆フリー乗車券」を利用します。これは、発駅ー伊東駅間の往復に加えて伊豆急行線内が2日間乗り降り自由となるきっぷで、価格は5,950円です。僕は日帰り旅行なので1日しか利用しませんが、それでも十分に元が取れる値段です。今回は、横浜ー伊豆急下田間の往復だけでなく、伊豆急行線内が乗り降り自由となるメリットを活用して、別に伊東ー伊豆急下田間も往復乗車することにしました。具体的な旅行行程は、次のとおりです。

f:id:Len_Railway:20200928200836p:plain

 今回も、観光要素のない完全なる乗り鉄旅プランです。旅の始まりはE257系2000番台で、横浜から伊豆急下田まではグリーン車を利用します。引き返して伊東までは185系の「踊り子」の普通車自由席に乗車し、伊東からは再びE257系2000番台の普通車自由席を利用します。そして最後に、伊豆急下田から横浜まではE261系のプレミアムグリーン車に乗車するというものです。

f:id:Len_Railway:20200926193630j:plain
f:id:Len_Railway:20200926193641j:plain

 こちらが、名古屋ー新横浜間で利用した「ひさびさ旅割引 日帰り1day 横浜」の乗車票です。その名も“ぷらっと夏季需要喚起関東(日帰り)”となっており、通常の「日帰り1day」商品とは区別されているようです。「のぞみ」に乗車するということで、ひょっとしたら、運よくN700Sに乗車できるかなと勝手に期待していましたが、残念ながらN700Sを引き当てることはできませんでした。

f:id:Len_Railway:20200926193842j:plain
f:id:Len_Railway:20200926193852j:plain

 続いて、今回の乗り鉄旅で使用した「南伊豆フリー乗車券」です。「ゆき」券は、伊豆急行線内の最初の下車駅まで利用するもので、「かえり」券がフリーエリア内で使用できるきっぷとなっています。今回は全く使用していませんが、伊豆急下田などから乗車する東海バスもフリーエリアに組み込まれていますので、観光地として有名な河津七滝石廊崎などに行く場合にも、このフリー乗車券だけで移動することができます。

f:id:Len_Railway:20200926165808j:plain

踊り子号で使用されているE257系の非貫通型先頭車:伊豆急下田駅 2020/9/25

f:id:Len_Railway:20200926170107j:plain

踊り子号で使用されているE257系の貫通型先頭車:伊東駅 2020/9/25

 まずは、E257系2000番台です。もともとは中央本線の「あずさ」「かいじ」で使用されていたE257系0番台を「踊り子」に転用するために改造されたもので、カラーリングも大きく変更されています。0番台の特徴であった武田菱を模した大きな菱形模様は姿を消し、伊豆の空や海の色をイメージしたペニンシュラブルーを基調としたものとなっており、特に先頭車両の側面は、185系の斜めストライプを思わせるデザインとなっています。伊豆半島東海岸に沿って走る「踊り子」にふさわしい爽やかなカラーリングで、0番台時代とは、ずいぶんと印象が変わりました。

f:id:Len_Railway:20200926172247j:plain

f:id:Len_Railway:20200926172304j:plain

 E257系は、2000番台も0番台と同様に9両編成となっていますが、中間にあるグリーン車は、0番台が半室グリーンであったのに対して、2000番台は全室グリーンに変更されています。1番から7番までの席は、0番台時代からグリーン席であった区画になるため、2000番台になっても窓割に変更はありませんが、10番から14番までの席は、元々普通席であった区画をグリーン席に変更したため、窓割が一致していません。そのため、席によってはほどんど窓に当たらないハズレ席があり、座席を指定する際には注意が必要です。

 実のところ、乗車する前には、2+2の横4列配置だとちょっとグリーン席っぽくないんじゃないかとあまり期待はしていませんでしたが、当日は半数程度の乗車率だったということもあり、想像していた以上に快適でした。シートピッチはグリーン車標準の1,160mmなので足を伸ばすことができ、枕の付いた座席もちょうど座面が体にフィットする感じです。ただ、今回は2人掛座席を1人で利用することができましたが、どうしても隣席がすぐ近くに感じられるので、他の方がいると少し落ち着きにくいかもしれません。

f:id:Len_Railway:20200926170153j:plain

f:id:Len_Railway:20200926170218j:plain

 次にこちらが、普通車の車内です。自由席は8号車と9号車の2両用意されており、僕は最後尾の9号車に乗車しましたが、平日昼間の下りということもあってか、車内はガラガラでした。ちなみに0番台の普通車と比べると、座席のモケットが変更されているなどの変更はあるものの、基本的な内装は変わっていません。2+2の横4列配置の座席が並んでおり、伊豆の空と海をコンセプトとして、車内も青色基調となっていました。
 そして、ありがたいことに、0番台時代にはなかったモバイル用コンセントが窓下に用意されていました。車内の車端部には大型の荷物台も設置されており、利便性にも配慮されていました。

f:id:Len_Railway:20200926194128j:plain
f:id:Len_Railway:20200926194137j:plain

 グリーン券は、いつものとおり、えきねっとで予約・購入しました。ちなみに横浜ー伊豆急下田で普通車指定席を利用する場合の特急料金はちょうど2,000円(通常期)です。グリーン車を利用する場合の特急料金とグリーン料金の合計は2,930円なので、違いはわずか930円です。コストパフォーマンスを考えれば、十分に利用する価値があると思います。

 そして、伊東ー伊豆急下田で乗車した普通車自由席ですが、「伊豆急行線自由席特急回数券」を事前に購入しておき、これを使用しました。伊豆急行線内の自由席特急料金は410円均一ですが、この自由席特急券10枚片綴りが回数券として1,000円で販売されています。つまり1枚当たり100円ということになり、格安で「踊り子」の自由席に乗車できる訳です。僕はヤフオク!でバラ売りを購入したため、さすがに100円とはいきませんが、それでも2枚で290円だったため、かなりおトクに利用することができました。

f:id:Len_Railway:20200926171748j:plain

f:id:Len_Railway:20200926171813j:plain

サフィール踊り子号で使用されているE261系:伊豆急下田駅伊東駅 2020/9/25

 そしてついに、今回のメインであるE261系「サフィール踊り子」です。251系「スーパービュー踊り子」は10両編成で、そのうち1・2号車の2両がグリーン車でしたが、E261系「サフィール踊り子」は8両編成すべてがグリーン車です。と言っても号車ごとに車内設備が異なっており、1号車はJR初となるプレミアムグリーン席、2・3号車は4人または6人用グリーン個室、4号車はカフェテリア(ヌードルバー)、そして5~8号車がグリーン席となっています。1号車は定員がわずか20人で、2・3号車の個室もそれぞれ20人ということで、定員数を絞り込んだ贅沢なものとなっています。

f:id:Len_Railway:20200926190059j:plain
f:id:Len_Railway:20200926190113j:plain

 車体外観のデザインコンセプトは「伊豆の圧倒的で雄大な自然」だそうで、輝かしい紺碧色が目を引きます。なんとなく、E257系2000番台のペニンシュラブルーと共通色のようにも見えますが、実際には微妙に色合いが違っているようで、E261系の色の方が深みがあるように感じられました。

f:id:Len_Railway:20200926165418j:plain

f:id:Len_Railway:20200926165436j:plain

 これがプレミアムグリーン車の車内です。“プレミアム”と言えば近鉄80000系「ひのとり」があり、僕も7月に乗車したところですが、E261系のプレミアムグリーン席は、さらに落ち着きのある上質な空間で、鉄道車両とは思えないプライベート感の高い座席となっています。座席はひとつひとつがすべて独立しており、他の乗客の視線はまったく気になりません。もちろん、リクライニングやレッグレストもすべて電動で、体をすべて座席に預けると、優しくそしてしっかりと包み込んでくれるような感じです。鉄道車両の究極の進化系を体験することができたと言っても過言ではないと思います。

 僕は乗り鉄旅において、外の景色が見やすい窓側の座席が好きで、今回も窓側の座席を利用しましたが、プレミアムグリーン席について言えば、通路側の座席も決して悪くありません。プレミアムグリーン車の通路は、車両の片側に寄せられているため、通路側と言えども、他の乗客に邪魔されることなく通路越しに車窓を楽しむことができるようになっています。

f:id:Len_Railway:20200926165507j:plain

 そして最後に紹介するのが、4号車のカフェテリア(ヌードルバー)でのメニューです。僕は、重慶焼売がセットになったヌードルをオーダーしました。昔は多くの長距離列車や新幹線に食堂車が連結されており、車内で食事を楽しむことができましたが、現在は定期列車として運行されている列車の中に食堂車を備えているものはほとんどなく、寝台特急サンライズ号ですら、車内に食事の設備はありません。そんな貴重なカフェテリアで食べるラーメンは、味だけでなく、車窓から見る伊豆の景色とあいまって、十分に満足できるものでした。プレミアムグリーン席も非常にすばらしい座り心地を提供してくれましたが、カフェテリアも「サフィール踊り子」に乗車する楽しみのひとつだと言えます。

f:id:Len_Railway:20200926194332j:plain

 グリーン券はみどりの窓口で購入しました。と言うのは、えきねっとではプレミアムグリーン席のグリーン券を購入することができないからです。ちなみに少し前に座席の空き状況を確認したところ、窓側はすでに埋まっていると言われ、一旦は通路側の座席を購入しました。しかし、その後サイバーステーションで確認すると、かなりの空席があるようだったので、もう一度駅の窓口で確認し、窓側の座席に変更してもらいました。ちょうどこのタイミングで団体枠が解放されたんでしょうかね?

 以上、新しい「踊り子」に乗車する乗り鉄旅の模様をお伝えしてきました。特に「サフィール踊り子」での感動は素晴らしく、下車した早々、また乗車してみたいと思ってしまうほどです。次回もう一度乗車する機会があれば、まだ利用していないグリーン席や、さらに欲を言えばグリーン個室も利用してみたいものです。

みんな大好き!「普通列車グリーン車」

 僕は、首都圏各地の普通列車に連結されているグリーン車に乗車するのが大好きです。青春18きっぷで東京方面に旅行する際は、よほど移動距離が短い場合を除いて、ほぼ毎回利用していると言っても過言ではありません。僕の場合、乗車すること自体を旅の目的とする乗り鉄旅が中心なため、多少は課金してでも快適に移動したいという思いがあるのも事実ですが、どちらかと言えば、首都圏の普通列車グリーン車ならではのダブルデッカー車(2階建て車両)を楽しみたいというのが大きな理由です。

 思い起こせば、首都圏を走る211系電車に連結された2階建て車両を初めて知ったとき、どうしてもこれに乗車してみたくなり、父親と鎌倉に旅行に行った際、大船から品川まで2階席を利用したのが初めてでした。これが僕の人生で初めて利用したグリーン車ということもあり、すでに30年くらい昔の出来事となってしまいましたが、今でも当時の感激を覚えています。しかしそれ以降、僕自身が乗り鉄旅から離れていたこともあり、長い間、普通列車グリーン車には乗車していませんでした。

 その間、ダブルデッカー普通列車グリーン車を組み込む車両は大幅に増加し、現在では、首都圏の近郊型車両であるE217系(横須賀・総武快速線)、E231系E233系東海道・宇都宮・高崎線)、E531系(常磐線)にダブルデッカーグリーン車が組み込まれています。

 今回は、そんな首都圏各地の普通列車グリーン車について、紹介したいと思います。

◆路線

f:id:Len_Railway:20200922103706p:plain

 首都圏の普通列車グリーン車が運用されているエリアの路線図です。首都圏における“主要5方面”と言えば、東海道、中央、東北、常磐、総武の各方面で、これを具体的な路線名に当てはめると、東海道本線横須賀線中央本線宇都宮線高崎線常磐線総武本線になりますが、このうち中央本線以外の全路線(湘南新宿ライン上野東京ラインを含む。)で普通列車グリーン車のサービスが提供されています。中央本線については当初、2020年度のサービス開始を目指してグリーン車が導入される予定でしたが、工事の遅れなどにより、2023年度に運用が開始されるそうです。これにより、主要5方面のすべてにグリーン車が導入されることになります。
 また、首都圏ということで、基本的にはJR東日本管内ということになりますが、例外的に東海道線の熱海-沼津間はJR東海管内になっています。

◆料金
 次に、グリーン料金の特徴を見ていきたいと思います。複数の区分により、適用される料金が異なる仕組みとなっており、一見すると少し複雑な感じもしますが、僕としては、合理的な料金体系になっているのではないかと思います。

種類 平日料金 ホリデー料金
50kmまで 51km以上 50kmまで 51km以上
事前料金 780円 1,000円 580円 800円
車内料金 1,040円 1,260円 840円 1,060円

 (1) 営業キロによる区分
 首都圏以外の普通列車のグリーン料金では、「50kmまで」「100kmまで」 「150kmまで」「151km以上」の4区分となっていますが、首都圏の場合には「50kmまで」と「51km以上」の2区分のみです。上野東京ラインでは、熱海-黒磯間などで250kmを超える超ロングランの直通運転が行われていますが、こうした長距離利用の場合であっても「51km以上」の区分が適用されるため、短距離利用の場合よりも長距離の方がおトクに利用できる料金体系と言えます。首都圏での距離区分が2区分となっている理由はよく分かりませんが、同じ区間を走行する特急列車や新幹線の特急料金、競合する私鉄他社の特急料金なども意識しているのかもしれません。

 (2) 事前料金と車内料金
 特急列車やグリーン車に乗車する場合、乗車前に特急券やグリーン券を購入することになりますが、状況によっては、事前に購入せずに乗車してから車内で精算するということもあると思います。首都圏の普通列車グリーン車に限らず、昔は、車内で精算する場合であっても、事前に駅で購入する場合の料金と同額というのが一般的でしたが、最近は「事前料金」よりも割高な「車内料金」を適用するケースが見受けられます。特にJR東日本では、首都圏の普通列車グリーン車だけでなく、全車指定席の「ひたち」「あずさ」などの特急料金にも、「事前料金」と「車内料金」を設定しています。JR東日本側としては、事前購入を原則とすることで乗務員やアテンダントによる現金授受の負担軽減を図り、その分だけ特急料金やグリーン料金を安く設定しているということでしょうか。

 (3) 平日料金とホリデー料金
 この料金区分は、JRの中では首都圏の普通列車グリーン料金固有のものだと思います。「ホリデー料金」は「平日料金」よりも200円安く設定されており、土休日は平日よりもおトクに利用することができます。通勤事情が厳しい首都圏では、激しい混雑を避けるため、普通列車グリーン車をライナー列車代わりに利用する定期券利用客も多く、特に朝夕時間帯には相当の利用が見込まれるものと思います。一方、定期券利用客が比較的少ない土休日には、観光やレジャーでの利用客にも気軽にグリーン車を利用してもらえるよう、オトクな料金設定をしているのだと思います。

 (4) 乗り継ぎ利用時の特例
 通常、グリーン券は1つの列車に対して1枚必要となり、2つ以上の列車に乗車する場合には、それぞれの列車ごとの乗車区間に対してグリーン券が必要となりますが、首都圏の普通列車グリーン車では、途中駅で同一方向の列車に乗り継ぐ場合、改札口を出ない限り1枚のグリーン券で乗車することができます。具体的には、例えば上野東京ラインの熱海-黒磯間でグリーン車を利用する場合、直通する列車に乗車するときにはグリーン券1枚で利用可能なのはもちろんですが、仮に途中の東京駅や小金井駅で別の列車に乗り換えるときであっても、通しのグリーン券(つまり1枚のグリーン券)で利用することができるという特例があります。列車の行き先が多く、また、湘南新宿ライン上野東京ラインなどで他路線への直通運転を行う列車も多いため、乗り換えなしに目的地まで行くことができる場合とそうでない場合とで、グリーン料金に差を生じさせないようにとの配慮があるものと思います。

 以上が首都圏の普通列車グリーン車の料金体系の説明です。ここで気を付けなければいけないのが、上記のようなグリーン料金が適用されるのは、あくまで自由席グリーン料金に限られるということです。普通・快速列車であっても指定席グリーン車の場合には、通常のグリーン料金が適用されますので、注意が必要です。 

◆車両

E217系

f:id:Len_Railway:20200922112618j:plain

横須賀線総武快速線E217系:品川駅 2020/9/21

f:id:Len_Railway:20200926093815j:plain

横須賀線総武快速線E217系グリーン車横浜駅 2020/9/25

 横須賀線総武快速線で使用されている車両です。基本編成が11両、付属編成が4両で、最長15両編成で運転されています。登場は1994年ということで、すでに約25年経過していますが、そこまで古さを感じさせないデザインです。車体の帯色は、113系時代のスカ色を引き継いでおり、クリーム色と青色の組み合わせになっています。なお、横須賀線総武快速線では、品川-錦糸町間で地下区間を走行することから、かつては前面に貫通扉が設けられていましたが、後期型ではデザインに変更はないものの、貫通扉自体は廃止されています。

 以前は、快速「エアポート成田」や、内房線から総武快速線に直通する特別快速としても運用されていましたが、「エアポート成田」の列車名は廃止され、特別快速としての運用も終了しています。ちなみに僕もこれまでに数回、E217系グリーン車を利用したことがありますが、友人Dと2人で横須賀に遊びに行く際に、武蔵小杉からガラガラの2階席を利用したことが一番の思い出ですね。

E231系

f:id:Len_Railway:20200922112933j:plain

東海道本線などで活躍するE231系:品川駅 2020/9/21

f:id:Len_Railway:20200926093936j:plain

東海道本線などで活躍するE231系グリーン車横浜駅 2020/9/25

 今回紹介する4つの列車の中で最も利用頻度が高いと思われるのがE231系です。それだけに思い出も色々あり、平屋席、2階席、1階席とも利用したことがあります。平日午前9時過ぎに池袋から南行湘南新宿ラインに乗車したところ、ほぼ満席でしばらく着席できなかったこともあれば、逆に熱海からの上り列車に乗車した際には、発車時点で2階席をほぼ独占してしまうようなこともありました。ちなみに僕は、圧倒的に2階席派ですが、中には天井が低く荷棚のない階上席と階下席(2階席と1階席)を避けて、平屋席を好んで利用する方もいるようです。利用する方の好みによるところでしょうが、僕としては、せっかくダブルデッカー車両に乗車したからには、階上席か階下席を利用したいという思いがあり、長らく平屋席を利用したことがなかったのですが、友人Dと2人で熱海旅行に行った際、帰路の熱海-東京間で初めて平屋席を利用しました。なぜ平屋席を選んだかと言えば、平屋席の区画に他の乗客が誰もおらず、貸し切り状態で利用することができたためです。他の乗客がいない場合には、ちょっとした個室気分で利用できるのが平屋席のメリットですね。(時間も遅かったため、途中から平屋席を利用する他の乗客はなく、下車するまで本当に友人Dと2人で貸し切ってしまいました。)

E233系

f:id:Len_Railway:20200922113215j:plain

f:id:Len_Railway:20200922113244j:plain

JR東日本の主力車両であるE233系:品川駅 2020/9/21

 E233系3000番台は、東海道・宇都宮・高崎線湘南新宿ライン上野東京ラインで幅広く活躍しており、首都圏での乗り鉄旅では必ずと言っていいほど目にする車両なのですが、僕はなぜか巡り合わせが悪く、あまり乗車したことがありません。ホームで電車の入線を待っているとき、「今日こそはE233系3000番台かな?」と思っていると、かなりの確率でE231系がやってきます。とは言っても、実際に乗車してしまえば、E231系でもE233系3000番台でもグリーン車の車内設備ほとんど同じで、例えば平屋席と1階席のシートは赤系のモケットが、2階席のシートは青系のモケットが使用されている点も、E231系と変わりありません。ちなみにE231系E233系3000番台を先頭車両の形状以外で見分ける方法として、ドア部分に帯が引かれているかどうかの違いがあります。帯が引かれているのがE233系3000番台で、帯が引かれていないのがE231系です。

 話は少し逸れますが、数あるE233系のうち、現時点でグリーン車を組み込んでいるのは3000番台のみですが、中央本線における普通列車グリーン車のサービス開始に向け、今後、0番台にもグリーン車2両が組み込まれることになっています。そう遠くないうちに、オレンジ色の帯を巻いたダブルデッカー普通列車グリーン車が姿を現すことになりますね。

E531

f:id:Len_Railway:20200922113426j:plain

f:id:Len_Railway:20200922113442j:plain

常磐線E531系:品川駅 2020/9/21

 今回紹介する4つの列車の中で唯一の交直流電車で、常磐線に初めて普通列車グリーン車のサービスをもたらした車両です。上野東京ライン経由で東海道線に顔を出すこともありますが、品川以西の神奈川県内には入線しないため、僕にとってはあまり馴染みがなく、これまで2~3回しか乗車したことがありません。

 グリーン車の車内設備については、やはりE231系などとほぼ同じで、モケットの色も含めて共通化されており、一見しただけでは区別がつきません。外観上は、ステンレス製で無塗装の車体にひかれた常磐線のラインカラーである青色の帯が特徴的です。E217系のスカ色やE231系E233系湘南色を見慣れていると、かえって単色の帯が新鮮な印象です。

 以上、首都圏の普通列車グリーン車についていろいろと紹介させてもらいましたが、今後は、横須賀線総武快速線に投入されるE235系1000番台にもダブルデッカー普通列車グリーン車が連結されることになります。モバイルコンセントの設置やFree-Wifiのサービスも提供されるということで、ますます便利で快適な普通列車グリーン車へと進化を遂げようとしており、今から乗車が楽しみになってきます。